Latest Japanese Reviews

シートベルト着用を奨励するための介入

1 year 3 months ago
シートベルト着用を奨励するための介入 要点 - 教育(行動と健康リスク評価(HRA))と工学に基づいた介入が、青年期初期および青年期後期と成人におけるシートベルト着用を促進する可能性を示唆するエビデンスがいくつか見つかった。しかし、現在のエビデンスには確信が持てない。 - シートベルト着用に対する教育と工学に基づく介入の有効性をより深く理解するためには、さらなる研究が必要である。 - また、インセンティブ(単独または他の介入との組み合わせ)の有益性、他の種類の介入、異なる組み合わせの介入、さまざまな状況を調査するには、質の高い研究が必要である。 なぜシートベルト着用が重要なのか? 毎年多くの人が交通事故により死亡しており、その大半は子どもや若者である。交通事故による死亡は死因の上位となっており、若い男性が交通事故関連死の約75%を占めている。また、多くの人が永久的な重傷を負っている。シートベルトは、衝撃によって乗員が車外に放り出されるのを防ぎ、身体の傷つきにくい部分に衝撃を分散させてダメージ(被害)を軽減するように設計されている。シートベルトの着用を義務付ける法律を成立させるだけでは、シートベルトの着用を促すには不十分である。 何を調べようとしたのか? シートベルト着用を奨励するために、法執行ではなく、教育、インセンティブ、工学に基づく介入の有効性を調査し、どのタイプの介入が最も...

新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用

1 year 3 months ago
新たな腰痛患者に対する椎体骨折のスクリーニングのための医師によるレッドフラッグの使用 注意事項:  このトピックをカバーし、このレビューに取って代わった最新のレビューは以下のレビューである https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD014461.pub2/full。 このレビューでは、家庭医、腰痛クリニック、救急外来に新たな腰痛を訴える患者が来院した際に、脊椎損傷の有無を確認するための一般的な方法についての理解を述べている。 医師は通常、脊椎骨折の可能性をチェックするために、いくつかの質問をし、背中を診察する。 骨折をチェックする理由は、一般的な腰痛と骨折では治療法が異なるからである。 骨折は通常、X線検査で診断され、安静、背部装具、鎮痛剤で治療される。 一般的な背部痛は、運動療法、カイロプラクティックによる手技療法、鎮痛剤で治療される。X線検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、磁気共鳴画像検査は診断には役に立たない。 骨折が腰痛の原因であることはまれで、家庭医を新たに訪れる腰痛の1%から4.5%程度である。 数千人の患者を対象とした8件の研究では、脊椎骨折の有無を調べるために用いられてきた29種類の異なる質問と身体検査テストについて述べられている。 29種類の質問のほとんどは正確ではなかっ...

妊娠中の女性のためのビタミンB 12 補給

1 year 4 months ago
妊娠中の女性のためのビタミンB 12 補給 要点 - 妊娠中にビタミンB 12 サプリメントを摂取していた女性は、ビタミンB 12 サプリメントを摂取していなかった女性と比較して、ビタミンB 12 欠乏症が少なく、ビタミンB 12 濃度が高いなど、妊娠中または産後のビタミンB 12 状態が改善される可能性があるが、エビデンスは不明である。 - 妊娠中のビタミンB 12 サプリメントの摂取が、妊婦やその子どものその他の健康アウトカムに及ぼす影響は不明である。 公衆衛生上の意義 ビタミンB 12 は、体内の血液細胞や神経細胞を健康に保つのに重要な栄養素である。ビタミンB 12 欠乏症は、特に低・中所得国において重要な公衆衛生上の問題であり、妊婦や小児の間で重い負担となっている。妊娠中のビタミンB 12 濃度が低いと、流産、子宮内での赤ちゃんの発育不良、赤ちゃんの脳や脊髄の障害(神経管欠損症と呼ばれる)、乳児のビタミンB 12 の低下など、妊娠に関連するいくつかの不利なアウトカムのリスクが高くなる。 妊娠中のビタミンB 12 補充は、女性と赤ちゃんの健康と栄養状態の改善に役立つ可能性がある。ビタミンB 12 は、世界保健機関(WHO、国際公衆衛生を担当する国連の専門機関)が妊娠中の女性に推奨するサプリメントには含まれていない。 調べたかったこと 妊娠中にビタミンB 12 サプリメントを...

電子タバコは禁煙に役立つのか?また、禁煙目的で使用した場合、副作用はないのか?

1 year 4 months ago
電子タバコは禁煙に役立つのか?また、禁煙目的で使用した場合、副作用はないのか? 電子タバコとは? 電子タバコ(e-シガレット)は、携帯型のデバイスで、通常はニコチンと香料を含んだ液体を加熱することで作動する。電子タバコは、煙ではなく蒸気でニコチンを吸い込むことができる。電子タバコはタバコを燃やさないため、従来タイプのタバコを吸っている人の喫煙関連疾患の原因となるのが明らかなレベルと同じレベルの有害物質を吸い込むことはない。 電子タバコを使用することは、「ベイピング」と呼ばれている。電子タバコは、タバコを止めるために使用する人が多い。このレビューでは、主にニコチン入り電子タバコに焦点を当てている。 このコクランレビューを行った理由 禁煙はがんや心臓発作、その他多くの病気のリスクを下げる。多くの人が、タバコを止めるのは難しいと思っている。電子タバコの使用が禁煙の助けになるかどうか、また、電子タバコを使用している人に望ましくない影響がないかどうかを調べた。 実施したこと 禁煙のために電子タバコを使用した研究を検索した。 人々が受けた治療が無作為に決定されたランダム化比較試験を探した。このような研究方法(ランダム割付)は、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスが得られるとされている。また、全員が電子タバコによる治療を受けた研究も探した。また、ランダム化群でなくても、喫煙者に電子タバコ...

高齢者の転倒や転倒に関連した怪我の予防に、集団ベースの介入(個人ではなく地域社会全体を対象とした介入)は有用か?

1 year 4 months ago
高齢者の転倒や転倒に関連した怪我の予防に、集団ベースの介入(個人ではなく地域社会全体を対象とした介入)は有用か? 要点 : - 地域社会全体を対象とした転倒予防のアプローチが、転倒や転倒に関連する怪我を減らすかどうかはわからない。 - 今後の研究は、十分に計画され、介入について最新の記述法を用いるべきである。理想的には、研究では2つの地域社会を比較するだけではなく、複数の地域社会で実施されるべきである。また、対象とする地域社会は大きな集団から構成され、それぞれの地域社会に住む高齢者のタイプは研究が行われた国を代表するものであるべきである。 なぜ転倒予防に努めることが重要なのか? 高齢者の転倒は非常に多い。毎年、65歳以上の高齢者の約3分の1が転倒しており、高齢者の中には年に数回転倒する人もいる。高齢者の転倒は非常に深刻で、骨折や入院治療につながることもある。転倒によっては生活の質(QOL)に深刻な影響を及ぼし、回復まで長期間かかる可能性もある。高齢者の転倒は、骨折の手術など入院治療が必要な場合もあり、医療サービスにも多額の費用がかかる。転倒を予防する方法を見つけることは、高齢者に利益をもたらすだけでなく、転倒による医療サービスへの負荷を減らすことにもなる。 転倒予防のための集団ベースのアプローチとは? 高齢者の転倒を予防するためのアプローチは、通常、転倒のリスクが高い人を対象とし...

コカイン依存症治療薬としてのジスルフィラム

1 year 4 months ago
コカイン依存症治療薬としてのジスルフィラム 要点 - コカイン依存症のある人において、ジスルフィラムはプラセボと比較して、治療終了時に断薬している人の数を増加させる可能性がある。しかし、コカインの使用頻度と使用量、および治療終了時に、断薬を達成し少なくとも3週間維持した人の数にはほとんどあるいは全く影響を及ぼさない可能性がある。ジスルフィラムがコカイン依存症のある人に好ましくない影響を及ぼすかどうかは不明である。 - コカイン依存症のある人では、ジスルフィラムはナルトレキソンと比較してコカインの使用頻度を減少させるが、コカインの使用量にはほとんどあるいは全く影響を及ぼさない可能性がある。 - レビューに含まれた13件の研究のうち、11件は米国で実施されたものであった。さらに、研究に参加した人のほとんどが男性だった。治療効果は社会環境、民族性、性別に強く影響される可能性があるため、今回の結果は他の状況では適用できないかもしれない。 コカイン依存症とは何か? コカインは世界中で最もよく使われている精神刺激薬の1つである。精神刺激薬とは、神経系を刺激し、気分を高める作用のある薬物や違法薬物のことである。最新の推計では、成人の0.4%以上が過去1年間に少なくとも1回はコカインを使用したことがある。 コカインの使用は、感染症(エイズ、肝炎、結核など)の蔓延、犯罪、暴力、妊娠中の薬物曝露など...

再発寛解型多発性硬化症の治療において、免疫系に作用する薬物の利益とリスクは?

1 year 4 months ago
再発寛解型多発性硬化症の治療において、免疫系に作用する薬物の利益とリスクは? 要点 - 2年間の治療後、ナタリズマブ、クラドリビン、アレムツズマブは再発寛解型多発性硬化症の再発の頻度を減少させるのに最も効果的である。ナタリズマブは、治療開始から2年後に障害の進行を遅らせる効果があると思われる。 - 再発寛解型多発性硬化症に対する免疫系に作用する薬剤の利益と有害性を評価するためには、より長期間の研究が必要である。 - これらの種類の薬剤に関する今後の研究では、薬剤同士を相互に比較し、多発性硬化症の患者にとって重要な影響、例えば生活の質(QOL)や思考力、学習能力、記憶力、判断力、意思決定能力などに焦点を当てるべきである。 多発性硬化症とは何か? 多発性硬化症は、身体の関連機能に影響を及ぼす珍しい疾患である。これは、脳や脊髄の炎症とその損傷によって引き起こされ、やがて歩行や身の回りの世話など、日常生活における重要な動作が損なわれる。多発性硬化症の人は、脱力感、疲労感、筋肉の痛みを伴うけいれん、体の特定の部位の感度の低下などの症状を経験する。年月が経つにつれてそのような症状が悪化し、車椅子が必要になることもある。多発性硬化症の最も一般的な病型は「再発寛解型」と呼ばれ、何年もかけて症状が出たり消えたりする。症状が現れることを「再発」という。 やがて、再発がより頻繁になり、ますます厄介な症...

体外受精(IVF)で妊娠を希望する女性にとって、ホルモン剤を個別に調整して投与することはどの程度効果があるのだろうか?

1 year 4 months ago
体外受精(IVF)で妊娠を希望する女性にとって、ホルモン剤を個別に調整して投与することはどの程度効果があるのだろうか? 要点 生児出産または卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のいずれについても、ホルモン剤の投与量を決めるための卵巣予備能検査を用いることを支持あるいは否定する明確なエビデンスは得られなかった。 今後の研究では、くり返される治療の経過にわたって、ホルモン剤の投与量を決めるために卵巣予備能検査を用いることの影響を評価できるだろう。 体外受精における卵巣刺激薬の個別化とは何か? 体外受精(IVF)は、女性の体外で卵子と精子を結合(受精)させる生殖補助医療技術をさす。一般的に体外受精を行う周期では、医師は卵子の成熟を促すホルモン剤を女性に投与する。これは卵巣刺激と呼ばれる。 体外受精(IVF)を行う周期を計画する際には、卵巣刺激薬(ホルモン剤)の投与量は、女性ごとに年齢など特定の因子に基づいて決定される。卵巣刺激に対する反応をよりよく予測できるかもしれない新しい検査が開発されてきた。これらを卵巣予備能検査と呼ぶ。卵巣に利用可能な卵子がいくつあるかを測定するものである。それぞれの卵巣予備能検査の結果に基づいて卵巣刺激薬の投与量を調整することが、妊娠や出産の可能性を高めるのに役立つかどうか、あるいは検査が、重症OHSSのリスクを減らすといった体外受精周期の安全性を高めるのに役立つか...

小児および青少年に対する電子タバコの使用を中止させるための介入は有効か?

1 year 4 months ago
小児および青少年に対する電子タバコの使用を中止させるための介入は有効か? 要点 現在のところ、小児や青少年における電子タバコの使用を予防または中止させるための介入の影響を評価したランダム化比較試験は発表されていない。しかし、本レビューの論点に対してより多くの回答が得られ、今後の更新に含めるために適格であると思われるこの種の22件の研究が進行中である。 知りたかったこと 小児や青少年の電子タバコの使用を予防したり、中止させるために、介入がどの程度効果的であるかを明らかにしたいと考えた。また、これらの介入が小児や青少年の喫煙に対してどのような効果があるのか、そして介入が小児や青少年の健康や、介入を実施した組織にもたらす影響について知りたいと考えた。 実施したこと 本レビューの論点への回答を得るために、ランダム化比較試験(参加者を2種類以上の治療群に無作為に割り付ける種類の研究)から入手可能なすべてのエビデンスを検索した。 わかったこと 2023年5月1日に検索を行ったが、公表されている研究は見つからなかった。しかし、現在進行中であり、今後の本レビューの更新に含めることができる可能性のある研究が22件見つかった。対象となる研究が見つからなかったため、介入が小児や青少年の電子タバコの使用を防止、または中止する効果については不明である。 本エビデンスはいつのものか? 2023年5月1日時点...

クランベリーが尿路感染症の治療に有用であるかどうかについては、まだエビデンス(科学的根拠)が得られていない。

1 year 4 months ago
クランベリーが尿路感染症の治療に有用であるかどうかについては、まだエビデンス(科学的根拠)が得られていない。 クランベリーには、細菌が膀胱の壁に付着するのを防ぐ物質が含まれている。この物質による作用が、膀胱やその他の尿路感染症(urinary tract infections:UTI)予防の役に立つかもしれない。クランベリー(通常はクランベリージュースとして利用される)は、特に高齢者など尿路結石のリスク(危険)が高い群の治療の試みとして使用されてきた。クランベリーには有害な副作用がほとんどない。本レビューでは、クランベリージュースやその他のクランベリー製品の尿路結石の治療効果を報告する研究は得られなかった。 このエビデンスがお役に立ちましたら、コクランへの寄付をご検討ください。私たちは、人々が医療やケアの意思決定をする際に役立つ、利用しやすいエビデンスを作成する慈善団体です。寄付 訳注:  《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2024.10.31] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew r...

小児の手術後の疼痛管理におけるジクロフェナクの有益性と有害性は何か?

1 year 4 months ago
小児の手術後の疼痛管理におけるジクロフェナクの有益性と有害性は何か? 要点 ・強固なエビデンスが不足しているため、手術後の小児の疼痛管理におけるジクロフェナクの有益性と有害性は不明である。 ・ジクロフェナクは吐き気や嘔吐を軽減する可能性があるが、オピオイド(モルヒネなど)に比べて出血のリスクを高める可能性がある。 ・オピオイドや他の薬剤と比較したジクロフェナクの有益性と有害性、あるいは小児に対するジクロフェナクの投与方法の違いについて明らかにするためには、適切にデザインされ、かつ包括的に報告された研究が必要である。 術後の疼痛管理 手術や処置の後の痛みは頻繁に発生するが、術後回復や通常の活動への復帰に影響することがある。術後の痛みを軽減する方法は、ジクロフェナクなどの薬剤を含め、多くの方法がある。ジクロフェナクは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる、炎症や痛みを抑える薬剤の一種である。経口投与や肛門からの直腸への投与(坐薬)など、さまざまな経路で、手術前、手術中、および手術後に投与することができる。 何を調べようとしたのか? 他の治療法と比較したジクロフェナクの有益性と有害性、および小児に対するジクロフェナクの最も効果的な投与方法を明らかにしたいと考えた。 何を行ったのか? (a)術後疼痛に対するジクロフェナクと他の治療法を比較した研究、または(b)小児に対するジク...

薬剤抵抗性部分てんかんに対するラモトリギンのアドオン療法

1 year 4 months ago
薬剤抵抗性部分てんかんに対するラモトリギンのアドオン療法 要点 1.ラモトリギンは抗てんかん薬で、薬剤抵抗性てんかんがある人の焦点発作の補助療法として使用される。焦点てんかんは、脳の特定部位から起こる発作が特徴である。 3.ラモトリギンは小児および成人の発作頻度を減少させるのに有効とされているが、ラモトリギンの長期的効果を評価し、ラモトリギンと他のアドオン薬(追加治療として使用する薬)とを比較するためには、さらなる試験が必要である。 てんかんとはどのような病気か? てんかんは発作を繰り返す脳疾患である。てんかんがある人の約3分の1は、抗てんかん薬を使用しているにもかかわらず発作を起こし続けている。従来の抗てんかん薬には多くの好ましくない作用があるため、効果的な新しい治療法を開発することが重要である。いくつかの新薬は「アドオン」治療薬(他の薬と併用する)として開発されている。この新薬のひとつがラモトリギンである。 何を調べようとしたのか? ラモトリギンの追加投与が、プラセボ(ダミー治療)の追加投与や無追加投与よりも、発作頻度の減少や治療からの離脱の減少、認知(学習能力)や生活の質(QOL)の改善において優れているかどうかを調べたかった。また、望ましくない(有害な)効果があるかどうかも調べたかった。 本レビューで行ったこと 年齢を問わず、これまでの治療が無効であった焦点性てんかん(薬...

抗コリン薬の処方を減らすことで、高齢者の認知に関するアウトカムは改善するか?

1 year 5 months ago
抗コリン薬の処方を減らすことで、高齢者の認知に関するアウトカムは改善するか? 要点 - 抗コリン作用のある薬を多く服用している高齢者は、認知機能が低下するリスクが高いことが知られている。 - 抗コリン薬の処方を減らすことで、認知機能を維持または改善できるかどうかを示す、質の高いエビデンスは不足している。現在のエビデンスは非常に不確かで、短期的なものだ。 - 抗コリン薬による負荷軽減の長期的効果を調査する大規模試験が必要である。 抗コリン薬とは何か? 体内には、コリン作動性システムと呼ばれる化学的シグナル伝達システムがある。このシステムのはたらきを遮断する作用を持つ薬は、「抗コリン作用がある」といわれ、抗コリン薬とよばれている。その薬の作用にとって、抗コリン作用が重要な場合もあれば、意図しない副作用である場合もある。一般的な薬の多くに抗コリン作用があり、そのはたらきが積み重なってしまうこともある。服用するすべての薬の抗コリン作用の合計を、総抗コリン薬負荷という。抗コリン作用の強い薬を1種類、または抗コリン作用の軽い薬を数種類服用している高齢者は、総抗コリン薬負荷が大きい可能性がある。 脳内のコリン作動性システムは、認知(思考と記憶)に重要な役割を果たしている。抗コリン薬の負荷が大きいと、意図せず認知障害を引き起こしたり悪化させたりする可能性がある。認知症の発症を早めたり、すでに認知...

低・中所得国におけるワクチン接種を増やし、維持するための介入

1 year 5 months ago
低・中所得国におけるワクチン接種を増やし、維持するための介入 本レビューの目的は何か? 本コクランレビューの目的は、低・中所得国における、感染予防のためにワクチン接種を受ける小児の数を増やすためのさまざまな戦略の効果について評価することである。そのために関連するすべての研究を収集、分析した結果、41件の研究を見つけた。 小児へのワクチン接種を改善する戦略は機能しているか? 低・中所得国では、ワクチン接種を受けている小児の数が少ないために、ワクチンで予防可能な疾患によって何百万人もの小児が命を落としている。各国政府やその他の機関は、ワクチン接種を受ける小児の数を増やすため、さまざまな戦略を試みてきた。 本レビューで調査されたこと 5歳未満の小児のワクチン接種率を向上させることを目的とした全ての介入について調査を行った。これには、保護者(親または後見人)、育児介助者、コミュニティ、医療システム、またはこれらの組み合わせを対象とした介入が含まれた。 主な結果 アフガニスタン、中国、コートジボワール、エチオピア、グルジア、ガーナ、グアテマラ、ホンジュラス、インド、インドネシア、ケニア、マリ、メキシコ、ネパール、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、ルワンダ、およびジンバブエにおける合計100,747人が参加した41件の関連研究が見出され、通常の医療サービスのみを受けた場合との比較が行われ...

インフリキシマブによる活動期のクローン病に対する治療

1 year 5 months ago
インフリキシマブによる活動期のクローン病に対する治療 要点 - インフリキシマブとプリンアナログ製剤(アザチオプリンまたは6-メルカプトプリン)の併用は、クローン病の寛解(症状のない状態)を達成するにあたりプリンアナログ製剤単独よりも効果的であり、症状の改善にも優れている可能性がある。また、この2つの治療法の安全性は同等であると思われる。 - インフリキシマブ単独投与は、プリンアナログ製剤単独投与よりもクローン病の寛解達成と症状の改善に有効である可能性がある。また、この2つの治療法の安全性は同等であると思われる。 - インフリキシマブは、クローン病の寛解達成と症状の改善には、バイオ後続品と同等に有効である可能性がある。また、この2つの治療法の安全性は同等であると思われる。インフリキシマブのバイオ後続品とは、インフリキシマブの先発品と非常に類似している生物学的製剤(生きた細胞や生物を利用して作られた物質を含む)のことである。 クローン病とは クローン病とは、腸のあらゆる部分に起こり、生涯続く可能性のある炎症性疾患である。よくみられる症状には、血便、下痢、腹痛、発熱、体重減少、疲労などがある。クローン病の原因は正確にはわかっていないが、遺伝子、免疫系(感染から体を守る働き)の問題、腸内細菌、および何らかの環境因子が絡み合っている可能性が高い。 クローン病の確立した治療法はないが、通常...

郵送やウェブアンケートへの回答を増やすにはどうしたらよいか?

1 year 5 months ago
郵送やウェブアンケートへの回答を増やすにはどうしたらよいか? 要点 アンケートの回答は、アンケートを送る前に連絡を取ることで増やすことができる。 アンケート、手紙、電子メールをより個人的なものにし、できれば内容を短くすることで、アンケートへの回答が増える可能性がある。 アンケートへの回答は、例えば少額の金銭や、ペンなど金銭以外のインセンティブを与えることでも増やすことができる。 なぜアンケートへの回答が重要なのか? 郵送および電子アンケートは、研究目的のために人々から情報を収集するための比較的安価な方法である。返事をしない人(いわゆる「非回答者」)が存在した場合は、調査結果の精度が低くなる傾向がある。 知りたかったこと 郵送や電子アンケートへの回答を増やす効果的な方法を探したかった。 実施したこと アンケートの回答を増やす方法を検討した研究を探した。 また、研究結果を要約した。 わかったこと アンケートの回答を増やす方法を特定するために、非常に多くの研究が行われており、このコクラン方法論レビューの更新版には758件の研究が含まれた。患者、医師、大学生、教授、販売部長、会計士、食料品店の店長など、さまざまな人々がアンケートに答えていた。 アンケートを送る前に連絡を取ることで、回答が増えることがわかった。また、郵送アンケートは大学から送付された方が回答が増えることもわかった。アンケー...

多発性硬化症の治療に伴うリスクは?

1 year 5 months ago
多発性硬化症の治療に伴うリスクは? 要点 - 多発性硬化症の治療に用いられる免疫療法は、偽薬(プラセボ)と比較して、重篤なヘルスイベント(健康上の問題)を増加させないようである。 - これらの薬の多くには好ましくない作用があり、偽薬(プラセボ)に比べて副作用のために研究対象から脱落する人が多いものもある。 - 多発性硬化症患者では、重篤な健康上の問題(ヘルスイベント)が比較的まれであるため、これらの結果は部分的にしか信頼できないか、あるいは信頼できない。つまり、この問題を研究することがむずかしく、重篤な健康上の問題(ヘルスイベント)もあまり報告されていない。 どのような疾患か? 多発性硬化症(MS)は脳と脊髄に影響を及ぼす。多発性硬化症は男性よりも女性に多く発症する。多発性硬化症では、免疫系が体内の神経を覆っている髄鞘を攻撃し、その機能を弱める。重度の多発性硬化症患者の中には、しばらくの間、手足がうまく使えなくなる人もいるが、通常は回復する。長年にわたって何度も発作を起こしている人の中には、歩行などの障害が生じる場合がある。 どのように治療するか? 免疫系を調節するいくつかの治療法は、発作後の回復を早め、病気の経過を改善するのに役立つ。 何を調べようとしたのか? 多発性硬化症の治療に使用される薬物のリスクを調査することを目的とした。重篤なあらゆる種類の健康上の問題を評価したいと考...

ニルマトレルビルとリトナビルの併用は新型コロナウイルス感染症の治療または予防に有効か

1 year 5 months ago
ニルマトレルビルとリトナビルの併用は新型コロナウイルス感染症の治療または予防に有効か 要点 ニルマトレルビルとリトナビルの併用(販売名パキロビッド®パック、2種類の錠剤1日分が1枚のシートになっているパック製剤)は、2019年に始まった新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の治療として評価されている。 ニルマトレルビルとリトナビルの併用は、入院の必要性または28日以内の死亡率による評価によると、疾患の進行リスクが高いワクチン未接種の外来患者が症状発現から5日以内に治療を受けた場合、死亡率の減少と患者の症状改善につながる可能性がある。 しかし、入院患者に対するニルマトレルビルとリトナビルの併用の効果については非常に不確実である。 研究インテグリティ(研究の公正性)に関する懸念から2件の研究を除外した。また、進行中の研究が13件あった。 ニルマトレルビル/リトナビルについて ニルマトレルビルとリトナビルの併用錠は、SARS-CoV-2ウイルス感染症(COVID‐19)を治療するために開発された新しい薬であり、症状のない人や症状が軽度の患者が重症化するのを防ぐことを目的としている。リトナビルはニルマトレルビルの効果を高めるが、他の多くの薬剤と相互作用を起こし、副作用を増加させる可能性がある。 知りたかったこと ニルマトレルビルとリトナビルの併用が、COVID-19患者の死亡...

査読者を訓練することの利益は何か?

1 year 5 months ago
査読者を訓練することの利益は何か? 要点 ・査読者の訓練は、査読の質にほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性がある。 ・訓練の効果をより適切に評価するためには、より大規模かつ適切にデザインされた研究が必要である。 査読者とは何か? 査読者とは、他の人が行った研究を評価する人のことである。査読者は通常、評価する研究を実施するために必要なスキルと同等のスキルを持った研究者が担当する。 何のために査読が行われるのか? 研究プロジェクトや報告書が良質かどうかは、研究の資金提供者や出版社にもわからない場合がある。そこで多くの場合、査読者による査読を利用して、プロジェクトや報告書の質の評価が行われる。 査読者の訓練によって、査読の質をどのように向上させることができるのか? 査読者を訓練することで、研究の長所と短所がよりよく特定できるようになる可能性がある。 何を調べようとしたのか? 査読者を訓練することで、査読の質が向上するかどうかについて評価を行った。 何を行ったのか? 査読者の訓練について、訓練を行わなかった場合、異なる種類の訓練を行った場合、および学術誌や資金提供者が行う標準的な方法と比較した研究について検索を行った。関連するすべての研究の情報を抽出し、結果を要約した。エビデンスに対する信頼性を、研究方法や研究規模などの要因に基づいて評価した。 何を見つけたのか? 合計1,213の...

成人のパニック障害における薬物療法:ネットワークメタアナリシス

1 year 5 months ago
成人のパニック障害における薬物療法:ネットワークメタアナリシス このレビューの重要性 パニック障害のある人は、この障害により深刻な影響を受けており、仕事、教育、社会生活、家庭生活に問題を抱えていることがよくある。このレビューではどの薬が最も効果的で安全かを評価したかった。特にネットワークメタアナリシスの結果が、ケアを改善するための最善の薬剤を特定するのに十分妥当かどうかを評価しようとした。これらの分析はエビデンスにおける重要な不確実性を減らすための、今後の研究への示唆にもつながっている。 このレビューに関心がある人は? このコクラン・レビューに掲載されている研究は、以下の人々にとって興味深いものであろう。 - パニック障害の治療方針を決定し、その障害の治療薬の処方に関する決定に影響を与える人 - パニック障害のある人にこれらの薬を処方する人 - パニック障害のある人 - その障害がある人を支え、世話をする人 何を調べようとしたのか? 成人(すなわち18歳以上)のパニック障害の症状を改善するために、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、アザピロン系薬剤がどの程度有効であるかを調べたいと考えた。 また、これらの薬剤が以下の項目にどのような影響を与えるのかを明らかにしたい。 - パニック障害の症状 - 薬の副作用の指標として、研究からの脱落(中止) - 回復、パニック障害の診断基準を満たさ...
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14 hours 18 minutes ago
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