Latest Japanese Reviews

生命維持装置による人工呼吸が必要な新生児の疼痛軽減と睡眠導入のためのデクスメデトミジンの使用

1 year 2 months ago
生命維持装置による人工呼吸が必要な新生児の疼痛軽減と睡眠導入のためのデクスメデトミジンの使用 要点 1.デクスメデトミジンは、痛みを和らげ、睡眠を誘発するために使用する薬である。人工呼吸器(呼吸を補助する機械)が必要な新生児に対して用いる。 人工呼吸中の新生児にデクスメデトミジンを使用することも、使用しないことも、その裏付けとなるエビデンスは見つからなかった。 2.新生児、特に超早産児は最も状態が悪いため、この患者層に対するデクスメデトミジンの有益性と有害性を明らかにするには、十分にデザインされた研究が必要である。 デクスメデトミジンとは デクスメデトミジンは鎮静剤である。鎮静剤は、人がリラックスして穏やかな気分になるよう促すことによって作用する。多くの場合、鎮静剤を服用すると眠りに落ちる。デクスメデトミジンには鎮痛作用もある。デクスメデトミジンは、集中治療、機械的人工呼吸、緊張の多い診断のための処置や手術の際に、リラックスして痛みを感じにくくするために、あらゆる年齢の人に投与される。 人工呼吸中の新生児にとって、なぜこれが重要なのか 新生児の約9%が出生後そのまま新生児集中治療室(NICU)に入院する。そのような新生児の多くは、呼吸の補助を必要とし、人工呼吸器を装着している。機械的人工呼吸とNICUでの時間は新生児にとってストレスである。新生児期の痛みやストレスは、(成人期まで...

妊娠中の呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)ワクチン接種は、乳児のRSウイルス関連入院を減らすか?

1 year 2 months ago
妊娠中の呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)ワクチン接種は、乳児のRSウイルス関連入院を減らすか? 要点 - このレビューに含まれた研究は、妊娠中のRSウイルスワクチン接種が乳児のRSウイルス関連入院を減少させることを示唆している。 - 妊娠中のRSウイルスワクチン接種は、乳児の先天異常のリスクにはほとんど影響せず、胎児発育不全のリスクにもおそらくほとんど影響しないことが示唆された。 - この分野での今後の研究は、妊娠中のRSウイルスワクチン接種が妊娠37週以前の出産、乳児死亡、死産、母体死亡のリスクに及ぼす影響に焦点を当てるべきである。 RSウイルス感染症とは? RSウイルスは、乳幼児の下気道感染症(肺や声帯より下の気道の感染症)でよく見られる原因病原体である。2019年には、5歳未満の子ども約3,300万人がこのウイルスによる下気道感染症にかかっている。RSウイルスは、空気中の飛沫や直接接触によって感染する。RSウイルスに感染した小児は、咳、鼻水、発熱などの軽い症状を示すことがある。しかし、気管支炎や肺炎に進行することもある。毎年、世界中で360万人の乳幼児が重症のRSウイルス感染症で入院し、死亡例も多い。生後6ヵ月未満の乳児、特に新生児は、免疫系がまだ十分に発達していないため、RSウイルスに感染すると重症になりやすい。 母体ワクチン接種とは? 通常、妊娠中、胎盤は母親の血流...

統合失調症における攻撃的行動のリスク評価

1 year 2 months ago
統合失調症における攻撃的行動のリスク評価 レビューの論点 攻撃性や暴力の構造化されたリスク評価法は、統合失調症や統合失調症様疾患のある人々にとって、精神科的環境における攻撃的事件を減少させるために有効か? 背景 統合失調症に対する一般的な認識では、攻撃的あるいは暴力的な行動はしばしば統合失調症のある人を連想させる。入院患者ケアにおける攻撃的または暴力的な出来事を減少させるために、さまざまな介入が開発されているが、入院患者環境で働くスタッフは、患者の攻撃的な出来事を減少させるための使いやすい方法を求めている。しかし、これらの多くは時間がかかり、スタッフへの集中的なトレーニングや患者のモニタリングが必要である。スタッフが構造化された方法で患者の行動を監視すれば、監視そのものが、精神医療現場における攻撃的や暴力的な行動や事件の減少につながるかもしれない。 エビデンスの検索 2021年2月10日に、統合失調症または統合失調症類似疾患のある人を、攻撃性または暴力の構造化されたリスク評価法に参加させるか、標準治療に参加させるかを無作為に割り付けた臨床試験を電子検索した。 特定されたエビデンス 4件の研究がレビュー要件を満たし、使用可能なデータを提供した。これらの試験では、構造化されたリスク評価と標準的な専門家によるケアの効果が比較された。この結果は、構造化された攻撃性や暴力のリスク評価の使用...

呼吸困難の新生児における非侵襲的高頻度換気法(nHFV)

1 year 2 months ago
呼吸困難の新生児における非侵襲的高頻度換気法(nHFV) 要点 呼吸困難とは何か? 呼吸困難は、新生児に頻繁に起こる呼吸の問題である。その原因は、在胎期間(出産までに児が子宮内で過ごす期間)によって異なる。予定日より早く生まれた児(早産児)に多い原因は、肺の天然化合物(界面活性剤)の不足で、肺胞が容易に開閉できないことである。妊娠37週(正期産)以降に生まれた児に最も多い原因は、一過性新生児多呼吸(または湿性肺)と呼ばれる疾患で、出生後に肺液の排出が遅れるために呼吸困難や速い呼吸が起こる。呼吸困難のケースは他にもたくさんある。 呼吸困難はどのように治療するのか? 通常の治療には、呼吸補助(人工呼吸)、酸素吸入、界面活性剤(サーファクタント)と呼ばれる薬剤の新生児の気管への直接投与などがある。 呼吸補助は、気管内チューブと呼ばれるチューブを乳児の気管に挿入する方法(侵襲的換気)と、マスクや鼻カニューレを使用する方法(非侵襲的換気)がある。侵襲的人工呼吸は、慢性肺疾患と呼ばれる肺障害のリスク増大と関連している。サーファクタント治療の有無にかかわらず、非侵襲的人工呼吸は、呼吸困難の新生児における機械的人工呼吸の必要性と慢性肺疾患のリスクを減少させる可能性がある。 非侵襲的高頻度換気とは何か? 高頻度換気は、非常に小さな呼吸を非常に速い速度(6~15ヘルツ、毎分360~900回)で行う。...

脚の血液循環を元通りに、または改善するための手術後の運動は、末梢動脈疾患の患者に役立つか?

1 year 2 months ago
脚の血液循環を元通りに、または改善するための手術後の運動は、末梢動脈疾患の患者に役立つか? 主なメッセージ: - 脚の血流不足による痛みで歩行が難しくなる人は、血流を改善する手術で治療することができる。この手術の後に運動療法を行うことで、手術のみの場合と比べて、より長い距離を歩けるようになるかもしれないが、エビデンスの質が低いため、非常に不確かである。 - 運動療法を行うことで、脚の血流、痛みなく歩ける距離、生活の質、再手術の必要性、死亡率が改善されるかどうかはわからない。 - これらの研究は参加者が比較的少なく、方法論的に不足している部分も多いため、得られた結果は正確性に欠ける可能性がある。手術後に運動療法を行うことで、末梢動脈疾患患者の重要な健康に関する治療結果が改善されると確信するには、もっと質の高いエビデンスが必要である。 末梢動脈疾患(PAD)とは何か? PADは脚の血管が細くなったり詰まったりして、血液が流れにくくなる病気である。その結果、歩行時に脚の痛みや疼きを感じ、ひどい場合には安静時に痛みを感じたり、傷が治らないなどの問題を引き起こし、切断(脚の一部を切除すること)に至ることもある。 PADの症状がある人は通常、悪化しないように薬での治療と運動療法を行う。しかし、場合によってこれでは不十分で、血流を改善するための手術が必要となる。 知りたかったこと PADに対す...

妊娠中のアルコール摂取を減らすための治療法

1 year 2 months ago
妊娠中のアルコール摂取を減らすための治療法 要点 妊娠中にアルコールの摂取を報告した妊婦において、短期間の心理社会的介入(BI)は、通常通りの治療(TAU)と比較して、連続的に禁酒する女性の数を増加させる可能性があることを見出した。1日の飲酒量にグループ間の差はないかもしれないが、そのエビデンスは非常に不確かである。BIを受けた場合、TAUを受けた場合と比較して、治療を完了した女性の数にはおそらくほとんど差がない。 妊娠中の飲酒がもたらす影響とは? 妊娠中のアルコール摂取は、妊婦と胚・胎児の両方に深刻な結果をもたらす可能性がある。アルコールの量が多いほどリスクは高くなるが、出生前のアルコールへの曝露が低~中等度であっても、出生時に一定の障害が見られる。したがって、どのようなアルコールの摂取も妊娠中に何らかのリスクをもたらすものであり、現在のガイドラインでは、妊娠中のアルコール摂取を避けることが推奨されている。とはいえ、ヨーロッパでは妊婦の約4人に1人が妊娠中にアルコールを摂取したと報告している。 妊娠中の飲酒を止めたり減らしたりするために、どのような治療法があるか? 心理社会的介入や薬物療法は、一般集団における不健康なアルコール摂取に対して有効であることが示されている。アルコール使用障害(AUD)は、アルコールの摂取をコントロールできない精神障害であるが、薬物療法も有効である。妊...

生殖補助医療を受ける不妊症女性の子宮や卵巣に多血小板血漿を注入すると、妊娠しやすくなるか?

1 year 2 months ago
生殖補助医療を受ける不妊症女性の子宮や卵巣に多血小板血漿を注入すると、妊娠しやすくなるか? 要点 - 子宮内への多血小板血漿(PRP)注入が、生児出産(または妊娠継続)、流産、臨床的に確認された妊娠、多胎妊娠、子宮外妊娠という点で、無治療やダミー治療よりも優れているかどうかはわからない。子宮内へのPRP注入は早産のリスクを高める可能性がある。PRPのその他の潜在的な副作用については、十分な情報がない。 - 卵巣へのPRP注入の使用については、十分な情報がない。 - この結果には確信が持てないので、PRPの使用が生殖補助医療によって妊娠しようとする女性に有益で安全かどうかを調査するためには、もっと質の高い研究が必要である。 多血小板血漿とはどのようなもので、女性の妊娠にどのように役立つのか? 多血小板血漿(PRP)とは血小板を多く含む血漿であり、血漿(血液の液体部分)と高濃度の血小板(血栓の原因となる細胞)からできている。治療を受けている人の血液から作られる。PRPには成長因子が含まれており、特に治癒の遅い組織の修復を促進する。専門家の中には、PRPは卵巣刺激(より多くの卵子を排卵させるために行われるホルモン治療)に対する卵巣の反応を良くし、胚の着床に対する子宮内膜の反応を良くすると考える人もいる。このように、PRPは生殖補助医療を受ける女性の妊娠を助けることができるかもしれない。...

パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か?

1 year 2 months ago
パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か? 注意事項:  ネットワークメタ解析の主な結果は、MAGICと共同で作成した 双方向型の結果の要約表 でも見ることができる。 背景 パーキンソン病(PD)は、主に60歳以上の人がかかる進行性の神経系疾患である。症状は徐々に始まり、震え、こわばり、動作やバランスの遅さ、協調性の問題など、動作の問題が出てくる。また、PDがある人は、感情や気分の問題、疲労、睡眠障害、思考障害などを抱えることがある。この病気は治すことはできないが、薬や手術などで症状を和らげることは可能である。さらに、PDがある人は、理学療法やダンスなどの運動が有効な場合がある。しかし、これらの運動の種類によって、より効果的なものがあるのかどうかは、まだ不明である。 目的 PDがある人の動作と生活の質(QOL)を向上させるために、どのような運動が最も効果的かを調べたいと考えた。また、どのような運動が最も副作用が少ないかを調べたいと考えた。 本レビューで実施したこと 身体運動と身体運動なし、または別の種類の身体運動と比較した研究を検索した。その短期間の結果を比較・要約し、研究方法や対象者数などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。短期間の結果しか調べていない。 わかったこと PDがある人に対する様々な種類の身体運動に関する154件の研究が見...

気管支肺異形成を発症する危険がある早産児を副腎皮質ステロイドで治療することの利点とリスク

1 year 3 months ago
気管支肺異形成を発症する危険がある早産児を副腎皮質ステロイドで治療することの利点とリスク 要点 気管支肺異形成のリスクが高い新生児に対する唯一の有効な治療法は、現在のところ、 生後1週間以降 に投与するデキサメタゾンによる治療である。 副腎皮質ステロイドを界面活性剤とともに気管に直接投与することが、将来有望な治療法になるかもしれない。 生後1週間までに デキサメタゾンを投与したり、 生後のどこかの時点で ヒドロコルチゾンを投与したりする治療法は効果がないか、あるいは安全ではない可能性がある。 気管支肺異形成とは 超早産や早産で生まれた赤ちゃんは、医学用語で気管支肺異形成(BPD)と呼ばれる肺損傷のリスクが高い。BPDの赤ちゃんは、BPDではない赤ちゃんに比べて死亡する確率が高く、死亡を免れてもその後の人生に(肺の状態が悪い、再入院の頻度が高い、小児期の発達が悪いなど)悪影響を受ける。BPDの原因の一つは肺の炎症である。炎症は、傷害に対する身体の一般的な反応である。 BPDの治療法 副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)は炎症に作用する(赤ちゃんの免疫反応を鎮め、腫れを抑える)薬であり、BPDの予防や治療のために早産児に投与される。しかし、ステロイドによって重篤な副作用(腸管穿孔(消化管に穴が開く)や小児期の発達の悪化など)が起こることもある。早産児に使用されるステロイドの例として...

医療現場以外でのSARS-CoV-2感染リスク軽減を目的とした職場介入は、どのような利益と害があるのか?

1 year 3 months ago
医療現場以外でのSARS-CoV-2感染リスク軽減を目的とした職場介入は、どのような利益と害があるのか? 要点 - 職場でSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染を予防する最善の方法に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。結果を報告している研究は1件しかなく、その結果については非常に不確かである。 - さまざまな職場介入による利益と害をよりよく理解するためには、より大規模で綿密にデザインされた研究が必要である。 レビューテーマの紹介 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的に蔓延している呼吸器感染症である。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染した人は、重症化する可能性があり、特に高齢者や基礎疾患のある人は死亡するリスクがある。パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。 調べたかったこと これらの介入がCOVID-19感染率、欠勤、COVID-19関連死亡、有害事象に及ぼす影響を調査した. 実施したこと 以下の4つのカテゴリーに基づいて介入を検討した研究を検索した。 - 曝露の排除(自己隔離戦略など) - 技術的管理(同僚や作業員と一般の人々を分離または隔離するための障壁など) - 管理統制(在宅勤務など) - 個...

歯科矯正装置は、小児や十代の若者の反対咬合(下顎前歯が突出している状態)を改善するか?

1 year 3 months ago
歯科矯正装置は、小児や十代の若者の反対咬合(下顎前歯が突出している状態)を改善するか? 要点 小児期における非外科的および外科的矯正治療は、噛み合わせや顎骨の位置を改善することができる。しかし、これらの効果がどの程度持続するのかは不明である。 小児期に患者を治療することで、成人期における顎矯正手術の必要性を防ぐことができるかどうかを明らかにするには、十分な期間をかけて研究する必要がある 反対咬合(アンダーバイト、受け口)とは何か? 下あごの前歯が突出している状態(反対咬合)は、上あご(上顎)の骨(上顎骨)が後退しすぎている、下あご(下顎)の骨(下顎骨)が前方に突き出ている、上顎の前歯が後方に傾いている、下額の前歯が前方に傾いている、またはこれらの組み合わせによって引き起こされる可能性がある。この場合、からかいの対象になったり、食事に支障をきたす、または顎関節症などの問題を引き起こしたりする可能性がある。 反対咬合はどのように治療されているのか? 反対咬合の歯科矯正治療には、口の内側または外側に装着し、歯に固定するタイプの矯正装置、あるいは頭部に装着するタイプの矯正装置を用いる方法がある。これらの矯正装置には、上顎の歯と骨が前下方に移動するよう促すもの、下顎骨の成長を制限するもの、あるいは両方の作用を持ったものがある。 何を調べようとしたのか? 本レビューは2013年に行ったレビュ...

早産新生児における肺疾患の予防と治療のための吸入気管支拡張薬の利点とリスクは?

1 year 3 months ago
早産新生児における肺疾患の予防と治療のための吸入気管支拡張薬の利点とリスクは? 要点 - 未熟児の慢性肺疾患予防のための気管支拡張薬(呼吸を助けるために気道を広げる薬)の吸入(息で吸い込む)使用に関する研究は2件しか見つからなかった。 - ある研究から、気管支拡張剤サルブタモールの使用は、プラセボ(偽薬)と比べて死亡や慢性肺疾患の予防に効果がない可能性が示唆された。 - サルブタモールが気胸(肺虚脱)のリスクに影響を及ぼすかどうかは不明である。どちらの研究でも気管支拡張薬の有害作用(望ましくない作用、有害な作用)は報告されていない。 気管支肺異形成とは? 早産、特に妊娠28週以前に生まれた新生児は、臨月または臨月近くに生まれた新生児に比べて、死亡、肺疾患、脳障害のリスクが高い。たとえば、知的障害、失明、難聴になる赤ちゃんもいる。慢性肺疾患は、早産児によく見られる、自力で呼吸ができず、酸素吸入や機械的人工呼吸(人工呼吸器)による補助が必要な疾患である。 気管支拡張薬とは? 気管支拡張薬は肺の空気の通り道を広げる薬である。早産児の肺にある小さな気道を開く可能性があるため、慢性肺疾患の治療に使用されてきた。早産児に気管支拡張剤を投与することで、慢性肺疾患を予防できる可能性もある。気管支拡張薬は、吸入(吸入器、パファーとも呼ばれる)、経口投与、注射、ネブライザー(気管支拡張薬をスプレーや...

細気管支炎を起こした乳幼児に対する高流量鼻カニューレ(チューブ)酸素療法

1 year 3 months ago
細気管支炎を起こした乳幼児に対する高流量鼻カニューレ(チューブ)酸素療法 細気管支炎とは? 細気管支炎は、(細い)下気道におこる、乳幼児(月齢24か月未満)によく見られる病気である。通常、ウィルス感染が原因となり、咳、速い呼吸、喘鳴などの呼吸障害を引き起こすが、哺乳不良となる可能性もある。これは乳幼児が入院する主な原因の一つである。細気管支炎の治療は対症療法である。つまり、入院が必要な場合は、感染症が治るまで、患児の呼吸を補助することになる。呼吸を助ける方法として、次第に多く採用されるようになっているのは、空気と酸素を混合し、加温、加湿したものを、鼻カニューレ(酸素供給用チューブ)を通じて、従来の(低流量)加湿しない酸素供給の最大流量である毎分2リットルより高い流量で供給する方法である。これは高流量鼻カニューレ療法として知られ、これによって空気と酸素の混合ガスを高流量で快適に供給し、換気を改善しうる。他方、持続的気道陽圧法(CPAP)も細気管支炎の治療に次第に多く使われるようになっている。この療法では、空気と酸素の混合ガスを事前に設定された気圧で供給することによって、気道を開いた状態に保ち、呼気時(息を吐くとき)に虚脱が起きないようにする。 調べたかったこと 高流量酸素療法は、侵襲的な呼吸補助(挿管(人工呼吸)など)の必要性の低減につながりうるほか、上気道の乾燥を防ぐなど、他の治...

心理療法は、長期療養を受ける高齢者のうつ病を軽減するのに有効か?

1 year 3 months ago
心理療法は、長期療養を受ける高齢者のうつ病を軽減するのに有効か? 要点 - 長期療養(LTC)施設(例えば、介護施設や老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど)に居住する高齢者では、心理療法(トーキング・セラピーとして知られることもある)は心理療法でないケアよりもうつ病の症状をよく治療する可能性がある。 - 心理療法はまた、生活の質(QOL)や心理的ウェルビーイング(個人の情緒的健康と全体的機能)を短期的に向上させるためには、心理療法でないケアよりも優れているかもしれない。 - 十分なエビデンスがないため、心理療法の広範な利益や長期的な効果は不明である。 調べたかったこと 心理療法がLTC環境におけるうつ病の管理に有益かどうかを調べたかった。 重要である理由 うつ病はLTCで暮らす高齢者によく見られる。このような人々は、うつ病を治療するために薬を処方されることが多い。心理療法が有効な選択肢になるかもしれない。 高齢者のうつ病の治療には、どのような心理療法があるか? LTC生活者のうつ病を治療する心理療法には、行動療法、認知行動療法、回想療法などがある。 実施したこと LTC施設で生活するうつ病の高齢者に対する心理療法を、代わりのケアと比較した研究を検索した。治療終了後、短期(3か月まで)、中期(3か月から6か月)、長期(6か月以上)の追跡調査における結果(評価項目)を検討した。 研...

メトホルミンは成人の2型糖尿病に有効な治療薬か?

1 year 3 months ago
メトホルミンは成人の2型糖尿病に有効な治療薬か? 背景 2型糖尿病は、血糖値(血液の糖分濃度)が高くなっている状態の病気である。血糖値は、膵臓で作られるホルモンであるインスリンによってコントロールされている。インスリンは、肝臓、筋肉、脂肪細胞に、血液から糖分を取り除き、蓄えるように指示をする。膵臓で十分なインスリンが作られない、または体がインスリンに反応しなかったりする場合、血液中に糖分が多く残ってしまう。2型糖尿病の治療薬は数多くある。これらの治療薬は、血液中の糖の量を減らし(血糖値を下げ)、糖尿病の長期合併症を軽減することを目的としている。2型糖尿病の人に通常最初に処方される薬は、メトホルミンである。メトホルミンは、肝臓が血液中に放出する糖分の量を減らす作用がある(血糖値が上がるのを防ぐ)。また、インスリンに対する体の反応を改善する。 メトホルミンが2型糖尿病の治療薬として有効かどうか、またメトホルミンが望ましくない(有害な)効果を引き起こすかどうかを調べたかった。また、他の糖尿病薬や、食事療法、運動療法、あるいはその両方との効果も比較したかった。特に注目したアウトカム(結果、評価項目)は、死亡、重篤な望ましくないイベント、健康関連の生活の質 (QOL)、心血管系の原因による死亡、および糖尿病の非致死的な合併症(例えば心臓発作、脳卒中、腎不全など)であった。 何を調べようとし...

在宅ホスピタル実施に関する複数の認識

1 year 4 months ago
在宅ホスピタル実施に関する複数の認識 要点 - 在宅ホスピタルサービスを開発する際には、医療専門家が患者を紹介するためのわかりやすいプロセスを設定することが重要である。これには、サービスがどのような人に適しているかを定めた明確なガイドラインを作成することも含まれる。 - 在宅ホスピタルサービスには、スタッフ、患者、介護者間の明確で一貫したコミュニケーションとともに、安全で効果的な患者中心のケアを在宅で提供するスキルを持った訓練された労働力が必要である。 - 在宅ホスピタルサービスを新たに導入する際、あるいは既存のサービスを運営する際に、医療専門家や管理者が使用するための質問をいくつか提案する。この質問は、在宅ホスピタルサービスの計画と実施に役立て、スタッフ、患者、介護者の満足度と結果(評価項目)を向上させることを目的としている。 在宅ホスピタルとは? 在宅ホスピタルでは、病院に入院しなければならない人々を対象に、病院レベルのケアを自宅で提供する。在宅ホスピタルの1つのタイプは、入院を避けることである。これは入院回避在宅ホスピタルと呼ばれる。これらのサービスは、肺疾患の再燃など、通常であれば病院のベッドでの治療が必要な人を対象とし、入院に代わるものである。その代わり、医師は、自宅(または、入所施設を含む、普段生活している場所)で病気の治療を受けるのに適していると評価した患者を、期間...

初回エピソードおよび最近発症した精神病における認知行動療法と標準治療の併用

1 year 4 months ago
初回エピソードおよび最近発症した精神病における認知行動療法と標準治療の併用 要点 認知行動療法(CBT)は統合失調症の症状を軽減し、統合失調症の初期段階の人々の機能を改善するのに有効である。 この介入に関連する潜在的な有害作用については、ほとんど情報がなかった。 背景 統合失調症は、その症状が患者の日常生活に大きな影響を及ぼすため、深刻な精神疾患である。この病気がある人は、自分の考え、思い込み、想念と現実を区別するのに苦労している。例えば、頭の中で声が聞こえることがあり、それが本当に誰かに話しかけられているように感じられる。病気の初期段階の治療は、慢性化を防ぐため、またはそのリスクを減らすために非常に重要である。この段階は通常「初回エピソード」と定義され、「最近発症した」という言葉は初回エピソードから3~5年の期間を表す言葉としても使われる。 心理学的介入である認知行動療法は、一般に統合失調症のある人の症状を抑えるのに有効である。 しかし、この介入が病気の初期段階の人々にも有効かどうかは、まだ明らかではない。 調べたかったこと 初回エピソードあるいは最近発症した統合失調症患者に対して、標準治療に認知行動療法を追加した場合の効果を調べたいと考えた。 行ったこと 標準治療(通常は薬物)に加えて認知行動療法を行い、標準治療単独または他の心理社会的介入と比較した研究を検索した。 研究結果...

がんワクチンは進行した非小細胞肺がんに効果があるのか

1 year 4 months ago
がんワクチンは進行した非小細胞肺がんに効果があるのか 要点 - このレビューで評価したワクチンによって進行非小細胞肺がん患者の余命や無増悪生存期間が延長することはないか、あってもごくわずかである。 - ワクチンによる好ましくない影響は頻繁に起こるものではない。 肺がんとは 肺がんは世界で最もよくあるがんのひとつである。非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの中でも最も多いタイプで、肺がんの約87%を占める。非小細胞肺がんは進行した段階で診断されることが多く、死亡率が高く、余命も短い。 非小細胞肺がんの治療法は 非小細胞肺がんのほとんどが、まず化学療法で治療される。化学療法とは、急速に増殖するがん細胞を消滅させるための強力な化学物質からなる薬物療法である。NSCLC患者の生存率を向上させるための新しい治療法は、化学療法後の免疫療法による治療に焦点を当てている。がんワクチンは免疫療法の一種である。病気から私たちを守るためのワクチンとは異なり、がんワクチンはすでにがんに罹患している人のためのものである。治療用がんワクチンは、がん細胞を認識して破壊するように免疫系を刺激することを目的としている。 知りたかったこと ワクチンを接種することによって生存期間が延びるのか、病気の進行がない期間が延びるのか、また、ワクチンには好ましくない影響があるのかを知りたいと考えた。 実施したこと 進行NSCL...

心不全に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの利点とリスクは何か?

1 year 4 months ago
心不全に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの利点とリスクは何か? 主なメッセージ - 運動をしない場合と比べて、心不全患者の死者数(死因は問わず)に差があることを示すエビデンスはなかった。運動を中心とした心臓リハビリテーションを行うことで、あらゆる原因による入院や心不全に関連した入院のリスクを減少させ、「ミネソタ心不全質問票」により評価される健康関連QOL(生活の質)に大きな改善をもたらす可能性がある。 - 重要なことは、この最新のレビューにより、在宅プログラムやデジタル技術で支援されるプログラムなど、運動を中心とした心臓リハビリテーションの代わりとなる方法を支持するエビデンスが追加されたことである。 - 今後の研究では、高齢者や女性の心不全患者、駆出率が保たれている心不全患者など、通常研究に参加していない人々を対象とすべきである。 心不全とは何か? 心不全とは、心臓が血液をうまく全身に送り出せなくなることである。心不全の人は疲れを感じやすく、息切れを起こす。そのため、日常生活が行いにくくなり、QOLにも影響を及ぼす可能性がある。心不全の人は入院や死亡のリスクが高い。 心臓リハビリテーションとは何か? 心臓リハビリテーションは、心不全などの心臓の病気からの回復を促進することを目的としている。心臓リハビリテーションプログラムでは、運動のほか、生活習慣や危険因子の管理につい...

入院を避けるための「在宅病院」サービス

1 year 4 months ago
入院を避けるための「在宅病院」サービス レビューの目的 このコクランレビューの目的は、入院回避のために在宅で医療を提供することが、患者の健康に関するアウトカムを改善し、医療サービス費用を減らすかどうかを明らかにすることである。 要点 自宅での入院回避は、おそらく死亡リスクにはほとんど差がなく、6か月のフォローアップ後も自宅で生活できる可能性を高め、若干安価かもしれない。 背景 急性期病床に対する需要は、依然として実際の病床数を上回っている。病床への依存を減らす一つの方法は、急性期医療を自宅で提供することであり、「自宅での入院回避」と呼ばれることもある。一方、「早期退院」とは、患者が早期に退院し、自宅で治療を受けることを指す。このトピックについては、別途レビューした。 知りたかったこと 自宅での入院が、患者の健康上のアウトカムや自宅での自立した生活に差をもたらすかどうかを確かめたかった。また、病院での治療より安価かどうか、治療期間や患者の満足度に影響があるかどうかも調べたかった。 行ったこと 急性疾患に対する在宅治療と入院治療を比較した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。 わかったこと 20件の研究が同定され、そのうち4件が今回の更新で新たに含まれた。その結果、さまざまな急性疾患の患者3,100人が対象...
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