6 months 1 week ago
妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果 要点 鉄のサプリメントを毎日摂取している女性は、プラセボを摂取している女性や鉄を補充していない女性と比較して、出産予定日前後の出産時に貧血や鉄欠乏が減少する可能性がある。 本レビューのエビデンス(科学的根拠)から、鉄の補充が女性とその児のその他の転帰に与える影響については、あまり定かではない。 貧血とは何か? 貧血とは、赤血球の数が通常より少ない状態、または赤血球1つ1つに含まれるヘモグロビン(血液中に含まれる赤い物質で、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ)の量が少ない状態のことである。鉄欠乏が貧血の主な原因であり、葉酸やビタミンB 12 などの微量栄養素の欠乏も貧血の原因となる。妊婦が貧血になったり、鉄やその他の栄養素が不足したりすると、その栄養分を十分に胎児に供給できなくなる。女性の鉄および葉酸の低値により貧血を生じる可能性があり、そのため女性は疲労を感じ、失神を起こし、感染症のリスクが増大する可能性がある。 知りたかったこと 妊婦が鉄のサプリメント(単独、または葉酸や他のビタミン、ミネラルとの併用)を毎日摂取することが、妊婦と胎児の健康と栄養を改善するかどうかを検証したいと考えた。 実施したこと 妊娠中の毎日の鉄の補充(単独、または葉酸や他のビタミン・ミネラルとの併用)の効果を調査した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方...
6 months 3 weeks ago
ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか? 要点 妊娠中のビタミンD補充は、妊娠中の女性およびその児の特定の健康状態を改善し、妊娠の有害転帰のリスク(危険)を低減するのに役立つ可能性がある。 {1>公衆衛生への影響<1} 妊娠中のビタミンD不足は、妊娠中の女性およびその児の健康合併症と関連している。このような合併症を予防する上で、妊娠中のビタミンD補充は必要であると考えられている。 何を調べようとしたのか? 妊娠中のビタミンD補充が、妊娠中の女性およびその児の特定の健康結果(早産や低出生体重児の減少など)を安全に改善し、妊娠の有害転帰(過度の出血など)のリスク(危険)を減少させるかどうかを評価すること 本レビューで行ったこと 本レビューは2012年に初版が発表され、その後2016年と2019年に更新されたレビューの最新版である。妊娠中のビタミンD補充について、単独またはカルシウムや他のビタミン・ミネラルとの併用で、プラセボまたは介入なしと比較した臨床試験を検索した(2022年12月)。各研究の信頼性を評価するツール を用いて検証した。 研究の結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、情報の信頼性を評価した。 何を見つけたのか? 本レビューの旧版には30件の研究が含まれていた。今回の更新では、これらの研究のうち20件を「分類待...
9 months ago
冠動脈疾患、心不全、心房細動のある人において、心理的介入は、心理的介入を行わない場合と比較して、うつ状態や不安を軽減するか? 要点 - うつ状態や不安に対する心理的介入は、冠動脈疾患や心不全のある人において、おそらくうつ状態や不安の中等度の減少をもたらす。 - うつ状態や不安に対する心理的介入は、冠動脈疾患や心不全のある人において、精神的健康に関連した生活の質(QOL)の中等度の改善をもたらすが、身体的健康に関連したQOLは改善しない。 - 心房細動のある人を対象とした研究はないため、この集団におけるうつ状態と不安に対する心理的介入の効果は不明である。 心臓病とは何か? 「心臓病」とは、冠動脈疾患(心臓への血流が減少)、心不全(心臓のポンプ機能が低下)、心房細動(心臓の拍動が不規則)など、心臓に影響を及ぼすさまざまな疾患を指す。 なぜ心理的介入が心臓病のある人の助けになるのか? 心臓病のある人の多く(約40%)がうつ状態や不安の症状を持っており、その多くは長期にわたっていることを示唆するエビデンスが増えつつある。心理的介入とは、よりポジティブな思考、感情、行動を生み出すために用いられる療法で、例えば、より正確でバランスの取れた信念を身につけるための認知行動療法や、瞑想に基づく療法であるマインドフルネスなどがある。これらの介入が、さまざまな心理障害、つまり気分や思考、行動に悪影響を...
9 months 2 weeks ago
バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか? 要点 ・バレニクリンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、ブプロピオン、または単独のニコチン代替療法(ニコチンパッチ等)よりも効果的であるというエビデンスが認められた。禁煙成功率は、2種類以上のニコチン代替療法を同時に行った場合(ニコチンパッチとニコチンガムの併用等)と同等である可能性がある。 ・シチシンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、バレニクリンと同等の効果が期待できるが、今後のエビデンスにより、その効果はバレニクリンには及ばないことが示される可能性がある。 ・今後の研究では、シチシンの有効性と安全性をバレニクリンや他の禁煙補助薬と比較し、また、シチシンやバレニクリンを異なる用量および異なる期間で投与することも検討する必要がある。 ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)とは何か? 喫煙は、健康に対し極めて悪い影響を与える。喫煙者にとって、禁煙は最善の健康改善手段であるが、禁煙は難しいと感じている喫煙者は多い。ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)は、禁煙の補助に使用される薬剤の一種である。NRPAは、禁煙時に現れる禁断症状(喫煙衝動や不快な気分など)を軽減するのに有効であり、また、喫煙時の快感も軽減される。この種類の薬剤で最も広く利用されているものはバレニクリンであり、...
9 months 3 weeks ago
パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か? 注意事項: ネットワークメタ解析の主な結果は、MAGICと共同で作成した 双方向型の結果の要約表 でも見ることができる。 背景 パーキンソン病(PD)は、主に60歳以上の人がかかる進行性の神経系疾患である。症状は徐々に始まり、震え、こわばり、動作やバランスの遅さ、協調性の問題など、動作の問題が出てくる。また、PDがある人は、感情や気分の問題、疲労、睡眠障害、思考障害などを抱えることがある。この病気は治すことはできないが、薬や手術などで症状を和らげることは可能である。さらに、PDがある人は、理学療法やダンスなどの運動が有効な場合がある。しかし、これらの運動の種類によって、より効果的なものがあるのかどうかは、まだ不明である。 目的 PDがある人の動作と生活の質(QOL)を向上させるために、どのような運動が最も効果的かを調べたいと考えた。また、どのような運動が最も副作用が少ないかを調べたいと考えた。 本レビューで実施したこと 身体運動と身体運動なし、または別の種類の身体運動と比較した研究を検索した。その短期間の結果を比較・要約し、研究方法や対象者数などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。短期間の結果しか調べていない。 わかったこと PDがある人に対する様々な種類の身体運動に関する154件の研究が見...
10 months 1 week ago
気管支肺異形成を発症する危険がある早産児を副腎皮質ステロイドで治療することの利点とリスク 要点 気管支肺異形成のリスクが高い新生児に対する唯一の有効な治療法は、現在のところ、 生後1週間以降 に投与するデキサメタゾンによる治療である。 副腎皮質ステロイドを界面活性剤とともに気管に直接投与することが、将来有望な治療法になるかもしれない。 生後1週間までに デキサメタゾンを投与したり、 生後のどこかの時点で ヒドロコルチゾンを投与したりする治療法は効果がないか、あるいは安全ではない可能性がある。 気管支肺異形成とは 超早産や早産で生まれた赤ちゃんは、医学用語で気管支肺異形成(BPD)と呼ばれる肺損傷のリスクが高い。BPDの赤ちゃんは、BPDではない赤ちゃんに比べて死亡する確率が高く、死亡を免れてもその後の人生に(肺の状態が悪い、再入院の頻度が高い、小児期の発達が悪いなど)悪影響を受ける。BPDの原因の一つは肺の炎症である。炎症は、傷害に対する身体の一般的な反応である。 BPDの治療法 副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)は炎症に作用する(赤ちゃんの免疫反応を鎮め、腫れを抑える)薬であり、BPDの予防や治療のために早産児に投与される。しかし、ステロイドによって重篤な副作用(腸管穿孔(消化管に穴が開く)や小児期の発達の悪化など)が起こることもある。早産児に使用されるステロイドの例として...
10 months 1 week ago
医療現場以外でのSARS-CoV-2感染リスク軽減を目的とした職場介入は、どのような利益と害があるのか? 要点 - 職場でSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染を予防する最善の方法に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。結果を報告している研究は1件しかなく、その結果については非常に不確かである。 - さまざまな職場介入による利益と害をよりよく理解するためには、より大規模で綿密にデザインされた研究が必要である。 レビューテーマの紹介 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的に蔓延している呼吸器感染症である。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染した人は、重症化する可能性があり、特に高齢者や基礎疾患のある人は死亡するリスクがある。パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。 調べたかったこと これらの介入がCOVID-19感染率、欠勤、COVID-19関連死亡、有害事象に及ぼす影響を調査した. 実施したこと 以下の4つのカテゴリーに基づいて介入を検討した研究を検索した。 - 曝露の排除(自己隔離戦略など) - 技術的管理(同僚や作業員と一般の人々を分離または隔離するための障壁など) - 管理統制(在宅勤務など) - 個...
10 months 1 week ago
歯科矯正装置は、小児や十代の若者の反対咬合(下顎前歯が突出している状態)を改善するか? 要点 小児期における非外科的および外科的矯正治療は、噛み合わせや顎骨の位置を改善することができる。しかし、これらの効果がどの程度持続するのかは不明である。 小児期に患者を治療することで、成人期における顎矯正手術の必要性を防ぐことができるかどうかを明らかにするには、十分な期間をかけて研究する必要がある 反対咬合(アンダーバイト、受け口)とは何か? 下あごの前歯が突出している状態(反対咬合)は、上あご(上顎)の骨(上顎骨)が後退しすぎている、下あご(下顎)の骨(下顎骨)が前方に突き出ている、上顎の前歯が後方に傾いている、下額の前歯が前方に傾いている、またはこれらの組み合わせによって引き起こされる可能性がある。この場合、からかいの対象になったり、食事に支障をきたす、または顎関節症などの問題を引き起こしたりする可能性がある。 反対咬合はどのように治療されているのか? 反対咬合の歯科矯正治療には、口の内側または外側に装着し、歯に固定するタイプの矯正装置、あるいは頭部に装着するタイプの矯正装置を用いる方法がある。これらの矯正装置には、上顎の歯と骨が前下方に移動するよう促すもの、下顎骨の成長を制限するもの、あるいは両方の作用を持ったものがある。 何を調べようとしたのか? 本レビューは2013年に行ったレビュ...
10 months 1 week ago
早産新生児における肺疾患の予防と治療のための吸入気管支拡張薬の利点とリスクは? 要点 - 未熟児の慢性肺疾患予防のための気管支拡張薬(呼吸を助けるために気道を広げる薬)の吸入(息で吸い込む)使用に関する研究は2件しか見つからなかった。 - ある研究から、気管支拡張剤サルブタモールの使用は、プラセボ(偽薬)と比べて死亡や慢性肺疾患の予防に効果がない可能性が示唆された。 - サルブタモールが気胸(肺虚脱)のリスクに影響を及ぼすかどうかは不明である。どちらの研究でも気管支拡張薬の有害作用(望ましくない作用、有害な作用)は報告されていない。 気管支肺異形成とは? 早産、特に妊娠28週以前に生まれた新生児は、臨月または臨月近くに生まれた新生児に比べて、死亡、肺疾患、脳障害のリスクが高い。たとえば、知的障害、失明、難聴になる赤ちゃんもいる。慢性肺疾患は、早産児によく見られる、自力で呼吸ができず、酸素吸入や機械的人工呼吸(人工呼吸器)による補助が必要な疾患である。 気管支拡張薬とは? 気管支拡張薬は肺の空気の通り道を広げる薬である。早産児の肺にある小さな気道を開く可能性があるため、慢性肺疾患の治療に使用されてきた。早産児に気管支拡張剤を投与することで、慢性肺疾患を予防できる可能性もある。気管支拡張薬は、吸入(吸入器、パファーとも呼ばれる)、経口投与、注射、ネブライザー(気管支拡張薬をスプレーや...
11 months ago
細気管支炎を起こした乳幼児に対する高流量鼻カニューレ(チューブ)酸素療法 細気管支炎とは? 細気管支炎は、(細い)下気道におこる、乳幼児(月齢24か月未満)によく見られる病気である。通常、ウィルス感染が原因となり、咳、速い呼吸、喘鳴などの呼吸障害を引き起こすが、哺乳不良となる可能性もある。これは乳幼児が入院する主な原因の一つである。細気管支炎の治療は対症療法である。つまり、入院が必要な場合は、感染症が治るまで、患児の呼吸を補助することになる。呼吸を助ける方法として、次第に多く採用されるようになっているのは、空気と酸素を混合し、加温、加湿したものを、鼻カニューレ(酸素供給用チューブ)を通じて、従来の(低流量)加湿しない酸素供給の最大流量である毎分2リットルより高い流量で供給する方法である。これは高流量鼻カニューレ療法として知られ、これによって空気と酸素の混合ガスを高流量で快適に供給し、換気を改善しうる。他方、持続的気道陽圧法(CPAP)も細気管支炎の治療に次第に多く使われるようになっている。この療法では、空気と酸素の混合ガスを事前に設定された気圧で供給することによって、気道を開いた状態に保ち、呼気時(息を吐くとき)に虚脱が起きないようにする。 調べたかったこと 高流量酸素療法は、侵襲的な呼吸補助(挿管(人工呼吸)など)の必要性の低減につながりうるほか、上気道の乾燥を防ぐなど、他の治...
11 months ago
心理療法は、長期療養を受ける高齢者のうつ病を軽減するのに有効か? 要点 - 長期療養(LTC)施設(例えば、介護施設や老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど)に居住する高齢者では、心理療法(トーキング・セラピーとして知られることもある)は心理療法でないケアよりもうつ病の症状をよく治療する可能性がある。 - 心理療法はまた、生活の質(QOL)や心理的ウェルビーイング(個人の情緒的健康と全体的機能)を短期的に向上させるためには、心理療法でないケアよりも優れているかもしれない。 - 十分なエビデンスがないため、心理療法の広範な利益や長期的な効果は不明である。 調べたかったこと 心理療法がLTC環境におけるうつ病の管理に有益かどうかを調べたかった。 重要である理由 うつ病はLTCで暮らす高齢者によく見られる。このような人々は、うつ病を治療するために薬を処方されることが多い。心理療法が有効な選択肢になるかもしれない。 高齢者のうつ病の治療には、どのような心理療法があるか? LTC生活者のうつ病を治療する心理療法には、行動療法、認知行動療法、回想療法などがある。 実施したこと LTC施設で生活するうつ病の高齢者に対する心理療法を、代わりのケアと比較した研究を検索した。治療終了後、短期(3か月まで)、中期(3か月から6か月)、長期(6か月以上)の追跡調査における結果(評価項目)を検討した。 研...
11 months 1 week ago
在宅ホスピタル実施に関する複数の認識 要点 - 在宅ホスピタルサービスを開発する際には、医療専門家が患者を紹介するためのわかりやすいプロセスを設定することが重要である。これには、サービスがどのような人に適しているかを定めた明確なガイドラインを作成することも含まれる。 - 在宅ホスピタルサービスには、スタッフ、患者、介護者間の明確で一貫したコミュニケーションとともに、安全で効果的な患者中心のケアを在宅で提供するスキルを持った訓練された労働力が必要である。 - 在宅ホスピタルサービスを新たに導入する際、あるいは既存のサービスを運営する際に、医療専門家や管理者が使用するための質問をいくつか提案する。この質問は、在宅ホスピタルサービスの計画と実施に役立て、スタッフ、患者、介護者の満足度と結果(評価項目)を向上させることを目的としている。 在宅ホスピタルとは? 在宅ホスピタルでは、病院に入院しなければならない人々を対象に、病院レベルのケアを自宅で提供する。在宅ホスピタルの1つのタイプは、入院を避けることである。これは入院回避在宅ホスピタルと呼ばれる。これらのサービスは、肺疾患の再燃など、通常であれば病院のベッドでの治療が必要な人を対象とし、入院に代わるものである。その代わり、医師は、自宅(または、入所施設を含む、普段生活している場所)で病気の治療を受けるのに適していると評価した患者を、期間...
11 months 1 week ago
初回エピソードおよび最近発症した精神病における認知行動療法と標準治療の併用 要点 認知行動療法(CBT)は統合失調症の症状を軽減し、統合失調症の初期段階の人々の機能を改善するのに有効である。 この介入に関連する潜在的な有害作用については、ほとんど情報がなかった。 背景 統合失調症は、その症状が患者の日常生活に大きな影響を及ぼすため、深刻な精神疾患である。この病気がある人は、自分の考え、思い込み、想念と現実を区別するのに苦労している。例えば、頭の中で声が聞こえることがあり、それが本当に誰かに話しかけられているように感じられる。病気の初期段階の治療は、慢性化を防ぐため、またはそのリスクを減らすために非常に重要である。この段階は通常「初回エピソード」と定義され、「最近発症した」という言葉は初回エピソードから3~5年の期間を表す言葉としても使われる。 心理学的介入である認知行動療法は、一般に統合失調症のある人の症状を抑えるのに有効である。 しかし、この介入が病気の初期段階の人々にも有効かどうかは、まだ明らかではない。 調べたかったこと 初回エピソードあるいは最近発症した統合失調症患者に対して、標準治療に認知行動療法を追加した場合の効果を調べたいと考えた。 行ったこと 標準治療(通常は薬物)に加えて認知行動療法を行い、標準治療単独または他の心理社会的介入と比較した研究を検索した。 研究結果...
11 months 1 week ago
がんワクチンは進行した非小細胞肺がんに効果があるのか 要点 - このレビューで評価したワクチンによって進行非小細胞肺がん患者の余命や無増悪生存期間が延長することはないか、あってもごくわずかである。 - ワクチンによる好ましくない影響は頻繁に起こるものではない。 肺がんとは 肺がんは世界で最もよくあるがんのひとつである。非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの中でも最も多いタイプで、肺がんの約87%を占める。非小細胞肺がんは進行した段階で診断されることが多く、死亡率が高く、余命も短い。 非小細胞肺がんの治療法は 非小細胞肺がんのほとんどが、まず化学療法で治療される。化学療法とは、急速に増殖するがん細胞を消滅させるための強力な化学物質からなる薬物療法である。NSCLC患者の生存率を向上させるための新しい治療法は、化学療法後の免疫療法による治療に焦点を当てている。がんワクチンは免疫療法の一種である。病気から私たちを守るためのワクチンとは異なり、がんワクチンはすでにがんに罹患している人のためのものである。治療用がんワクチンは、がん細胞を認識して破壊するように免疫系を刺激することを目的としている。 知りたかったこと ワクチンを接種することによって生存期間が延びるのか、病気の進行がない期間が延びるのか、また、ワクチンには好ましくない影響があるのかを知りたいと考えた。 実施したこと 進行NSCL...
11 months 2 weeks ago
心不全に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの利点とリスクは何か? 主なメッセージ - 運動をしない場合と比べて、心不全患者の死者数(死因は問わず)に差があることを示すエビデンスはなかった。運動を中心とした心臓リハビリテーションを行うことで、あらゆる原因による入院や心不全に関連した入院のリスクを減少させ、「ミネソタ心不全質問票」により評価される健康関連QOL(生活の質)に大きな改善をもたらす可能性がある。 - 重要なことは、この最新のレビューにより、在宅プログラムやデジタル技術で支援されるプログラムなど、運動を中心とした心臓リハビリテーションの代わりとなる方法を支持するエビデンスが追加されたことである。 - 今後の研究では、高齢者や女性の心不全患者、駆出率が保たれている心不全患者など、通常研究に参加していない人々を対象とすべきである。 心不全とは何か? 心不全とは、心臓が血液をうまく全身に送り出せなくなることである。心不全の人は疲れを感じやすく、息切れを起こす。そのため、日常生活が行いにくくなり、QOLにも影響を及ぼす可能性がある。心不全の人は入院や死亡のリスクが高い。 心臓リハビリテーションとは何か? 心臓リハビリテーションは、心不全などの心臓の病気からの回復を促進することを目的としている。心臓リハビリテーションプログラムでは、運動のほか、生活習慣や危険因子の管理につい...
11 months 2 weeks ago
入院を避けるための「在宅病院」サービス レビューの目的 このコクランレビューの目的は、入院回避のために在宅で医療を提供することが、患者の健康に関するアウトカムを改善し、医療サービス費用を減らすかどうかを明らかにすることである。 要点 自宅での入院回避は、おそらく死亡リスクにはほとんど差がなく、6か月のフォローアップ後も自宅で生活できる可能性を高め、若干安価かもしれない。 背景 急性期病床に対する需要は、依然として実際の病床数を上回っている。病床への依存を減らす一つの方法は、急性期医療を自宅で提供することであり、「自宅での入院回避」と呼ばれることもある。一方、「早期退院」とは、患者が早期に退院し、自宅で治療を受けることを指す。このトピックについては、別途レビューした。 知りたかったこと 自宅での入院が、患者の健康上のアウトカムや自宅での自立した生活に差をもたらすかどうかを確かめたかった。また、病院での治療より安価かどうか、治療期間や患者の満足度に影響があるかどうかも調べたかった。 行ったこと 急性疾患に対する在宅治療と入院治療を比較した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。 わかったこと 20件の研究が同定され、そのうち4件が今回の更新で新たに含まれた。その結果、さまざまな急性疾患の患者3,100人が対象...
11 months 3 weeks ago
高齢者介護施設に住む高齢者に対する医療提供の代替方法 本レビューの目的 このコクランレビューは、高齢者介護施設(ACF)の入居者に、通常のケアと同じケアを異なる方法(代替ケアモデル)で提供することが、救急外来への搬送、予定外の入院、有害事象、臨床ガイドラインで推奨されるケアの遵守、健康関連QOL、死亡率、費用の面で優れているかどうかを明らかにすることを目的とした。たとえば、ACFの入居者にケアを提供する方法として、多職種からなるチーム(代替モデル)は、個人開業医によるケア(通常のケア)よりも優れているのか。 要点 通常のケアと比較すると、代替ケアモデルは予定外の入院を減らすかもしれないが、ACF入居者の救急外来の受診回数や健康関連QOLにはほとんど差がなく、死亡率にもおそらくほとんど差がない。有害事象(転倒、褥瘡、感染症)やガイドラインが推奨するケアの遵守に対する代替ケアモデルの効果については明確ではない。重要なことは、利用可能なデータが少なく、相反するデータもあるため、代替のケアモデルが費用対効果に優れているかどうかは断定できないということである。 研究の内容は、介入の特徴、医療環境、通常のケアに関する記述の点で大きく異なっており、それが本レビューを実施するにあたり多くの分析の妨げとなった。今後の研究では、その設定に関して介入と通常ケアがどのようなものであるかを詳細に説明する必...
11 months 3 weeks ago
頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ 主要な結果 このレビューは、亜急性(中期)または慢性の頸部痛に対してのマッサージが、偽のマッサージと比べて、痛み、機能低下、QOL、主観的な治療効果について、12週間以内の追跡調査でほとんど差がないことを示している。副作用としては、治療による痛みなどが挙げられる。 背景 頚部痛は、急性(4週間未満)、亜急性(4から12週間)または慢性(12週間以上)の首の痛みを引き起こし、身体的な障害や多くの経済的負担をもたらす、成人によくある症状である。首からくる頭痛や、背中の上部や腕への痛みの広がり、腕の脱力感やしびれなどの症状を引き起こすこともある。骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経などの影響を受け、社会的、心理的、個人的な要因の影響を受けることもある。 マッサージとは、痛みや筋肉の張りを和らげ、リラクゼーションを促すために、手技により身体の軟部組織を動かすことである。マッサージはよく行われ、安価で副作用も少ないため、首の痛みを抱える人々にとって大きな関心事となっている。 調べたかったこと 成人の急性、亜急性または慢性の頚部痛(腕の痛みや頭痛の有無は問わず、むち打ち損傷に伴うものを含む)に対するマッサージの利点とリスクは何か?マッサージの用量(週あたりの頻度、合計週数、マッサージをする時間の長さ)は症状に影響するか? 何がわかったか? 腕の痛み(6%)、む...
11 months 3 weeks ago
口腔粘膜下線維症の管理のための介入 論点 口腔粘膜下線維症に伴う症状の改善には、どのような治療が有効か 要点 - 総じて結果は一貫していなかったが、抗酸化薬の使用は開口制限の治療に有効であり、口腔粘膜下線維症の人が経験する口の中の灼熱感を改善する可能性が高いことを示している。 口腔粘膜下線維症とは何か? 口腔粘膜下線維症は、頬や口のこわばりが強くなる病気である。この症状がある人は、口の中が焼けるような痛みが持続することがよくある。このような問題のために食事や会話、嚥下が難しくなることもある。この症状に対処するために多くの医薬品が提案されており、経口投与(全身投与)、表面への局所塗布(局所投与)、患部への直接注射などがある。さまざまな手術や理学療法もある。 何が知りたかったのか? 我々は、口腔粘膜下繊維症の症状を改善するために、どの治療法が最も有効であるか検証したいと考えた。また、各治療法のリスク(危険)や副作用はどのようなもので、それらがどの程度の頻度で生じるかも検証したいと考えた。 行ったこと 医学・歯科学雑誌および臨床試験のデータベースを検索した。ランダム化比較試験として知られているものだけを選択した。この種の試験では、参加者はランダムに群に割り付けられる。ある群では特定の治療が行われ、別の群では異なる治療が行われるか、または全く治療を受けない群となる。これらの試験は、臨床試...
1 year ago
過体重や肥満の改善のためのスマートフォンアプリ 要点 - 本レビューに含まれた結果からは、スマートフォンアプリが10代の若者および成人の過体重や肥満の改善に役立つことを示すには不十分であった。スマートフォンアプリを使用した場合と、何もしない場合、または個人的指導を行った場合とを比較した場合における差は小さく、日常生活には重要な影響を与えない可能性がある。 - 10代の若者に関する情報は少なく、また、スマートフォンアプリがさまざまな国でうまく使えるのか、低所得者、あるいは異なる背景を持つ人たちにとってどの程度有効かについても不明である。 -このトピックに関する34件の研究が進行中であり、今後2年以内にさらに多くのことが解明されることを期待している。 - 医師やその他の医療従事者は、過体重あるいは肥満の患者に対してスマートフォンアプリを推奨するかどうかについて慎重に検討する必要がある。 過体重、および肥満とは何か? 過体重とは、身長に対して正常とされる体重よりも多いことを意味する。BMIとは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値(kg/m²)であり、成人の場合、BMIが25~30であれば過体重であることを意味する。肥満とは、著しく過体重で健康上のリスクが高く、成人の場合、BMIが30を超えている状態である。肥満の人は、健康上の問題だけでなく、周囲から不当な扱いを受けることが多い。...
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9 hours 35 minutes ago
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