6 months 3 weeks ago
要点
- サーバリックス、ガーダシルまたはガーダシル-9によるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を受けた15歳から25歳の女性では、HPVワクチン接種を受けなかった場合と比較して、4年から6年後に高悪性度の
子宮頸部
前がん(放置するとがんになる可能性のある異常な外観の細胞)がわずかに減少した。ガーダシルまたはガーダシル-9を接種した人では、接種しなかった人と比較して、4年後に
外陰部と膣の
前がんがわずかに減少した。HPVワクチン接種により、性器疣贅(尖圭コンジローマとも呼ばれる)のリスクとHPV関連疾患の治療の必要性が減少した。がんの発生について報告できるほど長く続いた研究はなかった。
- HPVワクチン接種後、注射部位の痛みや腫れがよくみられたが、重篤な副作用は認められなかった。
- ほとんどの研究が15歳以上を対象としており、対象者は感染にさらされている可能性が高いため、ワクチン接種の恩恵を受けにくい。がんの発生など長期的な結果を測定するには、研究の期間が短すぎた。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
HPVはよくある感染症であり、膣、肛門、オーラルセックスなど密接な接触によって人と人の間で感染する。HPVには多くの種類がある。種類によってはがんを引き起こすこともある。最も多いのは子宮頸がんであるが、膣がん、外陰がん、陰茎がん、肛門がん、頭頸部がん、肛門疣贅の原因にもなる。HPVは男性と女性のいずれにも感染する可能性がある。子宮頸がんは通常、初感染から発症まで10年以上かかる。それ以外のHPV関連がんは、さらにゆっくりと進行する。
HPVワクチンはどのように役立つのか
HPVワクチンは、時にがんや性器疣贅の原因となるHPV感染を予防することを目的としている。HPVワクチンは、すでにHPVに暴露している人にはあまり効果がないため、ほとんどのワクチン接種プログラムが、性的に活発になる前の若い人たちを対象としている。
知りたかったこと
HPVワクチンが、以下の項目に関して有効かどうかを確かめたかった。
- がんや前がん(放置するとがんになる可能性のある、見た目が異常な細胞)を予防するか
- HPV関連疾患の治療の必要性を減らすか
- 性器疣贅を予防するか
- 望ましくない影響があるか
実施したこと
以下の比較を行った研究を検索した。
- HPVワクチンとプラセボ(ダミーワクチン)、非HPVワクチン、またはワクチン無添加
- 異なるHPVワクチンまたは異なるHPVワクチンの接種回数
研究結果を比較してまとめ、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。消費者を含む独立諮問グループの支援を受けた。
わかったこと
計157,414人を対象とした60件の研究が見つかった。参加者数は、最も大規模な研究では34,412人、最も小規模な研究では11人であった。参加者の追跡期間は4日から11年までの範囲にあった。研究は世界中で行われ、ほとんどが12か月間続いた。対象とした研究のうち44件に製薬会社各社が資金を提供していた。
主な結果
- 対象とした研究はいずれも、がんの予防について直接説明できるほど長期にわたるものではなく、短期的な結果に焦点を当てたものであった。
- 15歳から25歳の女性では、サーバリックスとガーダシルによって、短期的にはすべての高悪性度子宮頸部前がん(CIN2+)が減少した。25歳以上の女性では、ほとんどまたはまったく差がなかった。
- 15歳から25歳の女性では、短期的には高悪性度の肛門がんや陰茎前がんにほとんどまたはまったく差がなかった。ガーダシルおよびガーダシル-9ワクチンによって、この集団の高悪性度の膣がんまたは外陰前がんが減少した。
- HPVワクチン接種により、性器疣贅のリスクが減少し、HPVに関連する可能性のある早期がんの治療を必要とする15歳から25歳の人数が減少した。
- 全HPVワクチン接種を完了した後、多少の痛みや腫れはよく見られたが、重篤な副作用はなかった。ワクチンの種類によってリスクに差があるかどうかはわからない。
エビデンスの限界
一部の研究の実施方法について懸念があり、それが結果に影響を与えている可能性がある。重篤な副作用、HPV関連疾患、子宮頸がん、膣がん、外陰前癌、性器疣贅の治療に関するエビデンスには、中等度の確信がある。がんや陰茎および肛門の前がんに関するエビデンスについては、症例数が少ないこと、がんを測定するには研究期間が短すぎること、研究対象者がワクチン接種の対象者よりも年齢が高いことなどから、あまり確信がない。
多くの研究は産業界から資金提供を受けていたが、独立した資金提供を受けている研究と比較して差は見られなかった。
本レビューの更新状況
本エビデンスは2024年9月18日現在のものである。
Bergman H, Henschke N, Arevalo-Rodriguez I, Buckley BS, Crosbie EJ, Davies JC, Dwan K, Golder SP, Loke YK, Probyn K, Petkovic J, Villanueva G, Morrison J
6 months 3 weeks ago
主なメッセージ
・経口でのエネルギーおよびタンパク質の補足による栄養療法は、日常生活動作を改善する可能性がある(非常に不確実な証拠)。
・経口でのエネルギーおよびタンパク質の補足による栄養療法は、障害を軽減しない可能性がある(不確実な証拠)。
・我々は障害や日常生活動作の改善のためのさまざまな栄養介入が存在することを確認した。脳卒中後の障害や日常生活動作に対する各種栄養療法の効果を明らかにするためには、より質の高い研究が必要である。
脳卒中とは?
脳卒中は、脳の一部への血液供給が妨げられたり、減少したりすることで起こる。脳卒中には主に3つのタイプがある。脳へつながる動脈が血栓で詰まったり狭くなったりする虚血性脳卒中、脳の血管が破裂して脳内出血を起こす出血性脳卒中、脳と周囲の膜の間(くも膜下腔)に出血が起こるくも膜下出血の3つである。
栄養療法とは?
栄養療法とは、毎日の食事や間食のときに、タンパク質、ビタミン、エネルギーなどの栄養素を摂取する介入であり、各患者の状態に応じた栄養ケアを含む。病気の治療中や治療後の人は、栄養療法を受けることが多い。
脳卒中後の栄養療法に注目すべきなのはなぜか?
脳卒中患者は機能障害の影響により、十分なエネルギーや栄養素を摂取できないため、低栄養に陥りやすい。脳卒中患者には身体的および認知的な障害が起こることが多く、栄養状態はその改善に影響を及ぼす可能性がある。
調べたかったこと
栄養療法が脳卒中後の障害を軽減し、日常生活動作を改善するかどうかを調べたかった。
実施したこと
脳卒中患者に栄養療法を実施したすべてのランダム化比較対照試験を検索した。また、栄養療法による望ましくない影響という観点で安全性も評価した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究規模などに基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
11,926人を対象とした52件の研究を特定した。急性期脳卒中患者(発症から14日以内)を対象とした研究が36件、亜急性期脳卒中患者(発症14日後から6ヵ月以内)を対象とした研究が10件、急性期および亜急性期脳卒中患者を対象とした研究が3件、慢性期脳卒中患者(発症から6ヵ月以降)を対象とした研究が3件であった。脳卒中のタイプは、虚血性脳卒中が23件、出血性脳卒中が3件、くも膜下出血(SAH)が3件、虚血性または出血性脳卒中(SAHを含む)が23件であった。このレビューでは、25種類の栄養療法を特定した。障害とADL(日常生活動作)を評価した研究はそれぞれ9件と17件であった。
経口でのエネルギーおよびタンパク質の補足という主要な介入については、6件の研究を特定した。
経口でのエネルギーおよびタンパク質の補足による栄養療法について、以下のことがわかった:
- 障害を軽減しない可能性がある。しかし、その証拠は不確実である。
- 日常生活動作を改善する可能性がある。しかし、その証拠は非常に不確実である。
経口でのエネルギーおよびタンパク質の補足を使用した栄養療法のその他の結果については、:
- 体重増加において栄養状態を改善する可能性がある。しかし、その証拠は非常に不確実である。
- あらゆる要因による死亡リスクを減少しない可能性がある。しかし、その証拠は不確実である。
- 下痢と高血糖(血液中の糖分(グルコース)が多すぎる状態)または低血糖(血液中の糖分(グルコース)が少なすぎる状態)の両方の発生率の増加と関連していた。しかし、その証拠は不確実である。
経口でのエネルギーやタンパク質の補足を使用した研究で、歩く速さやQOL(生活の質)について報告したものは見つからなかった。
エビデンスの限界
障害の軽減と日常生活動作の改善に関するエビデンスについては、以下の理由で確信が持てない:
- ほとんどの研究で、患者は自分が受けている介入を認識していた。
- 医療従事者と結果の評価者は、患者が受けている介入を認識していた。
- ADL(日常生活動作)を評価した研究のほとんどは、その方法論を十分に詳しく記述していなかった。
- 脳卒中のタイプ、発症からの期間、栄養療法開始時の栄養状態によって効果が異なる可能性があるが、研究数が少ないため、それらの違いを十分に評価することはできなかった。
このエビデンスの更新状況
このエビデンスは2024年2月19日現在のものである。
Sakai K, Niimi M, Momosaki R, Hoshino E, Yoneoka D, Nakayama E, Masuoka K, Maeda T, Takahashi N, Sakata N
6 months 3 weeks ago
要点
利用可能なエビデンスは、STAIをスクリーニングツールとして使用することを明確に支持していない:なぜなら、
-
STAIは、スクリーニングのために特別に開発されたものではなく、一般に認められたカットオフ値(閾値)は存在しない;
-
STAIは、不安障害のある人を特定できるだろうが、多くの不安障害のない人に誤ったレッテルを貼る可能性もある;
-
含まれる研究の質にはばらつきがあり、ほとんどが病院にいるような状況の人々を対象としているため、一般化は不確実である。
これらの限界を考慮すると、現在のところ、STAIの代わりに不安スクリーニングのために特別に開発されたより短い質問票を使用する方が理にかなっているように思われる。
なぜ不安障害の早期発見が重要なのか?
不安障害はよくあるが、診断されないことが多く、そのために治療が遅れ、生活の質(QOL)が低下することがある。スクリーニングは、特に自分が不安障害であることに気づいていない人の不安を早期に発見するのに役立つ可能性がある。しかし、検査は完璧ではない。もし検査で不安障害が見つからなければ(「偽陰性」)、タイムリーな治療の機会を逃してしまうかもしれない。スクリーニングでは、最終的な診断を下す前に再度確認する必要があるものの、実際は不安障害ではないのにその疑いがあるとレッテルを貼ること(「偽陽性」)は、不必要な心配や、さらなる検査による余分な医療機関の受診につながる可能性がある。
状態・特性不安検査(STAI)とは何か?
STAIは、不安を測定するために広く用いられている質問票であり、2種類の下位尺度がある。1つ目の下位尺度は、ある状況に対する一時的な不安感情を指す状態不安に関するものであり、2つ目の下位尺度は、時間や状況を超えて不安を経験しやすいという、その人の一般的傾向に関するものである。各パートは20問の質問から構成される。得点が高いほど不安レベルが高いことを示す。スクリーニングに使用される場合、閾値(「カットオフ」と呼ばれる)が適用され、そのレベル以上の得点を得た人は、不安の可能性についてさらなる評価を受けるよう紹介されることがある。STAIは、この目的のためにデザインされたものではないが、いくつかの研究でスクリーニングツールとして調査されている。一般に認められたカットオフ値は存在しないが、個々の研究では、状態不安は40点、特性不安は44点というカットオフ値を推奨している。
知りたかったこと
これまで、スクリーニングツールとしてのSTAIの性能は系統的レビューで検討されていなかった。STAIが成人の不安障害をどの程度正確に検出できるかを確かめたかった。
実施したこと
成人の不安障害の検出におけるSTAIの精度を調べたすべての研究を検索した。レビューに組み込むためには、STAIの得点と、不安の診断に最も正確な方法である構造化臨床面接の結果を比較していることを条件とした。次に、両方の下位尺度(STAI-SとSTAI-T)のすべての可能なカットオフ値を考慮し、STAIの全体的な精度を評価するために結果を組み合わせた。
わかったこと
11か国から12件の研究が含まれ、2,525人が参加した(475人が不安障害であることが判明した)。ほとんどの研究は、さまざまな特異的な持病を持つ人々を対象としていた。1件の研究では、病気ではない人(がん患者のパートナー)を対象にした。
STAIを1,000人の集団に実施し、そのうちの153人が未検出の不安障害であった場合、:
-
STAI-Sの合計スコアが40点以上の508人のうち、127人が不安障害(「真陽性」)であると正しく特定され、さらなる治療から利益を得る可能性がある。しかし、残りの381人は不安障害の疑いがあると誤って分類され(「偽陽性」)、不安障害の診断が不要であることを後で明らかにするために、さらなる評価を受けるよう紹介される可能性が高い。これはある人にとっては有益かもしれないが(たとえば、他の原因を探るため)、他の人にとっては不必要かもしれない。一方、カットオフ値以下の492人のうち、不安障害で潜在的に治療が必要な26人が見逃されることになる(「偽陰性」)。残りの466人は、不安がないと正しく判定される(「真陰性」)。
-
STAI-Tの合計得点が44点以上の463人のうち、124人が「真陽性」、339人が「偽陽性」となる。カットオフ値以下の537人のうち、29人の不安障害のある人が見逃され(「偽陰性」)、508人が「真陰性」となる。
エビデンスの限界
研究の質はさまざまで、ほとんどが病院のような状況で行われたものであるため、STAIが一般市民など他の集団でどのように機能するかについての理解は限られている。また、STAIはスクリーニングのために特別に開発されたものではないので、この目的のために結果を解釈するのは難しい。
結果が意味すること
現在のエビデンスでは、STAIが不安障害を検出するための信頼できるスクリーニング手段であるかどうかについては明確な答えは得られていない。この結果は主に専門的な臨床現場での成績を反映したものであり、STAIが他の集団でも同じように機能するかどうかは不明である。特定されたエビデンスが曖昧で限られていることから、不安のスクリーニングのために特別に開発されたより短いツールを検討する価値があるかもしれない。
エビデンスの更新状況
エビデンスは2024年5月現在のもので、2008年から2023年までに発表された研究が含まれている。
Dümmler D, Eck S, Hapfelmeier A, Fomenko A, Aktürk Z, Teusen C, von Schrottenberg V, Dawson S, Linde K, Schneider A
6 months 3 weeks ago
要点
がん患者の不眠症とその治療法
不眠症はがん患者によくある問題である。このような睡眠不足は実際に患者の日常生活に悪影響を及ぼし、心身の調子を悪くする。がん患者およびがんサバイバーの不眠症に対する現在の推奨治療法には、心理学的アプローチ(CBT-Iなど)、薬物療法(睡眠薬など)、その他の方法(身体運動など)がある。CBT-I(不眠症に対する標準的な会話療法)は最も有効な治療法であると考えられているが、訓練を受けた実践者の不足と保険の障壁により、多くのがん診療病院で広く利用できない。
知りたかったこと
不眠症の重症度、睡眠の質、有害事象、睡眠日誌パラメータ(入眠時刻、起床時刻、総睡眠時間、睡眠効率など)を改善するにあたって、鍼治療が、1)偽薬またはプラセボ対照(実際の鍼治療を模倣した「偽」の処置)、2)非活動対照(無治療または通常のケア)、3)他の治療(CBT-Iなど)よりも優れているかどうかを知りたかった。
実施したこと
がん患者の不眠症に対して、鍼治療を他の治療法と比較した研究を探した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究規模などに基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
計402人が参加した3種類の比較と5件の研究を特定した。参加者のほとんどが乳がんの女性であった。
鍼治療は、偽鍼治療と比較すると、不眠症の重症度を軽減したり、睡眠の質を改善したりする効果はほとんどまたはまったくないかもしれないが、ある種の睡眠日誌パラメータにはわずかな改善をもたらす可能性がある。しかし、これらの結果については非常に不確かである。鍼治療は有害事象のリスクを増加させるかもしれないが、この結果は非常に不確実である。
鍼治療は、不眠症の重症度を軽減し、睡眠の質を高め、睡眠日誌のいくつかのパラメーターを改善するにあたって、非活動対照よりも効果が高い可能性があるものの、有害事象のリスクが高くなる可能性がある。しかし、これらの結果については非常に不確かである。
鍼治療とCBT-Iを比較した試験では、鍼治療はおそらく総睡眠時間を改善するが、不眠症の重症度、睡眠の質、入眠時間、睡眠効率を改善する効果は低い。有害事象への影響はほとんどまたはまったくないかもしれない。
エビデンスの限界
研究が小規模であったり、結果にばらつきがあったりしたため、ほとんどの調査結果には確信が持てない。今後の研究によって、この主題に対する理解が変わる可能性がある。さらに明確で信頼性の高い答えを出すためには、もっと包括的な研究が必要である。
本レビューの更新状況
このエビデンスは2024年1月現在のものである。
Ma Q, Liu C, Zhao G, Guo S, Li H, Zhang B, Li B, Cai Z
6 months 3 weeks ago
主な結果
-
陣痛が始まり、子宮口が完全に開いている状態(全開大)になったにもかかわらず、胎児の頭が間違った方向(母体の腹側または側面)を向いている場合、胎児の頭を手で回して(用手回旋)、通常の向きである母体の背中側を向くようにすることが、帝王切開術や吸引分娩、鉗子分娩の必要性を減らすのに役立つかどうかは、現在のところ不明である。
-
用手回旋が効果的で安全かどうかをよりよく理解するためには、より多くの十分にデザインされた研究が必要である。
用手回旋とは?
用手回旋とは、出産中に医師や助産師が手や指を使って胎児の頭を通常の向き(母体の背中側)に向けることで、通常は子宮口が完全に開いてから行う。
なぜ、用手回旋が、出産中に胎児の頭が通常の向きでない女性にとって重要なのか?
出産中に胎児の頭が通常の向きでない場合、つまり、母体の背中側(前方後頭位)ではなく、母体の腹側(後方後頭位)や側面(低在縦定位)を向いていると、出産がうまく進まなかったり、母体からの出血、骨盤底筋群の重度な外傷などの合併症を引き起こしたり、吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開術が必要になったりするリスクが高まる。胎児の頭を母体の背中側に向けることができれば、こうした介入を避けることができる。
知りたかったこと
私たちは、陣痛中に胎児の頭が通常の向きでない女性において、用手回旋が、何もしない(通常のケア)よりも、器械分娩(吸引分娩や鉗子分娩)や帝王切開術による出産を減らせるかどうかを調べたかった。
母体死亡や周産期死亡、出産時の重篤な会陰裂傷(第3度または第4度)、出産後の重篤な出血(500mL以上の出血)を含む他の転帰に対する用手回旋の効果に関心があった。
実施したこと
用手回旋が、偽の手技や通常のケアと比べて、母児にとって有益か有害かを調べた研究を探した。その結果を比べてまとめ、研究方法や規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。
わかったこと
1,002人の妊婦とその児を対象とした6件の研究を見つけた。すべての研究は、高所得国で行われていた。女性は全員、正期産(妊娠37週以上)で、子宮口は完全に開いており、大多数は硬膜外麻酔による鎮痛を受けていた。
主な結果
用手回旋を行った場合、行わなかった場合と比べて、器械分娩や帝王切開術の全体的な割合にほとんど差がないかもしれない。いずれの群でも、妊産婦死亡や周産期死亡はなかった。
用手回旋では、帝王切開術や器械分娩の可能性は減らないかもしれない。また、第3度または第4度の会陰裂傷や出産後の重篤な出血などの合併症を経験した女性の数にはほとんど差がなかった。
もう1件の研究が進行中である(46人の女性が登録中)。しかし、意味のある違いがわかるためには、もっと大規模な研究が必要であろう。今後、低・中所得国で行われる研究も必要である。
エビデンスの限界
得られたエビデンスには限界がある。その主な理由は、研究デザインに関する懸念(具体的には、6件の研究のうち3件で、女性は自分がどの治療を受けているかを知っていた)と、研究に組み入れられた女性の数が全体的に少なかったことである。
このエビデンスの更新状況
エビデンスは2024年3月現在のものである。
Phipps H, Osborn DA, Zhang R, Cooper C, Hyett JA, de Vries BS
6 months 3 weeks ago
要点
-
心血管疾患(すなわち、心臓や血管に異常が起きる疾患)がある人が低用量コルヒチンを6ヵ月以上服用すると、重い副作用のリスクを高めずに心筋梗塞(心臓発作)と脳卒中のリスクを減らせる。
-
しかし、低用量コルヒチンを服用しても、すべての原因による死亡リスクや心臓疾患を原因とする死亡リスクは減らず、心臓の血管を広げる治療を必要とする人の数にも影響しない。
-
コルヒチンの服用によって消化器系の有害事象(下痢、吐き気など)のリスクが高まるが、通常こうした症状は軽く、長引かない。
背景
心血管疾患(心臓や血管に異常が起きる疾患)は、しばしば全身の軽い炎症が原因で起こり、主要な有害(好ましくない)心血管イベント(心臓発作、脳卒中、または死亡など)を繰り返し引き起こすようになる。コルヒチンは、有用性が確立し、容易に入手できる安価な経口抗炎症薬であるため、心血管イベントの再発リスクが高い人にとって有望な追加の治療薬となっている。
知りたかったこと
近年、心臓発作や脳卒中などさらなる心血管イベントの予防(二次予防)を目的として初回の発作後に行う低用量コルヒチン療法の利益と害を調べるために、「ランダム化比較試験」と呼ばれる研究が数多く実施された。 このレビューの狙いは、すでに心血管疾患がある成人または最近心血管イベントが起きた成人が6ヵ月以上コルヒチンを使用することの利益と害について、系統的な評価を提供することである。
実施したこと
心血管疾患がある人における低用量コルヒチンの効果を6ヵ月以上にわたってプラセボ(偽薬)治療または無治療と比較して調べたすべての研究を探した。該当するすべての研究から情報を系統的に抽出すると共に、研究がどのように実施されたかを評価した。そこで、これらの研究結果を統合し、エビデンス(科学的根拠)の信頼性を判断した。
このレビューの主なアウトカム(評価項目)は、あらゆる原因による死亡(総死亡率)、心臓発作(心筋梗塞)、脳卒中、心臓の血管を広げる治療(冠動脈血行再建術)、心血管疾患による死亡(心血管疾患死亡率)、生活の質 (QOL)、重大な有害事象(副作用)、消化器系(胃腸)の有害事象である。
わかったこと
心血管疾患がある患者22,983人を対象とし、低用量コルヒチン療法の利益と害を調べた12件の研究が見つかった。
低用量コルヒチン療法は深刻な有害事象のリスクを高めずに心筋梗塞と脳卒中のリスクを減らすことが、確実性の高いエビデンスによって示された。ただし、コルヒチンは、軽度で一過性とはいえ、消化器系の副作用のリスクの高まりと結びついている。また、エビデンスから、恐らくコルヒチンには死亡リスクや冠動脈血行再建術が必要になるリスクを抑える効果はないことがうかがわれる。生活の質 (QOL)と入院に関する効果は、見つかった研究ではこれらの項目を調べていないため、不明である。
エビデンスの限界は何か?
低用量コルヒチンにより心臓発作と脳卒中のリスクが減るという結果の信頼性は高い。他の結果の信頼性レベルは中等度であるため、今後の研究では異なる結果が出る可能性がある。死亡率と生活の質 (QOL)に関する長期的な効果を調査するには、さらなる研究が必要である。これらは、より長期にわたり、より多くの人々を対象に行われる研究でなければならない。
このレビューの更新状況
このレビューは、2025年2月18日までに検索された医学文献に基づいている。
Ebrahimi F, Ebrahimi R, Beer M, Schönenberger CManuel, Ewald H, Briel M, Janiaud P, Hirt J, Hemkens LG
7 months ago
レビューの論点
経口抗酸化剤を補充することによって、プラセボ、無治療/標準治療または他の抗酸化剤と比較して、低受胎女性の不妊治療のアウトカムが改善されるのか。「標準治療」には葉酸1mg未満の服用などが含まれる。
背景:
不妊治療中の低受胎女性の多くが、受胎能の改善を期待して、サプリメントを摂取している。これは低受胎女性やそのパートナーにとっては大変なストレスを受ける時期となることがある。不妊で悩む カップルに、質の高いエビデンスを提供することは重要である。そのようなエビデンスによって、不妊治療中に抗酸化剤を補充すると受胎能が改善されるのか、または有害作用の発現につながるかなど、十分な情報を得たうえで意思決定することが可能になる。 またこれは、抗酸化剤のサプリメントの多くが法律の規制を受けていないため、特に重要となる。本レビューでは、経口抗酸化剤を摂取することによって、低受胎女性が妊娠し、出産する確率が高くなるかどうかを評価することを目的とした。
検索期間:
エビデンスは2019年9月現在のものである。
研究の特性:
本レビューには、抗酸化剤をプラセボまたは無治療/標準治療、あるいは他の抗酸化剤と比較したランダム化比較試験63件(女性参加者計7760例)を組み入れた。
研究の資金提供元:
資金提供元が報告されているのは、対象とした63件の試験中27件のみであった。
主な結果:
抗酸化剤の使用によって生児出生率が増加するかどうかは、科学的根拠(エビデンス)の質が非常に低かったため、明らかではない。今回の結果から、抗酸化剤を摂取していない低受胎女性100人中20人が出産、これに対して抗酸化剤を摂取した場合では100人中26〜43人が出産すると推定された。エビデンスの質は低いものの、抗酸化剤が臨床的な妊娠率の増加と関連する可能性が示唆される。有害作用の報告が不十分であったが、抗酸化剤の使用によって、流産、多胎妊娠、消化器系副作用や子宮外妊娠が増加することはないと考えられた。
質の低いエビデンスから、メラトニンの低用量と高用量を比較したとき、生児出生および臨床妊娠率のいずれにも差がないことが示唆される。ここでは、低用量メラトニンを摂取した不妊傾向女性100人中24人が妊娠、これに対して高用量メラトニンを摂取した場合では100人中12〜40人が妊娠すると推定された。
抗酸化剤同士を比較した試験3件(2件がメラトニンの用量を比較、1件がN-アセチルシステインとL-カルニチンを比較)が流産に関して報告していた。メラトニンの試験は、どちらも流産がなかった。多胎妊娠および消化器障害の報告はなかったが、子宮外妊娠に関して1件の試験のみが報告しており、子宮外妊娠の発生はなかった。
N-アセチルシステインとL-カルニチンを比較した試験には生児出生率の報告はなかった。非常に質の低いエビデンスが、臨床的な妊娠に差があるというエビデンスはないことを示している。質の低いエビデンスが、流産には差がないことを示している。この研究には、多胎妊娠、消化器障害、子宮外妊娠の報告がなかった。
エビデンスの質:
試験方法の報告不足、不正確性および非一貫性による重大なバイアスのリスクのため、全体的なエビデンスの質は限定的であった。
Showell MG, Mackenzie-Proctor R, Jordan V, Hart RJ
7 months 2 weeks ago
要点
- 排卵と人工授精のタイミングを合わせる方法について、どの方法がより安全なのか、より効果があるのかを知るには、十分なエビデンスがない。
- また、卵胞の発育を観察したり排卵を誘発したりする方法についても、その結果が不確実で、小規模な1件の研究から得られたものでしかないため、どの方法が優れているかどうかは不明である。
- 今後の研究では、より良い研究手法を用い、生児出産や妊娠継続の観点から治療がうまくいったかどうかを判断するべきである。
不妊症とは?
不妊症とは通常、避妊をしない定期的な性交を12ヵ月間、または35歳以上の女性では6ヵ月間続けても妊娠に至らない場合に診断される。不妊症は、子どもがほしいと望んでいるカップルのおよそ10%で見られる。
不妊症はどのように治療するのか?
不妊症のカップルに対する治療の選択肢はさまざまで、不妊症の原因、カップルの年齢、子どもを望んでからの期間、その他の要因によって異なる。
人工授精は、不妊症に対する一つの治療方法である。これは、女性の月経周期のうち、できるだけ排卵に近い時期に精子を子宮内に直接注入する治療法である。
人工授精をする時期は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射する(訳者注:この注射によって排卵が促される)か、尿または血液中の黄体形成ホルモン(LH)サージを検出する(訳者注:LHサージがおこると自然に排卵がおこる)ことによって計画されることが多い。その他の方法も使われる。しかし、健康な児が生まれる可能性や、初期段階を越えて妊娠が継続する可能性が最も高いタイミングの合わせ方がどれなのかは、まだ明らかになっていない。
知りたかったこと
さまざまなタイミングの合わせ方のうち、生児を出産するのに最も効果的な方法はどれかを調べたかった。
実施したこと
不妊症のカップルを対象に、人工授精におけるさまざまなタイミングの合わせ方を比べた研究を探した。研究結果を比較・要約し、研究方法や研究規模などに基づくエビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
6,603組のカップルを対象とした42件の研究が見つかった。主に、計1,917組のカップルが参加した7件の研究のみから得たエビデンスを使った。他の35件の研究は、研究手法が不適切であったり、結果を分析するのに十分な情報が得られなかったりした。
主な結果
- 3件の研究では、hCGの注射から人工授精を行うまでの時間を比べていた。異なる時間間隔の比較結果を分析した:注射から人工授精までの時間を、0~33時間、34~40時間、34~40時間、40時間以上に分けて比べた。これらの群間で、妊娠継続率や生児出生率に差があるという明確なエビデンスは示されなかった。
- 1件の研究では、人工授精のタイミングを決める方法として、hCGの注射とLHサージの検出を比べた。これらの群間で、生児出生率や妊娠継続率に差があるかどうかは分からなかった。
- 別の1件の研究では、2種類の排卵誘発剤(遺伝子組換えhCGと尿由来hCG)を比べた。これらの群間で、生児出生率や妊娠継続率に差があるかどうかは分からなかった。
- 1件の研究では、標準的なhCGの注射に加えて、卵巣を刺激して卵子をより多く育てるFSHの注射をすることで、hCGの注射だけと比べて妊娠の可能性が上がるかどうか調べられた。hCGの注射にFSHの注射を加える群と比べて、hCGの注射だけの群では、生児出産率や妊娠継続率が低い可能性が示された。しかし、この結果に対する信頼性は低く、この結果を確認するためにはより大規模な研究が必要である。
エビデンスの限界は何か?
すべての比較について、エビデンスの信頼性は低い。なぜなら、最も重要な評価項目(生児出産または妊娠継続)について明確な結果を出すには、対象とした女性の数が少なすぎるからである。
本エビデンスはいつのものか?
エビデンスは、2023年10月現在のものである。
Adesina M, Cantineau AEP, Showell MG, Vail A, Wilkinson J
7 months 2 weeks ago
主要メッセージ
• プラセボと比較した場合、腫瘍壊死因子阻害薬(TNFi)は、若年性特発性関節炎(JIA)がある若年者に対して全体的に高い有効性を示すかもしれないが、関節機能、痛み、疾患のコントロール、有害性に対する影響は不明である。
• メトトレキサートと呼ばれる薬と比較した場合のTNFiの利益と有害性については不明である。
• 若年性特発性関節炎におけるTNFiの利益と有害性を理解するためには、より質の高い研究が必要である。
若年性特発性関節炎とは何か?
若年性特発性関節炎(JIA)は、若年者の関節に痛みや腫れを引き起こし、関節が正常に機能しなくなる病気である。原因不明の炎症が長期続くことで発症し、関節だけでなく、目など体の他の部位にも影響を与えることがある。この病気は、16歳未満に発症し、症状が日常生活に影響を与えることがある。
若年性特発性関節炎はどのように治療されるのか?
JIAの治療法:
• 理学療法:関節の機能を改善するための特別な運動;
• 薬物療法:ステロイド薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、メトトレキサートやTNFiのような免疫反応を抑える薬、炎症の原因を標的とする薬などが含まれる。通常、弱い薬から始め、必要に応じてより強い治療薬に移行していく。
なぜJIAにTNFiを使用するのか?
TNFiは、関節炎の従来の治療薬で十分な効果が得られない場合、または副作用などで使用が困難な場合に使用される。TNFiは免疫系を標的として作用し、疾患のコントロールに役立つ。
知りたかったこと
TNFiが、若年性特発性関節炎がある人に対して有効性が高くかつ安全であるかどうかを、プラセボ(試験薬と見た目が同じであるが、活性成分を含まない偽薬)、NSAIDs、従来の関節炎の治療薬、または他のTNFiと比較して確かめたかった。
実施したこと
TNFiをプラセボ、関節炎の治療薬、または他のTNFiと比較した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
合計678人のJIAがある人を対象とした9件の研究を特定した。参加者の年齢は、8歳から15歳で、80%が女性であった。平均罹病期間(病気にかかっている期間)は、0.8年から6.7年であった。対象とした研究は複数の国で実施され、研究期間は12週間から54週間であった。7件の研究では、TNFiをプラセボと比較し、残り2件の研究では、TNFiとメトトレキサートが比較されていた。TNFiをNSAIDs、またはメトトレキサート以外の薬と比較した研究はなかった。
主な結果
試験開始16週間後、プラセボ治療群の14%、TNFi治療群の34%が、若年性特発性関節炎の治療効果を示した。
試験開始16週間後、痛みの強さは、0~100までのスケール(0は痛みなし、数値が低いほど痛みが軽度であることを示す)で評価され、プラセボ治療群で33ポイント、TNFi治療群では11ポイントであった。
関節機能の状態は、0~3までのスケール(0は正常機能、スコアが低いほど機能が正常であることを示す)で評価され、プラセボ治療群は1ポイント、TNFi治療群では0.84ポイントであった。
試験開始16週間後、参加者の疾患活動性の全般的評価は、0~100までのスケール(数値が低いほど疾患活動性が低いことを示す)で評価され、プラセボ治療群で34ポイント、TNFi治療群では23ポイントであった。
有害事象による治療中止は、プラセボ治療群の1%、TNFi治療群の3%で発生した。
プラセボ治療群の6%、TNFi治療群の7%が重篤な有害事象を報告した。
残念ながら、最大16週間までの寛解状態(一定の基準を満たすレベルの症状改善)の達成に対するTNFiの効果について報告した研究はなかった。
このレビューで得られたエビデンスの限界は何か?
利用可能な研究の数が限られていること、また研究参加者がどの治療を受けているかを認識していた可能性があり、結果に影響を与えた可能性があることから、エビデンスに対する信頼性は非常に低い。
このエビデンスはどれくらい最新のものか?
エビデンスは2024年2月28日時点のものである。
Cagnotto G, Juhl CB, Ahlström F, Wikström F, Bruschettini M, Petersson I, Dreyer L, Compagno M
7 months 2 weeks ago
主なメッセージ
- 膝蓋腱炎(膝蓋腱を含む膝前面の痛み)の治療に筋力トレーニングを行うことのエビデンスは非常に不確かであり、確実な結論を出すことは難しい。
- アスリートにとって、筋力トレーニングが治療なしと比べて痛みを軽減させるかどうかは非常に不確かである。筋力トレーニングをしても、何も治療しない場合と比較して運動機能には全くもしくはほとんど差がなく、グルココルチコイド注射(抗炎症薬)と比較しても運動機能や痛みには全くもしくはほとんど差がないかもしれない。
- これらのトレーニングが手術よりも痛みの軽減や運動機能の改善において優れているかどうかは不明である。アスリートは、筋力トレーニングと手術で同様の治療効果を得て、同様にスポーツ復帰ができていた。
膝蓋腱炎とは?
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の人は通常、膝の前面にある腱(筋肉と骨をつないでいる繊維)の痛みや押したときの圧痛がある。この症状は、ジャンプや急に止まる動作、キック、ランニングを繰り返すような運動をしている人に影響を与えることが多い。膝蓋腱炎はアスリートでも、アスリートでなくとも障害を引き起こす可能性があるが、競技のパフォーマンスや選手生命に特に大きな影響を与える。
膝蓋腱炎の治療法は?
膝蓋腱炎の主な治療法のひとつは運動、特に筋力トレーニングである。他には、抗炎症薬(グルココルチコイド注射など)や、場合によっては手術がある。その他の治療法としては、多血小板血漿注射(血液中の濃縮成分を膝に注入する療法)、超音波療法(音波を利用して痛みを軽減し、治癒をサポートする療法)、レーザー療法(集束した光を利用して痛みや腫れを軽減し、治癒を早める療法)、衝撃波療法(高エネルギーの音波を利用して治癒を促し、痛みを軽減する)などが行われている。
何を行ったのか?
膝蓋腱炎の患者を対象に、筋力トレーニングと他の治療法(治療なし、抗炎症薬(グルココルチコイド注射など)、手術など)を比較した研究を検索した。痛み、運動機能、治療効果、生活の質、スポーツ復帰、望ましくない影響に関するデータを収集し、その結果の信頼性を評価した。
わかったこと
1989年から2022年の間に発表され、英語で報告された7件の研究が見つかった。ノルウェーの研究が2件、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、ポーランド、アメリカの研究が各1件であった。
主な結果
痛み
(0~100の間で測定、数値が低いほど痛みが少ないことを意味する)治療終了時
筋力トレーニングが治療なしに比べて痛みを軽減するかどうかは、非常に不確かである。
- 筋力トレーニング群の人の痛みは27点であった。
- 治療なし群の人の痛みは62点であった。
筋力トレーニングはグルココルチコイド注射と比較しても痛みには全くもしくはほとんど差がないかもしれない。
- 筋力トレーニング群の人の痛みは24点であった。
- グルココルチコイド注射群の人の痛みは18点であった。
筋力トレーニングが手術に比べて痛みを軽減するかどうかは、非常に不確かである。
- 筋力トレーニング群の人の痛みは13点であった。
- 手術群の人の痛みは17点であった。
運動機能
(0~100の間で測定、数値が低いほど運動機能が良いことを意味する)治療終了時
筋力トレーニングは治療なしと比較しても運動機能には全くもしくはほとんど差がないかもしれない。
- 筋力トレーニング群の人の膝の運動機能は72点であった。
- 治療なし群の人の膝の運動機能は65点であった。
筋力トレーニングはグルココルチコイド注射と比較しても運動機能には全くもしくはほとんど差がないかもしれない。
- 筋力トレーニング群の人の膝の運動機能は76点であった。
- グルココルチコイド注射群の人の膝の運動機能は82点であった。
筋力トレーニングが手術に比べて運動機能を改善するかどうかは、非常に不確かである。
- 筋力トレーニング群の人の膝の運動機能は52点であった。
- 手術群の人の膝の運動機能は45点であった。
治療効果
(-5~+5の間で測定、+5が最大の改善を意味する)治療終了時
筋力トレーニングは手術と比較しても治療効果には全くもしくはほとんど差がないかもしれない。
- 筋力トレーニング群の人の治療効果は+1.7点であった。
- 手術群の人の治療効果は+0.2点であった。
スポーツ復帰する割合
12か月後
筋力トレーニングは手術と比較してもスポーツ復帰する割合には全くもしくはほとんど差がないかもしれない。
- 100人中85人が筋力トレーニング後にスポーツ復帰した。
- 100人中86人が手術後にスポーツ復帰した。
エビデンスの限界は何か?
アスリートに対する筋力トレーニングの治療効果は不明である。対象者の数が少なく、質の異なる研究がいくつかあった。すべての研究はアスリートのみを対象としていたため、この結果はアスリート以外の人には当てはまらないかもしれない。治療による望ましくない影響を報告した研究はなかった。
エビデンスの更新状況
エビデンスは、2023年9月5日現在のものである。
Lopes AD, Rizzo RRN, Hespanhol L, Costa LOP, Kamper SJ
7 months 2 weeks ago
要点
確固としたエビデンスがないため、特発性炎症性筋疾患(特発性炎症性ミオパチー、IIMs)の人におけるリツキシマブ、アバタセプト、補体阻害薬の利益とリスクは不明である。
アバタセプトによる治療はプラセボと比較して、国際筋炎評価・臨床研究グループ(IMACS)の改善定義(DOI)で評価される特発性炎症性筋疾患の活動性を改善させるかもしれない。
異なる病型の特発性炎症性筋疾患において、標的治療薬が有効かどうかを確かめるには、大規模な研究が必要である。特発性炎症性筋疾患は希少であるため、国際的に協力し複数の施設で研究(多施設共同研究)を行うことが望ましい。
背景
特発性炎症性筋疾患は、免疫系が筋肉を攻撃する疾患群である。筋肉の障害(炎症)を特徴とし、筋力低下が進行していく。皮膚筋炎(DM)など一部の特発性炎症性筋疾患の病型では、非常に特異的な皮膚症状(皮疹)を伴う。従来、皮膚症状が認められない場合、この病気は多発性筋炎(PM)と呼ばれていたが、現在では、特発性炎症性筋疾患にはさまざまな病型があり、治療に対する反応も異なることが分かっている。本レビューでは、免疫抑制薬に反応しないと考えられている「封入体筋炎」は対象外とした。
特発性炎症性筋疾患は、免疫系の過剰な働きを抑える「免疫抑制」薬と、免疫系の(異常な)反応を変化(正常化)させる「免疫調節」薬で治療される。これらの治療の目的は、免疫系が筋肉を攻撃するのを阻止することである。特発性炎症性筋疾患の治療には、免疫系の特定の分子や細胞を標的とする治療薬もあれば、標的としない(広範囲に作用する)治療薬もある。本レビューでは、最初の治療薬グループ(標的治療薬)を評価した。
知りたかったこと
特発性炎症性筋疾患における標的治療薬の利益と有害性を明らかにしたかった。特に、リツキシマブ、アバタセプト、および補体阻害薬による治療に関心があった。
実施したこと
特発性炎症性筋疾患の人における標的治療薬を評価したすべての研究を検索した。特発性炎症性筋疾患の人が、2つ以上の治療群にランダムに割り当てられていた研究のみを対象とした。
研究結果を比較および要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
治療が効果的かどうかを評価するには、さまざまな方法がある。特発性炎症性筋疾患の人にとって重要と考えられる特定の評価項目を探した。最も重視したアウトカムは、スコア上においての障害度または機能の改善と筋力の改善(スコアが15%以上改善した場合)の2つである。その他の評価項目は、国際的に合意された異なる評価指標の組み合わせによる改善達成スコア、すなわち国際筋炎評価・臨床研究グループ(IMACS)の改善定義(DOI)によるスコアおよび総合改善スコア(TIS)の使用による改善達成への評価、ステロイドの総投与量、重篤な有害事象、治療効果が不十分または有害事象により治療を中断した人の数などである。
わかったこと
830人の特発性炎症性筋疾患がある人を対象とした16件の研究を特定した。最大規模の研究は200人を対象に行われ、最小規模の研究は13人を対象に行われていた。全ての研究は、米国(14件)またはヨーロッパ(10件)、あるいは両地域で実施されていた;6件の研究では、他の地域も含まれていた。15件の研究は製薬会社から資金提供を受けており、残り1件の研究では薬剤提供を受けていた。研究期間は8週間から52週間であった。
1件の研究で、200人の参加者を対象にリツキシマブによる治療を評価していた。この試験では、試験開始後8週目で、参加者全員がリツキシマブを使用したため、8週目時点での結果を分析対象としていた。この評価期間は、事前に設定していた期間(リツキシマブが効果を示すと想定される期間)よりも短い期間である - 通常、治療効果が現れるとされる期間、6か月以上、最低3か月以上の結果を探していた。このような短期間の研究から得られた結果では、結果の信頼性に確信が持てない要因となる。リツキシマブが、IMACS DOIで評価される全体的な疾患改善に及ぼす効果、治療効果が不十分または有害事象による治療中断に与える影響についてのエビデンスは、非常に不確実である。他の評価に関しては、8週目時点では利用できなかった。
アバタセプトについては、168人の参加者を含む2件の研究を対象とした。アバタセプトは、IMACS DOIで評価される特発性炎症性筋疾患の活動性を改善させるかもしれないが、このエビデンスに対する信頼性は非常に低い。アバタセプトは、筋力、障害度、重篤な有害事象、または治療中断には、ほとんど影響を与えない可能性がある。
補体阻害薬(エクリズマブとジルコプラン)については、プラセボと比較した2件の研究(合計40人の参加者を対象)を特定した。使用したステロイドの総量について報告した研究はなかったが、他のアウトカムについては、補体阻害薬は特発性炎症性筋疾患にほとんど影響を与えない可能性がある。
エビデンスの限界は何か?
特発性炎症性筋疾患に対する標的治療薬が効果的であったかどうかを確かめるには、十分な情報がなかった。標的治療薬が有効かどうかを確かめるには、さらなる研究が必要である。
本エビデンスの更新状況
本要約は、2023年2月3日までに入手可能なエビデンスに基づいている。
Raaphorst J, Gullick NJ, Shokraneh F, Brassington R, Min M, Ali SS, Gordon PA
7 months 2 weeks ago
要点
現在、成人の不安障害をスクリーニングするためのより短い質問票があり、ベック不安評価尺度 (BAI)を使用する前に検討する価値があるかもしれない。現在のところ、成人の不安障害の検出にBAIを用いるべきかどうかは、以下の理由のために不明である:
なぜ不安障害の早期発見が重要なのか?
不安障害は一般的な疾患であるが、治療の恩恵を受けそうな人でも発見されないことが多い。このため、不安のスクリーニングを勧める専門家もいる。他の専門家は、スクリーニングを支持しない。なぜなら、不安障害がないにもかかわらず誤って不安障害と判定したり(「偽陽性」として知られる)、不安障害のある人を見逃したり(「偽陰性」として知られる)する可能性があるからである。偽陽性の結果は、それを最も必要とする人々からリソースを奪い、不必要な心配、さらなる検査や治療を受けさせてしまう可能性がある。一方、偽陰性の結果は、治療を遅らせる可能性がある。「あらゆる不安障害」(AAD)という用語は、さまざまな精神衛生状態をカバーしている。これには、特に全般性不安障害(GAD)やパニック障害が含まれる。
ベック不安評価尺度とは何か?
ベック不安評価尺度(Beck Anxiety Inventory:BAI)は質問紙である。もともとは不安の重症度を測定するために開発されたものだが、スクリーニング研究にも使われている。人々は21個の質問にそれぞれ0点から3点までの尺度で答える。すべての質問に答えた後、得点を合計して0点から63点までの合計点を出す。合計スコアがある値(いわゆるカットオフ値)以上であれば、不安障害の可能性が高い。BAIでは、カットオフ値として16点がよく使われる。BAIを使用することで、シンプルかつ迅速な結果を得ることができる。BAIスコアが高い人は、さらなる評価のための診察を促されることがある。
知りたかったこと
BAIで成人が不安障害かどうかをどの程度見分けることができるかを調べたかった。
実施したこと
不安の検出にBAIを用いた研究を検索した。そして、これらの研究の結果を統合した。
わかったこと
このレビューでは、AADの検出におけるBAIに関する情報をもつ10件の研究(われわれの最も重要な分析)、GADに関する情報をもつ8件の研究、PDに関する4件の研究の結果が含まれた。全体として、14件の研究、6,232人の参加者がこのレビューに含まれた。9件の研究は多様な専門的臨床現場で、2件の研究は非臨床現場で、3件の研究は専門的臨床現場と非臨床現場の両方で実施されていた。
-
その結果を総合すると、AADと診断された270人を含む1,000人のグループにBAIを実施した場合、
- BAIでAAD陽性と判定された241人のうち、95人はAADであると誤認されている(偽陽性)
- BAIでAAD陰性と判定された759人のうち、124人はAADではないと誤認されている(偽陰性)。
エビデンスの限界
研究は非常に多岐にわたり、1種類の分析につき数件の研究しかなく、研究の質も限られていた。また、研究対象者の中には、BAIを実施する前から不安を抱えていた人や、その情報が得られなかった人もいた。そのため、スクリーニングを受けるべき集団を代表していない人を研究参加者として含む研究もある。
結果が意味すること
研究データが限られているため、BAIがスクリーニング検査として優れているかどうかはわからない。この結果は主に、多様な専門的臨床現場におけるBAIの使用を反映している。しかし、BAIが特定の人々や特定の環境においてより効果的であるかどうかは、まだ十分に理解されていない。現在、不安障害のスクリーニングのために開発されたより短い質問票があるので、まずそれを検討する価値があるかもしれない。
エビデンスの更新状況
本エビデンスは2024年7月12日現在のものである。
Eck S, Dümmler D, Aktürk Z, Korman M, Dawson S, Schneider A, Hapfelmeier A, Linde K, Fomenko A
7 months 2 weeks ago
主なメッセージ
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軽度から重度の変形性膝関節症患者において人工膝関節全置換術後に非外科的治療プログラムを行った場合、非外科的治療プログラムのみと比べて、以下のことがわかった。
・実際に意味があると感じられるレベルのわずかな痛みの軽減を感じる可能性がある。
・実際に意味があると感じられないレベルのわずかな身体機能の改善の可能性がある。
・追加手術の必要性がわずかに減少する可能性がある。健康関連QOL(生活の質)については、治療群の間で実益をもたらすような差はないと思われる。
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人工膝関節全置換術後の非外科的治療プログラムが、非外科的治療プログラムのみと比べて、重篤な副作用や副作用による治療中止のリスクに及ぼす影響は非常に不確実である。
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変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術と非外科的治療を比べる今後の研究が必要である。それらの研究では、治療による利益とリスク、患者満足度を調べる必要がある。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、膝関節とその周辺に影響を及ぼす、よくある進行性の疾患である。変形性関節症は、痛み、こわばり、運動能力の低下を引き起こし、軽度、中等度、重度の場合がある。これらの症状は、世界中で何百万人もの人々のQOL(生活の質)に影響を及ぼしている。
変形性膝関節症はどのように治療するのか?
中等度から重度の変形性膝関節症の治療には、非外科的治療と人工膝関節置換術がある。非外科的治療は、教育、運動、理学療法、減量、薬物療法、関節注射などが一般的である。
変形性膝関節症が進行すると、人工膝関節置換術が必要になる人もいる。人工膝関節置換術では、外科医は膝関節の表面(脛骨、大腿骨、ときには膝蓋骨も)を金属、プラスチック、セラミック製の人工物に置き換える。また、関節がスムーズに動くように、脛骨と大腿骨の間にプラスチックのスペーサーを入れる。
変形性膝関節症には多くの治療法があり、誰にとっても最良といえる治療法が一つだけあるわけではない。変形性膝関節症の患者が治療法を理解するためには、非外科的治療と人工膝関節置換術の潜在的な利点とリスクに関するわかりやすく信頼できる情報が必要であり、それによって個人の価値観、目標、生活様式に最も適した治療を選択できるようになる。
知りたかったこと
中等度から重度の変形性膝関節症の成人に対して、どの治療(人工膝関節置換術、非外科的治療、プラセボ(薬効のない薬を投与する)、シャム治療(みせかけの手術をする等))が最も効果的かを調べたかった。
また、人工膝関節置換術、非外科的治療、プラセボ、またはシャム治療を行った成人に、それぞれで副作用があったかどうかも調べたかった。
実施したこと
中等度から重度の変形性膝関節症患者を対象に、人工膝関節置換術と非外科的治療、プラセボ、シャム治療と比べた過去15年間の研究を検索した。研究結果を要約して比較し、研究の方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。
わかったこと
軽度から重度の変形性関節症の成人100人を対象とした研究が1件だけ見つかった。この研究では、人工膝関節全置換術後に12週間の非外科的治療プログラムを行った場合と、同じ12週間の非外科的治療プログラムのみを行った場合を比較した。人工膝関節全置換術後に非外科的治療プログラムを行ったグループでは、50人中32人が女性(64%)で、平均年齢は66歳であった。非外科的治療プログラムのみを行ったグループでは、50人中30人が女性(60%)で、平均年齢は66歳であった。
主な結果
この研究では、人工膝関節全置換術後に12週間の非外科的治療プログラムを行った場合と、同じ12週間の非外科的治療プログラムのみを行った場合を比べて、以下のことがわかった。
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・1年後に実際に意味があると感じられるレベルで痛みが減る可能性がある。
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・1年後に身体機能は改善するかもしれないが、その改善は実際に意味があるとは感じられないレベルかもしれない。
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・膝の追加手術(膝の再置換術または追加の手術、および膝の初回手術)の必要性が減る可能性がある。
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・1年後の健康関連QOL(生活の質)において、治療群の間で実際に意味があると感じられるような差はない可能性がある。
治療結果に対する患者満足度に関するエビデンスはなかった。
人工膝関節全置換術後に12週間の非外科的治療プログラムを行った場合、同じ12週間の非外科的治療プログラムのみを行った場合と比べて、1年後の重篤な副作用のリスクや副作用による治療中止のリスクに対する影響については、非常に不確実である。
エビデンスの限界
エビデンスに対する信頼度は中等度から非常に低い。その理由は、見つかった研究が2011年から2013年に行われた小規模な研究の1つだけだったこと、医師がどのように人工膝関節置換術を行う人を決めたかが不明確であったこと、対象者の一部は中等度から重度の変形性関節症ではなく軽度であったこと、前週に激しい痛みがあった人が研究から除外されていたことであり、これらがレビューの結果に影響を与えた可能性がある。さらに、対象者は自分が受けた治療を知っており、それが結果に影響を与えた可能性がある。
このレビューの更新状況
エビデンスは2025年1月現在のものである。
Pacheco-Brousseau L, Abdelrazeq S, Kelly SE, Pardo Pardo J, Dervin G, Stacey D, Wells GA
7 months 3 weeks ago
要点
- 迅速抗原検査は、感染の徴候や症状がない人に使用した場合は、症状がある人に使用した場合と比較して、それほど正確ではない。この後者のグループでは、COVID-19が確認された人と接触したことがある人の方が成績が良い。 しかしながら、エビデンスは決定的なものではない。
- 迅速抗原検査の精度は、異なるメーカーの異なる迅速抗原検査によって異なる。市販されている多くの検査法にはエビデンスが不足しており、無症状の人のCOVID-19を診断するためのWHOの基準を満たしているものはない。
- 症状のない人をスクリーニングすることでCOVID-19の蔓延を抑えられるかどうか、特に学校や家庭など医療以外の環境でのCOVID-19の蔓延を抑えられるかどうかについては、さらなるエビデンスが必要である。
COVID-19の迅速抗原検査とは何か?
これらの検査は、症状のある人もない人も、COVID-19感染を確認または除外するために行われる。これらにはいくつかの利点がある:
- 持ち運び可能:自宅や医療機関以外の場所など、どこでも使用できる;
- 検査室ベースの検査よりも使いやすい:必要な機器は最小限である;
- 安価:標準的な臨床検査よりも安価である;
- 専門家を必要としない:誰でも使用でき、専門的なオペレーターやセッティングを必要としない。
- 迅速な結果:ほとんどすぐに結果が出る。
このレビューでは、迅速抗原検査(「ラテラルフロー検査」とも呼ばれる)に焦点を当てた。これらの検査では、鼻や喉から採取した検体を用いてウイルス上のタンパク質を検出する。妊娠検査薬に似ており、使い捨てのプラスチック製カセットに入っている。
なぜこの問題が重要なのか?
COVID-19の症状がない人は、感染しているかどうかを確認する簡単で信頼できる方法が必要である。これは、他の人、特にリスクの高い人へのウイルス感染を防ぐのに役立つ。COVID-19は通常、RT-PCRと呼ばれる臨床検査で確認されるが、この検査には専門機器が必要で、結果が出るまでに少なくとも24時間かかることが多い。
迅速抗原検査によって、たとえ症状がなくても、より多くの人が迅速に検査を受けることが可能になる。しかし、誤った結果を避けるためには、その正確さと正しい使い方を理解することが重要である。
知りたかったこと
市販されている医療従事者の訪問(臨床現場ですぐに行われる)時の迅速抗原検査が、症状のない人のCOVID-19感染を確実に診断するのに十分な精度があるかどうかを知りたかった。
実施したこと
COVID-19の症状がない人を対象とした迅速抗原検査の精度を測定した研究を検索した。これらの人々は、感染の有無を確認するためにRT-PCR検査も受けた。研究は病院、地域社会、あるいは自宅で行われた。
わかったこと
144,250サンプルを含む146件の研究をレビューした。このうち7,104検体でCOVID-19の罹患が確認された。研究では41種類の抗原検査が行われた。研究の約60%はヨーロッパで行われた。
主な結果
COVID-19の罹患が確認された人のうち、抗原検査でCOVID-19の罹患が正しく同定されたのは、症状のない人の平均55%であった。この検査は、COVID-19に感染した人と接触したことのある人(感染者の平均59%が正しく同定された)については、接触歴のない人(感染者の平均53%が正しく同定された)よりもわずかに正確であった。
COVID-19に罹患していない人では、抗原検査で99.5%の人が感染を正しく除外できた。
検査精度は検査ブランドによって異なる。どの検査も、症状のない人を検査した場合、COVID-19を確定または除外するための世界保健機関(WHO)の基準を満たしていなかった。いくつかの検査は、単独の研究ではWHOの基準を満たしたが、症状のない人を対象とした評価では満たされなかった。
10,000人の無症状者のうち、COVID-19に罹患している人との接触が知られていない人の要約結果を使用した場合、50人(0.5%)が本当にCOVID-19に罹患していた:
- 67人がCOVID-19に陽性反応を示すことが示唆される。このうち、40人(60%)は実際にはCOVID-19に罹患していないだろう(偽陽性の結果)。
- 9,934人がCOVID-19に陰性反応を示すことが示唆される。このうち、24人(0.2%)は実際にはCOVID-19に罹患しているだろう(偽陰性の結果)。
COVID-19に感染している人との接触が疑われる人の結果を要約すると、症状のない10,000人が抗原検査を受け、そのうちの50人(0.5%)が本当にCOVID-19に感染していたとする:
- 89人がCOVID-19に陽性反応を示すことが示唆される。このうち、60人(67%)は実際にはCOVID-19に罹患していないだろう(偽陽性の結果)。
- 9,911人がCOVID-19に陰性反応を示すことが示唆される。このうち、21人(0.2%)は実際にはCOVID-19に罹患しているだろう(偽陰性の結果)。
エビデンスの限界
ほとんどの研究は、代表的なグループを含み、バイアスのない方法でテストを解釈した。しかし、多くの場合、試験はメーカーの指示通りに実施されていなかったり、実世界の条件下(Point of Careなど)で実施されていなかったりする。
COVID-19に罹患していないことを確認するのは、あまり得意ではなかった。半数以上の研究では、陰性と判定された人が本当にCOVID-19に感染していないのかどうか、例えばCOVID-19の症状を持つ人と接触してからの期間を考慮するなどして確認しようとする試みはなかった。
さまざまな検査のブランドを直接比較した研究はほとんどないため、どれがベストかを簡単に判断することはできない。抗原検査結果が陽性であることと、その人の感染力との関係についてコメントすることはできない。また、抗原検査を繰り返し行うことで、集団内でウイルスが蔓延するリスクが低くなるかどうかについては、十分な情報がない。
本レビューの更新状況
このレビューは、前回のレビューを更新し、2022年2月17日までに発表されたエビデンスを含む。
Dinnes J, Berhane S, Walsh J, Reidy P, Doherty A, Hillier B, Scandrett K, Hettiarachchi D, Islam F, Mathangasinghe Y, Nyaaba N, Taylor M, Weeratunga P, Wickramasinghe D, van Wyk SS, Cunningham J, Davenport C, Dittrich S, Emperador D, Hooft L, Leeflang…
8 months 1 week ago
世界中のほとんどの人が、毎年1回以上風邪をひく。低所得国を除けば、風邪は人々が抗菌薬を使用する最も大きな理由のひとつであり、鼻からの粘液が着色している場合はなおさらである(急性化膿性鼻炎)。しかし、一般的な風邪はウイルスが原因で、抗菌薬が効かない。また、抗菌薬は副作用を引き起こす可能性があり、特に下痢を引き起こすことがある。抗菌薬の使い過ぎは、細菌が抗菌薬に耐性を持つことにつながる。
風邪に抗菌薬が効くかどうかを調べるために、抗菌薬を服用するグループと、抗菌薬を含まないが似たような薬(プラセボ)を服用するグループを比較した研究を特定した。風邪に関する研究が6件(1,047人の参加者)、急性化膿性鼻炎に関する研究が5件(791人の参加者)であった。多くの研究には結果にバイアスが生じる可能性のある欠陥があった。特に、参加者の多くが研究者が把握していなかった胸部や副鼻腔の感染症に罹患していた可能性があるためである。
抗菌薬は風邪にも急性化膿性鼻炎にも効かず、多くの人が抗菌薬の副作用に悩まされていることが示唆された。
Kenealy T, Arroll B
8 months 2 weeks ago
要点
ニコチンを含む電子タバコは、少なくとも6か月間は禁煙に役立つと思われる。ニコチン置換療法よりも効果があり、ニコチンを含まない電子タバコよりも効果があることを示すエビデンスがある。
また、サポートなしの場合や、行動支援のみの場合よりも効果があり、重篤な副作用を伴わない可能性がある。
しかし、電子タバコの効果について確信を持つためには、より多くのエビデンスが必要である。特に、古いタイプの電子タバコよりもニコチンの供給が優れている新しいタイプの電子タバコの効果については、より多くのエビデンスが必要である。
電子タバコとは?
電子タバコ(e-シガレット)またはベイプは、通常ニコチンや香料を含む液体を加熱することによって動作する携帯型デバイスである。電子タバコは、煙ではなく蒸気でニコチンを吸い込むことができる。電子タバコはタバコを燃やさないため、従来タイプのタバコを吸っている人の喫煙関連疾患の原因となるのが明らかなレベルと同じレベルの有害物質を吸い込むことはない。
電子タバコを使用することは、「ベイピング」と呼ばれている。電子タバコは、タバコを止めるために使用する人が多い。ここでは主にニコチンを含む電子タバコに焦点を当てる。
レビューを行った理由
禁煙は多くの病気のリスクを下げる。多くの人が、タバコを止めるのは難しいと思っている。電子タバコの使用が禁煙の助けになるかどうか、また、電子タバコを使用している人に望ましくない影響がないかどうかを調べた。
実施したこと
禁煙のために電子タバコを使用した研究を検索した。
治療が無作為に決定されるランダム化比較試験を検索した。このランダム割付という研究手法は、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスが得られるとされている。また、全員に電子タバコを配布した研究や、喫煙者に電子タバコを配布し、その健康状態をモニターした研究も探した。たとえ無作為化がなかったとしても、参加者の健康への影響について学ぶことができたであろう。
以下の点に着目した:
- 何人の人が6か月以上喫煙を止めたか、そして
- 望まない効果(つまり副作用)があった人は何人いたか(少なくとも使用を始めて1週間の時点で報告されている望まない効果)。
文献の検索日
2025年3月1日までに発表されたエビデンスを対象とした。
わかったこと
喫煙者30,366人を含む104件の研究が見つかった。ニコチン入り電子タバコを以下のものと比較した研究である:
- ニコチン補充療法(パッチやガムなど);
- バレニクリン(禁煙補助薬);
- ニコチンを含まない電子タバコ;
- 加熱式タバコ(タバコを燃焼させたり煙を発生させたりすることなく、タバコを十分に高温に加熱して蒸気を放出させる製品;これらは電子タバコとは異なり、タバコの葉やシートを加熱する);
- 経口ニコチン・パウチ(タバコは入っていないが、口の中に入れておくとニコチンを放出するパウチ);
- 他のタイプのニコチン入り電子タバコ(例:ポッドデバイス、新型デバイス);
- 行動面のサポート(アドバイスやカウンセリングなど)。
- 禁煙のためのサポートなし。
ほとんどの研究は米国(48研究)と英国(21研究)で行われた。
レビューの結果
ニコチン代替療法(9研究、2,703人)やニコチンを含まない電子タバコ(7研究、1,918人)を使用するよりも、ニコチンを含む電子タバコを使用したほうが、少なくとも6か月間禁煙できる可能性が高い。
ニコチン入り電子タバコは、サポートがない場合や行動支援のみの場合に比べて、より多くの人の禁煙を助ける可能性がある(11件の研究、6,819人)。
ニコチン代替療法を受けた100人中6人、ニコチンを含まない電子タバコを使用した100人中6人、サポートなしまたは行動支援のみを受けた100人中4人に比べ、ニコチン入り電子タバコを使用した100人中8~11人が禁煙に成功する可能性がある。
ニコチンを含む電子タバコを使用した場合、ニコチン置換療法、サポートなし、行動支援のみの場合と比較して、副作用の発生率に差があるかどうかは不明である。ニコチン入り電子タバコを使用しているグループでは、サポートなしや行動サポートのみと比較して、重篤でない望ましくない影響がより一般的であったというエビデンスがいくつかあったが、エビデンスは不確かである。ニコチンを含む電子タバコとニコチン置換療法を比較した研究では、重篤な副作用を含む副作用が少数報告されている。ニコチンを含む電子タバコを使用している人が、ニコチンを含まない電子タバコを使用している人と比較して、重篤ではない望ましくない効果がどれだけ発生するかについては、おそらく差はない。
ニコチンを含む電子タバコで最も多く報告された副作用は、喉や口の中の炎症、頭痛、咳、気分の悪さだった。これらは、ニコチン代替療法(NRT)を使用したときに経験することと似ているようだ。ニコチン入り電子タバコを使い続けると、時間の経過とともに望ましくない影響は減少した。
結果の信頼性
ニコチンを含む電子タバコは、ニコチン置換療法よりも多くの人の禁煙を助けることができるというエビデンスがあることが分かった。ニコチンを含む電子タバコは、ニコチンを含まない電子タバコよりも禁煙に役立つと思われるが、これを確認するためにはまだ多くの研究が必要である。
また、ニコチンを含む電子タバコと行動療法やサポートなしを比較した研究では、ニコチンを含む電子タバコを使用している人の禁煙率が高いことが示されたが、研究デザインに問題があるため、確実なデータは得られていない。
望ましくない効果に関する結果のほとんどは、より多くのエビデンスが得られれば変化する可能性がある。
Lindson N, Livingstone-Banks J, Butler AR, McRobbie H, Bullen CR, Hajek P, Wu AD, Begh R, Theodoulou A, Notley C, Rigotti NA, Turner T, Fanshawe T, Hartmann-Boyce J
8 months 2 weeks ago
主なメッセージ
急性腰痛(痛くなってから6週間未満の痛み)の場合
・活動的でいるように勧めることは、ベッドで安静にしているように勧めることに比べ、痛みを軽減し、運動機能を向上させるだろう。
亜急性腰痛(6~12週間続く痛み)の場合
・集学的治療(様々な分野を組み合わせた総合的なアプローチによる治療)は、通常治療と比べ、痛みを軽減するだろう。
・脊椎マニピュレーションは、プラセボ(実際の治療に似せてデザインされた「シャム(偽、みせかけ)」または「ダミー」の治療法だが、有効成分や意図された治療効果がないもの)と比べ、運動機能を改善しないだろう。
慢性腰痛(12週間以上続く痛み)の場合
・鍼治療は、プラセボや治療なし、通常治療と比べ、痛みを軽減し、運動機能を改善するだろう。
・運動療法は、プラセボや治療なし、通常治療と比べ、痛みを軽減し、運動機能を改善するだろう。
・牽引療法は、シャムの牽引療法と比べて痛みを軽減することはないだろう。
・集学的治療は、通常治療と比べ、痛みを軽減し、運動機能を改善するだろう。
・心理療法は通常治療と比べ、おそらく痛みを軽減するが、運動機能はほとんど変わらないだろう。
腰痛とは何か。また、どのように治療されるのか?
腰痛はよくある身体の状態であり、能力低下や生活の質の低下を伴うことがある。腰痛のほとんどは、痛みの原因が不明で「非特異的」腰痛と表現される。急性腰痛(6週間未満の痛み)、亜急性腰痛(6~12週間続く痛み)、慢性腰痛(12週間以上続く痛み)など、様々な時期の腰痛に対して、多くの種類の非薬物的・非外科的治療が行われている。腰痛をよりよく管理するために、医療従事者や患者に対して、薬物療法や外科的治療以外の治療法の利点や安全性に関するわかりやすく質の高い情報を提供する必要がある。
何を調べようとしたのか?
成人の非特異的腰痛に対する非薬物療法と非外科的療法の有効性と安全性に関するコクラン・レビューのエビデンスを要約しようとした。
実施したこと
97,183人の参加者、644件の研究を含む31件のレビューが見つかった。これらの研究では、腰痛に対する27種類の治療の効果が調査された。
わかったこと
急性・亜急性の腰痛患者に対しては、ベッドで安静にすることを勧めるよりも、活動的に過ごすことを勧める方が、短期間(3か月まで)では痛みを軽減できるだろう。集学的治療は長期的(12か月以上)には痛みを軽減するだろう。脊椎マニピュレーションは、短期的には運動機能を改善しないだろう。
慢性の腰痛患者に対しては、鍼治療、運動療法、心理療法が短・中期的(3か月から12か月)には、痛みを軽減するだろう。鍼治療と運動療法は、短・中期的には運動機能も改善するだろう。集学的治療は、短・中期的には痛みを軽減し、運動機能を改善するだろう。牽引療法は短期的には痛みを軽減しないだろう。
腰痛に対する他の非薬物的、非外科的治療の効果については、あまり確実性がない。
非薬物的および非外科的治療は、重篤な有害事象(望ましくない、有害な事象)とは関連しないだろう。
エビデンスの限界は何か?
38%のレビューが利用可能な最も厳密な方法論に沿っていないと判断したため、エビデンスに対する確実性を低下させた。レビューの約75%が2020年以前に発表されたもので、含まれるエビデンスが比較的古い可能性があるだろう。推奨ガイダンスにしたがって、これらのコクランレビューを更新する必要がある。
エビデンスの質が低いため、腰痛の臨床で一般的に使用されている多くの非薬物療法や非外科的治療の有益性と有害性については、不確実なままである。医療従事者、患者、腰痛研究に資金を提供している団体には、腰痛治療を十分な情報を得た上で判断をするために、この概要を利用すること勧める。
エビデンスはいつのものか?
この概要は2023年4月現在のものである。 しかし、レビューの1/3(31件中10件)は15年以上前のもので、含まれるエビデンスはさらに古くなっている。
Rizzo RRN, Cashin AG, Wand BM, Ferraro MC, Sharma S, Lee H, O'Hagan E, Maher CG, Furlan AD, van Tulder MW, McAuley JH
8 months 2 weeks ago
要点
- 子宮内膜癌と子宮内膜異型増殖症(前癌病変)に対する妊孕性(妊娠する能力)を温存する治療法として、さまざまな治療法があることがわかった。しかし、どの治療法が最も効果的なのか、どんな方法で治療するのが最もいいのかについては、わかっていない。
- プロゲスチン(卵巣が出す黄体ホルモンに似た合成ホルモン)による治療にメトホルミンを加えることは、子宮内膜癌や子宮内膜異型増殖症の治療に役立つであろう。レボノルゲストレル子宮内システム(長期にレボノルゲストレルというプロゲスチンを放出する器具)は、プロゲスチンの飲み薬と比べて、好ましくない影響が少なく、同等の効果が得られるため、より有効かもしれない。
- さまざまな治療法を評価し、比べるためには、もっときちんとデザインされた研究が必要である。
子宮内膜癌と子宮内膜異型増殖症とは?
子宮内膜癌は、子宮の内膜にできるがん(子宮体がん)である。世界で6番目に多いがんで、高所得国では4番目に多く、増加傾向にある。子宮内膜異型増殖症とは、子宮の内膜に異常な細胞が増殖する状態で、子宮内膜癌の前癌病変である。治療しなければ、子宮内膜癌に発展する可能性がある。晩産化と肥満率の増加は、どちらもこれらの癌や前癌病変の危険因子である。子宮内膜癌や子宮内膜異型増殖症に対する最も効果的な治療は、手術で子宮を摘出することである。子宮内膜癌や前癌病変は閉経後に多く見られるが、25%くらいは若い女性で発生する。つまり、妊娠を希望しているのに、がんと診断される女性が増えている。このため、妊孕性を温存する治療を検討したいと考える女性が増えている。
通常、プロゲスチンによる治療が勧められる。さらに、メトホルミン(糖尿病の治療薬)や肥満手術(肥満に対する手術)、子宮鏡下内膜掻把術(腟から細いカメラと特殊な器具を挿入し、異常な組織を取り除く手術)といった他の治療法も現在研究されている。しかしながら、最もよい治療法は依然として不明である。
知りたかったこと
どの治療法が子宮内膜癌や前癌病変に有効なのか、また、女性の妊孕性を維持するためにも有効なのかを調べたかった。
実施したこと
子宮内膜癌および前癌病変に対する治療で、妊孕性の温存も目的とした研究を検索した。さまざまな薬、手術、減量プログラムなど、あらゆる治療法を対象とした。女性の全生存期間、何人の女性が出産したか(生児出産率)、何人の女性が癌の再発なしに生存したか、何人の女性が完全に回復したか(病理学的完全奏効率)、治療による重篤な好ましくない影響、心理的症状や生活の質(QOL)への影響の有無、何人の女性が妊娠したか、何人の女性が治療がうまくいかず最終的に子宮摘出術を必要としたかについて、さまざまな治療の効果を知りたいと考えた。研究の結果を要約・比較し、研究の方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。
わかったこと
904人の女性を対象とした12件の研究が見つかった。これらには、女性を複数の治療法に無作為に割り付けた6件の研究と、無作為に割り付けなかった6件の研究が含まれていた。
主な結果
メトホルミンとプロゲスチンの併用は、プロゲスチン単独と比べて
、完全奏効率(治療後に検出可能ながんがないこと)をわずかに増やすかもしれない。生児出産や、疾患が持続・進行したために手術が必要になる可能性はほとんど変わらないかもしれない。重篤な副作用は報告されていない。女性の全生存期間や、病気が再発するまでの生存期間、QOLへの影響については情報がない。
子宮内レボノルゲストレル放出システムは、プロゲスチンを長期間放出する小さな器具で子宮の中に挿入して使う。これは、プロゲスチンの飲み薬と比べて、完全奏効率は変わらないかもしれない。体重増加などの好ましくない影響は減るかもしれない。この器具による治療は、女性にとって継続しやすいかもしれない。その他の結果については情報がない。
プロゲスチンの飲み薬に子宮内レボノルゲストレル放出システムを追加しても、生存率、生児出産率、治癒率、QOL、将来の手術の必要性に違いはないかもしれない。また、好ましくない影響を増加させることもないようだ。
エビデンスの限界
いくつかの理由から、エビデンスの確実性は低い。第一に、女性が治療法に無作為に割り付けていない研究がいくつかあった。つまり、比較群の違いが、治療法の違いではなく、割り付けられた女性間の違いによるものである可能性がある。第二に、いくつかのエビデンスは、肥満女性など特定の女性集団に焦点を当てたものであった。最後に、いくつかの研究は非常に小規模なものであった。したがって、さらなる研究によって、これらの結果が変わったり、確実視されるようになったりするだろう。
このレビューの更新状況
エビデンスは、2025年2月3日現在のものである。
Fernandez-Montoli M-E, Sabadell J, Contreras Perez NA, Verdaguer Menéndez-Arango P, Julia Torres C, Lleberia J
8 months 2 weeks ago
要点
-
入院していない軽度から中等度のCOVID-19患者では、モルヌピラビルはプラセボ(ダミー治療)または通常の治療と比較して、死亡リスクの減少においておそらくほとんど差がない。モルヌピラビルは、入院の必要性を減らしたり、より早く回復させるという点では、ほとんど差がないかもしれない。モルヌピラビルはおそらく望ましくない作用のリスクを増加させず、重篤な望ましくない作用のリスクを増加させない。
-
COVID-19で入院した人に対するモルヌピラビルの安全性や有効性については、エビデンスがはっきりしない。
モルヌピラビルとは?
モルヌピラビルは、重症化するリスクが高い人のCOVID-19の治療に用いられる錠剤である。この薬は、SARS-CoV-2(COVID-19の原因ウイルス)の繁殖能力を阻害し、身体が感染を撃退するのを助ける。
知りたかったこと
モルヌピラビルが無治療、プラセボ(ダミー治療)、標準治療と比較して以下の項目に関してどのような違いがあるかを明らかにしたかった:
実施したこと
COVID-19が確認された患者において、モルヌピラビルを無治療、プラセボ、標準治療と比較して評価した研究を検索した。研究結果を比較・要約し、研究方法などに基づいてエビデンスの信頼性を評価した。調査したのは、ランダム化比較試験で、参加者を無作為に2種類以上の治療群に割り当てるものである。これは、研究グループが類似していることを確実にし、誰がどのグループに属しているかを治験責任医師と参加者が知らないようにする最善の方法である。
わかったこと
このレビューには11件の研究が含まれ、参加者は31,272人で、ほとんどが軽度から中等度のCOVID-19の外来患者(入院していない人)であった。軽度から中等度のCOVID-19の外来患者(入院していない人)を対象とした研究の結果を合わせると、以下のような主要な結果が得られた:
-
モルヌピラビルによる死亡リスクの差は、おそらくほとんどない。プラセボまたは標準治療を受けた人と比較して、モルヌピラビルを投与された人が1か月以内に死亡する割合は、1万人あたり4人から10人少ない。この減少は臨床的に重要でないと考えた。
-
モルヌピラビルは入院を減少させないかもしれない。つまり、病気が悪化したり、病院での治療が必要になったりするのを防げないかもしれない。
-
モルヌピラビルは5日目までにウイルスクリアランスを増加させるエビデンスがあったが、この効果は14日目までに減少した。患者にとって実際に何らかの差があるかどうかは定かではない。
-
モルヌピラビルは、14日目または28日目までに症状が消失する確率にほとんど影響を及ぼさない可能性がある。
-
モルヌピラビルの有害事象はおそらくほとんど差がなく、重篤な有害事象もほとんど差がない。
重度のCOVID-19で入院した患者におけるモルヌピラビルの効果について明確な結論を出すにはデータが少なすぎる。
エビデンスの限界は?
ほとんどのエビデンスは、軽度から中等度のCOVID-19の外来患者を対象に行われた研究から得られたものであるため、入院中の重症患者には当てはまらない可能性がある。これらの研究では、回復後の生活の質やウイルスがどのくらい体内に留まるかといった長期的な結果に関するエビデンスは乏しかった。モルヌピラビルが、重篤な既往症のある人や低・中所得国の人など、特定のグループにおいて異なる効果を示すかどうかを解析することはできなかった。
本エビデンスはいつのものか?
レビューには、2024年4月までに発表された研究が含まれている。継続的な研究により、将来的にはより多くの洞察が得られるだろう。
Tatz GS, Ochodo EA, Fox T, Owino EJ, Nyagol B, Rupali P, McCaul M, Kredo T, Cohen K
8 months 3 weeks ago
要点
なぜ結核の診断精度を高めることが重要なのか?
2023年には推定130万人の小児が
Mycobacterium tuberculosis
という細菌(結核菌)によって引き起こされる病気である結核にかかった。結核と判定されない(偽陰性)と、診断が遅れ、病気が悪化して死に至る可能性がある。他方、誤って結核と診断される(偽陽性)と、患者は不必要な治療を受ける可能性がある。
このレビューの目的は何か?
結核の症状がある10歳未満の小児において、肺を侵す結核(肺結核)、中枢神経と脳を侵す結核(結核性髄膜炎)、リンパ節を侵す結核について診断を下し、またリファンピシン(結核治療に用いられる抗生剤)耐性を検出するXpert Ultra検査の精度を評価することである。
このレビューでは何を調べたのか?
Xpert Ultra検査は
結核菌
とリファンピシン耐性を同時に検出する。
結核菌
の検出については、培養(菌を増殖させるために用いる方法)と、症状、胸部X線画像および培養に基づく病気の複合的な定義付けという2つの基準に照らして結果を評価した。リファンピシン耐性については、薬剤感受性試験またはゲノム配列決定(薬剤耐性化をもたらす遺伝子変異を同定する方法)に照らして結果を評価した。
レビューの主な結果
合計23件の研究がレビュー対象に含められた。大半の研究は肺結核に関するものだった(9,223人の小児を対象とする21件の研究)。リファンピシン耐性を調べた研究は3件、結核性髄膜炎について調べた研究は3件、リンパ節結核について調べた研究は2件あった。
1,000人のうち100人が肺結核に罹患している(培養検査の結果)小児の集団では、
喀痰サンプルのXpert Ultra検査:
胃の吸引物サンプルのXpert Ultra検査:
排泄物サンプルのXpert Ultra検査:
鼻咽頭吸引物サンプルのXpert Ultra検査:
リファンピシン耐性を調べた3件の研究(対象となった小児は76人)では、リファンピシン耐性があった小児は2人だけだった。
3件の研究において、結核性髄膜炎がXpert Ultra検査により検出された小児の割合は67%と100%の間である(合計215人の小児のうち培養検査で結核性髄膜炎と確定したのは13人)。2件の研究において、培養検査でリンパ節結核が確定された小児の100%につき、Xpert Ultra検査により診断が裏付けられた(合計58人の小児のうち培養検査でリンパ節結核と確定したのは21人)。
エビデンスの限界
肺結核については、レビューの結果の信頼性は中等度である。本レビューにはさまざまな国からの研究が含められ、2つの異なる参照基準が用いられたが、いずれの基準も完璧ではない。リファンピシン耐性に関する結果については確信が持てない。なぜなら、この側面を調査した研究は3件のみであり、リファンピシン耐性を示した小児は2例のみだったからである。リンパ節結核や結核性髄膜炎について調べた研究が少なかったため、これらの種類の結核に関しては、さまざまな研究の結果を統合することができなかった。
このレビューの結果は誰に適用できるか?
このレビューは、HIV感染者またはHIV陰性で、肺結核、結核性髄膜炎またはリンパ節結核の徴候または症状のある小児(生後から9歳まで)に適用される。これらの結果はまた重度の栄養失調で結核の症状がある小児にも適用される。これらの結果は主に、世界で結核の罹患率または結核とHIVの罹患率が高い諸地域に住む小児に適用される。
このレビューが意味すること
レビューの結果は10歳未満の小児において、喀痰、胃の吸引物、排泄物のサンプルから肺結核を見つける上で、Xpert Ultra検査の精度は中等度であることを示している。鼻咽頭吸引物サンプルの検査精度はこれより低い。
Xpert Ultra検査を用いても、(培養検査で確認された)肺結核が診断されないリスクが残るため、臨床医はXpert Ultra検査のみに依存するべきではないことを示唆している。
本レビューの更新状況
このレビューは、前回のレビューを更新し、2023年10月6日までに発表されたエビデンスを含む。
Kay AW, Madison M, Scandrett K, Ness T, Amuge P, Inbaraj LR, Sathya Narayanan MK, González Fernández L, Eisenhut M, Ismail N, Korobitsyn A, Verkuijl SE, Brands A, Viney K, Masini T, Mandalakas AM, Steingart KR, Takwoingi Y
Checked
12 hours 12 minutes ago
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