3 months ago
抗うつ薬は、非特異的な腰痛や脊椎(背骨)に関連した下肢痛がある人に効果があるか? 主な結果 - セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(抗うつ薬の一種)は、プラセボ(非活性錠剤またはダミーの錠剤)と比較すると、腰痛がある人の痛みの強さをわずかに軽減し、機能をわずかに改善すると考えられる。これらの薬を服用することで、好ましくない影響が出る人もいるであろう。 - プラセボと比較すると、三環系抗うつ薬(抗うつ薬の一種)は、腰痛のある人の機能にわずかな改善をもたらすが、痛みの強さにはおそらくほとんど影響を与えない。 - 脊椎に関連した下肢痛に対する抗うつ薬の効果については不明である。 腰痛と脊椎に関連した脚の痛みとは? 腰痛は、世界中で障害を引き起こす主要な原因となっている。腰痛のほとんどは、脊椎の明確な損傷によって引き起こされるものではないため、「非特異的」と呼ばれる。腰痛がある人の多くは、脚への放散痛も経験している。 腰痛と脊椎に関連した下肢痛を、 抗うつ薬でどのように治療するのか? 抗うつ薬は、もともとうつ病を治療するために開発された一群の薬である。最も一般的なクラスには、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、三環系抗うつ薬がある。抗うつ薬は、神経系における痛みの信号を遮断することによって痛みを和らげると考えられている。抗うつ薬を服用...
3 months 3 weeks ago
うつ病を対象とした母乳育児支援介入は、産後のうつ病発症を予防できるか? 主な結果 - 心理社会的な母乳育児支援介入は、支援を受けてから1~3か月後の母親の産後うつ病の一部を予防し、支援を受けてから7~12か月後の母乳育児期間を延長する可能性がある。その他のメンタルヘルスや母乳育児の結果に対する影響については、非常に不確かなエビデンスしかない。 - 母乳育児支援以外の介入(特にマインドフルネス)が産後うつ病やその他のメンタルヘルス、母乳育児の結果に与える影響に関するエビデンスは、非常に不確かである。 - 介入に直接関係する有害事象は記載されていなかったが、ほとんどの研究で有害事象が測定されているかどうかはわからなかった。 - 今後の母乳育児支援介入研究は、バイアスのリスクを減らすために慎重に実施されるべきであり、母親の精神的健康状態の差を検出するのに十分な規模でなければならない。 産後うつ病とは何か? 産後うつ病は、出産後に起こる精神疾患で、抑うつ気分や、活動に対する喜びや興味の喪失が長期間続くことが特徴である。母親、赤ちゃん、そして家族全体に深刻な影響を及ぼしかねない病気である。 知りたかったこと うつ病を対象とした母乳育児支援介入が、産後うつ病の予防や産後うつ病の症状の軽減において、標準的な産後ケアよりも優れているかどうかを調べたいと考えた。また、母乳育児支援介入に有害な副作用...
4 months 1 week ago
喘息児やその介護者または両方に、在宅で喘息教育を提供するのはどれだけ役に立つか? 主なメッセージ 在宅教育を行うと、他所でなされる教育と比べて生活の質 (QOL)が向上するほか、その介入の度合いが低い場合と比べて入院回数が減るという限定的なエビデンスがある。 救急外来の受診や副腎皮質ステロイド薬(気道内の炎症(腫れ)を抑える喘息治療薬)を使った治療が必要となるほどの喘息の悪化、喘息の症状または肺の機能状態の変化に関して、在宅で行う教育が他所で行う教育より優れているか劣っているかを示す十分なエビデンスはない。 - 実際に喘息教育のどの要素が喘息の知識の向上と結果(評価項目)の改善につながるかを調べるには、周到にデザインされた試験が必要である。 喘息とは? 喘息とは慢性の(長期の)肺疾患である。喘息をもつ人は肺の気道内で炎症(腫れ)が起きる。症状は喘鳴、息苦しさ、胸の圧迫感、咳である。 喘息教育とは? 喘息教育は、患者と医療従事者の協力関係を利用して、患児と介護者に喘息をどのように管理するか教えることを目的とする。喘息教育の内容としては、喘息に関する情報、吸入器の効果的な使い方を含む喘息管理の訓練、管理の方策、薬の正しい用法の指導などがある。ピークフローメーター(手に持って、全力でどれだけ速く息を吐けるか測定する器具)などを用いた喘息のモニタリングと医療従事者による定期検査も喘息教育...
4 months 2 weeks ago
全般性不安障害の抗うつ薬 主なメッセージ - 抗うつ薬はプラセボ(見せかけの錠剤)よりも治療反応を改善する効果が高く、プラセボと同程度の受容性がある。プラセボ群に比べ抗うつ薬群では効果不足による脱落者が少なく、プラセボ群に比べ抗うつ薬群では好ましくない作用による脱落者が多かった。 - 今後の研究では、方法と結果の報告がより透明化されるかもしれない。今後のレビューでは、併存する病状を持つ人々も含めるかもしれない。 全般性不安障害とは何か? 全般性不安障害は、日常的な出来事に対する過剰な不安と継続的な心配を特徴とする精神疾患である。全般性不安障害はよく見られるもので、一般に女性は男性の2倍の頻度で罹患する。 全般性不安障害はどのように治療するのか? 治療法には、さまざまな心理学的アプローチ(心や人の行動に働きかける)や薬がある。薬の中では、抗うつ薬(うつ病の治療に用いられる)、特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬と呼ばれる2種類の抗うつ薬が全般性不安障害の治療によく用いられ、多くの研究でプラセボによる偽治療に対する有用性が示されている。 このレビューに関心を持つ人は誰か? 全般性不安障害がある人、一般開業医、メンタルヘルス専門家。 知りたかったこと このレビューでは、このトピックに関して利用可能なすべてのエビデンスの最新の要約を提供するこ...
4 months 2 weeks ago
電子タバコは禁煙に役立つのか?また、禁煙目的で使用した場合、副作用はないのか? 電子タバコとは? 電子タバコ(e-シガレット)は、携帯型のデバイスで、通常はニコチンと香料を含んだ液体を加熱することで作動する。電子タバコは、煙ではなく蒸気でニコチンを吸い込むことができる。電子タバコはタバコを燃やさないため、一般的に、従来のタバコを使用する人に病気を引き起こす可能性があるのと同じレベルの化学物質に使用者がさらされることはない。 電子タバコを使用することは、「ベイピング」と呼ばれている。電子タバコは、タバコを止めるために使用する人が多い。このレビューでは、主にニコチン入り電子タバコに焦点を当てている。 レビューを行った理由 禁煙は多くの病気のリスクを下げる。多くの人が、タバコを止めるのは難しいと思っている。電子タバコの使用が禁煙の助けになるかどうか、また、電子タバコを使用している人に望ましくない影響がないかどうかを調べた。 実施したこと 禁煙のために電子タバコを使用した研究を検索した。 人々が受けた治療が無作為に決定されたランダム化比較試験を探した。このような研究方法(ランダム割付)は、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスが得られるとされている。また、全員が電子タバコによる治療を受けた研究も探した。また、ランダム化群でなくても、喫煙者に電子タバコを与え、その健康状態をモニターした...
4 months 2 weeks ago
成人の禁煙支援介入は、社会経済的背景によって効果が異なるのか? 主な結果 - すべての治療法のエビデンスにほとんど、あるいはまったく確信を持てない。つまり、社会経済的に低いグループと高いグループとで異なる禁煙介入策を用いることを支持する明確なエビデンスはなく、また、どのような介入策も健康格差に効果があるという明確なエビデンスもない。しかし、もっと研究が進めば、この結論も変わるかもしれない。 - 各研究グループの社会経済的地位別に禁煙率を報告する研究がもっと必要である。 禁煙と社会経済的地位の差 喫煙は病気と早死にの主要なリスクであり、喫煙者の2人に1人、世界中で毎年800万人が死亡している。喫煙者は心臓病、肺疾患、がんのリスクが高まる。 禁煙にはさまざまな治療法がある。これらの治療には、薬物療法やカウンセリングなどの行動支援が含まれ、さまざまな方法で行われる。 社会経済的に低いグループの人々(例えば、低所得で生活している人々、失業している人々、教育レベルが低い人々)は、社会経済的に高いグループの人々に比べて、喫煙する可能性は高いが、現在の治療法の助けを借りて禁煙する可能性は低い。 禁煙が健康格差に与える潜在的影響 健康格差とは、人々のグループ間の健康状態の差のことである。喫煙は他に類を見ないほど有害で致命的であるため、喫煙者数の増加は、不利な立場にある人々の喫煙に関連した疾病や死...
4 months 3 weeks ago
ルラシドンと定型抗精神病薬:統合失調症の治療にはどちらが有効か? 要点 - 統合失調症の治療において、ルラシドンという新しい抗精神病薬をハロペリドールのような従来の抗精神病薬と比較した。 - 2件の研究によると、ルラシドンが従来の薬と比較して統合失調症の症状を改善するのか、あるいは望ましくない作用をもたらすことが少ないのかは不明である。 - 統合失調症の治療におけるルラシドンの有益性と潜在的有害性を明らかにするためには、さらなる研究が必要である。 統合失調症とは? 統合失調症は、現実の捉え方に影響を及ぼす病気で、幻覚、妄想、明瞭な思考困難などの症状を引き起こす。また、慣れ親しんだ環境が奇妙に感じられるようになり、人間関係や社会的交流に影響を及ぼすこともある。統合失調症とともに生きることは困難なことであるが、多くの人が症状をコントロールし、充実した生活を送るために努力している。 統合失調症の治療法は? 抗精神病薬は統合失調症の重い症状を軽減するのに不可欠である。 知りたかったこと 以下の項目に関して、ルラシドンが有効かどうかを確かめたかった。 - ハロペリドールなどの従来の抗精神病薬よりも、統合失調症の症状を軽減する効果があるか。 - 望ましくない作用(有害事象)が少ないか。 - 生活の質(QOL)を改善し、自殺や自然死による死亡のリスクを軽減するか。 実施したこと ルラシドンと従...
4 months 4 weeks ago
神経筋疾患によりふくらはぎの筋力が低下している人の歩行を改善するための足首の装具 主なメッセージ 足首の装具(Ankle-foot orthoses:AFO)は、神経筋疾患によりふくらはぎの筋力が低下している人が歩くときの負担を軽減し、歩行速度と歩行時の満足感を向上させる可能性があるが、これらの結果については不確かである。 AFOが歩行の負担感、バランス、AFOの使用感、有害事象に及ぼす影響については、結論を出すことができない。 歩行の改善への影響は、AFOの素材によってさまざまであることが示唆されている。今後の研究で、この点をさらに深く調べることができるだろう。 なぜこの問題が重要なのか? 多くの神経筋疾患(つまり筋肉や筋肉を動かす神経の障害)によって、ふくらはぎの筋力低下が起こる。ふくらはぎの筋力は安全で効率的な歩行に欠かせないため、この筋力が衰えると歩き方が大きく変わってしまう。ふくらはぎの筋力が衰えると、歩行は不安定になり、より多くのエネルギーが必要となる。これにより、転倒や疲労感のような問題が起こる。 何を調べたかったのか? AFOは、神経筋疾患の人の歩行を改善するために処方される装具である。AFOにはさまざまな種類があり、歩行に対する影響もかなり異なっている。AFOを使用するとき、医療従事者と患者が十分な情報を得た上で決定できるように、歩行への影響に関する入手可能なエ...
5 months 1 week ago
ニコチン・ベイプを止めるための最善の方法とは? 主な結果 テキストメッセージに基づく介入は、サポートなしまたは最小限のサポートと比較して、若者のベイプを止めるのに役立つ可能性があり、バレニクリンは、サポートなしまたは最小限のサポートと比較して、ベイプを止めるのに役立つ可能性があるが、より多くのエビデンスが必要である。 他の介入策がベイプをやめる手助けになるかどうかについては、もっと情報が必要だ。 介入策の潜在的な害や、それがタバコを吸う人の数に影響するかどうかについては、もっと情報が必要だ。 ニコチン入りベイプとは? ベイプ(電子タバコまたはe-シガレットとも呼ばれる)は、通常ニコチンや香料を含む液体を加熱する携帯機器である。液体は、使い捨てまたは詰め替え可能なカートリッジ、リザーバー、または「ポッド」に保存される。ベイプは、煙ではなく蒸気としてニコチンを吸入することができる。ベイプはタバコを燃やさないので、タバコを吸う人の病気の原因となる物質にさらされることは少ない。しかし、ベイプはベイプをしない場合よりも害を及ぼす可能性が高い。禁煙のためにニコチンを吸う人もいるが、ニコチンを吸う人の中にはタバコを吸ったことがない人もいる。ニコチンを含むベイプの使用をやめたいと思っても、ニコチンには中毒性があるため、なかなかやめられない人もいるだろう。 どのような介入が、人々がベイプを止めるの...
5 months 1 week ago
アスピリンに対する耐性を誘発する方法は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に対して過敏症のある成人にとって有効な治療法か? 主要メッセージ • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に対して過敏症のある人における治療選択肢としてのアスピリン減感作(ATAD)(過敏症を誘発する薬(アスピリン)を少しずつ体内に取り入れ、アスピリンに対する耐性を誘発する方法、すなわちアスピリンに徐々に慣らしていく方法)の利益と有害性は、確実なエビデンス(科学的根拠)が不足しているため、不明なままである。 • ATAD療法は生活の質の向上につながるかもしれないが、そのエビデンスは小規模な研究から得たものである。 • 今後の研究では、手術や副腎皮質ステロイド(薬)(以下,ステロイド)使用の必要性に対し、アスピリン治療(アスピリン減感作療法)の明確な効果を実証するために、大規模な研究を行うべきである。 NSAID過敏喘息(NSAID不耐性、アスピリン喘息)とは? NSAID過敏喘息(N-ERD)とは、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDsによって誘発される過敏症であり、鼻ポリープ(鼻茸、鼻や副鼻腔の粘膜の良性の腫瘍)や喘息を伴うまたは伴わない慢性の鼻副鼻腔炎(12週間以上続く鼻と副鼻腔の炎症)を合併している。N-ERDがある人にNSAIDを使用すると、30分から120分以内に鼻水、鼻閉(鼻づまり)...
5 months 3 weeks ago
25歳までの若者の自傷行為や自殺を防ぐために、学校、大学で行われている活動(介入)は効果的か? 主な結果 - この疑問に答える研究は51件見つかったが、自傷行為を減らすための教育現場での介入の影響については不明確なままである。 - 有望な結果もあるが、それを確認するためには大規模な研究が必要であり、若者と共同で設計された、安全な環境で、長期間にわたって実施できるさまざまな介入アプローチの組み合わせを検討する研究が必要である。 自傷行為や自殺を防ぐには? 若者の自傷行為や自殺は、若者やその友人、一緒に過ごす他の若者、そして地域社会に苦痛を与える重大な公衆衛生の問題である。自殺や自傷行為を予防するための活動は、若者を守るスキル(技能)の構築など、変えることのできる要素に取り組むものである。活動は主に3つの種類がある。 「普遍的介入」とは、メンタルヘルスや自殺啓発教育プログラムのように、自傷行為や自殺予防に関する知識やスキル(技能)を高めることを目的としたものである。また、「普遍的介入」とは、問題解決能力のような、保護因子として働く特異的なスキルを教えるものである。これは否定的な態度や羞恥心を減らすのに役立ち、自殺願望があったり自傷行為に及んだりした場合に助けを求める可能性を高める。 「選択的介入」は、自殺願望があったり、自傷行為に及んだりしている人に気づき、支援を提供するものである。...
5 months 3 weeks ago
自分自身で記入する認知機能評価ツールは、どの程度正確に認知症を発見できるのだろうか? 主な結果 - このエビデンスは、認知症の発見と診断に、自己記入式認知機能評価ツールを使用できることを示唆している。 - 一種類の評価ツールを他のものよりも推奨する十分なエビデンスはない。 - 診療所や家庭など、さまざまな環境におけるこれらの認知機能評価ツールの使用や、認知症を示すスコアについて、さらなる研究が必要である。 なぜ認知症の発見を改善することが重要なのか? 世界的に長寿化が進んでいるため、認知症と診断される人の数は今後大幅に増加すると予想されている。認知症の人が増えると、多大な医療や社会にかかわる費用をもたらすだろう。認知症は、日常生活に介助が必要になるまで記憶力が低下する永続的な症状である。正確で迅速な診断により、認知症の人やその家族は治療や支援を受けることができる。病態が存在するのに気づかなかった場合(偽陰性)、記憶、思考、行動を助ける治療を受けるのが遅れたり、ソーシャルワークや作業療法などの社会サービスからの支援を受けるのが遅れたりすることがある。認知症の誤った診断(偽陽性)は、検査を受けた人とその家族に精神的、心理的苦痛を与える可能性がある。現在、認知症の診断には専門のクリニックでの対面評価が必要であり、病歴、身体検査、血液検査、脳スキャンなどが検討される。 自己記入式認知機能...
6 months ago
生徒の健康を向上させるための学校単位の方針と実践の改善 主な結果 - 学校やその職員は、支援する戦略が用いられた場合、生徒の健康的な食事、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための介入をより適切に実施することができる。 - 学校とその職員がこうした介入策を実施するのを支援するためには、どの個別戦略が最適なのかを理解するために、さらなる研究が必要である。 - これまでの研究では、学校への実施支援による好ましくない影響は確認されておらず、その費用に関する情報も限られている。 知りたかったこと 5歳から18歳の生徒の食事、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための学校単位の介入策の実施を支援するために、どのような戦略が有効であるかを知りたかった。例えば、学校食堂の運営者に対する教育や訓練(実施戦略)により、健康的でない食品の入手を減らし(実施結果)、生徒の食生活を改善するための健康的な食堂政策の実施(介入)を改善できるかどうか。また、費用対効果はあるのか、有害作用はないのか、などを知りたかった。その他の戦略の例としては、品質向上のための方法、学校の様子に関するフィードバック、注意書きや注意喚起、教育資源(マニュアルなど)などがある。 実施したこと 介入の実施を支援する戦略の使用したものとしていないものを比較した研究、あるいは2種類以上の異なる実施戦略を比較し...
6 months 1 week ago
運動は変形性膝関節症に対する効果的な治療法か? 主なメッセージ - 運動は、アテンションコントロールグループ(研究担当者またはケア提供者との1回以上の関わりがあるグループ[訳注:健康教育や栄養指導など、痛みや機能等の結果に影響しない介入をうけた])やプラセボグループ[訳注:痛みや機能等の結果に影響しない介入を受けた]と比較した場合、痛みや身体機能の改善につながり、治療なしや通常のケア(かかりつけ医による日常的な治療など)、限定的な教育(基本的な情報が載ったパンフレットやオンライン情報へのリンクの提供など)と比較した場合、痛みや身体機能、生活の質(QOL)の改善につながる可能性がある。また、運動に別の治療を加えた場合も、その治療のみのときと比較して、痛み、身体機能、QOLの改善につながる可能性がある。しかし、その効果は臨床上重要かどうかは不明であり、患者にはっきりとした違いがわかるような症状の変化がない可能性があった。 - 研究数が多いにもかかわらず、多くの研究は参加者数が少なく、研究の質も低かった(参加者は自分がどの治療グループかどうかを知っていたなど)ため、結論に対する確実性が低かった。 運動は変形性膝関節症の人にどのように役に立つか? 変形性膝関節症は、持続的な痛みや能力が低下する原因となることが多い。運動は筋力を増加させ、関節の機能と可動域を改善することを目的としており、変...
6 months 2 weeks ago
筋力トレーニングはがんと診断された人の倦怠感に対する有効な療法であるか? 要点 ‐がんの治療中に筋力トレーニングを行うと、倦怠感が軽減され、生活の質 (QOL)が向上する可能性がある。 ‐がんの治療後に筋力トレーニングを行うと、生活の質 (QOL)がやや向上するかもしれない。 ‐より多くの研究が行われれば、がんの治療前の筋力トレーニングの効果を理解するのに役立つだろう。 がん関連倦怠感とはなにか? がん関連倦怠感は、長期間続く極度の疲労感である。原因はがんそのもの、がんの治療、あるいはその両方である。がん関連倦怠感は身体と気分の両方に影響し、通常の活動を行うのが難しくなる。単なる疲労よりも強く、休んでも回復しない。 筋力トレーニングとは何か、またどのような効力を持つか? 筋力トレーニングとは、たとえばダンベル、トレーニングマシン、エクササイズバンド、あるいは自身の体重など、負荷をかけて筋肉を働かせるタイプの運動である。筋力トレーニングは、がん関連倦怠感に関係する多くの側面で作用する。たとえば、筋力を強化し、筋肉の減少を防ぎ、気分、睡眠、健康状態を改善する。このため、筋力トレーニングはがん関連倦怠感の緩和に役立つ可能性がある。 知りたかったこと 知りたかったのは、筋力トレーニングによってがん関連倦怠感が緩和されるかどうかである。倦怠感に対する何らかのプラスの効果がトレーニング終了後...
6 months 2 weeks ago
臨床試験の結果が公表されるまでの期間は? このレビューはどのような疑問を解決するのか? 健康介入を検討するために実施された臨床試験(研究)のうち、ジャーナルに掲載されたものはどれくらいあるのか。論文発表率や論文発表までの期間は、試験結果の性質、参加者や試験施設の数、あるいは試験の資金源に影響されるのか。 主な結果 全臨床試験の半数近く(47%)が未発表のままである。 臨床試験が公表されるかどうか、またどのくらいの期間を要するかは、肯定的な結果が得られたかどうか、臨床試験の規模、単施設か多施設か、どのような組織が資金を提供したか、などに影響される。 出版と出版バイアスとは何か? 臨床試験結果の公表にはいくつかの段階がある。このプロセスは、臨床試験が実施されることから始まり、その後、試験の目的、方法、結果を記載した要約文書(原稿)が作成される。原稿はジャーナル編集者に送られ、編集者や同僚、そして原稿のテーマに関する専門家であるが、試験には関与していない査読者によってチェックされ、コメントされる。原稿が正しく適切であると評価されれば、オンラインまたは印刷されたジャーナルに掲載され、研究結果に関心を持つ人々に読まれることになる。原稿にアクセスするには購読料が必要な場合もあるが、多くの場合は「オープンアクセス」、つまり自由に利用できる。試験結果を公表するかどうかの決定が、その結果の性質、す...
6 months 3 weeks ago
オメガ3多価不飽和脂肪酸の補充は、小児および青年期のうつ病治療においてプラセボより優れているか? 要点 - 確固としたエビデンスが不足しているため、小児や青年期のうつ病治療におけるオメガ3多価不飽和脂肪酸(食事から摂取しなければならない重要な脂肪である)の補給の利益と好ましくない影響は不明である。 - 小児および青年期のうつ病に対するオメガ3多価不飽和脂肪酸補給の潜在的な利益と有害性をよりよく推定するためには、より大規模でデザインされた研究が必要である。 なぜ、うつ病の小児や青年の治療法を見つけることが重要なのか? うつ病がある人は、気分が落ち込んだり、いつもの活動に対する喜びや興味を失ったりする。 長期にわたる(慢性の)障害であり、重篤であると同時に再発を繰り返す(体調が良い時期があっても再発することがある)。小児期や青年期に発症することが多く、100人に8人が罹患するといわれている。残念ながら、小児や青年のうつ病に対する現在の治療に対する反応は悪く、症状の緩和(寛解)は困難である。最近の研究では、オメガ3多価不飽和脂肪酸のサプリメントが成人のうつ病の治療薬として有望視されている。これらの有益な脂肪は体内で作ることはできないが、油性の魚や海産物、特定のナッツ類や種子類に自然に含まれている。また、カプセルや液状のサプリメント(例えば、タラ肝油カプセル)として毎日与えることもできる...
6 months 3 weeks ago
筋緊張性ジストロフィーにおける日中の過度の眠気(過眠症)に対する覚醒度を高める薬(精神刺激薬) 要点 - 覚醒度を高める薬(精神刺激薬)が、客観的な睡眠検査で評価される日中の過度の眠気(過眠症)に及ぼす影響は、非常に不確かである。 - 精神刺激薬は、患者の自己評価による過眠症を改善する可能性がある。 - 筋強直性ジストロフィーに対する精神刺激薬の有効性と安全性について、短期および長期の両方について、より多くの研究が必要である。 筋強直性ジストロフィーにおける過眠症とは? 筋強直性ジストロフィーは遺伝性の筋ジストロフィーで、筋力低下と萎縮を引き起こす。日中の過度の眠気(過眠症)は、筋緊張性ジストロフィーがある人に頻繁にみられる訴えであり、呼吸のコントロールの問題に関連している。 筋緊張性ジストロフィーの過眠症はどのように治療するのか? 精神刺激薬は覚醒度を高める薬で、カフェイン、アンフェタミン、セレギリン、メチルフェニデート、モダフィニルが含まれる。 知りたかったこと 筋緊張性ジストロフィーの過眠症の治療において、精神刺激薬がプラセボ(ダミー治療)や無治療よりも優れているかどうかを調べたかった。 実施したこと 筋強直性ジストロフィーおよび過眠症の小児および成人において、精神刺激薬をプラセボまたは無治療と比較した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方法や規模などの要因に基...
7 months ago
分娩第2期に会陰にヒアルロニダーゼを注射すると、出産する女性の会陰外傷を減少させられるか? 要点 分娩第2期の女性に対して、会陰にヒアルロニダーゼという物質を注射すると、何も介入しない場合に比べて、会陰外傷(予期せぬ会陰裂傷、または会陰切開として知られる意図的な外科的処置、あるいはその両方)のリスクを減らす可能性がある。ヒアルロニダーゼの注射とプラセボ(偽薬)の注射を比較した場合、差はないかもしれない。 分娩第2期に会陰にヒアルロニダーゼを注射すると、プラセボ注射と比較して、経腟分娩24時間後の会陰の腫脹をおそらく減少させる。 経腟分娩において会陰にヒアルロニダーゼを注射することの意義を十分に評価するためには、より質の高い研究が必要である。 経腟分娩における会陰外傷とは? 会陰は、泌尿生殖器と肛門を取り囲む組織からなる。会陰外傷とは、経腟分娩の際に、自然に起こる会陰裂傷と外科的に切開する会陰切開を合わせた損傷をさす。経腟分娩後の会陰外傷は非常に一般的だが、短期的および長期的な健康障害を伴うことがある。会陰外傷は、その重症度や損傷の範囲によって、第1度、第2度、第3度、第4度に分類される。 なぜ、経腟分娩時の会陰外傷を軽減する可能性のある技術を評価することが重要なのか? 会陰外傷は、出血、創部感染、肛門括約筋断裂、排尿困難、肛門失禁、肛門挙筋の損傷、性的問題などを起こす。そのため、...
7 months 1 week ago
フッ化ジアンミン銀は小児および成人に対するう蝕の予防と管理に有効か? 要点 - う蝕の予防や治療において、フッ化ジアンミン銀(SDF)の使用が、治療を行わなかった場合よりも優れているかどうかは不明である。 - う蝕の予防や治療において、SDFが他の方法よりも優れているかどうかは不明である。 ‐ 新たな研究により、SDFの有害事象、SDFによる歯の着色が問題となるかどうか、および最善の治療方法について解明できる可能性がある。 う蝕(むし歯)とは何か? う蝕(むし歯)は、口の中の細菌が食べ物の糖分を分解して酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を侵食することで起こる。その結果、歯に窪みや穴が生じる。う蝕は乳歯の歯冠部(歯肉より上の部分)、および永久歯の歯冠部と歯根部に影響を与える。予防や治療を行わない場合、歯痛や感染症を起こしたり、あるいは歯を失う可能性もある。 う蝕の予防または治療方法には何があるのか? う蝕の予防または治療方法には、細菌の侵襲から歯を守るために、液体やジェル状の薬剤を歯に塗布したり、シーラントを用いる方法がある。また、大きなう蝕の場合には充塡材を用いて治療することもある。フッ化ジアンミン銀(SDF)は安価な液状の薬剤であり、歯科医師や他の医療従事者によって歯に塗布することができ、特別な健康上の配慮が必要な患者を含め、あらゆる年齢層の患者に適用可能である。しかし、SDF...
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13 hours 49 minutes ago
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