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パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か?

1 year 7 months ago
パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か? 注意事項:  ネットワークメタ解析の主な結果は、MAGICと共同で作成した 双方向型の結果の要約表 でも見ることができる。 背景 パーキンソン病(PD)は、主に60歳以上の人がかかる進行性の神経系疾患である。症状は徐々に始まり、震え、こわばり、動作やバランスの遅さ、協調性の問題など、動作の問題が出てくる。また、PDがある人は、感情や気分の問題、疲労、睡眠障害、思考障害などを抱えることがある。この病気は治すことはできないが、薬や手術などで症状を和らげることは可能である。さらに、PDがある人は、理学療法やダンスなどの運動が有効な場合がある。しかし、これらの運動の種類によって、より効果的なものがあるのかどうかは、まだ不明である。 目的 PDがある人の動作と生活の質(QOL)を向上させるために、どのような運動が最も効果的かを調べたいと考えた。また、どのような運動が最も副作用が少ないかを調べたいと考えた。 本レビューで実施したこと 身体運動と身体運動なし、または別の種類の身体運動と比較した研究を検索した。その短期間の結果を比較・要約し、研究方法や対象者数などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。短期間の結果しか調べていない。 わかったこと PDがある人に対する様々な種類の身体運動に関する154件の研究が見...

気管支肺異形成を発症する危険がある早産児を副腎皮質ステロイドで治療することの利点とリスク

1 year 8 months ago
気管支肺異形成を発症する危険がある早産児を副腎皮質ステロイドで治療することの利点とリスク 要点 気管支肺異形成のリスクが高い新生児に対する唯一の有効な治療法は、現在のところ、 生後1週間以降 に投与するデキサメタゾンによる治療である。 副腎皮質ステロイドを界面活性剤とともに気管に直接投与することが、将来有望な治療法になるかもしれない。 生後1週間までに デキサメタゾンを投与したり、 生後のどこかの時点で ヒドロコルチゾンを投与したりする治療法は効果がないか、あるいは安全ではない可能性がある。 気管支肺異形成とは 超早産や早産で生まれた赤ちゃんは、医学用語で気管支肺異形成(BPD)と呼ばれる肺損傷のリスクが高い。BPDの赤ちゃんは、BPDではない赤ちゃんに比べて死亡する確率が高く、死亡を免れてもその後の人生に(肺の状態が悪い、再入院の頻度が高い、小児期の発達が悪いなど)悪影響を受ける。BPDの原因の一つは肺の炎症である。炎症は、傷害に対する身体の一般的な反応である。 BPDの治療法 副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)は炎症に作用する(赤ちゃんの免疫反応を鎮め、腫れを抑える)薬であり、BPDの予防や治療のために早産児に投与される。しかし、ステロイドによって重篤な副作用(腸管穿孔(消化管に穴が開く)や小児期の発達の悪化など)が起こることもある。早産児に使用されるステロイドの例として...

医療現場以外でのSARS-CoV-2感染リスク軽減を目的とした職場介入は、どのような利益と害があるのか?

1 year 8 months ago
医療現場以外でのSARS-CoV-2感染リスク軽減を目的とした職場介入は、どのような利益と害があるのか? 要点 - 職場でSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染を予防する最善の方法に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。結果を報告している研究は1件しかなく、その結果については非常に不確かである。 - さまざまな職場介入による利益と害をよりよく理解するためには、より大規模で綿密にデザインされた研究が必要である。 レビューテーマの紹介 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的に蔓延している呼吸器感染症である。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染した人は、重症化する可能性があり、特に高齢者や基礎疾患のある人は死亡するリスクがある。パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。 調べたかったこと これらの介入がCOVID-19感染率、欠勤、COVID-19関連死亡、有害事象に及ぼす影響を調査した. 実施したこと 以下の4つのカテゴリーに基づいて介入を検討した研究を検索した。 - 曝露の排除(自己隔離戦略など) - 技術的管理(同僚や作業員と一般の人々を分離または隔離するための障壁など) - 管理統制(在宅勤務など) - 個...

歯科矯正装置は、小児や十代の若者の反対咬合(下顎前歯が突出している状態)を改善するか?

1 year 8 months ago
歯科矯正装置は、小児や十代の若者の反対咬合(下顎前歯が突出している状態)を改善するか? 要点 小児期における非外科的および外科的矯正治療は、噛み合わせや顎骨の位置を改善することができる。しかし、これらの効果がどの程度持続するのかは不明である。 小児期に患者を治療することで、成人期における顎矯正手術の必要性を防ぐことができるかどうかを明らかにするには、十分な期間をかけて研究する必要がある 反対咬合(アンダーバイト、受け口)とは何か? 下あごの前歯が突出している状態(反対咬合)は、上あご(上顎)の骨(上顎骨)が後退しすぎている、下あご(下顎)の骨(下顎骨)が前方に突き出ている、上顎の前歯が後方に傾いている、下額の前歯が前方に傾いている、またはこれらの組み合わせによって引き起こされる可能性がある。この場合、からかいの対象になったり、食事に支障をきたす、または顎関節症などの問題を引き起こしたりする可能性がある。 反対咬合はどのように治療されているのか? 反対咬合の歯科矯正治療には、口の内側または外側に装着し、歯に固定するタイプの矯正装置、あるいは頭部に装着するタイプの矯正装置を用いる方法がある。これらの矯正装置には、上顎の歯と骨が前下方に移動するよう促すもの、下顎骨の成長を制限するもの、あるいは両方の作用を持ったものがある。 何を調べようとしたのか? 本レビューは2013年に行ったレビュ...

早産新生児における肺疾患の予防と治療のための吸入気管支拡張薬の利点とリスクは?

1 year 8 months ago
早産新生児における肺疾患の予防と治療のための吸入気管支拡張薬の利点とリスクは? 要点 - 未熟児の慢性肺疾患予防のための気管支拡張薬(呼吸を助けるために気道を広げる薬)の吸入(息で吸い込む)使用に関する研究は2件しか見つからなかった。 - ある研究から、気管支拡張剤サルブタモールの使用は、プラセボ(偽薬)と比べて死亡や慢性肺疾患の予防に効果がない可能性が示唆された。 - サルブタモールが気胸(肺虚脱)のリスクに影響を及ぼすかどうかは不明である。どちらの研究でも気管支拡張薬の有害作用(望ましくない作用、有害な作用)は報告されていない。 気管支肺異形成とは? 早産、特に妊娠28週以前に生まれた新生児は、臨月または臨月近くに生まれた新生児に比べて、死亡、肺疾患、脳障害のリスクが高い。たとえば、知的障害、失明、難聴になる赤ちゃんもいる。慢性肺疾患は、早産児によく見られる、自力で呼吸ができず、酸素吸入や機械的人工呼吸(人工呼吸器)による補助が必要な疾患である。 気管支拡張薬とは? 気管支拡張薬は肺の空気の通り道を広げる薬である。早産児の肺にある小さな気道を開く可能性があるため、慢性肺疾患の治療に使用されてきた。早産児に気管支拡張剤を投与することで、慢性肺疾患を予防できる可能性もある。気管支拡張薬は、吸入(吸入器、パファーとも呼ばれる)、経口投与、注射、ネブライザー(気管支拡張薬をスプレーや...

細気管支炎を起こした乳幼児に対する高流量鼻カニューレ(チューブ)酸素療法

1 year 8 months ago
細気管支炎を起こした乳幼児に対する高流量鼻カニューレ(チューブ)酸素療法 細気管支炎とは? 細気管支炎は、(細い)下気道におこる、乳幼児(月齢24か月未満)によく見られる病気である。通常、ウィルス感染が原因となり、咳、速い呼吸、喘鳴などの呼吸障害を引き起こすが、哺乳不良となる可能性もある。これは乳幼児が入院する主な原因の一つである。細気管支炎の治療は対症療法である。つまり、入院が必要な場合は、感染症が治るまで、患児の呼吸を補助することになる。呼吸を助ける方法として、次第に多く採用されるようになっているのは、空気と酸素を混合し、加温、加湿したものを、鼻カニューレ(酸素供給用チューブ)を通じて、従来の(低流量)加湿しない酸素供給の最大流量である毎分2リットルより高い流量で供給する方法である。これは高流量鼻カニューレ療法として知られ、これによって空気と酸素の混合ガスを高流量で快適に供給し、換気を改善しうる。他方、持続的気道陽圧法(CPAP)も細気管支炎の治療に次第に多く使われるようになっている。この療法では、空気と酸素の混合ガスを事前に設定された気圧で供給することによって、気道を開いた状態に保ち、呼気時(息を吐くとき)に虚脱が起きないようにする。 調べたかったこと 高流量酸素療法は、侵襲的な呼吸補助(挿管(人工呼吸)など)の必要性の低減につながりうるほか、上気道の乾燥を防ぐなど、他の治...

心理療法は、長期療養を受ける高齢者のうつ病を軽減するのに有効か?

1 year 8 months ago
心理療法は、長期療養を受ける高齢者のうつ病を軽減するのに有効か? 要点 - 長期療養(LTC)施設(例えば、介護施設や老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど)に居住する高齢者では、心理療法(トーキング・セラピーとして知られることもある)は心理療法でないケアよりもうつ病の症状をよく治療する可能性がある。 - 心理療法はまた、生活の質(QOL)や心理的ウェルビーイング(個人の情緒的健康と全体的機能)を短期的に向上させるためには、心理療法でないケアよりも優れているかもしれない。 - 十分なエビデンスがないため、心理療法の広範な利益や長期的な効果は不明である。 調べたかったこと 心理療法がLTC環境におけるうつ病の管理に有益かどうかを調べたかった。 重要である理由 うつ病はLTCで暮らす高齢者によく見られる。このような人々は、うつ病を治療するために薬を処方されることが多い。心理療法が有効な選択肢になるかもしれない。 高齢者のうつ病の治療には、どのような心理療法があるか? LTC生活者のうつ病を治療する心理療法には、行動療法、認知行動療法、回想療法などがある。 実施したこと LTC施設で生活するうつ病の高齢者に対する心理療法を、代わりのケアと比較した研究を検索した。治療終了後、短期(3か月まで)、中期(3か月から6か月)、長期(6か月以上)の追跡調査における結果(評価項目)を検討した。 研...

メトホルミンは成人の2型糖尿病に有効な治療薬か?

1 year 8 months ago
メトホルミンは成人の2型糖尿病に有効な治療薬か? 背景 2型糖尿病は、血糖値(血液の糖分濃度)が高くなっている状態の病気である。血糖値は、膵臓で作られるホルモンであるインスリンによってコントロールされている。インスリンは、肝臓、筋肉、脂肪細胞に、血液から糖分を取り除き、蓄えるように指示をする。膵臓で十分なインスリンが作られない、または体がインスリンに反応しなかったりする場合、血液中に糖分が多く残ってしまう。2型糖尿病の治療薬は数多くある。これらの治療薬は、血液中の糖の量を減らし(血糖値を下げ)、糖尿病の長期合併症を軽減することを目的としている。2型糖尿病の人に通常最初に処方される薬は、メトホルミンである。メトホルミンは、肝臓が血液中に放出する糖分の量を減らす作用がある(血糖値が上がるのを防ぐ)。また、インスリンに対する体の反応を改善する。 メトホルミンが2型糖尿病の治療薬として有効かどうか、またメトホルミンが望ましくない(有害な)効果を引き起こすかどうかを調べたかった。また、他の糖尿病薬や、食事療法、運動療法、あるいはその両方との効果も比較したかった。特に注目したアウトカム(結果、評価項目)は、死亡、重篤な望ましくないイベント、健康関連の生活の質 (QOL)、心血管系の原因による死亡、および糖尿病の非致死的な合併症(例えば心臓発作、脳卒中、腎不全など)であった。 何を調べようとし...

在宅ホスピタル実施に関する複数の認識

1 year 9 months ago
在宅ホスピタル実施に関する複数の認識 要点 - 在宅ホスピタルサービスを開発する際には、医療専門家が患者を紹介するためのわかりやすいプロセスを設定することが重要である。これには、サービスがどのような人に適しているかを定めた明確なガイドラインを作成することも含まれる。 - 在宅ホスピタルサービスには、スタッフ、患者、介護者間の明確で一貫したコミュニケーションとともに、安全で効果的な患者中心のケアを在宅で提供するスキルを持った訓練された労働力が必要である。 - 在宅ホスピタルサービスを新たに導入する際、あるいは既存のサービスを運営する際に、医療専門家や管理者が使用するための質問をいくつか提案する。この質問は、在宅ホスピタルサービスの計画と実施に役立て、スタッフ、患者、介護者の満足度と結果(評価項目)を向上させることを目的としている。 在宅ホスピタルとは? 在宅ホスピタルでは、病院に入院しなければならない人々を対象に、病院レベルのケアを自宅で提供する。在宅ホスピタルの1つのタイプは、入院を避けることである。これは入院回避在宅ホスピタルと呼ばれる。これらのサービスは、肺疾患の再燃など、通常であれば病院のベッドでの治療が必要な人を対象とし、入院に代わるものである。その代わり、医師は、自宅(または、入所施設を含む、普段生活している場所)で病気の治療を受けるのに適していると評価した患者を、期間...

初回エピソードおよび最近発症した精神病における認知行動療法と標準治療の併用

1 year 9 months ago
初回エピソードおよび最近発症した精神病における認知行動療法と標準治療の併用 要点 認知行動療法(CBT)は統合失調症の症状を軽減し、統合失調症の初期段階の人々の機能を改善するのに有効である。 この介入に関連する潜在的な有害作用については、ほとんど情報がなかった。 背景 統合失調症は、その症状が患者の日常生活に大きな影響を及ぼすため、深刻な精神疾患である。この病気がある人は、自分の考え、思い込み、想念と現実を区別するのに苦労している。例えば、頭の中で声が聞こえることがあり、それが本当に誰かに話しかけられているように感じられる。病気の初期段階の治療は、慢性化を防ぐため、またはそのリスクを減らすために非常に重要である。この段階は通常「初回エピソード」と定義され、「最近発症した」という言葉は初回エピソードから3~5年の期間を表す言葉としても使われる。 心理学的介入である認知行動療法は、一般に統合失調症のある人の症状を抑えるのに有効である。 しかし、この介入が病気の初期段階の人々にも有効かどうかは、まだ明らかではない。 調べたかったこと 初回エピソードあるいは最近発症した統合失調症患者に対して、標準治療に認知行動療法を追加した場合の効果を調べたいと考えた。 行ったこと 標準治療(通常は薬物)に加えて認知行動療法を行い、標準治療単独または他の心理社会的介入と比較した研究を検索した。 研究結果...

がんワクチンは進行した非小細胞肺がんに効果があるのか

1 year 9 months ago
がんワクチンは進行した非小細胞肺がんに効果があるのか 要点 - このレビューで評価したワクチンによって進行非小細胞肺がん患者の余命や無増悪生存期間が延長することはないか、あってもごくわずかである。 - ワクチンによる好ましくない影響は頻繁に起こるものではない。 肺がんとは 肺がんは世界で最もよくあるがんのひとつである。非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの中でも最も多いタイプで、肺がんの約87%を占める。非小細胞肺がんは進行した段階で診断されることが多く、死亡率が高く、余命も短い。 非小細胞肺がんの治療法は 非小細胞肺がんのほとんどが、まず化学療法で治療される。化学療法とは、急速に増殖するがん細胞を消滅させるための強力な化学物質からなる薬物療法である。NSCLC患者の生存率を向上させるための新しい治療法は、化学療法後の免疫療法による治療に焦点を当てている。がんワクチンは免疫療法の一種である。病気から私たちを守るためのワクチンとは異なり、がんワクチンはすでにがんに罹患している人のためのものである。治療用がんワクチンは、がん細胞を認識して破壊するように免疫系を刺激することを目的としている。 知りたかったこと ワクチンを接種することによって生存期間が延びるのか、病気の進行がない期間が延びるのか、また、ワクチンには好ましくない影響があるのかを知りたいと考えた。 実施したこと 進行NSCL...

心不全に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの利点とリスクは何か?

1 year 9 months ago
心不全に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの利点とリスクは何か? 主なメッセージ - 運動をしない場合と比べて、心不全患者の死者数(死因は問わず)に差があることを示すエビデンスはなかった。運動を中心とした心臓リハビリテーションを行うことで、あらゆる原因による入院や心不全に関連した入院のリスクを減少させ、「ミネソタ心不全質問票」により評価される健康関連QOL(生活の質)に大きな改善をもたらす可能性がある。 - 重要なことは、この最新のレビューにより、在宅プログラムやデジタル技術で支援されるプログラムなど、運動を中心とした心臓リハビリテーションの代わりとなる方法を支持するエビデンスが追加されたことである。 - 今後の研究では、高齢者や女性の心不全患者、駆出率が保たれている心不全患者など、通常研究に参加していない人々を対象とすべきである。 心不全とは何か? 心不全とは、心臓が血液をうまく全身に送り出せなくなることである。心不全の人は疲れを感じやすく、息切れを起こす。そのため、日常生活が行いにくくなり、QOLにも影響を及ぼす可能性がある。心不全の人は入院や死亡のリスクが高い。 心臓リハビリテーションとは何か? 心臓リハビリテーションは、心不全などの心臓の病気からの回復を促進することを目的としている。心臓リハビリテーションプログラムでは、運動のほか、生活習慣や危険因子の管理につい...

入院を避けるための「在宅病院」サービス

1 year 9 months ago
入院を避けるための「在宅病院」サービス レビューの目的 このコクランレビューの目的は、入院回避のために在宅で医療を提供することが、患者の健康に関するアウトカムを改善し、医療サービス費用を減らすかどうかを明らかにすることである。 要点 自宅での入院回避は、おそらく死亡リスクにはほとんど差がなく、6か月のフォローアップ後も自宅で生活できる可能性を高め、若干安価かもしれない。 背景 急性期病床に対する需要は、依然として実際の病床数を上回っている。病床への依存を減らす一つの方法は、急性期医療を自宅で提供することであり、「自宅での入院回避」と呼ばれることもある。一方、「早期退院」とは、患者が早期に退院し、自宅で治療を受けることを指す。このトピックについては、別途レビューした。 知りたかったこと 自宅での入院が、患者の健康上のアウトカムや自宅での自立した生活に差をもたらすかどうかを確かめたかった。また、病院での治療より安価かどうか、治療期間や患者の満足度に影響があるかどうかも調べたかった。 行ったこと 急性疾患に対する在宅治療と入院治療を比較した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。 わかったこと 20件の研究が同定され、そのうち4件が今回の更新で新たに含まれた。その結果、さまざまな急性疾患の患者3,100人が対象...

高齢者介護施設に住む高齢者に対する医療提供の代替方法

1 year 9 months ago
高齢者介護施設に住む高齢者に対する医療提供の代替方法 本レビューの目的 このコクランレビューは、高齢者介護施設(ACF)の入居者に、通常のケアと同じケアを異なる方法(代替ケアモデル)で提供することが、救急外来への搬送、予定外の入院、有害事象、臨床ガイドラインで推奨されるケアの遵守、健康関連QOL、死亡率、費用の面で優れているかどうかを明らかにすることを目的とした。たとえば、ACFの入居者にケアを提供する方法として、多職種からなるチーム(代替モデル)は、個人開業医によるケア(通常のケア)よりも優れているのか。 要点 通常のケアと比較すると、代替ケアモデルは予定外の入院を減らすかもしれないが、ACF入居者の救急外来の受診回数や健康関連QOLにはほとんど差がなく、死亡率にもおそらくほとんど差がない。有害事象(転倒、褥瘡、感染症)やガイドラインが推奨するケアの遵守に対する代替ケアモデルの効果については明確ではない。重要なことは、利用可能なデータが少なく、相反するデータもあるため、代替のケアモデルが費用対効果に優れているかどうかは断定できないということである。 研究の内容は、介入の特徴、医療環境、通常のケアに関する記述の点で大きく異なっており、それが本レビューを実施するにあたり多くの分析の妨げとなった。今後の研究では、その設定に関して介入と通常ケアがどのようなものであるかを詳細に説明する必...

頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ

1 year 9 months ago
頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ 主要な結果 このレビューは、亜急性(中期)または慢性の頸部痛に対してのマッサージが、偽のマッサージと比べて、痛み、機能低下、QOL、主観的な治療効果について、12週間以内の追跡調査でほとんど差がないことを示している。副作用としては、治療による痛みなどが挙げられる。 背景 頚部痛は、急性(4週間未満)、亜急性(4から12週間)または慢性(12週間以上)の首の痛みを引き起こし、身体的な障害や多くの経済的負担をもたらす、成人によくある症状である。首からくる頭痛や、背中の上部や腕への痛みの広がり、腕の脱力感やしびれなどの症状を引き起こすこともある。骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経などの影響を受け、社会的、心理的、個人的な要因の影響を受けることもある。 マッサージとは、痛みや筋肉の張りを和らげ、リラクゼーションを促すために、手技により身体の軟部組織を動かすことである。マッサージはよく行われ、安価で副作用も少ないため、首の痛みを抱える人々にとって大きな関心事となっている。 調べたかったこと 成人の急性、亜急性または慢性の頚部痛(腕の痛みや頭痛の有無は問わず、むち打ち損傷に伴うものを含む)に対するマッサージの利点とリスクは何か?マッサージの用量(週あたりの頻度、合計週数、マッサージをする時間の長さ)は症状に影響するか? 何がわかったか? 腕の痛み(6%)、む...

口腔粘膜下線維症の管理のための介入

1 year 9 months ago
口腔粘膜下線維症の管理のための介入 論点 口腔粘膜下線維症に伴う症状の改善には、どのような治療が有効か 要点 - 総じて結果は一貫していなかったが、抗酸化薬の使用は開口制限の治療に有効であり、口腔粘膜下線維症の人が経験する口の中の灼熱感を改善する可能性が高いことを示している。 口腔粘膜下線維症とは何か? 口腔粘膜下線維症は、頬や口のこわばりが強くなる病気である。この症状がある人は、口の中が焼けるような痛みが持続することがよくある。このような問題のために食事や会話、嚥下が難しくなることもある。この症状に対処するために多くの医薬品が提案されており、経口投与(全身投与)、表面への局所塗布(局所投与)、患部への直接注射などがある。さまざまな手術や理学療法もある。 何が知りたかったのか? 我々は、口腔粘膜下繊維症の症状を改善するために、どの治療法が最も有効であるか検証したいと考えた。また、各治療法のリスク(危険)や副作用はどのようなもので、それらがどの程度の頻度で生じるかも検証したいと考えた。 行ったこと 医学・歯科学雑誌および臨床試験のデータベースを検索した。ランダム化比較試験として知られているものだけを選択した。この種の試験では、参加者はランダムに群に割り付けられる。ある群では特定の治療が行われ、別の群では異なる治療が行われるか、または全く治療を受けない群となる。これらの試験は、臨床試...

過体重や肥満の改善のためのスマートフォンアプリ

1 year 9 months ago
過体重や肥満の改善のためのスマートフォンアプリ 要点 - 本レビューに含まれた結果からは、スマートフォンアプリが10代の若者および成人の過体重や肥満の改善に役立つことを示すには不十分であった。スマートフォンアプリを使用した場合と、何もしない場合、または個人的指導を行った場合とを比較した場合における差は小さく、日常生活には重要な影響を与えない可能性がある。 - 10代の若者に関する情報は少なく、また、スマートフォンアプリがさまざまな国でうまく使えるのか、低所得者、あるいは異なる背景を持つ人たちにとってどの程度有効かについても不明である。 -このトピックに関する34件の研究が進行中であり、今後2年以内にさらに多くのことが解明されることを期待している。 - 医師やその他の医療従事者は、過体重あるいは肥満の患者に対してスマートフォンアプリを推奨するかどうかについて慎重に検討する必要がある。 過体重、および肥満とは何か? 過体重とは、身長に対して正常とされる体重よりも多いことを意味する。BMIとは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値(kg/m²)であり、成人の場合、BMIが25~30であれば過体重であることを意味する。肥満とは、著しく過体重で健康上のリスクが高く、成人の場合、BMIが30を超えている状態である。肥満の人は、健康上の問題だけでなく、周囲から不当な扱いを受けることが多い。...

心理社会的治療は神経刺激薬(覚せい剤、コカインなど)使用障害者の助けになるか?

1 year 10 months ago
心理社会的治療は神経刺激薬(覚せい剤、コカインなど)使用障害者の助けになるか? 要点 - 心理社会的治療は、無治療の場合と比較して、神経刺激薬使用障害のある人が早期に治療をやめる数を減らし、覚せい剤を断薬する期間もおそらく長くする。 - 通常の治療と比較すると、心理社会的治療は治療を長く続けるのに役立つが、おそらく薬物摂取の頻度にはほとんど差がない。 - どのような治療法が、誰にとって、いつ、どのような状況で最善であるかについての理解を深めるために、さまざまな心理社会的アプローチを比較する研究がさらに必要である。 神経刺激薬使用障害とは何か? 神経刺激薬使用障害は、精神刺激薬を使用したいという強い衝動と、その使用をコントロールできないことを特徴とする精神障害である。コカイン、アンフェタミン、クラック、MDMAは精神刺激薬である。精神刺激薬は、大麻に次いで世界で2番目に多く使用されている違法薬物である。神経刺激薬使用障害は、妄想や幻覚、心血管疾患、AIDS、ウイルス性肝炎、性感染症などの深刻な医学的問題と関連している。神経刺激薬使用障害のある人は、交通事故、犯罪、性的虐待、対人暴力に巻き込まれるリスクが高い。 神経刺激薬使用障害はどのように治療されるのか? 現在、神経刺激薬使用障害の治療薬として承認されているものはない。その結果、心理社会的治療が適切な選択肢とみなされている。心理社...

瞑想は心血管疾患の発症や悪化の予防に役立つのか?

1 year 10 months ago
瞑想は心血管疾患の発症や悪化の予防に役立つのか? 要点 - 我々は主に、マインドフルネスに基づく介入(mindfulness-based interventions:MBI)と超越瞑想(transcendental meditation:TM)という2種類の瞑想を、何か他のものを受けた場合と何も受けなかった場合(それぞれ能動的比較群、非能動的比較群と呼ぶ)と比較して調査した。対象アウトカムの多くに関する結果は一貫性がなかった。 - 非能動的比較群と比べて、MBIはおそらくストレスを軽減しており、不安や抑うつ、血圧を低下させる可能性もある。TMは、能動的あるいは非能動的比較群と比べて、血圧を低下させる可能性があるが、心理学的転帰を報告した研究はほとんどない。より高い質で実施された研究が加われば、結果はより確実なものになると考えている。 心血管疾患とは何か? 心血管疾患(Cardiovascular disease:CVD)には、心臓や血管に起こるさまざまな病気があり、その中には、高コレステロール、運動不足、ストレス、食生活の乱れ、過体重、喫煙、飲酒などの問題が原因で起こるものもある。全体として、CVDは世界最大の死因である。 瞑想はどのように役立つのか? 瞑想は、人々のストレスレベルを下げるのに役立ち、ストレスに対処する不健康な方法(例えば、喫煙、飲酒、粗末な食べ物の選択)を避ける...

ファビピラビルはCOVID-19の治療に有効か?

1 year 10 months ago
ファビピラビルはCOVID-19の治療に有効か? 要点 強固なエビデンスがないため、2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の、入院が不要な患者、および入院患者に対するファビピラビルの有益性については不明である。 ファビピラビルは軽度の副作用を起こす可能性はあるが、重大、または重篤な副作用は起こさないと思われる。 ファビピラビルとは何か? ファビピラビルはウイルスと闘うための薬剤であり、通常、口から服用される。もともと他のウイルス感染症の治療に使用されていたが、ウイルスの増殖を防ぐ作用があることから、COVID-19の治療薬となる可能性が示唆されている。医薬品規制当局は、ファビピラビルをCOVID-19患者に対し緊急的に使用することを承認している。 何を調べようとしたのか? COVID-19患者における、死亡、人工呼吸器の必要性、およびその他の結果について、ファビピラビルの使用が、治療を行わなかった場合、支持療法を行った場合、およびその他の実験的な抗ウイルス療法を行った場合よりも優れているかどうかについて調査した。また、ファビピラビルの有害事象との関連についても明らかにしたかった。 何を行ったのか? COVID-19患者に対し、ファビピラビルを使用した場合と、治療を行わなかった場合、支持療法を行った場合、およびその他の抗ウイルス療法を行った場合とを比較した...
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19 hours 58 minutes ago
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