Latest Japanese Reviews

メンタルヘルスとウェルビーイング(幸福)を向上させるツールとしてのメンタルヘルス・ファーストエイド

1 year 4 months ago
メンタルヘルスとウェルビーイング(幸福)を向上させるツールとしてのメンタルヘルス・ファーストエイド このレビューの重要性は? メンタルヘルス・ファーストエイドとは、「精神衛生上の問題を発症している人、精神衛生上の問題が悪化している人、精神衛生上の危機に陥っている人に提供される援助」と定義されている。ファーストエイドは、適切な専門家の援助を受けるか、危機が解決するまで行われる。 メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)は、一般の人々にメンタルヘルス・ファーストエイドを教えることを目的としたトレーニングプログラムである。MHFA訓練はカスケード・モデルで行われ、認定された指導員が研修を実施し、受講生がメンタルヘルス・ファーストエイドのスキルを習得できるよう指導する。訓練を受けた受講生は、職場や組織、地域社会の人々にメンタルヘルス・ファーストエイドを提供する。MHFA研修は、精神衛生問題についての知識を深め、それによって精神衛生問題につきまとうスティグマを軽減することを目的としている。受講生は、支援を受ける人への迅速な支援の提供方法と、必要なサービスに繋げる方法を学ぶ。 このレビューに関心を持つ人は誰か? MHFAトレーニングを検討している個人 従業員と雇用主 政策決定者 このレビューで明らかにしたいことは? メンタルヘルス・ファースト・エイド(MHFA)研修が、MHFA研修が実施...

中用量の吸入ステロイド薬でコントロール不良な喘息に推奨される治療選択肢

1 year 4 months ago
中用量の吸入ステロイド薬でコントロール不良な喘息に推奨される治療選択肢 要点 • 中用量の吸入ステロイド薬(ICS)に長時間作用性β2刺激薬(LABA)または長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を追加すると、経口ステロイド薬による治療を要する喘息発作が減少する可能性が高い。またICS単独と比較して、良好な症状コントロールのオッズ(達成確率)が増加するが、ICSの用量を2倍にしても、おそらく増加しない。LAMAよりもLABAの方がはるかに多くのデータが見つかった。 • 包含された研究の実施期間は平均わずか6か月であったため、高用量ICSの長期的な副作用について、さらに研究が必要である。ステロイドによる副作用を最小限に抑えるために、ICSは最小有効量で使用することが推奨される。 喘息とは何か、またどのように治療するのか 喘息とは、気道の炎症と狭窄(細く狭くなること)を特徴とする慢性呼吸器疾患であり、喘鳴(ぜんめい)、咳、胸の圧迫感、息切れなどの症状を引き起こす。治療には、発作治療薬(短時間作用性気管支拡張薬など)や必要に応じて発作予防薬(ICSなど)の吸入薬を使用するほか、発作の誘因を避け、健康的な生活習慣を維持することが必要である。 知りたかったこと この研究では、中用量のICSで喘息を上手くコントロールできていない10代および成人を対象に、喘息コントロールを改善するのに最適な方法を...

視機能、黄斑(目の奥の部位)の保護、および睡眠の質の向上のためのブルーライトフィルター付き眼鏡レンズ

1 year 4 months ago
視機能、黄斑(目の奥の部位)の保護、および睡眠の質の向上のためのブルーライトフィルター付き眼鏡レンズ 本レビューの目的は何か? 本レビューの目的は、ブルーライトカットレンズとしても知られるブルーライトフィルター付き眼鏡レンズが、視機能、黄斑の保護、および睡眠の質に与え得る利益と安全性について調査することである。本レビューの著者らは、関連するすべての研究を収集、分析し、入手可能な最良のエビデンスをまとめた。 要点 ブルーライトフィルター付きレンズは、通常のレンズと比較して、コンピューター作業による短期的な眼精疲労の軽減には差がない可能性がある。潜在的な有害作用は一時的で、一般的に軽度であり、そのほとんどはレンズ自体よりも、眼鏡全般に関連していると考えられる。 矯正視力(最高矯正視力)、濃淡や模様の違いを識別する能力(コントラスト感度)、色識別、明るい光によるまぶしさ(不快グレア)の軽減、目の奥の網膜(黄斑)の健康状態、睡眠の状態(血中メラトニン濃度や睡眠の質など)、および使用者の満足度など、視機能と睡眠における多くの側面に対するブルーライトフィルター付きレンズの効果についてのエビデンスを得るためには、今後のさらなる研究が必要である。 本レビューでは何が調査されたのか? 主要評価項目は、1か月以上レンズを使用した後に測定された眼精疲労の自覚的および定量的な評価における変化であり、その...

男性不妊でないカップルの体外受精における顕微授精と一般体外受精との比較

1 year 4 months ago
男性不妊でないカップルの体外受精における顕微授精と一般体外受精との比較 テーマ 体外受精(IVF)中の卵子受精において、総精子数と運動率が正常な男性を持つカップルを対象に、顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)と従来の体外受精(c-IVF)を比較した。 レビューの論点 総精子数と運動率が正常な男性を持つカップルにおける顕微授精と従来の体外受精の効果に関するエビデンスをレビューした。 背景 40年以上前に開始されて以来、体外受精は不妊治療の礎となっている。体外受精の過程では、卵巣を過剰に刺激して複数の卵子を採取する。従来の体外受精の場合、卵子は実験室で精子と一緒に培養され、受精するかどうか待たれる。もともと1992年に発見された顕微授精は、精子の数が少ないことを克服するための受精技術として導入された。顕微授精は現在、体外受精の追加治療としても用いられ、従来の体外受精で受精率が低かったり、完全に受精しなかったりした症例や、軽度の男性不妊症、あるいは原因不明の不妊症の場合にも利用されている。顕微授精が従来の体外受精と比較してより好ましい結果をもたらすかどうかを比較した。 研究の特徴 本レビューは、不妊治療を受けた計1,539組のカップルを対象として、顕微授精と従来の体外受精を比較した3件のランダム化比較試験(RCT)を含んでいる。エビデンスは2023年2月現在のものである。 主な結...

呼吸器を使用し、脳出血のリスクがある未熟児の痛みや不快感に対処する薬剤

1 year 4 months ago
呼吸器を使用し、脳出血のリスクがある未熟児の痛みや不快感に対処する薬剤 レビューの論点 痛み止め(鎮痛薬)は、正期産(訳注:37週0日~41週6日)よりも早く生まれて(「早産児」)機械的な呼吸補助を必要とする赤ちゃんの脳出血や死亡を減らし、長期的な発達を改善するか 背景 早産児、特に妊娠28週よりも前に生まれた赤ちゃんは、時に脳出血を起こすことがある。脳の出血が重度でなければ、赤ちゃんは完全に回復するか、のちに問題があっても軽度で済むかもしれない。出血が重篤になると死亡するか、のちにいくつか問題が生じる可能性がある。現在のところ、脳出血を予防したり治療したりする対処方法はない。 実施したこと 早産児の脳出血予防のための鎮痛薬を検討したコクラン・レビューを検索した。各レビューの質を評価し、その結果を要約することによって、各治療薬に関連する現在のエビデンスを一か所に集めた。 わかったこと コクラン・レビュー7件とコクラン・レビューのプロトコール(計画書)1件を対象とした。2件のレビューには、対象外の範囲の研究が含まれていた。たとえば、妊娠末期に普通に生まれた赤ちゃんや、呼吸器を必要としない赤ちゃんに焦点を当てたものなどである。それ以外の5件では、パラセタモール(3件)、ミダゾラム(3件)、フェノバルビタール(9件)、オピオイド(20件)、イブプロフェン(5件)が検討されていた。 主な...

運動ニューロン疾患として知られる筋萎縮性側索硬化症の患者における経腸経管栄養

1 year 4 months ago
運動ニューロン疾患として知られる筋萎縮性側索硬化症の患者における経腸経管栄養 要点 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者において、経管栄養の使用と経口栄養の継続を比較した、または、異なる種類や方法における栄養チューブ留置の安全性とタイミングを調査したランダム化または準ランダム化(部分ランダム化)比較試験は見つからなかった。ALSは運動ニューロン疾患(MND)の最も一般的な病態であり、この2つの用語はしばしば同じ意味で使われる。 ランダム化試験および準ランダム化試験は、参加者のグループにおける類似性を保証することを目的とした試験である。このような研究は、栄養チューブの挿入が経口栄養の継続と比較して生存期間を延長し、生活の質を改善するかどうかについて、臨床家やALS患者に情報を提供することができる。しかし、質の高いエビデンスがないにもかかわらず、国際的な専門家のコンセンサスやガイドラインがALS患者への経管栄養を支持しているため、このような試験を実施するには倫理的な問題がある。 ALSとは? ALSは、運動を司る神経が機能しなくなる病気である。ALSは衰弱を引き起こし、麻痺の状態になるまで時間の経過とともに悪化する。それは、ほとんどの場合が命に関わるものである。 ALS患者のほとんどが嚥下障害を発症する。これらは深刻な体重減少を引き起こし、患者は食べ物や飲み物を気管に吸い込む危険性がある...

6歳までの第二言語(L2)学習者への語彙介入

1 year 4 months ago
6歳までの第二言語(L2)学習者への語彙介入 要点 - このレビューに含まれる研究では、第二言語学習者に対する語彙介入は、子どもの第二言語の語彙学習に役立つかもしれないが、リスニングの理解力にはほとんど効果がないことが示唆されている。ただし、そのエビデンスは非常に不確かである。語彙の介入は、おそらくストーリーテリングのスキルを向上させるだろう。 - より長期的な効果を調査するために、第二言語学習者を長期にわたって追跡調査する、より質の高い研究が必要である。これには米国外の学習者も含まれるべきだ。 なぜこのレビューが重要なのか? 第二言語(L2)の能力が限られていると、学業成績に悪影響を及ぼす可能性がある。なぜなら、指導を受ける言語の語彙知識は、読解力、教室での学習、多様性の受け入れにおいて中心となるものだからである。成人期には、(母語(L1)の継続的な言語能力だけでなく)地域言語の熟達は、雇用、良好な人間関係、社会参加の予測材料となる。 レビューの目的は何か? 主な目的は、6歳までの第二言語学習者を対象とした語彙力介入が、語彙力と社会的および情動的なウェル・ビーイング(感情を理解し管理する能力、責任ある決断を下す能力、人間関係を構築し維持する能力、他者を理解し共感する能力)に及ぼす即時的および長期的な影響を調べることであった。第二の目的は、第二言語の語彙介入と第二言語学習者の一般...

糖尿病患者に対する手術前、手術中および手術後の厳格な血糖管理にはどのような効果があるのか

1 year 4 months ago
糖尿病患者に対する手術前、手術中および手術後の厳格な血糖管理にはどのような効果があるのか 要点 - 厳格な血糖管理は血糖値の低下を招き、「低血糖」(健康な血糖値を下回ること)のリスクを高める可能性がある。 - 厳格な血糖管理によって死亡率は低下しない。また、感染症および腎障害のリスクは減少せず、入院期間や集中治療室の滞在期間が短縮されることもない。しかし、厳格な血糖管理によって心血管障害のリスクが減少する可能性がある。 - さまざま種類の手術に対する厳格な血糖管理の効果を明らかにするには、さらに多くの研究が必要である。 これまでにわかっていること 周術期とは、病棟への入院、麻酔、術後の回復など、患者ひとりの手術前、手術中、手術後の各段階を網羅した外科手術前後の期間のことである。糖尿病患者は、通常よりも手術後の合併症のリスクが高い。糖尿病は術後の合併症の危険因子としてよく知られており、入院期間の延長、医療資源の利用の増加、さらに死亡率の上昇を引き起こす。最も重大な合併症のひとつが、手術前後の感染症リスクの増加である。しかし、糖尿病患者の手術に伴うリスクを減らすために、周術期に、通常よりも厳格な血糖管理を目指すことが、従来の血糖値を目標とするよりも優れているかどうかは明らかになっていない。 知りたかったこと 前回のレビューの結果は、糖尿病患者に対する手術中の血糖管理方法について明らか...

機能性月経困難症の治療としての配合経口避妊薬(OCP)

1 year 4 months ago
機能性月経困難症の治療としての配合経口避妊薬(OCP) 論点 コクランは月経痛(生理痛、月経困難症とも呼ばれる)の治療に対する配合経口避妊薬(OCP)の有効性と安全性に関するエビデンスをレビューした。 背景 OCPは月経痛の治療薬としてしばしば使用されているが、その効果についてのエビデンスは不確かであった。 研究の特徴 OCPの効果をプラセボ(偽薬)、他のOCP、痛みや炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬のいずれかと比較した21件のランダム化比較試験(2つ以上の治療群のうちひとつに無作為に割りつける臨床試験)を特定した。これらの研究には3,723人の女性が含まれていた。ほとんどの女性は、少なくとも中等度以上の痛みを伴う月経痛があった。11件の研究がOCPの製薬会社から資金を提供されていた。2023年3月にデータベースを検索した。 主な結果 OCPとプラセボの比較 OCPは、月経痛のある女性において、プラセボと比較して、月経困難症総合スケール(0~6の範囲)で0.7~1.3ポイント痛みを軽減する(588人の女性を対象とした6件の研究;質の高いエビデンス)。改善を「はい/いいえ」で評価した6件の研究では、OCPは痛みを軽減する可能性があることが示された。プラセボでは28%の確率で症状が改善し、OCPでは37%~60%の確率で改善する可能性がある(質の低いエビデンス)。 OCPは副作用の...

すべての長期介護環境における身体拘束を防止および削減するための介入

1 year 4 months ago
すべての長期介護環境における身体拘束を防止および削減するための介入 背景 身体拘束(PR)とは、好きな位置に自由に体を動かせないようにする器具である。例として、ベッド柵、ベルト、固定式テーブルなどがあり、これらはベッドや椅子から転落することを防止する。PRは、認知症や歩行困難のある高齢者が、介護施設や自宅で介護を受ける際に、ごく一般的に使用されている。PRを使用する主な理由は、偶発的な転倒や転倒によるけがを防ぐため、あるいは他人の部屋への侵入や、徘徊などにより高齢者自身や他人を危険にさらすことを防ぐためである。 しかし、転倒や転倒によるけがの予防に対するPRの有効性については疑問視されている。実際、体を動かさない時間を増やすことで、歩行障害を悪化させ、転倒のリスクを高める可能性がある。また、恐怖感や怒り、不快感を増やし、幸福度を低下させる可能性もある。その他の予期しない事象には、褥瘡や失禁のリスクの増加、PR自体によるけがなどがある。国によっては、PRの使用はほとんどの状況において違法であり、ガイドラインにより、その使用を減らすか中止することが推奨されている。 何を調べようとしたのか? 介護施設または自宅において長期介護を受けている高齢者に対するPRの使用の防止または削減のために、どのような介入が最も効果的であるかを明らかにしたかった。PRの使用を防止および削減するための介入には...

新規抗精神病薬ブレクスピプラゾールのうつ病治療における利益と有害性は、ダミー錠や抗うつ薬と比較した場合、どのようなものか?

1 year 4 months ago
新規抗精神病薬ブレクスピプラゾールのうつ病治療における利益と有害性は、ダミー錠や抗うつ薬と比較した場合、どのようなものか? 要点 - 抗うつ薬に追加されたブレクスピプラゾールは、抗うつ薬に追加されたプラセボ(ダミー錠)よりもうつ病の症状を軽減するのに優れている。 - ブレクスピプラゾールは、体重増加やアカシジア(常に動きたくなるような落ち着きのなさ)と関連することが多い可能性がある。 うつ病とは? うつ病は一般的な精神疾患で、気分の落ち込み、喜びを感じられない、睡眠障害、体重減少、疲労や気力の低下、会話や動作が遅くなる、無価値感や過剰な罪悪感、集中力の欠如、自殺を考えるようになるという症状を引き起こす。うつ病と診断されるには、気分の落ち込みや快感の喪失など、これらの症状のうち5つ以上を少なくとも2週間以上経験する必要がある。 どのように治療するか? うつ病の症状が軽度でない限り、治療の最初の選択肢は抗うつ薬であるが、抗うつ薬が初めて処方された場合に効果があるのは半数程度である。抗うつ薬だけではうつ病の治療が十分でない場合、抗うつ薬の効果を助けるために別の薬を追加するという選択肢もある。その他の選択肢としては、抗うつ薬を別の抗うつ薬に変更する、会話療法、電気パルスによる脳への刺激などがある。ブレクスピプラゾールは新しい薬で、単独では効かない抗うつ薬に追加して使用することができる。ブ...

超早産児または極低出生体重児の壊死性腸炎予防のためのプロバイオティクス

1 year 4 months ago
超早産児または極低出生体重児の壊死性腸炎予防のためのプロバイオティクス 本レビューの論点 プロバイオティクスを超早産児や極低出生体重児に与えることで、壊死性腸炎を防ぐことができるか 背景 超早産児(8週以上早く生まれた児)や極低出生体重児(出生時の体重が1.5 kg未満の児)は、壊死性腸炎を発症するリスク(危険)がある。壊死性腸炎は、乳児の腸の内壁の組織が炎症を起こし、死に至る重篤な疾患である。この疾患は、死亡、重篤な感染症、長期障害、発達障害につながる可能性がある。 知りたかったこと 壊死性腸炎を予防する1つの方法として、プロバイオティクス(潜在的に有益なバクテリアや酵母を含むダイエタリーサプリメント(栄養補助食品))をミルクに添加することが考えられる。我々は、プロバイオティクスの補充が超早産児や極低出生体重児にベネフィット(有益性)があるかどうかを検証したいと考えた。具体的には、プロバイオティクスの補充が、プラセボ(ダミー治療)や無治療よりも改善効果があるかどうか検証したいと考えた。 - 壊死性腸炎 - あらゆる理由による死亡 - 重篤な感染症 - 出生からの入院期間 - 神経発達障害 実施したこと 超早産児・極低出生体重児の壊死性腸炎予防のためのプロバイオティクスの使用を検討したランダム化比較試験(参加者を無作為に2つ以上の治療群のいずれかに割り当てる試験)を同定するために...

「微小血栓」が新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)を引き起こすというエビデンスは何か、また、血漿交換による微小血栓の除去は正当化されるのか?

1 year 4 months ago
「微小血栓」が新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)を引き起こすというエビデンスは何か、また、血漿交換による微小血栓の除去は正当化されるのか? 要点 1.「微小血栓」という用語は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症の患者で調査されている粒子に対する正しい用語ではない。「アミロイド・フィブリン粒子」と呼ぶ方が適切である。 2.アミロイド・フィブリン粒子は、健康な人にも他の病気の人にも見られるというエビデンスがある。つまり、COVID-19後遺症に限られたものではない。 3.患者は、プラセボ(ダミー)を比較対象とした、適切なランダム化臨床試験(参加者を2種類以上の治療群のいずれかに無作為に割り当てるタイプの試験)で得られた知見にもとづくことなく、アミロイド・フィブリン粒子の除去を目的とした血漿交換を受けるべきではない。 何を調べようとしたのか? COVID-19後遺症(「ロングCOVID」と呼ばれることもある)とは、COVID-19に感染してから少なくとも12週間が過ぎた後に、患者がさまざまな症状を経験する状態を指す。症状の重さには幅があり、疲労、脳霧(ブレイン・フォグ)、頭痛などが含まれ、生活の質(QOL)の低下につながる。COVID-19後遺症の原因については議論がある。一つの説は、血液中の小さな血栓が原因であるというもので、この血栓を調査した一連...

新型コロナウイルス感染症患者に対する抗血小板薬による治療は有効か?

1 year 4 months ago
新型コロナウイルス感染症患者に対する抗血小板薬による治療は有効か? 要点 抗血小板薬は、致死的となる血管内における血栓形成(「血栓イベント」)を予防可能な薬剤の1つである。抗血小板薬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、血栓イベントをわずかに減少させるが、プラセボ(偽の治療)や標準治療と比較して、死亡、臨床的悪化、COVID-19の改善には影響がない可能性がある。 しかし、抗血小板薬は、重篤な望ましくない作用(有害事象)をわずかに増加させ、大出血事象を増加させる可能性がある。 外来患者の場合、同様に抗血小板薬は血栓イベントをわずかに減少させるが、死亡または重篤な有害事象にはほとんど、または全く差がない可能性があり、また入院や死亡、大出血事象におけるエビデンスは非常に不確実である。 また、14件の研究は未完了であり、他の3件の研究結果はまだ得られていない。 抗血小板薬とは何か? 抗血小板薬は、血液が血栓と呼ばれるゲル状の物質に変化する現象(「血栓イベント」と呼ばれる)を防止する薬剤の一つである。抗血小板薬は主に経口投与で使用され、通常、血栓症のリスクが高い患者(すでに血栓症の既往がある患者や、血栓ができやすい患者)に投与される。 血栓は脳卒中、冠状動脈性心臓病、足の血行不良、足の血栓症、および肺循環の血栓による閉塞(塞栓症)を引き起こし、息切れや心不全...

統合失調症がある人における持続的攻撃行動または激越に対する認知行動療法+標準治療と標準治療の比較

1 year 4 months ago
統合失調症がある人における持続的攻撃行動または激越に対する認知行動療法+標準治療と標準治療の比較 統合失調症がある人の攻撃性や興奮の治療において、認知行動療法は従来の治療よりも優れているか? 要点 - 認知行動療法が統合失調症がある人の攻撃性に有効であるという十分な質の高いエビデンスは見つからなかった。信頼できる結果を提供するには不十分な参加者が登録されている研究が、2件しか見つからなかった。 - 認知行動療法の利益と潜在的有害性をよりよく推定するためには、より大規模でよく計画された研究が必要である。 統合失調症がある人における攻撃性の重要性は? 統合失調症は、思考過程、知覚、情動反応、社会的相互作用の障害を特徴とする精神障害である。典型的には持続性で、重篤な障害を伴うこともある。統合失調症がある人における攻撃性(自己攻撃性と他者攻撃性)のリスクはまれであり、ごく少数に限定されるが、もし攻撃性があれば、傷害や死亡のリスクを増大させ、病気の負担を増大させる。認知行動療法は、機能不全に陥った思考に挑戦することを目的とし、精神衛生や感情障害の改善に用いられる。統合失調症の持続的な症状に対して有益な効果を示しており、統合失調症治療における薬物療法の上乗せ療法としての使用は治療ガイドラインで支持されている。しかし、攻撃的な行動をとる統合失調症がある人に対して、認知行動療法を標準治療に加える...

プライマリ・ヘルスケアの統合に対する医療従事者の認識および経験:質的エビデンスのスコーピングレビュー

1 year 5 months ago
プライマリ・ヘルスケアの統合に対する医療従事者の認識および経験:質的エビデンスのスコーピングレビュー プライマリ・ヘルスケア(PHC)の統合とは何か? プライマリ・ヘルスケア(PHC)の統合とは、これまで別々に提供されていたPHCのサービスを統合することである。その目的は、より良い医療を容易に受けられるようにし、限られた医療資源をより効率的に活用できるようにすることである。 なぜ医療従事者の認識や経験を知ることが重要なのか? PHCの統合は多くの国で実施されており、種々の成功が得られている。医療従事者は、このような医療サービスの変容の成功に関して影響を与えることができる。PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験を知ることは、医療従事者がその実施およびその成否にどのように影響するかを理解することに役立つ。 本スコーピングレビューの目的は何か? 本スコーピングレビューでは、PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験に関する質的研究(数値データのない研究)を検索し、マッピングを行った。そして、この分野における今後の系統的レビューや調査研究の参考となる研究を特定することを目的とした。 どのようにエビデンスを特定し、マッピングを行ったのか? 2020年7月28日までに発表された、PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験について報告されたすべての質的研究について検索を行った。さまざまな研...

切断手術を行う際に、締め付けるための器具(止血帯)を使用することは、合併症の低減に対し有効かつ安全か?

1 year 5 months ago
切断手術を行う際に、締め付けるための器具(止血帯)を使用することは、合併症の低減に対し有効かつ安全か? 背景 毎年、世界で数百万人もの人々が動脈閉塞性疾患にかかり、切断手術を余儀なくされている。切断手術では大量の血液が失われ、死亡を含む合併症を引き起こす可能性がある。輸血にはリスクが伴うが、切断する脚の上部を圧迫する器具である止血帯の使用は、出血量を減らし、輸血の必要性を減らすことができる。これは膝関節に対し人工関節置換術を行う際には安全であると考えられているが、手術を受ける血管に閉塞性疾患がある場合への使用については、依然として議論の余地がある。また、止血帯により患者の皮膚、筋肉、および血管が損傷を受け、切断部への血液供給が減少することで、創傷治癒に影響を与える可能性についての懸念がある。 本レビューでは、血管の閉塞性疾患により切断手術が行われる場合の止血帯の使用が、手術中の失血量、血球数の低下、輸血の必要性や、創傷の治癒、再手術の必要性などの合併症の低減に安全かつ効果的であるかどうかを調査した研究について検索を行った。 研究の特徴および主な結果 血管の閉塞が原因で切断術を受ける患者において、止血帯を使用した場合と止血帯を使用しなかった場合とを比較した研究を探すため、医学データベースを検索した。その結果、英国で実施されたランダム化比較試験(患者を2種類以上のいずれかの治療群に無...

家族計画や避妊法の利用を支援するための、携帯電話を使って提供される介入

1 year 5 months ago
家族計画や避妊法の利用を支援するための、携帯電話を使って提供される介入 論点 このレビューの目的は、携帯電話による介入が避妊法の利用を増進するかどうかを判断することである。 要点 携帯電話による介入は、避妊法の増進と継続的な利用に良い影響をもたらす。 双方向性のメッセージは、避妊法の利用を増進する上で、一方的なテキストメッセージよりも優れている。 現存するエビデンスのレベルは中等度である。 このレビューの重要性 携帯電話で配信されるヘルスメッセージや介入は、健康や行動を改善することが示されているが、携帯電話で配信されるメッセージが、避妊の使用などリプロダクティブ・ヘルスに関連する問題に影響を与えるかどうかは不明である。 女性と子どもの健康は、避妊から大きな恩恵を受ける。このような利点があるにもかかわらず、また妊娠を避けたいにもかかわらず避妊をしない女性が世界的にかなり多い。 近年の携帯電話の急速な普及により、必要な時にいつでも、どこでも、サービスへのアクセスが制限された人々へも届く、携帯電話を介したヘルスケアの提供への関心が高まっている。 エビデンスの特定および評価を行った方法は? 携帯電話で配信される介入の使用と避妊の使用への影響を評価した研究について、医学データベースを検索した。その結果、高所得国(11試験)と低所得国(12試験)の両方において、11カ国で実施された12,79...

高血圧に対する第一選択薬として利尿薬を投与する場合、他の種類の薬剤と比較して、どのような利益と不利益があるのか

1 year 5 months ago
高血圧に対する第一選択薬として利尿薬を投与する場合、他の種類の薬剤と比較して、どのような利益と不利益があるのか 要点 - 高血圧治療の第一選択薬として、サイアザイド系やサイアザイド系類似の利尿薬を使用した場合、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、心血管系の有害事象(心血管イベント)が減少する可能性が高い。 - 総死亡率は、利尿薬と他の種類の薬剤との間に差がない可能性が高い。 - 利尿薬を第一選択薬として使用した場合、カルシウム拮抗薬やα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、全心血管イベントや心不全が減少する確率が高い。 - 利尿薬を第一選択薬として使用した場合、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、望ましくない影響や悪影響(有害事象)による研究からの脱落者が減少する可能性が高い。 高血圧(症)とは何か 高血圧(症)とは、安静時血圧により、軽度(140~159/90~99mmHg)、中等度(160~179/100~109mmHg)、重度(180/110mmHg以上)と定義される。高血圧がうまくコントロールされていないと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎障害などにつながることがある。60歳以上の高齢者にみられる中等度から重度の高血圧に対する降圧薬の使用は、このよ...

エストロゲン療法は閉経後女性の骨盤臓器脱の治療に役立つか?

1 year 5 months ago
エストロゲン療法は閉経後女性の骨盤臓器脱の治療に役立つか? 要点 - 14件の研究がこのレビューの選択基準を満たしたが、最も関心のある比較を扱った研究はなかったため、閉経後女性の骨盤臓器脱に対するエストロゲン療法の効果については不明である。 - 閉経後女性の骨盤臓器脱に対する、エストロゲン療法単独または他の治療法との併用による効果について評価するためには、さらなる研究が必要である。 骨盤臓器脱とは? 骨盤臓器脱とは、女性の子宮、膀胱、直腸が正常な位置から腟の中に下がってしまうことである。この病気はよく見られるもので、少なくとも一度出産経験のある50歳以上の女性の50%が罹患している。子宮摘出術を受けた女性の6%~12%が骨盤臓器脱を経験する。年齢が高く、出産回数が多く、太っている女性は骨盤臓器脱になりやすい。骨盤臓器脱の女性は、腟に「何かが下りてくる」感覚や、性行為時の不快感や排尿障害など、QOL(生活の質)や身体イメージに悪影響を及ぼすその他の症状を有することがある。 知りたかったこと 骨盤臓器脱の治療には、多くの臨床医がエストロゲン療法(ホルモン療法の一種)を処方しており、ペッサリー(腟内に挿入して支える器具)や手術などの他の治療法と併用することもある。しかし、このアプローチの利益は不明である。エストロゲン療法を単独で、あるいは他の治療法と併用することで、閉経後の女性の骨盤臓...
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22 hours 34 minutes ago
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