Latest Japanese Reviews

尿路感染症予防におけるクランベリー

4 months 2 weeks ago
尿路感染症予防におけるクランベリー レビューの論点 クランベリー(クランベリージュース、錠剤またはカプセル)は、尿路感染症(UTI)の予防に長年使用されてきた。クランベリーには、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐことができるプロアントシアニジン(PAC)という物質が含まれている。このため、感染症を予防して、働く人にとっては医療機関の受診に必要となる時間を節約できる可能性がある。しかし、現在、クランベリー製品に関して使用すべきPACの用量のレジメン(投与量、投与頻度などを含む投与計画)は確立されておらず、保健当局による正式な規制もない。特に、推奨される用量が製品のパッケージに記載されていないことがある。 実施したこと クランベリー製品を使用した場合に対して、プラセボ(クランベリーを含まない偽製品)を使用した場合または何も使用しなかった場合の尿路感染症の発生を比較したランダム化比較試験(RCT)の結果について解析した。また、抗菌薬やプロバイオティクス(乳酸菌などの生きた微生物を用いた製品)など他の処置とクランベリー製品を比較したランダム化比較試験の結果についても解析した。 わかったこと 合計8,857人が参加した50件のランダム化比較試験が見つかった。そのうち45件がクランベリーとプラセボまたは無処置を比較していた。クランベリーをジュース、錠剤またはカプセルとして摂取した場合、女性の再発...

子癇前症や子癇がある女性に対する代替硫酸マグネシウムレジメン

5 months 2 weeks ago
子癇前症や子癇がある女性に対する代替硫酸マグネシウムレジメン 著者の結論:  強力なエビデンスが子癇の予防と治療に対する硫酸マグネシウムの使用を支持しているが、代替治療レジメンを比較している試験は、信頼できる結論を導くには規模が小さ過ぎる。 アブストラクト全文を読む 背景:  硫酸マグネシウムは今なお子癇の予防と治療に対する選択薬である。硫酸マグネシウム投与のためのレジメンが数年間にわたって展開してきたが、まだ正式に評価されていない。 目的:  子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる場合の硫酸マグネシウム投与のための代替レジメンの効果を比較し、評価する。 検索戦略:  Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年6月)を検索した。 選択基準:  子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる硫酸マグネシウム投与のための様々なレジメンを比較しているランダム化試験。 データ収集と分析:  4名のレビューア全員が独自に試験の質を評価し、データを抽出した。 主な結果:  17件の研究を同定し、そのうち6件(866例の女性)が選択基準を満たした:2件の試験(451例の女性)が子癇の女性に対するレジメンを比較し、4件(415例の女性)が子癇前...

原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較

6 months ago
原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較 要点 体外受精(IVF)治療は、自然周期の子宮内人工授精(IUI)治療と比較して、生児出産の確率が高い可能性がある。体外受精は、クロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行ったことがある女性において、卵巣刺激周期の人工授精と比較した時も、出生率が高くなる可能性がある。しかし、治療をした経験がない女性では、体外受精による生児出産率は、ゴナドトロピンあるいはクロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行った場合と変わらないかもしれない。 背景 体外受精は、原因不明の不妊症のカップルによく行われる治療であるが、これは診断されていないさまざまな生物学的問題を回避できる可能性があることによる。しかしながら、高価で侵襲的であり、合併症を引き起こす可能性もある。原因不明の不妊症に対する他の治療方法としては、自然妊娠を試みる、子宮内に洗浄した精子を注入する子宮内人工授精(IUI)、排卵誘発剤であるクロミフェンクエン酸塩あるいはゴナドトロピンを使用して卵巣を刺激した周期での人工授精などがある。 知りたかったこと 原因不明の不妊症に対して、体外受精が他の治療法よりも生児出産につながるかどうかを調査した。 行ったこと 9件のランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のうちの1つに無作為に割り当てるタイプの試験)をレビューに組みこんだ。いくつかの試験...

抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリメントは加齢黄斑変性(AMD)の進行を遅らせるか?

6 months 2 weeks ago
抗酸化ビタミン・ミネラルのサプリメントは加齢黄斑変性(AMD)の進行を遅らせるか? 主要な結果 - 抗酸化作用のあるマルチビタミンのサプリメントを摂取することで、加齢黄斑変性症(AMD)の進行を遅らせることができるかもしれない。 - 中等度のAMDがある人は、初期のAMDの人よりも進行のリスクが高いため、抗酸化サプリメントの利益を受ける可能性が高い。 ビタミンサプリメントは一般に安全とみなされているが、本レビューの対象の多くが小規模試験であったため、安全性に関する良質なエビデンスは得られなかった。 加齢黄斑変性症とは何か? 加齢黄斑変性症(AMD)は、中心視力が低下する目の病気である。通常、50歳以上の人にのみ診断される。AMDでは、加齢とともに目の奥(網膜)の中心部(黄斑部)が変性して侵される。 初期のAMDでは、網膜の下に黄色い斑点(ドルーゼンと呼ばれる)が眼科医によって確認される。罹患した人は、おそらく問題があることに気付いていない。病気が進行すると、ドルーゼンは大きくなる(中等度AMD)。病気の後期には、視力に必要な、目の奥の細胞が失われることがある。これは地図状萎縮と呼ばれる。時には、新しい(有害な)血管が黄斑部で成長する。これらの血管は出血して瘢痕を残すおそれがある。これは滲出型(血管新生を伴う)AMDと呼ばれる。滲出型AMDおよび地図状萎縮は後期AMDとして知られて...

手術中に失われた血液を回収して患者自身に戻すことで、献血された血液をその患者に使用する必要性を減らせるか?

6 months 3 weeks ago
手術中に失われた血液を回収して患者自身に戻すことで、献血された血液をその患者に使用する必要性を減らせるか? 要点 本レビューでは、待機的で緊急性のない(外傷以外の)手術について、自己血回収術を用いる場合と用いない場合を比較した研究を評価した。手術にはさまざまなタイプがあるため、本レビューの対象は非常に広範である。エビデンスは手術のタイプによって分け、医師や患者が自身に関係するものを見つけやすいようにした。 がんの手術、人工心肺装置を使わない心臓手術、血管手術(大血管の手術)については、あまりエビデンスがない。 大半のエビデンスは、自己血回収術を用いると、献血された血液の必要性が少なくなる可能性を示唆している。自己血回収術を用いても通常の処置と比べて合併症は増えない(自己血回収術を用いた群と用いなかった群の間では差がなかった)というエビデンスは不確かだが、全体としては便益がある可能性を示している。しかし、強い結論を下す前に、エビデンスに影響している他の要素に注目した研究をさらに行う必要がある。 自己血回収術とは何か?また、なぜ用いられるのか? 手術を受ける人は、手術中に失われる血液を補うために輸血が必要になる場合がある。「輸血」は、患者の腕の静脈に挿入した細い管を通じて血液を投与するルーチンの医療行為である。輸血に使われるのは、多くは献血者から提供された血液である。輸血によって命を...

音楽療法は早産児とその両親に有益か?

6 months 3 weeks ago
音楽療法は早産児とその両親に有益か? 要点 ・音楽療法は、標準的なケアと比較して、おそらく早産児の介入中の心拍数を低下させる。この有益な効果は、介入後もさらに増大し、より確実性が高いものとなり、リラックス効果と安定化が長く持続することが示唆された。 ・音楽と音声による有害な影響は見られなかった。しかし、多くの研究で望ましくない影響の可能性について明確に探索していない。 ・介入による乳児、その両親、両親と乳児の愛着に対する他の明確な有益または有害な効果についてのエビデンスは見つからなかった。より明確な結論を出すには、より質の高いエビデンスが必要である。 早産児とは? 早産児とは、妊娠37週以前に生まれた新生児のことで、多くの場合、生存のために新生児集中治療室というストレスの多い環境で数週間から数カ月にわたって治療を受ける必要がある。 なぜ、早産児とその両親に対する音楽療法の潜在的な利点を調べるのか? 早産児はさまざまな健康上の問題を抱えるリスクがある。また、早産は両親にとってもトラウマとなる出来事である。そのため、早産児とその両親の身体的及び精神的健康を改善するために、新生児ケアにおける音楽療法などの補完的アプローチを用いることが多くなっている。しかし、さまざまな研究およびレビューが示す音楽療法の有効性は明確なものではない。矛盾するデータやレビューに対処するために、より包括的で厳格...

早産児の気管支肺異形成予防のために静脈内投与されるさまざまな副腎皮質ステロイド(薬)治療の利点とリスクは?

6 months 4 weeks ago
早産児の気管支肺異形成予防のために静脈内投与されるさまざまな副腎皮質ステロイド(薬)治療の利点とリスクは? 要点 - このレビューでは、ネットワークメタアナリシス(NMA)を用いた。ネットワークメタアナリシスは比較的新しいツールであり、過去の臨床試験で直接比較されていない治療法も含め、関連するすべての治療法を比較することができる。 - NMAは既存のデータにわずかな情報を加えることができ、特に未熟児出生児の気管支肺異形成(BPD)予防のための副腎皮質ステロイド(薬)の投与量の違いによる効果の比較は重要であった。 - 長期的な有害性に関して、意思決定を完全に導くのに充分なエビデンスが得られていない。したがって、ステロイドを投与する最適な方法はまだ示せない。 BPD(気管支肺異形成)とは? 未熟児として生まれた新生児は、気管支肺異形成(BPD)として知られる肺障害を発症する可能性があり、これは深刻で永続的な有害な影響を及ぼす可能性がある。 BPDはどうすれば予防できるのか? 副腎皮質ステロイドとして知られる抗炎症薬は、その抗炎症作用によってBPDの発症を抑えることができるが、それなりの潜在的リスクもある。どの種類のステロイド(デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどがある)を使うか、どの程度の量を使うか、いつから治療を開始するかなど、これらの利点とリスクのバランスをとるための最適なステロ...

レイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)は、子どもの消耗症を効果的に発見し、治療することができるか?

6 months 4 weeks ago
レイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)は、子どもの消耗症を効果的に発見し、治療することができるか? このコクラン・レビューの目的は、消耗症(訳注:急性あるいは重度の栄養不足により、差し迫った死の危険に直面している状態のこと)の子どもの発見と治療において、専門の医療従事者よりもレイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)の方が効果的かどうか調べることである。 要点 このレビューの結果は、重度の消耗症に対してレイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)からケアを受けた子どもは、専門の医療従事者からケアを受けた子どもと同じような結果になるか、わずかに結果が悪くなる可能性があることを示唆している。 消耗症とは何か? 小児期消耗症とは、身長のわりにやせすぎている子どもを指す。消耗症は、子どもが十分な食事や健康的な食事を摂っていない場合、あるいは病気のために起こる。消耗症に罹患している子どもは、病気の頻度が高く、発達に問題がある場合があり、特に消耗症が重症の場合は死亡する可能性が高い。何百万人もの子どもたちが消耗症に苦しんでおり、そのほとんどが貧しい国に住んでいる。 この問題に対する最善の解決策は、そもそも消耗症の発症をなくすことである。それが不可能な場合は、できるだけ早く消耗症の子どもを発見し、治療することが重要である。しかし、治療には数週間から数カ月を要することもあり、家族が治療を受けるには困...

中用量の吸入ステロイド薬でコントロール不良な喘息に推奨される治療選択肢

7 months 1 week ago
中用量の吸入ステロイド薬でコントロール不良な喘息に推奨される治療選択肢 要点 • 中用量の吸入ステロイド薬(ICS)に長時間作用性β2刺激薬(LABA)または長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を追加すると、経口ステロイド薬による治療を要する喘息発作が減少する可能性が高い。またICS単独と比較して、良好な症状コントロールのオッズ(達成確率)が増加するが、ICSの用量を2倍にしても、おそらく増加しない。LAMAよりもLABAの方がはるかに多くのデータが見つかった。 • 包含された研究の実施期間は平均わずか6か月であったため、高用量ICSの長期的な副作用について、さらに研究が必要である。ステロイドによる副作用を最小限に抑えるために、ICSは最小有効量で使用することが推奨される。 喘息とは何か、またどのように治療するのか 喘息とは、気道の炎症と狭窄(細く狭くなること)を特徴とする慢性呼吸器疾患であり、喘鳴(ぜんめい)、咳、胸の圧迫感、息切れなどの症状を引き起こす。治療には、発作治療薬(短時間作用性気管支拡張薬など)や必要に応じて発作予防薬(ICSなど)の吸入薬を使用するほか、発作の誘因を避け、健康的な生活習慣を維持することが必要である。 知りたかったこと この研究では、中用量のICSで喘息を上手くコントロールできていない10代および成人を対象に、喘息コントロールを改善するのに最適な方法を...

男性不妊でないカップルの体外受精における顕微授精と一般体外受精との比較

7 months 2 weeks ago
男性不妊でないカップルの体外受精における顕微授精と一般体外受精との比較 テーマ 体外受精(IVF)中の卵子受精において、総精子数と運動率が正常な男性を持つカップルを対象に、顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)と従来の体外受精(c-IVF)を比較した。 レビューの論点 総精子数と運動率が正常な男性を持つカップルにおける顕微授精と従来の体外受精の効果に関するエビデンスをレビューした。 背景 40年以上前に開始されて以来、体外受精は不妊治療の礎となっている。体外受精の過程では、卵巣を過剰に刺激して複数の卵子を採取する。従来の体外受精の場合、卵子は実験室で精子と一緒に培養され、受精するかどうか待たれる。もともと1992年に発見された顕微授精は、精子の数が少ないことを克服するための受精技術として導入された。顕微授精は現在、体外受精の追加治療としても用いられ、従来の体外受精で受精率が低かったり、完全に受精しなかったりした症例や、軽度の男性不妊症、あるいは原因不明の不妊症の場合にも利用されている。顕微授精が従来の体外受精と比較してより好ましい結果をもたらすかどうかを比較した。 研究の特徴 本レビューは、不妊治療を受けた計1,539組のカップルを対象として、顕微授精と従来の体外受精を比較した3件のランダム化比較試験(RCT)を含んでいる。エビデンスは2023年2月現在のものである。 主な結...

呼吸器を使用し、脳出血のリスクがある未熟児の痛みや不快感に対処する薬剤

7 months 2 weeks ago
呼吸器を使用し、脳出血のリスクがある未熟児の痛みや不快感に対処する薬剤 レビューの論点 痛み止め(鎮痛薬)は、正期産(訳注:37週0日~41週6日)よりも早く生まれて(「早産児」)機械的な呼吸補助を必要とする赤ちゃんの脳出血や死亡を減らし、長期的な発達を改善するか 背景 早産児、特に妊娠28週よりも前に生まれた赤ちゃんは、時に脳出血を起こすことがある。脳の出血が重度でなければ、赤ちゃんは完全に回復するか、のちに問題があっても軽度で済むかもしれない。出血が重篤になると死亡するか、のちにいくつか問題が生じる可能性がある。現在のところ、脳出血を予防したり治療したりする対処方法はない。 実施したこと 早産児の脳出血予防のための鎮痛薬を検討したコクラン・レビューを検索した。各レビューの質を評価し、その結果を要約することによって、各治療薬に関連する現在のエビデンスを一か所に集めた。 わかったこと コクラン・レビュー7件とコクラン・レビューのプロトコール(計画書)1件を対象とした。2件のレビューには、対象外の範囲の研究が含まれていた。たとえば、妊娠末期に普通に生まれた赤ちゃんや、呼吸器を必要としない赤ちゃんに焦点を当てたものなどである。それ以外の5件では、パラセタモール(3件)、ミダゾラム(3件)、フェノバルビタール(9件)、オピオイド(20件)、イブプロフェン(5件)が検討されていた。 主な...

運動ニューロン疾患として知られる筋萎縮性側索硬化症の患者における経腸経管栄養

7 months 2 weeks ago
運動ニューロン疾患として知られる筋萎縮性側索硬化症の患者における経腸経管栄養 要点 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者において、経管栄養の使用と経口栄養の継続を比較した、または、異なる種類や方法における栄養チューブ留置の安全性とタイミングを調査したランダム化または準ランダム化(部分ランダム化)比較試験は見つからなかった。ALSは運動ニューロン疾患(MND)の最も一般的な病態であり、この2つの用語はしばしば同じ意味で使われる。 ランダム化試験および準ランダム化試験は、参加者のグループにおける類似性を保証することを目的とした試験である。このような研究は、栄養チューブの挿入が経口栄養の継続と比較して生存期間を延長し、生活の質を改善するかどうかについて、臨床家やALS患者に情報を提供することができる。しかし、質の高いエビデンスがないにもかかわらず、国際的な専門家のコンセンサスやガイドラインがALS患者への経管栄養を支持しているため、このような試験を実施するには倫理的な問題がある。 ALSとは? ALSは、運動を司る神経が機能しなくなる病気である。ALSは衰弱を引き起こし、麻痺の状態になるまで時間の経過とともに悪化する。それは、ほとんどの場合が命に関わるものである。 ALS患者のほとんどが嚥下障害を発症する。これらは深刻な体重減少を引き起こし、患者は食べ物や飲み物を気管に吸い込む危険性がある...

糖尿病患者に対する手術前、手術中および手術後の厳格な血糖管理にはどのような効果があるのか

7 months 4 weeks ago
糖尿病患者に対する手術前、手術中および手術後の厳格な血糖管理にはどのような効果があるのか 要点 - 厳格な血糖管理は血糖値の低下を招き、「低血糖」(健康な血糖値を下回ること)のリスクを高める可能性がある。 - 厳格な血糖管理によって死亡率は低下しない。また、感染症および腎障害のリスクは減少せず、入院期間や集中治療室の滞在期間が短縮されることもない。しかし、厳格な血糖管理によって心血管障害のリスクが減少する可能性がある。 - さまざま種類の手術に対する厳格な血糖管理の効果を明らかにするには、さらに多くの研究が必要である。 これまでにわかっていること 周術期とは、病棟への入院、麻酔、術後の回復など、患者ひとりの手術前、手術中、手術後の各段階を網羅した外科手術前後の期間のことである。糖尿病患者は、通常よりも手術後の合併症のリスクが高い。糖尿病は術後の合併症の危険因子としてよく知られており、入院期間の延長、医療資源の利用の増加、さらに死亡率の上昇を引き起こす。最も重大な合併症のひとつが、手術前後の感染症リスクの増加である。しかし、糖尿病患者の手術に伴うリスクを減らすために、周術期に、通常よりも厳格な血糖管理を目指すことが、従来の血糖値を目標とするよりも優れているかどうかは明らかになっていない。 知りたかったこと 前回のレビューの結果は、糖尿病患者に対する手術中の血糖管理方法について明らか...

機能性月経困難症の治療としての配合経口避妊薬(OCP)

7 months 4 weeks ago
機能性月経困難症の治療としての配合経口避妊薬(OCP) 論点 コクランは月経痛(生理痛、月経困難症とも呼ばれる)の治療に対する配合経口避妊薬(OCP)の有効性と安全性に関するエビデンスをレビューした。 背景 OCPは月経痛の治療薬としてしばしば使用されているが、その効果についてのエビデンスは不確かであった。 研究の特徴 OCPの効果をプラセボ(偽薬)、他のOCP、痛みや炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬のいずれかと比較した21件のランダム化比較試験(2つ以上の治療群のうちひとつに無作為に割りつける臨床試験)を特定した。これらの研究には3,723人の女性が含まれていた。ほとんどの女性は、少なくとも中等度以上の痛みを伴う月経痛があった。11件の研究がOCPの製薬会社から資金を提供されていた。2023年3月にデータベースを検索した。 主な結果 OCPとプラセボの比較 OCPは、月経痛のある女性において、プラセボと比較して、月経困難症総合スケール(0~6の範囲)で0.7~1.3ポイント痛みを軽減する(588人の女性を対象とした6件の研究;質の高いエビデンス)。改善を「はい/いいえ」で評価した6件の研究では、OCPは痛みを軽減する可能性があることが示された。プラセボでは28%の確率で症状が改善し、OCPでは37%~60%の確率で改善する可能性がある(質の低いエビデンス)。 OCPは副作用の...

すべての長期介護環境における身体拘束を防止および削減するための介入

8 months ago
すべての長期介護環境における身体拘束を防止および削減するための介入 背景 身体拘束(PR)とは、好きな位置に自由に体を動かせないようにする器具である。例として、ベッド柵、ベルト、固定式テーブルなどがあり、これらはベッドや椅子から転落することを防止する。PRは、認知症や歩行困難のある高齢者が、介護施設や自宅で介護を受ける際に、ごく一般的に使用されている。PRを使用する主な理由は、偶発的な転倒や転倒によるけがを防ぐため、あるいは他人の部屋への侵入や、徘徊などにより高齢者自身や他人を危険にさらすことを防ぐためである。 しかし、転倒や転倒によるけがの予防に対するPRの有効性については疑問視されている。実際、体を動かさない時間を増やすことで、歩行障害を悪化させ、転倒のリスクを高める可能性がある。また、恐怖感や怒り、不快感を増やし、幸福度を低下させる可能性もある。その他の予期しない事象には、褥瘡や失禁のリスクの増加、PR自体によるけがなどがある。国によっては、PRの使用はほとんどの状況において違法であり、ガイドラインにより、その使用を減らすか中止することが推奨されている。 何を調べようとしたのか? 介護施設または自宅において長期介護を受けている高齢者に対するPRの使用の防止または削減のために、どのような介入が最も効果的であるかを明らかにしたかった。PRの使用を防止および削減するための介入には...

新規抗精神病薬ブレクスピプラゾールのうつ病治療における利益と有害性は、ダミー錠や抗うつ薬と比較した場合、どのようなものか?

8 months ago
新規抗精神病薬ブレクスピプラゾールのうつ病治療における利益と有害性は、ダミー錠や抗うつ薬と比較した場合、どのようなものか? 要点 - 抗うつ薬に追加されたブレクスピプラゾールは、抗うつ薬に追加されたプラセボ(ダミー錠)よりもうつ病の症状を軽減するのに優れている。 - ブレクスピプラゾールは、体重増加やアカシジア(常に動きたくなるような落ち着きのなさ)と関連することが多い可能性がある。 うつ病とは? うつ病は一般的な精神疾患で、気分の落ち込み、喜びを感じられない、睡眠障害、体重減少、疲労や気力の低下、会話や動作が遅くなる、無価値感や過剰な罪悪感、集中力の欠如、自殺を考えるようになるという症状を引き起こす。うつ病と診断されるには、気分の落ち込みや快感の喪失など、これらの症状のうち5つ以上を少なくとも2週間以上経験する必要がある。 どのように治療するか? うつ病の症状が軽度でない限り、治療の最初の選択肢は抗うつ薬であるが、抗うつ薬が初めて処方された場合に効果があるのは半数程度である。抗うつ薬だけではうつ病の治療が十分でない場合、抗うつ薬の効果を助けるために別の薬を追加するという選択肢もある。その他の選択肢としては、抗うつ薬を別の抗うつ薬に変更する、会話療法、電気パルスによる脳への刺激などがある。ブレクスピプラゾールは新しい薬で、単独では効かない抗うつ薬に追加して使用することができる。ブ...

プライマリ・ヘルスケアの統合に対する医療従事者の認識および経験:質的エビデンスのスコーピングレビュー

8 months 1 week ago
プライマリ・ヘルスケアの統合に対する医療従事者の認識および経験:質的エビデンスのスコーピングレビュー プライマリ・ヘルスケア(PHC)の統合とは何か? プライマリ・ヘルスケア(PHC)の統合とは、これまで別々に提供されていたPHCのサービスを統合することである。その目的は、より良い医療を容易に受けられるようにし、限られた医療資源をより効率的に活用できるようにすることである。 なぜ医療従事者の認識や経験を知ることが重要なのか? PHCの統合は多くの国で実施されており、種々の成功が得られている。医療従事者は、このような医療サービスの変容の成功に関して影響を与えることができる。PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験を知ることは、医療従事者がその実施およびその成否にどのように影響するかを理解することに役立つ。 本スコーピングレビューの目的は何か? 本スコーピングレビューでは、PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験に関する質的研究(数値データのない研究)を検索し、マッピングを行った。そして、この分野における今後の系統的レビューや調査研究の参考となる研究を特定することを目的とした。 どのようにエビデンスを特定し、マッピングを行ったのか? 2020年7月28日までに発表された、PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験について報告されたすべての質的研究について検索を行った。さまざまな研...

家族計画や避妊法の利用を支援するための、携帯電話を使って提供される介入

8 months 1 week ago
家族計画や避妊法の利用を支援するための、携帯電話を使って提供される介入 論点 このレビューの目的は、携帯電話による介入が避妊法の利用を増進するかどうかを判断することである。 要点 携帯電話による介入は、避妊法の増進と継続的な利用に良い影響をもたらす。 双方向性のメッセージは、避妊法の利用を増進する上で、一方的なテキストメッセージよりも優れている。 現存するエビデンスのレベルは中等度である。 このレビューの重要性 携帯電話で配信されるヘルスメッセージや介入は、健康や行動を改善することが示されているが、携帯電話で配信されるメッセージが、避妊の使用などリプロダクティブ・ヘルスに関連する問題に影響を与えるかどうかは不明である。 女性と子どもの健康は、避妊から大きな恩恵を受ける。このような利点があるにもかかわらず、また妊娠を避けたいにもかかわらず避妊をしない女性が世界的にかなり多い。 近年の携帯電話の急速な普及により、必要な時にいつでも、どこでも、サービスへのアクセスが制限された人々へも届く、携帯電話を介したヘルスケアの提供への関心が高まっている。 エビデンスの特定および評価を行った方法は? 携帯電話で配信される介入の使用と避妊の使用への影響を評価した研究について、医学データベースを検索した。その結果、高所得国(11試験)と低所得国(12試験)の両方において、11カ国で実施された12,79...

高血圧に対する第一選択薬として利尿薬を投与する場合、他の種類の薬剤と比較して、どのような利益と不利益があるのか

8 months 2 weeks ago
高血圧に対する第一選択薬として利尿薬を投与する場合、他の種類の薬剤と比較して、どのような利益と不利益があるのか 要点 - 高血圧治療の第一選択薬として、サイアザイド系やサイアザイド系類似の利尿薬を使用した場合、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、心血管系の有害事象(心血管イベント)が減少する可能性が高い。 - 総死亡率は、利尿薬と他の種類の薬剤との間に差がない可能性が高い。 - 利尿薬を第一選択薬として使用した場合、カルシウム拮抗薬やα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、全心血管イベントや心不全が減少する確率が高い。 - 利尿薬を第一選択薬として使用した場合、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、望ましくない影響や悪影響(有害事象)による研究からの脱落者が減少する可能性が高い。 高血圧(症)とは何か 高血圧(症)とは、安静時血圧により、軽度(140~159/90~99mmHg)、中等度(160~179/100~109mmHg)、重度(180/110mmHg以上)と定義される。高血圧がうまくコントロールされていないと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎障害などにつながることがある。60歳以上の高齢者にみられる中等度から重度の高血圧に対する降圧薬の使用は、このよ...

エストロゲン療法は閉経後女性の骨盤臓器脱の治療に役立つか?

8 months 2 weeks ago
エストロゲン療法は閉経後女性の骨盤臓器脱の治療に役立つか? 要点 - 14件の研究がこのレビューの選択基準を満たしたが、最も関心のある比較を扱った研究はなかったため、閉経後女性の骨盤臓器脱に対するエストロゲン療法の効果については不明である。 - 閉経後女性の骨盤臓器脱に対する、エストロゲン療法単独または他の治療法との併用による効果について評価するためには、さらなる研究が必要である。 骨盤臓器脱とは? 骨盤臓器脱とは、女性の子宮、膀胱、直腸が正常な位置から腟の中に下がってしまうことである。この病気はよく見られるもので、少なくとも一度出産経験のある50歳以上の女性の50%が罹患している。子宮摘出術を受けた女性の6%~12%が骨盤臓器脱を経験する。年齢が高く、出産回数が多く、太っている女性は骨盤臓器脱になりやすい。骨盤臓器脱の女性は、腟に「何かが下りてくる」感覚や、性行為時の不快感や排尿障害など、QOL(生活の質)や身体イメージに悪影響を及ぼすその他の症状を有することがある。 知りたかったこと 骨盤臓器脱の治療には、多くの臨床医がエストロゲン療法(ホルモン療法の一種)を処方しており、ペッサリー(腟内に挿入して支える器具)や手術などの他の治療法と併用することもある。しかし、このアプローチの利益は不明である。エストロゲン療法を単独で、あるいは他の治療法と併用することで、閉経後の女性の骨盤臓...
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16 hours 8 minutes ago
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