1 year 4 months ago
移民に対するヘルスリテラシー介入の利益とリスクとは? ヘルスリテラシーとは、人が健康情報を見つけ、理解し、評価し、利用するために必要な知識、動機、能力(読み書き能力など)を意味する。ヘルスリテラシーに関して移民は困難に陥るリスクがある(その国の医療制度をよく知らない場合など)。 「一般的な」ヘルスリテラシーとは、人が健康に関する意思決定をするために、一般的な健康情報を見つけ、理解し、利用できることを意味する。「疾患に特化した」ヘルスリテラシーとは、人が特定の疾患に関する情報を見つけ、理解し、利用できること、あるいは疾患の症状について知っていること、治療法について理解していることを意味する。 主な結果 いくつかのヘルスリテラシー介入が移民のヘルスリテラシーに低度から中等度のプラスの効果をもたらすという研究結果には、低度から中等度の信頼性がある。つまり、そのような介入は、医療用語の知識、認識、理解、あるいは健康情報の利用を向上させるのに役立つということである。 さらに大規模でデザインの優れた研究によって、移民女性や移民男性に対するヘルスリテラシー介入の長期的効果を検討する必要がある。 知りたかったこと 主な目的は、ヘルスリテラシー介入が移民のヘルスリテラシーの向上に役立つかどうかを調べることにあった。また、移民女性や移民男性が、こうした介入からより多くの恩恵を受けるかどうかも見極めた...
1 year 4 months ago
水疱性類天疱瘡に対する治療法 水疱性類天疱瘡(水疱とかゆみを伴うまれな皮膚疾患)に対する最も有効な治療法は何か? 要点 ・外用ステロイド薬であるプロピオン酸クロベタゾール含有クリームの全身の皮膚への塗布は、経口ステロイド(プレドニゾン)と同等の効果があり、重篤な有害事象も少なく、死亡例も減少させる可能性がある。 ・抗炎症作用のある抗菌薬であるドキシサイクリン(200mg/日)による治療は、経口ステロイド薬であるプレドニゾロン(0.5mg/kg/日)による治療と比較して、許容可能かつ短期的な水疱のコントロールが得られ、死亡事象を含む長期的な安全性においても優れている。 水疱性類天疱瘡とは何か? 水疱性類天疱瘡は、自己免疫性水疱症と言われる病気の中では最も一般的なものである。自己免疫疾患では、体の免疫系が自分自身の組織を異物と誤認して攻撃する。水疱性類天疱瘡では、これにより皮膚に水疱が生じる。通常、水疱性類天疱瘡は高齢者に発症するが、若年者にも発症する場合がある。 水疱性類天疱瘡はどのように治療されているのか? 水疱性類天疱瘡の主な治療法は、炎症と体の免疫系を抑制するためのステロイドの内服である。しかし、経口ステロイドを長期間服用すると、重篤な有害作用を引き起こす。 本レビューでは、水疱性類天疱瘡に対する他の治療法、例えば皮膚に塗布するステロイドクリームや、抗炎症作用を持つ抗菌薬であ...
1 year 4 months ago
尿路感染症予防におけるクランベリー レビューの論点 クランベリー(クランベリージュース、錠剤またはカプセル)は、尿路感染症(UTI)の予防に長年使用されてきた。クランベリーには、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐことができるプロアントシアニジン(PAC)という物質が含まれている。このため、感染症を予防して、働く人にとっては医療機関の受診に必要となる時間を節約できる可能性がある。しかし、現在、クランベリー製品に関して使用すべきPACの用量のレジメン(投与量、投与頻度などを含む投与計画)は確立されておらず、保健当局による正式な規制もない。特に、推奨される用量が製品のパッケージに記載されていないことがある。 実施したこと クランベリー製品を使用した場合に対して、プラセボ(クランベリーを含まない偽製品)を使用した場合または何も使用しなかった場合の尿路感染症の発生を比較したランダム化比較試験(RCT)の結果について解析した。また、抗菌薬やプロバイオティクス(乳酸菌などの生きた微生物を用いた製品)など他の処置とクランベリー製品を比較したランダム化比較試験の結果についても解析した。 わかったこと 合計8,857人が参加した50件のランダム化比較試験が見つかった。そのうち45件がクランベリーとプラセボまたは無処置を比較していた。クランベリーをジュース、錠剤またはカプセルとして摂取した場合、女性の再発...
1 year 4 months ago
ヒトインスリンの保管温度および保管条件 インスリンとは何か インスリンは膵臓で作られるホルモンのひとつであり、体が食物をエネルギーに変えるのを助けて、血糖値をコントロールする。糖尿病(ダイアベティス)患者は体内でインスリンを十分に作ることができないだけでなく、効果的に利用することもできないため、自分で注射しなければならない人もいる。 インスリンの保管方法 保健当局や製薬メーカーは、インスリンを日光に当てないこと、凍結させないこと、冷蔵庫で保管することを推奨している。ヒトインスリンの未開封のバイアルやフラスコ、インスリンペン用カートリッジは2℃から8℃の温度で保管する必要があり、そのためには信頼性の高い冷蔵設備が必要となる。開封後のバイアルまたはカートリッジは、常温で約4週間から6週間保管できるが、使用時間と(使用中のインスリンの)上限温度については、推奨が異なる。また、インスリンの種類、銘柄、インスリン濃度および容器の種類(バイアル、カートリッジ/ペン、インスリンポンプ)によっても推奨が異なる。メーカーから糖尿病患者への配送過程でのインスリンの輸送および保管温度(コールドチェーン)については、各規制当局が指導を行っている。信頼できる冷蔵設備が利用可能であれば、糖尿病患者は推奨にしたがってインスリンを保管すべきである。しかし、信頼できる冷蔵設備が利用できない場合、家庭でヒトインスリ...
1 year 4 months ago
慢性腎臓病の成人に対する抗酸化物質 慢性腎臓病患者は、早期の死亡、心血管疾患(心疾患や脳卒中になる)、および腎不全(透析や腎移植が必要になる)のリスクが高い。ビタミンのサプリメントのような抗酸化物質は、このようなリスクを軽減するための、容易な方法である可能性がある。 何を行ったのか? 2022年11月時点における文献を検索し、死亡、心血管疾患、腎臓疾患、腎移植の減少に対する抗酸化物質の効果について評価を行った。研究の質を判定し、それらの結果を組み合わせて抗酸化サプリメントの効果を推定した。 何を見つけたのか? 合計10,468人の成人患者を対象とした95件の研究を対象とし、49種類の抗酸化物質について評価を行った。その結果、抗酸化物質は死亡や腎移植のリスクの低下には効果がなかったが、心血管疾患、脳卒中、および腎不全(透析を必要とする)のリスクを低下させ、また、腎機能を改善する可能性が認められた。しかし、心不全や感染症のリスクの増加も観察された。ほとんどの研究の質は低かったため、抗酸化物質の有益性や有害性を評価するためには、より質の高い研究が必要と考えられた。 結論 慢性腎臓病の成人において、抗酸化物質は死亡のリスクを低下させなかったが、心血管疾患および腎不全のリスクを低下させ、また腎機能を改善させる可能性がある。しかし、抗酸化物質は心不全や感染症のリスクを高める可能性がある。 こ...
1 year 5 months ago
人工膝関節全置換術後の寒冷療法 人工膝関節全置換術後の寒冷療法の利点とリスクは? 要点 プラセボと比較して、寒冷療法は膝関節全置換術(TKR)後の出血、疼痛、膝関節可動域、短期腫脹を改善する可能性がある。輸血、膝の機能、痛みの軽減、入院期間、生活の質(QOL)、活動レベルに対する効果については、あまり定かではない。エビデンスは限られているものの、寒冷療法による重篤な有害事象の懸念はほとんどなかった。 変形性関節症とはどのようなもので、どのように治療するのか? 変形性関節症は、膝などの関節の変性疾患である。変形性膝関節症は痛みを引き起こし、機能を制限し、QOLを悪化させる。TKRは長期的にはこの症状を改善することができるが、回復期(術後6か月まで)には手術の影響で体が弱り、障害が残ることがある。寒冷療法(クライオセラピー)は、損傷部位や手術部位の周囲の皮膚に冷罨法(れいあんぽう)(訳注:寒冷による刺激)を行うものである。これは、氷の入った袋や、冷やした水を患部に送り込む特殊な器具を使って行うことができる。 知りたかったこと 寒冷療法がTKR後48時間以内の出血量、疼痛、膝機能に効果があるかどうかを調べたいと考えた。 実施したこと TKR後の患者を対象に、寒冷療法をプラセボと比較検討した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などに基づくエビデンスに対する信頼性を評...
1 year 5 months ago
低・中所得国における精神障害の予防と幸福の促進のためのプライマリーレベルとコミュニティワーカーによる介入 本レビューの目的 このコクラン・レビューの目的は、メンタルヘルスを促進するために、看護師、助産師、教師、介護者など、プライマリーサービスや地域社会の人々が関与することの効果を評価することである。レビューでは、低・中所得国に住む小児と大人に焦点を当てた。 要点 プライマリーレベルやコミュニティワーカーの雇用を活用することは、低・中所得国に住む大人や小児のメンタルヘルスを改善する可能性がある。しかし、さらなるエビデンスが必要である。 このレビューで検討したこと メンタルヘルスのサポートが必要な人の多くは、こうしたサービスにアクセスすることができない。その理由のひとつは、メンタルヘルスの専門スタッフが不足していることである。これは特に低・中所得国で顕著である。この障壁を克服するために、看護師や教師など、メンタルヘルスに関する専門的な背景を持たない人々が、一部のメンタルヘルス・サービスを提供するための訓練を受けることができる。このレビューでは、この戦略が大人と小児のメンタルヘルスを促進し、精神障害を予防するのに役立つかどうかを調査した。また、そのコストについても評価した。 主な結果 さまざまな低・中所得国における113件の研究を対象とした。 これらの研究では、プライマリー(一次医療)...
1 year 5 months ago
円形脱毛症(抜け毛)に対するさまざまな治療法の利点とリスクは何か? 要点 - 円形脱毛症の治療には、免疫抑制薬による全身療法や、発毛促進薬による局所療法など複数の選択肢があるが、それらが患部における新たな発毛にどの程度有用であるかは不明である。 - 経口免疫抑制薬であるバリシチニブのみで発毛の増加が認められた。 - 治療法は安全であると考えられ、重篤な副作用はまれである。 - 有用と思われる治療法の評価のためには、より質の高い研究が必要である。 円形脱毛症とは何か? 円形脱毛症とは、頭皮や体の周囲における局所的またはびまん性の脱毛を特徴とする一般的な疾患である。ほぼ半数の患者では、治療をしなくても新しい毛髪が生えてくるが、特別な治療を必要とする患者は依然として多い。 円形脱毛症はどのように治療されているのか? ほとんどの患者は自然に改善し、新しい毛髪が生えるまで経過観察することが選択される場合もある。しかし、重症例においては自然に改善することはまれである。薬物療法が必要な患者には、外用薬、内服薬、および局所的なコルチコステロイド注射などの治療法が行われている。 レビューを行った理由 円形脱毛症の治療法はさまざまである。そのため、それぞれの治療法における潜在的な有益性と有害性を把握し、他の治療法よりも優れた治療法があるかどうかについて評価したいと考えた。 何を行ったのか? 円形脱毛...
1 year 5 months ago
慢性腎臓病患者に対するプレバイオティクス(食物繊維)、プロバイオティクス(善玉菌)、またはシンバイオティクス(プレバイオティクス+プロバイオティクス) 主要な結果 慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)は、世界中で8億5千万人以上が罹患している深刻な健康問題である。腎臓病の人は、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れた、「腸内細菌異常症」と呼ばれる状態にある。このアンバランスは、腎機能の低下(有毒な老廃物の滞留、腸壁の膨張を引き起こす体液貯留)、CKD患者に頻繁に使用される薬剤(特に抗生物質)、CKD患者に課される食事制限などの影響によって生じる。 腸内細菌が毒素を産生し、それが腸壁を通過して腎臓にダメージを与えるため、腸内細菌異常症はCKDを引き起こしたり悪化させたりする。また、腸内細菌異常症は胃腸障害(腹部膨満感、けいれん、便秘、下痢など)を引き起こし、生活の質 (Quality of Life:QOL)を低下させることもある。 腸内細菌叢のバランスを改善するために、善玉菌をプレバイオティクスやプロバイオティクスの高用量錠剤で摂取することが可能である。プレバイオティクス(難消化性植物繊維)は、善玉菌の増殖を促す。シンバイオティクスは、プレバイオティクスとプロバイオティクスの組み合せたものである。善玉菌を高用量で摂取することで、腸内の善玉菌のバランスが...
1 year 5 months ago
局所てんかんに対する免疫調節介入(免疫系を標的とする治療法) 要点 免疫調節介入は、免疫系を標的とする治療法である。 局所てんかんは、脳の特定部位から起こる発作が特徴である。 免疫調節介入は、小児および成人の局所てんかん患者の発作頻度を減少させる点においてプラセボよりも有効であった。 てんかんとは? てんかんは、世界中で約5,000万人が罹患している一般的な神経疾患である。局所てんかんは、脳の特定部位から起こる発作が特徴である。抗てんかん薬による治療にもかかわらず、てんかん患者の約3分の1は発作が続いている。したがって、てんかん治療のための効果的な新しい治療法の開発は非常に重要である。最近では、免疫系とそれが傷害にどのように反応するかが、このプロセスに重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。そのため、免疫調節介入(免疫系を標的とする治療)は、局所てんかんの治療アプローチとなる可能性がある。 知りたかったこと 小児および成人の局所てんかん患者を対象に、免疫系を標的とした治療がプラセボよりも優れているかどうかを調べたいと考えた。また、これらの治療法が安全かどうかも確かめたかった。 実施したこと 小児および成人の局所てんかん患者を対象に、免疫系を標的とした治療を検討した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などに基づくエビデンスの確実性を評価した。 わかった...
1 year 5 months ago
医療従事者が高齢者に適切な医薬品を提供できるようにする方法のレビュー 本レビューの目的は何か? このコクラン・レビューの目的は、高齢者に適切な医薬品の使用を改善するようなアプローチがあるかどうかを調べることであった。この疑問に答えるため、関連するすべての研究を収集・分析し、38件の試験をレビューに含めた。 要点 慢性疾患の症状を治療し、病気の悪化を防ぐために薬を服用することは、高齢者にとっては一般的である。しかし、薬の飲み過ぎると有害が影響が生じる可能性がある。分析の結果から、調査した介入によって医薬品の適切な使用を改善するかどうかは不明である。この疑問に答えるには、さらなる優れた研究が必要である。 本レビューでは何が調査されたのか? このレビューでは、高齢者が自分の病気に対して最も効果的で安全な医薬品を受け取れるように、医療従事者が行った研究を検証する。ファーマシューティカルケアと呼ばれる薬剤師によるケアサービスの提供などが含まれた。これは、薬に関する問題を特定し、予防、解決することによって、医薬品の正しい使用を促進することである。また、コンピューターによる意思決定支援も含まれた。これは適切な治療法や戦略の選択を支援する医師のコンピューター上のプログラムであり、さまざまな医療従事者が協力することもある。 本レビューの主な結果は何か? 19か国から38件の関連する臨床試験を見つけ...
1 year 5 months ago
妊娠中に妊娠糖尿病を発症した女性の治療の指針となる最も効果的な血糖値の範囲について レビューの論点 人種や診断基準にもよるが、妊娠糖尿病(GDM)を発症する妊婦は4分の1に迫る。GDMは妊娠中に血糖値が高い状態(高血糖)と定義され、血圧が高くなったり(高血圧症),妊娠中の尿蛋白(妊娠高血圧腎症)を発症したりするリスクを上昇させる。このような女性は帝王切開分娩や産後うつ病になりやすく、後年になって2型糖尿病や心血管疾患を発症する可能性が高くなる。GDMに伴う高血糖は通常産後に正常化するが、将来の妊娠においてもGDMを発症するリスクが高い。母親がGDMと診断された赤ちゃんは出生体重が4000gを越えるリスクが高く、その大きさのために分娩外傷のリスクが高く、出生後の呼吸障害を発症するリスクが高い。これらの赤ちゃんは、将来的な肥満や2型糖尿病のリスクも高い。 重要性 GDMの女性は、母体の高い血糖値をコントロールし、母親と赤ちゃんのGDMに関するリスクを減らす目的で治療される。血糖コントロールは、血糖の濃度を測定してあらかじめ決められた値または範囲に保たれていることを確認することで監視される。血糖値は通常、母親が指を刺して試験紙に血液を1滴採取し、小さな機械(血糖測定器)に差し込んで血液中の糖の濃度を読み取ることで測定される。血糖測定器は妊婦に現在の血糖値を知らせ、例えば食前に何単位のイ...
1 year 5 months ago
子癇前症や子癇がある女性に対する代替硫酸マグネシウムレジメン 著者の結論: 強力なエビデンスが子癇の予防と治療に対する硫酸マグネシウムの使用を支持しているが、代替治療レジメンを比較している試験は、信頼できる結論を導くには規模が小さ過ぎる。 アブストラクト全文を読む 背景: 硫酸マグネシウムは今なお子癇の予防と治療に対する選択薬である。硫酸マグネシウム投与のためのレジメンが数年間にわたって展開してきたが、まだ正式に評価されていない。 目的: 子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる場合の硫酸マグネシウム投与のための代替レジメンの効果を比較し、評価する。 検索戦略: Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年6月)を検索した。 選択基準: 子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる硫酸マグネシウム投与のための様々なレジメンを比較しているランダム化試験。 データ収集と分析: 4名のレビューア全員が独自に試験の質を評価し、データを抽出した。 主な結果: 17件の研究を同定し、そのうち6件(866例の女性)が選択基準を満たした:2件の試験(451例の女性)が子癇の女性に対するレジメンを比較し、4件(415例の女性)が子癇前...
1 year 5 months ago
自閉スペクトラム症(ASD)の人の易刺激性、攻撃性、自傷を軽減する薬は? 要点 - プラセボ(偽薬)と比較して、易刺激性、攻撃性、自傷行為の減少を示した薬は3種類のみであった。非定型抗精神病薬(第二世代抗精神病薬)は、おそらく易刺激性と攻撃性を低下させるが、自傷行為にはほとんど影響を与えないようである。注意欠陥多動性障害(ADHD)関連の薬のエビデンスは不明だが、易刺激性を軽減する可能性がある。神経ホルモン(オキシトシンやセクレチン)も易刺激性を抑える可能性があるが、そのエビデンスについては非常に不確かである。 - 抗うつ薬は易刺激性には効果がないようである。抗うつ薬、ADHD関連薬、神経ホルモンが攻撃性や自傷行為に及ぼす影響についての研究は報告されていない。 - 研究ではさまざまな副作用が報告されているが、プラセボと比較して何らかの副作用のリスクが高いというエビデンスを示したのは、非定型抗精神病薬、ADHD関連薬、神経ホルモン薬のみであった。 自閉スペクトラム症(ASD)とは? 自閉スペクトラム症(自閉症)は、子どもの身体的、精神的、行動的発達に影響を及ぼす障害である。小児期に発症し、成人になっても続く生涯に渡る障害である。自閉症の人たちは、コミュニケーションをとったり、世の中の人と交流したりすることが難しい場合がある。しかし、自閉症の影響は一人ひとり異なり、人によって重度であ...
1 year 5 months ago
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防と管理に役立つ対策について、人々やコミュニティ(地域社会)とどのようにコミュニケーションをとればよいか? 要点 - パンデミック(世界的大流行)の最中、政府やその他の当局は、人々がどのようにすれば安全を保てるかについて、国民に明確に伝える必要がある。このコミュニケーションは信頼に基づき、綿密に計画されたものでなければならない。パンデミックの影響を受ける人々やコミュニティは、コミュニケーションの計画と実施に関与する必要がある。コミュニケーションは、読み書きが困難な人、コミュニティの主要言語以外の言語を話す人、その他の種類の不利益な状況に直面している人などを含め、コミュニティ全体のすべての人に届くものでなければならない。明確なコミュニケーションによって、人々が自分自身の安全を守る対策を実行する力を向上させることができる。 - このレビューでは、パンデミック時のパブリックヘルスコミュニケーション(国民のヘルスコミュニケーション)における最良のアプローチを導くことができる6件のテーマを特定した。これらのテーマは以下の通りである。 1) 国民の信頼を強化し、誤った情報への対抗。 2) コミュニケーションのあり方について、人々が意見を出し合えるようにするため、コミュニティを巻き込んだ双方向のコミュニケーション。 3) 対象は誰なのか、またコミ...
1 year 5 months ago
性暴力や性的虐待を受けた後の支援や心理的介入は、回復や癒しにどれほど役立つのか? 要点 - 心理的あるいは社会的(「心理社会的」と総称される)介入が、成人期にレイプ、性暴力、性的虐待を経験した人たち(サバイバー)の心的外傷後ストレス障害(PTSD)とうつ病の症状を軽減する可能性があるというエビデンスが得られた。 - 介入によって症状が悪化したり、好ましくない影響が出ることはなかった。しかし、多数の参加者が、治療から脱落したり、試験の評価を完了しなかったりしたため、これらの知見は確定的ではない。最近の研究になるにつれて、参加者の安全性に関する情報や、参加者が介入後の治療や健康・ウェルビーイングの評価を完了しなかった理由を報告していた。 - 多様なグループの参加者を集めた研究であるため、長期にわたるトラウマや複雑なトラウマを持つ人、男性やジェンダー・マイノリティなど、特定のグループのサバイバーにどのような介入が最も適しているかについての理解を深めるためには、今後の研究が必要である。サバイバーの治療の選択肢を広げる可能性のある「新たな」介入策も、もっと評価されるべきである。 「性暴力と性的虐待」とは何か? 「性暴力と性的虐待」とは、同意なしに行われたあらゆる性的活動や性的行為を意味する。レイプ、性暴行、性的虐待、セクシュアル・ハラスメントが含まれる。感情的、身体的な健康問題を引き起こし...
1 year 5 months ago
がん以外の慢性疼痛を抱える子どもとその家族が、自身の状態、疼痛サービス、治療について経験し理解すること:メタエスノグラフィー 本レビューの目的は何か? このコクランの質的エビデンス統合の目的は、慢性疼痛を抱える子どもや若者とその家族が以下の項目に関してどのようであるかを知ることである:1)慢性疼痛について考える、2)慢性疼痛とともに生きる、3)医療・福祉サービスが自分の疼痛をどのように扱ったかを考える、4)サービスや治療に何を望むか。これらの疑問に答えるため、これらのトピックに関連するすべての質的研究を探し、分析し、その結果をまとめた。この質的なエビデンスの統合は、慢性疼痛を持つ子どもに対する治療の効果を評価する14件のコクラン・レビューにリンクしている。 この統合からわかったこと 世界中の子どもや若者の約20%から35%が、12週間以上続く痛みを抱えている(私たちはこれを慢性疼痛と呼んでいる)。健康状態や生活の質(QOL)が低下し、学校や社会活動に参加できなくなることもある。慢性的な痛みは、医療サービスや治療の利用を増やすことにつながる。子どもの慢性疼痛がうまく治療されないと、大人になっても続くことがある。多くの国では、子どもの慢性疼痛を管理するサービスはほとんどなく、現在提供されているサービスも不十分である。慢性疼痛管理のための英国および世界の臨床ガイドラインと、小児の慢性疼...
1 year 5 months ago
若年成人および生まれつき心臓疾患のある成人のうつ病に対する心理療法 要点 - 心理的介入(会話/カウンセリング療法)は先天性心疾患のある成人のうつ病の症状を軽減する可能性がある。 - 介入の期間、頻度、種類など、この集団に最適な心理療法を定義するためには、さらなる研究が必要である。 先天性心疾患とは? 先天性心疾患は、心臓の働き方に影響を及ぼすさまざまな先天性障害を定義するために使われる包括的な用語である。 なぜ、このレビューが重要か? 生まれつき心臓に問題のある若者や大人がうつ病になることもある。抗うつ薬のほかに、うつ病を軽減するための治療法として、さまざまな種類の会話療法(心理療法として知られている)がある。会話療法による治療には、抑うつ状態の軽減や生活の質(QOL)の向上などの効果があるが、治療によって抑うつ状態が緩和されるわけではない。 知りたかったこと 目的は、若年成人および先天性心疾患を有する成人のうつ病治療に対する心理的介入の効果(有害性と有益性の両方)を検討することであった。 実施したこと 医学文献の検索を2023年3月までに更新した。基準を満たす研究を選択し、うつ病のバイアスのリスクを評価し、これらの研究結果を比較し、これらの研究(評価方法やサンプルの大きさなど)に基づいてエビデンスの確実性を評価した。 わかったこと 先天性心疾患を有する計480人が参加し、心理...
1 year 5 months ago
高齢者の帯状疱疹を予防するためのワクチン 要点 健康な高齢者の帯状疱疹は、ワクチンで予防できる。 帯状疱疹とは何か? 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化による疾患である。水痘・帯状疱疹ウイルスは水痘(水ぼうそう)を引き起こし、神経細胞内で何年も不活性のまま存在することができる。このウイルスが再活性化すると、神経を通って皮膚に到達し、神経の通っている道筋に沿って水疱を形成することがある。この状態は帯状疱疹と呼ばれ、主に高齢者など免疫力の低下した人に発症する。水疱が現れる前に、かゆみ、しびれ、ピリピリ感、局所的な痛みを伴うことがある。帯状疱疹は神経の炎症と激しい痛みを引き起こし、生活の質に影響を与える。帯状疱疹の発症率(一定期間における有リスクの人口における新規症例数)は、人口1,000人あたり年間2.08例から6.20例である。この数値は、平均余命が延びたことにより増加傾向にある。 何を調べようとしたのか? 帯状疱疹ウイルスワクチンを接種した健康な高齢者が、偽のワクチン(帯状疱疹に関連した効果をもたらさないプラセボ)を接種した高齢者と比較して、帯状疱疹を発症する可能性が低いかどうかを調べたかった。また、プラセボと比較して、ワクチンが有害事象を引き起こすかどうかについて調査したかった。 何を行ったのか? 帯状疱疹の予防ワクチンを接種した健康な高齢者(平均年齢60歳以上)と、...
1 year 6 months ago
原因不明の不妊症に対する体外受精と他の治療法との比較 要点 体外受精(IVF)治療は、自然周期の子宮内人工授精(IUI)治療と比較して、生児出産の確率が高い可能性がある。体外受精は、クロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行ったことがある女性において、卵巣刺激周期の人工授精と比較した時も、出生率が高くなる可能性がある。しかし、治療をした経験がない女性では、体外受精による生児出産率は、ゴナドトロピンあるいはクロミフェンクエン酸塩を投与して人工授精を行った場合と変わらないかもしれない。 背景 体外受精は、原因不明の不妊症のカップルによく行われる治療であるが、これは診断されていないさまざまな生物学的問題を回避できる可能性があることによる。しかしながら、高価で侵襲的であり、合併症を引き起こす可能性もある。原因不明の不妊症に対する他の治療方法としては、自然妊娠を試みる、子宮内に洗浄した精子を注入する子宮内人工授精(IUI)、排卵誘発剤であるクロミフェンクエン酸塩あるいはゴナドトロピンを使用して卵巣を刺激した周期での人工授精などがある。 知りたかったこと 原因不明の不妊症に対して、体外受精が他の治療法よりも生児出産につながるかどうかを調査した。 行ったこと 9件のランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のうちの1つに無作為に割り当てるタイプの試験)をレビューに組みこんだ。いくつかの試験...
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21 hours 15 minutes ago
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