11 months 4 weeks ago
高齢者の不安障害および関連障害に対する認知行動療法と第三世代アプローチ 認知行動療法(CBT)は、不安障害のある高齢者に対し、最小限の管理や他の心理療法よりも効果があるのか? 要点 - 認知行動療法(CBT)は、最小限の管理と比較して、治療直後の不安の重症度を軽減する可能性があることを示すエビデンスがある。しかし、不安の重症度の軽減は持続しない可能性があり、6か月後には治療法による差が認められないこともある。 - エビデンスが不足しているため、CBTが他の心理的治療と比較して効果が高いか低いかはわからない。 - 不安の問題を有する高齢者が、CBTを受けて完全に回復するか、あるいは症状の改善を示すかどうかを明らかにするには、より大規模で十分にデザインされた研究が必要である。 不安障害のある高齢者に対する認知行動療法とはどのようなもので、なぜ重要なのだろうか? 不安障害は、高齢者によくみられるメンタルヘルスの問題である。不安障害は、通常の状況や通常の活動中に、過度の恐怖、心配、緊張を感じることが特徴である。不安障害のある人は、心臓のドキドキ、発汗、震え、吐き気、呼吸困難などの身体症状を経験する。その結果、不安障害がある人は通常、このような過剰で圧倒的な恐怖を経験する状況や活動を避けようとする。不安障害は日常生活や正常な機能を妨げる。 全般性不安障害(GAD)は、特に心配する理由はない...
1 year ago
統合失調症がある人に対するハロペリドールとオランザピンとの比較 要点 この2種類の薬に利益の点で差があるかどうかは、非常に不確かである。 オランザピンは、全般的な精神状態(行動、気分、思考、知覚など)を改善するという点で若干の利点があり、生活の質(QOL)の点でも利点があるかもしれない。 オランザピンでは体重が増加しやすく、ハロペリドールでは運動障害を起こしやすい。ハロペリドールを服用している人は、服薬を中止する可能性がより高い。 ハロペリドールとオランザピンのどちらかを選択する場合、考慮に入れるべき要素は、その人の嗜好、体重の増減傾向などの特徴、薬物療法の経験である。 統合失調症とは? 統合失調症がある人は、しばしば他の人には聞こえない声を聞いたり、他の人には見えないものを見たり、他の人にはない信念を持ったりする。また、非常に疲れやすく、興味がなく、感情を感じにくくなることもある。このレビューは重要である。なぜなら、統合失調症は重度の精神疾患であり、生涯に診断される確率は約1%だからである。 ハロペリドールとオランザピンとは何か? ハロペリドールは、統合失調症の治療に何十年も使われてきた。今でも最もよく処方される治療のひとつであり、明確な利益がある。また、特に高用量では、落ち着きのなさ、制御不能な体の揺れ、震え、こわばりなどの副作用もある。オランザピンは、比較的新しい薬である。...
1 year ago
小児における歯のフッ素症の原因としてのフッ化物局所応用 小児期におけるフッ化物局所応用は斑状歯の形成と関連するか? 要点 高いフッ化物濃度(1,000ppm以上)の歯磨剤を1~2歳の小児に使用することは、永久歯の歯のフッ素症(斑状歯や変色歯)のリスクの増加と関連しているといういくつかのエビデンスがある。 しかし、小児が歯磨きを開始する時期、使用する歯磨剤の量、歯磨きの頻度など、永久歯のフッ素症のリスクに関しては、決定的なエビデンスはない。 歯のフッ素症(斑状歯)とは何か? これまでの研究で、フッ化物を含む歯磨剤がう蝕を予防することが示されている。しかし、歯の発育期にフッ化物を過剰に摂取した小児は、永久歯に歯のフッ素症を発症する可能性がある。歯のフッ素症は、永久歯に白い縞や筋、不透明な大きな斑点、褐色の変色、穴、もしくは破折として見られることがある。 何を調べようとしたのか? 今回のレビューの更新では、幼児期における局所フッ化物塗布が永久歯のフッ素症と関連するかどうかを明らかにするために、より多くの適切にデザインされた研究が近年発表されているかどうかについて調査した。 何を行ったのか? 小児におけるさまざまな局所的フッ化物への曝露(歯磨きを開始した年齢、歯磨きの頻度、歯磨剤のフッ化物濃度など)と永久歯のフッ素症リスクとの関連を評価した研究について検索を行った。研究結果を比較、要約し...
1 year 1 month ago
生殖補助医療を受ける女性に対するアンドロゲン(デヒドロエピアンドロステロンまたはテストステロン) 要点 生殖補助医療(ART)、すなわち体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)を受けている女性で、反応不良と判定された場合は、テストステロンによる前治療または併用療法を考慮すべきである。 レビューの論点 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とテストステロンは、アンドロゲンとして知られるホルモンである。何年もの間、妊娠の可能性を高めるために、これらの合成ホルモン剤がART治療の前に使用されてきた。アンドロゲンは、卵子の数を増やし質を向上させることにより、生児出産の可能性を高めると考えられている。 重要である理由 アンドロゲン(DHEAとテストステロン)は、ARTの補助治療として医師によって処方されることが多く、その使用は患者から要望されている。アンドロゲンの前治療または併用療法がARTの治療成績を改善するかどうかについては、質も結果も異なる多くの研究が行われてきた。 何を調べようとしたのか? 私たちは、補助治療としてのアンドロゲン(DHEAまたはテストステロン)が、プラセボ、無治療、または改善を目指した他の積極的治療よりも優れているかどうかを調べたかった: - 生児出産率/妊娠継続中(「生児出産」とは、妊娠20週以降の出生(死産を含まない)、「妊娠継続中」とは、12週以...
1 year 1 month ago
双極性障害にみられる身体活動に影響を及ぼす要因 要点 双極性障害の人が身体活動に参加するにあたって影響を受ける要因を調べた研究はわずかしかなかった。見つかった研究では、双極性障害の人にとって定期的な身体活動が有益であることが示唆されたが、活動的であることを奨励する効果的な方法だけでなく、いくつかの障害や課題もある。 この統合の目的 この質的エビデンス統合の目的は、双極性障害の人に身体活動を促す要因を探ることである。双極性障害がある人、医療専門家、家族や介護者の視点からの意見や経験に関する質的研究を検索し、分析した。合計592人(オンライン調査に質的データを提供した422人、質的研究から170人)が参加した12件の研究を対象とした。 このエビデンスの統合で検討したこと 双極性障害がある人の多くは身体の健康に問題を抱えており、身体活動を増やせば心身の健康改善に役立つ可能性がある。双極性障害の身体活動促進を目的として、サービス利用者、医療専門家、家族や介護者から意見を求めた質的研究(参加者の経験、信念、行動を収集する研究)を検討した。レビュー著者らはメンタルヘルスと身体活動の分野で働く研究者かつ医療専門家、またはそのいずれかであり、この分野で発表された研究が少ないことから、このレビューテーマを扱った。 本レビューの主な結果 欧州、北米、南米、オーストラリアで行われた12件の研究を対象と...
1 year 1 month ago
医療的に複雑な子どもたちのための包括的ケア・プログラム 本レビューの目的 このコクランレビューの目的は、医療的複雑性を持つ子どもたちにケアコーディネーションやその他のサービスを提供する包括的ケアプログラムが、このグループの子どもたちとその家族の結果(評価項目)を改善するかどうか、また医療サービスの利用と費用に影響を与えるかどうかを明らかにすることである。 要点 医療的複雑性を持つ子どもたちのための包括的ケアプログラムに関する研究は限られており、調査結果は慎重に扱われるべきである。 包括的ケアプログラムは、提供されたケアに対する子どもと家族の満足度を高めるかもしれない。しかし、子どもや親の健康、機能、生活の質(QOL)を向上させるかどうか、また医療費や家族の負担にどのような影響を与えるかについては、さらなる研究が必要である。 知りたかったこと 包括的なケアプログラムが医学的複雑性を持つ子どもたちに有効かどうかを知りたかった。包括的ケアプログラムは、子どもの治療チームのメンバー間のコミュニケーションを助け、子どもに最適なヘルスケアを提供することを目的としたケアコーディネーションを提供する 。 ケアコーディネーションには、治療計画の立案、結果や資源利用のモニタリング、医師との面会調整、不必要な検査やサービスの回避、医療従事者や家族間の情報共有、退院計画、介護者や地域サービスのトレーニン...
1 year 1 month ago
入院中に開始された禁煙のための介入 要点 - 喫煙者が病院に入院した場合、入院中に禁煙カウンセリングを受け、帰宅後も少なくとも1か月間継続すれば、カウンセリングを受けない場合に比べて禁煙を助けることができる。 - ニコチンパッチやバレニクリンなどの薬物とカウンセリングの併用も、退院後の禁煙に役立つ。これらの治療法は、入院中にカウンセリングや薬物療法を開始しないよりも効果がある。 - 病院や病院の臨床医が入院中や退院後に禁煙支援を行うことを支持するエビデンスがあり、退院前あるいは退院時に禁煙を開始することが、退院後も禁煙を継続するために有益であることが示されている。 知りたかったこと タバコを吸う入院患者の禁煙を支援するために、どのような介入が有効かを調べたいと考えた。主な目的は、どの治療法が入院患者の禁煙を少なくとも6か月間助けることができるかを調べることであった。喫煙は、癌、心疾患、肺疾患など、多くの健康問題の原因となるため、重要である。喫煙者で、医学的な病気、特に喫煙に関係する病気の治療のために入院している人は、禁煙のアドバイスを受け入れやすいかもしれない。禁煙の病院環境は、禁煙を試したり、退院後も禁煙を維持するための治療を始めたりするのにも役立つだろう。 実施したこと 医療入院中に開始された禁煙介入(薬物療法対薬物療法なしまたはダミーピル、および/またはカウンセリング対カウ...
1 year 1 month ago
人道危機の影響を受けた低・中所得国に住む人々において、心理的・社会的介入はメンタルヘルスの改善を促進するか? 要点 - 人道的環境において、メンタルヘルスのポジティブな側面を促進するための介入を支持する十分なエビデンスは見つからなかった。より大規模で、十分に実施されたランダム化比較試験が必要である。 人道的危機時のメンタルヘルス 人道的危機とは、通常は広範囲にわたって、地域社会や大人数の人々の健康、安全、治安、福利を脅かすような出来事、または一連の出来事のことである。例えば、戦争や武力紛争、飢饉、地震、ハリケーン、洪水などの災害が挙げられる。人道的危機を生き抜く人々は、身体的・精神的苦痛を経験し、心的外傷後ストレス障害、うつ病、不安症などの精神障害を発症しやすい非常に困難な状況を経験する可能性がある。人道危機における精神障害の推定発生率は、うつ病と不安症で17%、心的外傷後ストレス障害で15%である。 心理的・社会的介入とは? 心理的・社会的介入(心理社会的介入とも呼ばれる)は、心の健康を形成する社会環境の重要性を認識している。それらは通常、心理的要素(その人の精神的・感情的状態に関連するもの、例えばリラクゼーション)と社会的要素(社会的支援を向上させる努力など)の両方を含んでいる。それらは、メンタルヘルスのポジティブな側面(希望や社会的支援の強化、子育てスキルなど)を促進するこ...
1 year 1 month ago
急性心的外傷性ストレス症状を持つ人に対する心的外傷後ストレス障害予防薬 要点 - 心的外傷体験の後には、急性ストレス症状がよく見られる。通常は期限付きである。しかし、人によっては、それが持続したり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)として知られる状態にまで進行することもある。薬物療法は、後のPTSDの予防手段として提案されている。 - 以下の4種類の薬物のデータを発見した:抗うつ薬であるエスシタロプラム、免疫反応を低下させ、ストレスに対する身体の反応に関与するホルモンであるヒドロコルチゾン、ストレスに対する反応を軽減するホルモンであるオキシトシン、不安を軽減するために使用される薬であるテマゼパムである。これらはすべてプラセボ(偽薬)と比較された。 - すべての薬について、PTSDになる可能性、PTSDの重症度、または有害な影響に効果があるかどうかは不明である。 急性ストレス症状とは? 心的外傷を受けた人は、その直後に急性心的外傷性ストレス症状とも呼ばれる精神症状を示すことがある。このような症状には、侵入的な記憶や悪夢、肯定的な感情を感じることができない、現実感の変化、心的外傷となった出来事の苦痛な記憶や想起を避けようとする努力、睡眠障害、起こりうる脅威に対する警戒心の亢進などがある。 なぜ急性ストレス症状は、心的外傷後ストレス障害で重要な症状なのか? 急性心的外傷ストレス症状は時...
1 year 1 month ago
幼児期う蝕予防のための、妊婦や新しく母親になった女性、その他の主な養育者への介入 妊婦や新しく母親になった女性、主な養育者に、基本的な歯科治療や口腔保健情報を提供することは、幼児の虫歯を予防するか? 要点 - 妊娠中の女性や母親、養育者に、母乳、哺乳瓶での授乳、固形食の導入など、健康的な子どもの食事や授乳方法に関する情報を提供することで、幼児の虫歯リスクをわずかに減らすことができる。 - 早期虫歯を予防する可能性のあるさまざまなタイプの支援プログラム、特に低所得層の子どもたちに対する支援プログラムの有益性と有害性を理解するためには、さらなる研究が必要である。 なぜ幼児の虫歯予防が重要なのか? 生まれてから6歳までは、虫歯(幼児う蝕と呼ばれることが多い)はよく見られ、一般的に貧困にあえぐ子どもほど悪化する。虫歯は痛みを引き起こし、子どもの健康に長期的な悪影響を及ぼす可能性があり、治療にはお金がかかる。 幼児の虫歯の原因は? 砂糖と歯垢(歯に付着した細菌の層)が虫歯の原因となる。しかし、妊婦や母親、その他の養育者の態度、信念、習慣は、子どもに虫歯ができやすいかどうかに影響する。 知りたかったこと 私たちは、妊婦や新しく母親になる女性、その他子ども(1歳児まで)の養育者を対象に、どのようなプログラムが虫歯を予防し、虫歯の本数、歯の欠損本数、詰め物の必要本数を減らすことができるかを知りた...
1 year 1 month ago
冠動脈疾患、心不全、心房細動のある人において、心理的介入は、心理的介入を行わない場合と比較して、うつ状態や不安を軽減するか? 要点 - うつ状態や不安に対する心理的介入は、冠動脈疾患や心不全のある人において、おそらくうつ状態や不安の中等度の減少をもたらす。 - うつ状態や不安に対する心理的介入は、冠動脈疾患や心不全のある人において、精神的健康に関連した生活の質(QOL)の中等度の改善をもたらすが、身体的健康に関連したQOLは改善しない。 - 心房細動のある人を対象とした研究はないため、この集団におけるうつ状態と不安に対する心理的介入の効果は不明である。 心臓病とは何か? 「心臓病」とは、冠動脈疾患(心臓への血流が減少)、心不全(心臓のポンプ機能が低下)、心房細動(心臓の拍動が不規則)など、心臓に影響を及ぼすさまざまな疾患を指す。 なぜ心理的介入が心臓病のある人の助けになるのか? 心臓病のある人の多く(約40%)がうつ状態や不安の症状を持っており、その多くは長期にわたっていることを示唆するエビデンスが増えつつある。心理的介入とは、よりポジティブな思考、感情、行動を生み出すために用いられる療法で、例えば、より正確でバランスの取れた信念を身につけるための認知行動療法や、瞑想に基づく療法であるマインドフルネスなどがある。これらの介入が、さまざまな心理障害、つまり気分や思考、行動に悪影響を...
1 year 1 month ago
7歳までの小児における急性上気道感染症予防のための経口ビタミンAサプリメント 背景 急性上気道感染症(URTIs)は、小児、特に就学前の小児に最も多い急性感染症である。ビタミンAは免疫系に良い働きをし、感染症に対する宿主の防御力を高める可能性がある。ビタミン欠乏症の子どもは呼吸器感染症にかかりやすいという研究結果もある。そこで、就学前(7歳まで)の小児の急性上気道感染症予防におけるビタミンA補給の役割を評価した。 レビューの論点 就学前児童(7歳まで)の急性上気道感染症予防におけるビタミンA補給の役割は、補給しない場合と比較してどのようなものか? 検索期間 2023年6月8日までのエビデンスを検索した。 研究の特性 対象となった研究はすべて、低・中所得国(インド2件、南アフリカ2件、エクアドル1件、ハイチ1件)で実施されたものである。ビタミンA欠乏症のない健康な子供を含んだ研究が3件、HIV感染女性から生まれた子供を含んだ研究が1件、低出生体重児の新生児を含んだ研究が1件、栄養不良やドライアイを経験しやすい地域の子供を含んだ研究が1件であった。2つの研究では、ビタミンAに加えてビタミンEを併用した。 主要な結果 27,351人の参加者を含む6件の研究を対象とした。研究によって提供されたエビデンスの信頼性は非常に低いか低い。 5つの研究が、一定期間にわたる急性上気道感染症の数を報告...
1 year 1 month ago
早産リスクのある女性に対する硫酸マグネシウムの投与は、赤ちゃんの脳を守るためにプラセボよりも優れているか? 要点 赤ちゃんの脳を保護するために、早産のリスクがある女性に硫酸マグネシウムを投与すると、プラセボと比較して、2歳までの脳性麻痺、および死亡または脳性麻痺の複合転帰が減少した。 この分野での今後の研究は、治療の効果に焦点を当てるべきである: - 子どもたちが思春期や大人になった時はどうか。 - 早産リスクがある異なる女性グループにおける違いや、硫酸マグネシウムの投与方法の違いはどうか。 硫酸マグネシウムとは? 硫酸マグネシウムは、妊娠中のさまざまな合併症に対して世界中でよく使われている薬である。 早産のリスクがある女性とその赤ちゃんにとって、なぜこれが重要なのか? 早産で(妊娠37週以前に)生まれた赤ちゃんは、死亡や脳性麻痺などの障害を含む合併症のリスクが高い。近年、早産になる可能性が高い女性(自然早産、または医学的な理由で早期の陣痛誘発や帝王切開出産を計画する場合)には、赤ちゃんの脳を保護し、これらの合併症を予防するために硫酸マグネシウムが投与されている。 知りたかったこと 早産で生まれる可能性が高い赤ちゃんの脳を保護するために、硫酸マグネシウムがプラセボ(薬を含まないが、試験中の薬と同じように見える "ダミー "の治療法)よりも優れているかどうかを調べたかった。 硫酸マ...
1 year 1 month ago
低リスク妊娠における胎児異常同定のための第1・2半期(訳注:日本では妊娠初期、中期を指す)超音波検査の精度 要点 出生前超音波検査は、発育中の胎児の潜在的な問題を特定するために、妊娠初期および中期によく使用されている。この研究では、700万人以上の胎児を対象とした87の研究を分析した。妊娠初期と妊娠中期の超音波検査は、いずれも正常な発育をよく確認できる(特異度が高い)が、問題を発見する能力(感度)にはばらつきがある。妊娠初期と中期に検査を受けた女性は、妊娠中期にのみ検査を受けた女性に比べ、妊娠24週以前に発見された異常が多かったようである。しかしこの差は、検出された実際の差というよりも、研究の条件設定の違いによるものかもしれない。 胎児異常とは何か? 胎児異常とは、妊娠中におこる、赤ちゃんの臓器や体の一部に影響を及ぼしうる異常のことである。これらの異常は、生命維持が不可能な重篤なものから、それほど重大でないものまであり、中には正常な範囲の変異とみなされるものもある。 胎児異常はどのように発見されるのか? 胎児異常は、主に超音波検査によって発見される。超音波検査では、音波を使って赤ちゃんの内臓の詳細な画像を作成する。ほとんどの国では、胎児の異常を調べるために妊娠中に1回超音波検査を実施しており、通常は妊娠18週から24週の間に行われる(妊娠中期スクリーニング)。早期の超音波検査を提...
1 year 1 month ago
風邪の予防および治療のための亜鉛 要点 ‐ 亜鉛サプリメントの摂取は、プラセボ(偽薬)と比較して風邪を発症するリスクはほとんど、あるいはまったく減少しない可能性がある。 ‐ 風邪を発症している場合の亜鉛サプリメントの摂取は、プラセボと比較して風邪の発症期間を短縮できる可能性がある。 - 風邪の治療に亜鉛を使用した場合、重篤ではない有害事象のリスクが増加する可能性がある。 風邪とは何か? 風邪とは、一般的に上気道におけるウイルス感染症である。特定の症状の組み合わせが風邪を定義するわけではないが、症状には発熱の有無にかかわらず、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、咳、疲労感、および鼻水などが含まれる。ほとんどは通常、特別な治療をしなくても回復するが、風邪を予防したり、風邪の期間を短縮したりする決定的な治療法はない。成人および小児における風邪の頻度を考えると、風邪は公衆衛生上の負担であり、労働生産性の低下や学校の欠席における有意な原因となっている。亜鉛による風邪の予防および治療の試みは、現在でも関心を集めている。 何を調べようとしたのか? 亜鉛がプラセボよりも風邪にかかるリスクを低減し、また風邪の発症期間を短縮するのに効果的であるかどうかについて調査した。プラセボとは、見た目は治療薬に似ているが、治療効果が不明な物質のことである。プラセボは、治療を受けているという思い込みがもたらす効果につ...
1 year 1 month ago
出産を控えた女性に対する助産師による継続的なケアモデルは、他のケアモデルと比べて、女性と赤ちゃんにとってより良いものなのだろうか? 要点 助産師による継続的ケアモデルを受けた女性やその赤ちゃんは、帝王切開や鉗子・吸引器による器械分娩を経験する可能性が低く、会陰切開(医療従事者が会陰や腟壁を切ること)を経験する可能性も低かった。自然経腟分娩を経験する確率が高かった。 助産師の継続的ケアモデルを受けた女性は、妊娠中、陣痛中、産後に、より肯定的な経験をしたと報告した。さらに、妊娠中のケアおよび陣痛が始まってから出産までのケアにおいて、コストも削減された。 今後得られるエビデンスによっては、結論が変わる可能性がある。今後の研究は、社会的危険因子を持つ女性や内科的合併症を持つ女性への影響、および助産師による継続的ケアモデルの導入と拡大対する理解について、特に低・中所得国に重点をおいて焦点を当てるべきである。 助産師の継続的ケアモデルとは? 助産師による継続的ケアモデルでは、妊娠、出産、育児初期において、同じ助産師または助産師チームによるケアを提供し、必要に応じて産科や専門チームと連携する。 知りたかったこと 助産師による継続的ケアモデルを受けた女性やその赤ちゃんの転帰が、他のケアモデルを受けた場合と比較してどのように異なるかを調べたかった。 主な転帰は、自然経腟分娩、帝王切開、局所麻酔(下...
1 year 1 month ago
重度精神疾患を持つ人々に対するコラボレーティブケアアプローチ 要点 このレビューでは、生活の質(QOL)、精神状態、精神科への入院に関して、中期的(12か月時点)にコラボレーティブケアが標準ケアよりも効果的であることを示すエビデンスは得られていない。 12か月後のQOL、精神状態、精神科病院への入院に差は認められなかった。1件の研究では、12か月後に障害の改善がみられた。障害は、社会的役割や活動という観点から、人々が生活の中でどの程度機能しているかを示す間接的な尺度として用いられた。 対象となった研究のほとんどは、厳密なコラボレーティブケアの定義(タイプAコラボレーティブケアと呼ぶもの)を満たしておらず、実施された介入には大きなばらつきがあった。さらに、エビデンスの大半は、確実性が低いか非常に低いものであった。 重度の精神疾患とは? 重度精神疾患(SMI)とは、日常生活に支障をきたすレベルの心理的問題を抱えた人を指す。統合失調症、双極性障害、非器質性精神障害はすべてSMIの例である。 知りたかったこと このレビューの目的は、標準ケアや通常ケアと比較したコラボレーティブケアの有効性を評価することである。 コラボレーティブケアとは何か? コラボレーティブケアの目的は、重度精神疾患を持つ人々の身体的・精神的健康を改善させることである。プライマリ・ケア(一般開業医(GP)や診療看護師)と...
1 year 1 month ago
成人における歯の根の炎症や感染(根尖性歯周炎および根尖膿瘍)による痛みおよび腫れに対する抗菌薬の効果 要点 - 根管治療の前に抗菌薬を1回投与しても、痛みや腫れにはほとんど、または全く差はないと考えられる。 - デブリードマン(根管内の部分的または全体的な洗浄を含む処置)後に抗菌薬を服用した場合の痛みや腫れに対する効果についてのエビデンスは、非常に不確実である。 - 歯痛の原因となり得る2つの疾患に対して、歯科治療を行わずに抗菌薬単独の効果を検討した研究はない。 根尖性歯周炎や根尖膿瘍はどのようにして起こるのか? 歯の痛みは、う蝕(虫歯)や外傷によって歯の神経(歯髄)が死んでしまった場合にしばしば生じる問題である。歯髄の壊死に続いて歯の根の先端部(根尖部)の周囲の骨に炎症が生じた場合、根尖性歯周炎という病態となる。これが痛みなどの症状を引き起こした場合、症候性根尖性歯周炎と呼ばれる。 治療しなかった場合、歯に感染した細菌の影響によって、根尖部に膿が蓄積し(根尖膿瘍と呼ばれる)、腫れや感染の拡大につながる可能性がある。 根尖性歯周炎や根尖膿瘍による歯痛はどのように治療されているのか? これらに対して推奨されている治療法は、壊死した歯髄や細菌を除去することである。これは通常、抜歯あるいは根管系の洗浄(化学的および機械的デブリードマン)によって行われる。 治療は一度の来院で完了すること...
1 year 1 month ago
バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか? 要点 ・バレニクリンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、ブプロピオン、または単独のニコチン代替療法(ニコチンパッチ等)よりも効果的であるというエビデンスが認められた。禁煙成功率は、2種類以上のニコチン代替療法を同時に行った場合(ニコチンパッチとニコチンガムの併用等)と同等である可能性がある。 ・シチシンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、バレニクリンと同等の効果が期待できるが、今後のエビデンスにより、その効果はバレニクリンには及ばないことが示される可能性がある。 ・今後の研究では、シチシンの有効性と安全性をバレニクリンや他の禁煙補助薬と比較し、また、シチシンやバレニクリンを異なる用量および異なる期間で投与することも検討する必要がある。 ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)とは何か? 喫煙は、健康に対し極めて悪い影響を与える。喫煙者にとって、禁煙は最善の健康改善手段であるが、禁煙は難しいと感じている喫煙者は多い。ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)は、禁煙の補助に使用される薬剤の一種である。NRPAは、禁煙時に現れる禁断症状(喫煙衝動や不快な気分など)を軽減するのに有効であり、また、喫煙時の快感も軽減される。この種類の薬剤で最も広く利用されているものはバレニクリンであり、...
1 year 2 months ago
嚢胞性線維症患者に対して肺感染症の治療法を決定するために気管支鏡検査で得られた検体を用いることについて 要点 小児のみを対象とした小規模な研究2件からエビデンスが見つかった。 肺感染症にどの抗生物質を処方すべきかの判断材料となる検体を採取する最良の方法はわかっていない。 レビューに至った背景 嚢胞性線維症(CF)は、肺、消化器系をはじめとする臓器に障害を引き起こす遺伝的疾患である。CF患者の呼吸障害は、主に肺感染症の繰り返しによるものである。咳をして下気道から吐き出される粘液の検体を培養することによって、感染症の原因を素早く特定し、早期に治療を開始することができる。咳をしても粘液が出ない場合、喉の上部から綿棒を使って採取し、下気道で感染を引き起こしている原因を特定するが、これは最も信頼できる方法ではないかもしれない。 気管支鏡検査では、医師が片端にライトとカメラが付いた柔軟で細長いチューブを使って下気道を調べ、粘液を採取することもある。患者には鎮静または全身麻酔が必要である。気管支鏡検査で採取した検体に基づく治療が、咽頭ぬぐい液に基づく治療よりも優れているかどうかは不明である。 本レビューは、2013年に発表された初回レビューの更新版である。 知りたかったこと 嚢胞性線維症(CF)患者に対する肺感染症の治療法を決定する際に、気管支鏡検査で得られた検体を使用するべきかどうかを調べた...
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7 hours 11 minutes ago
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