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小児の手術後の疼痛管理におけるジクロフェナクの有益性と有害性は何か?

2 years ago
小児の手術後の疼痛管理におけるジクロフェナクの有益性と有害性は何か? 要点 ・強固なエビデンスが不足しているため、手術後の小児の疼痛管理におけるジクロフェナクの有益性と有害性は不明である。 ・ジクロフェナクは吐き気や嘔吐を軽減する可能性があるが、オピオイド(モルヒネなど)に比べて出血のリスクを高める可能性がある。 ・オピオイドや他の薬剤と比較したジクロフェナクの有益性と有害性、あるいは小児に対するジクロフェナクの投与方法の違いについて明らかにするためには、適切にデザインされ、かつ包括的に報告された研究が必要である。 術後の疼痛管理 手術や処置の後の痛みは頻繁に発生するが、術後回復や通常の活動への復帰に影響することがある。術後の痛みを軽減する方法は、ジクロフェナクなどの薬剤を含め、多くの方法がある。ジクロフェナクは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる、炎症や痛みを抑える薬剤の一種である。経口投与や肛門からの直腸への投与(坐薬)など、さまざまな経路で、手術前、手術中、および手術後に投与することができる。 何を調べようとしたのか? 他の治療法と比較したジクロフェナクの有益性と有害性、および小児に対するジクロフェナクの最も効果的な投与方法を明らかにしたいと考えた。 何を行ったのか? (a)術後疼痛に対するジクロフェナクと他の治療法を比較した研究、または(b)小児に対するジク...

薬剤抵抗性部分てんかんに対するラモトリギンのアドオン療法

2 years ago
薬剤抵抗性部分てんかんに対するラモトリギンのアドオン療法 要点 1.ラモトリギンは抗てんかん薬で、薬剤抵抗性てんかんがある人の焦点発作の補助療法として使用される。焦点てんかんは、脳の特定部位から起こる発作が特徴である。 3.ラモトリギンは小児および成人の発作頻度を減少させるのに有効とされているが、ラモトリギンの長期的効果を評価し、ラモトリギンと他のアドオン薬(追加治療として使用する薬)とを比較するためには、さらなる試験が必要である。 てんかんとはどのような病気か? てんかんは発作を繰り返す脳疾患である。てんかんがある人の約3分の1は、抗てんかん薬を使用しているにもかかわらず発作を起こし続けている。従来の抗てんかん薬には多くの好ましくない作用があるため、効果的な新しい治療法を開発することが重要である。いくつかの新薬は「アドオン」治療薬(他の薬と併用する)として開発されている。この新薬のひとつがラモトリギンである。 何を調べようとしたのか? ラモトリギンの追加投与が、プラセボ(ダミー治療)の追加投与や無追加投与よりも、発作頻度の減少や治療からの離脱の減少、認知(学習能力)や生活の質(QOL)の改善において優れているかどうかを調べたかった。また、望ましくない(有害な)効果があるかどうかも調べたかった。 本レビューで行ったこと 年齢を問わず、これまでの治療が無効であった焦点性てんかん(薬...

抗コリン薬の処方を減らすことで、高齢者の認知に関するアウトカムは改善するか?

2 years ago
抗コリン薬の処方を減らすことで、高齢者の認知に関するアウトカムは改善するか? 要点 - 抗コリン作用のある薬を多く服用している高齢者は、認知機能が低下するリスクが高いことが知られている。 - 抗コリン薬の処方を減らすことで、認知機能を維持または改善できるかどうかを示す、質の高いエビデンスは不足している。現在のエビデンスは非常に不確かで、短期的なものだ。 - 抗コリン薬による負荷軽減の長期的効果を調査する大規模試験が必要である。 抗コリン薬とは何か? 体内には、コリン作動性システムと呼ばれる化学的シグナル伝達システムがある。このシステムのはたらきを遮断する作用を持つ薬は、「抗コリン作用がある」といわれ、抗コリン薬とよばれている。その薬の作用にとって、抗コリン作用が重要な場合もあれば、意図しない副作用である場合もある。一般的な薬の多くに抗コリン作用があり、そのはたらきが積み重なってしまうこともある。服用するすべての薬の抗コリン作用の合計を、総抗コリン薬負荷という。抗コリン作用の強い薬を1種類、または抗コリン作用の軽い薬を数種類服用している高齢者は、総抗コリン薬負荷が大きい可能性がある。 脳内のコリン作動性システムは、認知(思考と記憶)に重要な役割を果たしている。抗コリン薬の負荷が大きいと、意図せず認知障害を引き起こしたり悪化させたりする可能性がある。認知症の発症を早めたり、すでに認知...

低・中所得国におけるワクチン接種を増やし、維持するための介入

2 years ago
低・中所得国におけるワクチン接種を増やし、維持するための介入 本レビューの目的は何か? 本コクランレビューの目的は、低・中所得国における、感染予防のためにワクチン接種を受ける小児の数を増やすためのさまざまな戦略の効果について評価することである。そのために関連するすべての研究を収集、分析した結果、41件の研究を見つけた。 小児へのワクチン接種を改善する戦略は機能しているか? 低・中所得国では、ワクチン接種を受けている小児の数が少ないために、ワクチンで予防可能な疾患によって何百万人もの小児が命を落としている。各国政府やその他の機関は、ワクチン接種を受ける小児の数を増やすため、さまざまな戦略を試みてきた。 本レビューで調査されたこと 5歳未満の小児のワクチン接種率を向上させることを目的とした全ての介入について調査を行った。これには、保護者(親または後見人)、育児介助者、コミュニティ、医療システム、またはこれらの組み合わせを対象とした介入が含まれた。 主な結果 アフガニスタン、中国、コートジボワール、エチオピア、グルジア、ガーナ、グアテマラ、ホンジュラス、インド、インドネシア、ケニア、マリ、メキシコ、ネパール、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、ルワンダ、およびジンバブエにおける合計100,747人が参加した41件の関連研究が見出され、通常の医療サービスのみを受けた場合との比較が行われ...

インフリキシマブによる活動期のクローン病に対する治療

2 years ago
インフリキシマブによる活動期のクローン病に対する治療 要点 - インフリキシマブとプリンアナログ製剤(アザチオプリンまたは6-メルカプトプリン)の併用は、クローン病の寛解(症状のない状態)を達成するにあたりプリンアナログ製剤単独よりも効果的であり、症状の改善にも優れている可能性がある。また、この2つの治療法の安全性は同等であると思われる。 - インフリキシマブ単独投与は、プリンアナログ製剤単独投与よりもクローン病の寛解達成と症状の改善に有効である可能性がある。また、この2つの治療法の安全性は同等であると思われる。 - インフリキシマブは、クローン病の寛解達成と症状の改善には、バイオ後続品と同等に有効である可能性がある。また、この2つの治療法の安全性は同等であると思われる。インフリキシマブのバイオ後続品とは、インフリキシマブの先発品と非常に類似している生物学的製剤(生きた細胞や生物を利用して作られた物質を含む)のことである。 クローン病とは クローン病とは、腸のあらゆる部分に起こり、生涯続く可能性のある炎症性疾患である。よくみられる症状には、血便、下痢、腹痛、発熱、体重減少、疲労などがある。クローン病の原因は正確にはわかっていないが、遺伝子、免疫系(感染から体を守る働き)の問題、腸内細菌、および何らかの環境因子が絡み合っている可能性が高い。 クローン病の確立した治療法はないが、通常...

郵送やウェブアンケートへの回答を増やすにはどうしたらよいか?

2 years ago
郵送やウェブアンケートへの回答を増やすにはどうしたらよいか? 要点 アンケートの回答は、アンケートを送る前に連絡を取ることで増やすことができる。 アンケート、手紙、電子メールをより個人的なものにし、できれば内容を短くすることで、アンケートへの回答が増える可能性がある。 アンケートへの回答は、例えば少額の金銭や、ペンなど金銭以外のインセンティブを与えることでも増やすことができる。 なぜアンケートへの回答が重要なのか? 郵送および電子アンケートは、研究目的のために人々から情報を収集するための比較的安価な方法である。返事をしない人(いわゆる「非回答者」)が存在した場合は、調査結果の精度が低くなる傾向がある。 知りたかったこと 郵送や電子アンケートへの回答を増やす効果的な方法を探したかった。 実施したこと アンケートの回答を増やす方法を検討した研究を探した。 また、研究結果を要約した。 わかったこと アンケートの回答を増やす方法を特定するために、非常に多くの研究が行われており、このコクラン方法論レビューの更新版には758件の研究が含まれた。患者、医師、大学生、教授、販売部長、会計士、食料品店の店長など、さまざまな人々がアンケートに答えていた。 アンケートを送る前に連絡を取ることで、回答が増えることがわかった。また、郵送アンケートは大学から送付された方が回答が増えることもわかった。アンケー...

多発性硬化症の治療に伴うリスクは?

2 years ago
多発性硬化症の治療に伴うリスクは? 要点 - 多発性硬化症の治療に用いられる免疫療法は、偽薬(プラセボ)と比較して、重篤なヘルスイベント(健康上の問題)を増加させないようである。 - これらの薬の多くには好ましくない作用があり、偽薬(プラセボ)に比べて副作用のために研究対象から脱落する人が多いものもある。 - 多発性硬化症患者では、重篤な健康上の問題(ヘルスイベント)が比較的まれであるため、これらの結果は部分的にしか信頼できないか、あるいは信頼できない。つまり、この問題を研究することがむずかしく、重篤な健康上の問題(ヘルスイベント)もあまり報告されていない。 どのような疾患か? 多発性硬化症(MS)は脳と脊髄に影響を及ぼす。多発性硬化症は男性よりも女性に多く発症する。多発性硬化症では、免疫系が体内の神経を覆っている髄鞘を攻撃し、その機能を弱める。重度の多発性硬化症患者の中には、しばらくの間、手足がうまく使えなくなる人もいるが、通常は回復する。長年にわたって何度も発作を起こしている人の中には、歩行などの障害が生じる場合がある。 どのように治療するか? 免疫系を調節するいくつかの治療法は、発作後の回復を早め、病気の経過を改善するのに役立つ。 何を調べようとしたのか? 多発性硬化症の治療に使用される薬物のリスクを調査することを目的とした。重篤なあらゆる種類の健康上の問題を評価したいと考...

ニルマトレルビルとリトナビルの併用は新型コロナウイルス感染症の治療または予防に有効か

2 years ago
ニルマトレルビルとリトナビルの併用は新型コロナウイルス感染症の治療または予防に有効か 要点 ニルマトレルビルとリトナビルの併用(販売名パキロビッド®パック、2種類の錠剤1日分が1枚のシートになっているパック製剤)は、2019年に始まった新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の治療として評価されている。 ニルマトレルビルとリトナビルの併用は、入院の必要性または28日以内の死亡率による評価によると、疾患の進行リスクが高いワクチン未接種の外来患者が症状発現から5日以内に治療を受けた場合、死亡率の減少と患者の症状改善につながる可能性がある。 しかし、入院患者に対するニルマトレルビルとリトナビルの併用の効果については非常に不確実である。 研究インテグリティ(研究の公正性)に関する懸念から2件の研究を除外した。また、進行中の研究が13件あった。 ニルマトレルビル/リトナビルについて ニルマトレルビルとリトナビルの併用錠は、SARS-CoV-2ウイルス感染症(COVID‐19)を治療するために開発された新しい薬であり、症状のない人や症状が軽度の患者が重症化するのを防ぐことを目的としている。リトナビルはニルマトレルビルの効果を高めるが、他の多くの薬剤と相互作用を起こし、副作用を増加させる可能性がある。 知りたかったこと ニルマトレルビルとリトナビルの併用が、COVID-19患者の死亡...

査読者を訓練することの利益は何か?

2 years ago
査読者を訓練することの利益は何か? 要点 ・査読者の訓練は、査読の質にほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性がある。 ・訓練の効果をより適切に評価するためには、より大規模かつ適切にデザインされた研究が必要である。 査読者とは何か? 査読者とは、他の人が行った研究を評価する人のことである。査読者は通常、評価する研究を実施するために必要なスキルと同等のスキルを持った研究者が担当する。 何のために査読が行われるのか? 研究プロジェクトや報告書が良質かどうかは、研究の資金提供者や出版社にもわからない場合がある。そこで多くの場合、査読者による査読を利用して、プロジェクトや報告書の質の評価が行われる。 査読者の訓練によって、査読の質をどのように向上させることができるのか? 査読者を訓練することで、研究の長所と短所がよりよく特定できるようになる可能性がある。 何を調べようとしたのか? 査読者を訓練することで、査読の質が向上するかどうかについて評価を行った。 何を行ったのか? 査読者の訓練について、訓練を行わなかった場合、異なる種類の訓練を行った場合、および学術誌や資金提供者が行う標準的な方法と比較した研究について検索を行った。関連するすべての研究の情報を抽出し、結果を要約した。エビデンスに対する信頼性を、研究方法や研究規模などの要因に基づいて評価した。 何を見つけたのか? 合計1,213の...

成人のパニック障害における薬物療法:ネットワークメタアナリシス

2 years ago
成人のパニック障害における薬物療法:ネットワークメタアナリシス このレビューの重要性 パニック障害のある人は、この障害により深刻な影響を受けており、仕事、教育、社会生活、家庭生活に問題を抱えていることがよくある。このレビューではどの薬が最も効果的で安全かを評価したかった。特にネットワークメタアナリシスの結果が、ケアを改善するための最善の薬剤を特定するのに十分妥当かどうかを評価しようとした。これらの分析はエビデンスにおける重要な不確実性を減らすための、今後の研究への示唆にもつながっている。 このレビューに関心がある人は? このコクラン・レビューに掲載されている研究は、以下の人々にとって興味深いものであろう。 - パニック障害の治療方針を決定し、その障害の治療薬の処方に関する決定に影響を与える人 - パニック障害のある人にこれらの薬を処方する人 - パニック障害のある人 - その障害がある人を支え、世話をする人 何を調べようとしたのか? 成人(すなわち18歳以上)のパニック障害の症状を改善するために、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、アザピロン系薬剤がどの程度有効であるかを調べたいと考えた。 また、これらの薬剤が以下の項目にどのような影響を与えるのかを明らかにしたい。 - パニック障害の症状 - 薬の副作用の指標として、研究からの脱落(中止) - 回復、パニック障害の診断基準を満たさ...

生殖補助医療における胚移植前の抗生物質投与

2 years ago
生殖補助医療における胚移植前の抗生物質投与 レビューの論点 生殖補助医療(ART)において、胚移植前または胚移植時に抗生物質を投与すると治療成績が向上するのか? 要点 - この調査結果は、あらかじめ決めておいた全評価項目において、体外受精(IVF)の成功率を向上させる目的で胚移植時に抗生物質を使用することを支持しなかった。 - 性器内のコロニー形成率(性器内に存在する細菌数の指標)を適切に調査した1件の研究において、抗生物質の使用は臨床妊娠率に影響を及ぼさなかった。 胚移植前または胚移植時に抗生物質を投与することで、体外受精の成績はどのように改善するのか? 体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)は、不妊症の人が赤ちゃんを授かるために用いられる生殖補助医療(ART)技術である。体外受精・顕微授精では、女性の卵巣から卵子を取り出し、培養室で精子と受精させる。受精してできた胚は、子宮口から細いチューブを通して子宮に移植される。胚移植後の妊娠の可能性には、胚の質や子宮内の環境など多くの要素が影響を与える。子宮内の細菌数が多いと、妊娠率が低下する可能性がある。胚移植前に抗生物質を投与することで、これらの細菌の増殖を抑え、ARTの結果を改善できる可能性がある。一方、妊娠に有利な細菌もあるかもしれない。抗生物質はこのような環境を変化させ、治療の結果(妊娠するかどうか、など)に影響を及ぼす可能...

長期人工呼吸管理の必要性が予想されるCOVID-19の重症患者において、晩期気管切開と早期気管切開のどちらがより効果的か?

2 years ago
長期人工呼吸管理の必要性が予想されるCOVID-19の重症患者において、晩期気管切開と早期気管切開のどちらがより効果的か? 要点 ・COVID-19により入院し、人工呼吸器を使用している成人に対して、人工呼吸を開始してから10日までに行う早期の気管切開(皮膚を切開して気管(気管支)に呼吸チューブを挿入すること)と、人工呼吸開始後10日以上経過してから行う晩期気管切開と比較して、死亡、および人工呼吸器の使用期間にはほとんど影響がない可能性がある。 ・早期気管切開によって患者の状態が改善するのか、悪化するのか、あるいは集中治療室への滞在期間が短縮するのかは不明である。 ・研究者は、COVID-19の研究で参照される主要な結果についての見解を一致させるべきであり。今後の研究においては、堅実な方法を用いて十分にデザインされた研究に焦点を当てるべきである。そうすれば、重症のCOVID-19患者における気管切開の最適なタイミングについて、より強固な結論を導き出すことができると思われる。 気管切開とは何か? 気管切開とは、皮膚を切開して気管内に呼吸チューブを挿入する方法であり、呼吸はこのチューブを通して行われる。気管切開は、人工呼吸を容易にし、気管に直接安全に気道を確保するために、長期の人工呼吸を必要とする患者に行われる。気管切開による方法は、口から呼吸チューブを挿入する方法に比べ、空気抵抗が...

地域で暮らす高齢者の転倒恐怖を軽減するための認知行動介入

2 years ago
地域で暮らす高齢者の転倒恐怖を軽減するための認知行動介入 要点 - 認知行動療法(CBT)は、運動療法を伴う場合と伴わない場合があるが、両方とも、治療終了後に測定すると、おそらく地域在住の高齢者の転倒恐怖を軽減する。改善は治療終了後6か月間持続し、おそらく6か月を超えても続く。 - このような介入の結果、人々は治療後に活動を避けることが少なくなり、うつ状態のレベルも低下する可能性がある。 - 治療後に転倒の頻度が減少するかどうかは不明である。 - 転倒恐怖の軽減に関して、運動療法を伴うCBTと伴わないCBTがもたらす悪影響(有害性)があるかどうかは、どの研究でも悪影響を評価項目として測定していないため、わからない。 副作用についてもっと研究が必要である。 転倒恐怖とは何か? 転倒恐怖とは、転倒に対する不安が持続する状態で、そのために人は、自分ができるはずの活動を避けるようになる。転倒恐怖は高齢者によく見られる。医療従事者、家族、友人から転倒の危険性を警告されているかもしれないし、転倒している状況を直接または間接的に目撃しているかもしれない。実際、高齢者の34%が毎年転倒し、5%が骨折を経験している。さらに、若い頃ほど体が丈夫でないことを自覚している場合には、転倒から身を守れない恐れから、転倒を避けるための予防策を講じなければならないという不安も加わる。転倒恐怖があると、身体的、心...

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に対するさまざまな抗菌薬

2 years ago
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に対するさまざまな抗菌薬 咽頭炎(または喉の痛み)にはどの抗菌薬が良いか? 要点 A群β溶血性連鎖球菌(GABHS)による咽頭炎/喉頭炎の症状消失に対する効果は、異なる抗菌薬間で同様であった。すべての抗菌薬は有害作用を引き起こす可能性がある。 咽頭炎とは? 咽頭炎(または喉の痛み)は、ウイルスや細菌(A群β溶血性連鎖球菌など)によって引き起こされる喉の炎症である。通常は治療しなくても治る。高所得国のほとんどの人々にとって、合併症のリスクは極めて低い。しかし、GABHS感染症は、集団によっては重篤な合併症を引き起こす可能性がある。 咽頭炎はどのように治療するか? 抗菌薬が処方されることもある。ペニシリンは長年GABHSの治療に使用されてきた。ペニシリンに対するGABHS耐性はまれである。しかし、GABHSが存在する場合でも、抗菌薬の効果はわずかである。 知りたかったこと どの抗菌薬がGABHSによる咽頭炎に効果的かを調べたかった。 実施したこと GABHS陽性で1か月から80歳までの咽頭炎患者を対象に、さまざまな抗菌薬を比較したランダム化二重盲検コントロール試験を検索した。 わかったこと 5,839人が参加した19件の研究(18件の出版物)を対象とした。9件は小児のみを対象とし、10件は12歳以上を対象とした。ほとんどの研究は15年以上前に発表されたもので...

移民に対するヘルスリテラシー介入の利益とリスクとは?

2 years 1 month ago
移民に対するヘルスリテラシー介入の利益とリスクとは? ヘルスリテラシーとは、人が健康情報を見つけ、理解し、評価し、利用するために必要な知識、動機、能力(読み書き能力など)を意味する。ヘルスリテラシーに関して移民は困難に陥るリスクがある(その国の医療制度をよく知らない場合など)。 「一般的な」ヘルスリテラシーとは、人が健康に関する意思決定をするために、一般的な健康情報を見つけ、理解し、利用できることを意味する。「疾患に特化した」ヘルスリテラシーとは、人が特定の疾患に関する情報を見つけ、理解し、利用できること、あるいは疾患の症状について知っていること、治療法について理解していることを意味する。 主な結果 いくつかのヘルスリテラシー介入が移民のヘルスリテラシーに低度から中等度のプラスの効果をもたらすという研究結果には、低度から中等度の信頼性がある。つまり、そのような介入は、医療用語の知識、認識、理解、あるいは健康情報の利用を向上させるのに役立つということである。 さらに大規模でデザインの優れた研究によって、移民女性や移民男性に対するヘルスリテラシー介入の長期的効果を検討する必要がある。 知りたかったこと 主な目的は、ヘルスリテラシー介入が移民のヘルスリテラシーの向上に役立つかどうかを調べることにあった。また、移民女性や移民男性が、こうした介入からより多くの恩恵を受けるかどうかも見極めた...

水疱性類天疱瘡に対する治療法

2 years 1 month ago
水疱性類天疱瘡に対する治療法 水疱性類天疱瘡(水疱とかゆみを伴うまれな皮膚疾患)に対する最も有効な治療法は何か? 要点 ・外用ステロイド薬であるプロピオン酸クロベタゾール含有クリームの全身の皮膚への塗布は、経口ステロイド(プレドニゾン)と同等の効果があり、重篤な有害事象も少なく、死亡例も減少させる可能性がある。 ・抗炎症作用のある抗菌薬であるドキシサイクリン(200mg/日)による治療は、経口ステロイド薬であるプレドニゾロン(0.5mg/kg/日)による治療と比較して、許容可能かつ短期的な水疱のコントロールが得られ、死亡事象を含む長期的な安全性においても優れている。 水疱性類天疱瘡とは何か? 水疱性類天疱瘡は、自己免疫性水疱症と言われる病気の中では最も一般的なものである。自己免疫疾患では、体の免疫系が自分自身の組織を異物と誤認して攻撃する。水疱性類天疱瘡では、これにより皮膚に水疱が生じる。通常、水疱性類天疱瘡は高齢者に発症するが、若年者にも発症する場合がある。 水疱性類天疱瘡はどのように治療されているのか? 水疱性類天疱瘡の主な治療法は、炎症と体の免疫系を抑制するためのステロイドの内服である。しかし、経口ステロイドを長期間服用すると、重篤な有害作用を引き起こす。 本レビューでは、水疱性類天疱瘡に対する他の治療法、例えば皮膚に塗布するステロイドクリームや、抗炎症作用を持つ抗菌薬であ...

尿路感染症予防におけるクランベリー

2 years 1 month ago
尿路感染症予防におけるクランベリー レビューの論点 クランベリー(クランベリージュース、錠剤またはカプセル)は、尿路感染症(UTI)の予防に長年使用されてきた。クランベリーには、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐことができるプロアントシアニジン(PAC)という物質が含まれている。このため、感染症を予防して、働く人にとっては医療機関の受診に必要となる時間を節約できる可能性がある。しかし、現在、クランベリー製品に関して使用すべきPACの用量のレジメン(投与量、投与頻度などを含む投与計画)は確立されておらず、保健当局による正式な規制もない。特に、推奨される用量が製品のパッケージに記載されていないことがある。 実施したこと クランベリー製品を使用した場合に対して、プラセボ(クランベリーを含まない偽製品)を使用した場合または何も使用しなかった場合の尿路感染症の発生を比較したランダム化比較試験(RCT)の結果について解析した。また、抗菌薬やプロバイオティクス(乳酸菌などの生きた微生物を用いた製品)など他の処置とクランベリー製品を比較したランダム化比較試験の結果についても解析した。 わかったこと 合計8,857人が参加した50件のランダム化比較試験が見つかった。そのうち45件がクランベリーとプラセボまたは無処置を比較していた。クランベリーをジュース、錠剤またはカプセルとして摂取した場合、女性の再発...

ヒトインスリンの保管温度および保管条件

2 years 1 month ago
ヒトインスリンの保管温度および保管条件 インスリンとは何か インスリンは膵臓で作られるホルモンのひとつであり、体が食物をエネルギーに変えるのを助けて、血糖値をコントロールする。糖尿病(ダイアベティス)患者は体内でインスリンを十分に作ることができないだけでなく、効果的に利用することもできないため、自分で注射しなければならない人もいる。 インスリンの保管方法 保健当局や製薬メーカーは、インスリンを日光に当てないこと、凍結させないこと、冷蔵庫で保管することを推奨している。ヒトインスリンの未開封のバイアルやフラスコ、インスリンペン用カートリッジは2℃から8℃の温度で保管する必要があり、そのためには信頼性の高い冷蔵設備が必要となる。開封後のバイアルまたはカートリッジは、常温で約4週間から6週間保管できるが、使用時間と(使用中のインスリンの)上限温度については、推奨が異なる。また、インスリンの種類、銘柄、インスリン濃度および容器の種類(バイアル、カートリッジ/ペン、インスリンポンプ)によっても推奨が異なる。メーカーから糖尿病患者への配送過程でのインスリンの輸送および保管温度(コールドチェーン)については、各規制当局が指導を行っている。信頼できる冷蔵設備が利用可能であれば、糖尿病患者は推奨にしたがってインスリンを保管すべきである。しかし、信頼できる冷蔵設備が利用できない場合、家庭でヒトインスリ...

慢性腎臓病の成人に対する抗酸化物質

2 years 1 month ago
慢性腎臓病の成人に対する抗酸化物質 慢性腎臓病患者は、早期の死亡、心血管疾患(心疾患や脳卒中になる)、および腎不全(透析や腎移植が必要になる)のリスクが高い。ビタミンのサプリメントのような抗酸化物質は、このようなリスクを軽減するための、容易な方法である可能性がある。 何を行ったのか? 2022年11月時点における文献を検索し、死亡、心血管疾患、腎臓疾患、腎移植の減少に対する抗酸化物質の効果について評価を行った。研究の質を判定し、それらの結果を組み合わせて抗酸化サプリメントの効果を推定した。 何を見つけたのか? 合計10,468人の成人患者を対象とした95件の研究を対象とし、49種類の抗酸化物質について評価を行った。その結果、抗酸化物質は死亡や腎移植のリスクの低下には効果がなかったが、心血管疾患、脳卒中、および腎不全(透析を必要とする)のリスクを低下させ、また、腎機能を改善する可能性が認められた。しかし、心不全や感染症のリスクの増加も観察された。ほとんどの研究の質は低かったため、抗酸化物質の有益性や有害性を評価するためには、より質の高い研究が必要と考えられた。 結論 慢性腎臓病の成人において、抗酸化物質は死亡のリスクを低下させなかったが、心血管疾患および腎不全のリスクを低下させ、また腎機能を改善させる可能性がある。しかし、抗酸化物質は心不全や感染症のリスクを高める可能性がある。 こ...

人工膝関節全置換術後の寒冷療法

2 years 1 month ago
人工膝関節全置換術後の寒冷療法 人工膝関節全置換術後の寒冷療法の利点とリスクは? 要点 プラセボと比較して、寒冷療法は膝関節全置換術(TKR)後の出血、疼痛、膝関節可動域、短期腫脹を改善する可能性がある。輸血、膝の機能、痛みの軽減、入院期間、生活の質(QOL)、活動レベルに対する効果については、あまり定かではない。エビデンスは限られているものの、寒冷療法による重篤な有害事象の懸念はほとんどなかった。 変形性関節症とはどのようなもので、どのように治療するのか? 変形性関節症は、膝などの関節の変性疾患である。変形性膝関節症は痛みを引き起こし、機能を制限し、QOLを悪化させる。TKRは長期的にはこの症状を改善することができるが、回復期(術後6か月まで)には手術の影響で体が弱り、障害が残ることがある。寒冷療法(クライオセラピー)は、損傷部位や手術部位の周囲の皮膚に冷罨法(れいあんぽう)(訳注:寒冷による刺激)を行うものである。これは、氷の入った袋や、冷やした水を患部に送り込む特殊な器具を使って行うことができる。 知りたかったこと 寒冷療法がTKR後48時間以内の出血量、疼痛、膝機能に効果があるかどうかを調べたいと考えた。 実施したこと TKR後の患者を対象に、寒冷療法をプラセボと比較検討した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などに基づくエビデンスに対する信頼性を評...
Checked
21 hours 49 minutes ago
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