Latest Japanese Reviews

妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果

3 months 3 weeks ago
妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果 要点 鉄のサプリメントを毎日摂取している女性は、プラセボを摂取している女性や鉄を補充していない女性と比較して、出産予定日前後の出産時に貧血や鉄欠乏が減少する可能性がある。 本レビューのエビデンス(科学的根拠)から、鉄の補充が女性とその児のその他の転帰に与える影響については、あまり定かではない。 貧血とは何か? 貧血とは、赤血球の数が通常より少ない状態、または赤血球1つ1つに含まれるヘモグロビン(血液中に含まれる赤い物質で、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ)の量が少ない状態のことである。鉄欠乏が貧血の主な原因であり、葉酸やビタミンB 12 などの微量栄養素の欠乏も貧血の原因となる。妊婦が貧血になったり、鉄やその他の栄養素が不足したりすると、その栄養分を十分に胎児に供給できなくなる。女性の鉄および葉酸の低値により貧血を生じる可能性があり、そのため女性は疲労を感じ、失神を起こし、感染症のリスクが増大する可能性がある。 知りたかったこと 妊婦が鉄のサプリメント(単独、または葉酸や他のビタミン、ミネラルとの併用)を毎日摂取することが、妊婦と胎児の健康と栄養を改善するかどうかを検証したいと考えた。 実施したこと 妊娠中の毎日の鉄の補充(単独、または葉酸や他のビタミン・ミネラルとの併用)の効果を調査した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方...

ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか?

4 months 1 week ago
ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか? 要点 妊娠中のビタミンD補充は、妊娠中の女性およびその児の特定の健康状態を改善し、妊娠の有害転帰のリスク(危険)を低減するのに役立つ可能性がある。 {1>公衆衛生への影響<1} 妊娠中のビタミンD不足は、妊娠中の女性およびその児の健康合併症と関連している。このような合併症を予防する上で、妊娠中のビタミンD補充は必要であると考えられている。 何を調べようとしたのか? 妊娠中のビタミンD補充が、妊娠中の女性およびその児の特定の健康結果(早産や低出生体重児の減少など)を安全に改善し、妊娠の有害転帰(過度の出血など)のリスク(危険)を減少させるかどうかを評価すること 本レビューで行ったこと 本レビューは2012年に初版が発表され、その後2016年と2019年に更新されたレビューの最新版である。妊娠中のビタミンD補充について、単独またはカルシウムや他のビタミン・ミネラルとの併用で、プラセボまたは介入なしと比較した臨床試験を検索した(2022年12月)。各研究の信頼性を評価するツール を用いて検証した。 研究の結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、情報の信頼性を評価した。 何を見つけたのか? 本レビューの旧版には30件の研究が含まれていた。今回の更新では、これらの研究のうち20件を「分類待...

バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか?

6 months 4 weeks ago
バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか? 要点 ・バレニクリンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、ブプロピオン、または単独のニコチン代替療法(ニコチンパッチ等)よりも効果的であるというエビデンスが認められた。禁煙成功率は、2種類以上のニコチン代替療法を同時に行った場合(ニコチンパッチとニコチンガムの併用等)と同等である可能性がある。 ・シチシンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、バレニクリンと同等の効果が期待できるが、今後のエビデンスにより、その効果はバレニクリンには及ばないことが示される可能性がある。 ・今後の研究では、シチシンの有効性と安全性をバレニクリンや他の禁煙補助薬と比較し、また、シチシンやバレニクリンを異なる用量および異なる期間で投与することも検討する必要がある。 ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)とは何か? 喫煙は、健康に対し極めて悪い影響を与える。喫煙者にとって、禁煙は最善の健康改善手段であるが、禁煙は難しいと感じている喫煙者は多い。ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)は、禁煙の補助に使用される薬剤の一種である。NRPAは、禁煙時に現れる禁断症状(喫煙衝動や不快な気分など)を軽減するのに有効であり、また、喫煙時の快感も軽減される。この種類の薬剤で最も広く利用されているものはバレニクリンであり、...

パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か?

7 months 1 week ago
パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か? 注意事項:  ネットワークメタ解析の主な結果は、MAGICと共同で作成した 双方向型の結果の要約表 でも見ることができる。 背景 パーキンソン病(PD)は、主に60歳以上の人がかかる進行性の神経系疾患である。症状は徐々に始まり、震え、こわばり、動作やバランスの遅さ、協調性の問題など、動作の問題が出てくる。また、PDがある人は、感情や気分の問題、疲労、睡眠障害、思考障害などを抱えることがある。この病気は治すことはできないが、薬や手術などで症状を和らげることは可能である。さらに、PDがある人は、理学療法やダンスなどの運動が有効な場合がある。しかし、これらの運動の種類によって、より効果的なものがあるのかどうかは、まだ不明である。 目的 PDがある人の動作と生活の質(QOL)を向上させるために、どのような運動が最も効果的かを調べたいと考えた。また、どのような運動が最も副作用が少ないかを調べたいと考えた。 本レビューで実施したこと 身体運動と身体運動なし、または別の種類の身体運動と比較した研究を検索した。その短期間の結果を比較・要約し、研究方法や対象者数などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。短期間の結果しか調べていない。 わかったこと PDがある人に対する様々な種類の身体運動に関する154件の研究が見...

頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ

9 months 1 week ago
頸部痛(首の痛み)に対するマッサージ 主要な結果 このレビューは、亜急性(中期)または慢性の頸部痛に対してのマッサージが、偽のマッサージと比べて、痛み、機能低下、QOL、主観的な治療効果について、12週間以内の追跡調査でほとんど差がないことを示している。副作用としては、治療による痛みなどが挙げられる。 背景 頚部痛は、急性(4週間未満)、亜急性(4から12週間)または慢性(12週間以上)の首の痛みを引き起こし、身体的な障害や多くの経済的負担をもたらす、成人によくある症状である。首からくる頭痛や、背中の上部や腕への痛みの広がり、腕の脱力感やしびれなどの症状を引き起こすこともある。骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経などの影響を受け、社会的、心理的、個人的な要因の影響を受けることもある。 マッサージとは、痛みや筋肉の張りを和らげ、リラクゼーションを促すために、手技により身体の軟部組織を動かすことである。マッサージはよく行われ、安価で副作用も少ないため、首の痛みを抱える人々にとって大きな関心事となっている。 調べたかったこと 成人の急性、亜急性または慢性の頚部痛(腕の痛みや頭痛の有無は問わず、むち打ち損傷に伴うものを含む)に対するマッサージの利点とリスクは何か?マッサージの用量(週あたりの頻度、合計週数、マッサージをする時間の長さ)は症状に影響するか? 何がわかったか? 腕の痛み(6%)、む...

口腔粘膜下線維症の管理のための介入

9 months 1 week ago
口腔粘膜下線維症の管理のための介入 論点 口腔粘膜下線維症に伴う症状の改善には、どのような治療が有効か 要点 - 総じて結果は一貫していなかったが、抗酸化薬の使用は開口制限の治療に有効であり、口腔粘膜下線維症の人が経験する口の中の灼熱感を改善する可能性が高いことを示している。 口腔粘膜下線維症とは何か? 口腔粘膜下線維症は、頬や口のこわばりが強くなる病気である。この症状がある人は、口の中が焼けるような痛みが持続することがよくある。このような問題のために食事や会話、嚥下が難しくなることもある。この症状に対処するために多くの医薬品が提案されており、経口投与(全身投与)、表面への局所塗布(局所投与)、患部への直接注射などがある。さまざまな手術や理学療法もある。 何が知りたかったのか? 我々は、口腔粘膜下繊維症の症状を改善するために、どの治療法が最も有効であるか検証したいと考えた。また、各治療法のリスク(危険)や副作用はどのようなもので、それらがどの程度の頻度で生じるかも検証したいと考えた。 行ったこと 医学・歯科学雑誌および臨床試験のデータベースを検索した。ランダム化比較試験として知られているものだけを選択した。この種の試験では、参加者はランダムに群に割り付けられる。ある群では特定の治療が行われ、別の群では異なる治療が行われるか、または全く治療を受けない群となる。これらの試験は、臨床試...

瞑想は心血管疾患の発症や悪化の予防に役立つのか?

9 months 2 weeks ago
瞑想は心血管疾患の発症や悪化の予防に役立つのか? 要点 - 我々は主に、マインドフルネスに基づく介入(mindfulness-based interventions:MBI)と超越瞑想(transcendental meditation:TM)という2種類の瞑想を、何か他のものを受けた場合と何も受けなかった場合(それぞれ能動的比較群、非能動的比較群と呼ぶ)と比較して調査した。対象アウトカムの多くに関する結果は一貫性がなかった。 - 非能動的比較群と比べて、MBIはおそらくストレスを軽減しており、不安や抑うつ、血圧を低下させる可能性もある。TMは、能動的あるいは非能動的比較群と比べて、血圧を低下させる可能性があるが、心理学的転帰を報告した研究はほとんどない。より高い質で実施された研究が加われば、結果はより確実なものになると考えている。 心血管疾患とは何か? 心血管疾患(Cardiovascular disease:CVD)には、心臓や血管に起こるさまざまな病気があり、その中には、高コレステロール、運動不足、ストレス、食生活の乱れ、過体重、喫煙、飲酒などの問題が原因で起こるものもある。全体として、CVDは世界最大の死因である。 瞑想はどのように役立つのか? 瞑想は、人々のストレスレベルを下げるのに役立ち、ストレスに対処する不健康な方法(例えば、喫煙、飲酒、粗末な食べ物の選択)を避ける...

早期介入プログラムによって早産児の心身の発達を改善できるか?

9 months 3 weeks ago
早期介入プログラムによって早産児の心身の発達を改善できるか? 要点 早産児に対して行われる早期介入プログラムは乳幼児期(0歳から3歳まで)の心身の発達を改善し、就学前の年齢(3歳から5歳まで)における精神機能の発達を改善する可能性がある。 就学期(5歳以上18歳未満)における心身の発達に関しては、質の高いエビデンス(科学的根拠)が不足している。 この分野で今後行われる研究では、出生後1年間における介入は子どもの年齢が上がってからも有効かどうかに焦点を当てるべきである。 早産児に介入が必要なのはなぜか? 早産児(妊娠37週未満)は、思考能力や学習能力の遅れや、座ったり、歩いたり、手を使ったりするのが遅い(身体機能の発達の遅れ)などの発達障害がある可能性が高い。 早期介入プログラムとは何か? 早期介入プログラムの目的は、早産児に発達を支援して改善する活動をさせることによって、早産児の精神・身体機能の発達障害を軽減することである。介入には、小児、親子の関係、またはその両方に焦点を当てたものがあり、さまざまな形の理学療法および心理療法が含まれうる。 調べたかったこと 調べたかったのは、早産児に対して早期介入プログラムを実施すると、小児期を通じて精神機能および身体能力が改善されるかどうかである。 また、さまざまなタイプの介入の間で、より有効性が高いものがあるかも知りたかった。たとえば、 ‐...

褥瘡の予防や治療に最も有益な食事やサプリメントはどれか、また、望ましくない影響はないか。

9 months 3 weeks ago
褥瘡の予防や治療に最も有益な食事やサプリメントはどれか、また、望ましくない影響はないか。 要点 - 確固としたエビデンス(科学的根拠)がないため、褥瘡の予防および治療に対するほとんどの食事やサプリメントのベネフィット(有益性)および望ましくない影響は不明である。 - エネルギー+タンパク質+微量栄養素、タンパク質+アルギニン+亜鉛+抗酸化物質、アルギニン+微量栄養素コラーゲンの補充は、褥瘡の治癒には標準的な食事だけよりも良いかもしれない。 - 褥瘡の予防および治療に対する栄養学的介入の真の影響を明らかにするためには、より多くのサンプルを用い、同じ転帰をより長い追跡期間で調査する、より多くの良質な研究が必要である。 栄養学的介入とは何ですか? 栄養学的介入とは、一般的な健康状態や特定の状態を改善するために、通常の食事に加えて特別な食事や補助食品を加えることである。カロリー、マクロ栄養素(タンパク質など)、微量栄養素(ビタミンやミネラルなど)の補充などがこれに相当する。経口または経管(経管栄養と呼ばれる)で投与される。また、点滴や注射(非経口栄養)によって投与することも可能である。 褥瘡のある人や褥瘡を発症するリスク(危険)のある人にとって、なぜ栄養が重要であるのか 褥瘡は、床ずれ、褥瘡性潰瘍とも言う。圧迫、剪断(ずれ)、摩擦によって皮膚や皮下組織、あるいはその両方が傷害されるもので...

新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用

10 months 3 weeks ago
新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用 注意事項:  このトピックをカバーし、このレビューに取って代わった最新のレビューは以下のレビューである https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD014461.pub2/full。 このレビューでは、家庭医、腰痛クリニック、救急外来に新たな腰痛を訴える患者が来院した際に、脊椎損傷の有無を確認するための一般的な方法についての理解を述べている。 医師は通常、脊椎骨折の可能性をチェックするために、いくつかの質問をし、背中を診察する。 骨折をチェックする理由は、一般的な腰痛と骨折では治療法が異なるからである。 骨折は通常、X線検査で診断され、安静、背部装具、鎮痛剤で治療される。 一般的な背部痛は、運動療法、カイロプラクティックによる手技療法、鎮痛剤で治療される。X線検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、磁気共鳴画像検査は診断には役に立たない。 骨折が腰痛の原因であることはまれで、家庭医を新たに訪れる腰痛の1%から4.5%程度である。 数千人の患者を対象とした8件の研究では、脊椎骨折の有無を調べるために用いられてきた29種類の異なる質問と身体検査テストについて述べられている。 29種類の質問のほとんどは正確ではなかっ...

クランベリーが尿路感染症の治療に有用であるかどうかについては、まだエビデンス(科学的根拠)が得られていない。

11 months 3 weeks ago
クランベリーが尿路感染症の治療に有用であるかどうかについては、まだエビデンス(科学的根拠)が得られていない。 クランベリーには、細菌が膀胱の壁に付着するのを防ぐ物質が含まれている。この物質による作用が、膀胱やその他の尿路感染症(urinary tract infections:UTI)予防の役に立つかもしれない。クランベリー(通常はクランベリージュースとして利用される)は、特に高齢者など尿路結石のリスク(危険)が高い群の治療の試みとして使用されてきた。クランベリーには有害な副作用がほとんどない。本レビューでは、クランベリージュースやその他のクランベリー製品の尿路結石の治療効果を報告する研究は得られなかった。 このエビデンスがお役に立ちましたら、コクランへの寄付をご検討ください。私たちは、人々が医療やケアの意思決定をする際に役立つ、利用しやすいエビデンスを作成する慈善団体です。寄付 訳注:  《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2024.10.31] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew r...

水疱性類天疱瘡に対する治療法

1 year ago
水疱性類天疱瘡に対する治療法 水疱性類天疱瘡(水疱とかゆみを伴うまれな皮膚疾患)に対する最も有効な治療法は何か? 要点 ・外用ステロイド薬であるプロピオン酸クロベタゾール含有クリームの全身の皮膚への塗布は、経口ステロイド(プレドニゾン)と同等の効果があり、重篤な有害事象も少なく、死亡例も減少させる可能性がある。 ・抗炎症作用のある抗菌薬であるドキシサイクリン(200mg/日)による治療は、経口ステロイド薬であるプレドニゾロン(0.5mg/kg/日)による治療と比較して、許容可能かつ短期的な水疱のコントロールが得られ、死亡事象を含む長期的な安全性においても優れている。 水疱性類天疱瘡とは何か? 水疱性類天疱瘡は、自己免疫性水疱症と言われる病気の中では最も一般的なものである。自己免疫疾患では、体の免疫系が自分自身の組織を異物と誤認して攻撃する。水疱性類天疱瘡では、これにより皮膚に水疱が生じる。通常、水疱性類天疱瘡は高齢者に発症するが、若年者にも発症する場合がある。 水疱性類天疱瘡はどのように治療されているのか? 水疱性類天疱瘡の主な治療法は、炎症と体の免疫系を抑制するためのステロイドの内服である。しかし、経口ステロイドを長期間服用すると、重篤な有害作用を引き起こす。 本レビューでは、水疱性類天疱瘡に対する他の治療法、例えば皮膚に塗布するステロイドクリームや、抗炎症作用を持つ抗菌薬であ...

尿路感染症予防におけるクランベリー

1 year ago
尿路感染症予防におけるクランベリー レビューの論点 クランベリー(クランベリージュース、錠剤またはカプセル)は、尿路感染症(UTI)の予防に長年使用されてきた。クランベリーには、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐことができるプロアントシアニジン(PAC)という物質が含まれている。このため、感染症を予防して、働く人にとっては医療機関の受診に必要となる時間を節約できる可能性がある。しかし、現在、クランベリー製品に関して使用すべきPACの用量のレジメン(投与量、投与頻度などを含む投与計画)は確立されておらず、保健当局による正式な規制もない。特に、推奨される用量が製品のパッケージに記載されていないことがある。 実施したこと クランベリー製品を使用した場合に対して、プラセボ(クランベリーを含まない偽製品)を使用した場合または何も使用しなかった場合の尿路感染症の発生を比較したランダム化比較試験(RCT)の結果について解析した。また、抗菌薬やプロバイオティクス(乳酸菌などの生きた微生物を用いた製品)など他の処置とクランベリー製品を比較したランダム化比較試験の結果についても解析した。 わかったこと 合計8,857人が参加した50件のランダム化比較試験が見つかった。そのうち45件がクランベリーとプラセボまたは無処置を比較していた。クランベリーをジュース、錠剤またはカプセルとして摂取した場合、女性の再発...

慢性腎臓病の成人に対する抗酸化物質

1 year 1 month ago
慢性腎臓病の成人に対する抗酸化物質 慢性腎臓病患者は、早期の死亡、心血管疾患(心疾患や脳卒中になる)、および腎不全(透析や腎移植が必要になる)のリスクが高い。ビタミンのサプリメントのような抗酸化物質は、このようなリスクを軽減するための、容易な方法である可能性がある。 何を行ったのか? 2022年11月時点における文献を検索し、死亡、心血管疾患、腎臓疾患、腎移植の減少に対する抗酸化物質の効果について評価を行った。研究の質を判定し、それらの結果を組み合わせて抗酸化サプリメントの効果を推定した。 何を見つけたのか? 合計10,468人の成人患者を対象とした95件の研究を対象とし、49種類の抗酸化物質について評価を行った。その結果、抗酸化物質は死亡や腎移植のリスクの低下には効果がなかったが、心血管疾患、脳卒中、および腎不全(透析を必要とする)のリスクを低下させ、また、腎機能を改善する可能性が認められた。しかし、心不全や感染症のリスクの増加も観察された。ほとんどの研究の質は低かったため、抗酸化物質の有益性や有害性を評価するためには、より質の高い研究が必要と考えられた。 結論 慢性腎臓病の成人において、抗酸化物質は死亡のリスクを低下させなかったが、心血管疾患および腎不全のリスクを低下させ、また腎機能を改善させる可能性がある。しかし、抗酸化物質は心不全や感染症のリスクを高める可能性がある。 こ...

人工膝関節全置換術後の寒冷療法

1 year 1 month ago
人工膝関節全置換術後の寒冷療法 人工膝関節全置換術後の寒冷療法の利点とリスクは? 要点 プラセボと比較して、寒冷療法は膝関節全置換術(TKR)後の出血、疼痛、膝関節可動域、短期腫脹を改善する可能性がある。輸血、膝の機能、痛みの軽減、入院期間、生活の質(QOL)、活動レベルに対する効果については、あまり定かではない。エビデンスは限られているものの、寒冷療法による重篤な有害事象の懸念はほとんどなかった。 変形性関節症とはどのようなもので、どのように治療するのか? 変形性関節症は、膝などの関節の変性疾患である。変形性膝関節症は痛みを引き起こし、機能を制限し、QOLを悪化させる。TKRは長期的にはこの症状を改善することができるが、回復期(術後6か月まで)には手術の影響で体が弱り、障害が残ることがある。寒冷療法(クライオセラピー)は、損傷部位や手術部位の周囲の皮膚に冷罨法(れいあんぽう)(訳注:寒冷による刺激)を行うものである。これは、氷の入った袋や、冷やした水を患部に送り込む特殊な器具を使って行うことができる。 知りたかったこと 寒冷療法がTKR後48時間以内の出血量、疼痛、膝機能に効果があるかどうかを調べたいと考えた。 実施したこと TKR後の患者を対象に、寒冷療法をプラセボと比較検討した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などに基づくエビデンスに対する信頼性を評...

低・中所得国における精神障害の予防と幸福の促進のためのプライマリーレベルとコミュニティワーカーによる介入

1 year 1 month ago
低・中所得国における精神障害の予防と幸福の促進のためのプライマリーレベルとコミュニティワーカーによる介入 本レビューの目的 このコクラン・レビューの目的は、メンタルヘルスを促進するために、看護師、助産師、教師、介護者など、プライマリーサービスや地域社会の人々が関与することの効果を評価することである。レビューでは、低・中所得国に住む小児と大人に焦点を当てた。 要点 プライマリーレベルやコミュニティワーカーの雇用を活用することは、低・中所得国に住む大人や小児のメンタルヘルスを改善する可能性がある。しかし、さらなるエビデンスが必要である。 このレビューで検討したこと メンタルヘルスのサポートが必要な人の多くは、こうしたサービスにアクセスすることができない。その理由のひとつは、メンタルヘルスの専門スタッフが不足していることである。これは特に低・中所得国で顕著である。この障壁を克服するために、看護師や教師など、メンタルヘルスに関する専門的な背景を持たない人々が、一部のメンタルヘルス・サービスを提供するための訓練を受けることができる。このレビューでは、この戦略が大人と小児のメンタルヘルスを促進し、精神障害を予防するのに役立つかどうかを調査した。また、そのコストについても評価した。 主な結果 さまざまな低・中所得国における113件の研究を対象とした。 これらの研究では、プライマリー(一次医療)...

円形脱毛症(抜け毛)に対するさまざまな治療法の利点とリスクは何か?

1 year 1 month ago
円形脱毛症(抜け毛)に対するさまざまな治療法の利点とリスクは何か? 要点 - 円形脱毛症の治療には、免疫抑制薬による全身療法や、発毛促進薬による局所療法など複数の選択肢があるが、それらが患部における新たな発毛にどの程度有用であるかは不明である。 - 経口免疫抑制薬であるバリシチニブのみで発毛の増加が認められた。 - 治療法は安全であると考えられ、重篤な副作用はまれである。 - 有用と思われる治療法の評価のためには、より質の高い研究が必要である。 円形脱毛症とは何か? 円形脱毛症とは、頭皮や体の周囲における局所的またはびまん性の脱毛を特徴とする一般的な疾患である。ほぼ半数の患者では、治療をしなくても新しい毛髪が生えてくるが、特別な治療を必要とする患者は依然として多い。 円形脱毛症はどのように治療されているのか? ほとんどの患者は自然に改善し、新しい毛髪が生えるまで経過観察することが選択される場合もある。しかし、重症例においては自然に改善することはまれである。薬物療法が必要な患者には、外用薬、内服薬、および局所的なコルチコステロイド注射などの治療法が行われている。 レビューを行った理由 円形脱毛症の治療法はさまざまである。そのため、それぞれの治療法における潜在的な有益性と有害性を把握し、他の治療法よりも優れた治療法があるかどうかについて評価したいと考えた。 何を行ったのか? 円形脱毛...

慢性腎臓病患者に対するプレバイオティクス(食物繊維)、プロバイオティクス(善玉菌)、またはシンバイオティクス(プレバイオティクス+プロバイオティクス)

1 year 1 month ago
慢性腎臓病患者に対するプレバイオティクス(食物繊維)、プロバイオティクス(善玉菌)、またはシンバイオティクス(プレバイオティクス+プロバイオティクス) 主要な結果 慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)は、世界中で8億5千万人以上が罹患している深刻な健康問題である。腎臓病の人は、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れた、「腸内細菌異常症」と呼ばれる状態にある。このアンバランスは、腎機能の低下(有毒な老廃物の滞留、腸壁の膨張を引き起こす体液貯留)、CKD患者に頻繁に使用される薬剤(特に抗生物質)、CKD患者に課される食事制限などの影響によって生じる。 腸内細菌が毒素を産生し、それが腸壁を通過して腎臓にダメージを与えるため、腸内細菌異常症はCKDを引き起こしたり悪化させたりする。また、腸内細菌異常症は胃腸障害(腹部膨満感、けいれん、便秘、下痢など)を引き起こし、生活の質 (Quality of Life:QOL)を低下させることもある。 腸内細菌叢のバランスを改善するために、善玉菌をプレバイオティクスやプロバイオティクスの高用量錠剤で摂取することが可能である。プレバイオティクス(難消化性植物繊維)は、善玉菌の増殖を促す。シンバイオティクスは、プレバイオティクスとプロバイオティクスの組み合せたものである。善玉菌を高用量で摂取することで、腸内の善玉菌のバランスが...

子癇前症や子癇がある女性に対する代替硫酸マグネシウムレジメン

1 year 1 month ago
子癇前症や子癇がある女性に対する代替硫酸マグネシウムレジメン 著者の結論:  強力なエビデンスが子癇の予防と治療に対する硫酸マグネシウムの使用を支持しているが、代替治療レジメンを比較している試験は、信頼できる結論を導くには規模が小さ過ぎる。 アブストラクト全文を読む 背景:  硫酸マグネシウムは今なお子癇の予防と治療に対する選択薬である。硫酸マグネシウム投与のためのレジメンが数年間にわたって展開してきたが、まだ正式に評価されていない。 目的:  子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる場合の硫酸マグネシウム投与のための代替レジメンの効果を比較し、評価する。 検索戦略:  Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年6月)を検索した。 選択基準:  子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる硫酸マグネシウム投与のための様々なレジメンを比較しているランダム化試験。 データ収集と分析:  4名のレビューア全員が独自に試験の質を評価し、データを抽出した。 主な結果:  17件の研究を同定し、そのうち6件(866例の女性)が選択基準を満たした:2件の試験(451例の女性)が子癇の女性に対するレジメンを比較し、4件(415例の女性)が子癇前...

原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較

1 year 2 months ago
原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較 要点 体外受精(IVF)治療は、自然周期の子宮内人工授精(IUI)治療と比較して、生児出産の確率が高い可能性がある。体外受精は、クロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行ったことがある女性において、卵巣刺激周期の人工授精と比較した時も、出生率が高くなる可能性がある。しかし、治療をした経験がない女性では、体外受精による生児出産率は、ゴナドトロピンあるいはクロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行った場合と変わらないかもしれない。 背景 体外受精は、原因不明の不妊症のカップルによく行われる治療であるが、これは診断されていないさまざまな生物学的問題を回避できる可能性があることによる。しかしながら、高価で侵襲的であり、合併症を引き起こす可能性もある。原因不明の不妊症に対する他の治療方法としては、自然妊娠を試みる、子宮内に洗浄した精子を注入する子宮内人工授精(IUI)、排卵誘発剤であるクロミフェンクエン酸塩あるいはゴナドトロピンを使用して卵巣を刺激した周期での人工授精などがある。 知りたかったこと 原因不明の不妊症に対して、体外受精が他の治療法よりも生児出産につながるかどうかを調査した。 行ったこと 9件のランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のうちの1つに無作為に割り当てるタイプの試験)をレビューに組みこんだ。いくつかの試験...
Checked
22 hours 2 minutes ago
Search on cochrane.org for:
Subscribe to Latest Japanese Reviews feed