1 year 3 months ago
すべての長期介護環境における身体拘束を防止および削減するための介入 背景 身体拘束(PR)とは、好きな位置に自由に体を動かせないようにする器具である。例として、ベッド柵、ベルト、固定式テーブルなどがあり、これらはベッドや椅子から転落することを防止する。PRは、認知症や歩行困難のある高齢者が、介護施設や自宅で介護を受ける際に、ごく一般的に使用されている。PRを使用する主な理由は、偶発的な転倒や転倒によるけがを防ぐため、あるいは他人の部屋への侵入や、徘徊などにより高齢者自身や他人を危険にさらすことを防ぐためである。 しかし、転倒や転倒によるけがの予防に対するPRの有効性については疑問視されている。実際、体を動かさない時間を増やすことで、歩行障害を悪化させ、転倒のリスクを高める可能性がある。また、恐怖感や怒り、不快感を増やし、幸福度を低下させる可能性もある。その他の予期しない事象には、褥瘡や失禁のリスクの増加、PR自体によるけがなどがある。国によっては、PRの使用はほとんどの状況において違法であり、ガイドラインにより、その使用を減らすか中止することが推奨されている。 何を調べようとしたのか? 介護施設または自宅において長期介護を受けている高齢者に対するPRの使用の防止または削減のために、どのような介入が最も効果的であるかを明らかにしたかった。PRの使用を防止および削減するための介入には...
1 year 3 months ago
新規抗精神病薬ブレクスピプラゾールのうつ病治療における利益と有害性は、ダミー錠や抗うつ薬と比較した場合、どのようなものか? 要点 - 抗うつ薬に追加されたブレクスピプラゾールは、抗うつ薬に追加されたプラセボ(ダミー錠)よりもうつ病の症状を軽減するのに優れている。 - ブレクスピプラゾールは、体重増加やアカシジア(常に動きたくなるような落ち着きのなさ)と関連することが多い可能性がある。 うつ病とは? うつ病は一般的な精神疾患で、気分の落ち込み、喜びを感じられない、睡眠障害、体重減少、疲労や気力の低下、会話や動作が遅くなる、無価値感や過剰な罪悪感、集中力の欠如、自殺を考えるようになるという症状を引き起こす。うつ病と診断されるには、気分の落ち込みや快感の喪失など、これらの症状のうち5つ以上を少なくとも2週間以上経験する必要がある。 どのように治療するか? うつ病の症状が軽度でない限り、治療の最初の選択肢は抗うつ薬であるが、抗うつ薬が初めて処方された場合に効果があるのは半数程度である。抗うつ薬だけではうつ病の治療が十分でない場合、抗うつ薬の効果を助けるために別の薬を追加するという選択肢もある。その他の選択肢としては、抗うつ薬を別の抗うつ薬に変更する、会話療法、電気パルスによる脳への刺激などがある。ブレクスピプラゾールは新しい薬で、単独では効かない抗うつ薬に追加して使用することができる。ブ...
1 year 3 months ago
超早産児または極低出生体重児の壊死性腸炎予防のためのプロバイオティクス 本レビューの論点 プロバイオティクスを超早産児や極低出生体重児に与えることで、壊死性腸炎を防ぐことができるか 背景 超早産児(8週以上早く生まれた児)や極低出生体重児(出生時の体重が1.5 kg未満の児)は、壊死性腸炎を発症するリスク(危険)がある。壊死性腸炎は、乳児の腸の内壁の組織が炎症を起こし、死に至る重篤な疾患である。この疾患は、死亡、重篤な感染症、長期障害、発達障害につながる可能性がある。 知りたかったこと 壊死性腸炎を予防する1つの方法として、プロバイオティクス(潜在的に有益なバクテリアや酵母を含むダイエタリーサプリメント(栄養補助食品))をミルクに添加することが考えられる。我々は、プロバイオティクスの補充が超早産児や極低出生体重児にベネフィット(有益性)があるかどうかを検証したいと考えた。具体的には、プロバイオティクスの補充が、プラセボ(ダミー治療)や無治療よりも改善効果があるかどうか検証したいと考えた。 - 壊死性腸炎 - あらゆる理由による死亡 - 重篤な感染症 - 出生からの入院期間 - 神経発達障害 実施したこと 超早産児・極低出生体重児の壊死性腸炎予防のためのプロバイオティクスの使用を検討したランダム化比較試験(参加者を無作為に2つ以上の治療群のいずれかに割り当てる試験)を同定するために...
1 year 3 months ago
「微小血栓」が新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)を引き起こすというエビデンスは何か、また、血漿交換による微小血栓の除去は正当化されるのか? 要点 1.「微小血栓」という用語は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症の患者で調査されている粒子に対する正しい用語ではない。「アミロイド・フィブリン粒子」と呼ぶ方が適切である。 2.アミロイド・フィブリン粒子は、健康な人にも他の病気の人にも見られるというエビデンスがある。つまり、COVID-19後遺症に限られたものではない。 3.患者は、プラセボ(ダミー)を比較対象とした、適切なランダム化臨床試験(参加者を2種類以上の治療群のいずれかに無作為に割り当てるタイプの試験)で得られた知見にもとづくことなく、アミロイド・フィブリン粒子の除去を目的とした血漿交換を受けるべきではない。 何を調べようとしたのか? COVID-19後遺症(「ロングCOVID」と呼ばれることもある)とは、COVID-19に感染してから少なくとも12週間が過ぎた後に、患者がさまざまな症状を経験する状態を指す。症状の重さには幅があり、疲労、脳霧(ブレイン・フォグ)、頭痛などが含まれ、生活の質(QOL)の低下につながる。COVID-19後遺症の原因については議論がある。一つの説は、血液中の小さな血栓が原因であるというもので、この血栓を調査した一連...
1 year 3 months ago
新型コロナウイルス感染症患者に対する抗血小板薬による治療は有効か? 要点 抗血小板薬は、致死的となる血管内における血栓形成(「血栓イベント」)を予防可能な薬剤の1つである。抗血小板薬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、血栓イベントをわずかに減少させるが、プラセボ(偽の治療)や標準治療と比較して、死亡、臨床的悪化、COVID-19の改善には影響がない可能性がある。 しかし、抗血小板薬は、重篤な望ましくない作用(有害事象)をわずかに増加させ、大出血事象を増加させる可能性がある。 外来患者の場合、同様に抗血小板薬は血栓イベントをわずかに減少させるが、死亡または重篤な有害事象にはほとんど、または全く差がない可能性があり、また入院や死亡、大出血事象におけるエビデンスは非常に不確実である。 また、14件の研究は未完了であり、他の3件の研究結果はまだ得られていない。 抗血小板薬とは何か? 抗血小板薬は、血液が血栓と呼ばれるゲル状の物質に変化する現象(「血栓イベント」と呼ばれる)を防止する薬剤の一つである。抗血小板薬は主に経口投与で使用され、通常、血栓症のリスクが高い患者(すでに血栓症の既往がある患者や、血栓ができやすい患者)に投与される。 血栓は脳卒中、冠状動脈性心臓病、足の血行不良、足の血栓症、および肺循環の血栓による閉塞(塞栓症)を引き起こし、息切れや心不全...
1 year 3 months ago
統合失調症がある人における持続的攻撃行動または激越に対する認知行動療法+標準治療と標準治療の比較 統合失調症がある人の攻撃性や興奮の治療において、認知行動療法は従来の治療よりも優れているか? 要点 - 認知行動療法が統合失調症がある人の攻撃性に有効であるという十分な質の高いエビデンスは見つからなかった。信頼できる結果を提供するには不十分な参加者が登録されている研究が、2件しか見つからなかった。 - 認知行動療法の利益と潜在的有害性をよりよく推定するためには、より大規模でよく計画された研究が必要である。 統合失調症がある人における攻撃性の重要性は? 統合失調症は、思考過程、知覚、情動反応、社会的相互作用の障害を特徴とする精神障害である。典型的には持続性で、重篤な障害を伴うこともある。統合失調症がある人における攻撃性(自己攻撃性と他者攻撃性)のリスクはまれであり、ごく少数に限定されるが、もし攻撃性があれば、傷害や死亡のリスクを増大させ、病気の負担を増大させる。認知行動療法は、機能不全に陥った思考に挑戦することを目的とし、精神衛生や感情障害の改善に用いられる。統合失調症の持続的な症状に対して有益な効果を示しており、統合失調症治療における薬物療法の上乗せ療法としての使用は治療ガイドラインで支持されている。しかし、攻撃的な行動をとる統合失調症がある人に対して、認知行動療法を標準治療に加える...
1 year 4 months ago
プライマリ・ヘルスケアの統合に対する医療従事者の認識および経験:質的エビデンスのスコーピングレビュー プライマリ・ヘルスケア(PHC)の統合とは何か? プライマリ・ヘルスケア(PHC)の統合とは、これまで別々に提供されていたPHCのサービスを統合することである。その目的は、より良い医療を容易に受けられるようにし、限られた医療資源をより効率的に活用できるようにすることである。 なぜ医療従事者の認識や経験を知ることが重要なのか? PHCの統合は多くの国で実施されており、種々の成功が得られている。医療従事者は、このような医療サービスの変容の成功に関して影響を与えることができる。PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験を知ることは、医療従事者がその実施およびその成否にどのように影響するかを理解することに役立つ。 本スコーピングレビューの目的は何か? 本スコーピングレビューでは、PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験に関する質的研究(数値データのない研究)を検索し、マッピングを行った。そして、この分野における今後の系統的レビューや調査研究の参考となる研究を特定することを目的とした。 どのようにエビデンスを特定し、マッピングを行ったのか? 2020年7月28日までに発表された、PHCの統合に関する医療従事者の認識や経験について報告されたすべての質的研究について検索を行った。さまざまな研...
1 year 4 months ago
切断手術を行う際に、締め付けるための器具(止血帯)を使用することは、合併症の低減に対し有効かつ安全か? 背景 毎年、世界で数百万人もの人々が動脈閉塞性疾患にかかり、切断手術を余儀なくされている。切断手術では大量の血液が失われ、死亡を含む合併症を引き起こす可能性がある。輸血にはリスクが伴うが、切断する脚の上部を圧迫する器具である止血帯の使用は、出血量を減らし、輸血の必要性を減らすことができる。これは膝関節に対し人工関節置換術を行う際には安全であると考えられているが、手術を受ける血管に閉塞性疾患がある場合への使用については、依然として議論の余地がある。また、止血帯により患者の皮膚、筋肉、および血管が損傷を受け、切断部への血液供給が減少することで、創傷治癒に影響を与える可能性についての懸念がある。 本レビューでは、血管の閉塞性疾患により切断手術が行われる場合の止血帯の使用が、手術中の失血量、血球数の低下、輸血の必要性や、創傷の治癒、再手術の必要性などの合併症の低減に安全かつ効果的であるかどうかを調査した研究について検索を行った。 研究の特徴および主な結果 血管の閉塞が原因で切断術を受ける患者において、止血帯を使用した場合と止血帯を使用しなかった場合とを比較した研究を探すため、医学データベースを検索した。その結果、英国で実施されたランダム化比較試験(患者を2種類以上のいずれかの治療群に無...
1 year 4 months ago
家族計画や避妊法の利用を支援するための、携帯電話を使って提供される介入 論点 このレビューの目的は、携帯電話による介入が避妊法の利用を増進するかどうかを判断することである。 要点 携帯電話による介入は、避妊法の増進と継続的な利用に良い影響をもたらす。 双方向性のメッセージは、避妊法の利用を増進する上で、一方的なテキストメッセージよりも優れている。 現存するエビデンスのレベルは中等度である。 このレビューの重要性 携帯電話で配信されるヘルスメッセージや介入は、健康や行動を改善することが示されているが、携帯電話で配信されるメッセージが、避妊の使用などリプロダクティブ・ヘルスに関連する問題に影響を与えるかどうかは不明である。 女性と子どもの健康は、避妊から大きな恩恵を受ける。このような利点があるにもかかわらず、また妊娠を避けたいにもかかわらず避妊をしない女性が世界的にかなり多い。 近年の携帯電話の急速な普及により、必要な時にいつでも、どこでも、サービスへのアクセスが制限された人々へも届く、携帯電話を介したヘルスケアの提供への関心が高まっている。 エビデンスの特定および評価を行った方法は? 携帯電話で配信される介入の使用と避妊の使用への影響を評価した研究について、医学データベースを検索した。その結果、高所得国(11試験)と低所得国(12試験)の両方において、11カ国で実施された12,79...
1 year 4 months ago
高血圧に対する第一選択薬として利尿薬を投与する場合、他の種類の薬剤と比較して、どのような利益と不利益があるのか 要点 - 高血圧治療の第一選択薬として、サイアザイド系やサイアザイド系類似の利尿薬を使用した場合、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、心血管系の有害事象(心血管イベント)が減少する可能性が高い。 - 総死亡率は、利尿薬と他の種類の薬剤との間に差がない可能性が高い。 - 利尿薬を第一選択薬として使用した場合、カルシウム拮抗薬やα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、全心血管イベントや心不全が減少する確率が高い。 - 利尿薬を第一選択薬として使用した場合、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を第一選択薬として使用した場合と比較して、望ましくない影響や悪影響(有害事象)による研究からの脱落者が減少する可能性が高い。 高血圧(症)とは何か 高血圧(症)とは、安静時血圧により、軽度(140~159/90~99mmHg)、中等度(160~179/100~109mmHg)、重度(180/110mmHg以上)と定義される。高血圧がうまくコントロールされていないと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎障害などにつながることがある。60歳以上の高齢者にみられる中等度から重度の高血圧に対する降圧薬の使用は、このよ...
1 year 4 months ago
エストロゲン療法は閉経後女性の骨盤臓器脱の治療に役立つか? 要点 - 14件の研究がこのレビューの選択基準を満たしたが、最も関心のある比較を扱った研究はなかったため、閉経後女性の骨盤臓器脱に対するエストロゲン療法の効果については不明である。 - 閉経後女性の骨盤臓器脱に対する、エストロゲン療法単独または他の治療法との併用による効果について評価するためには、さらなる研究が必要である。 骨盤臓器脱とは? 骨盤臓器脱とは、女性の子宮、膀胱、直腸が正常な位置から腟の中に下がってしまうことである。この病気はよく見られるもので、少なくとも一度出産経験のある50歳以上の女性の50%が罹患している。子宮摘出術を受けた女性の6%~12%が骨盤臓器脱を経験する。年齢が高く、出産回数が多く、太っている女性は骨盤臓器脱になりやすい。骨盤臓器脱の女性は、腟に「何かが下りてくる」感覚や、性行為時の不快感や排尿障害など、QOL(生活の質)や身体イメージに悪影響を及ぼすその他の症状を有することがある。 知りたかったこと 骨盤臓器脱の治療には、多くの臨床医がエストロゲン療法(ホルモン療法の一種)を処方しており、ペッサリー(腟内に挿入して支える器具)や手術などの他の治療法と併用することもある。しかし、このアプローチの利益は不明である。エストロゲン療法を単独で、あるいは他の治療法と併用することで、閉経後の女性の骨盤臓...
1 year 4 months ago
軽度から中等度の認知症患者に対する認知リハビリテーションの利点とリスクは何か? 要点 認知リハビリテーションは、認知症患者自身が重要な日常生活の管理を行うのに役立つ。 全体的な機能や幸福度の向上に有効な認知リハビリテーションの方法を探ることが今後の課題である。 認知症とは何か? 認知症とは、脳の変化によって引き起こされ、時間の経過とともに悪化する一連の症状である。ある種の認知症では、記憶、計画、集中、およびコミュニケーションを行うことが困難となる。これらの、および他の思考障害は、「認知障害」という用語で総称される。認知障害により、日常生活や、できるだけ長く自立した生活を送ることが困難になる。 認知リハビリテーションとは何か? 認知リハビリテーションとは、認知症患者に対して個別に設計された介入である。通常、患者の自宅において1対1のリハビリテーションが行なわれる。患者は、よりよく管理したい、またはより自立して行いたいと思う日常的な活動や作業を決定する。医療従事者は、患者にとって重要なそれらを改善できるようなリハビリテーション計画を提案し、患者と実施する。このプロセスには患者の家族も参加して行われることが多い。 何を調べようとしたのか? 患者にとって重要な作業や活動を行うこと、日常生活の管理を行うこと、物ごとの管理に自信を持つこと、抑うつや不安が改善すること、および幸福感を持つことに...
1 year 4 months ago
社会的支援介入は心臓病患者の助けになるか? 要点 社会的支援や社会的ネットワークプログラムが心臓病患者の助けになるという明確なエビデンスはない。 これらのプログラムによって、生活の質(QOL)や血圧がある程度改善する可能性がある。 このレビューによれば、社会的支援や社会的ネットワークへの介入は心臓病患者を助ける可能性があるが、有効性を証明するためには、より質の高い、明確に報告された試験であることを示唆している 心臓病とは何か? 「心臓病」とは、冠動脈疾患(心臓の血管の病気)、不整脈(心房細動などの不整脈)、心臓感染症、先天性心疾患など、心臓に影響を及ぼすさまざまな疾患を指す。心臓病の一般的な症状は、胸痛(狭心症)と心臓発作(心筋梗塞)である。心臓病は世界中で早期死亡の原因となっている。現代の心臓リハビリテーションプログラムは、一般的に身体的、精神的、社会的要因に対処し、心臓病患者の日常生活を支援するようにデザインされている。 なぜ社会的支援プログラムが心臓病患者の助けになるのか? 低レベルの社会的支援や社会的孤立が、心臓病患者の健康状態の悪化につながることを示唆するいくつかのエビデンスがある。社会的ネットワークまたは社会的支援介入は、健康的な行動を支援するために社会的関係を意図的に利用し、パートナー、家族、友人、他の仲間、または介護者が関与することがある。このようなプログラムが心...
1 year 4 months ago
月経前症候群治療用ドロスピレノン配合避妊薬 レビューの論点 ドロスピレノンとエストロゲンを含有する避妊薬が、プラセボ(ダミー)ピルまたは他の避妊薬と比較して、PMSの女性の月経前症候群(PMS)症状の改善に有効であるかどうかを調べようとした。また、女性が経験するかもしれない副作用についても調べたいと思った。 背景 PMSはよくある問題だ。重症のものは月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれる。症状には、行動の変化や日常生活に影響を及ぼす身体的徴候や症状が含まれる。これらの症状を治療するために、黄体ホルモンとエストロゲンホルモンを配合した避妊薬が研究されている。米国では、ドロスピレノンに低用量エストロゲンを配合した避妊薬がPMDDの治療薬として承認された。 研究の特性 858人の女性を対象とした5件の試験が見つかった。すべての試験で、ダミーピルとドロスピレノンと低エストロゲンピルが比較された。女性の大半は、試験前にPMSの重症型であるPMDDを患っていた。エビデンスは、2022年6月現在のものである。 主要な結果 3か月後、ドロスピレノンと低エストロゲンピルを服用した女性は、ダミーピルを服用したグループよりも月経前症状の重症度が低かった。ドロスピレノンと低エストロゲンピルを服用している女性は、より多くのことができ、より多くの社会的活動や友人がいると答えた。しかし、ドロスピレノンと低エ...
1 year 4 months ago
痛みを伴う処置を受ける乳児の痛みを管理するオピオイド 要点 - 強力なエビデンスがないため、痛みを伴う処置を受ける乳児の痛みを管理するためのオピオイドの利点とリスクは不明である。 - プラセボ(薬を含まないが、試験中の薬と同じように見える「ダミー」治療、偽治療)と比較すると、オピオイドは、処置中に特定の尺度で評価される痛みを軽減するかもしれないが、処置の1~2時間後に他の尺度で評価される痛みには違いがないかもしれない。 - 他の疼痛スコアや異なる時点における疼痛評価、徐脈(心拍数の低下)や低血圧のエピソードに対するオピオイドの影響については、非常に不確かである。オピオイドは呼吸停止のエピソードを増加させる可能性がある。 なぜオピオイドは、乳児の処置中の痛みを管理するために投与されるのか? 乳児(特に生後4週間)は、入院中に痛みを伴う処置を受けることが多い。成人と同様、これらの処置中も、継続した疼痛管理とコントロールが必要である。オピオイドは、体内の細胞にあるオピオイド受容体と相互作用することで効果を発揮する、痛みを和らげる薬の幅広いグループであり、乳幼児によく使用される。 知りたかったこと 痛みを伴う処置を受ける乳児に、オピオイドが以下の治療と比較して、どのような影響を及ぼすかを調べたかった: - 無治療またはプラセボ; - 薬物以外の治療(甘い溶液など); - 他の薬; - 異...
1 year 4 months ago
前立腺肥大症に対する ノコギリヤシ(Serenoa repens) レビューの論点 Serenoa repens(ノコギリヤシ)単独あるいは他の植物治療剤との併用は、前立腺肥大症の男性の症状を改善するか? 背景 前立腺が肥大すると、日中や夜間に頻繁に尿意をもよおしたり、尿の出が悪くなったり、残尿感があるなど、煩わしい尿路症状が現れることがあるかもしれない。一般的な薬剤を用いた介入のほかに、植物やハーブの使用(植物療法)は一般的であり、多くの西洋諸国で徐々に増えてきている。アメリカノコギリヤシ(矮性椰子)(American saw palmetto、dwarf palm plant)、Serenoa repens(ノコギリヤシ)(植物学名Sabal serrulatumとしても知られている)の抽出物(エキス)は、この症状の治療に利用されているいくつかの植物治療薬のひとつである。 研究の特性 ノコギリヤシ単独または他のハーブ製品との併用とプラセボ(実際には治療を受けていないが、治療を受けたと参加者に思い込ませる方法)を比較した男性4,656例を対象とした27件の研究を同定した。ほとんどの研究は、中程度の症状を有する50歳以上の男性を対象としていた。10件の研究は製薬企業から資金提供を受け、2件の研究は政府から資金提供を受けていた。残りの研究は資金供給元に関する報告がなかった。 主要な...
1 year 4 months ago
低グリセミック・インデックス(GI)食または低グリセミック負荷(GL)食は、過体重または肥満の減量に役立つか。 主要な結果 低グリセミック・インデックス(glycaemic index:GI)食または低グリセミック負荷(glycaemic load :GL)食は、高GI食または高GL食など他の食事と比べて、おそらく体重にほとんどまたは全く差を生じない。 これらの食事が人々の生活の質(Quality of Life:QOL)、副作用、死亡に及ぼす影響については非常に不確かである。 低GI食または低GL食とはどんなものか? 低GI食または低GL食は、血糖値の上昇を穏やかにしたり、遅らせたりする食品で構成される。そのため、体内でのインスリン分泌が少なくなり、体重減少につながるかもしれない。 わかったこと 過体重または肥満の人々におけるこれらの食事の効果を評価したいと考えた。体重、QOL、副作用、死亡への影響を検証した。 実施したこと 過体重または肥満の成人におけるこれらの食事の効果を、高血糖指数食または高血糖負荷食(血糖値が急上昇するような食事)などの他の食事と比較した研究を検索した。これらの研究は少なくとも8週間の追跡調査を条件とした。 わかったこと 1,210例(参加者の4.1%は小児、1.9%は65歳以上の成人)を対象とした10件の研究を組み入れた。これらの研究の半数は米国で実施...
1 year 5 months ago
早産児の経口哺乳に対する口腔刺激の効果 レビューの論点 妊娠37週より前に生まれた早産児に、指による刺激を用いた口腔刺激介入を行う: 完全経口哺乳を達成するまでの期間(日数)の短縮につながるか? 新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care:NICU)で過ごす期間(日数)の短縮につながるか? 入院期間(日数)の短縮につながるか? 栄養チューブ(経静脈栄養)により栄養補給される期間(日数)の短縮につながるか? 背景 これは2016年のレビューのアップデート版である。多くの早産児は、経口(吸啜)哺乳の確立が遅く、最初は栄養チューブや経静脈(非経口)栄養により栄養補給される。経口哺乳能力の発達には、吸啜、嚥下、呼吸の綿密な協調を必要とする。早産児における経口哺乳の確立は困難な場合がある。その理由として、入院期間が長いこと、呼吸困難および早産に関連するその他の医学的症状を呈することが挙げられる。人工呼吸、および口や鼻からの頻回の分泌物吸引といった不快な処置は、経口哺乳能力に悪影響を及ぼす可能性がある。経管栄養から経口哺乳への移行に関する国際的なガイドラインは、内容のばらつきが大きい。医療従事者は、早産時の吸啜・哺乳能力を向上させるためにさまざまな介入を用いており、経管栄養から経口哺乳への移行期間の短縮、入院期間の短縮、乳児の吸啜能力の向上につながることが複数の研究で報...
1 year 5 months ago
固定式装置を用いた歯科矯正治療中の患者において、歯の移動を促進させるための補助的な非外科的治療法 論点 矯正力による歯の移動(OTM)を促進すると言われている非外科的処置の追加により、歯科矯正治療全体の治療期間が短縮するか? 背景 若年者や成人の歯並びや噛み合わせに問題がある場合、歯の位置を矯正するための歯科矯正治療が世界的に行われている。使用される矯正装置の種類はさまざまであり、自分で取り外しのできない固定式矯正装置(ワイヤーを固定するためのブラケットを歯に接着した上で、矯正用ワイヤーを連結して用いるものなど)や自分で取り外しが可能な可撤式矯正装置(透明な樹脂で作製されたマウスピースタイプのものなど)がある。歯や噛み合わせの状態によって、治療期間は数か月から数年に及ぶことがあるが、全ての歯を対象とした歯科矯正治療のほとんどでは、通常20か月程度を要する。歯科矯正治療は、笑顔を改善し、患者に良い影響を与えることは知られているものの、う蝕、あるいは歯根吸収(OIIRR)の発生などのリスクも伴う。OTMを促進させることで、治療期間を短縮し、時々起こり得る有害事象を軽減できる可能性がある。そのために、外科的治療や非外科的治療を含むいくつかの方法が提案されている。本レビューでは、OTMを促進させるための非外科的治療に関するエビデンスについて評価を行った。 今回、コクラン・オーラルヘルスの...
1 year 5 months ago
機能性ディスペプシアに対する中薬(中医学の薬草療法)以外の薬草療法の効果は? 主要な結果 機能性ディスペプシア患者の症状とウェルビーイング(well-being)の改善に有用な複数の薬草療法を同定した。また、偽治療と比較して、重要な望ましくない事象を伴わないかもしれない。しかしながら、薬草療法と他の治療法の有用性を比較した科学的根拠(エビデンス)はほとんどなかった。 薬草療法の有用性は、機能性ディスペプシアに対する一般的な内科的治療と比較して、相対的な有用性を評価する必要があるかもしれない。機能性ディスペプシアについては、特に一般的な消化器合併症がある人を対象とした、より質の高い試験が必要である。 背景 機能性ディスペプシアとは? 機能性ディスペプシアは成人において頻繁にみられる健康問題である。胃の痛みや不快感を特徴とする。しかしながら、器質性ディスペプシアとは異なり、これらの症状は胃や腸の潰瘍やその他の病変が原因とはいえない。 機能性ディスペプシアの治療法とは? この疾患の治療法には薬物療法と非薬物療法があるが、それらにどの程度有用性があるかは不明である。さまざまな薬草(ハーブ)製品が、この症状の治療薬となる可能性があるとしてある程度まで研究が行われている。 わかったこと 本レビューでは、このテーマに関するすべての利用可能な研究を検証し、これらの薬草のどれかが症状やウェルビーイ...
Checked
5 hours 7 minutes ago
Search on cochrane.org for:
Subscribe to Latest Japanese Reviews feed