Latest Japanese Reviews

中低所得国における有害なアルコール使用削減のための介入策

1 year 6 months ago
中低所得国における有害なアルコール使用削減のための介入策 このレビューの重要性 有害なアルコールの使用は、世界的な疾病負荷の主な原因の1つである。中低所得国では、有害なアルコールの使用が増加している。しかし、有害なアルコール使用を予防・治療するサービスは限られている。利用可能なサービス不足の一因は、有害なアルコール使用を減らすにはどのような介入アプローチが効果的なのか、また、こうしたアプローチが低資源の環境で実行可能で受け入れられやすいかどうかについての情報が限られていることである。有害なアルコール使用による身体的、心理的、社会的負荷を防ぐためには、アルコールに関連した害を減らすための効果的な介入が利用できることが重要である。 本レビューの目的は何か? このレビューの目的は、低・中所得国において、心理社会的・薬理学的介入が有害なアルコール使用を減らすことができるかどうかについてのエビデンスをまとめることである。また、治療の安全性を評価し、治療が完了するまでどれだけの人が治療を継続できるかを目指す。 調査でわかったこと 有害なアルコール使用を減らすための介入の効果を評価した66件のランダム化比較試験を特定した。これらの研究のほとんどは心理社会的介入を評価したものであり(52件)、6件は薬理学的介入のみを評価し、8件は薬理学的介入と心理社会的介入を組み合わせて評価したものであった。 ...

βサラセミア患者に対する骨粗鬆症の治療

1 year 6 months ago
βサラセミア患者に対する骨粗鬆症の治療 論点 βサラセミア患者における骨粗鬆症に対するさまざまな治療法は、どの程度有効かつ安全か? 背景 骨粗鬆症は、時間とともに骨密度に影響を及ぼし、骨折のリスクを上昇させる。また、βサラセミア(ヘモグロビンの産生が低下する血液疾患)患者に発生する病気の重要な原因となっている。 βサラセミア患者における骨粗鬆症の治療には、ビスフォスフォネート(骨量減少を遅らせる薬剤)、カルシトニン、カルシウム、亜鉛の補給、ヒドロキシ尿素、ホルモン補充療法(HRT)、デノスマブ(骨吸収を抑制して骨密度(BMD)を高める薬剤)、ラネル酸ストロンチウム(骨形成を促進し、骨吸収を阻害する薬剤)などが有効と考えられている。 本レビューの目的は、βサラセミア患者における骨粗鬆症に対する最も効果的な治療法を見つけることである。腰椎、股関節、および手首(手関節)の骨密度(数値が高いほど良好)と、骨折、可動性、生活の質、および治療による有害事象を主要な評価項目とした。本レビューは、過去に発表されたコクランレビューの更新版である。 文献の検索日 本エビデンスは2022年8月4日までの文献検索に基づいている。 研究の特徴 本レビューでは、10歳から78歳の合計298人のβサラセミア患者を治療群にランダムに割り付けた6件の研究が対象となった 。 研究では、ビスフォスフォネート(アレンド...

心肺蘇生時における家族の立ち会い

1 year 6 months ago
心肺蘇生時における家族の立ち会い なぜこの問題が重要なのか? 患者とその親族が、治療の決定に積極的に関与することを望むようになっている。しかし、心肺蘇生時における家族の立ち会い(FPDR)は、立ち会った親族に心的外傷後ストレス障害(PTSD)関連症状を引き起こしたり、医療従事者の妨げとなり、救命救急処置の質を低下させる懸念がある。また、その状況に対する患者の考えや好みが語られないため、患者の守秘義務が侵害される恐れもある。患者、親族、医療従事者の行動は、互いに影響を与える三角形の関係として捉えられるため、それぞれの要求に対するバランスがとられている必要がある。 何を調べようとしたのか? 心停止、外傷、急性期医療におけるFPDRの効果に関する現在のエビデンスについて調査を行った。 本レビューの主な目的は、親族に対して、その大切な人の心停止、外傷、または急性期医療に立ち会うという選択肢を提供することが、親族のPTSD関連症状の発生に与える影響について調査することである。 第二の目的は、FPDRの提供が、親族の抑うつ、不安、および悲嘆に与える影響、診療時間や医療従事者に対して与える影響、そして、医療の質や患者の生存率に与える影響について調査することである。 何を行ったのか? 2022年3月22日に、言語による制限なく、医学データベースの検索を行った。また、参考文献を確認し、論文の著者と...

骨盤位胎児(逆子)の回転に対する灸

1 year 6 months ago
骨盤位胎児(逆子)の回転に対する灸 論点は何か 骨盤位(胎児の臀部が下にある状態)は妊娠中期(第2期)に多くみられる。ほとんどの胎児は陣痛が始まる前に頭が下になるように自身で回転するが、回転しない胎児もみられる。臀部または足が先に出てくる胎児は、出産が困難になる可能性がある。これは母体および胎児に問題を引き起こす可能性があり、胎児は帝王切開で生まれる可能性が高くなる。 灸は中医学の一種で、骨盤位の胎児の回転に有用である可能性がある。それは足小指の経穴の皮膚の近くでアルテメシア( Artemesia )という生薬を燃やし温感を生じさせ、子宮に刺激を与えるというものである。この手技は、安全な灸のやり方の訓練を受けた上で妊婦またはその家族や友人が行うことができる。 重要である理由 骨盤位での経膣分娩は、経験豊富な医師や助産師、設備の整った病院であれば可能であり、プライマリーケアの環境以外でも計画外の経膣分娩は起こりうる。しかし、胎児が骨盤位にある女性の経膣分娩をすべての病院で行なえるわけではなく、帝王切開による分娩が計画されることもある。帝王切開には現在および将来の妊娠に対するリスク(危険)があるため、帝王切開を避けたいと考える医療従事者や妊婦は多い。自宅で妊婦やその家族、友人が自分でできる灸治療が、分娩前の頭位回転に役立つかどうかを明らかにしたいと考えた。 得られたエビデンス 灸+通...

早産児の呼吸補助のための鼻腔高流量療法

1 year 6 months ago
早産児の呼吸補助のための鼻腔高流量療法 レビューの論点 早産児において、出生直後の呼吸補助に鼻腔高流量療法(ハイフロー)を使用した場合、他の非侵襲的呼吸補助と比較して、どのような利益と害があるか? 呼吸サポートとは何か? 早産児(予定日より早く生まれた)は、出生後すぐに呼吸のサポートを必要とすることが多い。赤ちゃんの気管に呼吸チューブを挿入することなく、非侵襲的な呼吸補助を行う。非侵襲的呼吸補助にはいくつかの種類がある。高流量タイプは、乳児の鼻孔内に装着されたチューブの2つの小さな突起から温風と酸素を供給するタイプである。高流量に代わる方法としては、より太いプロングやマスクを介して酸素を(流量ではなく)連続的に加圧する持続気道陽圧(CPAP)や、CPAPに加えてより高い圧力で酸素を注入することもある経鼻的間欠陽圧換気(NIPPV)がある。 本レビューで行ったこと 早産児における高流量呼吸補助の有益性と有害性を、他の非侵襲的呼吸補助と比較して評価した、十分にデザインされた研究を医学データベースから検索した。 わかったこと 早産児2,540人を対象に、出生直後の赤ちゃんの高流量呼吸補助と他の非侵襲的な方法を比較した13件の研究が見つかった。他に分類待ちの研究が9件、進行中の研究が13件ある。対象となった研究では、比較した治療法、使用した酸素の流量、大流量が効かない場合にCPAPを使用...

複雑性心的外傷後ストレス障害を持つ、および/または小児期における虐待経験のある親に対する妊娠中から出産後2年までの介入

1 year 6 months ago
複雑性心的外傷後ストレス障害を持つ、および/または小児期における虐待経験のある親に対する妊娠中から出産後2年までの介入 トラウマ(心的外傷)関連症状を持つ親や、小児期に虐待を経験した親に対する妊娠中または出産後2年間の支援は、育児能力や幸福度を向上させるか? 要点 エビデンスのほとんどは、育児および心理的介入が、親の心理的幸福度や育児能力に対してほとんどまたは全く影響しないことを示唆しているか、あるいはエビデンスの質が低いために結果に対する信頼性が非常に不確実であった。 育児への介入は、通常のケアと比較して、母子の関係をわずかに改善する可能性がみられた。 1件の心理的介入では、通常のケアを強化した場合と比較して、妊娠中に禁煙する母親をわずかに増加させる可能性がみられた。他の心理学的介入では、両親の関係をわずかに改善させる可能性があり、また別の介入では、育児能力をわずかに改善させる可能性がみられた。 複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)を持つ、または小児期における虐待を経験した親に対する介入 小児期における虐待は、成人後の複雑性PTSDや人間関係の問題につながる可能性がある。また、人生の逆境や、健康格差を経験する恐れも高い。これらの問題は育児に影響し、トラウマの「世代間連鎖」につながる可能性がある。 小児期における虐待を経験した親に対する支援方法として、心理療法、育児介入、心身...

クロルヘキシジンとその他の消毒液:中心静脈ラインを留置する新生児の感染予防にはどちらが効果的か?

1 year 6 months ago
クロルヘキシジンとその他の消毒液:中心静脈ラインを留置する新生児の感染予防にはどちらが効果的か? 要点: ・ 確固たるエビデンスがないため、新生児の中心静脈ライン挿入時の消毒液として、ポビドンヨード(PI)と比較したアルコール中のクロルヘキシジンの利益とリスクは不明である。 ・ 未熟児にポビドンヨードを使用すると、成長と発育に不可欠なホルモンである甲状腺ホルモンのレベルが低下する可能性がある。 ・ 研究数が限られており、低・中所得国からの研究が少ないため、エビデンスの確実性と適用可能性に対する信頼性が低い。 中心静脈カテーテルとは何か? 集中治療が必要な赤ちゃんは、中心静脈ラインと呼ばれる特別な細い管(カテーテル)を血管に挿入する必要がある。中心静脈ラインは、投薬や栄養補給など、さまざまな理由で必要とされる。これらの中心静脈ラインは重要だが、さまざまな合併症を引き起こす可能性がある。 カテーテル関連血流感染(CRBSI)と中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)とは何か? 重篤な感染症は、中心静脈ライン挿入に伴う最も頻度の高い合併症のひとつである。中心静脈ラインに起因する、あるいは起因する可能性のある感染は、それぞれCRBSIおよびCLABSIと呼ばれる。これらの感染は、ラインを挿入する前に消毒液を皮膚に使用することで予防できる可能性がある。 何を調査しようとしたのか? 以下の...

進行した腎がん(腎細胞がん)の成人患者に対する初回治療

1 year 6 months ago
進行した腎がん(腎細胞がん)の成人患者に対する初回治療 略語 • 腎細胞がん(RCC) • アベルマブ(AVE) • アキシチニブ(AXI) • カボザンチニブ(CAB) • イピリムマブ(IPI) • レンバチニブ(LEN) • ニボルマブ(NIV) • パゾパニブ(PAZ) • ペムブロリズマブ(PEM) • スニチニブ(SUN) 要点 • 治療を決定するにあたり、薬剤によって余命が延長するのか、有害な副作用が少ないのか多いのかを考えることが重要である。 • 本レビューの結果は、明細胞成分を含む進行腎細胞がん(RCC)に主に適用される。 進行腎細胞がんとはどのような病気で、どのように治療するのか 腎細胞がんは腎がんの一種である。高齢者に、また女性よりも男性に多くみられる。これは、年齢(60歳以上)と性別が男性であることにより、罹患リスクが高くなるためである。その他の危険因子には、体重、喫煙、腎結石の既往歴、高血圧などがある。多くの場合、初期の段階では症状がないため、腎細胞がんに罹患している人の半数以上が定期健診によってがんであることが判明する。症状が現れると、患者のQOL(生活の質)や日常の活動に影響を与える。2005年以前には、進行腎細胞がんの治療薬は少なく、治療には多くの副作用があった。現在では、免疫療法(がん細胞を見つけて破壊するために、患者自身の免疫系を利用する)や標...

行動の問題を抱える小児のサブグループに対する個別介入

1 year 6 months ago
行動の問題を抱える小児のサブグループに対する個別介入 要点 現在のところ、行動上の問題を抱える小児に対して、個別化した、あるいはテーラーメイドの介入を支持するエビデンスはほとんどない。わずかに存在するエビデンスは質が低い。そのため、介入を個別化することで、行為の問題を抱える小児の結果を改善できるかどうかは不明である。さらなる質の高い研究が必要である。 行動の問題とは何か? 行動の問題とは、小児期におけるさまざまな破壊的な行動のことで、個人の人生に悪影響を及ぼす可能性がある。行動の問題は、反社会的行動、薬物乱用、教育困難、精神衛生上の問題など、青年期や成人期以降の困難につながる可能性がある。 行動の問題を抱える小児には、さまざまなサブグループが提唱されている。これらのサブグループには、行動の問題が始まる年齢、情緒的な問題、注意欠陥多動性障害、親の特性、反社会的行動の攻撃性のレベル、感情、感覚に乏しい特性に関する遺伝的・環境的要因の影響などの違いがある。このようなサブグループの小児は、治療に対する反応が異なる可能性があり、このようなサブグループの小児に的を絞った介入が、より良い結果をもたらすかどうかを確認することが重要である。 対象を絞った、あるいは「個別化」された介入とは、治療のさまざまな側面を、特定のサブグループの親や小児のニーズに合わせて調整するものである。たとえば、両親間の葛...

透析患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療

1 year 6 months ago
透析患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療 本レビューの論点は何か? C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる肝臓の病気であり、注射針などの血液で汚染されたものを再使用した結果、人から人へ感染する。HCVは体内に長期間潜伏し、肝臓を徐々に破壊したり、肝硬変、あるいは肝臓がんを引き起こす場合がある。症状としては、脱力感、吐き気、黄疸、体重減少などがみられ、肝酵素やビリルビンの値が上昇することがある。 HCVは世界中に蔓延しており、国によって異なるが、慢性的な感染者数は約7,000万人であり、これは慢性肝疾患に罹患している患者の40%を占めるとされている。また、長期間にわたって血液透析を受けている人では、HCVへの感染率が高くなる。HCV感染症の治療には、これまで使用されてきたインターフェロンに代わり、経口投与が可能な直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が使用されるようになった。DAAは、有効性および忍容性(副作用に対する許容性)に優れ、ほぼすべての患者に有効である。対してインターフェロンは、皮下注射で投与する必要があり、有効性が低く、副作用も多い。DAAによる治療期間は12週間だが、インターフェロンでは、効果を高めるためのリバビリンの併用の有無に関わらず、24〜48週間以上の治療期間が必要となる。また、腎機能障害のある患者では、リバビリンの蓄積により、赤...

全身性エリテマトーデスの患者が運動することの利点とリスクとは?

1 year 7 months ago
全身性エリテマトーデスの患者が運動することの利点とリスクとは? 要点 全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、「通常のケア(介入)」に加えて運動を行うことは、疲労、日常生活能力、痛みに対してほとんど効果がない可能性がある。 運動中における副作用に関する報告はなかった。しかし、全体的なエビデンスに対する信頼性は低い。 全身性エリテマトーデスとはどのような病気か? SLE(または「ループス」)は、体内の免疫(防御)システムが誤って身体のさまざまな場所の健康な組織を攻撃してしまう病気である。これは長期にわたる病気である(6週間以上続くものであり、通常一生続く)。また、SLEは関節や筋肉に痛みの痛みを引き起こしたり、極端に疲れやすくなったりする。症状は一時的に改善することもあり、また突然悪化することもある(フレア)。 全身性エリテマトーデスはどのように治療されるか? SLEの管理または通常の治療には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬による治療が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、日光を避ける、サプリメント(ビタミンDなど)、SLEや他の病気(高血圧など)に関する教育、身体活動や運動など薬以外の治療も含まれることがある。通常の運動トレーニングはSLE患者の補助的な治療法として役立つ可能性がある。 何を調べたかったのか...

新しい血管の成長を抑える薬(血管新生阻害薬)は上皮性卵巣がん患者に効果があるのか

1 year 7 months ago
新しい血管の成長を抑える薬(血管新生阻害薬)は上皮性卵巣がん患者に効果があるのか 知りたかったこと 新しい血管の形成(血管新生)を妨げる治療薬が、上皮性卵巣がん患者に対する治療の結果を改善するかどうかを明らかにしようとした。 卵巣がんは、世界的に女性に8番目に多いがんであり、年間死亡率は女性10万人あたり4.2人である。上皮性卵巣がんは卵巣や卵管の表層から発生するもので、卵巣がん全体の90%を占める。 上皮性卵巣がんの治療には、がん組織を取り除く手術とプラチナベースの化学療法(急速に増殖する細胞を殺す薬)がある。しかし、初期の反応が良好であっても、結局のところ、進行したがんの多くがさらに治療を必要とする。 がんが成長するためには、酸素と栄養素を供給する新しい血管が必要である。血管新生(既存の血管から新しい血管を作ること)を阻害すると、がんの成長が遅くなり、成長が止まることもある。血管新生を阻害するには、モノクローナル抗体(単一の標的を認識する抗体)によって血管新生ホルモン(VEGFと呼ばれる)を阻害するか、あるいはVEGFの受容体(VEGF-R)に関連する酵素(チロシンキナーゼ)を阻害すること(チロシンキナーゼ阻害薬(TKI))によって、VEGFとVEGF-Rが結合して起こる細胞の反応を防ぐ方法がある。 本レビューで実施したこと 上皮性卵巣がんの女性を対象とした関連する全研究を収...

薬剤抵抗性焦点てんかんに対するペランパネルのアドオン療法

1 year 7 months ago
薬剤抵抗性焦点てんかんに対するペランパネルのアドオン療法 要点 薬剤抵抗性焦点てんかん患者に対するペランパネルのアドオン療法は、発作頻度減少に有効であり、発作の消失を維持できる可能性がある。ペランパネルの忍容性は、8mg/日以下の用量で良好である。 てんかんとは? てんかんは、一般的な脳疾患のひとつである。てんかん患者の約30%は、抗てんかん薬による適切な治療を受けているにもかかわらず、発作(脳内の過剰な電気的興奮により、脳の働きが短時間変化すること)を繰り返している。このような病態を薬剤抵抗性てんかんといい、通常、抗てんかん薬の組み合わせによる治療が必要となる。ペランパネルは新しい抗てんかん薬で、薬剤抵抗性焦点てんかん(脳の一部から発作が始まるてんかん)へのアドオン療法の研究が行われている。 何を知りたかったのか? 薬剤抵抗性焦点てんかん患者に対するアドオン療法としてペランパネルを使用した場合に、有効性および忍容性があるかどうかを明らかにしようとした。 何を行ったのか? あらゆる年齢の薬剤抵抗性焦点てんかん患者を対象に、ペランパネルのアドオン療法の効果を検討した研究を医療データベースから検索した。 何が見つかったのか? 基準を満たす研究が7件見つかった。合計2,524人を対象とし、全員が12歳以上であった。研究では、ペランパネル(2mg/日、4mg/日、8mg/日、12mg/日...

成人の緩和ケア患者における「そう痒(かゆみ)」に対する薬物療法の利点とリスクは何か?

1 year 7 months ago
成人の緩和ケア患者における「そう痒(かゆみ)」に対する薬物療法の利点とリスクは何か? 「そう痒(かゆみ)」は、進行した完治不能な疾患において最も難解な症状の一つであり、患者に大きな不快感を与える可能性がある。そう痒には多くの原因があり、様々な病態から引き起こされている症状である可能性がある。この10年間における臨床観察や対照試験は、特に肝疾患や尿毒症、その他の慢性疾患によるそう痒の理解と治療に大きく貢献してきた。そこで、本レビューでは、緩和ケア分野におけるそう痒の適切な治療のためのエビデンスを系統的に収集し、評価することを目的とした。 要点 - 腎疾患に伴うそう痒に対して、以下の薬物療法を行った場合、プラセボと比較してそう痒が軽減することがわかった:GABA類似物質(ガバペンチン、プレガバリン)はそう痒を大きく軽減する可能性があり、κ(カッパ)-オピオイド作動薬(ジフェリケファリン、ナルブフィン、ナルフラフィン)はそう痒をわずかに軽減する可能性がある。また、クロモリンナトリウム、魚油/オメガ3脂肪酸、カプサイシン外用薬、およびモンテルカストはそう痒を大幅に軽減する可能性があるが、エビデンスの確実性は非常に低かった。 - 肝疾患に伴うそう痒に対して、リファンピシンとフルメシノールはプラセボと比較してそう痒を軽減する可能性があることがわかったが、エビデンスの確実性は非常に低かった。 ...

小児期および思春期における注意欠陥多動性障害(ADHD)に対する多価不応和脂肪酸(PUFA)

1 year 7 months ago
小児期および思春期における注意欠陥多動性障害(ADHD)に対する多価不応和脂肪酸(PUFA) ADHDとは? 注意欠陥多動性障害(ADHD)は、小児や青年によく見られる問題である。集中力に欠け、落ち着きがなく、衝動的に行動することもある。こうした困難の結果、ADHDは長期にわたる社会的、学業的、精神的健康問題を引き起こす可能性がある。薬はADHDの治療法として最もよく使われるが、必ずしも効果があるとは限らず、好ましくない副作用を引き起こすこともある。 多価不飽和脂肪酸(PUFA)とは何か? 多価不飽和脂肪酸(PUFA)は脂肪の一種である。これらは脳の正常な発達に必要で、魚(オメガ3系PUFA)や植物油(オメガ6系PUFA)などの食品に含まれている。 PUFAはADHDにどのように役立つのだろうか? ADHDがPUFA、特にオメガ3系PUFAの低値と関連している可能性を示すエビデンスがいくつかある。したがって、PUFAのサプリメントは、ADHDの症状、行動上の問題、不安や抑うつといった関連する精神衛生上の症状を改善する可能性がある。 何を調べようとしたのか? PUFAサプリメントがADHDの小児および青年のADHD症状を改善するかどうかを知りたかった。 当初のレビューでは、PUFAがADHDの症状を改善することを示唆する限られたデータもあったが、現在のところ、PUFAの補充が有益で...

肺疾患リスクのある早産新生児における高用量カフェインと標準用量カフェインの比較検討

1 year 7 months ago
肺疾患リスクのある早産新生児における高用量カフェインと標準用量カフェインの比較検討 要点 - カフェインは早く生まれた赤ちゃんによく投与されるが、その最も効果的な投与量は不明である。 - 高用量のカフェインは呼吸を改善し、長期的な発育を促すかもしれないが、好ましくない影響を及ぼす可能性がある。 なぜ早産児にカフェインを与えるのか? 早産、特に妊娠28週以前に生まれた新生児は、臨月または臨月近くに生まれた新生児に比べて、死亡、肺疾患、脳障害のリスクが高い。たとえば、知的障害、失明、難聴になる赤ちゃんもいる。カフェインは、主に呼吸を改善し、無呼吸発作(一時的な呼吸停止)や呼吸器の必要性を減らすために、早産児に広く使用されている。 何を調べようとしたのか? 早生まれの新生児において、以下の点で高用量のカフェインが標準用量のカフェインよりも改善効果が高いかどうかを調べたかった: - 退院前の死亡率 - 生後18か月から24か月と3歳から5歳における長期的発達。 また、カフェインの大量摂取が好ましくない影響と関連しているかどうかも調べたかった。 本レビューで行ったこと 早生まれの赤ちゃんに高用量のカフェインを投与した場合と標準量のカフェインを投与した場合を比較した研究を検索した。 研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。 わかった...

未熟児の動脈管開存症を管理する治療法

1 year 7 months ago
未熟児の動脈管開存症を管理する治療法 論点 未熟児の動脈管開存症(PDA)と呼ばれるよくみられる心臓病の予防や治療には、どのような治療法が有効で安全なのか? 背景 PDAは未熟児や低出生体重児によくみられる合併症である。動脈管は、肺と心臓の間に開いた血液路のことであるが、通常は生後まもなく閉鎖する。未熟児や低出生体重児の場合、動脈管が開いたままになることがあり、生命を脅かす合併症の原因となることがある。私たちは、どのような治療法がPDAとそれに関連する問題を安全かつ効果的に予防・治療できるかを知りたかった。 研究の特徴 16 件のコクランレビューが対象となった。そのうち6件のレビューが、薬物、手術、あるいは薬物や手術を伴わない他の手段によるPDAの予防に関するエビデンスを提供していた。1件のレビューでは、赤ちゃんに症状が出る前にPDAを治療するというエビデンスが示されているが、それ以外のレビューでは、PDAによる症状がある赤ちゃんに、薬物または手術のいずれかを用いて治療するというエビデンスが示されている。 主な結果 この概要では、インドメタシンとイブプロフェンの両方が、PDAによる症状が出る前の未熟児に投与された場合、重度の脳出血とPDA手術の必要性を減少させる可能性があることが明らかになった。赤ちゃんにPDAによる症状がある場合では、インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノ...

新生児の術後疼痛コントロールと管理における全身性オピオイドの有効性と安全性は?

1 year 7 months ago
新生児の術後疼痛コントロールと管理における全身性オピオイドの有効性と安全性は? レビューの論点 手術後の新生児の痛みを軽減するための全身性オピオイドの効果と安全性は? 背景 新生児(生後4週間までの乳児)は、手術(オペ)や外科的処置を受けることがある。大人と同じように、乳児も痛みを経験し、手術後はこの痛みを管理(軽減)しなければならない。オピオイドは痛みを和らげる薬である。オピオイドの例としては、コデインやモルヒネがある。オピオイドは、体内のオピオイド受容体と相互作用し、痛みの感覚を抑える。 オピオイドは全身の臓器、機能に影響を及ぼすため、本レビューでは全身性オピオイドと呼んでいる。オピオイドを乳児に投与するには、いくつかの方法や経路がある。静脈に注射針を刺す方法もあり、これは非経口的薬物投与と呼ばれる。もうひとつの方法(またはルート)は、薬を乳児の口の中に入れることで、舌の下に入れたり、チューブを使ったりする。このような薬物投与は経腸投与と呼ばれる。オピオイドは、ほとんどの薬物と同様に、さまざまな強さ(投与量)で投与することができる。オピオイドの投与は、連続的に(止めずに)投与することもできるし、一定期間にわたって間欠的(断続的)に投与することもできる。 オピオイドを乳児に投与する方法、投与頻度、オピオイドの強さ、これらすべてを合わせて、薬物レジメンと呼ばれるものが作られる。 ...

マッケンジー法は、非特異的(亜)急性腰痛の治療に有効か?

1 year 7 months ago
マッケンジー法は、非特異的(亜)急性腰痛の治療に有効か? 要点 マッケンジー法は、非特異的(亜)急性腰痛に対し、短期(2週間以内)および中期(3か月以内)において、痛みや障害を改善する効果はほとんど、または全くない可能性があり、非特異的(亜)急性腰痛に対する有効な治療法とはいえない。本レビューに含まれた研究では、有害作用について評価されていなかったため、マッケンジー法が有害作用をもたらすかどうかは不明である。 非特異的(亜)急性腰痛とは何か? 非特異的腰痛(NSLBP)は、腰痛の中で最も一般的な種類であり、特定可能な疾患や問題(骨折、がん、感染、神経根痛など)に起因しない腰の痛み、または不快感のことである。NSLBPは、持続期間が12週間までの場合、(亜)急性とみなされる。 マッケンジー法とは何か? マッケンジー法とは、訓練を受けた医療従事者(通常は理学療法士)が、NSLBP患者のケアに適用する治療法であり、評価時に観察された臨床的兆候(痛みの位置や動きの制限の変化)に基づく個別の運動プログラムによって構成される。また、患者が自分で症状をコントロールするための、姿勢やホームエクササイズの指導も含まれる。 何を調べようとしたのか? マッケンジー法が(亜)急性NSLBPに対し有効であるかどうかを調査した。 何を行ったのか? (亜)急性NSLBPに対する最小限の介入(メインとした対象群...

成人の腰痛に対する薬理学的治療:コクランレビューの概要

1 year 7 months ago
成人の腰痛に対する薬理学的治療:コクランレビューの概要 要点 急性腰痛について ・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)および筋弛緩薬は、痛みに対してわずかな効果をもたらす可能性があるが、筋弛緩薬は有害作用を起こす可能性がある。また、パラセタモール(アセトアミノフェン)は、痛みや有害事象に影響を与えなかった。 慢性腰痛について ・オピオイドは痛みを軽減する可能性があるが、有害作用を起こす可能性がある。一方、NSAIDsは有害作用を起こさずに痛みを軽減する可能性があり、また、抗うつ薬は痛みに対しほとんどまたは全く効果がない可能性がある。 ・ 医師は、腰痛治療のための薬剤を検討する際には、薬剤の痛みに対する効果が少ない可能性、および有害事象のリスクが高まる可能性について議論すべきである。また、資金提供者と研究者は、腰痛患者にとって臨床的に意味のある利益をもたらす薬剤を特定することを優先すべきである。 腰痛とは何か。また、どのように治療されるのか? 腰痛(LBP)は、一般的にみられ、かつ身体を衰弱させやすい健康状態である。腰痛の原因を確実に特定することは、ほとんどの場合困難であり、これらは「非特異的腰痛」と呼ばれる。治療には、一般的に薬剤が使用されるが、これには、オピオイド系鎮痛薬、NSAIDs、パラセタモールなど、多くの種類の薬剤がある。多くの選択肢の中で、どの薬剤が最も良く、最も安...
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5 hours 37 minutes ago
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