Latest Japanese Reviews

重度の認知症の人への経腸経管栄養

3 years 4 months ago
重度の認知症の人への経腸経管栄養 重度の認知症の人に経管栄養を行うことの利点と問題点は? 要点 重度の認知症の人に経管栄養を行っても、経管栄養を行わない場合と比較して、生存期間は延びない可能性がある。褥瘡(床ずれ)が発生するリスクは、経管栄養を使用している場合の方が、経管栄養を使用していない場合よりも高いと思われる。生活の質(QOL)を調べた研究はなかった。重度の認知症の人への経管栄養を調査するためには、より多くの優れた研究が必要である。今後の研究では、疼痛、生活の質(QOL)、介護者への影響など、より広範なアウトカムに焦点を当てる必要がある。 経管栄養とは何か? 口から食べたり飲んだりできない人には、胃に管を入れて流動食を入れることがある。これを経腸経管栄養という。管は、鼻から胃の中に通すか(経鼻胃管)、お腹に小さな切り込みを入れて胃の中に挿入する(経皮的内視鏡下胃瘻造設術)。 認知症の人にとってなぜ重要なのか? 認知症の人は、食べたり飲んだりすることに困難を抱えていることが多い。認知症の初期段階では、食事を忘れたり、食べ物を噛んでも飲み込まなかったり、食事の際に混乱したりすることがある。人によっては、食べ物の味や匂いが変わることもある。認知症の後期になると、飲み込みが困難になることが多くなる。 適切な食事や水分を確保するのは難しいことがある。 重度の認知症の人は常に介護が必要...

生後18ヶ月以下の乳幼児においてHIVのウイルス分子を検出する迅速検査

3 years 4 months ago
生後18ヶ月以下の乳幼児においてHIVのウイルス分子を検出する迅速検査 なぜHIV感染症の診断方法の改善が重要なのか? 今でも、毎年150万人もの乳幼児がHIV感染のリスクにさらされていると言われている。HIVに感染しても治療を受けずにいると、およそ50%~60%の乳幼児は2歳になるまでに死んでしまう。生まれる前に感染した子どもは、特に死亡のリスクが高い。HIVは、完治が難しい病である。しかし、抗レトロウイルス薬(ART)と呼ばれる薬を使えば、HIVを抑制できる。HIVが早期に発見された場合、この薬を服用することで、HIV関連の感染症による重篤な状態や死亡を防ぐことができる。したがって、HIVのウイルス遺伝子分子を患者のそばで迅速かつ正確に検出する検査は、早期に適切な治療を受ける機会を増やし、HIVが検出されないまま治療の機会を逃す人を最小限に抑えることができる。 レビューの目的 生後18ヶ月以下の乳幼児における、HIVの主要なタイプ(HIV-1/HIV-2)の感染を検出するための分子学的迅速検査の精度を調べる。 検討した内容 検査室で行われたウイルス学的な検査を基準として、分子学的迅速検査の測定結果を比較して報告した論文の精査 主な結果 15,120人の参加者を対象とし、15の評価を終えた12件の研究で、HIV感染を診断するための分子学的迅速検査を比較検討していた。 このレビュ...

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人が夜間に使用する非侵襲的人工呼吸器(ベンチレーター)

3 years 4 months ago
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人が夜間に使用する非侵襲的人工呼吸器(ベンチレーター) 背景: 非侵襲的人工呼吸(NIV)とは、鼻または鼻と口の両方に装着したマスクを用いて、人工呼吸器と呼ばれる機械の助けを借りて自発的な呼吸(または正常な呼吸)を補助または代替する方法である。血中の二酸化炭素濃度が高い状態が続く場合には、自宅で慢性的(長期的)に非侵襲的人工呼吸(NIV)を使用することができる。二酸化炭素濃度が上昇した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、標準治療と並行して夜間に自宅で長期間非侵襲的人工呼吸(NIV)を使用することが、標準治療のみを行う場合と比較して良いか悪いかを調べた。2002年と2013年に、これを調査したコクラン・レビューが出版された。最初のレビューにおける既存の研究に加えて、調査結果を変えるような新しい研究が行われていないかどうかを確認することが重要である。 参加者個人データとは何か今回のレビューでは、参加者個人のデータ(IPD)を使用した。つまり、それぞれの研究に参加した各個人のデータを、その研究を行った研究者に依頼して収集しようとした。個人のデータ(IPD)は、参加者のグループ間の変化を検出する可能性が高く、追加の仮説を検討することができるため使用した。個人のデータ(IPD)を使って解析を行った レビューの論点:COPD患者に長期間非侵襲的人工呼吸(N...

限局性前立腺がんに対し後壁補強RALPと標準RALPのいずれを実施すべきか

3 years 4 months ago
限局性前立腺がんに対し後壁補強RALPと標準RALPのいずれを実施すべきか レビューの論点 ロボット機器を活用した前立腺摘出術(ロボット支援前立腺全摘出術、RALP)によって前立腺を切除する前立腺がん患者に対して、尿道の背中(後ろ)側の組織の縫合(いわゆる後壁補強)を実施する手術を、実施しない場合(標準RALP)と比較する。 背景 前立腺がん患者の前立腺を摘出する際に泌尿器科医はロボット機器をしばしば用いる。手術後しばらくの間、大半の患者に尿の漏れが発生する。この問題は尿失禁と呼ばれ、多くの場合は術後6~12カ月で改善するが、それまでの間は非常に煩わしいことがある。 研究の特性 後壁補強を実施するRALPと実施しない標準のRALPのいずれかに患者をランダムに割り付けて比較した8件の研究を対象とした。研究参加者の合計は1,085人で、平均年齢は60~67歳であった。参加者のPSA(前立腺特異抗原)の平均値は8.15ng/mLであった。PSAが高いほど前立腺がんが悪化している可能性を示す。 主な結果 後壁補強を実施したRALPは標準RALPと比較してカテーテル抜去後1週間の時点での尿失禁の状態を改善する可能性がある(差がない可能性もある)ことがわかった。一方、術後3カ月時点または12カ月時点での差はわずかであるか、差がないと考えられる。後壁補強を実施したRALPによる重篤な有害事象は...

腱板損傷に対するキネシオテーピング

3 years 4 months ago
腱板損傷に対するキネシオテーピング レビューの論点 インピンジメント症候群(関節付近で骨や筋肉が衝突することで組織が損傷して起こる痛み)、腱板炎、石灰沈着性腱板炎(腱板の表層などに石灰が生じる病気)等の肩に痛みを持つ成人を対象に、キネシオテーピング(KT)の有効性と有害性を明らかにする。 背景 KTは腱板損傷の保存的治療法の一つとして提案されている。KTは綿から作られた弾力のある、粘着性のあるラテックスフリーのテーピングであり、薬理作用のある成分は含んでいない。臨床家は痛みを伴う疾患に対するリハビリテーション治療の際にKTを採用しているが、効果に関する確固たるエビデンスはない。 研究の特徴 1054人の参加者を含めた23件の研究を取り込んだ。9件の研究(312人の参加者)ではKTと擬似治療(偽のKT)との有効性の比較を行い、14件の研究(742人の参加者)ではKTと他の保存的治療法(例えば従来のテーピング、理学療法、運動、グルココルチステロイド注射、内服薬など)と有効性の比較を行った。ほとんどの研究の参加者は年齢が18歳から50歳であった。女性の割合は52%を占めている。 主な結果 比較1:KTと擬似治療 全般的な痛み(スコアが低いほど痛みが少ない): 0.7%の悪化(9%の悪化~7.7%の改善)もしくは0~10点満点において0.07点の悪化となった。 ・擬似治療を受けた参加者の...

胃食道逆流症に対する持続的経管栄養法と間欠的経管栄養法の比較

3 years 4 months ago
胃食道逆流症に対する持続的経管栄養法と間欠的経管栄養法の比較 レビューの論点 継続的また間欠的な経管栄養は、食道へのミルクの逆流を減少させるか? 背景 早産児や低出生体重児は、効果的に吸ったり飲み込んだりできないため、適切に経口摂取できないことが多い。そのため胃の中にチューブを入れて栄養補給(経管栄養)をしなくてははらない場合がある。経管栄養には、短時間(15~30分)でミルクを与える注入法と、数時間かけてミルクを与える連続注入法がある。ミルクの食道への逆流を抑えるには、どの方法が良いのかは不明である。 研究の特徴 検索は2020年7月時点での最新情報である。進行中の試験はなかった。 主な結果 このレビューに含めることができる研究は見つからなかった。早産児や低出生体重児の胃食道逆流を抑制するために、どの方法で栄養摂取を行うのがより効果的かを評価する研究が必要である。 エビデンスの確実性 ランダム化比較試験は見当たらなかったため、どちらの方法がより適切であるかを明らかにするため、十分にデザインされたランダム化試験を実施することを推奨する。 訳注:  《実施組織》 小林絵里子、冨成麻帆 翻訳[2021.10.19]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連...

低・中所得国における精神障害や悩みを抱える人々のケアのためのプライマリーレベルのワーカーによる介入

3 years 4 months ago
低・中所得国における精神障害や悩みを抱える人々のケアのためのプライマリーレベルのワーカーによる介入 このコクラン・レビューの更新は、プライマリ-ケア・ワーカーや教師といった地域で働く人々が、精神障害や苦痛を抱える人々を支援することの効果を評価することを目的としている。今回のレビューでは、低・中所得国の研究に焦点を当て、95件の研究を対象とした(前回のレビューの23件を含む)。 要点 プライマリーヘルスの専門家、レイヘルスワーカー(専門職ではない保健医療に関わる人)、教師、その他のコミュニティワーカーは、訓練を受けていれば、メンタルヘルスの問題を抱える人々を支援することができるかもしれない。しかし、さらなるエビデンスが必要である。 本レビューで検討された内容 低・中所得国では、精神疾患を持つ多くの人々が、偏見やサービスへのアクセスの困難さのために、必要なケアを受けられないでいる。一つの解決策は、「プライマリーレベルのワーカー」を通じてサービスを提供することである。「プライマリーレベルのワーカー」とは、メンタルヘルスの専門家ではないが、何らかのメンタルヘルスのトレーニングを受けている人たちで、プライマリーヘルスの専門家(医師、看護師など)、レイヘルスワーカー(専門職ではない保健医療従事者)、コミュニティボランティア、その他のコミュニティメンバー(教師、ソーシャルワーカーなど)が含まれ...

早産児・低出生体重児の間欠的な経管栄養に対するプッシュ注入と重力による注入との比較

3 years 4 months ago
早産児・低出生体重児の間欠的な経管栄養に対するプッシュ注入と重力による注入との比較 レビューの論点 経管栄養を受けている早産児または低出生体重児において、重力を利用した栄養注入(訳注:イルリガートルのようにシリンジを垂直方向にぶら下げた場合)と比較して、プッシュ注入(訳注:シリンジをもちいて押す圧力で注入する場合)では有害事象(低酸素飽和度、低心拍数、完全な吸上げまでの時間)が増加するか。 背景 早産児(37週以前に出生した児)は、吸啜、嚥下、呼吸の調整ができず、経管栄養が必要となる場合がある。その場合には、鼻や口から胃の中にチューブを入れて、栄養を与えることになる。間欠的な栄養の注入(訳注:24時間の持続注入ではなく、3時間ごとなどの授乳を指す)は、シリンジを使って母乳やミルクを乳児の胃の中に静かに押し込むことで行える(プッシュフィード)。また、チューブに取り付けたシリンジにミルクを注ぎ、重力で滴下させる方法もある(グラビティフィード)。 研究の特徴 検索は2020年7月時点での最新情報である。今回のアップデートでは、1件の研究(乳児31人)を対象とした。 主な結果 間欠的な経管栄養を必要とする早産児または低出生体重児、あるいはその両方において、重力による注入法と比較してプッシュ注入を用いることで、有害事象を増加させることなく、より迅速に完全経管栄養を確立できるかどうかを示すエ...

進行上皮性卵巣がん患者に、手術前の化学療法を行うことによって生存期間または生活の質が改善するか

3 years 4 months ago
進行上皮性卵巣がん患者に、手術前の化学療法を行うことによって生存期間または生活の質が改善するか 論点 卵巣の表面や卵管の内皮(内側)から生じる上皮性卵巣がんは、世界の女性で9番目に多いがんであり、卵巣がんの中で最も多い(卵巣がんの約90%)。残念ながら卵巣がん患者の大半が、腹部全体にがんが拡がっている進行した段階で見つかる。これは、卵巣がんが卵管の末端から生じることが多く、原発腫瘍(はじめに生じたがん)が顕微鏡レベルの大きさであってもがん細胞が腹腔内に脱落しうるためである。このような腫瘍細胞は腹水に混じって腹腔内を循環し、他の部位の表面に定着して時間をかけて増殖し、症状を引き起こす。この場合でも、引き起こされる症状は腹部膨満感や消化器障害(最も多いのは便秘)であって特異的なものではないため、よくある良性疾患に起因する症状と考えられやすい。欧州および英国では、卵巣がんと診断された患者のうち、診断から5年後に生存しているのは3分の1超にすぎない。 卵巣がんの通常の治療には、手術と化学療法の2つを用いる。手術の目的は病期を決定し(がんがどこまで拡がっているか評価する)、肉眼的な(目に見える)がんをできる限り減らすことである(腫瘍縮小手術または減量手術として知られる)。腹腔内に肉眼的な腫瘍が残らないようにするのが望ましい。しかし、大半の患者では、がんが拡がっているために手術だけでがんを治...

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の予防および治療に対するイベルメクチン

3 years 4 months ago
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の予防および治療に対するイベルメクチン COVID-19にイベルメクチンは有効か? 要点 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の治療または予防にイベルメクチンを使用することを支持するエビデンスは見つからなかったが、エビデンスの根拠には限りがある。 イベルメクチンの評価は進行中の31試験で行われており、その結果が出たらこのレビューを更新する予定である。 イベルメクチンとは何か? イベルメクチンは、動物の腸内寄生虫や疥癬などの寄生虫の治療に用いられる薬である。安価であるため、寄生虫の発生が多い地域で広く使われている。望ましくない副作用はほとんどない。 実験室での試験では、イベルメクチンがCOVID-19(SARS-CoV-2ウイルスの繁殖)を遅らせることが分かっている。しかし、ヒトでもそのような効果を得るためには、大量投与する必要がある。医薬品を規制する機関では、COVID-19に対するイベルメクチンの使用を承認していない。本剤は、その効果を評価するために十分にデザインされた研究(ランダム化比較試験と呼ばれる)の一部としてのみ使用されるべきである。 何を知りたかったのか? イベルメクチンがCOVID-19患者の死亡、疾病、感染期間を減少させるのか、あるいは病気の予防に役立つのかを知りたかった。薬をプラセボ(ダミーの治療)、無治...

軽度認知障害(MCI)を持つ人の認知症発症を早期に予測するためのMini-Mental State検査(MMSE)のベースラインスコア

3 years 4 months ago
軽度認知障害(MCI)を持つ人の認知症発症を早期に予測するためのMini-Mental State検査(MMSE)のベースラインスコア MCI患者は、認知症への進行のリスクが高いため、評価とモニタリングを行う必要がある。現在のところ、認知症への進行を登録するための最良のアプローチについては合意されていない。この課題には、いくつかの認知機能テストが提案されている。その理由は、ほとんどのテストが簡単に実施でき、10分以内に終了し、主要な遂行機能を含み、客観的なスコアを得ることができるからである。今回のレビューでは、認知機能障害を持つ患者の認知症への移行を予測するための簡易検査の1つであるMini-Mental State Examination(MMSE)に関する最新のエビデンスを評価した。入手可能な情報を広範に検索・分析した結果、将来的に認知症に移行する患者を特定する上で、単独の単回実施検査としてのMMSEが実質的な役割を果たすことを支持するエビデンスは得られなかった。 訳注:  《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳[2021.08.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew re...

COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)に対する治療介入

3 years 5 months ago
COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)に対する治療介入 なぜこれが重要なのか? 嗅覚は、匂いや味を楽しむために重要であり、安全のためにも重要である。COVID-19のパンデミックでは、感染に伴う初期症状の一つとして嗅覚の変化に注目が集まっている。その中では、嗅覚の低下、変化、または完全な喪失となったケースがある。ほとんどの人は一時的な症状であったが、中には数週間から数ヶ月続く人もいる。長期間にわたって嗅覚が失われた場合(COVID-19に感染してから4週間以上経過した場合)、嗅覚を回復させる治療法があるかどうかは分かっていない。 どのようにしてエビデンスを特定し、評価したか 医学文献を検索し、関連する試験を特定し、結果をまとめた。研究の質だけでなく、エビデンスの確実性についても評価した。その要因としては、研究の規模、実施方法、研究者による結果の報告方法などが挙げられる。これらの評価結果に基づいて、エビデンスの確実性を「非常に低い」、「低い」、「中等度」、「高い」に分類した。 わかったこと 見つけた唯一の研究が終了している臨床研究では、18人が参加していた。すべての患者は、嗅覚障害が4週間以上続いており、COVID-19の感染後に発症した。嗅覚障害は、研究チームが実施した特別な嗅覚識別テストで確認された。患者さんは、治療あり群と無治療群に無作為に分けられた。このケ...

COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)の予防のための介入

3 years 5 months ago
COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)の予防のための介入 なぜこれが重要なのか? COVID-19は、嗅覚に問題を生じることがわかっている。匂いを感じる能力が低下することもあれば、完全に嗅覚が失われることもある。多くの人は短期間で回復するが、数週間から数ヶ月間続く人もいる。このレビューでは、嗅覚を失ってからすぐに(症状が始まってから4週間以内に)、長期的な問題にならないようにするための治療法があるかどうかを検討する。 どのようにしてエビデンスを特定し、評価したか 結果をまとめるために、医学文献から関連するすべての研究を検索した。また、研究の規模や実施方法などを考慮して、エビデンスの確実性を評価した。これらの評価に基づいて、エビデンスの確実性を「非常に低い」、「低い」、「中等度」、「高い」に分類した。 わかったこと 終了した研究は1件しか見つからなかった。これには100人の患者が含まれており、全員が研究開始時に短期間(4週間以内)の嗅覚障害を抱えていた。この研究では、ステロイドの点鼻薬で治療を受けた人と、何も治療を受けなかった人を比較した。また、すべての被験者には、嗅覚の回復を促すために、毎日短時間で特定の香りを嗅ぐ練習をする「嗅覚トレーニング」を行うことが推奨された。研究者は、3週間にわたって患者を追跡し、何が起こったかを確認した。この1回の比較で得られた結果を...

出産後間もない時期の家庭訪問

3 years 5 months ago
出産後間もない時期の家庭訪問 論点 母親と赤ちゃんの健康問題は、一般的に出産後の数週間に発生したり、明らかになったりする。母親にとっては、産後出血(大量出血の代償)、発熱・感染症、腹痛・腰痛、おりもの異常(腟からの多量のおりもの、臭いおりもの)、血栓塞栓症(血管内で血が固まったり詰まったりする)、尿路系合併症(おしっこをしたくても我慢できない)、産後うつ病などの心理的・精神的問題などがある。また、母親が母乳育児を確立するためのサポートも必要である。赤ちゃんは、感染症(赤ちゃんは重い感染症にかかるかもしれない)、窒息(酸素不足による呼吸困難)、早産(未熟児として生まれること)などで死亡する危険性がある。 重要性 産後早期に医療従事者や一般の支援者が家庭訪問を行えば、健康問題が長期化して、女性や赤ちゃん、家族に影響を及ぼすことを防げるかもしれない。今回のレビューでは、出産後数週間における異なる訪問スケジュールについて調べた。 どのようなエビデンスが得られたか? 12,080人の女性を対象とした16件のランダム化比較試験を対象とした。母親と新生児の身体検査を中心としたもの、母乳育児のサポートを行うもの、家事や育児の実践的なサポートを行うものなどがあった。これらの研究は、高資源国と、通常のケアを受けている女性が早期退院後に追加の産後ケアを受けていない可能性がある低資源国の両方で実施されて...

成人肺移植患者のための運動トレーニング効果

3 years 5 months ago
成人肺移植患者のための運動トレーニング効果 何が問題なのか? 肺移植は多くの場合、慢性肺疾患患者における最終治療法である。肺移植を受けた患者は、回復を早めるために運動トレーニングを行うことが提案されている。運動トレーニングは、肺移植患者が日常生活に戻るのを支援し、患者のQOL(生活の質)を改善させる。しかし、肺移植患者における運動トレーニングの正確な効果は不明であり、現在のところどのように運動トレーニングが行われるべきかを推奨する明確なガイドラインはない。 実施したこと 電子データベースと臨床研究の記録を検索し、このテーマに関連した研究の参考文献も調べた。成人肺移植患者における運動トレーニングの効果を理解するために役立つ研究を特定することを目的とした。また、このレビューに含まれる研究の質を評価した。 何がわかったか? このレビューの要件を満たした8件の研究が見つかった。レジスタンス運動トレーニングを実施した場合と通常ケアまたは運動トレーニングをしない場合を比較した研究が2件、レジスタンス運動トレーニングにおいて違う種類のレジスタンス運動トレーニングを実施した場合を比較した研究が3件、多様な運動トレーニング(複数の異なる運動)と通常ケアまたは運動トレーニングをしない場合と比較した研究が2件、同じ多様な運動トレーニングプログラムを7週間実施した場合と14週間実施した場合を比較した研究...

認知症および軽度認知障害の診断における遠隔医療評価の精度

3 years 5 months ago
認知症および軽度認知障害の診断における遠隔医療評価の精度 背景 認知症とは、記憶力などの思考力が低下し、人の手を借りなければ日常生活を送ることができなくなる病気である。記憶や思考の問題が軽度で、自立した生活に支障がない場合は、軽度認知障害(MCI)と表現される。どちらも高齢者に多い疾患である。認知症やMCIの方は、ご本人やご家族が問題を理解し、治療や支援を受けることができるように、ご本人に適した時間と場所で正確な診断を受けることが重要であると考えている。しかし、世界では何百万人もの認知症患者が診断を受けていない。その理由はさまざまであるが、特に地方の方や移動が困難な方にとって、利用しやすい診断サービスがないことが考えられる。COVID-19のパンデミックでは、多くの対面式サービスが閉鎖された。テレヘルス(情報通信技術(ICT)を利用して遠隔地から医療サービスを提供すること)は、診療所に通うことが困難な認知症の疑いのある人が専門家の診断を受ける機会を増やすための手段となる。しかし、アクセシビリティの向上が診断の正確さを犠牲にすることがないようにすることが重要である。 レビューの論点 認知症やMCIの遠隔診断の精度は、従来のクリニックでの対面診断と比べてどうか。 方法 2020年11月4日までの医学研究のデータベースを検索し、認知症またはMCIが疑われる人に対して、遠隔医療による評価...

ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験

3 years 5 months ago
ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験 この系統的レビューの目的は、ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験を探ることである。関連する質的研究を検索・分析し、11件の研究を対象とした。 要点 ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験を調査した研究はほとんどなかった。見つかった研究では、ワクチンに関するコミュニケーションの目的や、ワクチンの決定における高齢者の役割の理解について、医療従事者の間で違いがあることが示唆された。今回の知見に基づき、医療従事者と高齢者の間でのワクチン接種コミュニケーション戦略を計画・実施する際に、計画立案者やプログラム管理者を支援する質問集を作成した。 このレビューからわかったこと 高齢者の感染症予防には、季節性インフルエンザ、肺炎球菌感染症、帯状疱疹、COVID-19などに対するワクチンが利用できる。しかし、高齢者が利用できるワクチンを常に接種しているとは限らない。 高齢者がワクチン接種を決断する際には、医療従事者とのコミュニケーションが重要な役割を果たす。予防接種について十分な情報を得た上での決定をサポートするために、医療従事者は高齢者の知識不足、ニーズ、懸念を把握できるようにすべきである。また、その人の病気のリスクや重症度、ワクチ...

潜在的な認知症を評価するための記憶力やその他の思考能力の変化を評価する構造化面接(IQCODE)

3 years 5 months ago
潜在的な認知症を評価するための記憶力やその他の思考能力の変化を評価する構造化面接(IQCODE) 認知症をはじめとする記憶や思考の問題を抱える人の数は、世界的に増加している。認知症の早期診断が推奨されているが、最良のアプローチや、認知症以外の専門家がどのように患者を評価すべきかについては合意が得られていない。対象者の友人や家族にインタビューを行い、記憶力やその他の思考能力の変化を評価するという方法がある。この「付随的」なインタビューには様々な方法があるが、最もよく使われているのは「Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(IQCODE)」と呼ばれるものである。IQCODEの認知症検出精度に関連するすべての論文について、発表された研究の異なるデータベースを検索した。IQCODEの診断精度をプライマリーケア/一般診療の場で検証した研究は1件しか見つからなかった。本研究は選択された集団(日系アメリカ人)を対象としているため、他の国の患者には適用できない可能性がある。また、使用された研究方法や報告された結果にも問題があった。この単一の研究に基づいて、IQCODEがプライマリーケアにおける認知症評価としてどの程度機能するかについて指針を示すことはできない。記憶や思考に問題がある患者さんの多くは、まず一般開業医や家...

潜在的な認知症を評価するための、認知・機能に関する構造化された付随的インタビュー(IQCODE)

3 years 5 months ago
潜在的な認知症を評価するための、認知・機能に関する構造化された付随的インタビュー(IQCODE) 認知症やその他の認知機能の問題を抱える人の数は、世界的に増加している。認知症の早期診断が推奨されているが、そのための最良のアプローチ方法や、認知症以外の専門家がどのように患者を評価すべきかについては合意が得られていない。1つの方法として、対象者の友人や家族にインタビューを行い、機能や認知の変化を評価するという方法がある。この「付随的」なインタビューには様々な方法があるが、最もよく使われているのは「Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(IQCODE)」と呼ばれるものである。IQCODEによる認知症検出の精度に関する、発表されたすべての研究について、複数の異なるデータベースを検索した。その結果、地域住民を対象にIQCODEの診断精度を検証した研究が11件見つかり、その結果を統合して要約した結果が得られた。(項目数の異なる)2種類のIQCODEアンケートを比較したところ、質問数の少ない短縮版は、オリジナルの長いアンケートと同等の精度を持つことがわかった。IQCODEの全体的な精度は、完璧ではないものの妥当なものであった。しかし、IQCODEを単独で、大規模な高齢者集団の評価に使用した場合には、認知症をもたない...

構造化された質問票「IQCODE」を用いた高齢者の記憶と日常機能の変化の評価

3 years 5 months ago
構造化された質問票「IQCODE」を用いた高齢者の記憶と日常機能の変化の評価 認知症かもしれない人を評価する方法を改善することは、医療および社会福祉の優先事項であり、最近では認知症診断率を高めるための取り組みが注目されている。現在のところ、認知症検査についての合意されたアプローチはない。認知症を示唆する記憶や思考の問題を持つ人を特定するのに役立つ多くの検査があるが、どの検査が最も優れているかについては合意されていない。特定の医療環境に適した検査がある可能性がある。 私たちのレビューでは、IQCODE(Informant Questionnaire for Cognitive Decline in the Elderly)と呼ばれる質問紙ベースの認知症評価の精度に関心があった。IQCODEを病院で使用した場合の有用性について述べた。「病院」という言葉には、一般病院の診療所や病棟、その中の高齢者向けサービスだけでなく、記憶の専門クリニックや高齢者精神科病棟も含まれる。 発表された研究の電子データベースを検索し、病院環境でIQCODEを使用したすべての研究を探した。2013年1月までの科学分野のデータベースで、最初に入手可能な論文から検索した。 その結果、1つの分析としてまとめるのに適した結果が得られた13の関連研究が見つかった。これらの論文のうち、6件(1352名)は、記憶の専門クリ...
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3 hours 35 minutes ago
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