Latest Japanese Reviews

がんによる疲労を軽減するには、有酸素トレーニングと筋力トレーニングのどちらが効果的か?

1 year 2 months ago
がんによる疲労を軽減するには、有酸素トレーニングと筋力トレーニングのどちらが効果的か? 主なメッセージ - がんによる疲労、ウェル・ビーイング(心身および社会的にも良好な状態)および副作用に対する、有酸素および筋力トレーニングの影響についてのエビデンスは非常に不確かである。小規模な研究がいくつかあるのみである。 - ある特定の運動が他の運動より優れているかどうかを判断するには、もっと研究が必要である。研究には、さまざまな種類のがんや治療法も含まれるべきである。 がんによる疲労とは? がんによる疲労とは、極度の疲労感が長時間続くことである。がんやがん治療、もしくはその両方に関連している。心身の両方に影響を及ぼし、日常生活が困難になることもある。がんによる疲労は、通常の疲労よりもずっとひどく、睡眠や休息を多くとっても解消されることはない。 調べたかったこと がんによる疲労の治療と予防、ウェル・ビーイング(生活の質としても知られている)、副作用に与える影響ついて、有酸素トレーニングと筋力トレーニングの間に違いがあるかどうかを調べたかった。有酸素トレーニングには、ウォーキング、ランニング、水泳、サイクリングなどの運動が含まれ、筋力トレーニングには、自重トレーニング(自分の体重を負荷として行う運動)、重りや伸縮性のあるバンドを使った運動が含まれる。 実施したこと さまざまな種類のがん患者に...

統合失調症がある人にとって、移行期の退院ケアにはどのような利益があるのか?

1 year 2 months ago
統合失調症がある人にとって、移行期の退院ケアにはどのような利益があるのか? 要点 - 移行期の退院ケア(入院から地域社会への移行を支援する介入)は、入院や生活の質(QOL)にほとんど差はなく、日常生活での機能向上や退院時の治療への満足度を改善する可能性があるが、その結果については非常に不確かである。 - 移行期の退院ケアプログラムの運営費用に関する結果については結論が出ておらず、再発(新たな精神衛生上の危機)や望ましくない影響に関する情報もない。 - 統合失調症や統合失調症に関連した障害を持つ人々が、病院から地域社会へ移行する際に、どのように支援すればよいかを調査するために、さらなるより良い研究が必要である。 統合失調症とは? 統合失調症は、幻覚(現実のように見えるが、心の中にしか存在しないものを聞いたり、見たり、嗅いだり、味わったり、感じたりすること)や妄想(事実でないことを強く信じること)などの衰弱した症状が現れ、生活の質(QOL)が低下する、持続性のある重度の精神疾患である。統合失調症関連障害がある人には、統合失調症に似た症状がある。この病気はさまざまで、その時々によって症状が異なり、しばしば治療のために入院が必要になる。 統合失調症や統合失調症関連障害のある人が退院するとどうなりますか? 統合失調症や統合失調症に関連した障害を持つ人は、健康状態を改善するために入院し、その...

業務のために非公式に個人の携帯電話を利用することについての医療従事者の見解、経験、および実践はどのようなものか?

1 year 3 months ago
業務のために非公式に個人の携帯電話を利用することについての医療従事者の見解、経験、および実践はどのようなものか? 要点 ・ 医療従事者は、医療システムのギャップを埋めるために、非公式に個人の携帯電話を使用することがある。 • 調査結果は、個人の携帯電話の利用は医療従事者の業務をより効率的に行うのに役立つことを示唆している。また、患者や医療従事者のニーズにより迅速に対応できるようにもなる。 • しかし、患者や医療従事者にとって問題を引き起こす可能性や、医療システムを弱体化させる可能性もある。 非公式な携帯電話の使用とは何か? 医療従事者は、業務中の個人の携帯電話の使用に対する正式な規定がない場合であっても、個人の携帯電話を使用することがある。これは、職場のシステムに効果的で利用しやすい情報共有手段がない場合に、医療従事者の業務に役立つ可能性があるものの、しかし、新たな問題を引き起こす可能性もある。 何を調べようとしたのか? 医療従事者の業務を補助するための個人の携帯電話の非公式な使用について評価を行うことを試みた。 何を行ったのか? 医療従事者の職場における個人の携帯電話の使用に関する見解、経験、および実践に関する研究を検索した。その結果を分析し、レビューの結果の信頼性について評価を行った。 何を見つけたのか? 2013年から2022年の間に発表された合計30件の研究を見つけた。こ...

妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果

1 year 3 months ago
妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果 要点 鉄のサプリメントを毎日摂取している女性は、プラセボを摂取している女性や鉄を補充していない女性と比較して、出産予定日前後の出産時に貧血や鉄欠乏が減少する可能性がある。 本レビューのエビデンス(科学的根拠)から、鉄の補充が女性とその児のその他の転帰に与える影響については、あまり定かではない。 貧血とは何か? 貧血とは、赤血球の数が通常より少ない状態、または赤血球1つ1つに含まれるヘモグロビン(血液中に含まれる赤い物質で、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ)の量が少ない状態のことである。鉄欠乏が貧血の主な原因であり、葉酸やビタミンB 12 などの微量栄養素の欠乏も貧血の原因となる。妊婦が貧血になったり、鉄やその他の栄養素が不足したりすると、その栄養分を十分に胎児に供給できなくなる。女性の鉄および葉酸の低値により貧血を生じる可能性があり、そのため女性は疲労を感じ、失神を起こし、感染症のリスクが増大する可能性がある。 知りたかったこと 妊婦が鉄のサプリメント(単独、または葉酸や他のビタミン、ミネラルとの併用)を毎日摂取することが、妊婦と胎児の健康と栄養を改善するかどうかを検証したいと考えた。 実施したこと 妊娠中の毎日の鉄の補充(単独、または葉酸や他のビタミン・ミネラルとの併用)の効果を調査した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方...

心臓発作(急性心筋梗塞)に対して、骨髄から採取した幹細胞を心臓へ移植する治療は、安全かつ効果的な治療法か?

1 year 3 months ago
心臓発作(急性心筋梗塞)に対して、骨髄から採取した幹細胞を心臓へ移植する治療は、安全かつ効果的な治療法か? 要点 - 幹細胞による治療は、急性心筋梗塞の臨床成績の改善にはつながらない。 - 幹細胞による治療は、急性心筋梗塞の治療期間中に有害事象を引き起こすことはほとんどない。 急性心筋梗塞が引き起こす問題は何か? 急性心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に血液を供給する動脈の閉塞によって引き起こされる。新しい治療法が進歩しているとはいえ、急性心筋梗塞を起こした人の多くは心臓の機能が低下し、余命も短くなる。 急性心筋梗塞はどのように治療されているのか? 現在の急性心筋梗塞に対する標準的な治療法は、経皮的冠動脈形成術(PCI)である。小さな風船を用いて閉塞した動脈を再び開き、ステントと呼ばれる小さな管を挿入して動脈の開通状態を維持する方法である。 どのような治療法が研究されているのか? 骨髄由来細胞は、損傷した心筋を修復する能力があることから、心臓発作の追加治療として研究されており、心臓の損傷に関係する血液中の化学物質や、心機能を測定する画像検査などの結果に有益な効果が見られることがわかっている。しかし、死亡や再入院、または別の重大な心臓疾患(脳卒中や他の心臓発作など)を起こす可能性といった重要な臨床成績に影響を与えるかどうかについてはわかっていない。 何を調べようとしたのか? すべての研...

アトピー性皮膚炎に対する外用薬(皮膚に直接塗る薬)の比較

1 year 3 months ago
アトピー性皮膚炎に対する外用薬(皮膚に直接塗る薬)の比較 要点: 強力な副腎皮質ステロイド外用薬(以下ステロイド)、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬、タクロリムス0.1%(いずれも免疫系を抑制する薬剤)は、アトピー性皮膚炎の徴候や症状を軽減するのに一貫して有効である。 灼熱感(ほてり感)や刺激感(ヒリヒリ感)などの望ましくない効果(副作用)は、タクロリムス、ピメクロリムス、クリサボロールでより起こりやすく、ステロイドでは起こりにくい;皮膚が薄くなるなど、他の副作用は、強力なステロイドを長期使用(長期塗布)した場合にのみ起こりやすい。 アトピー性皮膚炎に対する抗炎症外用薬の長期的な有効性と安全性については不確実であるため、製品の入手可能性、費用面、個人の優先事項など、他の要因も考慮するべきである。 何を調べたかったのか? アトピー性皮膚炎は、(現在のところ)治らないとされている炎症性の皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎の症状を軽減するとされているさまざまな皮膚に直接塗る(外用)抗炎症治療薬(抗炎症外用薬)を比較した。アトピー性皮膚炎がある人に対して最も有効性が高くかつ最も安全な抗炎症外用薬を見つけたかった。 実施したこと 年齢や湿疹の重症度を問わず、アトピー性皮膚炎の人が参加したランダム化試験を対象とした。外用治療(塗り薬)は少なくとも1週間使用する必要があり、他の抗炎症治療または無治...

SARS-CoV-2感染者の死亡率や重症・重篤な新型コロナウイルス感染症への悪化の予測において、ルーチンの臨床検査はどの程度正確か?

1 year 3 months ago
SARS-CoV-2感染者の死亡率や重症・重篤な新型コロナウイルス感染症への悪化の予測において、ルーチンの臨床検査はどの程度正確か? ルーチンの臨床検査とは何か? ルーチンの臨床検査とは、患者の健康状態に関する情報を提供する、一般的に行われる一連の血液検査である。これらの検査は、病気の特定や健康状態のモニターに使用することができる。 知りたかったこと 外来や救急外来を受診した患者の中から、重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症したり死亡したりするリスクの高い患者を特定することが重要である。それらは、臨床医が患者に入院が必要かどうかを判断する際に役立つ。SARS-CoV-2の感染が確定診断された患者において、ルーチン検査が死亡率や悪化の予測に十分正確かどうかを知りたかった。 実施したこと SARS-CoV-2が確認された患者において、ルーチンの臨床検査が死亡率や悪化をどの程度予測できるかを評価した研究を検索した。世界中のあらゆる場所で行われた、どのようなデザインの研究も対象とした。年齢、性別は問わない。 わかったこと 53種類の異なるルーチンの臨床検査を対象とした64件の研究が見つかった。これらの研究では、ルーチンの臨床検査が死亡率、悪化、あるいはその両方をどの程度予測できるかを評価していた。合計71,170人の患者が対象となり、そのうち8,169人(11.5%)...

HIV感染者が禁煙をするためのさまざまな方法は、どの程度効果的で、有害事象を引き起こすのか?

1 year 3 months ago
HIV感染者が禁煙をするためのさまざまな方法は、どの程度効果的で、有害事象を引き起こすのか? 要点 - バレニクリン(ニコチンへの欲求を抑える薬)は、プラセボ(偽薬)と比較すると、タバコを吸うHIV感染者の禁煙を6か月以上助ける可能性が高く、重篤な有害事象のリスクを増加させない可能性がある。 - 禁煙するのに使われている他の方法が、HIV感染者の6か月以上の禁煙に役立つかどうかは、十分な情報が得られなかったのでわからない。 - 今後の研究では、より大規模で、重篤な有害事象に関する情報を提供する必要がある。 なぜHIV感染者のタバコ使用が問題なのか? 世界中のHIV感染者の多くが、タバコ、つまりタバコの葉およびその製品を、喫煙する、噛む、吸い込む、嗅ぐことで使用している。タバコの使用はさまざまな健康問題を引き起こし、多くの死者を出しているが、人はタバコに含まれるニコチンによって中毒になり、禁煙することが難しくなる。HIV感染者の喫煙率は一般集団人口の約4倍である。残念なことに、有効なHIV治療が受けられるようになっても、HIV感染者は喫煙が原因で約12年間の人生を失う可能性があり、これはHIV感染そのものが原因で失われる可能性のある年数の2倍以上である。 HIV感染者はどうすればタバコを止められるのか? タバコの使用を止めるのに使われる方法には、ニコチン置換療法(NRT)、バレニク...

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は成人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する有効かつ安全な治療法か?

1 year 3 months ago
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は成人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する有効かつ安全な治療法か? 要点 - 成人において、rTMSはおそらくプラセボrTMS(偽刺激)と比較して、治療終了時までにPTSD症状の重症度を軽減させない。しかし、これらの結果は、治療の実施方法に大きなばらつきがあったことと、参加者の数が少なかったことにより、限定的なものであった。 - PTSDに対するrTMSの研究では、重篤な有害事象が起こることはまれであった。 - 成人のPTSDに対するrTMSについて、さらなる研究が必要である。今後の研究で、有害事象についてより詳細に報告され、PTSDの重症度を評価するために治療後に参加者をより長く追跡調査することができれば有益であろう。 心的外傷後ストレス障害とは何か? 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、心的外傷を伴う出来事に遭遇した後に発症する、苦痛や障害を伴う症状を特徴とする精神疾患である。PTSDを治療せずに放置すると、PTSDがある多くの人は何年も苦しむことになる。 PTSDはどのように治療されるのか? PTSDには薬物療法や精神療法などいくつかの治療法がある。しかし、既存の治療法では脱落率が高く、これは治療への忍容性に問題があり、症状が続く可能性があることを示唆している。PTSDにはより効果的な治療法が必要である。反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)...

ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか?

1 year 3 months ago
ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか? 要点 妊娠中のビタミンD補充は、妊娠中の女性およびその児の特定の健康状態を改善し、妊娠の有害転帰のリスク(危険)を低減するのに役立つ可能性がある。 {1>公衆衛生への影響<1} 妊娠中のビタミンD不足は、妊娠中の女性およびその児の健康合併症と関連している。このような合併症を予防する上で、妊娠中のビタミンD補充は必要であると考えられている。 何を調べようとしたのか? 妊娠中のビタミンD補充が、妊娠中の女性およびその児の特定の健康結果(早産や低出生体重児の減少など)を安全に改善し、妊娠の有害転帰(過度の出血など)のリスク(危険)を減少させるかどうかを評価すること 本レビューで行ったこと 本レビューは2012年に初版が発表され、その後2016年と2019年に更新されたレビューの最新版である。妊娠中のビタミンD補充について、単独またはカルシウムや他のビタミン・ミネラルとの併用で、プラセボまたは介入なしと比較した臨床試験を検索した(2022年12月)。各研究の信頼性を評価するツール を用いて検証した。 研究の結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、情報の信頼性を評価した。 何を見つけたのか? 本レビューの旧版には30件の研究が含まれていた。今回の更新では、これらの研究のうち20件を「分類待...

胃管の位置を確認するのに、超音波検査単独または他の方法との併用は有用か?

1 year 4 months ago
胃管の位置を確認するのに、超音波検査単独または他の方法との併用は有用か? 要点 - 胃管の適切な位置を確認するために超音波検査がX線検査に代わる有望な方法であるかどうかは不明である。 - 誤った位置に留置された管を特定する超音波検査の精度を見極めるには、さらなる研究が必要である。 胃管とは何か?なぜ使用されるのか? 食道は、口と胃をつなぐ筋肉でできた管である。うまく飲み込めない場合は、鼻や口から胃管を挿入して、薬や流動食を直接胃に入れることがある。食道は、肺に空気を送る気管に非常に近いため、注意が必要である。胃管の位置がずれて食べ物や薬が気管に入ると、肺に重度の感染症(肺炎と呼ばれる)やその他の合併症を引き起こす可能性がある。それゆえ、胃管を挿入した後にそのチューブが胃内に正しく留置できているかの確認は重要である。正しい位置に留置できたかどうかは、通常X線検査で確認される。 胃管留置の確認において、X線検査から超音波検査に置き換えることがなぜ重要なのか? 超音波は、音波を使って体内の画像を作成する画像診断技術である。特に資源が限られている場所では、X線検査よりもアクセスしやすく、便利かもしれない。 知りたかったこと 胃管留置の確認における超音波検査の精度を調べ、超音波検査が標準的な方法としてX線検査に取って代わる可能性を評価したいと考えた。 実施したこと 胃管留置の確認における超...

天然歯またはインプラント周囲の歯周病に対する標準治療と抗菌的光線力学療法の併用

1 year 4 months ago
天然歯またはインプラント周囲の歯周病に対する標準治療と抗菌的光線力学療法の併用 要点 成人の歯周病患者に対し、抗菌的光線力学療法(aPDT)を標準治療に追加することが、標準治療のみと比較して有意に効果的であるかどうかについては、結論が出なかった。 天然歯やインプラント周囲の歯周病とは何か? 歯周病の症状には、歯肉からの出血、歯肉の腫れ、口臭などがある。感染によって歯の周囲の軟組織が損傷し、場合によっては歯を失うこともある。また、インプラント(顎骨に固定された人工の歯)を入れている場合は、インプラント周囲の炎症を患うことがある。 歯周病はどのように治療されているのか? 1日2回のブラッシングと定期的なデンタルフロスの使用、それに加えて、歯科医師による治療が必要な場合がある。標準的な歯周病治療には、感染部位から手用器具や電動器具を使って細菌を除去することが含まれる。また、抗菌薬を服用しなければならない場合もあるが、抗菌薬に対する耐性菌が増えているため、別の治療法が有効な場合もある。 抗菌的光線力学療法(aPDT)とは、光吸収色素(細菌を除去した後、口腔内の患部に塗布される)と光源(通常は低エネルギーのダイオードレーザーが使用される)を組み合わせたものである。 何を調べようとしたのか? 歯周病患者に対して、標準治療にaPDTを追加することが、標準治療単独よりも効果的であるかどうかを明ら...

骨修飾薬は早期乳がんまたは局所進行乳がんを患う女性の骨量減少を抑えるのに有効か?

1 year 4 months ago
骨修飾薬は早期乳がんまたは局所進行乳がんを患う女性の骨量減少を抑えるのに有効か? 要点 ‐骨吸収を遅らせる薬(骨修飾薬)を投与すると、骨を強くするのに役立ち、骨折の可能性が低くなると思われるが、望ましくない作用を起こすこともありうる。 ‐どの治療薬にもそれぞれの利点と欠点があるため、どれが最良の選択肢か判断するのは難しい。 ‐これらの薬剤を相互に直接比較する、より多くの研究が必要である。 骨量減少とは何か、そしてなぜそれががん患者に起きるのか 骨量減少とは新しく形成される骨より多くの古い骨が破壊され、(骨代謝の)バランスが崩れることを意味する。ビスホスホネート製剤またはデノスマブと呼ばれる骨修飾薬は骨吸収を遅らせるため、役立つ可能性がある。乳がんを患う女性は特に、がんの治療により骨が弱くなって骨量が減少しがちなため、骨折しやすい。 調べたかったこと ここで明らかにしたかったのは、乳がんを患う女性の骨量減少を抑えるにはどの薬が最も有効か、また望ましくない作用があるかである。これらの薬について、以下のことを調べたかった。 ‐骨を強くするか(「骨密度」) ‐患者の日常生活における身体の感覚や機能を改善するか ‐骨折する可能性が低くなるか ‐患者の余命を延ばすか ‐顎骨の損傷(「顎骨壊死」)や腎機能低下のような望ましくない作用があるか 実施したこと 早期乳がんまたは局所進行乳がんに伴う骨...

高齢者の不安障害および関連障害に対する認知行動療法と第三世代アプローチ

1 year 4 months ago
高齢者の不安障害および関連障害に対する認知行動療法と第三世代アプローチ 認知行動療法(CBT)は、不安障害のある高齢者に対し、最小限の管理や他の心理療法よりも効果があるのか? 要点 - 認知行動療法(CBT)は、最小限の管理と比較して、治療直後の不安の重症度を軽減する可能性があることを示すエビデンスがある。しかし、不安の重症度の軽減は持続しない可能性があり、6か月後には治療法による差が認められないこともある。 - エビデンスが不足しているため、CBTが他の心理的治療と比較して効果が高いか低いかはわからない。 - 不安の問題を有する高齢者が、CBTを受けて完全に回復するか、あるいは症状の改善を示すかどうかを明らかにするには、より大規模で十分にデザインされた研究が必要である。 不安障害のある高齢者に対する認知行動療法とはどのようなもので、なぜ重要なのだろうか? 不安障害は、高齢者によくみられるメンタルヘルスの問題である。不安障害は、通常の状況や通常の活動中に、過度の恐怖、心配、緊張を感じることが特徴である。不安障害のある人は、心臓のドキドキ、発汗、震え、吐き気、呼吸困難などの身体症状を経験する。その結果、不安障害がある人は通常、このような過剰で圧倒的な恐怖を経験する状況や活動を避けようとする。不安障害は日常生活や正常な機能を妨げる。 全般性不安障害(GAD)は、特に心配する理由はない...

統合失調症がある人に対するハロペリドールとオランザピンとの比較

1 year 4 months ago
統合失調症がある人に対するハロペリドールとオランザピンとの比較 要点 この2種類の薬に利益の点で差があるかどうかは、非常に不確かである。 オランザピンは、全般的な精神状態(行動、気分、思考、知覚など)を改善するという点で若干の利点があり、生活の質(QOL)の点でも利点があるかもしれない。 オランザピンでは体重が増加しやすく、ハロペリドールでは運動障害を起こしやすい。ハロペリドールを服用している人は、服薬を中止する可能性がより高い。 ハロペリドールとオランザピンのどちらかを選択する場合、考慮に入れるべき要素は、その人の嗜好、体重の増減傾向などの特徴、薬物療法の経験である。 統合失調症とは? 統合失調症がある人は、しばしば他の人には聞こえない声を聞いたり、他の人には見えないものを見たり、他の人にはない信念を持ったりする。また、非常に疲れやすく、興味がなく、感情を感じにくくなることもある。このレビューは重要である。なぜなら、統合失調症は重度の精神疾患であり、生涯に診断される確率は約1%だからである。 ハロペリドールとオランザピンとは何か? ハロペリドールは、統合失調症の治療に何十年も使われてきた。今でも最もよく処方される治療のひとつであり、明確な利益がある。また、特に高用量では、落ち着きのなさ、制御不能な体の揺れ、震え、こわばりなどの副作用もある。オランザピンは、比較的新しい薬である。...

小児における歯のフッ素症の原因としてのフッ化物局所応用

1 year 5 months ago
小児における歯のフッ素症の原因としてのフッ化物局所応用 小児期におけるフッ化物局所応用は斑状歯の形成と関連するか? 要点 高いフッ化物濃度(1,000ppm以上)の歯磨剤を1~2歳の小児に使用することは、永久歯の歯のフッ素症(斑状歯や変色歯)のリスクの増加と関連しているといういくつかのエビデンスがある。 しかし、小児が歯磨きを開始する時期、使用する歯磨剤の量、歯磨きの頻度など、永久歯のフッ素症のリスクに関しては、決定的なエビデンスはない。 歯のフッ素症(斑状歯)とは何か? これまでの研究で、フッ化物を含む歯磨剤がう蝕を予防することが示されている。しかし、歯の発育期にフッ化物を過剰に摂取した小児は、永久歯に歯のフッ素症を発症する可能性がある。歯のフッ素症は、永久歯に白い縞や筋、不透明な大きな斑点、褐色の変色、穴、もしくは破折として見られることがある。 何を調べようとしたのか? 今回のレビューの更新では、幼児期における局所フッ化物塗布が永久歯のフッ素症と関連するかどうかを明らかにするために、より多くの適切にデザインされた研究が近年発表されているかどうかについて調査した。 何を行ったのか? 小児におけるさまざまな局所的フッ化物への曝露(歯磨きを開始した年齢、歯磨きの頻度、歯磨剤のフッ化物濃度など)と永久歯のフッ素症リスクとの関連を評価した研究について検索を行った。研究結果を比較、要約し...

生殖補助医療を受ける女性に対するアンドロゲン(デヒドロエピアンドロステロンまたはテストステロン)

1 year 5 months ago
生殖補助医療を受ける女性に対するアンドロゲン(デヒドロエピアンドロステロンまたはテストステロン) 要点 生殖補助医療(ART)、すなわち体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)を受けている女性で、反応不良と判定された場合は、テストステロンによる前治療または併用療法を考慮すべきである。 レビューの論点 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とテストステロンは、アンドロゲンとして知られるホルモンである。何年もの間、妊娠の可能性を高めるために、これらの合成ホルモン剤がART治療の前に使用されてきた。アンドロゲンは、卵子の数を増やし質を向上させることにより、生児出産の可能性を高めると考えられている。 重要である理由 アンドロゲン(DHEAとテストステロン)は、ARTの補助治療として医師によって処方されることが多く、その使用は患者から要望されている。アンドロゲンの前治療または併用療法がARTの治療成績を改善するかどうかについては、質も結果も異なる多くの研究が行われてきた。 何を調べようとしたのか? 私たちは、補助治療としてのアンドロゲン(DHEAまたはテストステロン)が、プラセボ、無治療、または改善を目指した他の積極的治療よりも優れているかどうかを調べたかった: - 生児出産率/妊娠継続中(「生児出産」とは、妊娠20週以降の出生(死産を含まない)、「妊娠継続中」とは、12週以...

双極性障害にみられる身体活動に影響を及ぼす要因

1 year 5 months ago
双極性障害にみられる身体活動に影響を及ぼす要因 要点 双極性障害の人が身体活動に参加するにあたって影響を受ける要因を調べた研究はわずかしかなかった。見つかった研究では、双極性障害の人にとって定期的な身体活動が有益であることが示唆されたが、活動的であることを奨励する効果的な方法だけでなく、いくつかの障害や課題もある。 この統合の目的 この質的エビデンス統合の目的は、双極性障害の人に身体活動を促す要因を探ることである。双極性障害がある人、医療専門家、家族や介護者の視点からの意見や経験に関する質的研究を検索し、分析した。合計592人(オンライン調査に質的データを提供した422人、質的研究から170人)が参加した12件の研究を対象とした。 このエビデンスの統合で検討したこと 双極性障害がある人の多くは身体の健康に問題を抱えており、身体活動を増やせば心身の健康改善に役立つ可能性がある。双極性障害の身体活動促進を目的として、サービス利用者、医療専門家、家族や介護者から意見を求めた質的研究(参加者の経験、信念、行動を収集する研究)を検討した。レビュー著者らはメンタルヘルスと身体活動の分野で働く研究者かつ医療専門家、またはそのいずれかであり、この分野で発表された研究が少ないことから、このレビューテーマを扱った。 本レビューの主な結果 欧州、北米、南米、オーストラリアで行われた12件の研究を対象と...

医療的に複雑な子どもたちのための包括的ケア・プログラム

1 year 5 months ago
医療的に複雑な子どもたちのための包括的ケア・プログラム 本レビューの目的 このコクランレビューの目的は、医療的複雑性を持つ子どもたちにケアコーディネーションやその他のサービスを提供する包括的ケアプログラムが、このグループの子どもたちとその家族の結果(評価項目)を改善するかどうか、また医療サービスの利用と費用に影響を与えるかどうかを明らかにすることである。 要点 医療的複雑性を持つ子どもたちのための包括的ケアプログラムに関する研究は限られており、調査結果は慎重に扱われるべきである。 包括的ケアプログラムは、提供されたケアに対する子どもと家族の満足度を高めるかもしれない。しかし、子どもや親の健康、機能、生活の質(QOL)を向上させるかどうか、また医療費や家族の負担にどのような影響を与えるかについては、さらなる研究が必要である。 知りたかったこと 包括的なケアプログラムが医学的複雑性を持つ子どもたちに有効かどうかを知りたかった。包括的ケアプログラムは、子どもの治療チームのメンバー間のコミュニケーションを助け、子どもに最適なヘルスケアを提供することを目的としたケアコーディネーションを提供する 。 ケアコーディネーションには、治療計画の立案、結果や資源利用のモニタリング、医師との面会調整、不必要な検査やサービスの回避、医療従事者や家族間の情報共有、退院計画、介護者や地域サービスのトレーニン...

入院中に開始された禁煙のための介入

1 year 6 months ago
入院中に開始された禁煙のための介入 要点 - 喫煙者が病院に入院した場合、入院中に禁煙カウンセリングを受け、帰宅後も少なくとも1か月間継続すれば、カウンセリングを受けない場合に比べて禁煙を助けることができる。 - ニコチンパッチやバレニクリンなどの薬物とカウンセリングの併用も、退院後の禁煙に役立つ。これらの治療法は、入院中にカウンセリングや薬物療法を開始しないよりも効果がある。 - 病院や病院の臨床医が入院中や退院後に禁煙支援を行うことを支持するエビデンスがあり、退院前あるいは退院時に禁煙を開始することが、退院後も禁煙を継続するために有益であることが示されている。 知りたかったこと タバコを吸う入院患者の禁煙を支援するために、どのような介入が有効かを調べたいと考えた。主な目的は、どの治療法が入院患者の禁煙を少なくとも6か月間助けることができるかを調べることであった。喫煙は、癌、心疾患、肺疾患など、多くの健康問題の原因となるため、重要である。喫煙者で、医学的な病気、特に喫煙に関係する病気の治療のために入院している人は、禁煙のアドバイスを受け入れやすいかもしれない。禁煙の病院環境は、禁煙を試したり、退院後も禁煙を維持するための治療を始めたりするのにも役立つだろう。 実施したこと 医療入院中に開始された禁煙介入(薬物療法対薬物療法なしまたはダミーピル、および/またはカウンセリング対カウ...
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11 hours 55 minutes ago
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