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健康な閉経前の女性における骨の健康増進のためのカルシウムとビタミンD

1 year 2 months ago
健康な閉経前の女性における骨の健康増進のためのカルシウムとビタミンD 要点 健康な閉経前の女性において、カルシウムの補給、ビタミンDの補給、およびカルシウムとビタミンD両方の補給は、どの部位(大腿骨または脊椎)の骨密度(BMD)にも影響を及ぼさないことをエビデンスは示唆している。 骨粗鬆症とは何か? 骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムなどのミネラルの濃度(骨密度:BMDと呼ばれる)が低くなっている状態である。そのため、骨の内部に穴が開いたり、骨の外壁が薄くなることで、骨がもろくなり、ひび割れや骨折が起こりやすくなる。 骨粗鬆症は公衆衛生上の大きな問題であり、年間890万件以上の骨折の原因となっている。これは、平均して3秒に1回の割合で骨粗鬆症による骨折が発生していることになる。(全員に受け入れられているわけではないものの)閉経後の女性にはカルシウムとビタミンDの補給がよく推奨されている。一方、介護施設などの入所者や、骨粗鬆症の患者には、カルシウムとビタミンDの十分な補給が常に推奨されている。しかし、閉経を迎えていない女性のBMDに対するカルシウムとビタミンDの効果については、ほとんど知られていない。この年齢層を対象とした研究はほとんどなく、その結果についても結論が出ていない。この年齢層におけるカルシウムおよびビタミンDの補給の目的は、骨の強度と健康状態を向上させることと考えられてい...

白内障の手術後における3焦点レンズと2焦点レンズの比較

1 year 2 months ago
白内障の手術後における3焦点レンズと2焦点レンズの比較 何を調べたかったのか? 白内障の手術の際に、遠見視力、中間視力、近見視力の3種類の視力を矯正するレンズ(3焦点レンズ)を挿入した場合と、遠見視力および近見視力の2種類の視力を矯正するレンズ(2焦点レンズ)を挿入した場合を比較して、効果や安全性に差があるかどうかについて調べたかった。 要点 白内障手術後に3焦点レンズを使用した患者は、2焦点レンズを使用した患者と比較して、1年後の裸眼中間視力(いわゆる裸眼視力)が改善する可能性があることがわかったが、そのエビデンスにはほとんど信頼性がない。1年後の裸眼遠見視力、裸眼近見視力、最良矯正遠見視力について、3焦点レンズと2焦点レンズに差があるというエビデンスはなかった。QOL(生活の質)や明暗の微妙な変化を識別する能力(コントラスト感度)に対する3焦点レンズと2焦点レンズの効果は、依然として不明であった。 老眼とは何か、またどのように治療されるのか? 老眼とは、加齢に伴い目のレンズ(水晶体)が変化することで、近くのものを見る能力が徐々に低下していく状態である。さらに水晶体の変化が進むと、水晶体の透明度が低下し(白内障と呼ばれる)、視力やコントラスト感度が低下することがある。3種類または2種類の範囲に焦点が合うレンズ(それぞれ3焦点レンズ、2焦点レンズと呼ばれる)は、白内障手術後におけ...

COVID-19に感染して回復した人や動物の濃縮抗体は、COVID-19の人に有効な治療法であるか?

1 year 2 months ago
COVID-19に感染して回復した人や動物の濃縮抗体は、COVID-19の人に有効な治療法であるか? 要点 - 高力価免疫グロブリン(COVID-19から回復した人の抗体で作られた製剤)が、中等症から重症のCOVID-19の人の死亡や重篤な望ましくない作用を減らすかどうかは分かっていない。しかし、動物にある種の抗体を注射して作る同様の製剤は、死亡や重篤な副作用を減らし、人々の症状の悪化を食い止めることができるかもしれない。 - COVID-19を発症しているが症状のない人、軽症のCOVID-19の人を調査した研究は見つからなかったので、ヒトや動物の高力価免疫グロブリンがそれらの人々にどれだけ有効であるかはわからない。 また現在進行中の試験も10件あった。その結果が発表され次第、本レビューを更新する予定である。 高力価免疫グロブリンとは? 体内では、感染症に対する防御策の一つとして抗体が作られている。抗体、すなわち「免疫グロブリン」は、血漿中に存在する。そして免疫反応の重要な部分として作用している。 COVID-19から回復した人の血漿にはSARS-CoV-2(COVID-19の原因となるウイルス)に対する抗体が含まれており、これを用いて2種類の製剤を作ることができる。1つは回復期の血漿であり、これは抗体を含む血漿である。もう1つは高力価免疫グロブリンであり、濃縮されているためより...

脳内出血後の血栓を防ぐ薬剤

1 year 2 months ago
脳内出血後の血栓を防ぐ薬剤 レビューの論点 脳内出血による脳卒中(いわゆる「脳出血」)の後、血栓を防ぐために使用する薬(「抗血栓薬」)の短期的および長期的な利益とリスクは何か。 背景 脳出血による脳卒中の人は、脳出血のない人に比べて、血管に血栓ができやすいと言われている。脳卒中後早期に体を動かさないでいると、脚や骨盤の静脈に血栓ができることがある。また、脳卒中後の短期および長期における患者の基礎疾患は、肺、脳、心臓、足、その他の臓器の動脈に血栓を生じさせる可能性がある。これらの血栓は、重篤な病気や死亡の原因になることがある。抗血栓薬は血栓を防ぐことができる。しかし、これらの薬剤は出血の問題を引き起こし、重篤な病気や死亡の原因になることもある。脳出血後、抗血栓薬が患者に有益か有害かは不明である。このレビューは、前回2017年に発表されたコクランレビューのアップデート版である。 研究の特徴 2021年10月に治療の公平性を検証するランダム化比較試験の広範な検索を更新した。その結果、過去に脳出血を起こした1,491人を対象とした9件の試験が見つかった。動けない脳出血の生存者を対象に、注射による血液希釈剤(「抗凝固剤」として知られている)の短期使用を検討した試験が4件あった。不規則な心拍(「心房細動」と呼ばれる)を持つ脳出血生存者を対象に、経口抗凝固薬の長期使用について3件の試験が行われ...

下痢症を予防するための衛生環境を改善する取り組み

1 year 2 months ago
下痢症を予防するための衛生環境を改善する取り組み レビューの目的 このコクラン・レビューの目的は、屋内外のトイレを提供したり、改良したり、使用を促したりする衛生環境への介入が下痢を減少させるかを評価することだった。事前に指定された厳密な研究デザインの確実な関連研究を収集・解析し、238,535人を対象とした51件の研究を得た。 要点 衛生環境への介入が下痢症に対して予防的である可能性を示すエビデンスを得た。しかし、介入の種類や設定によって効果は異なっており、エビデンスの確実性は非常に低いものから中等度までに渡っていた。 検討した内容 下痢症は低所得国における、特に幼い子どもたちにとっての死亡や病気の主な原因である。下痢症を起こす病原体の多くは、ヒトの排泄物に曝露することで感染する。屋内外のトイレのような衛生設備は、ヒトの排泄物に含まれる病原体を環境から隔離する最初のバリアとしての役割を担っている。このレビューでは、衛生設備へのアクセス、設備自体、使用法を改善するための介入研究について調査した。このような介入についての51件の研究を同定した。ほとんどが低・中所得国における研究であった。 レビューの主な結果 結果からは、脆弱な幼児および全年齢層において衛生環境への介入が下痢症を約15~26%減少させることが示唆された。しかし、すべての介入が予防的であったわけではなく、効果は介入の種類...

川崎病に対する免疫グロブリン療法

1 year 2 months ago
川崎病に対する免疫グロブリン療法 要点 川崎病の小児において、高用量の免疫グロブリンを点滴で投与する治療法(経静脈的免疫グロブリン療法:IVIG)は: ・アスピリンや中用量または低用量のIVIGと比較して、冠動脈病変形成リスクを減少させる可能性が高い。 ・ 明確な安全性に関する懸念は見られない。 ・アスピリンと比較して、発熱期間を短縮する可能性は高いが、追加治療の必要性についてはほとんど差が認められない。 ・中用量または低用量のIVIGと比較して、発熱の持続期間および追加治療の必要性を減少させる可能性がある。 なぜこの問題が重要なのか? 川崎病は、血管が炎症を起こして腫れる病気である。症状としては、高熱(発熱)に加え、唇の荒れ、イチゴ舌(腫れぼったい赤い舌)、目の充血、発疹、手足の発赤、および腫れ、皮膚の剥がれ、首のリンパ節の腫れなどが見られ、幼児に多く発生する。心臓に血液を供給する血管(冠動脈)の腫れや炎症は、この病気の最も重篤な合併症であり、冠動脈病変を引き起こす原因となる。冠動脈病変は、後天性の心臓病として、時には死亡につながることもある。しかし、迅速な診断と治療により、これらの合併症を防ぐことが可能である。川崎病の治療には、主に免疫グロブリンとアスピリンの静脈内投与が行われる。患者の治療には、これらの薬剤、投与量、および投与時間(レジメン)がさまざまに組み合わせて用いられ...

COVID-19感染者の治療に使用するレムデシビル

1 year 2 months ago
COVID-19感染者の治療に使用するレムデシビル COVID-19の治療にレムデシビル(抗ウイルス薬)は有効か? 要点 - COVID-19で入院した成人に対して、プラセボ(偽治療)または通常の治療と比較して、レムデシビルは治療後150日までのあらゆる原因による死亡に対して、おそらくほとんど、あるいは全く効果がない。 - レムデシビルは、入院患者が改善し、退院(病院を去る・家に帰る)する可能性をおそらくわずかに高める。また、悪化(呼吸器による侵襲的な換気や死亡)するリスクを減らすかもしれない。 - 通常、症状が軽く、入院していない患者は、亡くなる可能性が低い。レムデシビルは、おそらくCOVID-19が悪化して入院するリスクを減らすが、回復(例:症状の緩和)に影響するかどうかはわからない。 - 今後の研究では,異なるサブグループ(例:重症度が低いまたは高い人)におけるCOVID-19の経過に対するレムデシビルの影響を調査する必要がある. レムデシビルとは何か? レムデシビルはウイルスと戦う薬である。COVID-19の原因となるウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を防ぐ効果が示されている。医療規制当局は、COVID-19の患者を治療するためにレムデシビルを使用することを承認した。主な副作用として、吐き気、嘔吐、頭痛、血液検査値の変化などが報告されている。 何を知りたかったのか? ...

単発の非誘発性てんかん発作後の2回目の発作の予測

1 year 2 months ago
単発の非誘発性てんかん発作後の2回目の発作の予測 このレビューの重要性は? 1回の非誘発性てんかん発作はかなり一般的で、85歳までに人口の3%から4%が経験すると推定されている。これは、一生のうちにてんかん発作を起こす人が約25人に1人という計算になる。よって、臨床医が発作の再発リスクや、発作の再発、ひいてはてんかんの発症を予測する因子について確実にカウンセリングできるように、正確な予後データを得られることが最も重要である。 このレビューの目的は何か このレビューの主な目的は、単発のてんかん発作を起こした患者とその家族、そして患者を治療する臨床医に、さらなる非誘発性てんかん発作のリスクとてんかんの発症に関するより正確な情報を提供することにある。 このレビューのさらなる目的は、単発のてんかん発作を起こした患者さん、その家族、そして患者を治療する臨床医に、非誘発性てんかん発作後の早期死亡のリスクに関するより正確な情報を提供することである。 要点 このレビューに含まれる研究のデザインにはかなり大きな差があるが、6か月、12か月、24か月の時点で再びてんかん発作を起こすリスクについての情報を提供することができた。 本レビューでは何を調査したのか? 信頼できるデザインで、最初の非誘発性てんかん発作の後に2回目のてんかん発作を起こした人の数を報告している関連研究を検索した。その結果、12,1...

進行がんによる疲労(がん関連疲労)の治療において、副腎皮質ステロイド剤を使用することの利点とリスクは何か?

1 year 2 months ago
進行がんによる疲労(がん関連疲労)の治療において、副腎皮質ステロイド剤を使用することの利点とリスクは何か? 要点 成人の進行がん、およびがん関連疲労(CRF)に対する治療における副腎皮質ステロイド剤の有益性および有害性に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。 CRFの治療において、副腎皮質ステロイド剤が有益か、あるいは有害かを判断するためには、今後のより大規模で、かつ適切にデザインされた研究が必要である。 なぜ本レビューが重要なのか? 疲労は、進行がん患者において一般的かつ厄介な症状であり、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与える。副腎皮質ステロイド剤は、緩和ケアが必要な患者のCRFやその他の症状に対する治療に一般的に使用されている。副腎皮質ステロイド剤は、特に長期間使用した場合、重大な副作用を引き起こす可能性があるため、がんに伴う疲労に対する治療に有効かどうかを明らかにすることが重要である。 何を調べたかったのか? がんに伴う疲労の改善に、副腎皮質ステロイド剤が偽薬(プラセボ)、または他の薬よりも優れているかどうかについて調べたかった。また、進行がんによる疲労に対して副腎皮質ステロイド剤を使用した場合、有害作用があるかどうかについても明らかにしたいと考えた。 何を行ったのか? 成人のがん患者に対して、以下の項目について比較を行った研究を検索した。 - 副腎皮質ステロイ...

入院中の成人患者に対する薬剤レビューの利点とリスクは何か?

1 year 2 months ago
入院中の成人患者に対する薬剤レビューの利点とリスクは何か? 要点 入院患者における薬剤は、再入院を減少させる可能性があるが、死亡率にはほとんど、または全く影響を与えない可能性がある。 薬剤レビューとは何か? 薬剤レビューとは、個々の患者に対する投薬を最適化し、健康状態を改善するために、医療従事者が行う体系化した介入のことである。 何を調べようとしたのか? 薬剤レビューが成人の入院患者の健康状態を改善するかどうかを検討した。 何を行ったのか? 入院中の成人を対象に、通常のケアと薬剤レビューを比較した研究、または2種類以上の薬剤レビューを比較した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、エビデンスに対する信頼度を評価した。 何が見つかったのか? 入院中の成人患者における薬剤レビューは、患者の再入院を減少させる可能性があり、また救急治療部の利用を減少させる可能性があることが明らかになった。しかし、死亡率にはほとんど、または全く影響を及ぼさない可能性があり、健康に関連した生活の質(QOL)に影響を及ぼすかどうかは不明であった。 エビデンスの限界は何か? ほぼすべての研究において、多くの薬を服用している高齢の患者が対象になっていたため、他の患者にはこれらの結果を適用できない可能性がある。 このエビデンスはいつのものか? 2022年1月までに発表された研究について電子データベースなどで検索を行...

皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対する術前補助療法(腫瘍を取り除く手術の前に、薬剤等により行われる治療)の利点とリスクは何か?

1 year 2 months ago
皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対する術前補助療法(腫瘍を取り除く手術の前に、薬剤等により行われる治療)の利点とリスクは何か? 何を調べたかったのか? 悪性黒色腫は、非常に侵攻性の高い皮膚がんであり、進行した段階で発見された場合、ほとんどは致命的となる。早期の治療により腫瘍を外科的に除去し、長期生存率を高めることができる可能性がある。術前補助療法(ネオアジュバント療法)とは、主に手術前に行われる薬物療法のことを指し、腫瘍の大きさを小さくすることで切除を容易にし、手術の合併症を減少させ、病気が広がるリスクを低下させる。術前補助療法に有効な免疫療法薬、分子標的治療薬などの新しい種類の薬剤が開発されている。 本レビューでは、ステージⅢまたはステージⅣの悪性黒色腫に対する術前補助療法が生存期間の延長に役立つかどうかを明らかにし、術前補助療法と通常の治療とで有害(好ましくない)作用について比較したいと考えた。 何を行ったのか? 悪性黒色腫に対する特定の種類の治療法を比較したランダム化比較試験(RCT)を行った医学文献について検索した。行われた治療法の種類と用いられた薬剤は以下の通りである: - 分子標的治療:ダブラフェニブ、トラメチニブなど - 免疫療法:イピリムマブ、ニボルマブなど - 化学療法:ダカルバジン、テモゾロミドなど - 局所治療:イミキモドなど - 放射線療法 単剤治療と多剤...

減塩は糖尿病患者の慢性腎臓病の予防や治療に役立つか

1 year 2 months ago
減塩は糖尿病患者の慢性腎臓病の予防や治療に役立つか レビューの論点 現代人は塩分を摂りすぎており、それが高血圧のリスクを高めているという強いエビデンスがある。これは糖尿病患者にとって特に重要である。というのも、糖尿病は脳卒中、心臓発作、腎不全のリスクを高め、高血圧がさらにそのリスクを押し上げるためである。塩分摂取量を減らせば血圧が低下し、心臓発作のリスクや腎機能が悪化するリスクの低下につながる可能性がある。 本レビューで実施したこと 2022年3月31日までにCochrane Kidney and Transplant Register of Studiesに登録された研究のうち、糖尿病患者を対象として塩分摂取量が高い場合と低い場合を比較したランダム化比較試験の検索を行った。糖尿病患者に塩分が高い食事を与えた場合と塩分が低い食事を与えた場合の収縮期血圧(測定した血圧の高い方)と拡張期血圧(測定した血圧の低い方)の平均低下量を算出した。また、塩分が低い食事を与えた糖尿病患者では、尿中のタンパク量(腎障害の指標)が減少するかどうかも検討した。 わかったこと 1型または2型糖尿病の患者計313人を対象とした研究13件が見つかった。塩分摂取量を1日平均5g減らすと血圧が低下し、具体的には、収縮期血圧が7mmHg、拡張期血圧が3mmHg低下することがわかった。この結果を報告した8件の研究の...

アルコール使用障害に対するバクロフェン

1 year 2 months ago
アルコール使用障害に対するバクロフェン レビューの要点 アルコール使用障害(AUD)患者に対して、禁酒の達成、維持、あるいは飲酒量の減少についてのバクロフェンの有効性と安全性に関するエビデンスについてのレビューを行った。 現在のエビデンスでは、AUD患者、特にすでに解毒が完了しているAUD患者が禁酒を維持するのに役立つ可能性が示唆されている。他の薬剤と比較した結果については、主に1件の研究のみに基づいているため、結論を出すことはできない。 レビューの論点と目的 AUDは最も広く蔓延している精神障害の一つであり、身体、気分、学習、記憶などに特異的な問題を引き起こし、幸福度や健康状態に影響を及ぼす。アルコールの過剰摂取は、食道がん、肝臓疾患、てんかん、自動車事故、殺人、その他の意図的な傷害(自傷行為や他人への暴力行為)の原因の20%から30%を占め、世界における健康に対する最大のリスクの1つとなっている。 長年にわたり、AUDは心理社会的戦略(自分に助けが必要だと認識させること)で主に治療されてきたが、心理社会的な治療法だけを用いた場合の成功率は限られている。AUD患者の多くは治療に全く反応せず、反応した患者であっても長期に渡って禁酒を維持することができない。バクロフェンなどの薬剤は、AUD患者の治療において重要な役割を果たす可能性がある。 レビューの方法 プラセボ(偽薬)または他の...

小児急性肺炎の治療において、抗菌剤に加えてビタミンDを投与することは有効かつ安全か?

1 year 2 months ago
小児急性肺炎の治療において、抗菌剤に加えてビタミンDを投与することは有効かつ安全か? 肺炎とは、どのような病気で、どのように治療されているのか? 肺炎は、感染によって肺に炎症(腫れ)が起こる病気である。肺炎の治療には、抗菌剤、酸素マスクからの酸素吸入、およびその他の支持療法が用いられている。ビタミンDは免疫力を高め、過剰な炎症を抑えるので、小児の肺炎からの回復を助けると考えられている。 何が知りたかったのか? ビタミンDを抗菌剤と一緒に投与することが、小児の肺炎からの回復に役立つかどうかを明らかにしようとした。 何を行ったのか? 肺炎を発症した生後1か月から5歳の小児を対象に、ビタミンDとプラセボ(偽の治療)を比較した研究について検索を行った。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要素から、エビデンスに対する信頼性を評価した。 研究の特徴 低、中所得国における計1,601人の小児患者が参加した7件の研究が対象となった。5件の研究では、患者は研究参加時、または入院後24時間以内に大量のビタミンDを単回投与されていた。2件の研究では、5日間ビタミンDの投与が行われていた。1件の研究では、ビタミンDの濃度が正常な患者は除外されていた。2件の研究では、小児の肺炎の原因が報告されていた。 主な結果 ビタミンDの投与は、小児患者が肺炎から回復するまでの時間に対し、ほとんど、または全...

小児のクループに対するグルココルチコイド

1 year 2 months ago
小児のクループに対するグルココルチコイド レビューの論点 小児クループの治療におけるグルココルチコイドの有効性と安全性は? 背景 小児のクループの主な原因は、呼吸器系ウイルスである。クループは、のどや気道が腫れて、呼吸が困難になる。また、小児では「犬吠様咳嗽(犬が吠えるような咳)」と呼ばれる特殊な咳をすることがある。ステロイドの一種であるグルココルチコイドは、腫れを抑えて、クループの子どもたちが呼吸しやすいようにする。 このレビューは、1999年に発表され、2004年、2011年、2018年に更新されたレビューのアップデート版である。 検索日 エビデンスは2022年3月4日までのものである。 研究の特徴 1964年から2021年までに発表された0歳から18歳の子ども5,888人を対象とした45件の研究に対し、1,323人の子どもを対象とした2件の新しい研究を含めた。今回使用されたグルココルチコイドは、ブデソニド、デキサメタゾン、プレドニゾロンの3種類である。最新の1件の研究では、ブデソニドとデキサメタゾンの有効性が比較された。もう1件の新しい研究では、デキサメタゾンとプレドニゾロンの有効性、およびデキサメタゾンの少量投与(0.15mg/kg)とデキサメタゾン0.60mg/kgとを比較した。デキサメタゾンの投与量を比較した新しい研究のデータを、同じ比較を行った以前からレビューに含ま...

脳卒中や一過性脳虚血発作の既往がある人の脳卒中やその他の血管疾患の予防を目的とした糖尿病治療薬

1 year 2 months ago
脳卒中や一過性脳虚血発作の既往がある人の脳卒中やその他の血管疾患の予防を目的とした糖尿病治療薬 論点 すでに脳卒中や一過性脳虚血発作を起こした人を対象に、新しい糖尿病治療薬(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPAR-γ)作動薬)の脳卒中および関連血管疾患の予防における有効性と安全性を評価したいと考えた。 背景 ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ作動薬は、人体におけるインスリンの働きを改善する薬である。成人型糖尿病(2型糖尿病)の治療に広く使用されている。さらに、脳卒中の危険因子である両者、血中の余分な脂肪と動脈壁の病気に対しても防ぐかも知れない。 研究の特徴 合計5,039人の参加者を含む2022年1月1日までの5件の研究を確認した。4件の試験は薬剤、ピオグリタゾンを、1件の試験はロシグリタゾンを評価した。4件の研究では、糖尿病の既往のない参加者を含み、1件の研究では糖尿病のある参加者のみを含んだ。 主な結果 PPAR-γ作動薬は、プラセボ錠と比較して、脳卒中やその他の血管疾患の再発を抑制し、インスリンに対する身体反応を改善し、動脈壁の脂肪沈着を安定化させた。また、薬剤の忍容性も高いようだが、そのエビデンスは結論的ではなかった。 エビデンスの質 本研究の結論は、対象となった研究数が少ないことと、いくつかの研究の質が低いことを考慮し、注意して解釈されるべきである。大規模で更...

分娩時の胎児の健康状態を調べるための、胎児の頭皮を刺激すること

1 year 2 months ago
分娩時の胎児の健康状態を調べるための、胎児の頭皮を刺激すること 胎児の心拍数モニターに懸念がある場合に、健康状態を確認する第2選択の検査として胎児の頭皮を刺激することの有効性と安全性について、ランダム化比較試験からエビデンスを探すことに着手した。 論点 何らかの合併症がある妊婦には、CTGと呼ばれる電子記録装置で胎児の心拍数を継続的にモニターすることが推奨されている。CTGでは、分娩中の胎児の心拍数に異常が見られることはよくある。場合によっては、緊急帝王切開が必要なほどの異常が見られることもある。不必要な帝王切開の可能性を減らすために、追加で「第2選択の」検査を実施することができる。そのひとつが、胎児の頭皮を腟内から刺激し、心拍数が上昇するかどうか調べる検査である。この反応は健康的なもので、胎児に十分な酸素が供給されていることを示唆している。また、胎児の頭皮から少量の血液を採取し、血液中の酸塩基濃度を検査する方法もある。 重要性 もし、胎児の頭皮を刺激することが安全で効果的であることが証明されれば、分娩中の女性が不必要な帝王切開を受ける機会を減らすことができるかもしれない。 得られたエビデンス 2022年10月18日にエビデンスを検索し、2件の適格な研究(377人の女性が参加)を特定した。アイルランドで50人の女性を対象とした1件のパイロット研究で、CTGにデジタル胎児頭皮刺激法...

嚢胞性線維症患者における骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤

1 year 2 months ago
嚢胞性線維症患者における骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤 レビューの論点 経口投与(口から飲む)または静脈内投与(静脈に直接投与)のビスフォスフォネート(骨量の減少を防ぐ薬)は、嚢胞性線維症(CF)の人の骨粗鬆症に対してどのような効果があるか。 背景 嚢胞性線維症は、全身の多くの臓器(肺や膵臓など)に影響を及ぼす重篤な遺伝性疾患である。CF患者の約23.5%は、一般に骨粗鬆症と呼ばれる骨密度(BMD)の減少を経験しており、骨折の可能性を高めている。骨折(例 . 肋骨や脊椎など)の短期および長期の影響により、肺疾患が悪化し、入院がより頻繁になる可能性がある。ビスフォスフォネートは、骨が吸収される速度を遅くすることによって、BMDを増加させる薬である。更年期障害や副腎皮質ホルモン剤の使用による骨粗鬆症の治療に使用される。ビスフォスフォネートがCF患者の骨折の頻度、BMD、生活の質(QOL)に影響を与えるかどうか、また、副作用があるかどうかを知りたかった。このレビューは以前のコクランレビューをアップデートしたものである。 検索日 エビデンスは2022年5月10日までのものである。 研究の特徴 成人272人、小児113人(5歳から18歳)を対象とした6か月から2年間の9件の試験を対象とした。8件の試験には肺移植を受けていない成人238人が参加し、そのうち3件の試験ではビスフォスフ...

慢性静脈不全に対する水療法

1 year 2 months ago
慢性静脈不全に対する水療法 要点 - バルネオセラピー(水療法)は、何もしない場合と比較して、慢性静脈不全(血液が心臓にうまく戻らず、足に溜まってしまう状態)の人で、おそらく病気の重症度が少し改善し、痛みや皮膚の色の変化も改善する可能性がある。 - 水療法は無治療と比較して生活の質(QOL)を改善する可能性があるが、その結果については非常に不確かなものである。副作用、下腿潰瘍、浮腫(脚の腫れ)に差があることを示すエビデンスはほとんど見つからなかった。 - 水療法を他の治療法と比較したエビデンスは非常に限られている。フレボトニック(毛細血管脆弱性を軽減し、静脈不全における微小循環を改善する薬剤)と呼ばれる薬との比較では、痛みや浮腫を感じる人の数に差があることを示すエビデンスは見つからなかった。乾燥地での運動と比較して、水療法はQOLと浮腫を若干改善する可能性があるが、QOLに関しては非常に不確かなエビデンスである。 慢性静脈不全とは? 慢性静脈不全は、下肢静脈に血液が異常に運ばれ、静脈が心臓に十分な血液を送り返すことができないために起こる病気である。この症状の人は、静脈がこぶのように肥大していることが多い。多くの症状が考えられる中で、最も深刻なのは静脈性潰瘍である。 慢性静脈不全はどのように治療するのか? 慢性静脈不全の治療法には、圧迫(力を加えること)、理学療法、薬物療法、手術な...

慢性閉塞性肺疾患に対し、呼吸筋を鍛える運動は有効か?

1 year 2 months ago
慢性閉塞性肺疾患に対し、呼吸筋を鍛える運動は有効か? 要点 ・通常の運動に呼吸筋を鍛えるための運動を取り入れても、息切れ、体力、および生活の質は改善されない可能性がある。呼吸筋の強さと持久力は増加したが、患者に十分な変化をもたらすほどではなかった。 ・運動をしない場合と比較した場合、呼吸筋を鍛えるための運動は、息切れ、体力、および生活の質を改善する可能性がある。呼吸筋の強さと持久力は増加したが、患者に利益をもたらすかどうかは不明である。 ・呼吸筋の機能が低下している患者が、通常の運動または呼吸筋を鍛える運動を数週間行うことが効果的かどうかは不明である。 ・今後は、呼吸筋の機能が低下している患者に焦点を当て、より多くの参加者を対象にした研究を行う必要がある。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは何か? 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、息切れや咳を引き起こす気道の閉塞を特徴とする肺の疾患で、タバコの煙や化学物質などの刺激性ガスを長期にわたって吸入した後に発症する。呼吸筋を訓練し鍛えることで、呼吸が改善され、気道の閉塞が軽減されると考えられている。 COPD患者はどのような運動療法を行っているのか? COPDの改善のためにさまざまな運動療法が行われている。 ・症状を軽減し、運動能力や生活の質を向上させるために、一般的な運動や教育のプログラムを実施する人もいる。 ・専用の器具を使った一連の...
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