Latest Japanese Reviews

透析治療を受けている成人のための運動トレーニング

2 years 11 months ago
透析治療を受けている成人のための運動トレーニング 何が問題なのか? 透析治療を受けている人は、一般の人に比べて心血管疾患やうつ病のリスクが高く、生活の質が低く、生存期間も限られている。さらに、透析を受けている人の中には、身体的な能力や筋力が不足しているため、日常的な活動を行うことが困難な人も多い。複数の試験で、透析を受けている成人の健康状態を改善するための運動トレーニングの可能性が評価されているが、統一した見解は得られていない。 何をしたのか? 透析を受けている人を対象に、構造化された運動プログラムを評価したすべてのランダム化比較試験の医学文献を検索した。そして、これらの研究の質を評価し、結果を組み合わせて、透析を受けている患者にとって重要な身体的および精神的な健康状態を改善するための運動トレーニング効果に関する結論を導き出すことにした。 何がわかったのか? 4,291人の参加者を含む89件の研究を特定した。運動トレーニングプログラムの期間は8週間から2年間で、ほとんどの場合、透析治療中に週3回実施された。運動トレーニングが死亡、心臓発作などの心血管イベント、精神的な健康に与える効果は判断できなかった。中等度の確実性を持つエビデンスとして、あらゆる種類の運動トレーニング(特に4ヵ月以上運動を継続した場合)が、透析を受けている成人の抑うつ症状を改善する可能性が高いことが示唆された。...

多巣性運動ニューロパチーに対する免疫グロブリン療法

2 years 11 months ago
多巣性運動ニューロパチーに対する免疫グロブリン療法 レビューの論点 多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者における静脈内免疫グロブリン(IVIg)および皮下免疫グロブリン(SCIg)の効果に関するエビデンスをレビューした。免疫グロブリンは、血液から精製された特定の標的を持たない抗体の製剤で、通常は静脈内に投与するが(IVIg)、皮下に注入する方法(SCIg)も考えられる。 背景 MMNは、手足の力が弱くなる珍しい病気で、時間の経過とともに悪化する傾向がある。脚よりも腕、特に手の方が多い。MMNの通常の治療法はIVIgである。 研究の特徴 このテーマに関する研究を広く検索したところ、IVIg治療を受けたMMN患者90人を対象とした6つの小規模試験が見つかった。3件の研究には限界があり、残りの研究については完全な評価を可能にする十分な情報がなかった。5件の試験では、IVIgの注入(緩徐注入)とダミーの注入を比較した。残りの試験では、2種類の異なる投与経路を比較した。IVIg輸液とSCIg輸液の比較。その効果は、治療後4週間から12週間の間に測定された。2件の試験では、免疫グロブリンのメーカー従業員が著者として関与していた。これらの研究のうち1件はメーカーがスポンサーとなっており、データに完全にアクセスできる専門家による独立した原稿審査が行われた。 主な結果とエビデンスの確実性 IVI...

高血圧予防に対するカルシウム補充

2 years 11 months ago
高血圧予防に対するカルシウム補充 レビューの論点 血圧が正常な人を対象に、カルシウムの摂取が血圧に与える影響を調べた。 背景 高血圧症は、心疾患および腎疾患リスクを高める重篤な健康障害である。複数の研究により、正常範囲の血圧の人であっても、カルシウム摂取量を増やすことで血圧が低下することが示されている。カルシウム摂取量を増やすことで、妊娠転帰に効果があり、その効果は血圧低下にも関係しているようである。高血圧は、死亡率に対する主要な危険因子とされており、血圧がわずかに低下するだけでも、冠動脈疾患、脳卒中および死亡の発生を減少させる可能性がある。 研究の特徴 すべての年齢層の正常血圧の人を対象に、サプリメントや食物の栄養価の強化などの食事性カルシウムでの介入による血圧に対する効果を評価した研究を選択した。最終の検索は2020年9月に実行された。 主な結果 このレビューでは、20試験の情報を分析し、そのうち18件の試験(3,140人)で介入の効果に関するデータが得られた。その結果、カルシウムの摂取量を増やすと、収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ1.37mmHg低く、1.45mmHg低くなることが分かった。カルシウムの用量が1,000mg/日超で効果が高かった。収縮期血圧は、カルシウムの用量が1,000~1,500mg/日で1.0505mmHg、カルシウムの用量が1,500mg/日以上で2...

早期乳がんにみられるアロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状の予防と治療のための全身療法

2 years 11 months ago
早期乳がんにみられるアロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状の予防と治療のための全身療法 本レビューの目的 アロマターゼ阻害薬を用いたホルモン療法は、閉経後の女性にみられる早期乳がんの一種(ホルモン受容体陽性)の治療に用いられている。アロマターゼ阻害薬は、関節痛や筋肉痛、およびこわばり(アロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状、いわゆるAIMSS)などの副作用を引き起こし、一部の女性ではアロマターゼ阻害薬の服用を中止することになり、生存期間が短くなるおそれがある。本レビューの目的は、全身療法(血流に乗って全身の細胞に到達する治療法)によりアロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状を予防または治療できるかどうかを検討することとした。この疑問に答えるため、関連するあらゆる研究を収集し、解析した。 要点 アロマターゼ阻害薬を服用している女性患者では、全身療法によって痛みや生活の質(QOL)が改善するのか、悪化するのか、あるいは差がないのかは、きわめて不明である。ほとんどのエビデンスは非常に質の低いものであった。アロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状に対する全身療法が安全であるかどうかは、きわめて不明であった。 このレビューからわかったこと アロマターゼ阻害薬を服用している女性患者の関節痛や筋肉痛およびこわばりを、全身療法によって予防または治療できるかどうかを明らかにするために、薬剤、ビタミン剤、補完代替医療を...

慢性閉塞性肺疾患患者のための自己管理法

2 years 11 months ago
慢性閉塞性肺疾患患者のための自己管理法 レビューの論点 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する自己管理介入法の効果に関する最新のエビデンスを調べた。特に、健康関連の生活の質(HRQoL)とCOPD関連の入院に対する効果を評価した。また、死亡者数を評価することで、自己管理介入法が安全であるかどうかを評価したいと考えた。 背景 COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、一般的かつ長期的な肺疾患で、長年にわたって徐々に悪化し、息苦しさ、咳、喘鳴、痰(粘液)の増加などの症状を引き起こす。これは、COPD患者の幸福感(ウェルビーイング)の喪失(HRQoLの低下とも呼ばれる)につながる。自己管理のための介入は、病気やそれに伴う感情的・実際的な問題をうまく管理するために必要なスキルや行動を身につけることを促すものである。今回のアップデートでは、自己管理がHRQoL、COPDに関連した入院、原因を問わずCOPDに関連した死亡、およびその他の健康アウトカムに及ぼす影響に関する最新のエビデンスをレビューした。 検索期間 2020年1月までの研究を検索した。 研究の特徴 COPDの自己管理介入法の有効性と安全性を評価した、6,008人の参加者を含む27の研究を対象とした。参加者の平均年齢は、57歳から74歳であった。調査対象者の33%から98%が男性であった。研究は4つの大陸で行われていた(ヨーロッパ15研究...

再発性外陰部腟カンジダ症に対する治療の有効性と安全性

2 years 11 months ago
再発性外陰部腟カンジダ症に対する治療の有効性と安全性 レビューの論点 再発性外陰部腟カンジダ症の女性に対する薬物治療または非薬物治療(補完治療、代替治療など)の有効性と安全性を調査することを目的とした。 背景 外陰や腟のカンジダ症は、カンジダ菌によって引き起こされる。カンジダ菌は、正常な細菌叢の一部として症状を引き起こすことなく一般的に腟内に存在する酵母の一種である。原因は不明だが、カンジダ菌が増殖を始め、外陰部腟カンジダ症の症状を引き起こすことがある。外陰部腟カンジダ症の症状は、腟や外陰部のかゆみ、腫れ、痛みである。合併症を伴わない外陰部腟カンジダ症は、生殖可能年齢の女性の最大75%に発症すると推定されている。再発性外陰部腟カンジダ症は、12か月間以内に4回以上の真菌感染症に罹患するものである。最大で5%の女性が再発性外陰部腟カンジダ症に罹患しているとされる。予防のために抗真菌薬を使用するよう勧める医師もいるが、明確なエビデンスに基づくガイドラインは存在しない。 研究の特徴 17歳から67歳までの、検査で確認された再発性外陰部腟カンジダ症の女性2,212例を対象とした23件の試験を特定した。これらの試験はさまざまな抗真菌薬(経口または腟錠)と、いくつかの補完・代替治療(乳酸菌ワクチンやプロバイオティクス、特別な下着など)を比較していた。試験では6か月から12か月後のカンジダ症再...

高血圧症に対するカルシウム拮抗薬とその他の種類の降圧薬の比較

2 years 11 months ago
高血圧症に対するカルシウム拮抗薬とその他の種類の降圧薬の比較 このレビューの目的は何か? このレビューの最初の更新版は2010年に発表され、血圧の高い人(高血圧症)に対し、その他の降圧薬(血圧を下げる薬)と比較して、カルシウム拮抗薬(CCBs)が、脳卒中、心筋梗塞、心不全などの有害な心血管合併症を予防できるかどうかを検討した。 背景 高血圧症の人の上昇した血圧を適切に下げることで、脳卒中、心筋梗塞、うっ血性心不全、さらには死亡などの高血圧症の主要な合併症頻度を減らすことができる。カルシウム拮抗薬(CCBs)は第一選択の降圧薬として使用されているが、これが有害な心血管合併症を減少させる最善の方法であるかどうかは議論の余地がある。 検索期間 2020年09月01日までのすべての関連研究を収集し、分析をした。 研究の特性 欧州、北米、オセアニア、イスラエル、そして日本で実施された23件の関連研究を特定した。これらの研究では、高血圧症の人を対象にカルシウム拮抗薬(CCBs)と他の種類の降圧薬による治療を比較していたが、153,849人の参加があった。研究参加者のフォローアップ期間は、2年から5.3年であった。 主な結果 全ての死因による死亡率は、カルシウム拮抗薬(CCBs)と他の降圧薬との間に差はなかった。利尿薬はカルシウム拮抗薬(CCBs)よりも心血管系合併症総数やうっ血性心不全をおそ...

未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子変異のある非小細胞肺がんに対する標的治療

2 years 11 months ago
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子変異のある非小細胞肺がんに対する標的治療 背景 肺がんの中で最も多いのは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。NSCLCの約5%は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)と呼ばれる遺伝子の変異が原因となる。進行した(治癒不可能な)ALK変異陽性NSCLCに対して標的治療薬が開発されており、化学療法よりも効果が高いことがわかっている。最初に開発されたALK阻害薬はクリゾチニブである。さらに新しいALK標的薬も開発されており、セリチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ensartinib[エンサルチニブ]、ロルラチニブなどがある。本レビューでは、ALK変異陽性NSCLCを標的とする治療薬に着目し、その効果を確認した。 目的 本レビューの主な目的は、ALK変異陽性NSCLC患者に対してALKを標的とする治療薬を使用した場合、化学療法よりも再発なく生存期間が長くなり、かつ副作用が少なくなるかどうかを明らかにすることである。また、新しいALK標的薬がクリゾチニブより優れているかどうかも評価することとした。 研究の特性 2021年1月7日までの主要な医学データベースと学会の記録を検索した。その結果、11件の研究(参加者2,874人)が見つかった。6件の研究ではALK標的薬と化学療法を比較し、5件の研究では新しいALK標的薬とクリゾチニブを比較していた。これらの研...

上部消化管出血の内視鏡検査前に開始するプロトンポンプ阻害剤の投与

2 years 11 months ago
上部消化管出血の内視鏡検査前に開始するプロトンポンプ阻害剤の投与 背景 食道(喉と胃をつなぐ管)、胃、十二指腸(小腸の最初の部分)からの出血は、一般的な医学的緊急事態である。胃酸の量を減らすことで出血を抑えることができるという研究結果があるが、そのような治療を早期に、つまり内視鏡検査(食道、胃、十二指腸を光ファイバーカメラで検査すること)の前に開始することが有益かどうかは不明である。 レビューの論点 上部消化管出血のある人を対象に、1種類の制酸剤(プロトンポンプ阻害剤)を、無治療(プラセボ)または別の種類の制酸剤(ヒスタミン-2受容体拮抗剤)と比較して、内視鏡検査前に開始した場合の効果に関するエビデンスを検討した。 研究の特徴 エビデンスは2021年6月までのものである。2,223人の参加者を含む6件の研究を対象とした。すべての研究は病院で実施され、上部消化管出血の臨床症状がある参加者を対象とした。 これらの研究では、死亡(5件、2,143名)、上部消化管出血の再発(5件、2,121名)、手術(6件、2,223名)、初回内視鏡検査時に活動性出血または最近の重篤な出血の兆候があった参加者の割合(4件、1,332名)、出血に対する内視鏡治療(薬の注入や血管の焼灼など)の必要性(3件、1,983名)という結果に関するデータが報告された。退院までの期間については1件、輸血の必要性について...

加熱式たばこは禁煙に役立つのか?安全か?喫煙率の低下につながっているのか?

2 years 11 months ago
加熱式たばこは禁煙に役立つのか?安全か?喫煙率の低下につながっているのか? 要点 加熱式タバコの有害物質への曝露量は、タバコよりは少ないかもしれないが、タバコを一切使用しない場合よりは多いかもしれない。日本で加熱式たばこが発売された後、たばこの販売量の減少が加速したように見えるが、これがたばこから加熱式たばこへの切り替えによるものかどうかは不明である。 加熱式タバコが禁煙に役立つかどうか、望ましくない影響があるかどうか、加熱式タバコの使用量増加が喫煙率に与える影響などについて、独立した資金による研究が必要である。 加熱式たばことは何か? 加熱式タバコは、タバコを燃焼させたり煙を発生させたりすることなく、蒸気を放出するのに十分な温度に加熱するように設計されている。電子タバコとの違いは、液体ではなくタバコの葉やシートを加熱する点である。タバコの煙に含まれる有害な化学物質の多くは、タバコを燃やすことで発生する。つまり、タバコを燃やさずに加熱することで、ユーザーが摂取する化学物質の量を減らすことができる。加熱式タバコに変えたことで、タバコを全く吸わなくなったという人もいる。 コクランレビューを行った理由 タバコには中毒性があるため、害があるにもかかわらず、なかなかやめられない人が多い。私たちは、加熱式タバコへの切り替えを試みることで、タバコを止めることができるのか、また、望ましくない効果...

早期の緩和的介入による原発性脳腫瘍患者とその介護者の転帰の改善

2 years 11 months ago
早期の緩和的介入による原発性脳腫瘍患者とその介護者の転帰の改善 なぜこの疑問が重要なのか? 脳腫瘍は、人々やその介護者に大きな影響を与える。脳腫瘍は、身体的、神経認知的、社会的機能を低下させ、家族全員、特に十分な支援を受けていないインフォーマルな介護者に影響を与える可能性がある。他のがんにおいて、病気の初期段階で緩和の支援を受けることで、患者とその介護者のQOL(生活の質)が向上するというエビデンスがある。しかし、脳腫瘍の人を対象には、検証されていない。 目的 原発性脳腫瘍と診断された成人とその介護者の転帰を改善するために、通常のケアと比較して、緩和ケア専門サービスへの紹介を含む早期緩和ケアの介入効果を検証した研究を評価した。 エビデンスの検索方法 出版済みおよび現在進行中のさまざまな種類の医学試験を含む電子医学文献データベースを使用して、該当する研究を検索した。主要な論文の参考文献リストから、この分野の研究における主要な著者を探した。原発性脳腫瘍のある成人と、親族などのインフォーマルな介護者を本レビューの対象とした。 わかったこと 緩和ケア専門チームが患者や介護者の転帰に与える影響を検証した試験は見つからなかった。約半数が高悪性度腫瘍を有する患者集団において、認知という単一の症状に焦点を当てた1件の試験を特定した。この試験では、患者を、構造化された認知リハビリテーションの介入を...

気管支拡張症の人が定期的に服用する長期の抗菌薬

2 years 11 months ago
気管支拡張症の人が定期的に服用する長期の抗菌薬 背景 気管支拡張症は、胸部の感染症が繰り返されることで気道が損傷して生じる一般的な疾患であり、さらなる感染症にかかりやすい状態である。典型的な症状は、持続的な咳と痰の存在である。治療の主な目的は、肺の感染症を減らし、生活の質を向上させることである。長期にわたる抗菌薬の投与は、この再感染のサイクルを断ち切ることを目的としているが、抗菌薬に対する耐性が生じるリスクとのバランスを考慮する必要がある。このようなリスクを軽減するために、抗菌薬を間隔を空けて服用することがあるが、最も効果的な間隔の長さについてはほとんど分かっていない。このレビューは、臨床ガイドラインを作成する人、医師、気管支拡張症の患者さんが、抗菌薬を定期的に使用するかどうか、また最適な間隔の長さを決定するのに役立つであろう。 研究の特性 2021年9月の文献策では、28日投与→28日休薬、または14日投与→14日休薬、または14日と28日の間隔で抗菌薬を投与し、最大48週間の投与を行った研究を8件特定した。対象となったのは、平均年齢63.6歳の成人2180人であった。子どもたちが含まれた研究はなかった。 主な結果 14日間の抗菌薬の投与・中止の間隔は、抗菌薬を使用しない場合と比較して、胸部感染症の発生頻度をわずかに減少させた。28日間の抗菌薬の投与・中止の間隔では、このような...

心血管疾患を予防するための低糖質

2 years 11 months ago
心血管疾患を予防するための低糖質 背景 心血管疾患(CVD)は、心臓や血管に影響を及ぼす疾患群であり、世界的な死亡原因の第1位である。修正可能な危険因子を検出し、心血管疾患(CVD)を予防するための戦略を見つけることが重要である。心血管疾患(CVD)を発症する危険因子はいくつか確立されているが、そのうちの1つが糖分の多い不健康な食事である。糖質は、食品に含まれる天然の糖質と、食品に添加される糖質の2つに分けることができる。高添加糖質の摂取量が多いと、体重増加や血中の脂質に影響を与え、心血管疾患(CVD)のリスクを高めることが示唆されている。本レビューでは、健康な成人を対象に、食事に含まれるさまざまな量の添加糖が、心血管疾患の発症(心筋梗塞や脳卒中など)、死亡、心血管疾患(CVD)の危険因子に及ぼす影響を評価した。 試験の特徴 ランダム化比較試験(参加者を実験的治療または対照的治療のいずれかに無作為に割り当てる臨床試験)のデータベースを検索した。対象となった試験は、健康な成人を対象に、さまざまな量の添加糖の摂取と心血管疾患(CVD)の危険因子への影響を比較した。心血管疾患(CVD)や糖尿病の既往がある人は本レビューに含まれていない。 主な結果 21件の試験が見つかり、1,110人が参加した。いずれの試験も、心血管疾患の発症や死亡については調査していない。試験では、血圧、血中の脂質値...

急性四肢虚血の治療のための経皮的血栓除去術(血栓除去術)と超音波で加速して血栓を溶解する方法(超音波加速血栓溶解術)の利点とリスクは?

2 years 11 months ago
急性四肢虚血の治療のための経皮的血栓除去術(血栓除去術)と超音波で加速して血栓を溶解する方法(超音波加速血栓溶解術)の利点とリスクは? 要点 しっかりとしたエビデンスがないため、急性四肢虚血の初期治療としての経皮的血栓除去術(皮膚に針を刺して血栓を除去する方法で、経皮的血栓除去術として知られている)や超音波加速血栓溶解療法(特定の装置で超音波を血管内に送り込み、血栓の溶解を促進する方法)の利点とリスクは不明である。 この分野の今後の研究では、血栓除去、カテーテルを用いた血栓溶解療法(血栓に薬剤を注入して溶解する)、開腹手術(血栓を除去して血流を改善する)などの治療法の有効性や、これらの治療法による望ましくない影響を調査することが必要である。 急性四肢虚血とはどのようなもので、どのように治療するか? 急性虚血は、四肢に発生する一般的な疾患である。急性四肢虚血は、四肢の血流が突然著しく低下することによって起こり、痛み、麻痺、蒼白、冷感などの症状が現れ、重症の場合は切断に至ることもある。 急性四肢虚血の初期管理のための標準的な治療法は、開腹手術とカテーテルを用いた血栓溶解療法である。急性四肢虚血の初期管理には、経皮的血栓除去術や超音波加速血栓溶解療法などの治療法がある。 何を知りたかったのか? 経皮的血栓除去術や超音波加速血栓溶解療法が、カテーテルを用いた血栓溶解療法や開腹手術に比べて...

小児の叢生(そうせい)に対する最良の治療は何か?

2 years 11 months ago
小児の叢生(そうせい)に対する最良の治療は何か? 叢生(そうせい)とは? 歯が生える(歯肉から口の中に突き出る)とき、口の中に十分なスペースがないと、歯がねじれたり、突き出したり、後ろに下がったり、重なったりすることがある。乳歯を虫歯や外傷で早期に失うと、永久歯が混み合ってしまうこと(叢生)がある。このような歯並びが子供の自尊心に影響を与えたり、痛みや破損、咀嚼の問題を引き起こしたりする場合は、矯正歯科医に紹介し、矯正する場合がある。矯正歯科は、顎や顔の成長、歯の成長や噛み合わせの発達に関わるものである。 矯正治療とは? 叢生が軽度(4mm以下)であれば、歯列矯正で予防・矯正することが可能である。また、叢生が中等度(4~8mm)または重度(8mm以上)の場合は、一部の歯の抜歯が必要になることもある。固定式の歯列矯正装置は永久歯に使用される。取り外し式の歯列矯正装置は、乳歯と永久歯、またはその両方に使用することができる。乳歯や永久歯は抜歯できる。 固定式歯列矯正装置 固定式歯列矯正は、歯に接着剤で部品を取り付け、ブラケット(注釈:歯の表面に当てる部品)にワイヤーを通して力をかけ、歯を動かして矯正する方法である。ワイヤーは、金属製のタイ(注釈:オーリング(ブラケットの輪ゴム)の周りに取り付けられたワイヤー)、小さな輪ゴム、またはブラケットに組み込まれたクリップで固定する(「セルフライ...

交叉咬合(上の奥歯が下の奥歯の内側に食い込んでいる状態)の治療に歯列矯正は有効か?

2 years 11 months ago
交叉咬合(上の奥歯が下の奥歯の内側に食い込んでいる状態)の治療に歯列矯正は有効か? 要点 小児の奥歯の交叉咬合の矯正には、クワッドヘリックス(固定式)や拡大床装置(取り外し式)を用いた矯正治療が有効である。およらくクワッドヘリックスは拡大床装置よりも効果がある。青年の場合、奥歯の交叉咬合の矯正には、ヘリックス(訳注:歯に金属の輪をかけて、針金でつないでいるもの)とハース(Haas)(訳注:金属と上顎の粘膜に沿ったプラスチックにて構成されたもの)の違いはないと思われる。 何が問題なのか? 後方の交叉咬合は、上の歯や顎が下の歯よりも狭い場合に起こる。歯列弓の片側または両側に起こる可能性がある。この状態では、歯の問題(例:歯の摩耗)、顎の異常な発達、関節の問題、顔の見た目のバランスの悪さなどが起こりやすくなる可能性がある。後方の交差咬合は、欧米では約4%の子供と17%の青年に発生すると言われている。 様々な治療法が提案され、その結果、様々な矯正装置が生み出された。反対咬合を矯正するための基本的な治療法は、口蓋(口の中の天井)に装着した矯正装置を使って、上顎の両側に圧力をかけて上顎を広げるというものである。装置は固定式(例:クワッドヘリックス、ハース、ハイラックス)または取り外し式(例:拡大床装置)がある。固定式の装置は歯に接着し、取り外し式の装置は患者が口の中から取り出すことができる。...

帝王切開後の新生児呼吸器合併症予防のためのステロイド(薬)

3 years ago
帝王切開後の新生児呼吸器合併症予防のためのステロイド(薬) レビューの論点 予定帝王切開(選択的帝王切開)により37週以降の正期産で、陣痛が始まる前に生まれた新生児は、経膣分娩で生まれた児よりも呼吸器合併症を発症する可能性が高くなる。分娩前に母体に「副腎皮質ステロイド(薬)(以下ステロイド)」と呼ばれる注射剤を投与することで、34週以前に生まれた新生児の呼吸障害のリスクを減らすことが示されているが、この段階以降の投与が有用かどうかは明らかになっていない。 なぜこれが重要なのか? 帝王切開により出産される新生児は、呼吸障害を起こすリスクが高くなる。例えば、最初の数日間に呼吸が速くなったり(新生児一過性頻呼吸)、より深刻な呼吸窮迫症候群(RDS)を起こしたりする。その場合は、環境の整った場所(訳注:新生児集中治療室などを含む)での治療が必要なことがある。このリスクは、妊娠37週から39週にかけて減少し、段階的に低くなる。帝王切開の多くは妊娠39週以降に行われるが、それ以前に行う必要があるケースもある。このレビューの目的は、ステロイドが母体や乳児に悪影響を与えることなく、帝王切開児の呼吸困難の発生率を減らすことができるかどうかを調査することである。 エビデンスの特定および評価方法 私たちは、信頼できる選択基準を満たし、かつステロイドの効果をプラセボ(ダミー)治療または通常のケアと比較し...

鎌状赤血球症患者の尿中への蛋白質やアルブミンの漏出を防ぐことを目的とした薬剤投与

3 years ago
鎌状赤血球症患者の尿中への蛋白質やアルブミンの漏出を防ぐことを目的とした薬剤投与 レビューの論点 鎌状赤血球症の人が尿中のタンパク質やアルブミン(肝臓で作られるタンパク質)を失わないようにすることを目的とした薬剤の効果に関するエビデンスを検討した。 背景 鎌状赤血球症は、多くの場合、腎臓障害を引き起こす種類の遺伝性疾患である。尿中の蛋白質やアルブミン漏出が多いと、将来の腎不全を強く予測させる。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は、尿中のタンパク質やアルブミンの濃度を下げ、腎臓を損傷から守るために投与されることが多い。しかし、これらが鎌状赤血球症の人にどれだけ有効で安全なのかについては、まだよくわかっていない。 検索期間 エビデンスは、2021年8月22日現在のものである。 研究の特性 レビューでは、1件の研究(鎌状赤血球症の成人22名を対象)のみを取り上げ、分析した。参加者は、尿中のタンパク質(タンパク尿)またはアルブミン(微量アルブミン尿)の値が高く、ランダムに選ばれ、カプトプリル(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)またはプラセボ(有効な薬が入っていないダミー薬)のいずれかで6ヶ月間治療を受けた。 主な結果 この小規模で非常に質の低い研究の結果は、説得力のあるものではなかった。エビデンスの確実性については、評価したほぼすべての領域でバイアスのリスクが少なくとも不明確または高...

輸血の回数を減らすために、血球数(ヘモグロビン値)の低下を輸血の判断に使用しても良いのか?

3 years ago
輸血の回数を減らすために、血球数(ヘモグロビン値)の低下を輸血の判断に使用しても良いのか? 要点 ・血球数の少ない患者(ヘモグロビン値が7.0g/dL~8.0g/dL)に輸血を行うことが、血球数の多い患者(9.0g/dL~10.0g/dL)に比べて、死亡、心臓発作、心筋梗塞、脳卒中、肺炎、血栓、感染症のリスクに影響を与えるというエビデンスはない。 ・血球数の少ない患者(7.0g/dL~8.0g/dL)にだけ輸血をすることで、輸血量を大幅に減らすことができる。また、輸血における不必要なリスクを減らすことができる(輸血は有害な影響を与えることがある)。 ・更なる研究が以下のような理由で必要である: - 心筋梗塞や脳梗塞、またはがん患者にとって輸血が必要となる血球数を決定するため - QOL(生活の質)を含む、死亡以外の転帰はどうであるかを知るため 輸血が必要な人はどのような状態か? 医師や医療従事者は、手術や出血、病気などで血液を失った人に輸血を行うことが多い。例えば、輸血は貧血の患者の手術後の回復を促進するかもしれないが、それは病状の改善に役立つ場合にのみ行われるべきである。血液は限られた資源であり、輸血はリスクを伴う。特に低所得国の人々にとっては、輸血に使用される血液がHIVや肝炎などの有害なウイルスの検査を受けていない可能性がある。 知りたかったこと 血球計算は血液中のヘモグロ...

早産で生まれた赤ちゃんの血中のブドウ糖(グルコース)濃度を持続的に測定する装置

3 years ago
早産で生まれた赤ちゃんの血中のブドウ糖(グルコース)濃度を持続的に測定する装置 レビューの論点 皮下センサーを用いて持続的グルコースモニタリング(CGM)を行い、血糖値が高すぎたり低すぎたりした時に補正するアルゴリズムを使用する、あるいは使用しない場合と、​​​​ 血糖値を間欠的に測定し、血糖値が高すぎたり低すぎたりした時に補正するアルゴリズムを使用する、あるいは使用しない場合とを比較した時のそれぞれにおける​利益と有害性は何か?​​​​1.血糖値が高すぎたり低すぎたりする危険がある早産児​​​​2.血糖値が低すぎることがわかっている早産児​​​​3.血糖値が高すぎることがわかっている早産児 背景 早産で生まれた新生児は、血糖値が高すぎたり低すぎたりする傾向がある。このような血糖値の異常を持つ早産児のほとんどは、完全に回復するか、あるいはごく軽度の問題にとどまる。血糖値が極端に高い、または低い(または異常値が長期間続く)早産児の中には、これが原因で死に至ったり、後に問題が生じることがある。 このレビューの目的は、CGMの使用が早産児の長期的な発育を改善したり、死亡率を低下させたりするかどうかを評価することであった。CGMデバイスは皮下に挿入され、リアルタイムで血糖値のデータを示す。血糖値の測定は、一般的に、少量の血液を採取(多くの場合、かかとの穿刺による)して間欠的に行う方法がと...
Checked
3 hours 16 minutes ago
Search on cochrane.org for:
Subscribe to Latest Japanese Reviews feed