3 months 3 weeks ago
レビューの論点
カルニチン欠乏症は、透析を必要とする慢性腎臓病(CKD)患者にみられる重要な問題である。透析に伴うカルニチン欠乏によって、透析中の症状(例:筋肉のけいれん(こむら返り)や筋力低下など筋肉症状や低血圧)および腎不全の慢性合併症(例:貧血)が悪化する可能性がある。しかし、カルニチンを補充すれば、透析に伴うカルニチン欠乏の症状を改善できるかどうかは不明である。
本レビューで実施したこと
透析を要するCKD患者に対するカルニチン補充に関して実施された全ランダム化比較試験について、医学文献を検索した。目的は、カルニチン補充が生活の質(QOL)およびカルニチン欠乏による症状を改善するかどうかを明らかにすることにあった。また、有害事象の観点から、カルニチン補充が安全かどうかも評価した。エビデンスの確実性は、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluations)を用いて評価した。
わかったこと
透析を受けているCKD患者計3,398人を対象とした研究52件が見つかった。L-カルニチンがQOLおよび透析に伴うカルニチン欠乏による症状に与える影響については、明らかにすることができなかった。一方、L-カルニチンによってこのような患者の貧血が改善する可能性が示唆された。また、この患者集団に対するL-カルニチン補充の有害作用については、エビデンスがきわめて少ない。
結論
QOL、疲労スコア、筋けいれん(こむら返り)、透析中の血圧低下(透析低血圧)に対するカルニチン補充療法の効果は、いまだ不明であることがわかった。透析を必要とするCKD患者では、L-カルニチンによって貧血関連マーカー(ヘモグロビン値およびヘマトクリット値)が改善する可能性がある。この患者集団を対象としたカルニチン補充療法の有効性と安全性を評価するためには、さらに研究が必要である。
Nishioka N, Luo Y, Taniguchi T, Ohnishi T, Kimachi M, Ng RCK, Watanabe N
4 months 1 week ago
要点
- 早産児に関して、新生児集中治療室(neonatal intensive care unit: NICU)での明暗周期のある光環境が成長、神経系の発達、望ましくない事象 に影響するかどうかは不明である。
- NICUでの明暗周期のある光環境が入院期間を短縮するかどうかは不明である。
- この分野での今後の研究は、NICUでの明暗周期のある光環境が長期的健康に及ぼす影響を評価することに焦点を当てる必要がある。
集中治療室における明暗周期のある光環境とは?
早産児は、体内時計である概日リズムを発達させるための身体システムに関する十分な信号を母親から受け取っていない。早産児は通常、出生後はNICUでケアされるが、そこでは常時高照度の照明が使用されることが多い。このような環境には、明暗周期のような時間固有信号がない。このため、神経系の発達がさらに制限されるかもしれない。明暗周期のある光環境とは、NICUの照明を調整する方法のことで、一般的には、新生児が病院の外で経験する自然な明暗周期を模倣する。
知りたかったこと
私たちは、NICUでの明暗周期のある光環境が新生児の成長、神経系の発達、入院期間、酸素療法の期間、望ましくない副作用に及ぼす利益と害を調べたいと考えた。
実施したこと
NICUにおいて、明暗周期のある光環境とほぼ暗闇または連続的な明るい光の環境を比較検証した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究の規模などの要素に基づいて、エビデンス(科学的根拠)に対する信頼性を評価した。
わかったこと
早産児1633例を対象とした20件の研究が同定された。これらの研究は、NICUにおいて、明暗周期のある光環境とほぼ暗闇または連続的な明るい光の環境を比較したもので、世界各国で実施されていた。
暗闇に近い状態と比べて、明暗周期のある光環境が新生児の成長、神経系の発達、入院期間、酸素療法の期間、望ましくない副作用に影響を及ぼすかどうかは不明である。
連続的な明るい光の環境と比較して、明暗周期のある光環境が新生児の成長、神経系の発達、酸素療法の期間、望ましくない副作用に影響を及ぼすかどうかは不明である。明暗周期のある光環境は入院期間を10日短縮するかもしれないが、この結果について確実性は非常に低い。
エビデンスの限界
これらのエビデンス(科学的根拠)には確信が持てない。なぜなら、十分な乳児数(サンプルサイズ)を対象として適切に実施された研究が不足しているため、結果について確信が持てないからである。すべての研究が本レビューのアウトカムに関するデータを提供していたわけではない。
本エビデンスの更新状況
本レビューは2016年のレビューを更新するものである。本エビデンスは2023年9月現在のものである。
Morag I, Xiao Y-T, Bruschettini M
4 months 2 weeks ago
要点
- チョコレート嚢胞(卵巣にできた子宮内膜症)の外科的治療では、ドレナージ(嚢胞の内容物を排出させる)や焼灼術(子宮内膜症を電流やレーザーで破壊する)よりも摘出術(チョコレート嚢胞を卵巣から取り出す)の方が、月経痛(生理痛)や性交(セックス)時の痛み、チョコレート嚢胞が再発するリスク、さらに手術が必要になるリスクを改善できる可能性がある。
- 今後の研究では、合併症を記録し、手術の選択が妊娠の可能性に影響するかどうかを調べるべきである。
チョコレート嚢胞とは、何か?
子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が他の場所で増える病気である。痛みを伴うことがあり、なかなか妊娠しない女性によく見られる。卵巣内で子宮内膜症の組織が増えて、チョコレート嚢胞と呼ばれる袋状の塊になることがある。現在、大きくて痛みを伴うチョコレート嚢胞の外科的治療では、摘出術(チョコレート嚢胞を取り出す)、ドレナージ(チョコレート嚢胞の内容物を排出させる)をして焼灼する(子宮内膜症の組織を電流やレーザーで破壊する)のが一般的である。ほとんどの専門家は、この2つの治療を行う方法として、外科医が腹部に小さな穴を開けてカメラで内部を観察する腹腔鏡手術が最もよいという意見で一致している。多くの女性が、不妊治療を開始する前に、あるいは自然妊娠の可能性を高めるために、チョコレート嚢胞の手術を受ける。
知りたかったこと
チョコレート嚢胞の摘出術が、以下の項目について、ドレナージや焼灼術よりも良いかどうか知りたかった。
- 月経痛(生理痛);
- 性交(セックス)中の痛み;
- 手術の合併症や開腹手術への切り替えの必要性など、望ましくない事象のリスク;
- チョコレート嚢胞が再発するリスク;
- さらに手術が必要になるリスク;
- 自然妊娠の可能性;
- 不妊治療による妊娠の可能性。
実施したこと
痛みや妊娠する可能性を改善するために手術を受けた女性において、チョコレート嚢胞の摘出術をドレナージや焼灼術と比べた研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方法や規模などの要因に基づいてエビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
その結果、18歳から40歳までの女性578人を対象とした9件の研究が見つかった。この結果を総合すると、ドレナージや焼灼術に比べ、摘出術は術後2年間までの生理痛や性交時痛のリスクを減らすかもしれないことがわかった。5本の論文では、手術中に開腹手術への切り替えはなかったと述べられているが、その他の望ましくない事象について情報を提供している研究はなかった。ドレナージや焼灼術と比べて、摘出術はチョコレート嚢胞が再発するリスクを下げ、術後1年間の再手術の必要性を下げるかもしれない。しかし、手術後1年間に妊娠する可能性については、2つの術式にほとんど差がないかもしれない。
エビデンスの限界
ほとんどのエビデンスについて、信頼性が低い。なぜなら、規模がとても小さい研究があったり、対象となった女性がどの治療法を受けたか知っている研究があったりしたからである。
このエビデンスの更新状況
エビデンスは、2022年12月現在のものである。
Kalra R, McDonnell R, Stewart F, Hart RJ, Hickey M, Farquhar C
4 months 2 weeks ago
要点
レビューの論点
分娩後異常出血とは、出産後に大量に出血することある。よく見られる合併症であるが、生命を脅かすこともある。ほとんどの女性は、分娩後異常出血を予防するために、正常分娩(経腟分娩)の後に子宮の収縮を促す薬(子宮収縮薬と呼ばれる)を投与される。トラネキサム酸は、出血が増えるような手術や健康状態での出血を減らすために使われる。血栓の破壊を防ぐ働きをする。出産後の出血量が多い場合、出血量を減少させる。トラネキサム酸が出産後の大量出血の予防に役立つかどうかは分かっていない。
何を調べようとしたのか?
経腟分娩時にトラネキサム酸を投与した(子宮収縮剤の併用も含む)場合、出産後に大量出血する女性が少なくなるかどうかを知りたかった。また、経腟分娩時のトラネキサム酸の投与が有害な影響を及ぼすかどうかも調べたかった。
実施したこと
知りたかったことについて検討している研究を探した。チェックリストを使用し、検証可能な情報を含む研究のみが含まれるようにした。研究結果を比較・要約する前に、研究の質について判断した。最後に、研究結果に対する信頼度を評価した。
重要である理由
経腟分娩時に女性にトラネキサム酸を投与した場合に、出産後の大量出血を予防する効果があるかどうかを明らかにすることは重要である。もし効果があるのであれば、世界中の女性を助け、出産後に亡くなる女性の数を減らすこともできるだろう。
本エビデンスの更新状況
2024年9月6日までに入手可能なすべてのエビデンスを検索した。
得られたエビデンス
予防的に投与したトラネキサム酸の効果を調べた3件の研究を見つけた。この3件の研究では、大出血のリスクが低いか高い18,974人が対象となった。参加者は、標準治療とトラネキサム酸の静脈内注射、または標準治療とプラセボ(生理食塩水)の静脈内注射のどちらかを受けた。
トラネキサム酸の予防的投与では、出産後の大量出血にほとんど差がないことが分かった。
トラネキサム酸が妊産婦死亡に及ぼす影響については、非常に不確かである。トラネキサム酸は、女性が重篤な状態になるリスクに影響を与えない可能性が高い。
また、輸血を受ける可能性には影響しない。トラネキサム酸を使っても、出産後の外科的介入の必要性は変わらないかもしれない。血栓に対するトラネキサム酸の影響については非常に不確かである。貧血の女性では、トラネキサム酸は子宮の収縮を助ける追加薬剤の必要性に影響を与えないが、貧血のない女性では、この結果がわずかに減った。子宮摘出術に対するトラネキサム酸の影響については、非常に不確かである。母親の満足度に差はないようだ。
エビデンスの限界は何か?
これらの研究は、医療資源に恵まれた環境とそうではない環境の両方の女性を対象としていた。有害な影響を経験した女性はほとんどいなかった。しかし、実際の医療現場で本当にそうなのかどうかは分からない。
結果が意味すること
経腟分娩時に予防的にトラネキサム酸を投与しても、出産後に大量出血する女性の数に差は認められなかった。血栓やその他の重篤な副作用に対するトラネキサム酸の影響についてはほとんど分かっていない。有害な影響について分かっていないことから、経腟分娩時にトラネキサム酸をルーチンで女性に投与することを検討する場合には、臨床医は有益性の欠如と潜在的な有害性を考慮すべきである。
今後、経腟分娩の後の大量出血の予防に役立つかもしれない他の介入に焦点を当てた研究が求められている。
Rohwer C, Rohwer AC, Cluver C, Ker K, Hofmeyr GJ
4 months 2 weeks ago
要点
-
呼吸補助を患者の必要に応じて自動的に調節するシステム(換気自動制御システム)を用いると、医療従事者がこれを管理する方法と比べて、恐らく人工呼吸器を使用する期間が短縮され、集中治療室と病院で過ごす期間のわずかな短縮にもつながる。こうしたシステムを用いた場合、死亡数は恐らくほとんどまたは全く変わらないが、気管チューブを挿入し直す(再挿管)必要性や、気管チューブを挿入するために首の前面に孔を開ける必要が生じる可能性は恐らく減少する。
-
小児に関してはより多くの研究が必要である。また、今後の研究では患者の生活の質 (QOL)を調べるべきである。
換気自動制御システムとは?
重症患者の多くは、人工呼吸器(換気装置)による呼吸補助が必要である。呼吸補助のレベルを下げ、患者を通常の呼吸へと移行させる(ウィーニングまたは離脱と呼ばれる過程)には、専門知識と継続的なモニタリングの両方が必要となる。ウィーニングを適正に行わないと、人工呼吸器の使用期間が長びく可能性があり、患者は肺の損傷、肺炎、死亡のリスクを負うことになる。往々にして、医療機関の制約ゆえに最も効果的で効率のよい処置ができないこともある。換気自動制御システムは、この問題に解決策をもたらすかもしれない。このシステムは、患者の継続的なモニタリングを行い、医療従事者が介入しなくても、呼吸補助のレベルを調節する。
知りたかったこと
知りたかったのは、以下の評価項目を改善するには、医療従事者によるウィーニング管理より換気自動制御システムの方がよいかどうかである。
実施したこと
成人と小児について、換気自動制御システムと医療従事者によるウィーニング管理を比較した研究を探した。研究結果を比較してまとめ、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
5,052人(成人4,834人と小児218人)を対象とした62件の研究が見つかった。人工呼吸器が必要になった理由は、肺炎または他の感染症にかかったこと、重傷を負ったこと、または外科手術を受けたことだった。これらの研究は、すでに販売されているいくつかの換気自動制御システムを評価したものである。
主な結果
医療従事者によるウィーニング管理と比べて、換気自動制御システムでは、
-
人工呼吸器を使用する期間が、恐らく約24%、すなわち成人では1.7日、小児では16時間短い。
-
死亡者数にはまったく影響しないかもしれない。
-
集中治療室で過ごす期間は、恐らく14%、すなわち成人では1.3日、小児では0.6日短い。
-
入院期間は、恐らく10%、すなわち成人では2日、小児では0.9日短い。
-
再挿管が必要となる数は減ると考えられる。
-
気管切開が必要となる数は減ると考えられる。
健康面の生活の質 (QOL)について報告した研究はなかった。
エビデンスの限界
さまざまなタイプの人を対象に研究が行われた、換気自動制御システムを用いる方法が違った(人工呼吸器を使う期間、集中治療室滞在期間、入院期間などの評価項目に関して)、または評価項目の結果について確信を持つのに十分な研究がなかった(望ましくない事象に関して)などの理由から、エビデンスに対する信頼性は中等度に留まる。
本エビデンスの更新状況
このレビューは、前回のレビューを更新したものである。エビデンスは2024年1月2日現在のものである。
Rose L, Schultz MJ, Cardwell CR, Paulus F, Couper K, Jouvet P, Blackwood B
4 months 2 weeks ago
要点
- 医療従事者には、医薬品に対する予期せぬ有害反応を報告する責任がある。この反応は「薬物有害事象(Adverse drug events)」として知られており、これは、薬物有害反応(ADRs:Adverse drug reactions)と投薬過誤(MEs:Medication errors)の両者を含む用語である。
- 教育セッション(アウトリーチ(通常よりも範囲を広げた活動)、対面式ワークショップ、または電話によるもの)、注意喚起のためのリマインダーカード、およびADR報告用フォームの提供は、ADRの報告数を大幅に増加させる可能性がある。
- ADRを報告しやすくするために項目を追加し、標準化された退院サマリーは、ADRの報告件数をわずかに増加させる可能性がある。
- 今後の研究では、医療従事者による薬物有害事象の報告を改善することを目的とした介入の有益性(薬物有害事象報告件数の増加)と有害性(誤った薬物有害事象報告件数の増加)を評価する必要がある。
- 低〜中所得国での利用にも適した介入を開発し、厳密に評価を行う必要がある。
知りたかったこと
本コクランレビューでは、医療従事者に対する介入が、薬物有害事象(Adverse drug event)の報告を改善するのに有効かどうかについて調査を行った。薬物有害事象には、薬物有害反応(ADR)と投薬過誤(ME)がある。
実施したこと
医療従事者を対象とした介入によって、薬物有害事象の報告件数が増加するかどうかを明らかにするために、さまざまな研究から得られたエビデンスを調査し、医療従事者から提出された薬物有害事象報告(ADRおよびMEの報告を含む)の総数を比較した。また、医療従事者が報告した薬物有害事象の誤りの数にも注目した。報告総数だけでなく、重篤なもの、高い因果性(その薬剤が原因である確率が非常に高いこと)のあるもの、想定外の事象、または最近(過去5年間に)使用された薬剤に関連したものについての薬物有害事象の報告数も個別に調査した。
わかったこと
本レビューは、医療従事者による薬物有害事象報告の件数を増やすために行われたさまざまな介入の効果を比較した研究15件(参加者計62,389人)をレビューの対象とした。研究はすべて高所得国で実施されていた。介入によって虚偽の薬物有害事象の報告が増えるかどうかについてはどの研究も検討してなかった。
通常の方法(自発的な報告、および医薬品の安全性を監視するための地域単位での研修)と比較して、有害事象を報告する理由と方法に関する教育セッション、およびセッション内容の再確認とADRの報告用フォームの提供は、医療従事者によるADRの報告件数を増加させる可能性がある。
通常の方法(自発的な報告)と比較して、ADRがいつ発生し、どのように発症したかについての項目を追加した標準化された退院サマリーを使用することにより、ADR報告数がわずかに増加する可能性がある。評価された標準化退院サマリーは、患者の診断と入院中に患者が受けた内科的および外科的処置を記録するための「診断群分類(Diagnosis Related Groups:DRG)」制度に基づいて作成されたものである。
各研究で検討された他の以下のような介入の有効性については非常に不確実である:
‐ 開業医や看護師に手紙や電子メールを送付する
- 金銭的または非金銭的インセンティブ、罰金、指導およびリマインダーカードを含む多面的な介入を行う
‐ 政府規制と金銭的インセンティブを組み合わせる
- 四半期ごとの報告書や処方箋用紙にADR報告フォームを含める
- 病院の電子的患者記録に報告書へのハイパーリンクを設定する
- ウェブベースの電子エラー報告システムを再設計し、報告方法を改善する
- 病院に臨床薬剤師を配置し、薬物有害事象の積極的な特定と報告を奨励する
本レビューの更新状況
本レビューは、2022年10月時点における検索に基づいたエビデンスである。
Shalviri G, Mohebbi N, Mirbaha F, Majdzadeh R, Yazdizadeh B, Gholami K, Grobler L, Rose CJ, Chin WY
4 months 2 weeks ago
要点
- DASH食が心臓発作、脳卒中および心臓病による死亡を防ぐと言えるだけのエビデンスは不足している。
- DASH食には有害な影響はほとんどない可能性があるが、利用可能なエビデンスは限られており、不確実である。
- 本当にDASH食が重度の心臓病を予防できるか、また長期的に安全であるかを評価するためには、より大規模かつ長期的な研究が必要である。
心血管疾患とは何か?
心血管疾患とは、心臓や血管に影響を及ぼす疾患である。通常、血管内に脂肪が蓄積し、血管が狭くなることと関連している。その結果、血栓(血管内に形成される血液の塊)ができやすくなる。血栓は、心臓発作(心臓への血流が突然遮断されること)や脳卒中(脳の一部への血液供給が遮断されること)の原因となる。心血管疾患は死亡や身体障害の主な原因であるが、健康的な生活習慣によって予防できる場合が多い。多くの因子によって心血管疾患の発症リスクが高まる可能性があり、これらは「危険因子」と呼ばれる。心血管疾患に関連する最も一般的な因子の1つは食事である。
DASH食とは何か?またどのように用いられているのか?
DASH食は、心臓病の主な危険因子である高血圧を減少させるために開発された。DASH食は、果物、野菜、全粒穀物、低脂肪で高タンパクな食物などの健康的な食品を推奨する一方で、塩分、赤身の肉、および砂糖の摂取を減らすことに重点を置いている。DASH食が高血圧を改善し、心臓病の予防にも有用であるという強いエビデンスがあるが、DASH食の心臓病予防効果については、まだ完全には解明されていない。心臓病の予防には、最初の心臓発作や脳卒中を予防する一次予防と、最初の心臓発作や脳卒中が発生した後に次の発作を予防する二次予防がある。
知りたかったこと
- 心血管疾患の一次予防に対するDASH食の効果
- 心血管疾患の二次予防に対するDASH食の効果
- DASH食が有害事象を引き起こすかどうか
何を行ったのか?
DASH食と以下のものについて比較を行った研究について調査を行った:
- 食事制限や特別なダイエット計画がない通常の食事
- 医療専門家が提供するリーフレットや一般的な食事のアドバイスが含まれる最低限のプログラム
- 地中海食などの、他の体系化されたダイエットプログラム
研究デザインに応じてエビデンスの信頼性を評価し、結果の比較、および要約を行った。
わかったこと
心血管疾患のない1,397人を対象とした5件の研究(一次予防に関する研究)が見つかった。心血管疾患を有する人を対象とした研究(二次予防に関する研究)は見つからなかった。追跡期間は最短で16週間、最長で18か月であった。5件の研究はすべて公的機関または非営利団体(米国国立心臓・肺・血液研究所、米国患者中心アウトカム研究所、ポーランド心臓病研究所など)から資金提供を受けていた。
主な結果
DASH食が心臓発作、脳卒中、心臓手術の必要性、心血管系疾患による死亡などの重篤な心臓疾患のリスクを低減するかどうかは不明である。また、DASH食には有害な影響はほとんどない可能性があるが、利用可能なエビデンスが限られているため、明確ではない。
エビデンスの限界は何か?
エビデンスに対する信頼性は、いくつかの要因により制限を受けた。第一に、参加者が食事療法を受けていることを認識していたと思われる研究があり、それが結果に影響を与えた可能性がある。第二に、食事療法がすでに心臓病を患っている人にどのような影響を与えるかを調査したかったが、ほとんどの研究は心臓病に罹患していない参加者を対象としていた。最後に、研究が小規模かつ短期間であったため、調査結果についての信頼性が低下した。DASH食が重篤な心臓病をどの程度予防できるかを調査し、長期的な安全性を確認するためには、より大規模かつ長期的な研究が必要である。
本エビデンスはいつのものか?
2024年5月におけるエビデンスである。
Bensaaud A, Seery S, Gibson I, Jones J, Flaherty G, McEvoy JW, Jordan F, Tawfick W, Sultan SAH
4 months 2 weeks ago
レビューの論点
本コクランレビューでは、歯科治療における嘔吐反射の最適な管理方法を調査する。
背景
嘔吐反射は、咽頭や気道を異物から保護し、窒息を防ぐための正常な反応である。歯科治療中に多くの人が異常な嘔吐反射に悩まされている。これにより治療が困難になる、または中断してしまうこともある。嘔吐反射の管理に用いられる介入は、制吐薬、鎮静剤、局所および全身麻酔、薬草療法、行動療法・認知行動療法、指圧、鍼治療、レーザー治療、補装具の使用などがある。
これらの介入が嘔吐反射を軽減し、治療の完遂に有用であるかについて、有効性と安全性の調査が必要であった。これらの介入と、無介入、プラセボ、他の介入とを比較した。
研究の特性
本レビューは2019年3月18日現在のものである。328例(成人263例および4歳以上の小児65例)の4件の試験を対象とした。これらの人々は歯科治療の際、吐き気を催し治療を中断または治療を適切に行えなかった。
主な結果
ツボP6(手首の内側にあるツボ)への鍼治療は、偽鍼治療と比較した場合、歯科治療の完遂や嘔吐反射の軽減に関して、その有用性を示すエビデンスは不確実であった。同様の介入に鎮静剤を追加しても、差が認められなかった。
(親指での押圧または酔い止めリストバンド(手首に装着するボタン付きのリストバンド)による)内関への指圧と鎮静剤との併用または併用無しは、偽指圧と比較して、差が認められなかった。内関への指圧と器具の併用は、歯科治療の完遂および嘔吐反射の減少に差が認められた。内関への指圧と鎮静剤の併用は、差が認められなかった。
内関へのレーザーは、偽レーザー治療と比較して、治療中の嘔吐反射と嘔吐反射の減少に差が認められた。
対象とした研究は、治療の重要な有害性について全く報告がなかった。
エビデンスの質
この知見に対する信頼性は非常に低い。これは、バイアスのリスクが不明であり、対象とした4件の試験の参加者数が少なかったためである。
結論
歯科治療中の嘔吐反射の管理にどの介入がふさわしいかを示す十分なエビデンスは認められなかった。この分野に関して、より適切な形での研究が行われるべきであると提言する。
Eachempati P, Kumbargere Nagraj S, Kiran Kumar Krishanappa S, George RP, Soe HH, Karanth L
4 months 2 weeks ago
主なメッセージ
- 乳がんの女性では、ホルモン療法によって卵巣の機能を一時的に止めれば、化学療法による卵巣機能不全を減らせるかもしれない。これは、介入によって卵巣のはたらきが正常に保たれる可能性があることを意味するが、このエビデンスに対する確信度は低い。
- 化学療法を受けている閉経前の乳がんの女性に対して、妊娠する能力を守るためにどのような方法をとるといいのかについて、結論を出すことはできない。
- この問題に関する研究がもっと必要である。
妊孕性温存とはなにか、なぜ重要なのか?
女性のがん患者には、化学療法が行われることが多い。化学療法は卵巣に害を与え、生殖能力を低下させたり、不妊の原因になったりする。がんになった女性にとって、妊孕性(妊娠する能力)を守れることは、将来の家族計画にとって重要である。そのために、以下の2つの方法がよくとられている。
1.卵巣を薬を使って刺激し、その後卵子または胚を凍結保存しておき、後で利用する(ゴナドトロピンなどの薬を使った卵巣調節刺激法)。
2.ホルモン療法によって、卵巣の働きを一時的に止める(ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作動薬を使った卵巣抑制法)。
知りたかったこと
がんになった女性の妊娠する能力を守る2つの方法の効果を、好ましくない影響があるかどうかも含めて調べたかった。乳がんは、世界中で女性に最も多く見られるがんであるため、このレビューでは乳がんに焦点を当てることにした。
実施したこと
化学療法を受けている閉経前(定期的に月経がある状態)の女性を対象とした研究を検索した。
3つの異なる比較についての研究を調査した。
比較1:卵巣を刺激する薬を使って、卵子または胚を凍結保存して後で利用する方法と、プラセボや通常のケア、無治療、または別の薬を使う方法。
比較2:ホルモン療法で卵巣の働きを一時的に止める方法と、プラセボや通常のケア、無治療、または別のホルモン療法を行う方法。
比較3:卵巣を刺激する薬を使って、卵子や胚を凍結保存して後で利用する方法と、ホルモン療法で卵巣の働きを一時的に止める方法。
研究結果を比較して要約し、研究方法や研究規模などに基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
23件の研究が見つかった。比較1は2件、比較2は23件であった。比較3に関する研究は見つからなかった。
研究の対象者は、化学療法を受けている閉経前の女性2,647人である。2,366人が乳がんで、311人がその他のがんであった。
比較1
卵巣を刺激する薬を使うことが、乳がんになった女性の採卵卵子の数に与える影響については、非常に不確かである。2つの薬(レトロゾールとタモキシフェン)を比べた研究があり、得られた卵子の数という点では、おそらく両者に差はないことがわかった。
卵巣を刺激する薬を使うことが、調べたかった他の評価項目(卵巣機能不全、生児出産、生存率、有害事象など)に与える影響についてのエビデンスは見つからなかった。
比較2
乳がんになった女性では、ホルモン療法で卵巣の機能を一時的に止めることで、卵巣機能不全が大きく改善するかもしれない。つまり、治療によって卵巣の働きが正常に保たれる可能性がある。
ホルモン療法で卵巣機能を一時的に止めても、乳がん女性の10年間の無病生存率(乳がんの徴候や症状のない状態)や全生存率にはほとんど差がないかもしれない。乳がんになった女性の生児出産率への影響は非常に不確かである。
また、ホルモン療法によって卵巣機能を一時的に止めることが、人工妊娠中絶、流産、早産、分娩合併症、選択的妊娠終了など、妊娠に関連する有害事象に与える影響についても非常に不確かである。
化学療法に関連した有害事象(疲労、吐き気、白血球数の低下による感染リスクの増加など)や妊娠に関連しない有害事象(発汗、ほてり、頭痛など)があった。ホルモン療法によって卵巣機能を一時的に止めると、妊娠に関連しない有害事象が増加する可能性が高い。
比較3
この比較に関するエビデンスは見つからなかった。
乳がん以外のがんの女性
他のがんになった女性については、エビデンスの確実性が非常に低いため、結論を出すことはできない。
エビデンスの限界
比較1については、十分な数の研究がなく、研究が非常に小規模であったため、エビデンスに対する信頼性は中程度から非常に低い。
比較2については、研究が非常に小規模であり、妊娠・出産の症例が数例しかないため、乳がんになった女性に関するエビデンスに対する信頼性はない。加えて、調べたかった項目すべてについての情報がなかった研究もあり、予定より早く中止した研究もあった。
本エビデンスの更新状況
2023年11月時点におけるエビデンスである。
Weterings MAJ, Glanville E, van Eekelen R, Farquhar C
4 months 2 weeks ago
主要メッセージ
- 正常反応(卵巣が刺激薬に対して平均的な反応を示す)が予測される女性では、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬を使ったショート法は、GnRH作動薬を使ったロング法と同じ程度の生児出生率または継続的妊娠率が得られる可能性が高い。また、GnRH拮抗薬を使ったショート法は、GnRH作動薬を使ったロング法と比べて、卵巣過剰刺激症候群(OHSS、卵巣が刺激薬に過剰に反応して腫れや痛みを生じ、重症になると命にかかわるような合併症を引き起こす可能性もある)のリスクを減らす可能性が高い。
- 下垂体を抑制しない卵巣刺激法は、GnRH拮抗薬を使ったショート法やGnRH作動薬によるフレアアップ法と比べて、生児出生率または継続的妊娠率が低い可能性がある。
- 高い反応性が予測される(卵巣が刺激薬に反応して卵子がたくさんできると予測されることを意味し、OHSSなどの合併症のリスクが高くなる)女性では、GnRH拮抗薬を使ったショート法でヒト閉経期ゴナドトロピン(hMG)を使うと、遺伝子組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)と比べて、OHSSのリスクを減らす可能性がある。
体外受精(IVF)とは?
不妊症の人の中には、妊娠するために体外受精が必要な人もいる。体外受精にはいくつかの段階がある。卵巣刺激(COS:1回の月経周期で複数の卵子ができるのを助ける薬を使う)、採卵(卵巣から卵子を取り出す)、受精(体の外で卵子と精子を受精させ、胚を作る)、胚移植法(胚を子宮の中に移植する)などがある。
このうち、卵巣刺激は重要な段階である。卵巣の中にある卵子の成長を刺激するホルモン剤(ゴナドトロピンと呼ばれる)の注射を打つことが多い。途中で自然に排卵してしまうことを防ぐために、排卵を促すホルモンを抑える薬も使う(下垂体抑制という)。一連の治療は、特定の方法で組み合わせて行い、これをプロトコールと呼ぶ。
どのプロトコールを選ぶかは、年齢、体重、卵巣予備能(卵巣にある卵子の数)など、治療を受ける個人の要因によって異なる。プロトコールによって、妊娠率、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの合併症のリスク、採卵できる数に影響する可能性がある。しかしながら、どのプロトコールが最も効果的で安全なのかは、まだ明らかになっていない。
知りたかったこと
卵巣刺激のプロトコールとして、どれがより優れているのか、また、好ましくない効果を伴うのはどれかを調べたかった。
何を行ったのか?
さまざまな卵巣刺激のプロトコールを比べた研究を検索した。その結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいてエビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
59,086人の女性を対象とした、さまざまな卵巣刺激のプロトコールを直接比べた338件の研究を対象とした。比較のパターンは15種類あった。これらの研究のうち、226件の研究は、正常反応と予測される女性のみを対象としていた。31件の研究は、高反応と予測される女性のみを対象としていた。81件の研究は、低反応と予測される女性のみを対象としていた。
生児出産
下垂体抑制法
正常な反応が予測される女性では、GnRH拮抗薬を使ったショート法でも、GnRH作動薬を使ったロング法と同じ程度の生児出生率または継続的妊娠率が得られる可能性が高い。このエビデンスによると、GnRH作動薬を使ったロング法による生児出産率を28%と仮定した場合、GnRH拮抗薬を使ったショート法による生児出生率は24~30%となる。低反応と高反応が予測される女性については、エビデンスに確信が持てなかった。
その他のエビデンス
その他の分析では、生児出生率や継続的妊娠率における差は確認できなかった。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
下垂体抑制法
正常反応が予測される女性では、GnRH拮抗薬を使ったショート法は、GnRH作動薬を使ったロング法と比べて、OHSSのリスクを減らす可能性が高い。このエビデンスによると、GnRH作動薬を使ったロング法でのOHSSの発症率を25%と仮定した場合、GnRH作動薬を使ったショート法でのOHSS率は20~25%となる。低反応と高反応が予測される女性については、エビデンスに確信が持てなかった。
GnRH拮抗薬を使ったショート法
高い反応が予測される女性に対しては、GnRH拮抗薬を使ったショート法にヒト閉経期ゴナドトロピン(hMG)を使うと、遺伝子組換えFSH(rFSH)と比べてOHSSリスクを減らせるかもしれない。このエビデンスによると、rFSHを使った治療の後にOHSSが起こる確率を21%と仮定した場合、hMGを使った治療の後のOHSSの発症率は6~14%となる。低反応と高反応が予測される女性については、エビデンスに確信が持てなかった。
その他のエビデンス
その他の分析では、OHSSの発症率における差は確認されなかった。
エビデンスの限界
プロトコールによっては研究数が限られているほか、十分にデザインされていない研究もあり、研究間で結果に一貫性がなかったことから、多くのエビデンスの信頼性が低かった。そのため、結果について確信が持てない。
エビデンスの更新状況
エビデンスは、2024年6月現在のものである。
Melo P, Eapen A, Chung Y, Jeve Y, Price MJ, Sunkara SK, Macklon NS, Khalaf Y, Tobias A, Broekmans FJ, Khairy MK, Gallos ID, Coomarasamy A
4 months 2 weeks ago
主要メッセージ
• デジタル介入は、わずかながら体脂肪量に対する短期的な有益な効果(脂肪量減少)をもたらす可能性があるが、他の評価項目に対する効果は不明である。
• デジタル介入の安全性について報告した研究はなかった。
• 今後の研究では、年齢、性別、人種/民族別に結果を報告すること、すべてのデータを報告すること、 特に有害事象や他の評価項目を含めること、分析には(肥満管理に重要な要素であるため)食事と身体活動の両方をコントロールすること、および介入の根拠となる行動理論を報告することなどが必要である。
小児期の肥満はなぜ問題なのか?
小児肥満は、世界的な公衆衛生上の問題であり、糖尿病や心臓病など長期にわたる病気(慢性疾患)の発症リスクを高めている。2016年には、世界で3億4000万人以上の5歳~19歳の小児および青少年が、過体重または肥満の状態にあった。
デジタル技術とはどのようなもので、減量管理にどのように活用されているのか?
研究者は、ウェアラブルデバイス(体の一部に装着して使用する小型で携帯可能なコンピュータの一種)、ウェブベース介入(ウェブサイトを利用した心理教育的介入プログラム)、テキストメッセージ、スマートフォンやタブレットのアプリケーション(アプリ)、「エクサゲーム」(体を動かす要素を取り入れたビデオゲーム)やアクティブなビデオゲーム、テレヘルス(携帯電話/スマートフォン、コンピューター、タブレットなどを使って、自宅に居ながら医師の診察を受けたり医師とコミュニケーションを取ることができる)など、デジタル技術を活用した小児および青少年の肥満を管理する新たな方法を調査している。これらのデジタル技術の利点は以下の通りである:
• いつでも利用可能であり、長期にわたって望ましい行動を維持するのに役立つ可能性がある;
• 医療費の削減;
• 健康への公平性を促進する、つまり、一般にどこからでもアクセスでき、多くの人が利用できるため、異なる集団間における健康の不公平な格差を減らすことにつながる。
知りたかったこと
デジタル技術を導入することが小児および青少年の減量に役立つかどうか、またこれらのデジタルツールが安全かどうかを知りたかった。
実施したこと
19歳までの小児と青少年を対象とした肥満管理において、「ウェアラブル」(食事、健康、および/またはフィットネスなどを管理するため、体の一部に装着して使用する小型で携帯可能な電子機器)、ウェブベース介入、テキストメッセージ、モバイルアプリ、エクサゲーム、テレヘルスなどのデジタル技術を評価した研究を検索した。特定した研究を以下のように2つの比較条件にグループ分けした:
• デジタル技術(デジタル介入)と通常治療(デジタル介入なし)を併用した場合と、通常治療のみの場合との比較;
• デジタル技術(デジタル介入)のみ使用の場合と、通常治療のみ使用の場合との比較。
研究結果を比較して要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいて、エビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
合計911人の小児および青少年を含む15件の研究を対象とした。5件の研究では、0歳~19歳の小児および青少年を対象としていた。10件の研究では、10歳~19歳の年齢層のみを対象としていた。9件の研究が、6ヵ月未満の研究(短期研究)であり、残りの6件の研究は、6か月以上の研究(長期研究)であった。
8件の研究では、デジタル技術(デジタル介入)と通常治療を併用した場合と、通常治療のみの場合を比較した。デジタル技術(デジタル介入)併用によるアプローチは、研究終了時に体脂肪を平均2.63%減少させた可能性がある。これはわずかながらも重要な改善である。他の評価項目への影響は不明であった。
7件の研究では、デジタル技術(デジタル介入)単独の場合と、デジタル介入を併用しない通常治療のみの場合を比較した。いずれのアウトカムもデジタル介入単独の効果は不明であった。
これらのデジタル技術(デジタル介入)の安全性について報告した研究はなかった。
エビデンスの限界は何か?
対象とした小児および青少年の年齢層にとって、デジタル介入と通常治療の併用による体脂肪量の減少が長期にわたって臨床的に意義のある変化と評価することは、限られたエビデンスのため困難である。また、これらのデジタル技術の安全性に関するエビデンスはなく、年齢層によってアウトカムが異なるかどうかを判断するための十分な情報もなかった。
本エビデンスはいつのものか?
エビデンスは2025年4月14日時点のものである。
Palacios C, Hernandez J, Ajmal A, Rodriguez AJ, Hassan AY, Metzendorf M-I, Ramella-Roman JC.
4 months 2 weeks ago
要点
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低強度衝撃波療法は、長期的に勃起を改善する可能性がある。
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低強度衝撃波治療は、短期的には陰茎の硬さやこわばりを改善する可能性がある。
-
治療に関連した副作用や副作用による早期の治療中止は、短期的にはまれである。
勃起不全とは?
勃起不全は、男性が性行為の際に十分に勃起しない、あるいは勃起が維持できない状態のことで、よく見られる問題である。他の健康状態、医学的治療(前立腺に対する薬や手術など)、不健康な生活習慣(喫煙、食生活の乱れ、運動不足など)、うつ状態や不安など、さまざまなことが原因で起こる可能性がある。
勃起不全はどのように治療するのか?
勃起不全の治療にはさまざまな方法がある。まず、医師は、もっと運動する、バランスの取れた食事をする、喫煙をやめるなど、生活習慣の改善を勧めるかもしれない。それでも効果がない場合は、医師が薬を勧めることもある。性的なパートナーとの関係や感情に関する問題であれば、セラピストに相談することを勧めることもある。器具や注射、手術といった治療法もある。このコクランレビューでは、衝撃波を用いた新しい治療法について検討している。
衝撃波治療とは何か?
低強度衝撃波療法は、音波を使って陰茎の血流をよくし、勃起を助ける。簡単な治療法である。医師が陰茎のさまざまな部分に小さな器具を使用する。治療は痛くないし、麻酔薬も必要ない。治療時間は約15分から約20分で、数週間にわたって数回行われる。
低強度衝撃波治療という言葉は、この治療の安全性を強調している。高強度の衝撃波は強力で、腎臓結石などを砕くのに使われるが、低強度の衝撃波はそれよりも弱く、害を与えることなく効果を発揮する。
知りたかったこと
低強度衝撃波治療が偽治療(衝撃波を使うふりをした装置)よりも効果があるかどうかを知りたかった。以下の評価を行った:
実施したこと
勃起不全の男性を対象に、低強度衝撃波治療を偽治療と比較したすべての医学研究を検索した。これらの研究結果をチェックし、結果を要約し、研究の実施方法などの要素から信頼度を評価した。
わかったこと
低強度衝撃波治療または偽治療を受けた1,357人の男性を対象とした21件の研究が見つかった。これらの男性の年齢は39歳から65歳で、勃起不全の期間は3か月から68か月であった。
主な結果
短期間(3か月以内)では、低強度衝撃波療法は勃起にわずかな改善効果をもたらすかもしれないが、その効果は男性が気づくほど大きくないかもしれないことがわかった。長期的(3か月以上)には、勃起を改善する可能性がある。短期的には、陰茎の硬さが改善されるかもしれない。長期的には、陰茎の硬さにもわずかながら影響を与えるかもしれないが、この効果もまた、男性が気づくほど大きくないかもしれない。どの治療法も短期的にしか使用されなかったが、長期的にはいくつかの結果が報告されている。短期的にも長期的にも、低強度衝撃波療法は治療による副作用や治療の中断にほとんど影響を与えない可能性がある。患者やそのパートナーの治療結果に対する満足度や性生活に関する情報は見つからなかった。
エビデンスの限界
以下の理由のため、エビデンスに関して十分な確信を得ることができなかった。
21件の研究のうち9件が、衝撃波治療を行う装置を製造している企業から資金提供を受けていた。5件の研究は、産業界から金銭を受け取っていないと回答し、残りの研究は金銭を受け取ったかどうかを明記していない。
本エビデンスの更新状況
本レビューは2024年7月7日現在のものである。
Ergun O, Kim K, Kim MH, Hwang EC, Blair Y, Gudeloglu A, Parekattil S, Dahm P
8 months 2 weeks ago
オピオイド依存症(中毒)治療における徐放性(長時間作用型)ナルトレキソンの利益とリスクは? 要点 - 徐放性ナルトレキソンによる治療を受けている人が、ブプレノルフィンやメタドンなどのオピオイド作動薬による治療を受けている人よりも、ヘロインなどの違法オピオイドを使用する頻度が低いかどうかは不明である。 - 徐放性ナルトレキソンによる治療を受けた人は、経口ナルトレキソン、プラセボまたは標準治療による治療を受けた人よりも、違法オピオイドを使用する頻度が低い可能性がある。 - 徐放性ナルトレキソンによる治療は、オピオイド作動薬による治療よりも安全性は低いかもしれないが、標準治療よりは安全である。 - 臨床医と患者は、治療法の選択肢の有無と特徴をよく検討し、徐放性ナルトレキソンは自由を制限することなく断薬を助けるが、解毒が必要であることに留意すべきである。長期的な安全性と維持については、より多くのエビデンスが必要である。 オピオイド依存症とは何か? ヘロインやオキシコドンのような処方鎮痛剤を含むオピオイド系薬物は、中毒や深刻な健康被害をもたらすリスクがある。治療には多くの場合、これらのオピオイドをメタドンやブプレノルフィンなどのより安全な代替品に置き換えることが必要だが、心理療法やナルトレキソンのような他の選択肢もある。しかし、オピオイド依存の克服は、その複雑な性質と、それに伴う再発や過剰...
10 months ago
GAD-7およびGAD-2質問票は不安障害の検出においてどの程度正確か? 主な結果 - GAD-7およびGAD-2質問票 だけでは 、不安障害の診断や除外には使用できない。 - しかし、不安障害が存在するかどうかの指標にはなる。 - 個人に関する「否定的」あるいは「肯定的」なアンケート結果の解釈は、文脈によって異なる。 不安障害とは何か? 「不安障害」は、(これらに限定されないが)精神衛生状態を指す包括的な用語である: - 全般性不安障害:6か月以上の間、ほとんどの日に過度の不安を感じ、心配をコントロールすることが難しく、さらに落ち着きのなさ、疲労感、集中力の低下、いらいら、筋肉の緊張、睡眠障害の6種類の症状のうち少なくとも3種類を経験する; - 社交不安症:社交やパフォーマンスの場面で、批判されたり、恥をかかされたりすることへの強い恐怖; - パニック障害:予期せぬ激しい恐怖や不快感を繰り返し経験し、さまざまな身体的・感情的症状を伴う。 なぜ不安障害の早期診断が重要なのか? 不安障害は一般的な疾患であり、治療が必要と考えられる人であっても発見されないことが多い。不安障害が存在するのに気付かない(偽陰性)ことは、薬物療法、心理療法、またはその両方による適時治療の機会を逃すことを意味する。このため、一部の専門家や患者イニシアティブはスクリーニングを提唱している。つまり、対応する症状...
10 months ago
監査とフィードバック:専門的実践への影響 主な結果 - 医療における監査とフィードバックとは、医療従事者のパフォーマンスを評価し、専門的な基準と比較することである(監査)。そして、医療従事者は比較の結果(フィードバック)を与えられ、それがそれらの人々のパフォーマンス向上に役立つことを期待される。 - 監査とフィードバックは、医療従事者のパフォーマンスを「少し」から「中等度」向上させるのに役立つ。医療従事者がトップ・パフォーマーと比較してどうなのかを示し、改善のための重要な分野に焦点を当て、変化を起こすためのヒントを含んでいる場合に、最も効果的である。監査とフィードバックは、注意喚起や追加トレーニングといった他のサポートと組み合わせることで、さらに役立つものとなる。 - 今後の研究では、監査とフィードバックの介入を改善する最善の方法を見つけることに焦点を当てるべきである。 医療における監査とフィードバックとは何を意味するのか? 医療従事者のパフォーマンスを向上させるために、医療機関では監査とフィードバックがしばしば用いられている。監査とフィードバックのプロセスでは、個人の専門的な実践やパフォーマンスが測定され、専門的な基準や目標と比較される。つまり、それらの人々の専門的なパフォーマンスは「監査」される。「フィードバック」では、この比較の結果が医療専門家に提供される。このプロセスの目...
10 months 1 week ago
過剰にアルコールを摂取する人に対する心理社会的介入と薬物療法の併用は、どのような効果があるのか? 主な結果 - 心理社会的介入のみと比較すると、アルコール使用障害(AUD)がある人にとって、薬物療法を加えることはおそらく安全であり、アルコール使用を減らすのに有用である。 - 利用可能な研究の数が限られているため、心理社会的介入と薬物療法の併用が、薬物療法のみ、無治療または通常のケアと比較した場合、AUDがある人にとって有用かどうかはわからない。 - 薬物療法のみ、無治療または通常のケアと比較した併用療法の効果について、より多くの研究が必要である。 アルコール使用障害(AUD)とは何か? AUDは、アルコール摂取をコントロールできず、コントロールできないアルコール使用のエピソードが頻繁に起こる精神障害であり、交通事故、早死、がん、肝硬変、神経障害などの病気のリスクが高まる。 AUDの治療法は? 心理社会的介入や薬物療法は、AUDがある人のアルコール摂取を減らすために用いられる。AUDがある人の治療によく用いられる心理社会的介入は以下の通りである: - 認知行動介入(アルコールを摂取したいという欲求に対処するための行動課題や技能を通じて、人々が自分の否定的な考えや信念、望ましくない行動を認識し、修正できるように支援することを目的とする); - 随伴性マネジメント介入(金銭、引換券、賞...
10 months 1 week ago
人々が一般的な健康診断に資金を提供し、実施し、受診する理由は何か? 主な結果 - 一般的な健康診断を受けるかどうかは、一般的な健康診断の存在を知っているか、家族、友人、医療提供者から促されるかなど、いくつかの要因に基づいて決定される。一般的な健康診断や治療が無料でない場合、時間やお金といった資源も重要な役割を果たす。悪い結果を恐れて、一般的な健康診断を避ける人もいる。 - 医療費提供者や医療提供者についての情報が少なかったため、一般的な健康診断への資金提供や実施について、何が彼らの決断の原動力となっているのか、完全には理解できていない。 - 一般的な健康診断を受けるかどうかについては、長所と短所を天秤にかけ、自分の健康状態や状況を考慮しながら、慎重に考えるべきである。 一般的な健康診断とは? 一般的な健康診断とは、特に裕福な国で、健康だと感じている人に定期的に行われる健康診断のことである。さまざまながんのスクリーニングや、糖尿病や心臓病にかかるリスクの評価などである。これらの検査は、リスクや病気を早期に発見して治療したり、生活習慣を変えたりするのに役立つと考えられている。しかし、リスクがあるかもしれない。たとえば、スクリーニング検査で間違った診断を受け、さらに検査を受けなければならなくなったり、不必要な治療を受けなければならなくなったりする可能性がある。一般的な健康診断には費用が...
10 months 2 weeks ago
抗うつ薬は、非特異的な腰痛や脊椎(背骨)に関連した下肢痛がある人に効果があるか? 主な結果 - セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(抗うつ薬の一種)は、プラセボ(非活性錠剤またはダミーの錠剤)と比較すると、腰痛がある人の痛みの強さをわずかに軽減し、機能をわずかに改善すると考えられる。これらの薬を服用することで、好ましくない影響が出る人もいるであろう。 - プラセボと比較すると、三環系抗うつ薬(抗うつ薬の一種)は、腰痛のある人の機能にわずかな改善をもたらすが、痛みの強さにはおそらくほとんど影響を与えない。 - 脊椎に関連した下肢痛に対する抗うつ薬の効果については不明である。 腰痛と脊椎に関連した脚の痛みとは? 腰痛は、世界中で障害を引き起こす主要な原因となっている。腰痛のほとんどは、脊椎の明確な損傷によって引き起こされるものではないため、「非特異的」と呼ばれる。腰痛がある人の多くは、脚への放散痛も経験している。 腰痛と脊椎に関連した下肢痛を、 抗うつ薬でどのように治療するのか? 抗うつ薬は、もともとうつ病を治療するために開発された一群の薬である。最も一般的なクラスには、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、三環系抗うつ薬がある。抗うつ薬は、神経系における痛みの信号を遮断することによって痛みを和らげると考えられている。抗うつ薬を服用...
10 months 3 weeks ago
血管拡張薬(血管を広げる薬)は、不妊症の女性が妊娠するのに役立つか? 要点 1.血管拡張薬は、ダミーの治療や無治療と比べると、妊娠するのにおそらく役立つが、副作用もあるだろう。また、血管拡張薬は、ダミーの治療や無治療と比べると、あるいはエストロゲン(女性ホルモン)と比べると、妊娠が継続できて出産するまでの可能性にはほとんど影響しないかもしれない。 2.より確かな結論を出すためには、この治療に関する、より大規模でしっかりデザインされた研究が必要である。 背景 不妊治療を受けている女性にとって、胚盤胞(受精卵が数日間分裂して、胎児のもとが作られた状態)が子宮内膜に正常に着床することが重要である。着床率や出生率を高める可能性がある薬はたくさんある。その一つに、血管拡張薬がある。この薬は、血管を拡張して子宮内膜を厚くし、子宮の収縮を防ぐことで、胚盤胞を子宮に着床しやすくすると考えられている。 知りたかったこと 血管拡張薬が生児出生率、妊娠率、子宮内膜の厚さを改善するのに役立つかどうかを調べたかった。また、血管拡張薬が多胎妊娠(双子、三つ子など)、流産、異所性妊娠(受精卵が子宮内膜以外に着床すること)の発生率に影響を及ぼすかどうか、副作用があるかどうかも知りたかった。 実施したこと 年齢を問わず、不妊治療を受けている女性を対象に、血管拡張薬とプラセボ(ダミーの治療)または無治療とを比べた研...
11 months ago
産後出血を予防、発見、治療するための、世界保健機関(WHO)の勧告を実現させるにはどんな対策が優れているか? 主なメッセージ 複数の対策を組み合わせると、世界保健機関(WHO)の産後出血(PPH)を予防するための勧告により従えるようになる可能性があるが、集中治療室(ICU)への入院、追加の手術が必要になる数、または妊産婦の死亡数には恐らく差はない。複数の対策を組み合わせることが、出血量や輸血の有無に影響するかどうかはわからない。 一つだけの対策では、WHOのPPH予防のための勧告が守られるかどうか、出血量、または輸血の有無に影響するかどうかはわからない。一つだけの対策では、妊産婦の死亡数には差がなく、ICUへの入院が増えるかもしれない。一方、追加の手術を必要とする数が減る可能性がある。 研究の件数が少なく、解析した研究の間で収集されたデータに差があるなどの限界があって、有効な対策について結論を出すことができなかった。しかし、同一の対策が、異なる研究で程度の違いこそあれ成功を収めており、今後この領域での研究を行う必要性が非常に高い。 産後出血(PPH)とは何か? 産後出血(PPH)とは、通常、出産後24時間以内に500mlを超える出血があること、と定義される。 PPHはどのようにして予防、診断、治療されているか? WHOのガイドラインは、PPHを予防するために、出産直後にオキシトシ...
Checked
21 hours 55 minutes ago
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