Latest Japanese Reviews

6歳以下の子供の吃音に対する薬を使わない治療法

3 years 3 months ago
6歳以下の子供の吃音に対する薬を使わない治療法 このレビューの目的は何か? このレビューの目的は、6歳以下の子どもを対象に、吃音に対する薬を使わない治療によって、短期的および長期的に、言葉の流暢性、子どものコミュニケーション態度、子どものQOL(生活の質)への影響、潜在的な有害な影響が改善されるかどうかを調べることであった。この疑問に答えるために、関連するすべての研究を集めて分析したところ、4件の研究が見つかった。 要点 リドコムプログラムは、研究に含まれた量の治療を受けた幼児の吃音頻度を下げ、発話効率(1分間に話す単語や音節の数)を上げる可能性がある。1年から2年の期間で実施されるプログラムを完了した子どもたちの結果を報告した研究はなく、プログラム全体の影響はまだわかっていない。 治療が長期的にどのように作用したかを報告した研究は1件のみであったが、対照群のほとんどの子どもの結果が欠落していたため、治療の効果をまとめることができなかった。 幼児の吃音治療を評価するためには、より幅広い結果を報告する研究や、リドコムプログラム以外の治療法を評価する研究など、質の高い研究が必要である。 レビューでは何を調べたのか? 吃音(どもり)は、一般的なコミュニケーション障害であり、通常、2歳から4歳の子どもが発症する。吃音は、個々の音声、単語の一部、または単語全体の繰り返し、音声の不随意的な延...

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、処方通りに服薬を継続することを支援する方法はどれか?

3 years 3 months ago
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、処方通りに服薬を継続することを支援する方法はどれか? レビューの論点 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が処方された薬の服用を継続し、生活の質を向上させ、入院を減らすためにはどのような手法が有効か? 背景 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は長期にわたって呼吸障害を引き起こす肺疾患であり、息切れなどの症状がおこる。それに対する薬物治療はあるものの、処方通りに内服が行われない場合がある。様々な手法を用いることによって、患者が処方通りに内服し、症状や生活の質を改善し、入院を減らすことができる可能性がある。 このレビューでは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が処方通りに内服できるような手法があるかどうかを調べることを目的とした。 研究の特定と選択 該当する研究を見つけるためにデータベースを検索した。2人1組で、4人が別々に研究の一覧を見て、どの研究を含めるか意見を一致させた。最新の検索は2020年5月に実施された。 研究の特徴 内服状況を改善する単純な方法(例えば、薬の量を変えることや2つの別々の吸入器の代わりに1つの吸入器を用いること)と通常の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するケアを比較した研究を含めた。また、複合的手法(例えば、看護師または薬剤師からの情報提供やトレーニング、服薬の監視)を検証した研究も含めた。 主な結果は何か? 14件の研究(2...

プライマリーケアにおける禁煙治療を改善し、より多くの人の禁煙を支援する方法はあるか?

3 years 3 months ago
プライマリーケアにおける禁煙治療を改善し、より多くの人の禁煙を支援する方法はあるか? プライマリーケアにおける禁煙治療とは何か? プライマリーケアとは家庭医学や総合診療とも呼ばれ、主に日々の健康問題について医療専門家に相談する場所である。タバコを吸う人が禁煙の手助けをしてもらうには、最適な場所の一つである。プライマリーケアを受診すると、タバコを吸うかどうかを聞かれることがある。喫煙している場合には、典型的にはカウンセリングや投薬によって禁煙を支援することになる。 コクランレビューを行った理由 プライマリーケアにおける禁煙支援は、必ずしも十分に、または一貫して行われているとは限らない。医療従事者は、どのように治療を行うのが最善なのか分からなかったり、治療を行うための時間が限られていたり、必要な資源が不足していたりする。プライマリーケアにおける禁煙支援の提供と成功を改善する方法が提案されている。例えば、患者の禁煙を支援する最善の方法について医療従事者を訓練するなど、すでに利用可能な治療が頻繁かつ適切に実施されるように設計されたものもあれば、追加のカウンセリングや印刷物を提供するなど、参加者が利用できる支援を増やすように設計されたものもある。これらのアプローチのうち、どの方法が単独で、あるいは組み合わせで、最も効果的であるかを検討した。 何をしたのか? プライマリーケアにおける標準的な...

案内状の送付、専門家ではない保健医療関係者による介入および教育的介入は、子宮頸がん検診の受診率を高めるか

3 years 3 months ago
案内状の送付、専門家ではない保健医療関係者による介入および教育的介入は、子宮頸がん検診の受診率を高めるか 論点 子宮頸がんは、世界中で4番目に多い女性のがんである。現在、女性は、高リスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)や異常細胞または前がん細胞の有無を調べるために、子宮頸がん検診(別名「スメア」または「パパニコロー検査」)を受けるよう求められている。子宮頸がん検診の受診率は、世界的に低い。英国の子宮頸がん検診プログラムでは、検診によってがんが発生する前の前がん病変を早期に発見し治療することで、死亡率が低下する可能性があることが示されている。しかし、検診を受けることができるかどうか、また受けているかどうかは、国によってまた国内でも差がある。また、民族、年齢、教育、社会経済的地位によっても差があり、受診率を高めるための介入策を講じる際にはこの点に留意する必要がある。 レビューの目的 本レビューの目的は、女性に子宮頸がん検診の受診を促す方法を検討することにあった。その方法には、案内状、催促状、教育、効果的な受診勧奨メッセージの工夫、カウンセリング、リスク因子の評価、検査方法の工夫および経済的介入などが含まれる。 主な結果 本レビューには70件の試験を選択し、そのうちの69件(257,899人の女性)をメタアナリシス(メタ解析)に組み入れた。その結果、案内状や、それより効果は小さいが、...

自閉症スペクトラム障害(ASD)患者に併存した強迫性障害(OCD)に対する行動療法および認知行動療法

3 years 3 months ago
自閉症スペクトラム障害(ASD)患者に併存した強迫性障害(OCD)に対する行動療法および認知行動療法 レビューの目的 このレビューの目的は、認知行動療法(CBT)が自閉症スペクトラム障害(ASD)を併せ持つ強迫性障害(OCD)の人に役立つかどうかを確認することである。 背景 ASDの診断を受けている人のあいだでは、似た性質を有することが多い。ASDの診断を受けた人は、社会的な交流やコミュニケーションを他の人とは違った形で理解していることが多い。また、ASDの人は、他の方に比べて考え方が柔軟ではないため、通常の心理療法を適用することが難しい場合がある。ASDに関連するどの研究分野を優先すべきかを臨床家が決定する際に、ASD当事者の意見は貴重である。 OCDと診断された人は、ある特定の症状を持っており、それが生活を送る上である程度影響を与える。OCDを持つ人は、望んでいないにもかかわらず、固執した考えを持っており、その考えが理不尽であると思うことがよくある。このような考えは、自分や誰かが傷つけられるのではないか、何かが完璧ではないまたは正しくないのではないかといった心配であることが多い。OCDの人は、本当は必要ないとわかっていても、「物事を正す」ために何度も考えたり行動したりしなければならないと感じることがある。その繰り返される行動として、手を洗うことなどがある。 ASDの人は、OC...

診断時に転移性ユーイング肉腫が認められた小児、思春期および若年成人患者への大量化学療法と自家造血幹細胞移植

3 years 3 months ago
診断時に転移性ユーイング肉腫が認められた小児、思春期および若年成人患者への大量化学療法と自家造血幹細胞移植 レビューの論点 転移性原発ユーイング肉腫(診断時にすでに他の部位に広がっているがん)の小児、思春期および若年成人患者を対象とする大量化学療法と自家造血幹細胞移植(骨髄回復のために、患者から事前に採取した幹細胞の静脈内点滴投与)の併用療法が、従来の化学療法よりも無イベント生存期間、全生存期間、質調整生存期間(生存年数と生活の質(QOL)の双方を考慮した効果指標)、無増悪生存期間を改善したかどうかのエビデンスを検索した。この治療法により生じた有害作用も検索した。 背景 ユーイング肉腫とは、小児および若年成人の骨や軟部組織に発生することが多い腫瘍のことである。診断時に転移が認められたユーイング肉腫の患者は生存率が低く、5年生存率は30%以下である。孤立性肺転移の場合は、生存の可能性が多少高い(5年生存率は50%)。現在の治療では、多剤併用化学療法に外科治療あるいは放射線治療のいずれかまたは、その両方が併用される。ユーイング肉腫患者のために、治療の改善が不可欠である。 従来の化学療法と比較して、大量化学療法と自家造血幹細胞移植の併用療法により、診断時に転移性ユーイング肉腫であった小児、思春期および若年成人患者に対する延命効果が改善されるかどうかを検討するために、本レビューを実施した...

人工のCOVID-19特異的モノクローナル抗体は、COVID-19の治療に有効か?

3 years 3 months ago
人工のCOVID-19特異的モノクローナル抗体は、COVID-19の治療に有効か? 要点 - COVID-19を唯一の標的とするように設計された人工抗体(病気に対する身体の自然な防御機能)がCOVID-19の有効な治療法であるかどうかは、異なるタイプの患者で、異なる治療法を検討した6件の研究のみを評価したため不明である。 - 現在進行中の研究のうち、終了すればさらに多くのエビデンスが得られると思われる研究が36件存在する。 - より多くのエビデンスが得られれば、このレビューを定期的に更新する。 モノクローナル抗体とは? 抗体は、病気に対する防御として体内で作られる。しかし、病気から回復した人の細胞から人工で作ることもできる。 1つの特定のタンパク質(この場合、COVID-19の原因となるウイルスのタンパク質)のみを標的として設計された抗体が「モノクローナル抗体」である。COVID-19の原因となるSARS-CoV-2ウイルスと結合し、ヒトの細胞内への侵入や複製を阻止することで、感染症との戦いに貢献する。モノクローナル抗体は、他のウイルスの治療にも成功している。これらは、様々な種類の抗体が含まれている回復者血漿に比べて、副作用が少ないと考えられている。 何を知りたかったのか? COVID-19の特異的モノクローナル抗体がCOVID-19の有効な治療法であるかどうかを知りたかった。以...

不妊治療で胚移植を受ける女性がオキシトシンというホルモンを阻害する薬を使うと、子どもを授かる確率が上がるのか?

3 years 3 months ago
不妊治療で胚移植を受ける女性がオキシトシンというホルモンを阻害する薬を使うと、子どもを授かる確率が上がるのか? レビューの論点 胚移植を受ける女性にオキシトシンを阻害する薬を使うことのメリットとリスクは何か? 背景 胚移植(ET)は、生殖補助医療(ART)の重要なステップであり、1つまたは複数の胚(受精卵)を子宮に入れることである。子宮内膜の収縮とは、子宮内膜の表面が波のように動くことで、胚移植をする時期にこの収縮があると妊娠率が低下すると言われている。胚が子宮に着床する際の悪影響を抑えるための治療法は、現在のところない。オキシトシンは天然のホルモンで、陣痛の引き金になることが知られている。この働きを阻害する薬は、早産の子宮収縮を止めるために日常的に使用されている(訳者注:日本では未承認)。胚移植の時期の子宮収縮にも同じホルモンが関わっているという説もある。そのため研究者たちは、陣痛を止める薬を使えば、胚移植の時期に子宮収縮が抑えられ、妊娠率が改善する可能性があるのではないかという臨床疑問をたてた。 研究の特徴 胚移植を受けた3733人の女性を対象に、オキシトシンの働きを阻害する薬の使用を評価した研究が11件見つかった。オキシトシンの働きを阻害する薬は、7件のRCTでは静脈注射(アトシバン)、1件のRCTでは皮下注射(バルシバン)、3件のRCTでは経口投与(ノラシバン)で投与され...

早期乳がんに対する乳房部分照射

3 years 3 months ago
早期乳がんに対する乳房部分照射 論点 乳がんは、女性が罹患するがんの中で最も頻度の高いものである。 早期乳がんの女性が乳房を残すことを希望する場合、乳房内で確実にがんを再増殖させないために、手術と放射線治療を受ける必要がある。放射線治療は高エネルギーX線を用いて行う治療である。通常、乳がんの放射線治療では、週5回、計15~30回、放射線科に通院する。 乳がんが同じ乳房で再増殖した場合(局所再発という)は、切除したがんがあった同じ場所に再発する傾向がある。また、同じ乳房の異なる部位に新たながん(新たな 「別の場所の原発がん」)が生じることもある。最初のがんが発生した部位での再増殖を抑制する目的で行う放射線治療が、「別の場所の原発がん」の発生を抑制するのかどうかは、まだわかっていない。 重要である理由 副作用を少なくするために、放射線を照射する部分を最小限にすることが望ましい。乳房の一部への照射ですめば、必要に応じて同じ乳房の別の部分に再び放射線治療を行える可能性もある。放射線治療の新しい方法では、乳房の一部をこれまでより少ない照射回数で治療できる。それによって患者への負担が減り、治療費も抑えられる可能性が高い。 比較したこと 放射線治療を乳房の一部に行った場合(いわゆる乳房部分照射)、乳房全体に照射する放射線治療と同じ効果が得られるかどうかを調べた。乳房部分照射は治療期間を短縮して...

手術前の剃毛は手術後の感染症を予防できるか?

3 years 3 months ago
手術前の剃毛は手術後の感染症を予防できるか? 要点 剃毛しない場合と比較して: - かみそり(剃刀)で毛を剃った場合の方が、手術部位感染の発生が多い可能性がある。 - サージカルクリッパー(バリカン)での剃毛やクリームを用いての除毛は、感染の発生にほとんど差はない。 サージカルクリッパー(バリカン)での剃毛や除毛クリームを用いての除毛は、かみそりで毛を剃るよりも、おそらく感染の原因になりにくい。 手術前日ではなく、手術当日に剃毛または除毛をすることにより、感染症の発生を少し抑制することができる。 なぜ手術前に剃毛するのか? 外科手術の前には、手術を受ける部位の毛を剃毛することが一般的である。サージカルクリッパー(バリカン)、カミソリ、除毛クリームなど、毛の処理は、さまざまな方法で行うことができる。 例えば、傷口を縫うときや包帯を巻くときなど、手術中や手術後のトラブルを避けるために毛を処理する。しかし、毛を剃ったり抜くことにより、術後の感染症が引き起こされる可能性があるので毛の処理は避けた方が良いとする研究もある。 何を知りたかったのか? 手術の前に剃毛することによって以下がどうなのかを知りたかった。 - 感染症の原因となるのか、予防となるのか; - 皮膚の切り傷や縫合した傷口が開くなどの合併症を防ぐのか; - 手術後の入院期間への影響はどうか; - 費用面での影響はどうか。 また...

肩の痛みに対するグルココルチコイドの画像ガイド下注射とブラインド注射(画像ガイドなし注射)の比較

3 years 3 months ago
肩の痛みに対するグルココルチコイドの画像ガイド下注射とブラインド注射(画像ガイドなし注射)の比較 背景 肩の痛みは、回旋筋腱板損傷もしくは癒着性関節包炎(「凍結肩」)に起因することが多い。回旋筋腱板は(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の回旋筋群からなる4つの)腱で構成されており、肩関節を良い位置で安定させ、腕を上げる動作を可能にする。肩の痛みは、腱板の損傷や炎症、そして、腕を上げたときに腱の上部にある骨が腱を圧迫すること(インピンジメント)が関与している。いずれの状態も、動作時に痛みが生じたり、夜間や患側を下にしての就寝時にしばしば痛みが生じる。また、癒着性関節包炎は肩関節のこわばりも引き起こす。 グルココルチコイド注射は肩の痛みを和らげるが、その効果は通常6~8週間で消失する。従来、注射は肩周辺の解剖学的ランドマーク(目印)を目印にして行われている。また、肩への注射をより正確に行うために、超音波などのイメージング(画像)技術が使用されることもある。画像ガイド下での注射が画像ガイドなしの注射と比べて、効果的に肩の痛みを和らげるかどうかは分かっていない。 研究の特徴 このコクランレビューは2021年2月15日現在のものである。19件の試験(参加者1035人)で、超音波ガイド下注射と「ブラインド」注射(画像ガイドなしの注射)を比較した。試験の参加者の病態は、14件は回旋筋腱板損傷、4...

慢性肝疾患に対するビタミンDの補給

3 years 3 months ago
慢性肝疾患に対するビタミンDの補給 レビューの論点 慢性肝疾患の成人にビタミンDの補給は有益か有害か? 背景 成人におけるビタミンDと慢性肝疾患に関する利用可能なエビデンスには結論が出ていない。このシステマティックレビュー(入手可能な医学試験の結果をまとめたもの)の目的は、慢性肝疾患患者におけるさまざまな形態のビタミンDの有益性と有害性を分析することであった。 試験の特徴 1979人の成人参加者を対象とした27件の試験が本レビューにデータを提供した。今回のレビュー更新では、12試験、945名の参加者が追加された。1979人の試験参加者は、プラセボ(偽薬)または無治療と比較するビタミンDに無作為に割り当てられた。高所得国では11本、中所得国では16本の試験が行われた。参加者の年齢は28歳から61歳で、平均して44%が女性であった。C型慢性肝炎患者を対象とした試験が10件、肝硬変患者を対象とした試験が5件、非アルコール性脂肪性肝疾患患者を対象とした試験が11件、肝移植患者を対象とした試験が1件あった。B型慢性肝炎や遺伝性肝疾患の方を対象とした試験はなかった。対象となったすべての試験で、参加者のベースラインのビタミンDの状態が報告された。ビタミンDの投与期間は平均6ヶ月で、ほとんどの試験でコレカルシフェロール(ビタミンD3)が使用された。 資金調達 14件の試験は、試験結果に偏りをもた...

子宮内膜症女性に対するペントキシフィリン

3 years 3 months ago
子宮内膜症女性に対するペントキシフィリン レビューの論点 子宮内膜症と診断されている女性にペントキシフィリンを投与することで、痛みの症状や妊娠の転帰が改善するかどうか、有効性と安全性を検討した。ペントキシフィリンは免疫調整薬(免疫系に作用する物質)であり、この病態の治療に異なるアプローチを提供する可能性がある。ペントキシフィリンを無治療、プラセボ(偽の治療)、別の内科的治療、外科的治療と比較することを目的とした。 背景 子宮内膜症は、子宮内膜(子宮の内側を覆う組織)に似た組織が子宮の外で成長して痛みを引き起こす状態であり、女性の妊孕能に影響する可能性がある。最近の研究ではこの病気に対する免疫系の影響が支持されている。ペントキシフィリンは免疫調整薬であり、抗炎症(炎症を抑える)作用も持つため、排卵を抑制することなく病気の症状を和らげられるかもしれない。 研究の特性 5件のランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群にランダムに振り分ける試験)を対象とし、合計415人の女性を対象に、ペントキシフィリンとプラセボ、無治療、その他の内科的治療を比較した。このエビデンスは2020年12月16日現在のものである。 主な結果 子宮内膜症の女性における妊孕性や痛みの緩和に関するペントキシフィリンの有効性と安全性について、結論を出すのに十分なエビデンスはなかった。主要評価項目である出産率や有害事象...

超低出生体重児の壊死性腸炎を予防するために行うゆっくりとした授乳量調整

3 years 3 months ago
超低出生体重児の壊死性腸炎を予防するために行うゆっくりとした授乳量調整 レビューの論点 生後数週間の間に、超低出生体重児への授乳量の増加率を制限すると、重度の腸障害のリスクが減少するか? 背景 超早産児(予定日よりも8週以上早くうまれた児)や超低出生体重児(出生時の体重が1,500g未満)の新生児は、壊死性腸炎(腸が炎症を起こして死ぬ)と呼ばれる重度の腸疾患を発症するリスクがある。この症状を防ぐには、生後数週間の乳児の授乳量を制限することが一つの方法ではないかと考えられている。 研究の特徴 超早産または超低出生体重の新生児の授乳量を、ゆっくりとしたペースで増加させる場合と、速いペースで増加させる場合とを比較したランダム化比較試験(2つ以上の治療群のいずれかに参加者をランダムに割り当てる研究)を検索した。対象とした試験は14件で、合計4,033人の乳児が含まれていた(1つの大規模試験には2,804人の乳児が参加していた)。検索は2020年10月現在のものである。 主な結果 対象となった試験を総合的に分析した結果、授乳量をゆっくりと増やしても、壊死性腸炎や死亡のリスクにはおそらく影響しない(中等度の確実性)。 結論とエビデンスの確実性 授乳の量をゆっくりと増やしても、超早産児や超低出生体重児の壊死性腸炎や退院前の死亡のリスクはおそらく減らない。 訳注:  《実施組織》 榛葉...

COVID-19患者の終末期に対して、どのような治療法が最適か?

3 years 3 months ago
COVID-19患者の終末期に対して、どのような治療法が最適か? COVID-19患者の終末期における厄介な症状と緩和的な治療法について COVID-19患者は、終末期に息苦しさやせん妄などの症状を示すことがある。緩和医療の目的は、そのような症状に対して適した治療法でその症状を緩和することである。治療には、例えばオピオイドをはじめとする麻薬などの薬物療法と、呼吸法やリラックス法などの非薬物療法がある。 本レビューの目的 終末期にあるCOVID-19患者の苦痛を伴う症状の治療において、様々な介入方法(薬物療法および非薬物療法)がどの程度効果があるかを調査した。すべての年齢層、すべての併存疾患(合併している医学的状態)を持つ患者を対象とした。 どのようなタイプの研究を探したか? 2021年3月23日まで、選択した医療データベースと臨床試験登録のレジストリを検索した。終末期におけるCOVID-19関連の症状を緩和するために、様々な緩和的な治療法がどの程度有効かを調べた研究を対象とした。異なる薬剤や治療法で介入した研究を比較したかったが、比較群のない研究しか見つからなかった。個々の症状に対して使用した特定の薬剤を報告した研究は1件のみであった。 主な結果 5つの論文に掲載された4件の研究が見つかった。個々の論文で61人から2105人の参加があり、2つの論文では一部同じ参加者について報告し...

超早産児の授乳における短い間隔と長い間隔の比較

3 years 4 months ago
超早産児の授乳における短い間隔と長い間隔の比較 レビューの論点 超早産児の定期的な授乳において、短い間隔(例えば、2時間以下)は、長い間隔(3時間以上)に比べて許容性が良いか? 背景 出生時に在胎32週未満の超早産児への授乳は大きな課題である。腸が未熟なため、軽度(摂食不耐性)から中等度(胃からミルクが逆流)、重度(壊死性腸炎(NEC)など)の問題が発生する可能性がある。壊死性腸炎は、腸の一部が修復不可能な状態にもなりうる感染性の合併症である。授乳間隔が重要そうであるが、適切な間隔を決めることが大きな課題となる。短い間隔(典型的には3時間以内)でも、長い間隔でも、それぞれにリスクがある。間隔が短い場合は、少量のミルクをより頻繁に与えることができる。乳児はミルクの量がより少ない方が全量飲めるかもしれないが、授乳の間隔が短いと胃腸が休まる時間が十分に取れない可能性がある。 研究の特徴 2020年6月25日までの医学データベースを検索した。4件の研究(417人の乳児を対象)が見つかったが、いずれも中所得国で実施されたものであった。4件の研究はすべて、2時間ごとの授乳間隔と3時間ごとの授乳間隔を比較していた。すべての試験は、妊娠29週から妊娠35週の極低出生体重児を対象としていた。 結果 これらの研究結果を総合すると、2時間ごとの授乳間隔と3時間ごとの授乳間隔では、ほとんどあるいはまった...

慢性閉塞性肺疾患患者において、呼吸リハビリテーション後の監督下における維持療法は通常の治療と比較して有効か?

3 years 4 months ago
慢性閉塞性肺疾患患者において、呼吸リハビリテーション後の監督下における維持療法は通常の治療と比較して有効か? 背景 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方には、呼吸リハビリテーションが有効である。呼吸リハビリテーションを行うことで、症状、生活の質、運動耐容能が大きく改善し、入院回数が減る可能性がある。このレビューでは、維持リハビリテーションプログラムが有用かどうかを検討する。維持リハビリテーションとは、呼吸リハビリテーションプログラムが終了した後に行われる、監督下の運動トレーニングである。典型的な維持リハビリテーションプログラムは監督下で実施される。 検索日 エビデンスは2020年3月31日現在のものである。 研究の特徴 このレビューには、1799人のCOPD患者を対象とした21件の研究が含まれた。維持リハビリテーションプログラムは、月1回またはそれ以下の間隔で監督されていたが、2つの研究ではセッションの間隔がそれ以上に長かった。すべてのプログラムは監督されていたが、電話で監督されたもの、対面で監督されたもの、その両方が混在しているものもあった。このレビューでは、すべての維持プログラムで、監督付きの運動トレーニングが行われた。また、一部のプログラムでは教育セッションも行われた。ほとんどのプログラムは6ヶ月から12ヶ月の間継続された。 結果 6~12ヵ月後の追跡調査では、通常のケアと比較...

褥瘡の予防と治療のためのベッド、交換マットレス、上敷マットレスのメリットとリスクとは?

3 years 4 months ago
褥瘡の予防と治療のためのベッド、交換マットレス、上敷マットレスのメリットとリスクとは? この概要では、ランダム化比較試験から得られた多くのデータを示して、「ネットワーク・メタアナリシス」と呼ばれる高度な分析を含む。この分析では、褥瘡の予防や治療のためのあらゆるタイプの体圧分散用具を比較する。この相互作用のある分析手法は、データを一定の方向に導くことに役立つかもしれない。 https://stopthepressure.shinyapps.io/Cochrane_support_surface_reviews/. 要点 静止型エアマットレスまたは上敷マットレス、圧切替型エアマットレスまたは上敷マットレス、手術台に使用されるゲル素材のパッドは、褥瘡予防において、フォームマットレスよりも優れている場合がある。 フォームマットレスと比較して、圧切替型エアマットレスや上敷マットレスは、おそらく褥瘡予防において費用を上回る健康上の利点があると考えられる。 静止型エアマットレスや上敷マットレスは、フォームマットレスよりも潰瘍治癒に優れている場合があるが、費用がかかる可能性がある。 褥瘡の予防や治療にはどのような治療法が最適なのか、それらの治療法が人々の快適さや生活の質にどのような影響を与えるのか、また、望ましくない影響があるのかどうかは不明である。 褥瘡とは何か? 褥瘡(床ずれとも言われる)と...

副腎皮質ステロイド(抗炎症薬)を経口または注射で投与することは、COVID-19に罹患している人に有効な治療法か?

3 years 4 months ago
副腎皮質ステロイド(抗炎症薬)を経口または注射で投与することは、COVID-19に罹患している人に有効な治療法か? 要点 - 副腎皮質ステロイド(抗炎症薬)(以下、ステロイド)の経口投与や注射(全身投与)は、COVID-19に罹患して入院している人に有効な治療法であろう。望ましくない効果を引き起こすかどうかはわからない。 - どのステロイドが最も効果的かはわからない。症状のない人や軽症のCOVID-19で入院していない人についてのエビデンスは見つからなかった。 - 現在進行中の研究が42件、完了したが結果が公表されていない研究が16件見つかった。新たなエビデンスが見つかった場合は、このレビューを更新する。 ステロイド(副腎皮質ステロイド)とは? ステロイドは、赤みや腫れを抑える抗炎症薬である。また、病気や感染症から体を守る免疫系の活動も低下させる。ステロイドは、喘息、湿疹、関節の歪み、関節リウマチなどさまざまな症状の治療に使用される。 ステロイドは、飲んだり(経口投与)、注射したりして、全身を治療する。高用量のステロイドを長期にわたって服用すると、食欲増進、睡眠障害、気分の変化などの望ましくない作用が生じることがある。 COVID-19の治療にステロイドが使用されるのはなぜか? COVID-19は、肺や気道に影響を与える。免疫系がウイルスを攻撃することで、肺や気道が炎症を起こし、...

クループの子どもに対するヘリウム・酸素(ヘリオックス)療法

3 years 4 months ago
クループの子どもに対するヘリウム・酸素(ヘリオックス)療法 レビューの論点 ヘリウムと酸素の混合ガス(ヘリオックス)を吸入することが、偽薬による治療法(プラセボ)や、30%の加湿酸素、エピネフリン(アドレナリン、気道を広げる薬)を添加した100%の酸素などの治療法と比較して、子どものクループの治療に安全で有用であるかどうかを調べた。 背景 クループは、上気道が塞がれてしまう短期の病気である。生後6ヶ月から3歳までの子供に多く、ウイルス感染が原因で、秋から冬にかけて多発する。症状としては、犬が吠えるような咳、嗄れ声、異常な呼吸音、胸壁の引き込み(吸気時に胸壁の皮膚や胸骨が内側に動くこと)などがある。 コルチコステロイド薬は、クループの子どもたちに対する標準的な治療法だが、この治療法の限界は、薬の効果が出るまでに時間がかかることである。重症のクループの子どもたちには、気管チューブや機械的な呼吸補助など、追加の緊急治療が必要になる場合がある。重度のクループの子供には、酸素とアドレナリンを細かい霧状にして吸入する(ネブライズと呼ばれる処置)必要がある。アドレナリンは一般的に安全だが、心拍数が速くなったり、不安になったりする副作用がある。安全で、効果的で、即効性のある治療法を特定することは、子どもとその家族にとって重要である。 ヘリオックス(ヘリウムと酸素の混合ガス)は、空気の流れを良くし...
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3 hours 55 minutes ago
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