11 months 3 weeks ago
臨床試験の結果が公表されるまでの期間は? このレビューはどのような疑問を解決するのか? 健康介入を検討するために実施された臨床試験(研究)のうち、ジャーナルに掲載されたものはどれくらいあるのか。論文発表率や論文発表までの期間は、試験結果の性質、参加者や試験施設の数、あるいは試験の資金源に影響されるのか。 主な結果 全臨床試験の半数近く(47%)が未発表のままである。 臨床試験が公表されるかどうか、またどのくらいの期間を要するかは、肯定的な結果が得られたかどうか、臨床試験の規模、単施設か多施設か、どのような組織が資金を提供したか、などに影響される。 出版と出版バイアスとは何か? 臨床試験結果の公表にはいくつかの段階がある。このプロセスは、臨床試験が実施されることから始まり、その後、試験の目的、方法、結果を記載した要約文書(原稿)が作成される。原稿はジャーナル編集者に送られ、編集者や同僚、そして原稿のテーマに関する専門家であるが、試験には関与していない査読者によってチェックされ、コメントされる。原稿が正しく適切であると評価されれば、オンラインまたは印刷されたジャーナルに掲載され、研究結果に関心を持つ人々に読まれることになる。原稿にアクセスするには購読料が必要な場合もあるが、多くの場合は「オープンアクセス」、つまり自由に利用できる。試験結果を公表するかどうかの決定が、その結果の性質、す...
11 months 4 weeks ago
オメガ3多価不飽和脂肪酸の補充は、小児および青年期のうつ病治療においてプラセボより優れているか? 要点 - 確固としたエビデンスが不足しているため、小児や青年期のうつ病治療におけるオメガ3多価不飽和脂肪酸(食事から摂取しなければならない重要な脂肪である)の補給の利益と好ましくない影響は不明である。 - 小児および青年期のうつ病に対するオメガ3多価不飽和脂肪酸補給の潜在的な利益と有害性をよりよく推定するためには、より大規模でデザインされた研究が必要である。 なぜ、うつ病の小児や青年の治療法を見つけることが重要なのか? うつ病がある人は、気分が落ち込んだり、いつもの活動に対する喜びや興味を失ったりする。 長期にわたる(慢性の)障害であり、重篤であると同時に再発を繰り返す(体調が良い時期があっても再発することがある)。小児期や青年期に発症することが多く、100人に8人が罹患するといわれている。残念ながら、小児や青年のうつ病に対する現在の治療に対する反応は悪く、症状の緩和(寛解)は困難である。最近の研究では、オメガ3多価不飽和脂肪酸のサプリメントが成人のうつ病の治療薬として有望視されている。これらの有益な脂肪は体内で作ることはできないが、油性の魚や海産物、特定のナッツ類や種子類に自然に含まれている。また、カプセルや液状のサプリメント(例えば、タラ肝油カプセル)として毎日与えることもできる...
1 year ago
筋緊張性ジストロフィーにおける日中の過度の眠気(過眠症)に対する覚醒度を高める薬(精神刺激薬) 要点 - 覚醒度を高める薬(精神刺激薬)が、客観的な睡眠検査で評価される日中の過度の眠気(過眠症)に及ぼす影響は、非常に不確かである。 - 精神刺激薬は、患者の自己評価による過眠症を改善する可能性がある。 - 筋強直性ジストロフィーに対する精神刺激薬の有効性と安全性について、短期および長期の両方について、より多くの研究が必要である。 筋強直性ジストロフィーにおける過眠症とは? 筋強直性ジストロフィーは遺伝性の筋ジストロフィーで、筋力低下と萎縮を引き起こす。日中の過度の眠気(過眠症)は、筋緊張性ジストロフィーがある人に頻繁にみられる訴えであり、呼吸のコントロールの問題に関連している。 筋緊張性ジストロフィーの過眠症はどのように治療するのか? 精神刺激薬は覚醒度を高める薬で、カフェイン、アンフェタミン、セレギリン、メチルフェニデート、モダフィニルが含まれる。 知りたかったこと 筋緊張性ジストロフィーの過眠症の治療において、精神刺激薬がプラセボ(ダミー治療)や無治療よりも優れているかどうかを調べたかった。 実施したこと 筋強直性ジストロフィーおよび過眠症の小児および成人において、精神刺激薬をプラセボまたは無治療と比較した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方法や規模などの要因に基...
1 year ago
分娩第2期に会陰にヒアルロニダーゼを注射すると、出産する女性の会陰外傷を減少させられるか? 要点 分娩第2期の女性に対して、会陰にヒアルロニダーゼという物質を注射すると、何も介入しない場合に比べて、会陰外傷(予期せぬ会陰裂傷、または会陰切開として知られる意図的な外科的処置、あるいはその両方)のリスクを減らす可能性がある。ヒアルロニダーゼの注射とプラセボ(偽薬)の注射を比較した場合、差はないかもしれない。 分娩第2期に会陰にヒアルロニダーゼを注射すると、プラセボ注射と比較して、経腟分娩24時間後の会陰の腫脹をおそらく減少させる。 経腟分娩において会陰にヒアルロニダーゼを注射することの意義を十分に評価するためには、より質の高い研究が必要である。 経腟分娩における会陰外傷とは? 会陰は、泌尿生殖器と肛門を取り囲む組織からなる。会陰外傷とは、経腟分娩の際に、自然に起こる会陰裂傷と外科的に切開する会陰切開を合わせた損傷をさす。経腟分娩後の会陰外傷は非常に一般的だが、短期的および長期的な健康障害を伴うことがある。会陰外傷は、その重症度や損傷の範囲によって、第1度、第2度、第3度、第4度に分類される。 なぜ、経腟分娩時の会陰外傷を軽減する可能性のある技術を評価することが重要なのか? 会陰外傷は、出血、創部感染、肛門括約筋断裂、排尿困難、肛門失禁、肛門挙筋の損傷、性的問題などを起こす。そのため、...
1 year ago
フッ化ジアンミン銀は小児および成人に対するう蝕の予防と管理に有効か? 要点 - う蝕の予防や治療において、フッ化ジアンミン銀(SDF)の使用が、治療を行わなかった場合よりも優れているかどうかは不明である。 - う蝕の予防や治療において、SDFが他の方法よりも優れているかどうかは不明である。 ‐ 新たな研究により、SDFの有害事象、SDFによる歯の着色が問題となるかどうか、および最善の治療方法について解明できる可能性がある。 う蝕(むし歯)とは何か? う蝕(むし歯)は、口の中の細菌が食べ物の糖分を分解して酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を侵食することで起こる。その結果、歯に窪みや穴が生じる。う蝕は乳歯の歯冠部(歯肉より上の部分)、および永久歯の歯冠部と歯根部に影響を与える。予防や治療を行わない場合、歯痛や感染症を起こしたり、あるいは歯を失う可能性もある。 う蝕の予防または治療方法には何があるのか? う蝕の予防または治療方法には、細菌の侵襲から歯を守るために、液体やジェル状の薬剤を歯に塗布したり、シーラントを用いる方法がある。また、大きなう蝕の場合には充塡材を用いて治療することもある。フッ化ジアンミン銀(SDF)は安価な液状の薬剤であり、歯科医師や他の医療従事者によって歯に塗布することができ、特別な健康上の配慮が必要な患者を含め、あらゆる年齢層の患者に適用可能である。しかし、SDF...
1 year ago
ガランタミンはアルツハイマー病による認知症や軽度認知障害に効果があるか? 主要な結果 アルツハイマー病による認知症のある人の場合、ガランタミン(推奨用量は1日16mgから24mg)は、治療後6か月および治療後2年で、記憶力とセルフケア活動をする能力の低下を遅らせる。 軽度認知障害がある人の場合、ガランタミンとプラセボ(不活性薬または偽薬)を比較しても、記憶力の改善やセルフケア活動をする能力に差はない。 ガランタミンはプラセボと比較して、より多くの副作用(吐き気、嘔吐、下痢)を引き起こしたが、いかなる原因による死亡に関しては差はなかった。 背景 アルツハイマー病は、記憶、思考、行動の問題を引き起こす、高齢者の間で最も一般的な認知症である。この病気は時間とともに悪化し、日常生活に支障をきたすようになる。軽度認知障害のある人の場合、思考や記憶に影響を及ぼす症状は軽度で、通常は日常生活や活動に支障をきたすほど深刻ではない。 現在、アルツハイマー病の治療法はないが、症状を改善する薬はある。ガランタミンは、アルツハイマー病の症状を治療するために米国食品医薬品局(FDA)により承認された3種類のコリンエステラーゼ阻害薬の1つである。ガランタミンは、信号を伝達する脳内の化学物質アセチルコリンの濃度を高めることによって作用し、アルツハイマー病の症状を改善する可能性がある。 現在、軽度認知障害の治療...
1 year ago
スタチンを服用することで、血栓を起こしたことのない人の静脈に血栓ができるのを防げるか? 主な結果 - 静脈血栓塞栓症(VTE;静脈内に血栓ができたりそれが詰まったりする疾患)の一次予防を目的としてスタチンを使用したら、VTEおよび何らかの原因による死亡の発症率をわずかに減少させるかもしれないが、その減少幅は小さすぎて重要ではないかもしれない。 - スタチンは、深部静脈血栓症(DVT:下肢に血栓ができる疾患)、肺塞栓症(PE:肺の血管に血栓が詰まる疾患)、ミオパチー(骨格筋に影響を及ぼす疾患)を起こす可能性に影響を与えないかもしれない。 - 入手可能なエビデンスは限られており、その信頼性については確実ではない。今後の前向き研究は、十分な計画のもとに実施されるべきである。多くの人々が参加し、少なくとも1年以上の妥当な期間にわたって実施されるべきである。 静脈血栓塞栓症(VTE)とは何か? VTEとは、静脈に血栓ができて血管が詰まる病気である。血栓ができた静脈の血流が減少し、腫れや痛みを引き起こす。VTEは下腿、大腿、骨盤の「深部静脈」で起こることが最も多く、DVTと呼ばれる。血栓が外れて肺に移動した場合は、PEと呼ばれる。世界では、年間10万人あたり、57人がVTE、35人がDVT、21人がPEと診断されている。 スタチン系薬剤には、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピ...
1 year 1 month ago
慢性腎臓病と高血圧がある人にとって、血圧目標値を標準的な降圧目標値より低く設定すると、より多くの利益が得られるか? 主要な結果 ・血圧が高い人(高血圧患者)の血圧を下げると、健康上の利益が得られる。しかし、高血圧と慢性腎臓病の両方がある人において、血圧目標値をどれだけ低くするべきかはわかっていない。 ・血圧目標値を標準的な降圧目標値より強化しても(標準的な降圧目標値より血圧を下げても)、慢性腎臓病がある人の死亡数、重篤な好ましくない有害事象、あるいは心血管系イベント(心臓や血管に影響を与える疾患)は減らない可能性がある。血圧目標値を低くしても、心血管系疾患に関わる死亡数を減らしたり、腎臓病の悪化を遅らせたりすることはできないかもしれない。 慢性腎臓病とは? 慢性腎臓病とは、腎臓の機能が低下および損傷し、血液を正常に濾過できなくなる長期的な疾患である。慢性腎臓病は時の経過と共に進行しうるため、いずれは腎臓がまったく機能しなくなる可能性がある。高血圧(異常に高い血圧)は糖尿病に次いで二番目に多くみられる慢性腎臓病の原因である。 慢性腎臓病はどのように治療するか? 高血圧と慢性腎臓病がある人に対する治療法はないが、血圧を下げることで腎臓病の進行を遅らせることができる。しかし、最適な血圧水準についてはまだよくわかっていない。 知りたかったこと 知りたかったことは、高血圧と慢性腎臓病がある...
1 year 1 month ago
SARS-CoV-2感染者を診断するのに、(RNA抽出・精製を事前に行ったRT-PCR検査に代わる)検査室で行う分子検査はどの程度正確なのか? 要点 * TMA検査(逆転写酵素とRNA合成酵素を利用した、核酸増幅検査)と、RNA(ほとんどの生物学的機能に必須な分子)を抽出・精製する工程を省けるように特別に設計された市販のRT-PCR検査(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を利用した、核酸増幅検査)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者を特定するために、RNAの抽出・精製を事前に行うRT-PCR検査に取って代わるのに十分な精度があると思われる。しかし、エビデンスには若干の限界があるため、これらの結果は慎重に解釈・使用する必要がある。 * 他の検査室で行う分子検査の精度は、RT-PCR検査の代替検査として行うには、世界保健機関(WHO)が推奨する基準を下回っているか、信頼できる結論を導き出すのに十分な量のエビデンスがない。 * 評価した検査から得られた精度に関するデータを同じ技術を用いた他ブランドの検査に外挿することは、解析した主な検査手法がそれぞれ高精度だったブランドの検査によって占められていたため、困難である。実際の臨床現場におけるこれらの検査については、さらなる評価が必要である。 SARS-CoV-2感染者を特定するための、検査室で行う分子検査にはどのようなものがあるか?...
1 year 1 month ago
水道水へのフッ化物添加はむし歯の予防に有効か? 要点 - 水道水へのフッ化物添加は、小児における乳歯のう蝕をわずかに減少させる可能性がある - 水道水へのフッ化物添加は、う蝕に罹患していない小児がわずかに増える可能性がある - 水道水へのフッ化物添加の利点は、歯磨き粉(歯磨剤)へのフッ化物添加が普及する以前よりも少ない可能性がある むし歯(う蝕)とフッ化物の使用 むし歯(う蝕)は、成人や小児のほとんどが罹患する世界的な問題である。う蝕を治療せずに放置すると、痛みを引き起こし、歯を抜かなければならなくなる可能性もある。 フッ化物は無機物として水中にさまざまな濃度で存在し、う蝕を予防する効果がある。1975年以降、フッ化物はほとんどの歯磨剤に含まれている。フッ化物は洗口液にも使用されており、歯科医師はフッ化物を治療に応用している。また、地域の水道水にフッ化物を添加することも可能であり、この場合、当該地域のすべての人に対しフッ化物を応用することができる。 小児が永久歯の形成期にフッ化物を過剰に摂取すると、永久歯に白い斑点が生じることがあり、これは歯のフッ素症と呼ばれる。歯のフッ素症は多くは非常に軽度で、ほとんどが目立たない白い線や筋ができる程度である。しかし、まれにフッ素症が顕著に現れることもあり、歯の見た目に悪影響を及ぼすこともある。 何を調べようとしたのか? フッ化物を添加した水道...
1 year 1 month ago
統合失調症がある人やその家族を対象とした介入は、標準治療よりも効果的なのか? 要点 - 家族介入によって統合失調症がある人の再発を減少させる可能性がある。 - 家族介入は介護者の負荷を軽減する可能性が高く、統合失調症がある人の家族における感情表出(家族関係や交流関係を含む患者にとって不利な家族環境)を改善する可能性がある。 - 統合失調症がある人とその家族に対する家族介入について確かな結論を出すためには、さらなる研究が必要である。 統合失調症とはどのような病気で、家族にどのような影響を及ぼすのか? 統合失調症は深刻で長期にわたる精神障害である。統合失調症がある人は、妄想、幻覚、まとまらない言動、活動性やセルフケアの低下、あるいはこれらの症状の組み合わせに悩まされることがある。また、回復してもまた病気になる(再発)ことが多い。治療は通常長期的で、薬物療法と、社会技能訓練、会話療法、行動療法などの「心理社会的」介入が含まれ、統合失調症がある人の症状の回復と管理を支援する。家族は病気の家族の世話において重要な役割を担っており、その結果、家族に精神的苦痛や大きな負担がかかり、統合失調症がある人の再発リスクを高める可能性がある。家族への介入は、家族の知識、感情、行動、そして家族環境全体を改善することに焦点を当て、それによって家族の幸福と患者の症状管理に利益をもたらす。プライバシーや家族への...
1 year 1 month ago
心理的または教育的な介入(もしくはその両方)は自宅で生活している高齢者の転倒を減らすことができるか? 主なメッセージ - 心理的な介入、すなわち動機づけ面接(「変わりたい一方で変わりたくない」のような不確定な気持ちを丁寧に引き出し、個人の内発的動機づけを促すことで行動変容を目指す方法)とコーチングを含む介入に、それに合わせた教育的な介入(運動や薬物療法に関するアドバイスなど)を組み合わせても、転倒する人数(転倒者)はほとんど、あるいは全く変わらないが、転倒する回数は減少する可能性が高い(ただし、どの程度減少するかは不明)。 - 個々の心理的または教育的な介入の効果を確信できるほどの十分に質の高いエビデンスはなかった。 調べたかったこと 年齢を重ねるにつれ、転びやすくなり、ケガをする可能性が高くなる。高齢者の3人に1人が毎年転倒していると推定され、転倒は自立した生活や健康寿命に影響を及ぼす可能性がある。転倒はさまざまな理由で起こるが、それぞれの危険因子(筋力低下、視力、環境、薬など)に合わせた運動や介入を行うことで、転倒を減らすことができる。転倒するかもしれないと不安になれば、行動を制限することになり、転倒リスクが高まる可能性がある。心理的な介入は、転倒に対する不安を軽減し、転倒を予防するための行動をとる意識や意欲を高めることを目的としている。教育的な介入は、転倒のリスクを減らす方...
1 year 1 month ago
小児喘息の発作における非侵襲的陽圧換気法 要点 ・どの研究でも、死亡または重篤な好ましくない事象は一切報告されていない(1件で挿管率(気管へのチューブ挿入)の報告があるのみ)。 ・非侵襲的陽圧換気は喘息症状スコアの改善、挿管率の低下につながり、小児集中治療室の滞在期間がわずかに短縮される可能性があるが、この結果の確実性は非常に低い。 小児喘息の発作に対してどのような治療が行われるか 喘息は世界的に重要な公衆衛生上の課題で、経済的な影響も大きい。喘息のある小児には、入院や、場合によって集中治療室入室が必要となる発作がしばしば起きる。 喘息発作に対する治療は、特に集中治療室に入室した小児の場合、主に、気道の筋肉を弛緩させる気管支拡張剤と炎症を抑えるステロイド(薬)の吸入または静脈内投与(静脈内への注入)である。これらの患者の多くは、うまく呼吸ができないので、持続陽圧換気(CPAP)や二相性陽圧換気(BiPAP)などの非侵襲的陽圧換気(NPPV)の形で呼吸補助が行われる。これらはいずれも侵襲的な人工気道を使わずに陽圧による呼吸補助を行う方法である。CPAPでは、かかる圧力は呼吸のサイクルを通じて一定だが、BiPAPでは息を吸うときには、吐くときよりも高い圧力がかかる。この陽圧はしばしば、フロージェネレーター(加圧空気供給装置)に接続された鼻マスクまたは(鼻と口を覆う)顔面マスクを介して...
1 year 1 month ago
認知症や軽度認知障害のある人にとって、エクサゲームの利益とリスクは何か? 要点 - 体を動かすビデオゲーム(「エクサゲーム」)は、認知症や軽度認知障害のある人の学習や項目の記憶といった思考能力の向上に役立つ可能性があるが、完全な確証はない。 - 現時点では、認知症や軽度認知障害のある人の歩行能力、バランス能力、支払いや買い物などの日常生活能力を向上させるのに役立つ可能性を示唆するエビデンスはほとんどない。 認知症と軽度認知障害とは? 認知症は、記憶力、思考力、日常業務遂行能力に影響を及ぼすような脳の変化を伴う疾患である。物事を記憶したり、計画を立てたり、集中したり、コミュニケーションをとったりすることが難しくなる。こうした変化は通常、時間とともに悪化し、最終的には日常生活に支障をきたすようになる。 軽度の認知障害とは、記憶や思考に何らかの問題があることを意味するが、認知症のある人ほど重度ではない。しかし、後に認知症になる可能性もある。軽度認知障害のある人は、物事を思い出したり、はっきりと考えたりすることに苦労することがあっても、請求書の支払いや買い物に行ったり、家をきれいに保ったりといった日常的な仕事はこなすことができる。基本的には、認知症ほど重度ではないが、時間の経過とともに進行する可能性のある、記憶や思考の困難があるようなものだ。 エクサゲーム(体性感覚ゲーム)とは何か? 現...
1 year 1 month ago
成人が足首(足関節)を骨折した後の回復に役立つのはどのようなアプローチか? 主なメッセージ - 手術後3週間以内に、骨折した足首に体重をかけると、回復が早まる可能性がある。しかし、早まる期間は短いかもしれない。 - 手術後6週間は、取り外しができる足首用サポーター(怪我をした足首を伸ばしたり動かしたりできる)を使用すると、回復が早まるかもしれない。しかし、繰り返しになるが、早まる期間は短いかもしれない。 - 足首を骨折した後の回復に向けた理学療法の価値を評価する十分なエビデンスはない。 足首の骨折 足首の骨折は、最も一般的な骨折のひとつである。骨折を治すために手術が必要なこともあれば、足首が治るまでの数週間、サポーターだけで対応できることもある。骨折が治るには通常6週間ほどかかるが、日常生活を今まで通りに送るためには、もっと長い時間がかかることもある。この回復の時期には、足首の動きや筋力、あるいはその両方を改善させるために、さまざまなアプローチを用いることができる。 回復のためにはどのようなアプローチがあるか? - 体重を早期にかける(早期荷重)か、遅れてかける(遅延荷重)か:手術後3週間以内に足首に体重をかけ始めるように勧められることもある。あるいは、最初の6週間ほどは、骨折した足首に一切体重をかけないように言われることもある。 - 取り外しができる足首用サポーター、または取り...
1 year 1 month ago
脳卒中後の成人の筋肉や腱の短縮による関節の拘縮の改善に対して支援技術は役立つか? 主なメッセージ ・質の低い研究が7件しか見つからなかったため、支援技術による治療が通常の治療より優れているかどうかについて確信をもって結論づけることはできない。 ・脳卒中後の成人の拘縮管理における支援技術の有益性と有害性を評価するためには、さらなる研究が必要である。 拘縮とは? 脳卒中後、多くの人は筋肉や腱が短くなったり硬くなったりすることで手足の変形を起こす。拘縮の主な原因は、手足が縮んだ状態で動かなくなることである。 支援技術とは? 支援技術とは、電気刺激や機械的な手段、例えばスプリント(プラスチック製の患部を固定する装具)などを使って筋肉や軟部組織を伸ばす装置のことである。 知りたかったこと 脳卒中後の成人の他動的な関節可動域(外部からの補助によって関節をどれだけ動かせるか)と拘縮部分の衛生状態を改善するために、どのような支援技術が、通常の治療、治療なし、あるいは別の支援技術よりも優れているかどうかを知りたかった。また、支援技術による有害事象があるかどうかも知りたかった。 実施したこと 支援技術の効果を、治療なし、通常の治療、または別の支援技術と比較して評価している研究を探した。研究結果を比較し、まとめた上で、研究方法や研究規模などの要素に基づくエビデンスの確実性を評価した。 わかったこと 支...
1 year 2 months ago
心房細動がある人に対する運動を中心とした心臓リハビリテーション 主なメッセージ ・運動を中心とした心臓リハビリテーションは、おそらく心房細動(AF)がある人の症状や生活の質を改善し、運動耐容能(その人が耐えることができる最大の運動量)を向上させる可能性がある。 ・死亡者数や重篤な有害事象に対する運動の影響については、十分なエビデンス(証拠)がない。 ・エビデンスの質は、中程度から非常に低いものまであった。さらなる質の高い研究が必要である。 心房細動とは? 心房細動(AF)は不整脈である。心房細動は、脳卒中やその他の心臓関連の合併症のリスクを高める可能性がある。心房細動の症状には、動悸、倦怠感、めまいなどがある。運動は、心臓や心身および全体的な健康状態に影響を与えるため、心房細動がある人にとって有益であるかもしれない。 調べたかったこと 心房細動がある人に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの有益性と起こりうる弊害について調べた。 実施したこと 心房細動がある人に対して、運動を中心とした心臓リハビリテーションを実施した場合と運動なしの場合を比較した研究を調べた。また、死亡者数、重篤な有害事象、心房細動の重症度や患者のウェルビーイング(心身のみならず社会的にも良好な状態)など、さまざまな尺度への影響を知りたかった。 わかったこと 合計2,039人の心房細動がある人を対象とした...
1 year 2 months ago
顎関節症に対する咬み合わせ(咬合)の治療の利益とリスクは何か? 要点 顎関節症の患者に対して、スプリント(Occlusal splint)というマウスピースの一種を使用することで、治療を行わなかった場合と比較して咀嚼時の痛みが軽減する可能性があるが、その結果は非常に不確実である。また、スプリントが他の利益をもたらすというエビデンスはほとんど、または全くなく、この結果についても不確実である。 スプリントの使用や咬合調整(歯を削って咬み合わせを調整すること)が有益か、または有害かの明確なエビデンスを見つけ、他の治療法と比較した際の効果を評価するためには、さらなる研究が必要である。 顎関節症とは何か? 顎関節症(Temporomandibular disorders:TMD)は、顎の関節(顎関節)やそれを動かす筋肉に影響を及ぼし、痛み、開口量の減少、顎関節の音(クリック音)などの問題を引き起こすことがある。顎関節症は、顔の片側または両側の筋肉、関節、またはその両方が関係することがある。 咬合治療とは何か? 咬合治療とは、咀嚼時などの上下の歯を咬み合わせる時や、安静時における歯の接触状態を変化させる治療である。これは、スプリントを装着したり、歯を削るなどの調整(咬合調整)をすることによって行われる。スプリントは、その働きによって、スタビライゼーション(安定化)タイプ、レフレックスタイプ(...
1 year 2 months ago
生命を脅かす疾患を持つ人々の不安、うつ状態、実存的苦悩を治療するためのサイケデリック支援療法 主な結果 - 生命を脅かす疾患(癌など)を持つ人々において、「古典的な」サイケデリック(シロシビン(「マジックマッシュルーム」)、LSDなど)を用いたサイケデリック支援療法が、不安やうつ症状の軽減をもたらす可能性があることがわかった。 - また、実存的苦悩(人生に意味がないと感じるなど)や生活の質(QOL)は、古典的なサイケデリック薬によって改善されるかもしれないが、そのエビデンスはまちまちであり、非常に不確かであることもわかった。 - MDMA(「エクスタシー」)を用いたサイケデリック補助療法については、これらの結果(評価項目)に関するデータはごくわずかであり、その結果については非常に不確かである。 - 特定した研究では、サイケデリック補助療法による重篤な副作用は報告されていないが、そのエビデンスは非常に不確かである。中等度の副作用は、薬効が消失した後、あるいはその後1週間以内に治まった。 生命を脅かす病気を持つ人々における不安、うつ状態、実存的苦悩の意義とは? 不安、うつ状態、実存的苦悩は、生命を脅かす病気に直面した人々が頻繁に経験し、本人だけでなく介護者の生活の質(QOL)にも悪影響を及ぼす。 不安、うつ状態、実存的苦悩はどのように治療されるのか? これらの症状の治療は、特に終末期...
1 year 2 months ago
進行性多発性硬化症の進行を遅らせたり、遅らせたりする可能性のあるさまざまな治療法の利益とリスクは何か? 要点 - 全体として、再発や障害の悪化を遅らせる治療効果については非常に不確かである。リツキシマブは治療2年後、インターフェロンβ1bは治療3年後に投与すると、おそらく再発を経験する人の数をわずかに減少させるというエビデンスが見つかった。 - 有害事象のために服用を中止する人の数は、インターフェロンβ1aでわずかに多く、インターフェロンβ1b、リツキシマブ、免疫グロブリン、酢酸グラチラマー、ナタリズマブ、フィンゴリモド、シポニモド、オクレリズマブでおそらくわずかに多い。 - 進行性多発性硬化症がある人に対して、長期にわたって免疫系に作用する薬剤の有益性と有害性を評価するためには、治療法間の比較を行う長期間の研究が必要である。今後の研究では、生活の質(QOL)や思考力、学習能力、記憶力、判断力、意思決定能力など、進行性多発性硬化症がある人にとって重要な他の影響も考慮すべきである。 背景 多発性硬化症は、免疫システムの障害による脳と脊椎の炎症によって引き起こされ、その結果、日常生活動作が徐々に制限されるようになる。多発性硬化症がある人は通常、疲労感、痛み、筋肉のけいれん、体の一部の感度や強度の低下や喪失を経験する。症状の出現は「再発」と呼ばれ、「再発寛解型」と呼ばれる多発性硬化症で...
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19 hours 37 minutes ago
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