2 months ago
要点
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アスピリンを毎日服用すると大腸がんを予防できるかをめぐるエビデンスは、研究結果が一致せず不確かだが、脳内および頭蓋骨周辺の出血リスクが増大することについては明確なエビデンスがある。
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5~15年のフォローアップ(追跡調査)後の評価では、アスピリンを服用しても、大腸がんの新規発症数に影響を与えない可能性が高い。アスピリンを15年以上使用した場合、大腸がんの新規発症数を減少させる可能性があるが、この結果は不確実である。
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大腸がんによる死亡数は、アスピリンを5~10年間使用するとやや増加し、15年以上使用すると減少する可能性があるが、この結果もまた不確実である。
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アスピリンはおそらく重篤な副作用の総数には影響しないが、頭蓋外出血(頭蓋骨の外側で起きる出血)のリスクを高め、おそらく出血性脳卒中(脳内または脳周辺で起きる出血)のリスクも高める。
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アスピリンの長期的な影響を理解し、他の抗炎症薬でも大腸がんを予防できるかどうかを調べるためには、さらなる研究が必要である。
大腸がんとは、また「ケモプリベンション」とは何か
大腸がん(結腸・直腸がん(CRC)とも呼ばれる)は一般的で深刻な疾患である。これに先だって、大腸(結腸直腸)腺腫(CRAs)と呼ばれる病変(異常増殖領域)ができることもある。長年にわたって、研究者らは大腸がんと大腸(結腸直腸)腺腫のリスクを減らすために薬剤を用いることに関心を寄せてきた。このアプローチは「ケモプリベンション」と呼ばれている。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は炎症、発熱、痛みを抑えるのに有用な薬剤で、血栓の予防にも効果があるとされている。アスピリンとイブプロフェンは、広く使用されているNSAIDsである。長期的な炎症が腫瘍の発生に関与すると考えられることから、NSAIDsはがんの予防薬としても研究されている。
知りたかったこと
アスピリンやその他のNSAIDsが、一般の人々の大腸がんと大腸(結腸直腸)腺腫の予防に有用なのか、それとも有害であるかを明らかにしたいと考えた。
実施したこと
一般集団において大腸がんを予防するためのアスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果を無治療または他の治療と比較した「ランダム化比較試験」と呼ばれる研究を検索した。これらの研究の結果を可能な限り統合し、研究の規模や方法論の質などの要素に基づいて、エビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
一般集団においてアスピリンが大腸がんの予防に役立つかどうかを調べた研究は10件見つかった。これらの研究は合計124,837人を対象に行われた。その大半はヨーロッパと北アメリカで実施されたもので、オーストラリアで1件、日本では2件の大規模な研究が行われた。7件の研究は低用量(1日あたり75~100mg)のアスピリンを、3件の研究はより高用量のアスピリンを評価したものだった。
他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が大腸がんまたは大腸(結腸直腸)腺腫を発症するリスクに及ぼす影響を調べた研究は見つからなかった。
アスピリンは大腸がんにどのような影響を与えるか?
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アスピリンを5~15年間使用しても、大腸がんの新規発症数にはおそらく影響を与えない。アスピリンを15年以上使用すると、大腸がんの新規発症数を減少させる可能性があるが、この結果は不確実である。
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アスピリンを5~10年間使用すると、死亡数がやや増加する可能性がある(アスピリンが一部の人にはすでにあった進行がんの増殖を加速させるという仮説がある)が、10年~15年後まで使用した場合は、大腸がんの死亡率にはほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性がある。15年以上のフォローアップ(追跡調査)によると、アスピリンは死亡数を減少させる可能性があるが、この結果は確かではない。
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5~10年のフォローアップ(追跡調査)によると、アスピリンは大腸(結腸直腸)腺腫の新規発症数には影響しない可能性があるが、この結果もまた確かではない。
大腸がんを予防するためにアスピリンを服用するリスク
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アスピリンを服用してもおそらく重篤な副作用の総数は変わらない。
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アスピリンを服用すると、重度の頭蓋外出血(頭蓋骨の外側で起きる出血)のリスクを高める。
-
アスピリンを服用すると、おそらく出血性脳卒中(脳内または脳周辺の出血)のリスクを高める。
見つかったエビデンス(科学的根拠)の信頼性
重度の頭蓋外出血のリスクが増加するという結果の信頼性は高い。5~15年間服用した場合の大腸がんの新規発症数、重篤な副作用、そして出血性脳卒中に関する結果の信頼性は中等度である。しかし、他の調査結果の信頼性は非常にまたは極めて低い。
エビデンスの信頼性を下げた主な要因は3つある。
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結果について確信できるほどの十分な研究がなかった。
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一部の研究では、参加者は自分がどの治療を受けているか知っていた可能性があり、そのことが結果に影響を与えた可能性がある。
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また、すべての研究が本レビューで注目するすべての結果についての情報を提供しているわけでもなかった。
エビデンスの更新状況
このエビデンスは、2025年3月までに行った医療データベースの検索に基づいている。
Cai Z, Meng Y, Yang W, Han Y, Cao D, Zhang B
2 months ago
要点
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身体活動の不足が原因で、毎年、世界全体で推計538億米ドルの費用が発生している。運動は、特に普段あまり体を動かさない人にとって、心臓病のリスクを減らすための簡単で手頃かつ効果的な方法である。しかし、多くの人々は世界保健機関(WHO)が推奨する身体活動量を満たしていない。
-
運動をしない場合と比べると、高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、体力を向上させ、腹囲を減らす可能性が高いが、収縮期血圧(血圧の上の数値)、ウエスト・ヒップ比および中性脂肪(トリグリセライド)の値については、運動をしない場合とHIITの間で明らかな違いはなかった。中強度の持続的トレーニングと比べると、HIITは体力をわずかに向上させる可能性があるが、血圧、腹囲、ウエスト・ヒップ比、および中性脂肪の値については、これら2つのタイプの運動の間で明らかな違いはなかった。
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得られた結果によると、HIITは、心臓の機能を改善し、2型糖尿病などの疾患リスクを減らす点において、中強度の持続的トレーニングと同じくらいの効果があるようだ。しかし、これらの知見を確かなものにするには、より質の高いエビデンスが必要である。
高強度インターバルトレーニングとは?
高強度インターバルトレーニング(HIIT)とは、短時間の激しい運動と休息を交互に繰り返す運動法である。
心代謝面の健康とは?
心代謝面の健康とは、心臓や血管の健全性ならびに食物から得たエネルギーの代謝の状態を意味する。これには、血圧、コレステロール値、血糖値、体重といった重要な要素が含まれる。これらが正常範囲内にある場合、心臓病、脳卒中、2型糖尿病などの疾患を発症するリスクは大幅に低くなる。
何を調べようとしたのか?
運動不足の人々がHIITを行うと、運動をしない場合や中強度の持続的トレーニング(MICT)よりも効果的に心代謝面の健康指標を改善できるかどうかを明らかにしたいと考えた。
何を行ったのか?
HIITが心代謝面の健康指標に与える効果を、運動をしない場合やMICTと比べて調査した研究を検索した。中でも、運動不足ではあるものの、健康な人々を対象とした研究を集めた。それらの結果を要約し、研究の方法や規模、示された情報の量などの要素に基づき、エビデンスに対する信頼度を評価した。
何がわかったのか?
運動不足の成人2,075名を対象とした58件の研究が見つかった。各研究の参加者数は14人から90人の範囲で、トレーニングプログラムの期間は4週間から16週間であった。35件の研究ではHIITとMICTを比較し、11件ではHIITと運動なしを比較し、12件では両方の比較が行われた。
主な結果
運動しない場合と比べて、HIITを行うと心肺機能の全体的なレベルを示す最大酸素摂取量(VO₂
max
)を増加する可能性が高い。また、腹囲もわずかに減る。しかし、HIITは、恐らくウエスト・ヒップ比にはほとんど、あるいは全く影響を与えず、また中性脂肪(血中脂質の一種)の値にもほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性がある。HIITが収縮期血圧(上の血圧)に与える影響に関するエビデンスは、非常に不確実である。
HIITを行うと、MICTと比べて最大酸素摂取量(VO₂
max)
がわずかに増加するかもしれない。収縮期血圧と中性脂肪の値については、HIITとMICTの間に差はない可能性があり、腹囲やウエスト・ヒップ比についても、これら2種類の運動の間に差はないと考えられる。
心臓発作、脳卒中、死亡といった重要な長期的な健康の評価項目について報告した研究はなかった。
エビデンスの限界は何か?
結果の大部分について、信頼度は低いか中程度であり、今後の研究によって結論が変わる可能性がある。エビデンスの信頼度を低下させた主な要因は3つある。まず、受けた治療に対する研究対象者たちの反応にばらつきが見られた。第二に、一部の研究は規模が非常に小さく、また一部の評価項目については、結果を信頼するには研究数が少なすぎた。最後に、研究対象者は自分がどの治療を受けているかを知っていた。
エビデンスの更新状況
このエビデンスは、2025年10月13日現在のものである。
Strauss JA, Kirwan R, Ranasinghe C, Schwingshackl L, Shepherd SO, Chaplin M, Sguassero Y, Petkovic J, Villanueva G, Dwan K
2 months ago
要点
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ビタミンDサプリメントは、プラセボ(偽薬)と比較して、気道や肺の急な感染症(急性呼吸器感染症[Acute Respiratory Infections:ARI])により医師の診察や病院への受診を必要とする幼児の数をわずかに減らすかもれしない。ただし、個々の小児が医師の診察や病院を受診する頻度に変化をもたらす可能性はおそらく低いと考えられる。高用量のビタミンDは、低用量と比較しても、急性呼吸器感染症(ARI)により医師の診察や病院への受診を必要とする小児の数を減らすことはおそらくなく、また、小児1人あたりの受診頻度を減らすこともないと考えられる。
-
ビタミンDサプリメントは安全であるようであり、高カルシウム血症を発症するリスクにほとんど、あるいは全く影響を与えないことが示されている。
-
ビタミンDが幼児のARIを予防するかどうかを明らかにするには、ビタミンDサプリメントとプラセボを比較した質の高い研究が必要である。
急性呼吸器感染症とは?
急性呼吸器感染症とは、鼻、耳、喉、気道、または肺に影響を及ぼす可能性のある突発的な感染症であり、5歳未満の小児における病気や死亡の主な原因である。通常、ウイルスや細菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症は、この年齢層において医師の診察や入院の一般的な理由である。症状には、咳、鼻水、喉の痛み、発熱、呼吸困難などがよく見られる。5歳未満の小児では、呼吸が速くなる、喘鳴、摂食不良、嘔吐、あるいは異常に眠そうだったり不機嫌だったりするといった症状が見られることもある。
ビタミンDとは何か?また、なぜ重要なのか?
ビタミンDは、骨の健康をサポートすることで最もよく知られている栄養素である。また、健康な免疫系(感染症に対する体の防御機能)の発達にも役割を果たしている。ビタミンDは、日光、ごく一部の食品、ビタミンDが添加された食品、あるいはサプリメントから摂取される。世界中の多くの妊婦や幼児は、日光への露出不足、食事、その他の要因により、十分なビタミンDを摂取できておらず、これが小児の急性呼吸器感染症(ARI)のリスクを高めるかもしれない。
知りたかったこと
本レビューは、妊娠中または幼児期におけるビタミンDの補充が、以下のいずれかに寄与するかどうかを明らかにすることを目的とした:
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急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や病院への受診を必要とする幼児の数を減らすか。
-
各小児が急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や病院を受診する頻度を減少させるか。
-
妊婦や小児の血中カルシウム濃度の上昇(高カルシウム血症)を引き起こし、健康被害をもたらすか。
実施したこと
以下のいずれかを比較した研究を検索した:
-
ビタミンDの補充とプラセボ(偽薬)の比較;または
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高用量のビタミンDと低用量のビタミンDの比較。
これらの研究結果を比較・要約し、研究方法の質に基づいて、エビデンス(科学的根拠)に対する信頼度を評価した。
わかったこと
31,521例の妊婦および小児を対象とした107件の研究を同定した。ビタミンDは、妊娠中、幼児期、あるいはその両方の期間に投与された。ビタミンDの投与量や投与時期は研究によって異なっていた。投与は毎日行われることが最も多かったが、頻度がそれより低い場合や、一度に大量を投与する場合もあった。研究は多くの国で実施された。各参加者について、研究期間は1日から18カ月の範囲である。研究は、病院、保育所、地域社会、または家庭で実施された。
ビタミンDをプラセボと比較した場合、サプリメントの摂取により、急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や通院を必要とする小児の数がわずかに減少するかもしれない。しかし、ビタミンDは、各小児がARIのために医師や病院を受診する頻度を減らすことはない。
ビタミンDの高用量と低用量を比較した場合、高用量を補充しても、おそらく急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や入院を必要とする小児の数は減らず、また、小児1人あたりの受診回数も減らないと考えられる。
ビタミンDの補充は安全であると思われる。高カルシウム血症はまれであり、ビタミンDの補充は、妊婦や幼児における高カルシウム血症の発症リスクにほとんど、あるいは全く影響を与えないかもしれない。
エビデンスの限界
ビタミンDが急性呼吸器感染症(ARI)による医師の診察や病院への受診を減らすかどうかに関するエビデンスに対する信頼度は低い。研究によって結果はまちまちであり、わずかな有益性を示唆するものもあれば、明確な有用性が見られないものもあった。
多くの研究は小規模であったため、その信頼性には限界がある。 さらに、ビタミンDの補充量や急性呼吸器感染症(ARI)の測定方法に違いがあったため、研究間の結果を統合・解釈することが困難であった。
エビデンスの更新状況
本エビデンスは2025年3月18日時点のものである。
van Arragon M, Grant CC, Scragg RKR, Jordan VMB
2 months ago
要点
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血小板輸血(出血を止めるために血餅を形成する血液細胞を投与する治療)を血小板の数値が相対的に高い(出血のリスクがより低い)ときに行っても、死亡や出血は減らないようである。
-
血小板の数値がより低いときに輸血を行うと、死亡や出血のリスクを高めずに、血小板輸血を減らせるようである。
-
乳幼児に血小板を投与するべき正確な血小板数を、それぞれの出血リスクに基づいて見定めるには、今後も研究を行う必要がある。
血小板とは?
血小板は出血を止めるために血を凝固させる血液細胞である。血小板の数値が低い状態(血液検査で血小板数が150,000/μL未満)は、血小板減少症と呼ばれる。血小板減少症は未熟児や病気のある新生児によく見られ、出血リスクを高める恐れがある。
血小板減少症の治療
血小板減少症の治療には、通常、献血由来の血小板を投与する。血小板は輸血と呼ばれる手法により静脈に直接投与される。しかし、血小板輸血そのものが、死亡のリスクやその他の害の増加の原因となりうるため、血小板輸血を行う基準となる血小板の数値を低くするべきか、逆に高くするべきかについては、この分野の専門家の間でも意見が分かれている。
知りたかったこと
血小板減少症の乳幼児において、血小板投与を始める血小板の数値が高いほうが低いときに比べて有益であるかどうかを調べたかった。また、輸血が死亡や出血、さらには乳幼児の発育に与える影響を知りたかった。
実施したこと
血小板減少症の乳幼児に対する血小板輸血について調べた研究を探した。研究結果を比較、要約し、研究の方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
血小板輸血による治療を行う基準値として異なる血小板の数値を比較した3件の研究(乳幼児856人)が見つかった。2件の研究は高所得国(米国、カナダ、イギリス、アイルランド、オランダ)で、1件は低中所得国(インド)で実施された。1件の研究は、乳幼児の血小板数がやや低い(軽度の血小板減少)ときに血小板輸血を行うほうが、血小板数が低い(中等度の血小板減少症の)ときよりも有益であるかを調べたものである
(軽度血小板減少症の範囲)
。もう1件の研究は血小板数が低い(中等度の血小板減少症)ときに血小板輸血を行うほうが、血小板数が非常に低い(重度の血小板減少症)ときに行うよりも有益であるかを調べたものである
(中等度血小板減少症の範囲)
。3件目の研究は、血小板数が非常に低い(重度の血小板減少症)ときに血小板を投与するほうが、血小板数が極めて低い(極めて重度の血小板減少症)ときよりも有益であるかを調べたものである
(重度血小板減少症の範囲)
。
死亡に関しては、血小板の数値が相対的に低い場合と高い場合で差は全く見られなかった。
-
軽度血小板減少症の範囲
(1件の研究、乳幼児数152人)
-
中等度血小板減少症の範囲
(1件の研究、乳幼児数44人)
-
重度血小板減少症の範囲
(1件の研究、乳幼児数656人)
出血に関しても、血小板の数値が低い場合と高い場合で全く差は見られなかった。
より低い血小板数で輸血を行うと、死亡や出血のリスクを高めずに、血小板輸血の数を減らせるらしいことがわかった。
エビデンスの限界
エビデンスの信頼性は中程度から非常に低いものに留まった。信頼性が限定的な理由は、研究を行った人々がどの治療を行っているか知っていたこと、また3件の研究しか見つからなかった上に、いずれの研究も対象となる血小板数の範囲が異なっていたことである。すでに出血が見られる乳幼児を含めたかどうかについても、研究の間で違いがあった。最も規模の大きい研究では、出血のある乳幼児を含めなかった。
本レビューの更新状況
エビデンスは、2025年6月現在のものである。
Chotas W, Wallman-Stokes A, Patel RM, Cooper C, Soll RF, supported by the Cochrane Neonatal Review Group
2 months ago
要点
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ボトックスAは、プラセボの生理食塩水と比較して、短期的にはわずかな疼痛(痛み)の改善をもたらす可能性(6%)があるが、長期的には持続しない。患者は短期および長期のいずれにおいても治療の成功を実感する可能性(20%)がある。日常生活を行う能力や健康に関連した幸福度については改善しない可能性がある。注射部位の疼痛、筋疲労、全身の疼痛、または頭痛などの軽度の有害事象の発生率がプラセボより16%高く、最大3週間続く可能性がある。
-
一部の研究に対し、ボトックスAの製造企業が資金提供を行っていることが結果に影響し、治療が過大評価されている可能性がある。
-
今後の研究は、より大規模で、かつ適切な研究方法を用い、また、より長期間にわたる追跡を行うべきである。また、研究は独立した資金によって実施されるべきである。
ボトックスAとは何か?
ボトックスAは、特定の筋肉を一時的に弛緩または麻痺させたり、特定の神経の働きを遮断したりする神経毒素の一種であり、トリガーポイントに注射して使用される。トリガーポイントとは、緊張した骨格筋の索状硬結(taut bands)に存在する非常に感受性の高い結節であり、原因部位とは異なる部位に疼痛を生じさせることがある。このような疼痛は関連痛(referred pain)と呼ばれる。
ボトックスAは、筋緊張や筋痙攣、およびそれに関連する疼痛のシグナルを減少させることで、持続性の頸部痛を改善する可能性がある。
患者は、注射部位の圧痛や疼痛など、一過性の軽度な有害事象を経験する可能性がある。また、重篤なアレルギー反応など、死亡につながるような有害事象がまれに発生する可能性もある。
何を明らかにしたかったのか?
持続する首の痛み(頸部痛)を持つ患者において、ボトックスAがプラセボとしての生理食塩水の注射よりも優れているかどうかを明らかにしたかった。評価項目は以下のとおりであった。
-
疼痛
-
身体機能(日常生活動作を行う能力)
-
健康関連の幸福度
-
患者自身が感じる治療の成功度
-
患者満足度
頸部痛には、痛みが頭部、上背部および上肢に及ぶものもある。また、筋膜性疼痛(緊張した索状硬結内の過敏性結節)、変性変化(加齢性変化)、むち打ち関連障害、および頭痛を伴う場合と伴わない場合がある。
また、ボトックスAが何らかの有害事象を引き起こすかどうかについても明らかにしたいと考えた。
何を行ったのか?
ボトックスAとプラセボを比較した研究について検索を行った。研究結果を比較および要約し、研究方法、投与量のばらつき、研究結果の一貫性、および研究規模などを考慮して、エビデンスに対する信頼性を評価した。
何がわかったのか?
持続する頸部痛(筋膜性疼痛、むち打ち関連障害、または頸部に由来する頭痛)を有する合計855名を対象とした16件の研究が見つかった。参加者の年齢は18歳~80歳であり、その64%が女性であった。ほとんどの研究の追跡期間は3週間~12週間であり、24週間以上追跡した研究は2件のみであった。研究は北米、中米、欧州、中東およびアジアの病院内ペインクリニック、外科診療科および大学で実施されており、ほとんどの研究は短期(3か月以内)の成績を報告していた。ボトックスAの総投与量は10単位~400単位であり、1か所~10か所のトリガーポイントに投与されていた。
主な結果
持続性の頸部痛患者において、ボトックスAはプラセボと比較して、
-
短期的には疼痛がわずかに改善する可能性がある(6%;合計393名が参加した12件の研究より)が、その変化は日常生活において実質的な差をもたらさない可能性がある。また、その疼痛改善効果は長期的には維持されない可能性がある。
-
日常的な身体機能(2%;合計76名が参加した3件の研究より)または健康関連の幸福度については、利益がほとんどないか、全くない可能性があるが、これらのエビデンスに対する信頼性は低い。
-
参加者により報告された成功率については、短期(20%;19名が参加した1件の研究より)および長期(20%;31名が参加した1件の研究より)の両方でわずかな改善が認められる可能性がある。
-
注射部位の痛み、筋疲労、筋肉痛または一般的な頭痛などの軽度の有害事象のリスクは、プラセボと比較して16%高い可能性がある。また、これらの有害事象は最大3週間持続する可能性がある。
患者満足度を評価した研究は存在しなかった。
エビデンスの限界は何か?
本レビューのエビデンスに対する信頼性は、以下に示すいくつかの理由から限定的とみなされた。
-
ほとんどのエビデンスは短期的なものであり、長期的な影響については不明である。
-
大部分の研究において製薬企業からの資金提供が認められた。そのためボトックスAの利益が過大評価されている可能性がある。
-
いくつかの研究では、参加者のグループ分け方法や、参加者がどの治療を受けているかを知っていた可能性など、誤差の原因となり得る研究方法上の問題が存在した。
-
研究ごとにボトックスAの投与量が異なっていたため、結果の比較が困難であった。
今後の研究は、独立した資金提供により実施され、より適切な研究方法が採用され、また、より長期的な成績が報告されるべきである。
本エビデンスはいつのものか?
本エビデンスは2026年3月時点のものである。本レビューは、2011年に公表された過去のレビューを更新したものであり、新たに10件の研究が追加された。その結果、現在ではボトックスAによる疼痛改善効果がわずかながら存在する可能性が示されている。
Gross AR, Lee H, Chacko N, Kovacevic L, Smith A, Shanthanna H, Burnie SJ, Forget M, Schneider G, Santaguida PL, Bobos P
2 months ago
要点
-
ビタミンB
12
の補充は、プラセボ(介入・治療と同じ外観を持つが有効成分を含まない物質)(すなわち、ビタミンB
12
サプリメントを摂取しなかった小児)と比較して、12歳未満の小児におけるビタミンB
12
欠乏のリスクを低減し、おそらくビタミンB
12
の血中濃度を改善すると考えられる。
-
ビタミンB
12
サプリメントに他の微量栄養素(体が機能するために少量必要な重要なビタミンやミネラル)を併用した場合、ビタミンB
12
を含まない同じサプリメントを摂取した小児と比較して、ビタミンB
12
欠乏症や総ビタミンB
12
レベルにほとんど、あるいは全く差が生じないかもしれない。
-
ビタミンB
12
サプリメントが小児のその他の健康指標に及ぼす影響については、あまり明らかになっていない。
ビタミンB
12
とは?
ビタミンB
12
は、赤血球の生成を助け、体の細胞や神経を健康に保つのに役立つ重要な栄養素である。ビタミンB
12
の欠乏は、小児や資源の乏しい環境を含め、重要な公衆衛生上の問題となっている。小児におけるビタミンB
12
濃度の低下は、貧血(ヘモグロビン濃度の低下)や、成長・発達・認知機能(思考、理解、感覚を通じて知識を獲得する小児の能力)の低下と関連していることが示されている。
知りたかったこと
ビタミンB
12
サプリメントを摂取することで、12歳未満の小児の栄養状態と健康が改善されるかどうかを調査したいと考えた。
実施したこと
ビタミンB
12
の有用性を、プラセボ(介入・治療と外観は同じだが有効成分を含まない物質)、無介入、あるいはビタミンB
12
を含まない同種のサプリメントと比較した研究を検索した。研究の実施方法などの情報に基づき、各研究の結果とエビデンス(科学的根拠)に対する信頼度を要約した。
わかったこと
12歳未満(生後2日から11歳)の児童4,083例を対象とした16件の研究を対象とした。
そのうち、2391例の小児を対象とした9件の研究について、解析可能なデータが得られた。これらの研究は、世界10カ国で実施された。ほとんどの研究では、介入直後から5週間から31カ月後にアウトカムが評価され、1件の研究では9年後にアウトカムが評価された。
ビタミンB
12
サプリメントは、28日から31カ月間にわたり、1日あたり0.9~150マイクログラムの量で投与された。
ビタミンB
12
単独の補充対プラセボ
身長/体長、認知機能(例えば、注意力)、または発達(例えば、運動能力の発達)には、ほとんど差がないか、あるいは全く差がないかもしれない。ビタミンB
12
サプリメントを摂取した小児は、プラセボ群と比較して、ビタミンB
12
欠乏が少なく、おそらくビタミンB
12
の血中濃度も高かった。
貧血については、群間で差がほとんどないか、まったくないかもしれない。望ましくない(有害な)事象に関するデータを提供した研究はなかった。
ビタミンB
12
単独投与対無介入
身長/身長のエビデンスは非常に不確実である。
その他のアウトカムについて、解析可能なデータを報告した研究はなかった。
ビタミンB
12
およびその他の微量栄養素の摂取と、ビタミンB
12
を含まない同等のサプリメントとの比較
身長/体長、認知機能(例えば、注意力)、または発達(例えば、運動能力の発達)については、群間で差がほとんどないか、まったくないかもしれない。ビタミンB
12
サプリメント(他の栄養素を含む)を摂取した小児において、ビタミンB
12
欠乏症、ビタミンB
12
濃度、貧血、または望ましくない事象については、群間でほとんど差がないか、あるいは差がないかもしれない。
エビデンスの限界
本レビューの限界としては、研究数が少なく、各研究の規模も小さかったことがあげられる。成長、認知機能、発達、貧血、あるいは有害事象を含む健康アウトカムについて報告した研究はほとんどなかった。対象となった小児の年齢がさまざまであったこと、ビタミンB
12
の摂取量の違い、およびアウトカムの測定時期の違いも、本レビューの限界である。
エビデンスの更新状況
本エビデンスは2025年9月23日現在のものである。
Larvie DY, Güitrón Leal CE, Venkatramanan S, Palma Molina XE, Steel LB, Kuriyan R, Finkelstein JL
2 months ago
要点
-
精神科病棟への入院中にカウンセリングとニコチン置換療法(タバコを吸うよりも安全な形でニコチンを供給し、喫煙への渇望や離脱症状を軽減する治療法)を提供し、退院後もこの支援を継続することで、通常のケアと比較して、より多くの人が(6か月後の測定時点で)タバコをやめることができる可能性がある。
-
精神科入院患者を対象に開始されたその他の禁煙介入の効果について、結論を導き出すのに十分な情報は得られなかった。禁煙を支援するためのさまざまな方法、とりわけ医薬品について検証する、より多く、よりよく設計された研究が必要である。
なぜ、精神疾患のある人にとって喫煙は問題となるのか?
精神疾患を抱える人々は、心臓・血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、がんといった予防可能な身体疾患により、一般の人々よりも最大で15~20年も早く亡くなる。喫煙は、これらの病気の主な原因の一つである。精神疾患の治療のために入院している人々は、一般の人々に比べて喫煙率が高く、禁煙したいという意思があっても、禁煙に成功する割合は低い。多くの病院は禁煙環境となっており、精神疾患を持つ人々に対して禁煙プログラムを実施するには適した場所であるはずだ。
知りたかったこと
病院の精神科病棟で治療を受けている間に開始される禁煙プログラムが、こうした人々の禁煙に役立つのか、またどのプログラムが最も効果的であるのかを知りたかった。特に、6か月経ってもなお禁煙を続けている人の数がどれくらいか、また、死亡や生命を脅かす事態といった深刻な有害事象に見舞われた人がいたかどうかについて関心を寄せていた。
実施したこと
精神科病棟で開始されたあらゆる禁煙プログラムについて、通常のケア、待機者リストへの登録、あるいはプラセボ(有効成分を含まない「偽薬」)の投与と比較検討した研究を検索した。参加対象者は、どのような精神疾患の診断を受けていても構わなかったが、成人(18歳以上)で、喫煙者であることが条件であった。
対象とした研究結果を要約し、研究方法や規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。
わかったこと
救急精神科病棟または長期入院精神科病棟に入院している計2,262人を対象とした10件の研究を特定した。ほとんどの研究では、さまざまな精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、統合失調症など)と診断された人々が対象とされており、3件の研究では統合失調症または統合失調症様障害の患者のみが対象となっていた。これらの研究は、5か国(オーストラリア、米国、台湾、イスラエル、イラン)で実施された。
プログラムは以下の通りである:
-
カウンセリングに加え、ニコチン置換療法および退院後の禁煙に対する継続的な支援(通常ケアと比較して);
-
集団行動療法(薬物を使用しない心理的支援)による禁煙プログラム(待機者リストへの登録と比較して);
-
ブプロピオン(プラセボと比較して)やシチシン(ニコチン置換療法と比較して)を含む医薬品;
-
さまざまな種類や用量のニコチン置換療法の比較。
主な結果
カウンセリングとニコチン置換療法を併用し、退院後も継続的な支援を行う群と、通常ケア群との比較(5件の研究、1,611人):
エビデンスの限界は?
結果は限られた数の研究に基づいており、そのエビデンスに対する信頼度は低い。各研究における死亡例が極めて少なかったため、死亡に関する結果に対する信頼度は非常に低かった。
バレニクリンなどの禁煙薬は、地域社会に住む精神疾患を持つ人々に対して有効であることが以前から示されていたが、病院の精神科病棟におけるその使用を検証した研究は見当たらなかった。
エビデンスの更新状況
本レビューは2026年2月10日現在のものである。
Plever S, Kisely SR, Bonevski B, Siskind D, Yamazaki-Tan J, Thaker P, Vos G, Kim D, Guillaumier A, Gartner CE
2 months ago
要点
‐ 損傷した歯に対し、標準的なレジン系複合材料(RBC:Resin‐based composite、日本では一般的にコンポジットレジンと呼ばれる)を用いてバルクフィル(材料を一度に大きな一層で充填する方法)または積層充填(材料を複数層に分けて充填する方法)で修復した場合、修復物の失敗に関しては、おそらくほとんど、あるいは全く差がない。
‐ 過去のエビデンスでは、歯科用アマルガム(銀色の充填材)はRBCよりも失敗が少ない可能性が示されていた。しかし、この結果は古い研究に基づくものである。現在のRBCは性能が向上しており、歯科医師の使用経験も多くなっているため、失敗は以前より少ないと考えられる。
充填材(詰め物)とは何か。またなぜ充填が必要なのか?
歯の組織が損傷を受けると、その結果として歯に穴(う窩)ができることがある。う窩はう蝕(むし歯)によって生じるが、う蝕は多くの場合、適切な口腔衛生を実践し、糖分を多く含む飲食物を控えることで予防できる疾患である。
う蝕によって歯に永久的な損傷が生じた場合、歯科医師は失われた歯の形態や機能を回復するために、しばしば充填材による修復を行う。
充填材にはどのような材料が使われているか?
従来、う蝕の多くは歯科用アマルガムで治療されてきた。この銀色の充填材(主にスズ、銀、および銅で構成され、液体水銀と混合して使用される)は、低コストかつ取り扱いが容易な材料である。しかし現在では、水銀は人の健康や環境に対して有害となる可能性があることが知られており、「水銀に関する水俣条約」において、歯科用充填材を含めた水銀の使用に関して段階的削減(phase-down)、あるいは中止していくことで国際的な合意がなされた。1回で終了可能な治療に使用される水銀を含まない充填材料には、以下のようなものがある。
‐ RBC:標準的に使用されている白色または歯冠色の材料で、バルクフィルまたは積層充填で使用される。
‐ グラスアイオノマーセメント(GIC:Glass ionomer cement):使用部位の状態によっては強度が不足するため、仮の詰め物として使用されることがある。また、臼歯の噛み合わせ面(咬合面)には適していない。
‐ レジン添加型グラスアイオノマーセメント(RMGIC:Resin‐Modified GIC):GICを改良した複合材料で、GICより強度は高いものの、RBCほどの強度はない。
‐ コンポマー(Compomers):RMGICの代替材料であるが、GICよりもRBCに近い性質を持つ。
RBC、RMGIC、およびコンポマーの場合、材料を歯に接着するために接着システムを使用し、さらに材料を硬化させるために光照射を行う必要があるが、GICではこれらは不要である。
知りたかったこと
以下の点について明らかにすることを試みた:
‐ ある充填材料と他の材料とを比べた場合、歯の喪失(修復物の失敗によるもの)、修復物の失敗(充填材が本来の機能を果たさなくなること)、失敗までの期間、および処置後の歯の知覚過敏を減少させる点でどのような利点があるか。
‐ ある充填材料が他の充填材料よりも費用対効果に優れているかどうか。
実施したこと
永久歯の臼歯の充填に用いられる材料を評価したシステマティックレビューについて検索を行った。これらのレビューは、公表されている利用可能なすべての研究結果を収集し、その結果を解析したものである。レビューで報告されたエビデンスについて、結果を要約し、レビューや研究の方法、研究規模などの要素に基づいて信頼性を評価した。
また、これらの材料の費用対効果について評価した経済学的研究についても検索を行った。
何を見つけたのか?
57件の研究を含む14件のレビューが見つかった。レビューに含まれた研究は1980年から2023年の間に実施されていた。1件の研究では10年間の追跡が行われていたが、多くの研究では追跡期間はこれより大幅に短かった。一部のレビューでは、主要アウトカムについての結果が報告されておらず、また同じ研究が複数のレビューに含まれている場合もあった。そのため、25件の重複しない研究を含む6件のレビューから得られたエビデンスを優先して評価した。
また、費用対効果に関する研究は7件見つかった。
主な結果
歯の喪失や失敗までの期間に関するエビデンスを報告したレビューは見つからなかった。
‐ アマルガム修復はRBC修復よりも失敗が少ない可能性がある(3,486症例を含む8件の研究より)。しかし、これらの研究は1990年代後半に開始されたものであり、現在はRBCの性能および歯科医師の使用経験がより向上している。そのため現在では、RBCの失敗率は約5%程度と考えられ(古い研究では約15%)、アマルガムとRBCを比較した古いエビデンスは実情に則さなくなっている。
‐ バルクフィルのRBCと積層充填のRBCとでは、修復物の失敗において差はないと思われる(511症例を含む7件の研究より)。また、どちらの場合でも、術後に歯の知覚過敏が生じることは少ないと考えられる(510症例を含む5件の研究より)。
‐ 標準的なRBCとGICでは、修復物の失敗(60症例を含む1件の研究より)や歯の知覚過敏の発生(311症例を含む4件の研究より)に差はない可能性がある。一方、RMGICはGICよりも修復物の失敗が少ない可能性がある(50または38症例を含む1件の研究より)。GICとアマルガム、あるいはGICとコンポマーを比較したレビューも見つかったが、修復物の失敗や術後知覚過敏についての報告はなかった。
‐ 経済学的研究の多くは、どの材料が費用対効果に優れるかについての全体的な結論を示していなかった。1件の経済学的研究では、アマルガム修復はRBC修復よりも長期間機能し、費用対効果にも優れる可能性が示されたが、これは1990年代後半の古い研究に基づく結果であった。
エビデンスの限界は何か?
ほとんどのレビューは、最高水準の基準を満たしていなかった。適切に実施されていると判断したレビューは、わずか2件のみであった。しかし、レビューに含まれる研究が異なる場合でも、ほとんどのレビューで非常によく似た結果が報告されていた。
GICおよびRMGICに関するエビデンスについては、研究規模が小さく、参加者数も少ないことが多かったため、確信度は低かった。
本エビデンスはいつのものか?
2025年4月時点におけるエビデンスである。
Lewis SR, Walsh T, Glenny AM, Banerjee A, Boyers D, Hatton PV, Mackie C, Martin N, Palin WM, Pritchard MW, Quinn BM, Ramsay CR, Ricketts D, Riley P, Clarkson JE
2 months ago
背景
感染症の中には、咳やくしゃみなどの空気中の飛沫によって感染するものがあり、汚染された皮膚や表面に触れた人に感染する可能性がある。石けんと水で手を洗うと、これらの病気の蔓延を防ぐことができるかもしれない。石けんを使用していない人は、水の有無に関わらず、灰や泥、土などの他の材料を使用したり、水だけで手を洗うことがある。灰(調理用コンロや火から出た固形物の残骸)による手洗いは、ウイルスやバクテリアをこすり落としたり、不活化させることで効果があるかもしれない。ただし、灰の中の化学物質が皮膚を傷つける可能性がある。
灰が効果的な手洗い洗剤である場合、石けんが広く利用されていない低所得地域でのコロナウイルス(COVID-19)やその他の感染症の蔓延を減らすことができるかもしれない。
私たちは何を知りたかったのか?
手洗いに灰を使用する人が、石けんや水、泥、土を使用する人や手を洗わない人よりも、感染症にかかりやすいかどうかを調べることを目的とした。また、灰を使用すると、手の痛みや発疹(かぶれ)などの望ましくない影響が発生するかどうかも調べた。
方法
石けん、泥、土、水のみ、または手洗いをしない場合と比べて、灰を使った手洗いを検討した研究を調査した。私たちの疑問に答えるために、この研究は子どもから成人が含まれ、あらゆる場所で実施されている可能性がある。
COVID-19は急速に広がっているので、私たちはできるだけ早くこの質問に答える必要があった。これは、通常のコクラン・レビューのプロセスのいくつかのステップを短縮したことを意味している。関連性のある可能性のある5件の研究の全文を見つけることはできなかった。また、追加データについては研究の著者に連絡することもできなかった。いくつかのデータベースを検索したが、一部の研究を見逃していた可能性がある。すべての関連情報を今後のレビューに含める予定である。
結果
手洗い用の灰を評価した14件の研究を特定した。無作為に選ばれた人々が灰や石鹸などの物質を使用することを直接比較した小規模な研究は1件だけであった(ランダム化された研究は最良のエビデンスを生む)。研究はすべての年齢の人々を含み、主に低所得の農村地域で行われた。6件の研究は私たちの疑問への回答に役立つ情報を提供した。
ある研究では、下痢で入院していた子どもとそうでない子供どもを比較して調査した。研究者らは、子どもたちの家の手洗い場を見て、どのように手を洗っているのかを調べた。彼らは、手洗いに灰を使用した家庭では、石けんを使用した家庭と同じくらいの回数、下痢症の子どもを病院に連れて行っていたことが分かった。
別の研究では、異常な腟のかゆみやおりものがある女性が、そのような症状を経験していない女性よりも、灰で手を洗う可能性が高いかどうかを調査していた。その研究では、手洗いに灰と水を使用した女性は、石けんを使用した女性と同じように腟のかゆみやおりものを経験する可能性が高いことが分かった。
4件の研究では、灰、石けん、水、泥を使用した手洗い後、または手洗いを行わなかった後の手に付着した細菌を測定した。研究は信頼性の低い方法を用いた研究が行われており、その結果は不明確だったため、他の手の洗浄用材料と比較した場合、灰が人の手の細菌に及ぼす影響については不明である。
いずれの研究も、感染症の重症度、人々が灰や他の物質を継続して使用したかどうか、死亡数、または灰による手洗いによる望ましくない影響に関する情報を提供していなかった。
エビデンスの確実性
見つかった研究が少なかったため、エビデンスに対する私たちの確信(信頼)は限られていた。私たちが見つけた研究では、信頼性の低い方法や、さまざまな参加者がおり、参加者が感染したかどうかを確実に調査した研究はなかった。
結論
石けん、水、泥、土などを使った手洗いや、手洗いなしと比較して、灰を使った手洗いが、ウイルスまたは細菌感染の拡大を抑止するか、減少するかは不明である。灰を使った手洗いが、望ましくない影響を引き起こすかどうかも不明である。
検索日
このレビューには、2020年3月26日まで公表されたエビデンスが含まれている。
Paludan-Müller AS, Boesen K, Klerings I, Jørgensen KJ, Munkholm K
2 months 2 weeks ago
要点
- 薬物療法以外の対策(面会制限や定期的な検査など)により、長期療養施設の入居者やスタッフのSARS-CoV-2感染(COVID-19の原因となるウイルス)を予防できる可能性があるが、その結果の信頼性には懸念がある。
- 特に、実臨床で経験される、より質の高い研究が必要である。
- また、入居者やスタッフの多くがワクチンを接種している施設や、北米・欧州以外の地域での対策についても、さらなる研究が必要である。
薬物療法以外の対策とは何か?
薬物療法以外の対策とは、薬を使わずに病気を予防・軽減する方法のことで、ワクチンなどがこれにあたる。これには、人の動きや接触、個人用防護具(PPE)の使用、定期的な感染に対する検査などが含まれる。
SARS-CoV-2は非常に感染力が強い。ケアハウス(長期介護施設)に入居している高齢者や障がい者は、介護者や来訪者が施設に出入りし、他の人と密接に接触して生活しているため、感染しやすい可能性がある。介護施設の入居者は、高齢や基礎疾患のため、COVID-19で重症化し、死亡するリスクが高くなる。
何を知りたかったのか?
長期介護施設の入居者やスタッフがSARS-CoV-2に感染するのを防ぎ、感染の拡大を抑えるために、薬物療法以外の対策がどれほど有効かを調べたいと思った。高齢者向けのナーシングホームや障がい者向けの介護施設など、成人向けのあらゆるタイプの長期介護施設を対象にした。
何をしたか?
長期療養施設における薬物療法以外の対策の効果を調査した研究を検索した。対象となる研究は、対策によって入居者やスタッフの感染、入院、死亡がどれだけ防げたか、あるいは対策によって施設内へのウイルスの侵入が防げたか、施設内でのアウトブレイク(集団感染)が防げたかを報告したものにした。実臨床のデータを用いた観察研究や、コンピュータによるシミュレーションで想定したデータによるモデルを使用した研究など、あらゆるタイプの研究を対象とした。
何を見つけたのか?
観察研究11件、モデルを使用した研究11件の計22件の研究が見つかった。すべての研究は、北米または欧州で実施された。
対策は大きく分けて4種類あった。
1.入居者、スタッフ、訪問者が施設内にウイルスを持ち込まないようにするための立ち入り規制の対策。スタッフが入居者と一緒にいること、新規入居者の隔離、新規入居者の検査、新規入居者の受け入れ禁止、訪問者の施設への立ち入り禁止などがあった。
2.人がウイルスを移さないようにするための接触規制、感染抑制の対策。マスクやPPE(個人用防護具)の着用、ソーシャルディスタンスを保つ(人と身体的に距離をとる)、清掃の徹底、居住者間やスタッフ間の接触を減らす、居住者やスタッフをケアグループに分け、グループ間の接触を制限することなどが挙げられる。
3.アウトブレイク(集団感染)を早期に発見するための検査の対策。症状に関係なく入居者やスタッフに定期的に検査を行うことや、症状に応じた検査を行うことなどが挙げられる。
4.アウトブレイク(集団感染)の影響を軽減するための対策。感染した居住者を隔離すること、感染した居住者と介護をしているスタッフを、感染していない人と分けることなどがある。
いくつかの研究では、これらの対策を組み合わせて使用していた。
主な結果
立ち入り規制の対策
(観察研究4件、モデルを使用した研究4件)
ほとんどの研究では、このような対策は有益であるとされているが、一部の研究では、効果がなかったり、面会制限の中で入居者がうつ状態になったり、せん妄状態(その場の状況がわからなくなり混乱する状態)になったりするなどの好ましくない効果が見られた。
接触の抑制と感染抑制の対策
(観察研究6件、モデルを使用した研究2件)
いくつかの対策は有益かもしれないが、多くの場合、そのエビデンスは非常に不確かである。
検査の対策
(観察研究2件、モデルを使用した研究6件)
居住者とスタッフの定期的な検査は、居住者の感染症、入院、死亡の数を減らす可能性があるが、スタッフの死亡数に関するエビデンスはあまり明確ではなかった。検査の回数が多いほど、検査結果が早く出るほど、検査の精度が高いほど、より有益な効果があると予測された。
アウトブレイク(集団感染)対策
(観察研究4件、モデルを使用した研究3件)
これらの対策により、施設内の感染者数やアウトブレイク(集団感染)のリスクを減らすことができるかもしれないが、多くの場合、そのエビデンスは非常に不確かである。
さまざまな対策の組み合わせ
(観察研究2件、モデルを使用した研究1件)
感染者数や死亡者数を減らすためには、さまざまな対策を組み合わせることが効果的である可能性がある。
エビデンスの限界は?
この結果に対する確実性は限定的である。多くの研究では、実臨床のデータではなく数学的な予測を用いており、モデルで使用した仮定が正確であると確信することはできない。ほとんどの観察研究では、最も信頼性の高い方法を使用していなかった。これは、例えば「入居者への検査によって死亡者数が減少した」というように、対策が効果をもたらしたと確信することができないということである。
このレビューの更新状況
このレビューには、2021年1月22日までに発表された研究が含まれた。
Stratil JM, Biallas RL, Burns J, Arnold L, Geffert K, Kunzler AM, Monsef I, Stadelmaier J, Wabnitz K, Litwin T, Kreutz C, Boger AH, Lindner S, Verboom B, Voss S, Movsisyan A
3 months ago
要点
- 全体として、インターロイキン-1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬がCOVID-19の人に有効な治療法かどうか、または、望ましくない影響を引き起こすかどうかを示す十分なエビデンスは見つからなかった。
- 結果が公表されていない16件の研究が見つかった。新しいデータが入手できたら、このレビューを更新する予定である。
- 今後、COVID-19の治療におけるインターロイキン-1を阻害する薬を評価するためには、質の高い研究が必要である。
インターロイキン‐1とは何か、また、COVID-19におけるインターロイキン‐1の役割は何か?
インターロイキン-1(IL-1)は、サイトカインと呼ばれるタンパク質の一種で、体の免疫システムを調整する働きがある。特に、IL-1は感染症に対抗するために炎症を誘発する。COVID-19においては、免疫系がウイルスと闘うために、肺や気道に炎症を起こし、呼吸困難を引き起こす。一部の人では、免疫系が過剰に反応し(「サイトカインストーム」と呼ばれる)、危険なほど高いレベルの炎症や組織の損傷を引き起こすことがある。その結果、重度の呼吸困難、臓器不全、死に至ることがある。
インターロイキン‐1「阻害薬(ブロッカー)」とは何か?
IL-1阻害薬は、IL-1から免疫系の他の部分へのシグナルを遮断することで、IL-1の働きを止める薬である。これにより、炎症が抑えられ、免疫系がCOVID-19と闘うのに役立つと考えられる。その結果、人工呼吸器(患者の呼吸を人工的に補助する機械)を使う必要性が減り、COVID-19による死亡者数が減少する可能性がある。IL-1阻害薬には、アナキンラ、カナキヌマブ、リロナセプトの3種類がある。
何を知りたかったのか?
IL-1阻害薬がCOVID-19の患者に有効な治療法であるかどうかを、標準治療のみの場合やプラセボ(試験中の薬と同じように見えるが、有効な成分が入っていないダミーの治療法)と比較して検証した。特に、下記におけるIL-1阻害薬の効果に焦点をおいた。
- 症状が良くなったか悪くなったか;
- 何人の人が亡くなったのか;
- すべての望ましくない影響と重篤な望ましくない影響。
何をしたのか?
COVID-19の人を治療するためのIL-1阻害薬の効果を、標準治療のみまたはプラセボと比較して評価した研究を検索した。重症度(軽度、中等度、重度)に関わらずCOVID-19の疑いがある、あるいはCOVID-19であると診断された人を、年齢や性別を問わず対象とした。
研究の結果を比較してまとめ、研究方法や規模などの要因から、エビデンスに対する確実性を評価した。
何がわかったのか?
2132人を対象とした6件の研究を特定した。アナキンラを対象とした研究が4件(1,633人)、カナキヌマブを対象とした研究が2件(499人)であった。調査対象者の年齢は平均58歳から68歳で、男性が大半を占めていた。研究対象者は全員、主に中等度から重度のCOVID-19で入院していた。研究の規模は、45人から2,253人とさまざまであった。試験開始時、67%から100%の人が酸素吸入をしており、0%から33%の人が人工呼吸器を使用していた。
また、まだ結果が発表されていない研究が16件見つかった。
COVID-19患者の治療において、アナキンラと通常ケアおよびプラセボとの比較
- アナキンラはおそらく、治療後28日目のCOVID-19の症状を改善する(臨床スケールでの改善または退院と定義)効果がほとんど、または、全くないが(3件の研究、837人)、60日目に違いが出るかどうかはわからない(1件の研究、115人)。
- 治療後28日目(2件の研究、722人)、60日目(4件の研究、1,633人)の死亡者数にアナキンラが差をつけるかどうかはわからない。
- アナキンラはおそらく、投与後28日時点ではあらゆる望ましくない影響をほとんど、または、全く増加させないが、重篤な望ましくない影響については不明である(2件の研究、722名)。
COVID-19患者の治療において、カナキヌマブと通常ケアおよびプラセボとの比較
- カナキヌマブはおそらく、治療後28日目にCOVID-19の症状を改善する(臨床スケールでの改善または退院と定義)効果がほとんど、または、全くない(2件の研究、499人)。
- 治療後28日目(2件の研究、499人)または60日目(1件の研究、45人)の死亡数にカナキヌマブが差をつけるかどうかは分からない。
- カナキヌマブはおそらく、望ましくない影響をほとんど、または、全く増加させないが(1件の研究、454人)、28日目の重篤な望ましくない影響についてはわからない(2件の研究、499人)。
エビデンスの限界は何か?
いくつかの理由から、エビデンスへの確実性は限定される。研究の対象者は全員が入院していたが、中にはより重症の人もいた。人工呼吸器を装着している人だけを対象とした研究もあった。また、通常のケアは研究によって異なっており、報告された結果は研究によって異なる方法で測定されていた。
このレビューの更新状況
エビデンスは、2021年11月5日までのものである。
Davidson M, Menon S, Chaimani A, Evrenoglou T, Ghosn L, Graña C, Henschke N, Cogo E, Villanueva G, Ferrand G, Riveros CJ, Bonnet H, Kapp P, Moran C, Devane D, Meerpohl JJ, Rada G, Hróbjartsson A, Grasselli G, Tovey D, Ravaud P, Boutron I
3 months 1 week ago
要点:
-
禁煙継続に対するカウンセリングや禁煙継続に対する報酬・給付(金銭的インセンティブ)を組み合わせた禁煙支援や指導は、妊娠中に禁煙する女性の数を増やす可能性が高い。また、健康教育、社会的支援、フィードバックプログラムも、禁煙する女性の数を増やす可能性がある。
-
心理的・社会的支援プログラムは、低出生体重児(2500g未満)の数を減らし、出生時の体重が重く、概して健康な赤ちゃんの誕生につながり、生後1か月未満で入院治療を必要とする赤ちゃんの数を減らす可能性がある。
-
これらの知見が、少数民族や先住民族の女性にも当てはまるかどうかは不明である。なぜなら、こうした集団を対象にして調査した研究はほとんどないからである。
レビューの論点
タバコの煙に含まれる有害物質は、胎児の成長や発達に影響を及ぼす可能性がある。妊娠中の喫煙は、赤ちゃんが低出生体重で生まれる原因となり、母親の合併症リスクを高める。
心理的・社会的支援プログラムとは何か?
妊娠中に喫煙している女性の多くは禁煙したいと考えているが、それが難しく、支援を必要としている。薬物を使用せずに女性が禁煙できるよう支援するプログラムは、心理的・社会的
(心理社会的)
支援プログラムとして知られている。これには次のようなものが含まれる:
-
禁煙の方法に関する助言や指導(カウンセリング);
-
「なぜ禁煙が重要なのか」に関する情報(健康教育);
-
禁煙を継続した人への報酬(金銭的インセンティブ);
-
超音波検査(音波を用いて体内の画像を作成する検査)による胎児の健康情報のほか、尿検査などによる体内の有害物質濃度の情報(フィードバック);
-
他者からの精神的・実践的な支援(社会的支援);または
-
定期的な身体活動を促進するプログラム(運動プログラム)。
知りたかったこと
喫煙中の妊婦や禁煙したばかりの妊婦が禁煙したり、禁煙状態を維持したりできるよう支援するうえで、さまざまな心理的・社会的支援プログラムがいかに効果的であるかを明らかにしたいと考えた。また、これらのプログラムが赤ちゃんの健康状態を改善するかどうかについても検討したかった。
実施したこと
妊婦の禁煙を支援するためのさまざまな心理的・社会的支援プログラムについて検討した研究を検索した。
わかったこと
喫煙中または最近禁煙した妊婦47,361人を対象とした127件の研究を特定した。最も規模の大きい研究には3,571人の女性が参加し、最も規模の小さい研究には17人が参加した。ほとんどの女性は健康で、16歳以上であった。研究の約半数は低所得層の女性を対象に含んでおり、そのうち11件は少数民族グループ、4件は先住民族コミュニティを対象としていた。すべての研究は独立した研究機関から資金提供を受けており、結果に影響を与える可能性のある組織からの支援を受けたものはない。
支援プログラムには、カウンセリング(60件)、健康教育(21件)、フィードバック(8件)、金銭的インセンティブ(17件)、社会的支援(7件)、運動プログラム(1件)が含まれていた。対照群の女性たちは通常、標準的なケア(66件)を受けており、その内容は主に喫煙のリスクに関する情報提供や禁煙の助言などで構成されていた。一部の研究では、この介入を強度の低いプログラムと比較しており(50件)、また、より少数の研究では、異なる種類のプログラムと比較していた(11件)。
妊娠後期(妊娠36週前後以降)の禁煙
禁煙に対して金銭的な報酬を提供するカウンセリングやプログラムは、妊娠後期に禁煙する女性の数を増やす可能性が高い。健康教育、フィードバック、および社会的支援プログラムは、妊娠後期に禁煙する女性の数を増やす可能性がある。運動プログラムは、妊娠後期に禁煙する女性の数をほとんど、あるいは全く増やさない可能性が高い。1件の研究では、両グループで同じカウンセリングプログラムが採用されたが、診療所への提供方法が異なっていた。1種類のグループの臨床医にはプログラムに関する書面での情報のみが提供されたのに対し、もう1種類のグループには研修、定期的な連絡、フィードバックといった、より手厚い支援が提供された。しかし、これが禁煙率に影響を与えたかどうかは不明である。
出生時の赤ちゃんの健康状態
全体として、心理社会的介入により、低出生体重児(2500g未満)の数を減らし、出生時の体重が重く、概してより健康な赤ちゃんを産むことにつながり、生後1か月未満で専門的な集中治療を必要とする赤ちゃんの数を減らすことができる可能性がある。これらのプログラムは、死産数にほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性が高い。早産(妊娠37週未満)の出生数に影響を与えるかどうかは不明である。
これらの介入は、誰にでも効果があるのか?
社会的に不利な環境にある女性やマイノリティ集団に対して、心理的・社会的支援プログラムが異なる効果をもたらすかどうかを検証した研究はほとんどないため、妊娠中の喫煙による影響を最も受けやすい女性のニーズに、いかにしてより適切に応えるべきかに関する情報は限られている。
エビデンスの限界
一部の研究では、必要な情報がすべて提供されておらず、結果に影響を与えかねない重要な詳細が省かれていた。一部の研究は対象者が少なすぎたため、介入が女性の禁煙にどの程度寄与したかを完全に確信することはできなかった。また、少数民族や先住民族のコミュニティに属する女性を対象とした研究もほとんどなく、こうした女性が対象に含まれていた場合でも、グループごとに結果が個別に報告されていないことが多かった。
エビデンスの更新状況
2025年11月時点におけるエビデンスである。
Freijah I, Jones KA, Coleman T, Perlen SM, Kennedy M, Passey ME, McKenzie JE, Chamberlain C
3 months 1 week ago
主要メッセージ
レビュートピックの紹介
神経障害性疼痛とは何か?
神経障害性疼痛とは、神経系(脳、脊髄、末梢神経)の機能不全や損傷によって生じる神経の痛みである。これは、組織の損傷(例えば、転倒、切り傷、膝関節炎など)によって生じる痛みとは異なる。
神経障害性疼痛はどのように治療されるのか?
神経障害性疼痛は、さまざまな種類の薬で治療される。神経障害性疼痛の人のうち、利用可能な治療薬で十分な痛みの緩和が得られる人はごく少数である。
大麻植物をベースにしたいくつかの製品が、神経障害性疼痛の治療薬として提案されている。これらの製品には、吸入用のハーブ大麻や、植物から採取された、または合成された大麻の有効成分を含むさまざまな大麻由来医薬品(スプレー、錠剤、クリーム、経皮吸収型のパッチ(皮膚に貼る薬))が含まれる。
大麻由来の製品には、主に以下の成分が含まれている可能性がある:大麻花の主要な成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナビジオール(CBD)、またはTHCとCBD成分の含有量の比率をバランスよく組み合わせたもの。
神経障害性疼痛がある人の中には、大麻由来の製品が効果的であると主張する人もいる。これらの主張はメディアで頻繁に取り上げられている。
知りたかったこと
以下の点について明らかにすることを試みた:
実施したこと
さまざまな種類の大麻由来医薬品(主にTHCまたはCBDを含む製品、およびTHCとCBD含有量の比率をバランスよく組み合わせた製品)と、 活性成分を含まない偽の治療薬、いわゆる「プラセボ」を比較した研究を検索した。
対象とした研究結果を比較および要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。本レビューでは、以下の3種類の比較における結果を分析した:
わかったこと
異なる病型の神経障害性疼痛がある2,187人を対象とした21件の研究を特定した。これらの研究は、アジア、ヨーロッパ、北米で実施されていた。最小規模の研究の参加者は18人、最大規模の研究の参加者は339人であった。参加者の平均年齢は、34歳から70歳の範囲であった。女性参加者の割合は、0%から90%の範囲であった。研究期間は、2週間から26週間であった。製薬会社が14件(対象とした研究の3分の2)の研究に資金を提供していた。
主な結果
THC成分を優位に含む医薬品とプラセボとの比較
主にTHCを含む医薬品が、以下の人数に何らかの影響を与えるか不明である:
-
少なくとも30%または50%以上の痛みの軽減効果を示す人数;
-
自身の症状を「大幅な改善」または「非常に改善した」と評価する人数;
-
有害事象により治療を中止する人数;
-
望ましくない、または重篤な有害事象を経験する人数;
-
望ましくない心理的な影響(例:混乱)を経験する人数。
THC成分優位の医薬品は、プラセボと比較して、神経系の有害事象(例:めまい)の発生数を高める可能性がある。
THC/CBD含有量の比率をバランスよく組み合わせた医薬品とプラセボとの比較
THCとCBD含有量の比率をバランスよく調整している医薬品が、以下の人数に何らかの影響を与えるか不明である:
THC/CBD含有量比率のバランスが取れた医薬品は、自身の症状を「大幅な改善」または「非常に改善した」と評価する人数や、少なくとも30%以上の痛みの軽減効果を示す人数を増やすかもしれないが、有害事象のために治療を中止する人が増えるかもしれない。
CBD成分を優位に含む医薬品とプラセボとの比較
主にCBDを含む医薬品が、少なくとも50%以上の痛みの軽減効果を示す人数に何らかの影響を与えるかは不明である。
CBD成分優位の医薬品が、以下の人数を増加、それとも減少させるかどうかは不明である:
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自身の症状を「大幅な改善」または「非常に改善した」と評価する人数;
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有害事象により治療を中止する人数;
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望ましくない、または重篤な有害事象を経験する人数;
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少なくとも30%以上の痛みの軽減効果を示した人数;
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望ましくない心理的または神経系に関連する有害事象を経験した人数。
CBD成分優位の医薬品が与える影響については、エビデンスが限られており、研究ごとに結果も異なっているため不明である。
エビデンスの限界は何か?
エビデンスに対する信頼性は、低いまたは非常に低く、今後の研究結果はこのレビューの結果と異なる可能性がある。エビデンスに対する信頼性を低下させた主な要因は4つある。まず第一に、一部の研究では、試験の実施方法が明確に報告されていなかった。次に、多くの評価項目について、研究ごとに結果が異なっていた。また、研究結果は、確固たる結論を導き出すには不十分な場合が多かった。そして、重篤な内臓疾患(例:心臓、肝臓)がある人は研究の対象から除外されていた。
エビデンスはいつのものか?
エビデンスは2025年1月29日時点のものである。
Ateş G, Welsch P, Klose P, Phillips T, Lambers B, Häuser W, Radbruch L
3 months 1 week ago
要点
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確かなエビデンスが不足しているため、外傷によるけがをした患者の治療に特化した病院ネットワーク(組織化された外傷システム)や個別の病院(外傷専門病院)の有益性と有害な影響を特定できなかった。
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本研究は、研究設計の改善と重要な指標の報告を要請する。重要な指標には、死亡率や生存率、有害事象、外傷治療サービスの利用・アクセス状況、提供される医療の質、必要とする人への医療提供状況、利用可能な医療に関する情報提供を含む。
組織化された外傷システム、外傷専門病院、および通常診療とは何か?
組織化された外傷システムとは、けが(例えば、交通事故、武器による負傷、やけどなど)をした人に医療を提供するために設計された包括的なサービス体系である。それは、外傷がおきた現場での応急処置と初期治療、病院への搬送、各患者を搬送する病院の決定、および入院後の治療を網羅する。外傷システムには、費用の回収、海外での研修、研究、およびけがの予防も含まれる。外傷専門病院とは、外傷によるけがをした患者の治療に特化した病院であり、特定の地域における外傷システムネットワークの一部を構成する。
外傷システムと外傷専門病院は、生活水準の高い国々において、外傷によるけがをした患者の管理に費用対効果の高いアプローチを提供すると報告されている。その効果の評価には、適切に設計された研究による検証が非常に重要である。なぜなら、本当に効果があるとわかれば、けがによる負担がとても大きく資源も限られた(貧困な)環境での活用につながるからである。
通常診療とは、外傷によるけがの治療に特化していない一般病院および医療システムを指す。外傷システムが確立されていない地域では、通常診療が標準的なアプローチとなる。
何を調べようとしたのか?
組織化された外傷システムと外傷専門病院について、以下の点を明らかにしたかった:
特に、以下の点への影響を明らかにしたかった:
実施したこと
組織化された外傷システムと外傷専門病院の効果を通常診療と比べて検討した研究を検索した。死亡事例、望ましくない影響、外傷治療サービスの利用またはアクセス状況、提供される医療の質、必要とする人への医療提供状況、そして利用可能な医療に関する情報提供に関心を持っていた。
研究結果を比較・要約し、研究方法や結果の精度・信頼性といった要素に基づき、エビデンスに対する信頼度を評価した。
わかったこと
組織化された外傷システムまたは外傷専門病院の有効性を評価した研究を4件見つけた。対象者は157,111名であった。しかしながら、これらの研究はいずれも資源が限られている国々では実施されていなかった。
以下の理由で、エビデンスに確信を持てない:
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確かな結論を導き出すには研究が不十分である。
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得られたエビデンスは、関心を持っていた項目すべてについて包括的に扱っていなかった。
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いくつかの研究では、我々の関心があるデータについて報告されていなかった。
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研究対象集団や医療の提供方法に関して、研究ごとにばらつきが大きかった。
エビデンスの限界は何か?
エビデンスに対する信頼度は非常に低い。今後の研究結果はこのレビューの結果と異なる可能性がある。研究のデザインは不十分であり、異なる研究間で結果に大きなばらつきが見られ、我々が関心を持つすべての項目について報告されてはいなかった。
本エビデンスの更新状況
エビデンスは、2023年12月16日現在のものである。
Mwandri M, Stewart B, Hardcastle TC, Hudson J, Rubiano AM, Gruen RL, Puyana JC, O'Connor D, Metcalfe D
4 months ago
要点
- 骨盤臓器脱(POP)および腹圧性尿失禁(SUI)を持つ女性において、POP手術と同時に尿失禁手術を行うことで、術後のSUI改善率が向上する可能性が高い。尿失禁のない骨盤臓器脱の女性の場合、追加の尿失禁治療は必要ない可能性がある。
- 尿失禁のない骨盤臓器脱の女性において、手術後の腹式尿失禁(SUI)に対しては、経腟的メッシュ(訳注:人工の医療材料)修復術よりも、腟前壁の自家組織による修復術の方が優れている可能性がある。一方、手術から1年~7年後の診察時の骨盤臓器脱再発がより多くなる可能性がある。
骨盤臓器脱とは?
骨盤臓器脱は、特に出産後や閉経後の女性によくみられる状態である。これには子宮、膀胱、腸、腟などの骨盤臓器が、腟口の内側ないし外側に下がる(脱出する)状態が含まれる。しばしば、咳やスポーツなど運動時の尿漏れを併発する。これを「腹圧性尿失禁(SUI)」と呼ぶ。その一方、臓器脱が尿道を圧迫するために、腹圧性尿失禁が骨盤臓器脱の修復を受けるまで気づかれない場合がある。これを「潜在性」(隠れ)SUIと呼ぶ。腹圧性尿失禁が骨盤臓器脱の術後に初めて発症することもあり、「新規発症SUI」と呼ぶ。POPは女性のQOL(生活の質)に深刻な影響を及ぼしうる。臓器脱の程度や合併する排尿・排便の症状によって不快感が増大することが多い。
骨盤臓器脱はどう治療するか?
骨盤臓器脱の手術療法には経腟的、または腹腔鏡(「キーホール」手術)やロボット支援下といった経腹的な方法の選択肢がある。女性自身の結合組織を使用する(native tissue repair, 自家組織修復)ことも、結合組織の代替または補強のためにメッシュを使用することもできる。腹圧性尿失禁の手術を骨盤臓器脱の手術と同時に行うこともできる。治療には尿道を支えるメッシュスリング(中部尿道スリング)や骨盤から尿道両側の組織を引き上げる方法(バーチ手術)がある。
知りたかったこと
骨盤臓器脱の手術を受ける、尿失禁のある女性とない女性にとって、もっともよい治療を知りたかった。尿失禁手術の有無を問わず、骨盤臓器脱手術が術後の尿失禁を減少させるかに関心があった。また、骨盤臓器脱の再発、過活動膀胱症状(突然の尿意)、排尿機能障害(膀胱が上手く空にならないこと)、追加手術の必要性について調査した。
実施したこと
至適治療法を同定するために、研究を検索し、適切なデータを収集、要約、分析した。
わかったこと
尿失禁の有無にかかわらず、また同時尿失禁手術の有無にかかわらず、骨盤臓器脱の手術を受けた3095人の女性を対象とした22件の研究を同定した。
骨盤臓器脱と腹圧性尿失禁の女性に対する手術
骨盤臓器脱の手術中に中部尿道スリングを挿入すると、腹圧性尿失禁が減少する可能性(2研究、319女性)と追加の尿失禁手術を減少させる可能性(1研究、134女性)がある。尿失禁手術を骨盤臓器脱の術後3か月まで延期しても、同様の成功率が得られる。この状況では、尿失禁がないために追加の尿失禁手術を避ける女性がいるかもしれない。
経腹的子宮脱修復(仙骨腟固定術または仙骨子宮固定術)に経腹的尿失禁手術(バーチ手術)を追加することで、腹圧性尿失禁を改善されるかは不明である(1研究、47女性)。別の研究(113女性)はバーチ手術と中部尿道手術の仙骨腟固定術同時実施を術後2年の時点で比較しており、バーチ手術よりも中部尿道スリングの方が腹圧性尿失禁を減少させる可能性があった。
骨盤臓器脱に対する経腟的アーム付きメッシュ留置術と、腹圧性尿失禁に対する中部尿道スリングおよび経腟的native tissue repair(自家組織修復)の比較では、術後の腹圧性尿失禁やその他のアウトカムについて有意差を認めなかった。
骨盤臓器脱および潜在性尿失禁の女性を対象とした手術
中部尿道スリングを併用する経腟的骨盤臓器脱手術は、併用しない場合に比べて腹圧性尿失禁や追加手術率を減少させる可能性が高い(5研究、369女性)。しかし骨盤臓器脱の再発、過活動膀胱、新規発症の過活動膀胱や排尿障害についてはほとんどあるいは全く差がない可能性がある。
腹圧性尿失禁を伴わない骨盤臓器脱の女性を対象とした手術
経腟的骨盤臓器脱の手術に中部尿道スリングを併用する場合を併用しない場合と比べて、新規発症の腹圧性尿失禁には差を認めない可能性がある(1研究、220女性)。
経腹的仙骨腟固定術にバーチ手術を併用する場合と併用しない場合をくらべて、腹圧性尿失禁が改善するかどうかは不明である(2研究、364女性)。
3~7年のフォローアップ期間において、メッシュ手術に比べnative tissue repair(自家組織修復)の経腟的骨盤臓器脱手術は腹圧性尿失禁をわずかに減少させる可能性がある(3件、417女性)。一方、経腟的メッシュ留置は骨盤臓器脱の再発を減少させる可能性がある(3研究、458女性)。
エビデンスの限界
エビデンスの質は中等度から低であった。主な限界として、手術のアウトカム評価に手術の種類が盲検化されていない研究があること、関心を持ったアウトカム全てを網羅していないこと、ほとんどの研究で参加者が少ないことがある。
エビデンスの更新状況
エビデンスは2025年7月現在のものである。
Baessler K, Christmann-Schmid C, Haya N, Mowat A, Chen Z, Wallace SA, Yeung E, Maher C
4 months ago
主なメッセージ
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新生児の臍帯断端に消毒薬のクロルヘキシジンを塗布することは、感染症のリスクを減少させる可能性が高く、低・中所得国においては死亡リスクも減少させる可能性がある。クロルヘキシジンは臍帯が脱落するまでの期間を1~2日間遅らせる可能性もある。
-
他の消毒薬(アルコール、スルファジアジン銀、ポピドンなど)についてのエビデンスは限定的で不明確である。
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高所得国においては、臍帯を清潔で乾燥した状態に保つことに比べて、消毒薬を利用することの明確な利益はなかった。消毒薬は臍帯の脱落を遅らせる可能性がある。
なぜ臍帯のケアが重要なのか
赤ちゃんが生まれると臍帯は切断され、小さなへその緒が残り、これは通常5~15日ほどで乾燥して自然に脱落する。この期間のこの部位で、赤ちゃんの皮膚や周囲の環境由来の細菌が容易に繁殖する。臍帯断端には死んだ組織が含まれているため、そこに細菌が繁殖し、周囲の皮膚に感染(
臍炎
と呼ばれる)を引き起こすことがある。時により、これらの細菌が赤ちゃんの血流に入り込み、全身に及ぶ重篤な感染症(
敗血症
)を引き起こす可能性がある。これは、特に衛生環境や医療へのアクセスが限られている地域では、命に関わる恐れがある。
知りたかったこと
消毒薬(細菌の増殖を防ぐ物質)を臍帯断端に塗布することが以下のリスクを減少させるか:
また、これらの影響が低所得国、中所得国、高所得国の間で異なるかを知りたかった。
実施したこと
クロルヘキシジン、70%アルコール、スルファジアジン銀、ポピドンヨードなどさまざまな消毒薬と、ドライケア(臍帯断端を清潔で乾燥した状態に保つこと)または同じ消毒薬を使用しないこととを比較したランダム化比較試験のエビデンスをレビューした。
これらの治療がどのように影響したかを評価した:
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新生児死亡(生後28日以内)
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臍帯断端の感染(臍炎)
-
臍帯脱落までの期間
研究の質を評価し、類似した研究の結果をメタアナリシスで統合した。また、感染リスクは状況によって異なるため、低・中所得国の研究と高所得国の研究を別々に分析した。
わかったこと
本レビューでは2013年版から9件を加えて18件の研究を対象とした。これらの研究は低所得国と高所得国の両方で実施され、143,150人の新生児が対象となった。
低所得国と中所得国でクロルヘキシジンを使用した場合:
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新生児死亡を減少させる可能性がある(1000出生あたり18人から15人へ)が、この効果は不確実である;
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臍帯感染を減少させる可能性が高い(1000出生あたり87人から62人);
-
臍帯脱落までの平均期間が約1.85日延長する可能性が高い。
高所得国でクロルヘキシジンを使用した場合:
低所得国と中所得国で70%アルコールを使用した場合:
高所得国で70%アルコールを使用した場合:
エビデンスの限界
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低・中所得国における臍帯感染予防のためのクロルヘキシジン使用に関するエビデンスの確実性は中等度である。これは研究の参加者がどの治療を受けたか知っていたことと、それぞれの研究の設定が異なっていたことによる。クロルヘキシジンが新生児死亡を減少させることについての確実性は低い。これは研究によって結果がばらつくこと、その効果はわずかな有益性から明らかな差がない程度にとどまっていることによる。クロルヘキシジンが臍帯の脱落をわずかに遅らせることに関する確実性は中等度である。
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高所得国におけるクロルヘキシジンの使用に関するエビデンスは非常に低く、これは試験が小規模な1件のみであったことによる。
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低・中所得国におけるアルコールの使用に関するエビデンスの確実性は非常に低い。アルコールが臍帯感染あるいは臍帯脱落までの期間に影響を与えるかどうかは、研究の対象となった赤ちゃんがほとんどいなかったため、不明である。
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高所得国において、アルコールが臍帯脱落をわずかに遅らせることに関する確実性は中等度である。一方、アルコールが臍帯感染を予防するか、新生児死亡に影響するかについては、アウトカムが研究されていないため明らかでない。
このレビューの更新状況
このサマリーは2025年12月時点で入手可能なエビデンスに基づいており、2013年に実施された前回のレビューをアップデートしたものである。
Imdad A, Medina M, Cooper C, Bhutta ZA, supported by the Cochrane Neonatal Review Group
4 months ago
要点
• スポーツ団体のプログラムは、人々の身体活動量を少し増やす効果があるだろう。
• スポーツ団体のプログラムは、人々が動かない(座って過ごす)時間にほとんどまたは全く影響を与えないかもしれない。一方、人々が果物や野菜を食べる量は増えるかもしれない。
• スポーツ団体のプログラムの影響で、人々が糖分の多い飲料やアルコール飲料を飲む量あるいは喫煙習慣が変わるかについては、エビデンスが非常に不確実なため、明らかではない。
健康的な行動とは何か?また、なぜそれが重要なのか?
慢性疾患は、世界中で多くの人々がかかり、亡くなる主な原因となっている。健康的な食事や適度な運動などの健康的な生活習慣によって、慢性疾患のリスクを減らすことができる。スポーツ団体は多くの国で人気があり、健康的な行動を促進したり、健康状態を改善したりするための効果的な手段となり得る。
知りたかったこと
スポーツ団体で行われているプログラムが、健康的な行動の促進や人々の健康増進に効果的かどうかを知りたかった。スポーツ団体の選手やその他のメンバー、コーチ、サポーター、小・中・高校生または大学生、選手の親その他を対象としたプログラムを調べることにした。
実施したこと
無作為に2つ以上のグループ、つまり健康増進プログラム群とそのプログラムに参加しなかった群(「対照」群)に割り当てられた人々を対象に、健康に関係する評価項目を比較した研究を検索した。対象とする研究の選定条件は、健康的な行動(身体活動や健康的な食事など)の促進、不健康な行動(飲酒や喫煙など)の抑制、あるいは体重や血圧、健康に関する知識などの評価項目の改善を目的としたプログラムを評価していることとした。
わかったこと
合計8,179人を対象とする20件の研究を特定した。ほとんどの研究は、スポーツ団体の成人会員やサポーターを対象としており、フットボール・クラブ(例:サッカー、アメリカン・フットボール、オーストラリア・フットボール・リーグ)で行われたものだった。14件の研究が、1つ以上の健康的または不健康な行動を対象とするプログラムを評価していた。20件の研究はすべて高所得国で行われていた。半数強(11件)の研究は男性だけを対象とし、1件の研究が女性だけを対象としていた。
主な結果
対照群の人々と比べて、スポーツ団体のプログラムに参加または関与した人々は、
• 身体活動量が、おそらく1日あたり7.4分相当増加した。
• 動かずに(座ったまま)過ごす時間は減らなかった可能性がある。
• より多くの果物や野菜を食べたかもしれない。
しかし、スポーツ団体のプログラムが、糖分の多い飲料やアルコールを飲む量、あるいは喫煙に影響したかは定かではない。
スポーツ団体のプログラムが、参加者に対して望ましくない、有害な影響を与えたかどうかについても、定かではない。予期せぬ悪影響に関する情報を報告したごく少数の研究では、結果はまちまちであった。
エビデンスの限界
このエビデンスに対する信頼度は、中程度から極めて低いものまであった。今後得られるエビデンスによって、結論が変わる可能性がある。信頼度を下げた主な要因は4つある。まず、一部の研究は特定の集団に焦点を当てていたが、このレビューで知りたかった問題はより広いものであった。例えば、主な評価項目(身体活動の増減や、果物、野菜、糖分の多い飲料の摂取状況など)に関するエビデンスの大部分は、過体重や肥満といった健康上のリスク要因を持つ男性や、サッカー等の男性サポーターを対象とした研究に基づいている。第二に、一部の研究では、被験者は自分がプログラムに参加しているかどうかを知っていた。他の研究では、被験者がプログラムへの参加を知っていたかどうかが明確に報告されていなかった。第三に、一部の評価項目については、研究間で結果に大きなばらつきが見られた。最後に、いくつかの研究は規模がかなり小さかった。
エビデンスはいつのものか?
エビデンスは、2024年5月までのものである。
Hodder RK, O'Brien KM, Al-Gobari M, Flatz A, Borchard A, Klerings I, Clinton-McHarg T, Kingsland M, von Elm E
4 months ago
要点
出産時の蘇生訓練の重要性
新生児は、出生時に蘇生(呼吸や心拍がない、あるいは不十分な場合に施される応急処置)を必要とする場合がある。正期産児の約10人に1人が呼吸を開始するために簡単な処置、皮膚の乾燥や刺激を必要とする。約20人に1人が呼吸の補助を含むさらなる支援を必要とする。さらに少数の新生児は、気管挿管、胸骨圧迫、緊急投薬といったさらなる集中的な処置を必要とする。赤ちゃんの健康状態によって、蘇生への反応の良しあしが影響される。例えば、早産で生まれた赤ちゃんは出産時に呼吸の補助やその他の救命処置など、医療的な助けが必要な可能性がより高くなる。
医師、助産師、看護師その他の医療従事者を対象とした新生児蘇生訓練プログラムにはさまざまなものがある。こうした訓練プログラムが新生児死亡を減少させたり、低酸素による脳障害や長期的な発達の問題を予防したりするかはまだ研究されていない。2015年のレビューでは、訓練後に新生児死亡が減少することがわかったが、脳障害や長期的な発達の問題に着目した研究はなかった。今回の更新では、新生児死亡率の低下を支持する新たな研究があるか、また脳障害や長期的な発達の問題について報告した研究があるかを知りたかった。
知りたかったこと
新生児蘇生訓練プログラムが生後24時間、生後7日間、生後8~28日間を含む28日以内の新生児死亡を低下させるか、脳障害や長期的な発達の問題の可能性を低下させるかについて明らかにしたかった。
実施したこと
医師、助産師、看護師ほか出産に関わる医療従事者向けの蘇生訓練に関する研究を検索した。新生児死亡およびまたは脳障害や発達上の問題について報告している研究を対象とした。新生児蘇生訓練プログラムと、訓練を行わないかごく基本の訓練のみを行う場合を比較した研究を検討した。また、新生児蘇生訓練プログラムのみを実施した場合と、リフレッシャー訓練(復習を目的とした訓練)などの追加要素を組み合わせた新生児蘇生訓練プログラムとを比較した研究についても検討した。
研究結果を比較して要約し、研究方法や規模などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
本レビューでは27件の研究(新生児528,366名)を対象としたが、個々の結果に寄与したのはそのうち1~4件の研究のみであった。
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資源の乏しい地域で行われた研究のエビデンスによると、訓練を受けない場合と比較して、新生児蘇生訓練は生後24時間および7日間の新生児死亡を低下させる可能性が高い。
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資源の乏しい地域で行われた研究のエビデンスによると、ごく基本的な訓練と比較して、新生児蘇生訓練は生後28日間の新生児死亡を減らす可能性があり、生後24時間および7日間の新生児死亡を低下させる可能性が高い。ごく基本的な訓練と比較して、新生児蘇生訓練は生後8~28日間の新生児死亡を低下させない可能性がある。
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リフレッシャー訓練を伴う新生児蘇生訓練が、生後28日間の新生児死亡に影響を与えるかどうかはエビデンスが不確実である。
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蘇生を受けた赤ちゃんについて、新生児蘇生訓練が脳障害や長期的な発達の問題を減少させるかどうかを調べた研究はなかった。
エビデンスの限界
エビデンスの質は中等度から非常に低かった。対象者や介入の方法が異なっていたため、エビデンスの信頼性は限定的である。また、それぞれの結果に対して対象者が少なく、研究の参加者が治療の方法について知っており、フォローアップの途中で脱落者がいた。多くの研究は資源の乏しい環境で行われているため、その結果は先進国のように資源が豊富な環境には当てはまらない可能性がある。
このレビューの更新状況
このレビューは、前回のレビューを更新したものである。エビデンスは、2025年6月現在のものである。
Dempsey E, Joyce R, Neveln N, Fiander M, Barrington KJ, Pammi M, supported by the Cochrane Neonatal Group
4 months ago
要点
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子宮内膜に傷をつけることが、体外受精により児を得ることに影響するかどうかは明らかでない。現在のエビデンスは、効果がないあるいはわずかに可能性を高めると示している。
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同様に、子宮内膜に傷をつけることが体外受精による妊娠の可能性に影響するかどうかは明らかでない。現在のエビデンスは、体外受精による妊娠の可能性を高める、影響しない、低くするのいずれもありうると示している。
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子宮内膜の損傷は、体外受精後の流産のリスクには影響しない可能性がある。
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損傷が1回か2回かによって、生児の出産、妊娠の成立、または流産に影響するか否かは明らかでない。
体外受精(IVF)とは?
体外受精とは、妊娠が難しいカップルを対象とした不妊治療である。体外受精では、女性から卵子を採取し、培養室で精子と受精させて胚を作る。胚は、着床することを期待して子宮に移植される。着床とは、胚が子宮内膜の中に入りこむことで、これが妊娠成立の第一歩となる。
子宮内膜損傷とは何か?
子宮内膜の損傷は、体外受精(IVF)周期前に実施できる任意の処置である。この処置では、細いプラスチック製のチューブを子宮内に挿入し、子宮内膜に小さな傷(「スクラッチ」と呼ばれる)を作る。この処置を胚移植の前に実施することで、着床の可能性が高まることが示唆されている。
知りたかったこと
体外受精・胚移植を受ける女性が子宮内膜損傷(またはスクラッチ)を受けることが、処置を受けない場合や偽の処置と比較して、安全かつ有効かを明らかにしたかった。
実施したこと
子宮内膜損傷が、処置を行わない場合や偽処置と比較して、生児の出産や妊娠といった体外受精の主要なアウトカムに及ぼす影響を調査した研究を検索した。流産、多胎妊娠、痛み、出血など、望ましくない影響が生じるかどうかを検討した。
また、1か所の損傷と2か所の損傷を比較した研究も対象に含めた。
本研究では、質の高い研究(ランダム化比較試験)のみを対象とした。十分に類似したすべての対象研究の結果を統合し、子宮内膜の損傷が各アウトカムに及ぼす影響を検討した。研究結果をまとめ、研究方法や規模などの要素に基づいて、エビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
24件の研究(女性7,234名)を対象とした。これらの研究はそれぞれ非常に異なっており、対象となった女性の集団や、使用した医療器具、体外受精の周期に対する処置のタイミングなど処置についてもさまざまであった。多くの研究は質が低かったため、結果の信頼性は低い。したがって、主要な分析には質の高い研究のみを用いた。24件の研究のうち、主要な分析に含めたのは8件(女性4,402名)のみであった。
子宮内膜の損傷が体外受精による出産の可能性に影響を与えるかどうかは明らかではない。体外受精で赤ちゃんを授かる確率が通常約27%だとすると、体外受精の前に子宮内膜を傷つけた場合の赤ちゃんを授かる確率は、27%~32%になる。同様に、妊娠についてもエビデンスは明らかでなかった。体外受精で妊娠する確率を約32%とすると、体外受精の前に子宮内膜を傷つけた場合の妊娠の確率は31%~37%になる。子宮内膜の損傷は、体外受精による流産には影響を与えない可能性がある。
子宮内膜を傷つける処置では、軽度から中程度の痛みがあり、腟からの出血が少量認められるが、長くは続かない。
2件の研究(女性40名)が1回の損傷と2回の損傷について影響を比較していた。潜在的なバイアスの懸念、研究規模の小ささ、および特異的な女性にのみ焦点をあてていることから、このエビデンスにはほとんど信頼性がない。したがって、体外受精前の処置が1回である場合と2回である場合を比較して、体外受精による出産の可能性、妊娠成立、流産に影響があるかは不明である。
エビデンスの限界は何か?
対象とした多くの研究において、参加者と研究スタッフは参加者がどちらの群に割り当てられたか知っていた。また、適切に登録されていない研究が含まれており、どんなアウトカムを報告するかについてのバイアスがあった懸念が生じた。不自然な被験者募集率や、それぞれのアウトカムに対する一貫性のない結果報告など、潜在的なバイアスの兆候を示す研究もあった。
このような問題がない研究に限定して主要な分析を行った。研究の質を問わず全ての研究を対象とした分析を行ったところ、子宮内膜の損傷が妊娠と生児の出産の可能性を高める可能性が示唆された。しかし、これらの研究にはバイアスが生じている可能性があるため、この結果に対する信頼性が低い。
エビデンスの更新状況
本レビューは2021年のコクランレビューの更新版である。本エビデンスは2025年12月現在のものである。
Perera AK, Gan J, Afroz A, Armstrong S, Raine-Fenning N, Martins WP, Lensen SF
4 months ago
要点
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針を使う処置を受ける際、ショ糖(砂糖水)を与えられた新生児は、何も与えられなかった場合や通常のあやす手段をとられた場合に比べて処置中や直後の痛みが和らぐ可能性が高い。
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ショ糖はおしゃぶりよりも痛みを和らげる効果があるようだ。肌と肌の触れ合いによるケア(スキン・トゥ・スキンケア)と比較した場合のショ糖の効果について、良質なエビデンスは得られていない。
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吐き気や無呼吸(一時的な呼吸停止)などの有害な副作用について報告された研究はなかった。
ショ糖鎮痛とは?
ショ糖とは砂糖のことである。水に溶かして、ごく少量を新生児の鎮痛のために使用することができる。採血や治療のために静脈に針を刺す約2分前およびまたは直前に、赤ちゃんの舌にショ糖を垂らす。
入院中の新生児における痛みの緩和の重要性
入院中の早産児や正期産児は投薬や診断のため、多くの痛みを伴う処置を受ける。痛みは新生児にさまざまな影響を及ぼす。これは身体の発育不良や脳の発達に影響しうる。したがって、赤ちゃんが成長する過程で健康を守るためには、痛みをできるだけ軽減することが重要である。
何を明らかにしたかったのか?
新生児における針を使う処置の間および直後の痛みを和らげるために、ショ糖がどの程度有効か調べたかった。ショ糖が、おしゃぶり、母乳、母親や父親の肌に密着して抱かれること(スキン・トゥ・スキンケア)といった他の鎮痛手段に比べてどのような効果があるか知りたかった。また、ショ糖に有害な影響があるか調べたかった。
何を行ったのか?
ショ糖の鎮痛効果を、母乳、おしゃぶり、抱っこなど他の方法と比較して検討した研究を検索した。結果を要約し、治療された乳児の数や研究方法の質などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
2764人の新生児を対象とした29件の研究を同定した。これらの研究では、異なる用量と投与方法でショ糖が使用されていた。これらの研究は世界的に実施された。多くはアジアで、そのほかヨーロッパ、北米、南米で行われた。全ての研究がランダム化比較試験であり、乳児は2つ以上の治療群にランダムに割り付けられた。これは、研究グループが類似していることを確実にし、誰がどのグループに属しているかを治験責任医師と両親が知らないようにする最善の方法である。いずれの研究も製薬業界からの支援を受けていなかった。
主な結果
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ショ糖は、鎮痛措置を施さない場合(水などを与える場合)と比較して、注射針の挿入中および直後(30秒から1分間)の乳児の痛みを軽減する可能性が高い。
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処置中の痛みに関しては、ショ糖はスキン・トゥ・スキンケアと比べて、ほとんど、あるいは全く差がない可能性がある。
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授乳に比べ、ショ糖は針を刺す際の痛みを和らげる可能性が高い。
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ショ糖(おしゃぶりと併用)は、おしゃぶりのみの場合と比較して、針の挿入中および直後(30秒から2分間)の痛みを軽減する可能性が高い。
対象とした比較項目について、有害な影響を報告した研究はなかった。
エビデンスの限界は何か?
ショ糖群と非介入群または水群の比較
介入を行わない場合と比較して、ショ糖が痛みを軽減する可能性が高いことについて、確実性は中等度である。一方、研究に参加した人々が、赤ちゃんが受けた治療の種類に気づいていた可能性があり、また研究の対象となった赤ちゃんの数は少なかった。
ショ糖とスキン・トゥ・スキンケアの比較
2つの研究で報告された結果が大きく異なっていたため、ショ糖がスキン・トゥ・スキンケアよりも痛みを軽減することについては確実でない。この知見が、今後の研究によって変わる可能性は高い。
ショ糖と母乳の比較
ショ糖は母乳よりも痛みを軽減する可能性について、確実性は中等度である。しかし、この研究では、その実施方法の詳細が明確に報告されていなかった。
ショ糖とおしゃぶりの比較
おしゃぶりとショ糖を併用した方が、おしゃぶりだけの場合よりも痛みを軽減する可能性について、確実性は中等度である。各研究では、ショ糖の投与方法(投与量、投与方法、おしゃぶりを併用するか否かなど)が異なっていた。
エビデンスはいつのものか?
エビデンスは2024年7月現在のものである。
Bueno M, Candido L, Hu J, Fiander M, Cracknell J, Xu E, Kang J, Yamada J, Supported by the Cochrane Neonatal Group
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12 hours 51 minutes ago
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