Latest Japanese Reviews

音楽療法はがん患者に利益をもたらすか

3 years 2 months ago
音楽療法はがん患者に利益をもたらすか 問題点 がんは精神的、身体的、そして社会的な苦痛を与えることがある。音楽療法や音楽による医学的介入は、がん患者の症状や治療による副作用を軽減し、心理社会的なニーズに対処するために用いられてきた。音楽による医学的介入では、患者は医療専門家によって提供される録音された音楽を単に聴くだけである。これに対し、音楽療法は訓練を受けた音楽療法士によって行われる必要があり、治療プロセスが存在し、個人に合わせた音楽体験が提供されなければならない。 レビューの目的 このレビューは2016年のコクランレビューの更新版である。前回のレビューでは52件を組み入れた。今回のレビューの更新では、がん患者を対象に、音楽介入がどのような精神的および身体的な治療成果をもたらすかを検討した試験を新たに追加した。2020年4月までに発表された試験を検索した。 主な結果 新たに試験29件を特定し、このレビュー最新版のエビデンスは、試験81件、患者5,576人に基づいている。試験81件のうち74件は成人を対象としており、7件は小児を対象としている。その結果から、音楽療法と音楽による医学的介入は成人がん患者の不安、抑うつ、希望、疼痛、倦怠感、心拍数、血圧に効果をもたらす可能性があることが示唆される。音楽による医学的介入ではなく、音楽療法が成人患者の生活の質(QOL)や倦怠感を改善する可...

呼吸をするための管を装着した成人がコミュニケーションをとることを支援するための戦略

3 years 2 months ago
呼吸をするための管を装着した成人がコミュニケーションをとることを支援するための戦略 何が問題なのか? 呼吸を補助する機器を必要とする患者は、肺に酸素を送るチューブが声帯の邪魔をするため、声を出すことができない。患者は口の形で話したり、ジェスチャーをしたり、顔の表情を変えたりする。しかし、これらは非常に理解しにくいものである。重症患者に多い筋力の低下や集中力の低下により、筆記用具やコミュニケーションボード(ボードに言葉や絵が書かれていて、指でさして使用するもの)の補助具の使用が困難である。どのようなコミュニケーション支援が有効であるかについては、一貫したエビデンスがない。 なぜこれが重要なのか? コミュニケーションの難しさは、害をもたらすリスクを高め、患者や家族に苦痛を与え、医療スタッフのストレスにもなる。 得られたエビデンス 呼吸を確保する管を装着している人のコミュニケーションを支援するために使用される補助具を調査した研究(2020年7月30日まで)を検索した。集中治療室に入院した1931人を対象とした11件の研究が見つかった。また、呼吸を確保する管を必要とする人で、在宅または長期療養施設を対象とした研究も探したが、見つからなかった。8件の研究では、コミュニケーションボードやアプリケーション(携帯などで使用するアプリ)を使用していた。3件の研究では、呼吸を確保する管を装着したまま...

臨床管理とアウトカムの改善のための患者アンケートの活用

3 years 2 months ago
臨床管理とアウトカムの改善のための患者アンケートの活用 このレビューの目的は何か? このコクランレビューの目的は、患者が記入したアンケートからの情報を受け取る医療従事者は、より良い医療を提供しているかどうか、また彼らの患者は健康状態がより良いかどうかを調べることであった。関連するすべての研究を収集し、分析した。 要点 患者のアンケート回答が医療従事者や患者にフィードバックされることで、患者と医療従事者のコミュニケーションに中等度の有益性があり、また患者のQOL(生活の質)にも少し有益であると考えられる。医療従事者は、おそらくより多くの診断を行い、記録し、メモを取る。この介入により、患者自身の健康に対する認識や社会的機能、痛みには、ほとんど、あるいは全く違いが見られないだろう。心身の機能や疲労感への影響はないようである。これらの結果に対する信頼性は、それぞれの結果に対して含まれた研究の質と数が限られており、限定的である。 レビューでは何が検討されたか? 医療を受ける際に、患者が身体的、精神的、社会的な健康についてどのように感じているのか、質問されることはあまりない。患者がどのように感じているのかを知ることは、診断や治療方針の決定に役立つ可能性があり、このことは問題となりうるだろう。一つの解決策として、患者に健康に関するアンケートへの回答を依頼して、その情報を医療従事者や患者に提供す...

双極性うつ病に対するケタミンとその他のグルタミン酸受容体モジュレーター

3 years 2 months ago
双極性うつ病に対するケタミンとその他のグルタミン酸受容体モジュレーター なぜこのレビューが重要なのか? 双極性障害は、躁状態(気分が異常に高揚したり、イライラするなどの症状が短期間続く)、軽躁状態(同じ症状が短期間続く)、大うつ病(気分が低下する)のエピソードを特徴とする、最も深刻な精神疾患の一つである。双極性障害のうつ病相では、自傷行為や自殺のリスクが非常に高くなる。双極性障害のうつ病相に対する現在の治療法は、必ずしも効果的ではなく、効果が出るのに時間がかかることもある。新しい治療法や代替療法の中でも特に期待されているのが、グルタミン酸受容体モジュレーターと呼ばれる薬である。これらの薬剤は、通常使用される抗うつ剤などの薬剤とは異なる方法で作用する。これは、2015年に発表されたレビューの更新版である。その後、より多くの臨床研究が発表されたため、このレビューを最新のエビデンスに基づいて更新することが重要である。 このレビューに関心をもつ人は誰か? - 双極性障害のある人とその友人、家族。 - 一般開業医、精神科医、心理士、薬剤師。 - 成人を対象とするメンタルヘルス業務に携わる医療関係者。 このレビューでわかることは何か? 1.ケタミンなどのグルタミン酸受容体モジュレーターは、プラセボ(偽薬)や他の抗うつ薬よりも双極性うつ病の治療に優れているか? 2.ケタミンや他のグルタミン酸受...

がんの治療を受けている患者にとって経口抗凝固薬は安全で効果的か

3 years 2 months ago
がんの治療を受けている患者にとって経口抗凝固薬は安全で効果的か 要点 - がんの治療を受けている患者、特に血栓リスクの高い患者への直接経口抗凝固薬(血液をサラサラにする薬の一種)の投与は、血栓形成を抑制するという利点が大出血のリスクを上回ると考えられるため妥当である。 - しかし、別の種類の抗凝固薬であるビタミンK拮抗薬(ワルファリン)については、大出血リスクが、下肢(脚)および肺での血栓形成を抑えるという利点を上回る可能性がある。 - したがって、がんの種類や病期の異なる患者に対する抗凝固薬の効果に関して、さらに研究を進める必要がある。 抗凝固薬とは 抗凝固薬は血液の凝固の予防に役立つ薬である。血栓リスクの高い患者には、心臓発作や脳卒中などの重篤な疾患の発症リスクを低減するために、抗凝固薬が投与される場合がある。 なぜ、がん患者にとって抗凝固療法が役立つ可能性があるのか。 全身療法(血流に乗って全身をめぐり、がん細胞を発見、傷害または破壊するあらゆる薬物治療のことであり、化学療法、放射線療法、免疫療法、分子標的療法などがある)を受けているがん患者では、血栓リスクが高まる。抗凝固薬は、血栓リスクを低減させることができる一方、重篤で致死的な出血リスクを増加させる可能性もある。このため、全身療法を受けているがん患者に抗凝固薬を使用することについて、患者と医師が十分な情報に基づき決断で...

禁煙後の体重増加を防ぐための介入方法

3 years 2 months ago
禁煙後の体重増加を防ぐための介入方法 禁煙後に体重を増やさないためには、どのような方法があるか? 要点 どのようなプログラムや治療法が、長期的(最長12ヶ月間)な禁煙時の体重増加を防ぐために最も効果的なのか、また、それらが禁煙の成功にどのように影響するのかは定かではない。これは、体重増加に対する影響が様々で、はっきりしないというエビデンスがあるからである。禁煙している人の体重増加を抑える方法については、さらに研究を続ける必要がある。今後、禁煙を支援する新薬の研究では、体重の変化も測定する必要がある。 禁煙と体重増加 タバコを吸っている人は、健康のためにはタバコをやめることが一番である。しかし、禁煙すると体重が増えることが多く、通常は禁煙してから数ヶ月で体重が増える。体重が増えると、禁煙のメリットが損なわれたり、禁煙のモチベーションが下がったりすることがある。 何を知りたかったのか 禁煙支援プログラムの中には、体重管理を目的としたものもある。運動プログラム、薬の服用、ニコチン置換療法(NRT)など、禁煙をサポートする他の方法も体重に影響を与える可能性がある。 禁煙時の体重増加を止めるための一番良い方法を知りたいと思った。 実施したこと この以前に発表されたレビューの更新では、以下の項目を検証した研究を検索した: - 禁煙中の体重コントロールのための特定のプログラム - 喫煙を止める...

終末期認知症の人々への緩和ケア

3 years 2 months ago
終末期認知症の人々への緩和ケア レビューの論点 このレビューでは、緩和ケアが認知症の人やその家族・介護者の助けになるかどうかを検討することを目的とした。また、研究者がどのようにして緩和ケアの効果を測定したかについても調べた。 背景 認知症の人は、精神的な能力や身の回りの世話をする能力が徐々に低下する。終末期は長期にわたるため、最終的な末期を特定することは難しい。認知症が進行すると、言葉によるコミュニケーションができなくなり、他人に完全に依存し、嚥下(飲み込み)が困難になり、しばしば尿・便失禁を経験するようになる。認知症が進行すると、椅子やベッドから離れられなくなることが多く、肺炎などの感染症のリスクが高まる。 緩和ケアとは、治癒が不可能な疾患を有する人への特別なケアの方法である。緩和ケアの主な目的は、死が近づくにつれて痛みを軽減し、可能な限りのQOL(生活の質)を維持することである。緩和ケアは、がんの人にはよく使われるが、認知症の人にはあまり使われていない。 試験の特徴 2020年10月までに発表された研究を調べた。2,122人を対象とした9件の適切な研究が見つかった。研究は、アメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパで行われた。2件の研究は病院で、7件の研究は老人ホームや長期介護施設で行われた。 主な結果 6件の研究では、終末期認知症の人へのケアが体系化され、提供される方法の変化を...

慢性腰痛の治療のための運動

3 years 2 months ago
慢性腰痛の治療のための運動 長く続く腰痛の治療に、運動は有効な治療法か? 要点 - 運動は、長期にわたる(慢性)腰痛を持つ人において、無治療、通常の治療、プラセボ(偽治療)と比較して、おそらく痛みを軽減する。 - 運動は、電気治療や教育などの一般的な治療に比べて、痛みを軽減し、障害を改善する可能性がある。 - この分野では多くの研究が行われているが、しっかりとした結論を導き出すためには、より大規模でより良いデザインの研究が必要である。 長く続く腰痛に運動はどのように役立つのか? 長く続く(慢性的な)腰痛は、世界中で障害の原因となっており、医療費や労働時間の損失などの面で多くの費用がかかる。運動療法は、筋力や関節の強化、筋機能や可動域の改善を目的としている。これにより、痛みや障害が軽減され、回復や通常の活動への復帰が早まるはずである。運動療法は、医療従事者が考案または処方するもので、運動の種類、時間、実施方法などは多岐にわたる。運動療法の例としては、グループで行う一般的なフィジカルフィットネスプログラム、ウォーキングプログラムなどの有酸素運動、体幹の安定性を高めるための特定の筋肉や筋肉群の強化などがある。 何を知りたかったのか? 運動が、無治療、通常の治療、プラセボ、その他の一般的な治療よりも、慢性腰痛の人の痛みや障害を改善するかどうかを知りたかった。このレビューにおける慢性腰痛と...

慢性的な抜毛症(トリコチロマニア)の薬物治療

3 years 2 months ago
慢性的な抜毛症(トリコチロマニア)の薬物治療 抜毛症(TTM、トリコチロマニア)は、髪の毛を何度も引っ張って抜いてしまうことを特徴とする、一般的な障害のある状態である。抜毛症は、多くの苦痛や障害を伴うことがある。また、うつ病や不安障害などの他の精神疾患(併存疾患と呼ばれる)と関連している場合もある。研究者たちは、この症状には薬物療法が有効であると提案している。 このレビューに関心をもつ人は誰か? - 抜毛症やその他の一般的な併存疾患を持つ人。 - 抜毛症やその他の一般的な併存疾患を持つ人の家族や友人。 - 心の健康を扱う臨床医、一般開業医、精神科医、心理士、薬剤師。 このレビューでわかることは何か? - 成人や児童・青少年の抜毛症に対して、薬物療法は有効な治療法であるか?つまり、意図した結果があるかどうか? - 抜毛症の成人または児童・青年に対して、薬物療法は症状の重症度を軽減するか? - 抜毛症を発症した成人や児童・青少年のうつ病の症状に対して、薬物療法は有効であるか? - 抜毛症の人にとって、薬は効果的で、副作用の面でも許容できるものであるか? - 薬物療法は生活の質を向上させ、障害を軽減させるか? どのような研究がレビューに含まれたか? - 成人の抜毛症の治療において、薬とプラセボ(対照となる物質/活性のない薬)を比較した9件の研究を対象とした。 - 成人の抜毛症の治療にお...

経管栄養中の胃の容量の定期的な測定

3 years 2 months ago
経管栄養中の胃の容量の定期的な測定 レビューの論点 経管栄養中に、定期的に胃の容量を測定する必要はあるのか?その場合、どのような方法で量をモニターすればいいのか?どのくらいの頻度でモニタリングを行う必要があるのか?どのくらいの量であれば安全といえるのか? 背景 急性疾患の人は、いくつかの理由(意識不明、人工呼吸の必要性など)で食事を摂ることができない場合がある。このような人たちに十分なエネルギーと栄養素を供給するためには、鼻から胃に達する柔軟なチューブを使って、濃厚な栄養素を液状にして投与する経管栄養が一般的である。現在、経管栄養は重症の急性疾患患者の第一選択の治療法として推奨されている。これは、このような手法を用いることで、栄養面だけでなく、非栄養面(急性疾患による免疫系の抑制からの保護など)でもメリットが得られるためである。 しかし、急性疾患の患者は、胃や腸の機能が低下していることが多く、胃の内容物を空にすることができない。液体の栄養剤をチューブで胃に送り込む量が増えると、逆流(内容物が食道を逆流すること)や嘔吐の原因となり、誤嚥性肺炎(内容物が肺や肺につながる気道に吸い込まれること)を引き起こす可能性がある。 このような経管栄養の合併症を避けるためには、胃から排出された液体内容物の量である胃残量(GRV)を定期的にモニターするという方法がある。そして、量に応じて経管栄養の速...

経腟分娩の補助器具

3 years 2 months ago
経腟分娩の補助器具 我々は、経腟分娩を補助するために使用されるさまざまな鉗子と真空吸引カップを評価するために、ランダム化比較試験から得られたエビデンスを使用した。 論点 分娩の後半にあたる第二期(子宮頸部が完全に拡張してから赤ちゃんが出るまでの間)に、器具を使って腟から赤ちゃんの娩出を補助することが必要になることがある。その原因として、母親の疲労、赤ちゃんの苦痛が疑われる状況、または医学的な理由で母親にとって陣痛が長引くのが望ましくないことがある。 器具には、鉗子と真空吸引カップの2種類がある。鉗子はさらに、赤ちゃんの頭が正しい位置にあるときに使う「通常鉗子」と、赤ちゃんの頭を正しい位置に回転させるときに使う「回転鉗子」に分けられる。真空カップには、カップが硬いものと柔らかいものがあり、また、手持ちの吸引装置が付いているものと、足踏み式や電動ポンプにチューブで接続されているものがある。これらの器具の選択は、多くの場合、臨床的な状況によって決定されるが、時には選択の余地がある。 重要である理由 すべての種類の器具は、母体や赤ちゃんに合併症を引き起こす可能性があり、またすべてが失敗する可能性もある。そのため、重大な合併症のリスクを最小限に抑えながら経腟分娩を成功させるためには、臨床状況に応じて適切な器具を選択することが重要である。 どのようなエビデンスが得られたか? 2021年5月1...

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の男性における勃起不全を改善するための非侵襲的気道陽圧療法

3 years 2 months ago
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の男性における勃起不全を改善するための非侵襲的気道陽圧療法 レビューの論点 このレビューの目的は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の男性の勃起不全(ED)を改善するための非侵襲的気道陽圧療法の効果と受容性を評価することである。 背景 OSASは、睡眠中に繰り返し喉が閉塞し、呼吸が何回も一時停止する状態をいう。EDとは、男性が満足のいく性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、もしくは維持できない状態をさす。OSASとEDには、偶然とは言えない関連がある。 非侵襲的気道陽圧療法は、酸素を供給するマスクに付ける装置である。この装置は、空気を気道に送り込み、呼吸を助ける。装置には、持続陽圧呼吸法(CPAP)、二層式陽圧呼吸法(BiPAP)、可変陽圧呼吸法(VPAP)など、いくつかの種類がある。CPAPは、OSASに対する第一選択の治療法として広く知られている。しかしながら、CPAPやその他の非侵襲的気道陽圧療法が、OSAS男性のEDに効果があるかどうかはわかっていない。 検索日 エビデンス検索の最終日は、2021年6月14日である。 研究の特徴 6件の研究を対象とし、315人のOSASとEDを持つ男性を対象とした。CPAPを使用する場合と次のいずれかの場合について、少なくとも1ヶ月間比較した。CPAPを使用しない場合、擬似装置(CPAPに似せた、陽圧をかけな...

学校をベースとした身体活動の介入は、子どもと青年の中高強度の身体活動を増加させ、体力を向上させるか?

3 years 2 months ago
学校をベースとした身体活動の介入は、子どもと青年の中高強度の身体活動を増加させ、体力を向上させるか? 要点 学校をベースとした介入は、体力を向上させるかもしれないが、BMI(Body Mass Index、体重が健康的な範囲にあるかどうかを評価するために使用される)に与える影響はほとんど、あるいは全くないかもしれない。しかし、それに関する根拠は明確ではない。 有害な影響があると報告された研究はほとんどない。 実施すべき学校ベースの身体活動プログラムの種類については慎重な検討が必要であり、今後の研究では、学校環境において最適な身体活動介入の種類を特定することが求められる。 なぜ子どもの身体活動を促進することが重要であるのか? 運動(身体活動)不足が原因で死亡する人は、世界で530万人にのぼると推定されており、長期にわたる病気やがんを引き起こす大きなリスク要因となっている。特に、子どもの頃の身体活動のパターンは、大人になってからも同じようなパターンになることが知られているので、これは懸念すべき問題である。子どもが学校で運動するように促すプログラムは、親の行動や子どもの幼少期の社会的・経済的要因など、他の要因にかかわらず、すべての子どもの活動レベルを向上させる方法であると考えられている。 わかったこと 学校で身体活動量を増やすことに重点を置いたプログラムの効果を調べた89件の研究が見つ...

カンナビノイドによる認知症の治療

3 years 3 months ago
カンナビノイドによる認知症の治療 背景 認知症とは、思考力、記憶力、その他の精神的な能力が継続的に低下していく様々な疾患の名称である。認知症の治療法は限られており、その効果もわずかである。認知症の行動・心理症状に対しては、多くの薬物的介入や非薬物的介入が行われている。しかし、有効性、安全性、実現性の面で問題が続いている。そのため、認知症とそれに伴う症状に対して、新しく、安全で、より効果的な治療法が求められている。 レビューの論点 カンナビノイドは、認知症の治療薬として研究されている物質の一つである。このシステマティックレビューの目的は、カンナビノイドが認知症の人を助けることができるかどうか、また、潜在的な有害作用があるかどうかを調査することであった。 方法 科学研究のデータベースを検索し、人々がカンナビノイドで治療を受けるか、比較対照薬で治療を受けるかを無作為に割り付けた研究を探した。レビューに包含した研究の結果を組み合わせて、カンナビノイドの効果を推定した。また、これらの研究がどのように行われたか、その結果がどの程度信頼できるかを評価した。 わかったこと 2020年6月までに発表された関連する研究を検索した。その結果、本レビューの対象基準を満たした試験が4件見つかった。その4つの試験には、合計126人が参加した。ほとんどの参加者はアルツハイマー病であり、少数の参加者は血管性認知...

長期療養施設におけるSARS-CoV-2感染症を薬物療法以外の対策で予防・軽減できるか?

3 years 3 months ago
長期療養施設におけるSARS-CoV-2感染症を薬物療法以外の対策で予防・軽減できるか? 要点 - 薬物療法以外の対策(面会制限や定期的な検査など)により、長期療養施設の入居者やスタッフのSARS-CoV-2感染(COVID-19の原因となるウイルス)を予防できる可能性があるが、その結果の信頼性には懸念がある。 - 特に、実臨床で経験される、より質の高い研究が必要である。 - また、入居者やスタッフの多くがワクチンを接種している施設や、北米・欧州以外の地域での対策についても、さらなる研究が必要である。 薬物療法以外の対策とは何か? 薬物療法以外の対策とは、薬を使わずに病気を予防・軽減する方法のことで、ワクチンなどがこれにあたる。これには、人の動きや接触、個人用防護具(PPE)の使用、定期的な感染に対する検査などが含まれる。 SARS-CoV-2は非常に感染力が強い。ケアハウス(長期介護施設)に入居している高齢者や障がい者は、介護者や来訪者が施設に出入りし、他の人と密接に接触して生活しているため、感染しやすい可能性がある。介護施設の入居者は、高齢や基礎疾患のため、COVID-19で重症化し、死亡するリスクが高くなる。 何を知りたかったのか? 長期介護施設の入居者やスタッフがSARS-CoV-2に感染するのを防ぎ、感染の拡大を抑えるために、薬物療法以外の対策がどれほど有効かを調べたい...

医療消費者(患者、介護者、家族)と医療従事者がパートナーとして連携して医療サービスを計画、提供、評価することで、どのような効果が得られるのか。

3 years 3 months ago
医療消費者(患者、介護者、家族)と医療従事者がパートナーとして連携して医療サービスを計画、提供、評価することで、どのような効果が得られるのか。 個人を中心とした医療サービスとは? 従来、医療サービスは医療従事者によって開発され、特定の病気や医学専門分野に焦点を当ててきた。医療サービスの計画、提供、評価において、消費者をパートナーとして参加させることは、個人のニーズを満たし、ケアを提供するのに適したサービスにつながる可能性がある。 このコクラン・レビューを行った理由 世界各国の政府は、医療従事者が消費者と連携して、個人を中心とした医療サービスを促進することを推奨している。しかし、医療従事者と消費者が連携することによる効果は不明である。 私たちは、医療従事者と消費者が連携して医療サービスを計画、提供、評価することの効果について、調査研究から得られたエビデンスを検証した。 具体的には、消費者と医療従事者が定期的に話し合い、医療サービスに関する意思決定に消費者と医療従事者が対等に関わるという形で、消費者と医療従事者が連携して働くことが、以下の項目にどのような影響を与えるかを知りたかった。 - 医療サービスへの変更。 - 医療サービスへの変更がサービス利用者の優先事項をどの程度反映しているか - 利用者による医療サービスの評価 - 医療サービスの利用 - 医療サービスに関する意思決定や行動...

研修会とワークショップによる継続教育:医療従事者の臨床実践と患者の健康に与える影響

3 years 3 months ago
研修会とワークショップによる継続教育:医療従事者の臨床実践と患者の健康に与える影響 このレビューの目的は何か? このコクランレビューの目的は、研修会が医療従事者の臨床実践や患者の健康に与える影響を評価することであった。この疑問に答えるために関連するすべての研究を検索し、215件の研究をレビューに含めた。 要点 医療従事者の臨床実践と患者の健康を向上させるためには、研修会のみ、あるいはそれがより大きな方法(訳注:学術集会や全国大会など)の主要な部分を占める研修会であっても、研修会が行われなかったり、受けないよりはよいと思われる。また、医療従事者の臨床実践を改善するためには、他のタイプの行動変容の方法よりも優れているかもしれない。しかし、いくつかのタイプの研修会が、他のものより優れているかどうかはわからない。 レビューでは何を調べたのか? 研修会には、コース、セミナー、ワークショップといった様々な形式がある。医師をはじめとする医療従事者は、継続的な医学教育の一環として研修会を利用することが多い。また、医学会や医療システムを経営する雇用者も、新しい知識や新しいタイプのケアを提示して、最高の臨床を促進するために研修会を利用する。このような研修会の種類は、非常に多岐にわたる。例えば、相互が交流するような参加型のものもあれば、講義形式のものもあるであろう。また、研修会を仕切る人のタイプや参加...

双極性障害の再発防止策としてのラモトリギン

3 years 3 months ago
双極性障害の再発防止策としてのラモトリギン レビューの論点 双極性障害の維持療法におけるラモトリギンの臨床的有効性(有益性と有害性)を、プラセボ、併用療法、既存の薬剤(リチウム、オランザピンなど)と比較して検討する。 背景 ラモトリギンは、双極性障害の維持療法(再発防止のための治療)として承認されている。プラセボと比較して再発のリスクが低いことが示された双極性障害の維持療法として、ラモトリギンは実行可能で効果的な治療戦略となる可能性がある。また、ラモトリギンはリチウムと同等の効果があることも報告されている。そこで、双極性障害の維持療法(再発防止のための治療)におけるラモトリギンの有効性と安全性を検討するために、システマティックレビューを実施した。 主な結果 エビデンスは2021年5月までのものである。今回のレビューでは、11件の研究を対象とし、合計2314名の被験者を対象とした。1146名の参加者がラモトリギンに割り付けられ、1168名の参加者が対照群に割り付けられた(869名がプラセボ、299名がリチウムを投与された)。 レビューの結果、以下のことが判明した。 ラモトリギン対プラセボ 効能:ラモトリギンは、以下のアウトカムにおいて、プラセボよりも優れていることがわかった。 1) 躁症状の再発率の低下 2) 抑うつ症状の抑制 3) すべての症状の再発に対する追加治療薬の必要性が低...

マタニティ・ケアのための生理的異常検出・早期警告システム

3 years 3 months ago
マタニティ・ケアのための生理的異常検出・早期警告システム 論点 このレビューの目的は、簡単なモニタリングツールを使用することが、妊婦の臨床上の問題を警告し、妊娠中および出産後6週間の重篤な病気や死亡を減らすのに役立つかどうかを、ランダム化比較試験から明らかにすることである。このようなツールの例としては、マタニティ・ケアのベッドサイドに置いてある異常検出システムや早期警告システムなどがある。 重要である理由 妊娠中は、女性の身体に多くの生理的な機能変化が起こる。その結果、健康で問題ないように見える妊婦さんが、急激に重篤な状態に陥ることがある。これを臨床的悪化という。早期に発見して適切な治療ができなければ、重症化したり死亡することもある。例えば、重篤な出血、血圧上昇時に起こる痙攣、血栓、重篤な感染症などである。産科医療従事者(助産師や医師)は、女性の健康に関する情報を記録するために、簡単なベッドサイドツールやチャートを使用することができる。記録された健康指標は、血圧、脈拍、呼吸数、体温のほか、尿量や精神的な覚醒度などである。ツールは、それぞれの指標が単独ではなく、一緒に観察され、記録され、解釈されるように導入されている。その目的は、重篤な病気の発症やその予兆を検知することである。その時点で医療スタッフが介入することで、深刻な害を防ぐことができる。 得られたエビデンス 2021年5月2...

成人のうつ病に対するケタミンなどのグルタミン酸受容体モジュレーターの効果

3 years 3 months ago
成人のうつ病に対するケタミンなどのグルタミン酸受容体モジュレーターの効果 なぜこのレビューが重要なのか? うつ病は、最も一般的な精神疾患の一つであり、世界で3億5千万人が罹患していると推定されている。大うつ病の患者さんには、最初の治療として抗うつ薬が投与される傾向にある。しかし、これらの薬剤は、1年後には4人に1人程度の効果しかない。うつ病治療のための効果的な代替薬が必要であり、特に迅速な治療が求められている。新しい薬のグループは「グルタミン酸受容体モジュレーター」と呼ばれるもので、グルタミン酸系に作用する。このグループには、ケタミンという薬が含まれている。このレビューでは、ケタミンを含むグルタミン酸受容体モジュレーターの、うつ病治療薬としてのエビデンスを検討した。 このレビューに関心があるだろう人は? - うつ病の人やその友人、家族。 - 一般開業医、精神科医、心理士、薬剤師。 - 成人を対象とするメンタルヘルス業務に携わる医療関係者。 このレビューでわかることは何か? 1.ケタミンをはじめとするグルタミン酸受容体モジュレーターによる治療は、プラセボ(ダミー薬)や他の薬剤による治療よりも効果的であるか? 2.ケタミンやその他のグルタミン酸受容体モジュレーターによる治療は、プラセボや他の薬剤よりも受け入れられやすいか? どのような研究がレビューに含まれているのか? 医療データベー...
Checked
3 hours 31 minutes ago
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