Latest Japanese Reviews

妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果

5 months ago
妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果 要点 鉄のサプリメントを毎日摂取している女性は、プラセボを摂取している女性や鉄を補充していない女性と比較して、出産予定日前後の出産時に貧血や鉄欠乏が減少する可能性がある。 本レビューのエビデンス(科学的根拠)から、鉄の補充が女性とその児のその他の転帰に与える影響については、あまり定かではない。 貧血とは何か? 貧血とは、赤血球の数が通常より少ない状態、または赤血球1つ1つに含まれるヘモグロビン(血液中に含まれる赤い物質で、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ)の量が少ない状態のことである。鉄欠乏が貧血の主な原因であり、葉酸やビタミンB 12 などの微量栄養素の欠乏も貧血の原因となる。妊婦が貧血になったり、鉄やその他の栄養素が不足したりすると、その栄養分を十分に胎児に供給できなくなる。女性の鉄および葉酸の低値により貧血を生じる可能性があり、そのため女性は疲労を感じ、失神を起こし、感染症のリスクが増大する可能性がある。 知りたかったこと 妊婦が鉄のサプリメント(単独、または葉酸や他のビタミン、ミネラルとの併用)を毎日摂取することが、妊婦と胎児の健康と栄養を改善するかどうかを検証したいと考えた。 実施したこと 妊娠中の毎日の鉄の補充(単独、または葉酸や他のビタミン・ミネラルとの併用)の効果を調査した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方...

ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか?

5 months 3 weeks ago
ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか? 要点 妊娠中のビタミンD補充は、妊娠中の女性およびその児の特定の健康状態を改善し、妊娠の有害転帰のリスク(危険)を低減するのに役立つ可能性がある。 {1>公衆衛生への影響<1} 妊娠中のビタミンD不足は、妊娠中の女性およびその児の健康合併症と関連している。このような合併症を予防する上で、妊娠中のビタミンD補充は必要であると考えられている。 何を調べようとしたのか? 妊娠中のビタミンD補充が、妊娠中の女性およびその児の特定の健康結果(早産や低出生体重児の減少など)を安全に改善し、妊娠の有害転帰(過度の出血など)のリスク(危険)を減少させるかどうかを評価すること 本レビューで行ったこと 本レビューは2012年に初版が発表され、その後2016年と2019年に更新されたレビューの最新版である。妊娠中のビタミンD補充について、単独またはカルシウムや他のビタミン・ミネラルとの併用で、プラセボまたは介入なしと比較した臨床試験を検索した(2022年12月)。各研究の信頼性を評価するツール を用いて検証した。 研究の結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、情報の信頼性を評価した。 何を見つけたのか? 本レビューの旧版には30件の研究が含まれていた。今回の更新では、これらの研究のうち20件を「分類待...

バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか?

8 months 1 week ago
バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか? 要点 ・バレニクリンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、ブプロピオン、または単独のニコチン代替療法(ニコチンパッチ等)よりも効果的であるというエビデンスが認められた。禁煙成功率は、2種類以上のニコチン代替療法を同時に行った場合(ニコチンパッチとニコチンガムの併用等)と同等である可能性がある。 ・シチシンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、バレニクリンと同等の効果が期待できるが、今後のエビデンスにより、その効果はバレニクリンには及ばないことが示される可能性がある。 ・今後の研究では、シチシンの有効性と安全性をバレニクリンや他の禁煙補助薬と比較し、また、シチシンやバレニクリンを異なる用量および異なる期間で投与することも検討する必要がある。 ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)とは何か? 喫煙は、健康に対し極めて悪い影響を与える。喫煙者にとって、禁煙は最善の健康改善手段であるが、禁煙は難しいと感じている喫煙者は多い。ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)は、禁煙の補助に使用される薬剤の一種である。NRPAは、禁煙時に現れる禁断症状(喫煙衝動や不快な気分など)を軽減するのに有効であり、また、喫煙時の快感も軽減される。この種類の薬剤で最も広く利用されているものはバレニクリンであり、...

パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か?

8 months 3 weeks ago
パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か? 注意事項:  ネットワークメタ解析の主な結果は、MAGICと共同で作成した 双方向型の結果の要約表 でも見ることができる。 背景 パーキンソン病(PD)は、主に60歳以上の人がかかる進行性の神経系疾患である。症状は徐々に始まり、震え、こわばり、動作やバランスの遅さ、協調性の問題など、動作の問題が出てくる。また、PDがある人は、感情や気分の問題、疲労、睡眠障害、思考障害などを抱えることがある。この病気は治すことはできないが、薬や手術などで症状を和らげることは可能である。さらに、PDがある人は、理学療法やダンスなどの運動が有効な場合がある。しかし、これらの運動の種類によって、より効果的なものがあるのかどうかは、まだ不明である。 目的 PDがある人の動作と生活の質(QOL)を向上させるために、どのような運動が最も効果的かを調べたいと考えた。また、どのような運動が最も副作用が少ないかを調べたいと考えた。 本レビューで実施したこと 身体運動と身体運動なし、または別の種類の身体運動と比較した研究を検索した。その短期間の結果を比較・要約し、研究方法や対象者数などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。短期間の結果しか調べていない。 わかったこと PDがある人に対する様々な種類の身体運動に関する154件の研究が見...

頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ

10 months 3 weeks ago
頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ 主要な結果 このレビューは、亜急性(中期)または慢性の頸部痛に対してのマッサージが、偽のマッサージと比べて、痛み、機能低下、QOL、主観的な治療効果について、12週間以内の追跡調査でほとんど差がないことを示している。副作用としては、治療による痛みなどが挙げられる。 背景 頚部痛は、急性(4週間未満)、亜急性(4から12週間)または慢性(12週間以上)の首の痛みを引き起こし、身体的な障害や多くの経済的負担をもたらす、成人によくある症状である。首からくる頭痛や、背中の上部や腕への痛みの広がり、腕の脱力感やしびれなどの症状を引き起こすこともある。骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経などの影響を受け、社会的、心理的、個人的な要因の影響を受けることもある。 マッサージとは、痛みや筋肉の張りを和らげ、リラクゼーションを促すために、手技により身体の軟部組織を動かすことである。マッサージはよく行われ、安価で副作用も少ないため、首の痛みを抱える人々にとって大きな関心事となっている。 調べたかったこと 成人の急性、亜急性または慢性の頚部痛(腕の痛みや頭痛の有無は問わず、むち打ち損傷に伴うものを含む)に対するマッサージの利点とリスクは何か?マッサージの用量(週あたりの頻度、合計週数、マッサージをする時間の長さ)は症状に影響するか? 何がわかったか? 腕の痛み(6%)、む...

口腔粘膜下線維症の管理のための介入

10 months 3 weeks ago
口腔粘膜下線維症の管理のための介入 論点 口腔粘膜下線維症に伴う症状の改善には、どのような治療が有効か 要点 - 総じて結果は一貫していなかったが、抗酸化薬の使用は開口制限の治療に有効であり、口腔粘膜下線維症の人が経験する口の中の灼熱感を改善する可能性が高いことを示している。 口腔粘膜下線維症とは何か? 口腔粘膜下線維症は、頬や口のこわばりが強くなる病気である。この症状がある人は、口の中が焼けるような痛みが持続することがよくある。このような問題のために食事や会話、嚥下が難しくなることもある。この症状に対処するために多くの医薬品が提案されており、経口投与(全身投与)、表面への局所塗布(局所投与)、患部への直接注射などがある。さまざまな手術や理学療法もある。 何が知りたかったのか? 我々は、口腔粘膜下繊維症の症状を改善するために、どの治療法が最も有効であるか検証したいと考えた。また、各治療法のリスク(危険)や副作用はどのようなもので、それらがどの程度の頻度で生じるかも検証したいと考えた。 行ったこと 医学・歯科学雑誌および臨床試験のデータベースを検索した。ランダム化比較試験として知られているものだけを選択した。この種の試験では、参加者はランダムに群に割り付けられる。ある群では特定の治療が行われ、別の群では異なる治療が行われるか、または全く治療を受けない群となる。これらの試験は、臨床試...

瞑想は心血管疾患の発症や悪化の予防に役立つのか?

11 months ago
瞑想は心血管疾患の発症や悪化の予防に役立つのか? 要点 - 我々は主に、マインドフルネスに基づく介入(mindfulness-based interventions:MBI)と超越瞑想(transcendental meditation:TM)という2種類の瞑想を、何か他のものを受けた場合と何も受けなかった場合(それぞれ能動的比較群、非能動的比較群と呼ぶ)と比較して調査した。対象アウトカムの多くに関する結果は一貫性がなかった。 - 非能動的比較群と比べて、MBIはおそらくストレスを軽減しており、不安や抑うつ、血圧を低下させる可能性もある。TMは、能動的あるいは非能動的比較群と比べて、血圧を低下させる可能性があるが、心理学的転帰を報告した研究はほとんどない。より高い質で実施された研究が加われば、結果はより確実なものになると考えている。 心血管疾患とは何か? 心血管疾患(Cardiovascular disease:CVD)には、心臓や血管に起こるさまざまな病気があり、その中には、高コレステロール、運動不足、ストレス、食生活の乱れ、過体重、喫煙、飲酒などの問題が原因で起こるものもある。全体として、CVDは世界最大の死因である。 瞑想はどのように役立つのか? 瞑想は、人々のストレスレベルを下げるのに役立ち、ストレスに対処する不健康な方法(例えば、喫煙、飲酒、粗末な食べ物の選択)を避ける...

早期介入プログラムによって早産児の心身の発達を改善できるか?

11 months 1 week ago
早期介入プログラムによって早産児の心身の発達を改善できるか? 要点 早産児に対して行われる早期介入プログラムは乳幼児期(0歳から3歳まで)の心身の発達を改善し、就学前の年齢(3歳から5歳まで)における精神機能の発達を改善する可能性がある。 就学期(5歳以上18歳未満)における心身の発達に関しては、質の高いエビデンス(科学的根拠)が不足している。 この分野で今後行われる研究では、出生後1年間における介入は子どもの年齢が上がってからも有効かどうかに焦点を当てるべきである。 早産児に介入が必要なのはなぜか? 早産児(妊娠37週未満)は、思考能力や学習能力の遅れや、座ったり、歩いたり、手を使ったりするのが遅い(身体機能の発達の遅れ)などの発達障害がある可能性が高い。 早期介入プログラムとは何か? 早期介入プログラムの目的は、早産児に発達を支援して改善する活動をさせることによって、早産児の精神・身体機能の発達障害を軽減することである。介入には、小児、親子の関係、またはその両方に焦点を当てたものがあり、さまざまな形の理学療法および心理療法が含まれうる。 調べたかったこと 調べたかったのは、早産児に対して早期介入プログラムを実施すると、小児期を通じて精神機能および身体能力が改善されるかどうかである。 また、さまざまなタイプの介入の間で、より有効性が高いものがあるかも知りたかった。たとえば、 ‐...

褥瘡の予防や治療に最も有益な食事やサプリメントはどれか、また、望ましくない影響はないか。

11 months 1 week ago
褥瘡の予防や治療に最も有益な食事やサプリメントはどれか、また、望ましくない影響はないか。 要点 - 確固としたエビデンス(科学的根拠)がないため、褥瘡の予防および治療に対するほとんどの食事やサプリメントのベネフィット(有益性)および望ましくない影響は不明である。 - エネルギー+タンパク質+微量栄養素、タンパク質+アルギニン+亜鉛+抗酸化物質、アルギニン+微量栄養素コラーゲンの補充は、褥瘡の治癒には標準的な食事だけよりも良いかもしれない。 - 褥瘡の予防および治療に対する栄養学的介入の真の影響を明らかにするためには、より多くのサンプルを用い、同じ転帰をより長い追跡期間で調査する、より多くの良質な研究が必要である。 栄養学的介入とは何ですか? 栄養学的介入とは、一般的な健康状態や特定の状態を改善するために、通常の食事に加えて特別な食事や補助食品を加えることである。カロリー、マクロ栄養素(タンパク質など)、微量栄養素(ビタミンやミネラルなど)の補充などがこれに相当する。経口または経管(経管栄養と呼ばれる)で投与される。また、点滴や注射(非経口栄養)によって投与することも可能である。 褥瘡のある人や褥瘡を発症するリスク(危険)のある人にとって、なぜ栄養が重要であるのか 褥瘡は、床ずれ、褥瘡性潰瘍とも言う。圧迫、剪断(ずれ)、摩擦によって皮膚や皮下組織、あるいはその両方が傷害されるもので...

統合失調症の人に対する抗精神病薬を使わない認知行動療法

11 months 1 week ago
統合失調症の人に対する抗精神病薬を使わない認知行動療法 要点 - 統合失調症の人に対する薬物療法を伴わない認知行動療法(CBT)について、強固な結論を出すには十分な情報がない。 - 統合失調症の人に対する薬物療法を伴わないCBTの有効性と安全性については、さらなる研究が必要である。 背景 統合失調症は深刻な精神疾患である。この病気の人は、自分の考えや信念、思いと現実を区別するのに苦労している。例えば、頭の中で声が聞こえていても、本当に誰かに話しかけられているように感じられることがある。CBTは抗精神病薬と併用することで、統合失調症の症状を治療するのに有効な心理的介入である。しかし、これらの薬物を使わずにCBTを行った場合、効果的で安全かどうかはまだ不明である。抗精神病薬の使用はしばしば好ましくない副作用を伴うので、このことを知ることは重要である。 調べたかったこと 統合失調症の人に対して薬物療法を使わずにCBTを行うことが有効かどうか、また安全かどうかを確かめたかった。 実施したこと 抗精神病薬を使わずにCBTを行った場合と、特別な治療を行わなかった場合、抗精神病薬を投与した場合、CBTと抗精神病薬を併用した場合を比較した研究を検索した。 研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。 わかったこと その結果、300人の統合失...

固定式歯科矯正装置において最初に用いるアーチワイヤーとして最適なものは何か?

11 months 2 weeks ago
固定式歯科矯正装置において最初に用いるアーチワイヤーとして最適なものは何か? 要点 1.エビデンスが限られているため、最適なイニシャルアーチワイヤーの素材やサイズについては未だ不明である。 2.大規模かつ綿密に計画された研究が必要である。また、アライメントの速度や有害事象について評価を行う必要がある。 固定式矯正装置とは何か? 歯科矯正治療は、叢生(乱ぐい歯)、捻転(ねじれ)、埋伏(生えてこないこと)、あるいは突出(出っ歯)などを矯正することを目的としている。一般的に、歯科矯正治療を受けるのは、青少年または成人である。固定式矯正装置とは、歯に接着させたブラケットをワイヤー(アーチワイヤー)で連結させたもので、歯に力をかけることで歯の傾きを直したり、移動させたりすることができる。 イニシャルアーチワイヤーとは何か? イニシャルアーチワイヤーとは、歯科矯正治療の最初にブラケットに装着されるワイヤーのことである。1970年代以降、いくつかの新しいタイプのイニシャルアーチワイヤーが開発され、種々の特性を示し、それぞれのメーカーは歯列のアライメント(歯の並びを整えること)対する有益性を主張している。イニシャルアーチワイヤーの新素材には、さまざまな組成のニッケルチタン合金がある。 何を調べようとしたのか? 叢生や捻転した歯に対する矯正治療に最適なイニシャルアーチワイヤーの種類を探すことを試み...

治療や検診についての決断に直面している患者を支援するための意思決定ガイド

11 months 3 weeks ago
治療や検診についての決断に直面している患者を支援するための意思決定ガイド 本レビューの論点 成人患者の治療や検診に関する意思決定において、意思決定ガイドはどの程度有効、あるいは有益か? 要点 - 意思決定ガイドとは、対面またはオンラインで使用されるパンフレットあるいはビデオである。意思決定ガイドは、患者の医療に対する意思決定を明確にし、選択肢に関する情報(有益性と有害性)を提供し、患者自身にとって何が最も重要かを明らかにするために役立つ。また、意思決定ガイドは、医師とのコンサルテーションを強化、補完するためのものであり、それを代替するものではない。 - 200件以上の研究から、意思決定ガイドは、有益性と有害性に関する知識と見通しを向上させ、患者自身にとって最も重要なことを反映した選択肢を選ぶことで、成人患者における健康上の意思決定へのより深い関与に有用であることが示された。 - 意思決定ガイドを使用した成人に有害事象はみられなかった。 意思決定ガイドとは何か? 意思決定ガイドは、現状維持(何もしない)を含めた複数の選択肢がある場合に、患者が意思決定を行う際における指針となる。意思決定ガイドは、パンフレット、ビデオ、またはインターネットによる情報であり、意思決定について述べ、選択肢を説明し、どの選択肢が患者自身にとって最も重要であるかを考える手助けをするものである。比較となる通常の...

心臓発作後の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(血栓予防薬)の利益と有害性とは?

11 months 3 weeks ago
心臓発作後の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(血栓予防薬)の利益と有害性とは? 要点 - プラセボ(偽薬)と比較して、リバーロキサバンはあらゆる原因による死亡(全死亡)を減少させ、心臓発作後の心臓や血管の疾患による死亡(心血管死)をおそらく減少させる。ダビガトランは全死亡を減少させるかもしれないが、心血管死にはほとんどあるいは全く影響を及ぼさないかもしれない。アピキサバンはプラセボと比較して、心臓発作後の全死亡や心血管死を減少させる効果がない可能性がある。 - アピキサバンとリバーロキサバンはプラセボと比較して大出血のリスクを増加させる。 - 非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)同士を直接比較する研究が必要である。 心臓発作とは? 心臓発作は、心筋への血液供給が突然途絶え、組織障害を引き起こす生命を脅かす事態である。心臓発作後の患者にとって最良の治療法を選択することは、臨床現場において依然として課題である。抗血小板薬(血小板同士がくっついて血栓が形成されるのを予防する薬)による治療にもかかわらず、心臓発作の生存者は死亡リスクが高くなる。 レビューを行った理由 このレビューの目的は、心臓発作後に抗血小板薬に次世代血液抗凝固薬(NOAC)を追加することが、抗血小板薬単独よりも安全で効果的であるかどうかを調査することである。NOACは、血液凝固の時間を遅らせたり、血液凝固の起こり方を変...

新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用

1 year ago
新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用 注意事項:  このトピックをカバーし、このレビューに取って代わった最新のレビューは以下のレビューである https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD014461.pub2/full。 このレビューでは、家庭医、腰痛クリニック、救急外来に新たな腰痛を訴える患者が来院した際に、脊椎損傷の有無を確認するための一般的な方法についての理解を述べている。 医師は通常、脊椎骨折の可能性をチェックするために、いくつかの質問をし、背中を診察する。 骨折をチェックする理由は、一般的な腰痛と骨折では治療法が異なるからである。 骨折は通常、X線検査で診断され、安静、背部装具、鎮痛剤で治療される。 一般的な背部痛は、運動療法、カイロプラクティックによる手技療法、鎮痛剤で治療される。X線検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、磁気共鳴画像検査は診断には役に立たない。 骨折が腰痛の原因であることはまれで、家庭医を新たに訪れる腰痛の1%から4.5%程度である。 数千人の患者を対象とした8件の研究では、脊椎骨折の有無を調べるために用いられてきた29種類の異なる質問と身体検査テストについて述べられている。 29種類の質問のほとんどは正確ではなかっ...

コカイン依存症治療薬としてのジスルフィラム

1 year ago
コカイン依存症治療薬としてのジスルフィラム 要点 - コカイン依存症のある人において、ジスルフィラムはプラセボと比較して、治療終了時に断薬している人の数を増加させる可能性がある。しかし、コカインの使用頻度と使用量、および治療終了時に、断薬を達成し少なくとも3週間維持した人の数にはほとんどあるいは全く影響を及ぼさない可能性がある。ジスルフィラムがコカイン依存症のある人に好ましくない影響を及ぼすかどうかは不明である。 - コカイン依存症のある人では、ジスルフィラムはナルトレキソンと比較してコカインの使用頻度を減少させるが、コカインの使用量にはほとんどあるいは全く影響を及ぼさない可能性がある。 - レビューに含まれた13件の研究のうち、11件は米国で実施されたものであった。さらに、研究に参加した人のほとんどが男性だった。治療効果は社会環境、民族性、性別に強く影響される可能性があるため、今回の結果は他の状況では適用できないかもしれない。 コカイン依存症とは何か? コカインは世界中で最もよく使われている精神刺激薬の1つである。精神刺激薬とは、神経系を刺激し、気分を高める作用のある薬物や違法薬物のことである。最新の推計では、成人の0.4%以上が過去1年間に少なくとも1回はコカインを使用したことがある。 コカインの使用は、感染症(エイズ、肝炎、結核など)の蔓延、犯罪、暴力、妊娠中の薬物曝露など...

体外受精(IVF)で妊娠を希望する女性にとって、ホルモン剤を個別に調整して投与することはどの程度効果があるのだろうか?

1 year ago
体外受精(IVF)で妊娠を希望する女性にとって、ホルモン剤を個別に調整して投与することはどの程度効果があるのだろうか? 要点 生児出産または卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のいずれについても、ホルモン剤の投与量を決めるための卵巣予備能検査を用いることを支持あるいは否定する明確なエビデンスは得られなかった。 今後の研究では、くり返される治療の経過にわたって、ホルモン剤の投与量を決めるために卵巣予備能検査を用いることの影響を評価できるだろう。 体外受精における卵巣刺激薬の個別化とは何か? 体外受精(IVF)は、女性の体外で卵子と精子を結合(受精)させる生殖補助医療技術をさす。一般的に体外受精を行う周期では、医師は卵子の成熟を促すホルモン剤を女性に投与する。これは卵巣刺激と呼ばれる。 体外受精(IVF)を行う周期を計画する際には、卵巣刺激薬(ホルモン剤)の投与量は、女性ごとに年齢など特定の因子に基づいて決定される。卵巣刺激に対する反応をよりよく予測できるかもしれない新しい検査が開発されてきた。これらを卵巣予備能検査と呼ぶ。卵巣に利用可能な卵子がいくつあるかを測定するものである。それぞれの卵巣予備能検査の結果に基づいて卵巣刺激薬の投与量を調整することが、妊娠や出産の可能性を高めるのに役立つかどうか、あるいは検査が、重症OHSSのリスクを減らすといった体外受精周期の安全性を高めるのに役立つか...

小児および青少年に対する電子タバコの使用を中止させるための介入は有効か?

1 year 1 month ago
小児および青少年に対する電子タバコの使用を中止させるための介入は有効か? 要点 現在のところ、小児や青少年における電子タバコの使用を予防または中止させるための介入の影響を評価したランダム化比較試験は発表されていない。しかし、本レビューの論点に対してより多くの回答が得られ、今後の更新に含めるために適格であると思われるこの種の22件の研究が進行中である。 知りたかったこと 小児や青少年の電子タバコの使用を予防したり、中止させるために、介入がどの程度効果的であるかを明らかにしたいと考えた。また、これらの介入が小児や青少年の喫煙に対してどのような効果があるのか、そして介入が小児や青少年の健康や、介入を実施した組織にもたらす影響について知りたいと考えた。 実施したこと 本レビューの論点への回答を得るために、ランダム化比較試験(参加者を2種類以上の治療群に無作為に割り付ける種類の研究)から入手可能なすべてのエビデンスを検索した。 わかったこと 2023年5月1日に検索を行ったが、公表されている研究は見つからなかった。しかし、現在進行中であり、今後の本レビューの更新に含めることができる可能性のある研究が22件見つかった。対象となる研究が見つからなかったため、介入が小児や青少年の電子タバコの使用を防止、または中止する効果については不明である。 本エビデンスはいつのものか? 2023年5月1日時点...

クランベリーが尿路感染症の治療に有用であるかどうかについては、まだエビデンス(科学的根拠)が得られていない。

1 year 1 month ago
クランベリーが尿路感染症の治療に有用であるかどうかについては、まだエビデンス(科学的根拠)が得られていない。 クランベリーには、細菌が膀胱の壁に付着するのを防ぐ物質が含まれている。この物質による作用が、膀胱やその他の尿路感染症(urinary tract infections:UTI)予防の役に立つかもしれない。クランベリー(通常はクランベリージュースとして利用される)は、特に高齢者など尿路結石のリスク(危険)が高い群の治療の試みとして使用されてきた。クランベリーには有害な副作用がほとんどない。本レビューでは、クランベリージュースやその他のクランベリー製品の尿路結石の治療効果を報告する研究は得られなかった。 このエビデンスがお役に立ちましたら、コクランへの寄付をご検討ください。私たちは、人々が医療やケアの意思決定をする際に役立つ、利用しやすいエビデンスを作成する慈善団体です。寄付 訳注:  《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2024.10.31] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew r...

薬剤抵抗性部分てんかんに対するラモトリギンのアドオン療法

1 year 1 month ago
薬剤抵抗性部分てんかんに対するラモトリギンのアドオン療法 要点 1.ラモトリギンは抗てんかん薬で、薬剤抵抗性てんかんがある人の焦点発作の補助療法として使用される。焦点てんかんは、脳の特定部位から起こる発作が特徴である。 3.ラモトリギンは小児および成人の発作頻度を減少させるのに有効とされているが、ラモトリギンの長期的効果を評価し、ラモトリギンと他のアドオン薬(追加治療として使用する薬)とを比較するためには、さらなる試験が必要である。 てんかんとはどのような病気か? てんかんは発作を繰り返す脳疾患である。てんかんがある人の約3分の1は、抗てんかん薬を使用しているにもかかわらず発作を起こし続けている。従来の抗てんかん薬には多くの好ましくない作用があるため、効果的な新しい治療法を開発することが重要である。いくつかの新薬は「アドオン」治療薬(他の薬と併用する)として開発されている。この新薬のひとつがラモトリギンである。 何を調べようとしたのか? ラモトリギンの追加投与が、プラセボ(ダミー治療)の追加投与や無追加投与よりも、発作頻度の減少や治療からの離脱の減少、認知(学習能力)や生活の質(QOL)の改善において優れているかどうかを調べたかった。また、望ましくない(有害な)効果があるかどうかも調べたかった。 本レビューで行ったこと 年齢を問わず、これまでの治療が無効であった焦点性てんかん(薬...

地域で暮らす高齢者の転倒恐怖を軽減するための認知行動介入

1 year 2 months ago
地域で暮らす高齢者の転倒恐怖を軽減するための認知行動介入 要点 - 認知行動療法(CBT)は、運動療法を伴う場合と伴わない場合があるが、両方とも、治療終了後に測定すると、おそらく地域在住の高齢者の転倒恐怖を軽減する。改善は治療終了後6か月間持続し、おそらく6か月を超えても続く。 - このような介入の結果、人々は治療後に活動を避けることが少なくなり、うつ状態のレベルも低下する可能性がある。 - 治療後に転倒の頻度が減少するかどうかは不明である。 - 転倒恐怖の軽減に関して、運動療法を伴うCBTと伴わないCBTがもたらす悪影響(有害性)があるかどうかは、どの研究でも悪影響を評価項目として測定していないため、わからない。 副作用についてもっと研究が必要である。 転倒恐怖とは何か? 転倒恐怖とは、転倒に対する不安が持続する状態で、そのために人は、自分ができるはずの活動を避けるようになる。転倒恐怖は高齢者によく見られる。医療従事者、家族、友人から転倒の危険性を警告されているかもしれないし、転倒している状況を直接または間接的に目撃しているかもしれない。実際、高齢者の34%が毎年転倒し、5%が骨折を経験している。さらに、若い頃ほど体が丈夫でないことを自覚している場合には、転倒から身を守れない恐れから、転倒を避けるための予防策を講じなければならないという不安も加わる。転倒恐怖があると、身体的、心...
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19 hours 21 minutes ago
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