Latest Japanese Reviews

がん以外の慢性疼痛を抱える子どもとその家族が、自身の状態、疼痛サービス、治療について経験し理解すること:メタエスノグラフィー

1 year 7 months ago
がん以外の慢性疼痛を抱える子どもとその家族が、自身の状態、疼痛サービス、治療について経験し理解すること:メタエスノグラフィー 本レビューの目的は何か? このコクランの質的エビデンス統合の目的は、慢性疼痛を抱える子どもや若者とその家族が以下の項目に関してどのようであるかを知ることである:1)慢性疼痛について考える、2)慢性疼痛とともに生きる、3)医療・福祉サービスが自分の疼痛をどのように扱ったかを考える、4)サービスや治療に何を望むか。これらの疑問に答えるため、これらのトピックに関連するすべての質的研究を探し、分析し、その結果をまとめた。この質的なエビデンスの統合は、慢性疼痛を持つ子どもに対する治療の効果を評価する14件のコクラン・レビューにリンクしている。 この統合からわかったこと 世界中の子どもや若者の約20%から35%が、12週間以上続く痛みを抱えている(私たちはこれを慢性疼痛と呼んでいる)。健康状態や生活の質(QOL)が低下し、学校や社会活動に参加できなくなることもある。慢性的な痛みは、医療サービスや治療の利用を増やすことにつながる。子どもの慢性疼痛がうまく治療されないと、大人になっても続くことがある。多くの国では、子どもの慢性疼痛を管理するサービスはほとんどなく、現在提供されているサービスも不十分である。慢性疼痛管理のための英国および世界の臨床ガイドラインと、小児の慢性疼...

若年成人および生まれつき心臓疾患のある成人のうつ病に対する心理療法

1 year 7 months ago
若年成人および生まれつき心臓疾患のある成人のうつ病に対する心理療法 要点 - 心理的介入(会話/カウンセリング療法)は先天性心疾患のある成人のうつ病の症状を軽減する可能性がある。 - 介入の期間、頻度、種類など、この集団に最適な心理療法を定義するためには、さらなる研究が必要である。 先天性心疾患とは? 先天性心疾患は、心臓の働き方に影響を及ぼすさまざまな先天性障害を定義するために使われる包括的な用語である。 なぜ、このレビューが重要か? 生まれつき心臓に問題のある若者や大人がうつ病になることもある。抗うつ薬のほかに、うつ病を軽減するための治療法として、さまざまな種類の会話療法(心理療法として知られている)がある。会話療法による治療には、抑うつ状態の軽減や生活の質(QOL)の向上などの効果があるが、治療によって抑うつ状態が緩和されるわけではない。 知りたかったこと 目的は、若年成人および先天性心疾患を有する成人のうつ病治療に対する心理的介入の効果(有害性と有益性の両方)を検討することであった。 実施したこと 医学文献の検索を2023年3月までに更新した。基準を満たす研究を選択し、うつ病のバイアスのリスクを評価し、これらの研究結果を比較し、これらの研究(評価方法やサンプルの大きさなど)に基づいてエビデンスの確実性を評価した。 わかったこと 先天性心疾患を有する計480人が参加し、心理...

高齢者の帯状疱疹を予防するためのワクチン

1 year 7 months ago
高齢者の帯状疱疹を予防するためのワクチン 要点 健康な高齢者の帯状疱疹は、ワクチンで予防できる。 帯状疱疹とは何か? 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化による疾患である。水痘・帯状疱疹ウイルスは水痘(水ぼうそう)を引き起こし、神経細胞内で何年も不活性のまま存在することができる。このウイルスが再活性化すると、神経を通って皮膚に到達し、神経の通っている道筋に沿って水疱を形成することがある。この状態は帯状疱疹と呼ばれ、主に高齢者など免疫力の低下した人に発症する。水疱が現れる前に、かゆみ、しびれ、ピリピリ感、局所的な痛みを伴うことがある。帯状疱疹は神経の炎症と激しい痛みを引き起こし、生活の質に影響を与える。帯状疱疹の発症率(一定期間における有リスクの人口における新規症例数)は、人口1,000人あたり年間2.08例から6.20例である。この数値は、平均余命が延びたことにより増加傾向にある。 何を調べようとしたのか? 帯状疱疹ウイルスワクチンを接種した健康な高齢者が、偽のワクチン(帯状疱疹に関連した効果をもたらさないプラセボ)を接種した高齢者と比較して、帯状疱疹を発症する可能性が低いかどうかを調べたかった。また、プラセボと比較して、ワクチンが有害事象を引き起こすかどうかについて調査したかった。 何を行ったのか? 帯状疱疹の予防ワクチンを接種した健康な高齢者(平均年齢60歳以上)と、...

原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較

1 year 7 months ago
原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較 要点 体外受精(IVF)治療は、自然周期の子宮内人工授精(IUI)治療と比較して、生児出産の確率が高い可能性がある。体外受精は、クロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行ったことがある女性において、卵巣刺激周期の人工授精と比較した時も、出生率が高くなる可能性がある。しかし、治療をした経験がない女性では、体外受精による生児出産率は、ゴナドトロピンあるいはクロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行った場合と変わらないかもしれない。 背景 体外受精は、原因不明の不妊症のカップルによく行われる治療であるが、これは診断されていないさまざまな生物学的問題を回避できる可能性があることによる。しかしながら、高価で侵襲的であり、合併症を引き起こす可能性もある。原因不明の不妊症に対する他の治療方法としては、自然妊娠を試みる、子宮内に洗浄した精子を注入する子宮内人工授精(IUI)、排卵誘発剤であるクロミフェンクエン酸塩あるいはゴナドトロピンを使用して卵巣を刺激した周期での人工授精などがある。 知りたかったこと 原因不明の不妊症に対して、体外受精が他の治療法よりも生児出産につながるかどうかを調査した。 行ったこと 9件のランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のうちの1つに無作為に割り当てるタイプの試験)をレビューに組みこんだ。いくつかの試験...

プラバスタチンによる脂質低下

1 year 7 months ago
プラバスタチンによる脂質低下 要点 - プラバスタチンは低比重リポ蛋白コレステロールを減少させ、その効果は5mgから160mgの範囲で用量に依存する。 - プラバスタチンは80mg/日が認可された最大用量である。 - このレビューの著者らが行った他の系統的レビューによれば、プラバスタチンのコレステロールに対する効果はフルバスタチンと同様であり、他のスタチンよりもコレステロールに対する効果は低い。 コレステロールと血中脂肪とは何か? コレステロールはすべての動物の細胞膜を作り、維持するために必要であり、人間の生命維持に不可欠である。コレステロールの主成分は、低比重リポ蛋白、高比重リポ蛋白、トリグリセリドである。低比重リポ蛋白は、血液中で脂肪分子を体中に運び、脂肪分子を細胞に送り込む。高密度リポタンパク質は、細胞から脂肪分子を除去し、肝臓に運ぶ。コレステロールとその成分である低比重リポ蛋白コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロールは血液中で測定することができる。トリグリセリドはすべてのリポ蛋白に含まれ、血液中でも測定できる。血液中の脂肪は、心臓や血管に影響を及ぼす有害事象に関係していると考えられている。 プラバスタチンとは? プラバスタチンは、血中コレステロールを低下させるスタチンと呼ばれる薬物群のひとつである。他のスタチンとは?スタチンは望ましくない影響を生じるか? 知りたかった...

妊娠を希望するカップルのためのタイミング療法

1 year 7 months ago
妊娠を希望するカップルのためのタイミング療法 レビューの論点 妊娠を希望するカップルにおいて、(排卵日予測を用いた)タイミングを合わせた性交と、排卵日を予測しない性交の効果に関するエビデンスを検討した。 背景 なかなか妊娠せず、不妊に悩むカップルは多い。女性が妊娠できる期間は、各月経周期において、排卵する約5日前から排卵した数時間後までだけである。なぜなら、精子と卵子の生存期間が限られているためである。そのため、女性の月経周期においてこの妊娠可能な期間を特定し、性交のタイミングをとることで、妊娠率が向上する可能性がある。この方法は、不必要な治療や高度不妊治療にかかる費用を削減できるかもしれないが、ストレスなどの有害事象を引き起こす可能性もある。妊娠可能な期間は、排卵検査薬(尿中に放出されるホルモンの変化を検出し、排卵の時期を示す検査キット)、排卵する時期を自分で推測する方法(FABM)(カレンダーでの確認、おりものの変化や基礎体温の記録など)、超音波検査で卵胞の大きさを確認して排卵の時期を予測する方法など、さまざまな方法で特定することができる。このレビューは、妊娠を希望するカップルの妊娠、出産、悪影響、生活の質(QOL)に対するタイミングを合わせた性交(タイミング療法)の利益とリスクを評価することを目的とした。 研究の特性 2,464人の妊娠を希望する女性またはカップルを対象に、...

抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリメントは加齢黄斑変性(AMD)の進行を遅らせるか?

1 year 7 months ago
抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリメントは加齢黄斑変性(AMD)の進行を遅らせるか? 主要な結果 - 抗酸化作用のあるマルチビタミンのサプリメントを摂取することで、加齢黄斑変性症(AMD)の進行を遅らせることができるかもしれない。 - 中等度のAMDがある人は、初期のAMDの人よりも進行のリスクが高いため、抗酸化サプリメントの利益を受ける可能性が高い。 ビタミンサプリメントは一般に安全とみなされているが、本レビューの対象の多くが小規模試験であったため、安全性に関する良質なエビデンスは得られなかった。 加齢黄斑変性症とは何か? 加齢黄斑変性症(AMD)は、中心視力が低下する目の病気である。通常、50歳以上の人にのみ診断される。AMDでは、加齢とともに目の奥(網膜)の中心部(黄斑部)が変性して侵される。 初期のAMDでは、網膜の下に黄色い斑点(ドルーゼンと呼ばれる)が眼科医によって確認される。罹患した人は、おそらく問題があることに気付いていない。病気が進行すると、ドルーゼンは大きくなる(中等度AMD)。病気の後期には、視力に必要な、目の奥の細胞が失われることがある。これは地図状萎縮と呼ばれる。時には、新しい(有害な)血管が黄斑部で成長する。これらの血管は出血して瘢痕を残すおそれがある。これは滲出型(血管新生を伴う)AMDと呼ばれる。滲出型AMDおよび地図状萎縮は後期AMDとして知られて...

薬と電子タバコは禁煙にどの程度効果があるのか、またどちらが最も効果的なのか?

1 year 7 months ago
薬と電子タバコは禁煙にどの程度効果があるのか、またどちらが最も効果的なのか? 要点 一部の薬や電子タバコ(通常はニコチンや香料を含む液体を加熱して使用する携帯型機器)は、6か月以上の禁煙に効果がある。 電子タバコと、シチシン(別称タベックス)とバレニクリン(別称チャンティックスとチャンピックス)という薬が、最も多くの人の禁煙に役立っているようで、次いで2種類のニコチン代替療法(ニコチンパッチとガムやトローチなど別の種類)を同時に使用するのが役立つようである。 電子タバコや禁煙補助薬の長期的な害の可能性についてはより多くのエビデンスが必要だが、見つかった深刻な害の数は非常に少ない。 禁煙 喫煙は健康に悪影響を及ぼすが、禁煙すると健康の改善に大きくつながる可能性がある。ほとんどの人が禁煙を望んでおり、そのための薬や電子タバコがある。それらの薬は、ニコチン代替療法として、シチシン、バレニクリン、ブプロピオン(ザイバンまたはウェルブトリンとして知られることもある)、ノルトリプチリン(ノルプレスとして知られることもある)と呼ばれる。ノルトリプチリンはニュージーランドでのみ禁煙治療に使用できるが、シチシンは多くの国で使用できない。本稿執筆時点では、製造上の問題によりバレニクリンが不足している。これらの薬や電子タバコは、カウンセリングなどの行動支援と並行して提供される場合がある。禁煙補助薬や電...

シフト制労働者の睡眠の質を上げ、睡眠時間を増やして、眠気を軽減するための勤務スケジュールの変更

1 year 7 months ago
シフト制労働者の睡眠の質を上げ、睡眠時間を増やして、眠気を軽減するための勤務スケジュールの変更 要点 ・勤務スケジュールを変えると、睡眠の質が改善したり、睡眠時間が増えたり、眠気が軽減されるというエビデンス(科学的根拠)は限定的である。 ・勤務スケジュールの変更が睡眠や眠気に与える効果について、より強固な結論を引き出すには、さらなる研究が必要である。 シフト制労働者の睡眠を改善するために何ができるか? シフト制勤務はしばしば睡眠不足の原因となって、労働者の注意力の低下を招くほか、最終的に健康や労働安全に影響を及ぼす可能性がある。勤務スケジュールの変更は、シフト制勤務の望ましくない影響を抑える可能性のある方法の一つである。 調べたかったこと 勤務スケジュールをどのように調整すると、休日の睡眠を改善して勤務中の眠気を減らせるか調べたかった。 行ったこと 勤務スケジュールの以下の側面を評価した研究を探した。 ・勤務スケジュールが変わる(ローテーションがある)か、一定であるか ・勤務スケジュールの変化が規則的か、不規則であるか ・シフトの循環の方向(朝勤→昼勤→夜勤または夜勤→昼勤→朝勤) ・循環の速さ ・シフト勤務時間の長さ ・各シフトの始業時刻 ・勤務スケジュールの組み方(シフトが少ない長時間勤務またはシフトが多い短時間勤務) シフト間の休息時間の長さ ・スプリット(分割)シフト ・...

多発性硬化症がある人の状態の変化(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか?

1 year 8 months ago
多発性硬化症がある人の状態の変化(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか? なぜ多発性硬化症を研究することが重要なのか? 多発性硬化症(MS)は、脳、脊椎、神経の慢性疾患である。世界中で何百万人もの人々がこの病気を患っているが、病態やその経過は人によって大きく異なる。MSを完治することはできないが、症状を緩和したり、病状の悪化を遅らせるのに役立つさまざまな治療法がある。これらの治療法の作用の仕方はさまざまで、他の治療法より強い副作用を伴うものもある。MSの重篤度を理解することは、患者本人と医療従事者にとって重要である。 なぜ多発性硬化症では予後予測モデルが重要なのか? 予後予測モデルは、患者の病状がどれだけ進んでいるか、将来どの程度進行するか、患者本人と医療従事者が理解する上で助けとなる。この理解は、患者が人生や治療の選択を行う際のよりどころとなりうる。予後予測モデルはまた、医療従事者が個々の患者にどのような治療が最も適しているか判断したり、病気をよりよく理解するために、あるいは治療法を開発する上で役立ちうる。MSの予後予測モデルでは、病気がどのように進行していくかを予測するために、患者本人に関する一連のさまざまな情報を組合わせることになるかもしれない。予後予測モデルに組み込むべき重要な情報は、例えば、個人の属性に関する情報(年齢、性別、体格指数など)、行動に関する情...

多発性硬化症がある人の結果(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか?

1 year 8 months ago
多発性硬化症がある人の結果(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか? なぜ多発性硬化症を研究することが重要なのか? 多発性硬化症(MS)は、脳、脊椎、神経の慢性疾患である。世界中で何百万人もの人々がこの病気を患っているが、病態やその経過は人によって大きく異なる。MSを完治することはできないが、症状を緩和したり、病状の悪化を遅らせるのに役立つさまざまな治療法がある。これらの治療法の作用の仕方はさまざまで、他の治療法より強い副作用を伴うものもある。MSの重篤度を理解することは、患者本人と医療従事者にとって重要である。 なぜ多発性硬化症では予後予測モデルが重要なのか? 予後予測モデルは、患者の病状がどのだけ進んでいるか、将来どの程度進行するか、患者本人と医療従事者が理解する上で助けとなる。この理解は、患者が人生や治療の選択を行う際のよりどころとなりうる。予後予測モデルはまた、医療従事者が個々の患者にどのような治療が最も適しているか判断したり、病気をよりよく理解するために、あるいは治療法を開発する上で役立ちうる。MSの予後予測モデルでは、病気がどのように進行していくかを予測するために、患者本人に関する一連のさまざまな情報を組合わせることになるかもしれない。予後予測モデルに組み込むべき重要な情報は、例えば、個人の属性に関する情報(年齢、性別、体格指数など)、行動に関する情報(喫...

手術中に失われた血液を回収して患者自身に戻すことで、献血された血液をその患者に使用する必要性を減らせるか?

1 year 8 months ago
手術中に失われた血液を回収して患者自身に戻すことで、献血された血液をその患者に使用する必要性を減らせるか? 要点 本レビューでは、待機的で緊急性のない(外傷以外の)手術について、自己血回収術を用いる場合と用いない場合を比較した研究を評価した。手術にはさまざまなタイプがあるため、本レビューの対象は非常に広範である。エビデンスは手術のタイプによって分け、医師や患者が自身に関係するものを見つけやすいようにした。 がんの手術、人工心肺装置を使わない心臓手術、血管手術(大血管の手術)については、あまりエビデンスがない。 大半のエビデンスは、自己血回収術を用いると、献血された血液の必要性が少なくなる可能性を示唆している。自己血回収術を用いても通常の処置と比べて合併症は増えない(自己血回収術を用いた群と用いなかった群の間では差がなかった)というエビデンスは不確かだが、全体としては便益がある可能性を示している。しかし、強い結論を下す前に、エビデンスに影響している他の要素に注目した研究をさらに行う必要がある。 自己血回収術とは何か?また、なぜ用いられるのか? 手術を受ける人は、手術中に失われる血液を補うために輸血が必要になる場合がある。「輸血」は、患者の腕の静脈に挿入した細い管を通じて血液を投与するルーチンの医療行為である。輸血に使われるのは、多くは献血者から提供された血液である。輸血によって命を...

音楽療法は早産児とその両親に有益か?

1 year 8 months ago
音楽療法は早産児とその両親に有益か? 要点 ・音楽療法は、標準的なケアと比較して、おそらく早産児の介入中の心拍数を低下させる。この有益な効果は、介入後もさらに増大し、より確実性が高いものとなり、リラックス効果と安定化が長く持続することが示唆された。 ・音楽と音声による有害な影響は見られなかった。しかし、多くの研究で望ましくない影響の可能性について明確に探索していない。 ・介入による乳児、その両親、両親と乳児の愛着に対する他の明確な有益または有害な効果についてのエビデンスは見つからなかった。より明確な結論を出すには、より質の高いエビデンスが必要である。 早産児とは? 早産児とは、妊娠37週以前に生まれた新生児のことで、多くの場合、生存のために新生児集中治療室というストレスの多い環境で数週間から数カ月にわたって治療を受ける必要がある。 なぜ、早産児とその両親に対する音楽療法の潜在的な利点を調べるのか? 早産児はさまざまな健康上の問題を抱えるリスクがある。また、早産は両親にとってもトラウマとなる出来事である。そのため、早産児とその両親の身体的及び精神的健康を改善するために、新生児ケアにおける音楽療法などの補完的アプローチを用いることが多くなっている。しかし、さまざまな研究およびレビューが示す音楽療法の有効性は明確なものではない。矛盾するデータやレビューに対処するために、より包括的で厳格...

貧血予防と健康増進のための調味料への鉄分の添加

1 year 8 months ago
貧血予防と健康増進のための調味料への鉄分の添加 要点 - 調味料に鉄分を添加した場合、鉄分の状態がわずかに改善され、鉄欠乏症が軽減される可能性があり、鉄分を他の微量栄養素と一緒に添加した場合、貧血を軽減できる可能性がある。また、有害事象は報告されていなかった。 - 本レビューに含まれた研究間には多くのばらつきがあり、決定的な結論を出すことは困難である。調味料の鉄分強化の効果については、十分によくデザインされた研究を用いて、その調味料を使っている人々を対象にして今後も研究を続けていくべきである。 貧血とは何か? 鉄欠乏は、世界で最も一般的な栄養欠乏症の1つであり、世界の疾病負荷(訳者注:疾患・傷害による健康損失を死亡だけでなく障害も考慮に入れて数値化した指標)に有意に寄与している。最も一般的な原因である鉄分の摂取不足など、貧血を引き起こす要因は複数あり、世界で約18億人が貧血に罹患している。一般的に、低所得国の方が高所得国よりも貧血が多い。鉄欠乏症や貧血は、小児では身体的、認知的発達に、成人では労働生産性や経済的幸福度に影響を及ぼす可能性がある。調味料の鉄分を強化することは、鉄欠乏症の軽減に有用かつ費用対効果の高い方法である可能性がある。しかし、現在までのところ、政策決定のために鉄分補給の安全性と有効性を系統的に評価した例はない。 何を調べようとしたのか? 調味料に鉄分のみ、または...

心理社会的介入はケアホーム入居者の抗精神病薬使用を減らすことができるか?

1 year 8 months ago
心理社会的介入はケアホーム入居者の抗精神病薬使用を減らすことができるか? 要点 一般的に心理社会的介入が、ケアホームにおける抗精神病薬の使用を減らす効果的な方法であるかどうかは不明である。この調査ではさまざまなアプローチが用いられ、一貫性のない結果が示されたが、異なる医療・社会保障制度における結果を一般化することは難しいようだ。心理社会的介入が、転倒事故や入院などの有害な出来事につながるというエビデンスはなかった。 なぜケアホームの入居者は抗精神病薬を処方されるのか? ケアホームの入居者の多くは認知症を持っており、病気の経過中の様々な時期に、感情や行動の問題を経験するが、より一般的に経験するのは認知症の後期である。症状は、入居者自身や介護者の双方にとって重く、困難の大きいものであり、不安、落ち着きのなさ、徘徊、幻覚(実際にはないものが見えたり聞こえたりする)、他人に対する攻撃的な行動などが含まれる。介護者は、入居者の困難な行動に直面し、その行動の原因、前兆、結果を分析することに直面する。 こうした症状や行動を抑えるために、抗精神病薬が使われることが多い。抗精神病薬は、主に精神病に関連した症状(物事を他の人とは違うように認識したり解釈したりする精神的な健康問題)の治療に使用されるが、認知症など精神病に似た症状を持つ他の病気にも使用される。これらの薬は必ずしも有効であるとは限らず、認...

早産児の気管支肺異形成予防のために静脈内投与されるさまざまな副腎皮質ステロイド(薬)治療の利点とリスクは?

1 year 8 months ago
早産児の気管支肺異形成予防のために静脈内投与されるさまざまな副腎皮質ステロイド(薬)治療の利点とリスクは? 要点 - このレビューでは、ネットワークメタアナリシス(NMA)を用いた。ネットワークメタアナリシスは比較的新しいツールであり、過去の臨床試験で直接比較されていない治療法も含め、関連するすべての治療法を比較することができる。 - NMAは既存のデータにわずかな情報を加えることができ、特に未熟児出生児の気管支肺異形成(BPD)予防のための副腎皮質ステロイド(薬)の投与量の違いによる効果の比較は重要であった。 - 長期的な有害性に関して、意思決定を完全に導くのに充分なエビデンスが得られていない。したがって、ステロイドを投与する最適な方法はまだ示せない。 BPD(気管支肺異形成)とは? 未熟児として生まれた新生児は、気管支肺異形成(BPD)として知られる肺障害を発症する可能性があり、これは深刻で永続的な有害な影響を及ぼす可能性がある。 BPDはどうすれば予防できるのか? 副腎皮質ステロイドとして知られる抗炎症薬は、その抗炎症作用によってBPDの発症を抑えることができるが、それなりの潜在的リスクもある。どの種類のステロイド(デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどがある)を使うか、どの程度の量を使うか、いつから治療を開始するかなど、これらの利点とリスクのバランスをとるための最適なステロ...

踵穿刺(訳注:踵からの採血)を受ける新生児の鎮痛(痛みを和らげる)のためのショ糖

1 year 8 months ago
踵穿刺(訳注:踵からの採血)を受ける新生児の鎮痛(痛みを和らげる)のためのショ糖 要点 - スクロース(ショ糖)は対照介入と比較して、おそらく単一の疼痛事象(踵穿刺)に対する疼痛を軽減する。 - 嘔吐のような軽度の有害事象はいくつかあったが、介入することなく消失した。 - ショ糖の反復投与が、即時的な転帰(痛みの強さ)と長期的な転帰(神経発達)に及ぼす影響を評価する研究が必要である。 - ショ糖が、極度の早産児、不安定児、人工呼吸中の新生児(あるいはこれらの要因が組み合わさった新生児)にどのような影響を与えるかを評価する必要がある。 スクロース(ショ糖)鎮痛とは? ショ糖(テーブルシュガー)は、さまざまな濃度(通常は24%)の水に混ぜて、痛みを伴う処置の約2分前にごく少量(たとえば数滴)赤ちゃんに与える。ショ糖は、おしゃぶり(非栄養性吸啜-NNS)やスキンシップのような、薬物以外の痛みを和らげる介入を行う際にも投与される。 踵穿刺処置を受ける新生児にとって、なぜこれが重要なのでしょうか? 病気や未熟児で入院が必要な赤ちゃんは、1日に何度も痛みを伴う処置を受け、入院中も何度も痛みを伴う処置を受ける。ほとんどの赤ちゃんにとって,痛みを伴う処置の大半が踵穿刺処置です。痛みを治療しなければ、脳や行動の発達に影響を及ぼす可能性がある。痛みを伴う処置の回数と、それに伴う痛みや苦痛を最小限に抑...

レイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)は、子どもの消耗症を効果的に発見し、治療することができるか?

1 year 8 months ago
レイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)は、子どもの消耗症を効果的に発見し、治療することができるか? このコクラン・レビューの目的は、消耗症(訳注:急性あるいは重度の栄養不足により、差し迫った死の危険に直面している状態のこと)の子どもの発見と治療において、専門の医療従事者よりもレイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)の方が効果的かどうか調べることである。 要点 このレビューの結果は、重度の消耗症に対してレイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)からケアを受けた子どもは、専門の医療従事者からケアを受けた子どもと同じような結果になるか、わずかに結果が悪くなる可能性があることを示唆している。 消耗症とは何か? 小児期消耗症とは、身長のわりにやせすぎている子どもを指す。消耗症は、子どもが十分な食事や健康的な食事を摂っていない場合、あるいは病気のために起こる。消耗症に罹患している子どもは、病気の頻度が高く、発達に問題がある場合があり、特に消耗症が重症の場合は死亡する可能性が高い。何百万人もの子どもたちが消耗症に苦しんでおり、そのほとんどが貧しい国に住んでいる。 この問題に対する最善の解決策は、そもそも消耗症の発症をなくすことである。それが不可能な場合は、できるだけ早く消耗症の子どもを発見し、治療することが重要である。しかし、治療には数週間から数カ月を要することもあり、家族が治療を受けるには困...

妊婦のてんかん治療とこどもの身体的健康

1 year 8 months ago
妊婦のてんかん治療とこどもの身体的健康 背景 てんかんを有する多くの女性にとって、妊娠中に抗てんかん薬の服用を継続することは健康上重要である。しかし、子宮内で抗てんかん薬(ASM)に暴露された子では奇形または先天異常の発現リスクが上昇することが、過去40年間の研究により示されている。 研究の論点 このレビューの目的は、妊娠中の抗てんかん薬への曝露が、主要構造先天奇形(先天性欠損症としても知られる)のこどもを持つリスクの増加と関連しているかどうかを理解することである。 研究特性 このレビューには、ASMが使用された25,000件以上の妊娠を含む49件の既発表研究が含まれている。てんかんを有し1種類のASMの服用を継続した女性の子と、てんかんを有しない女性の子またはてんかんを有するがASMの服用を継続しなかった女性の子を比較した。また、他のASMによる子宮内暴露を受けた子との比較も行った。本レビューで示されたエビデンスは2022年2月現在のものである。 結果 レビューされた研究から得られたデータ量は、使用された抗けいれん薬の種類によって大きく異なっており、このことがいくつかの所見を説明している可能性がある。 てんかんのない女性から生まれた子供の奇形率は2.1%から3.3%であり、てんかん未治療の女性から生まれた子供の奇形率は3.0%から3.2%であった。したがって、奇形を持って生まれ...

婦人科良性疾患に対する子宮摘出術の外科的アプローチ

1 year 8 months ago
婦人科良性疾患に対する子宮摘出術の外科的アプローチ レビューの論点 婦人科良性疾患がある女性の子宮摘出術において、最も効果的で安全な手術はどれかを検討した。 背景 良性の婦人科疾患(子宮異常出血、子宮脱、子宮筋腫など)に対する子宮摘出術は、最もよく行われている婦人科手術の一つである(60歳までの女性の30%、米国では年間59万件)。子宮摘出術は、いくつかのアプローチによって行うことができる。腹式子宮摘出術では、下腹部を切開して子宮を摘出する。腟式子宮摘出術では、腹部を切開することなく、腟から子宮を摘出する。腹腔鏡下子宮摘出術では、腹部に開けた小さな切開から器具をお腹の中に入れて操作し、子宮を摘出する。子宮は、腟から摘出されることもあれば、細かく切った後に腹部に開けた小さな切開から摘出されることもある。腹腔鏡下子宮摘出術には、経腟的に行われる手術に比べると実施可能な手術の範囲が広く、さまざまな方法がある。最近では、腹腔鏡下子宮摘出術はロボット手術で行われるようになった。ロボット手術では、手術はロボットによって行われ、人間の外科医は手術室の一角に置かれた椅子に座ってロボットを操縦する。さらに最近では、腹腔鏡下手術の器具を腟内の切開部から挿入して、子宮を摘出する術式(経腟的内視鏡手術、vNOTES)が行われるようになってきた。良性疾患に対して子宮を摘出する必要がある女性が、自分自身にと...
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13 hours 25 minutes ago
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