Latest Japanese Reviews

消化管手術を受けた正期産児にラクトフェリンを投与することの利点とリスクは何か?

10 months ago
消化管手術を受けた正期産児にラクトフェリンを投与することの利点とリスクは何か? 要点 消化管の手術を受けた正期産(妊娠37週以降)の赤ちゃんにラクトフェリン(牛乳に含まれるタンパク質)を与えることの影響を調査した医学的研究は見つからなかった。 ラクトフェリンとは何か? ラクトフェリンは牛乳に含まれるタンパク質で、感染症から身を守る働きがある。ラクトフェリンのサプリメントも販売されており、未熟児を対象に研究されている。ラクトフェリンが未熟児の感染症を予防するというエビデンスがいくつかある。 赤ちゃんの消化管手術のリスクにはどのようなものがあるか? 消化管の手術は感染のリスクを高める。感染症は入院期間を長くする。抗生物質(細菌感染と闘う薬)による治療や手術によるストレスは、消化管内の善玉菌を混乱させる可能性がある。 知りたかったこと 正期産児の消化管手術後にラクトフェリンを投与することで、感染症や死亡率が減少し、消化管内の善玉菌の存在が改善されるかどうかを調べたかった。 何を行ったのか? 消化管手術を受けた乳児を、ラクトフェリンまたはプラセボ(薬を含まないが、試験中の薬と見た目や味が同じ「ダミー」治療薬)に無作為に割り付けた研究を検索した。 わかったこと 消化管手術を受けた正期産児にラクトフェリンを投与してプラセボと比較した研究は見つからなかった。この疑問に答えるためには、十分にデザ...

うつ病の治療薬は禁煙に有効か?

10 months ago
うつ病の治療薬は禁煙に有効か? 抗うつ薬とは何か? 抗うつ薬とは、うつ病の治療に用いられる薬やサプリメントである。その中には、禁煙に効果があるかどうか検証されている薬もある。ブプロピオン(ザイバンも呼ばれる)とノルトリプチリンという2つの薬が、禁煙を支援するために処方されることがある。 本コクランレビューの実施理由 喫煙の健康への悪影響は非常に大きい。喫煙者にとって、禁煙は健康増進のためにできる最善の選択である。しかし、禁煙は難しいと感じる人も多い。そこで、抗うつ薬を使うことで禁煙(6ヶ月以上)を成功させることができるか、また、これらの薬を使うことでどのような有害性があるかを調査することにした。 着目した点 - どれくらいの人が少なくとも6ヶ月禁煙できたか - どれくらいの人が好ましくない影響を受けたか 実施したこと 禁煙を支援するための抗うつ薬の使用を検討した研究を検索した。 治療が無作為に決定されるランダム化比較試験を検索した。このような研究方法(ランダム割付)は、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスが得られるとされている。有害性についてはどのような観察期間の研究であっても対象としたが、禁煙に成功したかどうかの評価については少なくとも6ヶ月以上の観察期間の研究を採用した。 どのような研究が見つかったか? このレビューでは、禁煙のために抗うつ薬を使用した場合に、異なる抗う...

歯科矯正治療後の歯の正しい位置を保つための最適な方法は何か?

10 months ago
歯科矯正治療後の歯の正しい位置を保つための最適な方法は何か? 要点 - エビデンスの信頼性が低いため、歯の位置を固定(保定)するための最善の方法については、明確な結論を出すことはできない。 - より適切に計画された研究が必要である。少なくとも2年を超える期間における歯の位置の安定性、保定装置(リテーナー)の耐久性、患者の満足度、およびリテーナーによる有害事象(う蝕や歯周病など)の評価をする必要がある。 論点 歯科矯正治療後に、歯の位置が後戻りしてしまうことがある。矯正歯科医は、治療後の歯の位置を保つ(保定する)ために、さまざまな方法を用いて、後戻りを防止する。保定装置(リテーナー)は、通常、ワイヤーや透明なプラスチック等で個人に合わせて製作され、取り外しのできないもの(固定式リテーナー)または取り外しが可能なもの(可撤式リテーナー)に分類される。可撤式リテーナーは、常時または任意の時間での装着が可能である。リテーナーは、歯列全体や歯の周囲、または歯の裏側に装着される。場合により、歯と歯の間を削る処置(歯間削合)や、歯と歯肉をつなぐ線維を切断する処置(歯周靭帯の切離)などの補助的な処置が行われることもある。 何が知りたかったのか? 歯科矯正治療後の歯の位置を保つための最適な方法と、有害事象の有無について調査することを試みた。 何を行ったのか? 歯科矯正治療後に使用した異なる種類のリ...

肝移植後の成人に対する運動介入

10 months 1 week ago
肝移植後の成人に対する運動介入 背景 肝移植を受けた場合、身体活動レベルが低下する傾向にある。しかし、心臓や肺の病気、高血圧、2型糖尿病、認知症、非アルコール性脂肪性肝疾患(肝臓に脂肪が蓄積して起こる病気)、がん、およびその他の急速に発症し、生命を脅かす可能性のある病気の発症を防ぐための運動介入の有益性と有害性については、まだ十分に研究されていない。 何を調べようとしたのか? 肝移植後の成人における運動の有益性と有害性を明らかにしようとした 何を行ったのか? 肝移植のレシピエント(移植を受ける患者)を対象に、あらゆる種類の運動について、運動を行わなかった場合、偽の介入を行った場合、および他の種類の運動を行った場合と比較した、適切にデザインされた臨床試験について、医学データベースの検索を行った。 何が見つかったのか? 合計241人の参加者を対象とした3件のランダム化(臨床)比較試験が見つかり、試験が終了できていた参加者は199人であった。ランダム化比較試験とは、参加者を実験群と対照群に無作為に割り付ける研究である。研究は、米国、スペイン、およびトルコで実施されていた。運動の期間は、2か月、6か月、または10か月と異なっていた。すべての研究は、運動療法に基づいた介入を通常の治療と比較したものであった。すべての研究は、肝移植を受けた成人を対象としていた。3件の研究では、さまざまな運動介...

ホルモン剤による避妊をしていない人と比較した、ホルモン剤による避妊をしている人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった時に血栓を発症する確率

10 months 1 week ago
ホルモン剤による避妊をしていない人と比較した、ホルモン剤による避妊をしている人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった時に血栓を発症する確率 論点 COVID-19になった人の、心臓発作や脳卒中を含む血栓の発生やその他の重篤な結果に対するホルモン剤による避妊法の影響に関するエビデンスを検討した。エストロゲンとプロゲスチンの両方を含む避妊薬を服用している人と、ホルモン剤を使用しない避妊をしている人、プロゲスチンだけを含む避妊薬を服用している人を比較検討したいと考えた。該当する研究は5件しか見つからなかった。 背景 ホルモン剤による避妊、特にエストロゲンを含む避妊薬の使用は、足や肺に血栓ができる可能性を高めたり、脳卒中になる可能性を高めたりすることがある。また、COVID-19の発症により、足や肺に血栓ができることも確認されている。ホルモン剤による避妊をしている人がCOVID-19になった場合、血栓ができる可能性が高いかどうかはわかっていない。ホルモン剤による避妊をしている人がCOVID-19陽性になった場合、避妊薬の使用を止めるべきか、違う避妊法に切り替えるべきかを知ることができるよう、さらなる研究が必要である。 研究の特性 2022年3月までに発表された研究を対象とした。避妊をした人(特に、ホルモン配合剤のようにエストロゲンを含む避妊薬を使用した人)における、避妊...

新生児の気管内挿管にビデオ補助(ビデオ喉頭鏡)を使用することは、手技の成功と安全性を高めるか?

10 months 2 weeks ago
新生児の気管内挿管にビデオ補助(ビデオ喉頭鏡)を使用することは、手技の成功と安全性を高めるか? 要点 ビデオ喉頭鏡の使用は、初回の気管内挿管成功率を高め、ケア提供者が病気の新生児の気管内挿管を施行する回数をわずかに減らす結果になるかもしれないが、気管内挿管にかかる時間を短縮するわけではない。 ビデオ喉頭鏡の使用では、挿管時の新生児の気道の傷がわずかに少ないと思われる。 さまざまな診療領域で、さまざまなケア提供者が配置を行う場合のビデオ喉頭鏡の役割を理解するために、より良い研究が必要である。 何が問題なのか? 新生児の100人に1人は、呼吸が困難な場合、口か鼻に呼吸用チューブを挿入して(気管内挿管)命をつなぐ必要がある。新生児は口や気道が小さいため、直接喉頭鏡を使って(ビデオなしで)呼吸用チューブを挿入するのは難しいかもしれないし、すべてのケア提供者が経験を積んでいるわけではない。 ビデオ喉頭鏡法とは何か? ビデオで気道を見ながら気管内挿管を行うことを、ビデオ喉頭鏡法という。そうすることで、呼吸チューブの挿入がより簡単で安全になる。これはまた、トレーニングを受けている人がこの救命技術を習得する際にも役立つだろう。 何を調べようとしたのか? 生後0日から28日の乳児を対象に、直接喉頭鏡法よりもビデオ喉頭鏡法の方が、呼吸チューブの挿入の成功と安全性が高まるかどうかを調べようとした。 何...

抗うつ薬は慢性的な痛みの治療にどの程度有効であり、また有害事象を引き起こすか?

10 months 2 weeks ago
抗うつ薬は慢性的な痛みの治療にどの程度有効であり、また有害事象を引き起こすか? 要点 ・信頼性のある効果を示した抗うつ薬はデュロキセチンのみであった。標準的な用量(60mg)で有効性が認められ、それ以上の用量を使用することの有益性はなかった。 ・抗うつ薬の有害事象については、データが非常に不足していたため、不明であった。そのため、今後の研究によって対応していく必要がある。 ・慢性疼痛に対しては、他の抗うつ薬を投与する前に、まず標準用量のデュロキセチンを検討してもよいと思われる。 ・個人に合わせたアプローチを行うことが重要である。痛みは非常に個人的な感覚であり、エビデンスが決定的でないか、あるいは得られていない場合でも、特定の薬剤が有効である可能性がある。今後の研究では、抗うつ薬の有害事象に焦点を当て、より長期間の研究を行う必要がある。 慢性的な痛み(慢性疼痛)とは何か? 慢性疼痛とは、3か月以上続く痛みのことである。世界の3分の1以上の人口が慢性疼痛を経験している。慢性疼痛は、気分や幸福感、または仕事や日常業務の遂行能力に影響を与えることが多い。 抗うつ薬は慢性疼痛に対してどのように作用するのか? 抗うつ薬は、元来うつ病を治療するために開発された薬である。抗うつ薬の種類によって作用をもたらす仕組み(作用機序)は異なり、同様の作用機序を持つ抗うつ薬はいくつかの種類にまとめられている...

中低所得国における有害なアルコール使用削減のための介入策

10 months 2 weeks ago
中低所得国における有害なアルコール使用削減のための介入策 このレビューの重要性 有害なアルコールの使用は、世界的な疾病負荷の主な原因の1つである。中低所得国では、有害なアルコールの使用が増加している。しかし、有害なアルコール使用を予防・治療するサービスは限られている。利用可能なサービス不足の一因は、有害なアルコール使用を減らすにはどのような介入アプローチが効果的なのか、また、こうしたアプローチが低資源の環境で実行可能で受け入れられやすいかどうかについての情報が限られていることである。有害なアルコール使用による身体的、心理的、社会的負荷を防ぐためには、アルコールに関連した害を減らすための効果的な介入が利用できることが重要である。 本レビューの目的は何か? このレビューの目的は、低・中所得国において、心理社会的・薬理学的介入が有害なアルコール使用を減らすことができるかどうかについてのエビデンスをまとめることである。また、治療の安全性を評価し、治療が完了するまでどれだけの人が治療を継続できるかを目指す。 調査でわかったこと 有害なアルコール使用を減らすための介入の効果を評価した66件のランダム化比較試験を特定した。これらの研究のほとんどは心理社会的介入を評価したものであり(52件)、6件は薬理学的介入のみを評価し、8件は薬理学的介入と心理社会的介入を組み合わせて評価したものであった。 ...

βサラセミア患者に対する骨粗鬆症の治療

10 months 2 weeks ago
βサラセミア患者に対する骨粗鬆症の治療 論点 βサラセミア患者における骨粗鬆症に対するさまざまな治療法は、どの程度有効かつ安全か? 背景 骨粗鬆症は、時間とともに骨密度に影響を及ぼし、骨折のリスクを上昇させる。また、βサラセミア(ヘモグロビンの産生が低下する血液疾患)患者に発生する病気の重要な原因となっている。 βサラセミア患者における骨粗鬆症の治療には、ビスフォスフォネート(骨量減少を遅らせる薬剤)、カルシトニン、カルシウム、亜鉛の補給、ヒドロキシ尿素、ホルモン補充療法(HRT)、デノスマブ(骨吸収を抑制して骨密度(BMD)を高める薬剤)、ラネル酸ストロンチウム(骨形成を促進し、骨吸収を阻害する薬剤)などが有効と考えられている。 本レビューの目的は、βサラセミア患者における骨粗鬆症に対する最も効果的な治療法を見つけることである。腰椎、股関節、および手首(手関節)の骨密度(数値が高いほど良好)と、骨折、可動性、生活の質、および治療による有害事象を主要な評価項目とした。本レビューは、過去に発表されたコクランレビューの更新版である。 文献の検索日 本エビデンスは2022年8月4日までの文献検索に基づいている。 研究の特徴 本レビューでは、10歳から78歳の合計298人のβサラセミア患者を治療群にランダムに割り付けた6件の研究が対象となった 。 研究では、ビスフォスフォネート(アレンド...

心肺蘇生時における家族の立ち会い

10 months 2 weeks ago
心肺蘇生時における家族の立ち会い なぜこの問題が重要なのか? 患者とその親族が、治療の決定に積極的に関与することを望むようになっている。しかし、心肺蘇生時における家族の立ち会い(FPDR)は、立ち会った親族に心的外傷後ストレス障害(PTSD)関連症状を引き起こしたり、医療従事者の妨げとなり、救命救急処置の質を低下させる懸念がある。また、その状況に対する患者の考えや好みが語られないため、患者の守秘義務が侵害される恐れもある。患者、親族、医療従事者の行動は、互いに影響を与える三角形の関係として捉えられるため、それぞれの要求に対するバランスがとられている必要がある。 何を調べようとしたのか? 心停止、外傷、急性期医療におけるFPDRの効果に関する現在のエビデンスについて調査を行った。 本レビューの主な目的は、親族に対して、その大切な人の心停止、外傷、または急性期医療に立ち会うという選択肢を提供することが、親族のPTSD関連症状の発生に与える影響について調査することである。 第二の目的は、FPDRの提供が、親族の抑うつ、不安、および悲嘆に与える影響、診療時間や医療従事者に対して与える影響、そして、医療の質や患者の生存率に与える影響について調査することである。 何を行ったのか? 2022年3月22日に、言語による制限なく、医学データベースの検索を行った。また、参考文献を確認し、論文の著者と...

骨盤位胎児(逆子)の回転に対する灸

10 months 2 weeks ago
骨盤位胎児(逆子)の回転に対する灸 論点は何か 骨盤位(胎児の臀部が下にある状態)は妊娠中期(第2期)に多くみられる。ほとんどの胎児は陣痛が始まる前に頭が下になるように自身で回転するが、回転しない胎児もみられる。臀部または足が先に出てくる胎児は、出産が困難になる可能性がある。これは母体および胎児に問題を引き起こす可能性があり、胎児は帝王切開で生まれる可能性が高くなる。 灸は中医学の一種で、骨盤位の胎児の回転に有用である可能性がある。それは足小指の経穴の皮膚の近くでアルテメシア( Artemesia )という生薬を燃やし温感を生じさせ、子宮に刺激を与えるというものである。この手技は、安全な灸のやり方の訓練を受けた上で妊婦またはその家族や友人が行うことができる。 重要である理由 骨盤位での経膣分娩は、経験豊富な医師や助産師、設備の整った病院であれば可能であり、プライマリーケアの環境以外でも計画外の経膣分娩は起こりうる。しかし、胎児が骨盤位にある女性の経膣分娩をすべての病院で行なえるわけではなく、帝王切開による分娩が計画されることもある。帝王切開には現在および将来の妊娠に対するリスク(危険)があるため、帝王切開を避けたいと考える医療従事者や妊婦は多い。自宅で妊婦やその家族、友人が自分でできる灸治療が、分娩前の頭位回転に役立つかどうかを明らかにしたいと考えた。 得られたエビデンス 灸+通...

早産児の呼吸補助のための鼻腔高流量療法

10 months 3 weeks ago
早産児の呼吸補助のための鼻腔高流量療法 レビューの論点 早産児において、出生直後の呼吸補助に鼻腔高流量療法(ハイフロー)を使用した場合、他の非侵襲的呼吸補助と比較して、どのような利益と害があるか? 呼吸サポートとは何か? 早産児(予定日より早く生まれた)は、出生後すぐに呼吸のサポートを必要とすることが多い。赤ちゃんの気管に呼吸チューブを挿入することなく、非侵襲的な呼吸補助を行う。非侵襲的呼吸補助にはいくつかの種類がある。高流量タイプは、乳児の鼻孔内に装着されたチューブの2つの小さな突起から温風と酸素を供給するタイプである。高流量に代わる方法としては、より太いプロングやマスクを介して酸素を(流量ではなく)連続的に加圧する持続気道陽圧(CPAP)や、CPAPに加えてより高い圧力で酸素を注入することもある経鼻的間欠陽圧換気(NIPPV)がある。 本レビューで行ったこと 早産児における高流量呼吸補助の有益性と有害性を、他の非侵襲的呼吸補助と比較して評価した、十分にデザインされた研究を医学データベースから検索した。 わかったこと 早産児2,540人を対象に、出生直後の赤ちゃんの高流量呼吸補助と他の非侵襲的な方法を比較した13件の研究が見つかった。他に分類待ちの研究が9件、進行中の研究が13件ある。対象となった研究では、比較した治療法、使用した酸素の流量、大流量が効かない場合にCPAPを使用...

複雑性心的外傷後ストレス障害を持つ、および/または小児期における虐待経験のある親に対する妊娠中から出産後2年までの介入

10 months 3 weeks ago
複雑性心的外傷後ストレス障害を持つ、および/または小児期における虐待経験のある親に対する妊娠中から出産後2年までの介入 トラウマ(心的外傷)関連症状を持つ親や、小児期に虐待を経験した親に対する妊娠中または出産後2年間の支援は、育児能力や幸福度を向上させるか? 要点 エビデンスのほとんどは、育児および心理的介入が、親の心理的幸福度や育児能力に対してほとんどまたは全く影響しないことを示唆しているか、あるいはエビデンスの質が低いために結果に対する信頼性が非常に不確実であった。 育児への介入は、通常のケアと比較して、母子の関係をわずかに改善する可能性がみられた。 1件の心理的介入では、通常のケアを強化した場合と比較して、妊娠中に禁煙する母親をわずかに増加させる可能性がみられた。他の心理学的介入では、両親の関係をわずかに改善させる可能性があり、また別の介入では、育児能力をわずかに改善させる可能性がみられた。 複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)を持つ、または小児期における虐待を経験した親に対する介入 小児期における虐待は、成人後の複雑性PTSDや人間関係の問題につながる可能性がある。また、人生の逆境や、健康格差を経験する恐れも高い。これらの問題は育児に影響し、トラウマの「世代間連鎖」につながる可能性がある。 小児期における虐待を経験した親に対する支援方法として、心理療法、育児介入、心身...

クロルヘキシジンとその他の消毒液:中心静脈ラインを留置する新生児の感染予防にはどちらが効果的か?

10 months 3 weeks ago
クロルヘキシジンとその他の消毒液:中心静脈ラインを留置する新生児の感染予防にはどちらが効果的か? 要点: ・ 確固たるエビデンスがないため、新生児の中心静脈ライン挿入時の消毒液として、ポビドンヨード(PI)と比較したアルコール中のクロルヘキシジンの利益とリスクは不明である。 ・ 未熟児にポビドンヨードを使用すると、成長と発育に不可欠なホルモンである甲状腺ホルモンのレベルが低下する可能性がある。 ・ 研究数が限られており、低・中所得国からの研究が少ないため、エビデンスの確実性と適用可能性に対する信頼性が低い。 中心静脈カテーテルとは何か? 集中治療が必要な赤ちゃんは、中心静脈ラインと呼ばれる特別な細い管(カテーテル)を血管に挿入する必要がある。中心静脈ラインは、投薬や栄養補給など、さまざまな理由で必要とされる。これらの中心静脈ラインは重要だが、さまざまな合併症を引き起こす可能性がある。 カテーテル関連血流感染(CRBSI)と中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)とは何か? 重篤な感染症は、中心静脈ライン挿入に伴う最も頻度の高い合併症のひとつである。中心静脈ラインに起因する、あるいは起因する可能性のある感染は、それぞれCRBSIおよびCLABSIと呼ばれる。これらの感染は、ラインを挿入する前に消毒液を皮膚に使用することで予防できる可能性がある。 何を調査しようとしたのか? 以下の...

進行した腎がん(腎細胞がん)の成人患者に対する初回治療

10 months 3 weeks ago
進行した腎がん(腎細胞がん)の成人患者に対する初回治療 略語 • 腎細胞がん(RCC) • アベルマブ(AVE) • アキシチニブ(AXI) • カボザンチニブ(CAB) • イピリムマブ(IPI) • レンバチニブ(LEN) • ニボルマブ(NIV) • パゾパニブ(PAZ) • ペムブロリズマブ(PEM) • スニチニブ(SUN) 要点 • 治療を決定するにあたり、薬剤によって余命が延長するのか、有害な副作用が少ないのか多いのかを考えることが重要である。 • 本レビューの結果は、明細胞成分を含む進行腎細胞がん(RCC)に主に適用される。 進行腎細胞がんとはどのような病気で、どのように治療するのか 腎細胞がんは腎がんの一種である。高齢者に、また女性よりも男性に多くみられる。これは、年齢(60歳以上)と性別が男性であることにより、罹患リスクが高くなるためである。その他の危険因子には、体重、喫煙、腎結石の既往歴、高血圧などがある。多くの場合、初期の段階では症状がないため、腎細胞がんに罹患している人の半数以上が定期健診によってがんであることが判明する。症状が現れると、患者のQOL(生活の質)や日常の活動に影響を与える。2005年以前には、進行腎細胞がんの治療薬は少なく、治療には多くの副作用があった。現在では、免疫療法(がん細胞を見つけて破壊するために、患者自身の免疫系を利用する)や標...

行動の問題を抱える小児のサブグループに対する個別介入

11 months ago
行動の問題を抱える小児のサブグループに対する個別介入 要点 現在のところ、行動上の問題を抱える小児に対して、個別化した、あるいはテーラーメイドの介入を支持するエビデンスはほとんどない。わずかに存在するエビデンスは質が低い。そのため、介入を個別化することで、行為の問題を抱える小児の結果を改善できるかどうかは不明である。さらなる質の高い研究が必要である。 行動の問題とは何か? 行動の問題とは、小児期におけるさまざまな破壊的な行動のことで、個人の人生に悪影響を及ぼす可能性がある。行動の問題は、反社会的行動、薬物乱用、教育困難、精神衛生上の問題など、青年期や成人期以降の困難につながる可能性がある。 行動の問題を抱える小児には、さまざまなサブグループが提唱されている。これらのサブグループには、行動の問題が始まる年齢、情緒的な問題、注意欠陥多動性障害、親の特性、反社会的行動の攻撃性のレベル、感情、感覚に乏しい特性に関する遺伝的・環境的要因の影響などの違いがある。このようなサブグループの小児は、治療に対する反応が異なる可能性があり、このようなサブグループの小児に的を絞った介入が、より良い結果をもたらすかどうかを確認することが重要である。 対象を絞った、あるいは「個別化」された介入とは、治療のさまざまな側面を、特定のサブグループの親や小児のニーズに合わせて調整するものである。たとえば、両親間の葛...

透析患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療

11 months ago
透析患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療 本レビューの論点は何か? C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる肝臓の病気であり、注射針などの血液で汚染されたものを再使用した結果、人から人へ感染する。HCVは体内に長期間潜伏し、肝臓を徐々に破壊したり、肝硬変、あるいは肝臓がんを引き起こす場合がある。症状としては、脱力感、吐き気、黄疸、体重減少などがみられ、肝酵素やビリルビンの値が上昇することがある。 HCVは世界中に蔓延しており、国によって異なるが、慢性的な感染者数は約7,000万人であり、これは慢性肝疾患に罹患している患者の40%を占めるとされている。また、長期間にわたって血液透析を受けている人では、HCVへの感染率が高くなる。HCV感染症の治療には、これまで使用されてきたインターフェロンに代わり、経口投与が可能な直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が使用されるようになった。DAAは、有効性および忍容性(副作用に対する許容性)に優れ、ほぼすべての患者に有効である。対してインターフェロンは、皮下注射で投与する必要があり、有効性が低く、副作用も多い。DAAによる治療期間は12週間だが、インターフェロンでは、効果を高めるためのリバビリンの併用の有無に関わらず、24〜48週間以上の治療期間が必要となる。また、腎機能障害のある患者では、リバビリンの蓄積により、赤...

全身性エリテマトーデスの患者が運動することの利点とリスクとは?

11 months 1 week ago
全身性エリテマトーデスの患者が運動することの利点とリスクとは? 要点 全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、「通常のケア(介入)」に加えて運動を行うことは、疲労、日常生活能力、痛みに対してほとんど効果がない可能性がある。 運動中における副作用に関する報告はなかった。しかし、全体的なエビデンスに対する信頼性は低い。 全身性エリテマトーデスとはどのような病気か? SLE(または「ループス」)は、体内の免疫(防御)システムが誤って身体のさまざまな場所の健康な組織を攻撃してしまう病気である。これは長期にわたる病気である(6週間以上続くものであり、通常一生続く)。また、SLEは関節や筋肉に痛みの痛みを引き起こしたり、極端に疲れやすくなったりする。症状は一時的に改善することもあり、また突然悪化することもある(フレア)。 全身性エリテマトーデスはどのように治療されるか? SLEの管理または通常の治療には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬による治療が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、日光を避ける、サプリメント(ビタミンDなど)、SLEや他の病気(高血圧など)に関する教育、身体活動や運動など薬以外の治療も含まれることがある。通常の運動トレーニングはSLE患者の補助的な治療法として役立つ可能性がある。 何を調べたかったのか...

新しい血管の成長を抑える薬(血管新生阻害薬)は上皮性卵巣がん患者に効果があるのか

11 months 1 week ago
新しい血管の成長を抑える薬(血管新生阻害薬)は上皮性卵巣がん患者に効果があるのか 知りたかったこと 新しい血管の形成(血管新生)を妨げる治療薬が、上皮性卵巣がん患者に対する治療の結果を改善するかどうかを明らかにしようとした。 卵巣がんは、世界的に女性に8番目に多いがんであり、年間死亡率は女性10万人あたり4.2人である。上皮性卵巣がんは卵巣や卵管の表層から発生するもので、卵巣がん全体の90%を占める。 上皮性卵巣がんの治療には、がん組織を取り除く手術とプラチナベースの化学療法(急速に増殖する細胞を殺す薬)がある。しかし、初期の反応が良好であっても、結局のところ、進行したがんの多くがさらに治療を必要とする。 がんが成長するためには、酸素と栄養素を供給する新しい血管が必要である。血管新生(既存の血管から新しい血管を作ること)を阻害すると、がんの成長が遅くなり、成長が止まることもある。血管新生を阻害するには、モノクローナル抗体(単一の標的を認識する抗体)によって血管新生ホルモン(VEGFと呼ばれる)を阻害するか、あるいはVEGFの受容体(VEGF-R)に関連する酵素(チロシンキナーゼ)を阻害すること(チロシンキナーゼ阻害薬(TKI))によって、VEGFとVEGF-Rが結合して起こる細胞の反応を防ぐ方法がある。 本レビューで実施したこと 上皮性卵巣がんの女性を対象とした関連する全研究を収...

薬剤抵抗性焦点てんかんに対するペランパネルのアドオン療法

11 months 2 weeks ago
薬剤抵抗性焦点てんかんに対するペランパネルのアドオン療法 要点 薬剤抵抗性焦点てんかん患者に対するペランパネルのアドオン療法は、発作頻度減少に有効であり、発作の消失を維持できる可能性がある。ペランパネルの忍容性は、8mg/日以下の用量で良好である。 てんかんとは? てんかんは、一般的な脳疾患のひとつである。てんかん患者の約30%は、抗てんかん薬による適切な治療を受けているにもかかわらず、発作(脳内の過剰な電気的興奮により、脳の働きが短時間変化すること)を繰り返している。このような病態を薬剤抵抗性てんかんといい、通常、抗てんかん薬の組み合わせによる治療が必要となる。ペランパネルは新しい抗てんかん薬で、薬剤抵抗性焦点てんかん(脳の一部から発作が始まるてんかん)へのアドオン療法の研究が行われている。 何を知りたかったのか? 薬剤抵抗性焦点てんかん患者に対するアドオン療法としてペランパネルを使用した場合に、有効性および忍容性があるかどうかを明らかにしようとした。 何を行ったのか? あらゆる年齢の薬剤抵抗性焦点てんかん患者を対象に、ペランパネルのアドオン療法の効果を検討した研究を医療データベースから検索した。 何が見つかったのか? 基準を満たす研究が7件見つかった。合計2,524人を対象とし、全員が12歳以上であった。研究では、ペランパネル(2mg/日、4mg/日、8mg/日、12mg/日...
Checked
12 hours 41 minutes ago
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