9 months 2 weeks ago
認知症や軽度認知障害のある人にとって、エクサゲームの利益とリスクは何か? 要点 - 体を動かすビデオゲーム(「エクサゲーム」)は、認知症や軽度認知障害のある人の学習や項目の記憶といった思考能力の向上に役立つ可能性があるが、完全な確証はない。 - 現時点では、認知症や軽度認知障害のある人の歩行能力、バランス能力、支払いや買い物などの日常生活能力を向上させるのに役立つ可能性を示唆するエビデンスはほとんどない。 認知症と軽度認知障害とは? 認知症は、記憶力、思考力、日常業務遂行能力に影響を及ぼすような脳の変化を伴う疾患である。物事を記憶したり、計画を立てたり、集中したり、コミュニケーションをとったりすることが難しくなる。こうした変化は通常、時間とともに悪化し、最終的には日常生活に支障をきたすようになる。 軽度の認知障害とは、記憶や思考に何らかの問題があることを意味するが、認知症のある人ほど重度ではない。しかし、後に認知症になる可能性もある。軽度認知障害のある人は、物事を思い出したり、はっきりと考えたりすることに苦労することがあっても、請求書の支払いや買い物に行ったり、家をきれいに保ったりといった日常的な仕事はこなすことができる。基本的には、認知症ほど重度ではないが、時間の経過とともに進行する可能性のある、記憶や思考の困難があるようなものだ。 エクサゲーム(体性感覚ゲーム)とは何か? 現...
9 months 2 weeks ago
成人が足首(足関節)を骨折した後の回復に役立つのはどのようなアプローチか? 主なメッセージ - 手術後3週間以内に、骨折した足首に体重をかけると、回復が早まる可能性がある。しかし、早まる期間は短いかもしれない。 - 手術後6週間は、取り外しができる足首用サポーター(怪我をした足首を伸ばしたり動かしたりできる)を使用すると、回復が早まるかもしれない。しかし、繰り返しになるが、早まる期間は短いかもしれない。 - 足首を骨折した後の回復に向けた理学療法の価値を評価する十分なエビデンスはない。 足首の骨折 足首の骨折は、最も一般的な骨折のひとつである。骨折を治すために手術が必要なこともあれば、足首が治るまでの数週間、サポーターだけで対応できることもある。骨折が治るには通常6週間ほどかかるが、日常生活を今まで通りに送るためには、もっと長い時間がかかることもある。この回復の時期には、足首の動きや筋力、あるいはその両方を改善させるために、さまざまなアプローチを用いることができる。 回復のためにはどのようなアプローチがあるか? - 体重を早期にかける(早期荷重)か、遅れてかける(遅延荷重)か:手術後3週間以内に足首に体重をかけ始めるように勧められることもある。あるいは、最初の6週間ほどは、骨折した足首に一切体重をかけないように言われることもある。 - 取り外しができる足首用サポーター、または取り...
9 months 2 weeks ago
脳卒中後の成人の筋肉や腱の短縮による関節の拘縮の改善に対して支援技術は役立つか? 主なメッセージ ・質の低い研究が7件しか見つからなかったため、支援技術による治療が通常の治療より優れているかどうかについて確信をもって結論づけることはできない。 ・脳卒中後の成人の拘縮管理における支援技術の有益性と有害性を評価するためには、さらなる研究が必要である。 拘縮とは? 脳卒中後、多くの人は筋肉や腱が短くなったり硬くなったりすることで手足の変形を起こす。拘縮の主な原因は、手足が縮んだ状態で動かなくなることである。 支援技術とは? 支援技術とは、電気刺激や機械的な手段、例えばスプリント(プラスチック製の患部を固定する装具)などを使って筋肉や軟部組織を伸ばす装置のことである。 知りたかったこと 脳卒中後の成人の他動的な関節可動域(外部からの補助によって関節をどれだけ動かせるか)と拘縮部分の衛生状態を改善するために、どのような支援技術が、通常の治療、治療なし、あるいは別の支援技術よりも優れているかどうかを知りたかった。また、支援技術による有害事象があるかどうかも知りたかった。 実施したこと 支援技術の効果を、治療なし、通常の治療、または別の支援技術と比較して評価している研究を探した。研究結果を比較し、まとめた上で、研究方法や研究規模などの要素に基づくエビデンスの確実性を評価した。 わかったこと 支...
9 months 3 weeks ago
心房細動がある人に対する運動を中心とした心臓リハビリテーション 主なメッセージ ・運動を中心とした心臓リハビリテーションは、おそらく心房細動(AF)がある人の症状や生活の質を改善し、運動耐容能(その人が耐えることができる最大の運動量)を向上させる可能性がある。 ・死亡者数や重篤な有害事象に対する運動の影響については、十分なエビデンス(証拠)がない。 ・エビデンスの質は、中程度から非常に低いものまであった。さらなる質の高い研究が必要である。 心房細動とは? 心房細動(AF)は不整脈である。心房細動は、脳卒中やその他の心臓関連の合併症のリスクを高める可能性がある。心房細動の症状には、動悸、倦怠感、めまいなどがある。運動は、心臓や心身および全体的な健康状態に影響を与えるため、心房細動がある人にとって有益であるかもしれない。 調べたかったこと 心房細動がある人に対する運動を中心とした心臓リハビリテーションの有益性と起こりうる弊害について調べた。 実施したこと 心房細動がある人に対して、運動を中心とした心臓リハビリテーションを実施した場合と運動なしの場合を比較した研究を調べた。また、死亡者数、重篤な有害事象、心房細動の重症度や患者のウェルビーイング(心身のみならず社会的にも良好な状態)など、さまざまな尺度への影響を知りたかった。 わかったこと 合計2,039人の心房細動がある人を対象とした...
9 months 3 weeks ago
顎関節症に対する咬み合わせ(咬合)の治療の利益とリスクは何か? 要点 顎関節症の患者に対して、スプリント(Occlusal splint)というマウスピースの一種を使用することで、治療を行わなかった場合と比較して咀嚼時の痛みが軽減する可能性があるが、その結果は非常に不確実である。また、スプリントが他の利益をもたらすというエビデンスはほとんど、または全くなく、この結果についても不確実である。 スプリントの使用や咬合調整(歯を削って咬み合わせを調整すること)が有益か、または有害かの明確なエビデンスを見つけ、他の治療法と比較した際の効果を評価するためには、さらなる研究が必要である。 顎関節症とは何か? 顎関節症(Temporomandibular disorders:TMD)は、顎の関節(顎関節)やそれを動かす筋肉に影響を及ぼし、痛み、開口量の減少、顎関節の音(クリック音)などの問題を引き起こすことがある。顎関節症は、顔の片側または両側の筋肉、関節、またはその両方が関係することがある。 咬合治療とは何か? 咬合治療とは、咀嚼時などの上下の歯を咬み合わせる時や、安静時における歯の接触状態を変化させる治療である。これは、スプリントを装着したり、歯を削るなどの調整(咬合調整)をすることによって行われる。スプリントは、その働きによって、スタビライゼーション(安定化)タイプ、レフレックスタイプ(...
10 months ago
生命を脅かす疾患を持つ人々の不安、うつ状態、実存的苦悩を治療するためのサイケデリック支援療法 主な結果 - 生命を脅かす疾患(癌など)を持つ人々において、「古典的な」サイケデリック(シロシビン(「マジックマッシュルーム」)、LSDなど)を用いたサイケデリック支援療法が、不安やうつ症状の軽減をもたらす可能性があることがわかった。 - また、実存的苦悩(人生に意味がないと感じるなど)や生活の質(QOL)は、古典的なサイケデリック薬によって改善されるかもしれないが、そのエビデンスはまちまちであり、非常に不確かであることもわかった。 - MDMA(「エクスタシー」)を用いたサイケデリック補助療法については、これらの結果(評価項目)に関するデータはごくわずかであり、その結果については非常に不確かである。 - 特定した研究では、サイケデリック補助療法による重篤な副作用は報告されていないが、そのエビデンスは非常に不確かである。中等度の副作用は、薬効が消失した後、あるいはその後1週間以内に治まった。 生命を脅かす病気を持つ人々における不安、うつ状態、実存的苦悩の意義とは? 不安、うつ状態、実存的苦悩は、生命を脅かす病気に直面した人々が頻繁に経験し、本人だけでなく介護者の生活の質(QOL)にも悪影響を及ぼす。 不安、うつ状態、実存的苦悩はどのように治療されるのか? これらの症状の治療は、特に終末期...
10 months ago
進行性多発性硬化症の進行を遅らせたり、遅らせたりする可能性のあるさまざまな治療法の利益とリスクは何か? 要点 - 全体として、再発や障害の悪化を遅らせる治療効果については非常に不確かである。リツキシマブは治療2年後、インターフェロンβ1bは治療3年後に投与すると、おそらく再発を経験する人の数をわずかに減少させるというエビデンスが見つかった。 - 有害事象のために服用を中止する人の数は、インターフェロンβ1aでわずかに多く、インターフェロンβ1b、リツキシマブ、免疫グロブリン、酢酸グラチラマー、ナタリズマブ、フィンゴリモド、シポニモド、オクレリズマブでおそらくわずかに多い。 - 進行性多発性硬化症がある人に対して、長期にわたって免疫系に作用する薬剤の有益性と有害性を評価するためには、治療法間の比較を行う長期間の研究が必要である。今後の研究では、生活の質(QOL)や思考力、学習能力、記憶力、判断力、意思決定能力など、進行性多発性硬化症がある人にとって重要な他の影響も考慮すべきである。 背景 多発性硬化症は、免疫システムの障害による脳と脊椎の炎症によって引き起こされ、その結果、日常生活動作が徐々に制限されるようになる。多発性硬化症がある人は通常、疲労感、痛み、筋肉のけいれん、体の一部の感度や強度の低下や喪失を経験する。症状の出現は「再発」と呼ばれ、「再発寛解型」と呼ばれる多発性硬化症で...
10 months 1 week ago
がんによる疲労を軽減するには、有酸素トレーニングと筋力トレーニングのどちらが効果的か? 主なメッセージ - がんによる疲労、ウェル・ビーイング(心身および社会的にも良好な状態)および副作用に対する、有酸素および筋力トレーニングの影響についてのエビデンスは非常に不確かである。小規模な研究がいくつかあるのみである。 - ある特定の運動が他の運動より優れているかどうかを判断するには、もっと研究が必要である。研究には、さまざまな種類のがんや治療法も含まれるべきである。 がんによる疲労とは? がんによる疲労とは、極度の疲労感が長時間続くことである。がんやがん治療、もしくはその両方に関連している。心身の両方に影響を及ぼし、日常生活が困難になることもある。がんによる疲労は、通常の疲労よりもずっとひどく、睡眠や休息を多くとっても解消されることはない。 調べたかったこと がんによる疲労の治療と予防、ウェル・ビーイング(生活の質としても知られている)、副作用に与える影響ついて、有酸素トレーニングと筋力トレーニングの間に違いがあるかどうかを調べたかった。有酸素トレーニングには、ウォーキング、ランニング、水泳、サイクリングなどの運動が含まれ、筋力トレーニングには、自重トレーニング(自分の体重を負荷として行う運動)、重りや伸縮性のあるバンドを使った運動が含まれる。 実施したこと さまざまな種類のがん患者に...
10 months 1 week ago
統合失調症がある人にとって、移行期の退院ケアにはどのような利益があるのか? 要点 - 移行期の退院ケア(入院から地域社会への移行を支援する介入)は、入院や生活の質(QOL)にほとんど差はなく、日常生活での機能向上や退院時の治療への満足度を改善する可能性があるが、その結果については非常に不確かである。 - 移行期の退院ケアプログラムの運営費用に関する結果については結論が出ておらず、再発(新たな精神衛生上の危機)や望ましくない影響に関する情報もない。 - 統合失調症や統合失調症に関連した障害を持つ人々が、病院から地域社会へ移行する際に、どのように支援すればよいかを調査するために、さらなるより良い研究が必要である。 統合失調症とは? 統合失調症は、幻覚(現実のように見えるが、心の中にしか存在しないものを聞いたり、見たり、嗅いだり、味わったり、感じたりすること)や妄想(事実でないことを強く信じること)などの衰弱した症状が現れ、生活の質(QOL)が低下する、持続性のある重度の精神疾患である。統合失調症関連障害がある人には、統合失調症に似た症状がある。この病気はさまざまで、その時々によって症状が異なり、しばしば治療のために入院が必要になる。 統合失調症や統合失調症関連障害のある人が退院するとどうなりますか? 統合失調症や統合失調症に関連した障害を持つ人は、健康状態を改善するために入院し、その...
10 months 2 weeks ago
業務のために非公式に個人の携帯電話を利用することについての医療従事者の見解、経験、および実践はどのようなものか? 要点 ・ 医療従事者は、医療システムのギャップを埋めるために、非公式に個人の携帯電話を使用することがある。 • 調査結果は、個人の携帯電話の利用は医療従事者の業務をより効率的に行うのに役立つことを示唆している。また、患者や医療従事者のニーズにより迅速に対応できるようにもなる。 • しかし、患者や医療従事者にとって問題を引き起こす可能性や、医療システムを弱体化させる可能性もある。 非公式な携帯電話の使用とは何か? 医療従事者は、業務中の個人の携帯電話の使用に対する正式な規定がない場合であっても、個人の携帯電話を使用することがある。これは、職場のシステムに効果的で利用しやすい情報共有手段がない場合に、医療従事者の業務に役立つ可能性があるものの、しかし、新たな問題を引き起こす可能性もある。 何を調べようとしたのか? 医療従事者の業務を補助するための個人の携帯電話の非公式な使用について評価を行うことを試みた。 何を行ったのか? 医療従事者の職場における個人の携帯電話の使用に関する見解、経験、および実践に関する研究を検索した。その結果を分析し、レビューの結果の信頼性について評価を行った。 何を見つけたのか? 2013年から2022年の間に発表された合計30件の研究を見つけた。こ...
10 months 4 weeks ago
妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果 要点 鉄のサプリメントを毎日摂取している女性は、プラセボを摂取している女性や鉄を補充していない女性と比較して、出産予定日前後の出産時に貧血や鉄欠乏が減少する可能性がある。 本レビューのエビデンス(科学的根拠)から、鉄の補充が女性とその児のその他の転帰に与える影響については、あまり定かではない。 貧血とは何か? 貧血とは、赤血球の数が通常より少ない状態、または赤血球1つ1つに含まれるヘモグロビン(血液中に含まれる赤い物質で、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ)の量が少ない状態のことである。鉄欠乏が貧血の主な原因であり、葉酸やビタミンB 12 などの微量栄養素の欠乏も貧血の原因となる。妊婦が貧血になったり、鉄やその他の栄養素が不足したりすると、その栄養分を十分に胎児に供給できなくなる。女性の鉄および葉酸の低値により貧血を生じる可能性があり、そのため女性は疲労を感じ、失神を起こし、感染症のリスクが増大する可能性がある。 知りたかったこと 妊婦が鉄のサプリメント(単独、または葉酸や他のビタミン、ミネラルとの併用)を毎日摂取することが、妊婦と胎児の健康と栄養を改善するかどうかを検証したいと考えた。 実施したこと 妊娠中の毎日の鉄の補充(単独、または葉酸や他のビタミン・ミネラルとの併用)の効果を調査した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方...
11 months ago
心臓発作(急性心筋梗塞)に対して、骨髄から採取した幹細胞を心臓へ移植する治療は、安全かつ効果的な治療法か? 要点 - 幹細胞による治療は、急性心筋梗塞の臨床成績の改善にはつながらない。 - 幹細胞による治療は、急性心筋梗塞の治療期間中に有害事象を引き起こすことはほとんどない。 急性心筋梗塞が引き起こす問題は何か? 急性心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に血液を供給する動脈の閉塞によって引き起こされる。新しい治療法が進歩しているとはいえ、急性心筋梗塞を起こした人の多くは心臓の機能が低下し、余命も短くなる。 急性心筋梗塞はどのように治療されているのか? 現在の急性心筋梗塞に対する標準的な治療法は、経皮的冠動脈形成術(PCI)である。小さな風船を用いて閉塞した動脈を再び開き、ステントと呼ばれる小さな管を挿入して動脈の開通状態を維持する方法である。 どのような治療法が研究されているのか? 骨髄由来細胞は、損傷した心筋を修復する能力があることから、心臓発作の追加治療として研究されており、心臓の損傷に関係する血液中の化学物質や、心機能を測定する画像検査などの結果に有益な効果が見られることがわかっている。しかし、死亡や再入院、または別の重大な心臓疾患(脳卒中や他の心臓発作など)を起こす可能性といった重要な臨床成績に影響を与えるかどうかについてはわかっていない。 何を調べようとしたのか? すべての研...
11 months ago
アトピー性皮膚炎に対する外用薬(皮膚に直接塗る薬)の比較 要点: 強力な副腎皮質ステロイド外用薬(以下ステロイド)、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬、タクロリムス0.1%(いずれも免疫系を抑制する薬剤)は、アトピー性皮膚炎の徴候や症状を軽減するのに一貫して有効である。 灼熱感(ほてり感)や刺激感(ヒリヒリ感)などの望ましくない効果(副作用)は、タクロリムス、ピメクロリムス、クリサボロールでより起こりやすく、ステロイドでは起こりにくい;皮膚が薄くなるなど、他の副作用は、強力なステロイドを長期使用(長期塗布)した場合にのみ起こりやすい。 アトピー性皮膚炎に対する抗炎症外用薬の長期的な有効性と安全性については不確実であるため、製品の入手可能性、費用面、個人の優先事項など、他の要因も考慮するべきである。 何を調べたかったのか? アトピー性皮膚炎は、(現在のところ)治らないとされている炎症性の皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎の症状を軽減するとされているさまざまな皮膚に直接塗る(外用)抗炎症治療薬(抗炎症外用薬)を比較した。アトピー性皮膚炎がある人に対して最も有効性が高くかつ最も安全な抗炎症外用薬を見つけたかった。 実施したこと 年齢や湿疹の重症度を問わず、アトピー性皮膚炎の人が参加したランダム化試験を対象とした。外用治療(塗り薬)は少なくとも1週間使用する必要があり、他の抗炎症治療または無治...
11 months ago
SARS-CoV-2感染者の死亡率や重症・重篤な新型コロナウイルス感染症への悪化の予測において、ルーチンの臨床検査はどの程度正確か? ルーチンの臨床検査とは何か? ルーチンの臨床検査とは、患者の健康状態に関する情報を提供する、一般的に行われる一連の血液検査である。これらの検査は、病気の特定や健康状態のモニターに使用することができる。 知りたかったこと 外来や救急外来を受診した患者の中から、重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症したり死亡したりするリスクの高い患者を特定することが重要である。それらは、臨床医が患者に入院が必要かどうかを判断する際に役立つ。SARS-CoV-2の感染が確定診断された患者において、ルーチン検査が死亡率や悪化の予測に十分正確かどうかを知りたかった。 実施したこと SARS-CoV-2が確認された患者において、ルーチンの臨床検査が死亡率や悪化をどの程度予測できるかを評価した研究を検索した。世界中のあらゆる場所で行われた、どのようなデザインの研究も対象とした。年齢、性別は問わない。 わかったこと 53種類の異なるルーチンの臨床検査を対象とした64件の研究が見つかった。これらの研究では、ルーチンの臨床検査が死亡率、悪化、あるいはその両方をどの程度予測できるかを評価していた。合計71,170人の患者が対象となり、そのうち8,169人(11.5%)...
11 months 1 week ago
HIV感染者が禁煙をするためのさまざまな方法は、どの程度効果的で、有害事象を引き起こすのか? 要点 - バレニクリン(ニコチンへの欲求を抑える薬)は、プラセボ(偽薬)と比較すると、タバコを吸うHIV感染者の禁煙を6か月以上助ける可能性が高く、重篤な有害事象のリスクを増加させない可能性がある。 - 禁煙するのに使われている他の方法が、HIV感染者の6か月以上の禁煙に役立つかどうかは、十分な情報が得られなかったのでわからない。 - 今後の研究では、より大規模で、重篤な有害事象に関する情報を提供する必要がある。 なぜHIV感染者のタバコ使用が問題なのか? 世界中のHIV感染者の多くが、タバコ、つまりタバコの葉およびその製品を、喫煙する、噛む、吸い込む、嗅ぐことで使用している。タバコの使用はさまざまな健康問題を引き起こし、多くの死者を出しているが、人はタバコに含まれるニコチンによって中毒になり、禁煙することが難しくなる。HIV感染者の喫煙率は一般集団人口の約4倍である。残念なことに、有効なHIV治療が受けられるようになっても、HIV感染者は喫煙が原因で約12年間の人生を失う可能性があり、これはHIV感染そのものが原因で失われる可能性のある年数の2倍以上である。 HIV感染者はどうすればタバコを止められるのか? タバコの使用を止めるのに使われる方法には、ニコチン置換療法(NRT)、バレニク...
11 months 1 week ago
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は成人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する有効かつ安全な治療法か? 要点 - 成人において、rTMSはおそらくプラセボrTMS(偽刺激)と比較して、治療終了時までにPTSD症状の重症度を軽減させない。しかし、これらの結果は、治療の実施方法に大きなばらつきがあったことと、参加者の数が少なかったことにより、限定的なものであった。 - PTSDに対するrTMSの研究では、重篤な有害事象が起こることはまれであった。 - 成人のPTSDに対するrTMSについて、さらなる研究が必要である。今後の研究で、有害事象についてより詳細に報告され、PTSDの重症度を評価するために治療後に参加者をより長く追跡調査することができれば有益であろう。 心的外傷後ストレス障害とは何か? 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、心的外傷を伴う出来事に遭遇した後に発症する、苦痛や障害を伴う症状を特徴とする精神疾患である。PTSDを治療せずに放置すると、PTSDがある多くの人は何年も苦しむことになる。 PTSDはどのように治療されるのか? PTSDには薬物療法や精神療法などいくつかの治療法がある。しかし、既存の治療法では脱落率が高く、これは治療への忍容性に問題があり、症状が続く可能性があることを示唆している。PTSDにはより効果的な治療法が必要である。反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)...
11 months 1 week ago
ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか? 要点 妊娠中のビタミンD補充は、妊娠中の女性およびその児の特定の健康状態を改善し、妊娠の有害転帰のリスク(危険)を低減するのに役立つ可能性がある。 {1>公衆衛生への影響<1} 妊娠中のビタミンD不足は、妊娠中の女性およびその児の健康合併症と関連している。このような合併症を予防する上で、妊娠中のビタミンD補充は必要であると考えられている。 何を調べようとしたのか? 妊娠中のビタミンD補充が、妊娠中の女性およびその児の特定の健康結果(早産や低出生体重児の減少など)を安全に改善し、妊娠の有害転帰(過度の出血など)のリスク(危険)を減少させるかどうかを評価すること 本レビューで行ったこと 本レビューは2012年に初版が発表され、その後2016年と2019年に更新されたレビューの最新版である。妊娠中のビタミンD補充について、単独またはカルシウムや他のビタミン・ミネラルとの併用で、プラセボまたは介入なしと比較した臨床試験を検索した(2022年12月)。各研究の信頼性を評価するツール を用いて検証した。 研究の結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、情報の信頼性を評価した。 何を見つけたのか? 本レビューの旧版には30件の研究が含まれていた。今回の更新では、これらの研究のうち20件を「分類待...
11 months 2 weeks ago
胃管の位置を確認するのに、超音波検査単独または他の方法との併用は有用か? 要点 - 胃管の適切な位置を確認するために超音波検査がX線検査に代わる有望な方法であるかどうかは不明である。 - 誤った位置に留置された管を特定する超音波検査の精度を見極めるには、さらなる研究が必要である。 胃管とは何か?なぜ使用されるのか? 食道は、口と胃をつなぐ筋肉でできた管である。うまく飲み込めない場合は、鼻や口から胃管を挿入して、薬や流動食を直接胃に入れることがある。食道は、肺に空気を送る気管に非常に近いため、注意が必要である。胃管の位置がずれて食べ物や薬が気管に入ると、肺に重度の感染症(肺炎と呼ばれる)やその他の合併症を引き起こす可能性がある。それゆえ、胃管を挿入した後にそのチューブが胃内に正しく留置できているかの確認は重要である。正しい位置に留置できたかどうかは、通常X線検査で確認される。 胃管留置の確認において、X線検査から超音波検査に置き換えることがなぜ重要なのか? 超音波は、音波を使って体内の画像を作成する画像診断技術である。特に資源が限られている場所では、X線検査よりもアクセスしやすく、便利かもしれない。 知りたかったこと 胃管留置の確認における超音波検査の精度を調べ、超音波検査が標準的な方法としてX線検査に取って代わる可能性を評価したいと考えた。 実施したこと 胃管留置の確認における超...
1 year ago
天然歯またはインプラント周囲の歯周病に対する標準治療と抗菌的光線力学療法の併用 要点 成人の歯周病患者に対し、抗菌的光線力学療法(aPDT)を標準治療に追加することが、標準治療のみと比較して有意に効果的であるかどうかについては、結論が出なかった。 天然歯やインプラント周囲の歯周病とは何か? 歯周病の症状には、歯肉からの出血、歯肉の腫れ、口臭などがある。感染によって歯の周囲の軟組織が損傷し、場合によっては歯を失うこともある。また、インプラント(顎骨に固定された人工の歯)を入れている場合は、インプラント周囲の炎症を患うことがある。 歯周病はどのように治療されているのか? 1日2回のブラッシングと定期的なデンタルフロスの使用、それに加えて、歯科医師による治療が必要な場合がある。標準的な歯周病治療には、感染部位から手用器具や電動器具を使って細菌を除去することが含まれる。また、抗菌薬を服用しなければならない場合もあるが、抗菌薬に対する耐性菌が増えているため、別の治療法が有効な場合もある。 抗菌的光線力学療法(aPDT)とは、光吸収色素(細菌を除去した後、口腔内の患部に塗布される)と光源(通常は低エネルギーのダイオードレーザーが使用される)を組み合わせたものである。 何を調べようとしたのか? 歯周病患者に対して、標準治療にaPDTを追加することが、標準治療単独よりも効果的であるかどうかを明ら...
1 year ago
骨修飾薬は早期乳がんまたは局所進行乳がんを患う女性の骨量減少を抑えるのに有効か? 要点 ‐骨吸収を遅らせる薬(骨修飾薬)を投与すると、骨を強くするのに役立ち、骨折の可能性が低くなると思われるが、望ましくない作用を起こすこともありうる。 ‐どの治療薬にもそれぞれの利点と欠点があるため、どれが最良の選択肢か判断するのは難しい。 ‐これらの薬剤を相互に直接比較する、より多くの研究が必要である。 骨量減少とは何か、そしてなぜそれががん患者に起きるのか 骨量減少とは新しく形成される骨より多くの古い骨が破壊され、(骨代謝の)バランスが崩れることを意味する。ビスホスホネート製剤またはデノスマブと呼ばれる骨修飾薬は骨吸収を遅らせるため、役立つ可能性がある。乳がんを患う女性は特に、がんの治療により骨が弱くなって骨量が減少しがちなため、骨折しやすい。 調べたかったこと ここで明らかにしたかったのは、乳がんを患う女性の骨量減少を抑えるにはどの薬が最も有効か、また望ましくない作用があるかである。これらの薬について、以下のことを調べたかった。 ‐骨を強くするか(「骨密度」) ‐患者の日常生活における身体の感覚や機能を改善するか ‐骨折する可能性が低くなるか ‐患者の余命を延ばすか ‐顎骨の損傷(「顎骨壊死」)や腎機能低下のような望ましくない作用があるか 実施したこと 早期乳がんまたは局所進行乳がんに伴う骨...
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10 hours 24 minutes ago
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