Latest Japanese Reviews

ピロナリジン-アーテスネートによる合併症のない熱帯熱マラリア原虫によるマラリアの治療法

2 years 6 months ago
ピロナリジン-アーテスネートによる合併症のない熱帯熱マラリア原虫によるマラリアの治療法 レビューの目的 このコクランレビューの目的は、抗マラリア薬であるピロナリジン・アーテスネートが、重要なタイプのマラリア(熱帯性マラリア原虫)の合併症のない症例に対して有効かつ安全であるかどうかを調べることであった。この疑問に答えるため、関連するすべての研究を収集・分析したところ、10件の研究が見つかった。 主な結果 ピロナリジン-アーテスネートは、合併症のない熱帯熱マラリア原虫によるマラリアの治療に有効である。ピロナリジン-アーテスネートは一般的に安全であるが、投与された人の中には血液検査で肝障害が示唆される人がいる。これは長続きしないし、病気にもならないようだ。 本レビューで検討された内容 世界保健機関(WHO)は、アルテミシニン系複合療法(ACT)と呼ばれる薬剤の組み合わせでマラリアを治療することを推奨している。ピロナリジン・アーテスネートは新規のACTである。現在使用されているACTに耐性を持つようになったマラリアを治療するため、また、マラリアが治療に対してより耐性を持つようになるのを防ぐために、新しいACTが必要とされている。 熱帯熱マラリア原虫によるマラリアに対する有効性を評価するためにピロナリジン・アーテスネートと他のACTを比較し,安全性を評価するためにピロナリジン・アーテスネー...

がん患者の貧血の予防と治療に最善な薬剤の組み合わせの検討

2 years 6 months ago
がん患者の貧血の予防と治療に最善な薬剤の組み合わせの検討 要点 • 骨髄を刺激して赤血球を産生する薬剤(ESA)を鉄剤と一緒に投与すると、輸血回数が減少することはほぼ確実であるが、死亡率の上昇をもたらし、血栓(血の塊)など望ましくない副作用が増えるおそれもある。 • 各研究に欠測データがあったため、さまざまな治療選択肢を相互に比較して順位をつけることができなかった。 • 各薬剤を相互に直接比較する研究がさらに必要である。 貧血とは何か、なぜがんがあると貧血になるのか 赤血球が少なくなりすぎると貧血になる。赤血球には、ヘモグロビンというタンパク質が含まれている。ヘモグロビンの構成成分である鉄分子が、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ。体内の臓器や組織が酸素不足になると疲れやすくなって元気がなくなり、感染症のリスクが高くなる恐れもある。がんがある人は特に貧血になりやすい。これは、がんが炎症を起こし、赤血球の産生を妨げるためと思われる。または、化学療法などの治療によって、骨髄での赤血球の産生が鈍くなるせいかもしれない。 貧血の人には輸血が必要になることもある。しかし、骨髄での赤血球の産生を促進する(赤血球造血刺激因子製剤またはESAと呼ばれる)薬剤や鉄剤による治療によって輸血の必要性が減るのではないかと思われる。 知りたかったこと がん患者の貧血に最も効果的な治療法と、その治療法が好ましく...

人工のCOVID-19特異的モノクローナル抗体は、成人におけるCOVID-19の予防に有効か?

2 years 6 months ago
人工のCOVID-19特異的モノクローナル抗体は、成人におけるCOVID-19の予防に有効か? 要点 COVID-19の曝露前の予防: - チキサゲビマブ/シルガビマブは、COVID-19の感染者数およびCOVID-19症状の発現をおそらく減少させ、入院者数を減少させる可能性がある; - カシリビマブ/イムデビマブは、COVID-19の感染者数およびCOVID-19症状の発現を減少させる可能性があり、好ましくない影響(重症度を問わず)がわずかに増加する可能性がある; COVID-19の曝露後の予防: - バムラニビマブはCOVID-19の感染者数を減少させると思われる; - カシリビマブ/イムデビマブは、COVID-19の感染者数およびCOVID-19症状の発現を抑制し、好ましくない影響(重症度を問わない)の発現を抑制する。 モノクローナル抗体とは何か? 病気から身を守るために、体は抗体を作る。しかし、病気より回復した人から採取した細胞から人工的に作ることもある。 特定の1つのタンパク質のみを標的とする抗体が「モノクローナル抗体」である。この場合、SARS-CoV-2ウイルス(COVID-19の原因)のタンパク質である。それらはウイルスに付着して、ヒトの細胞内への侵入や複製を阻止し、感染を予防し撃退する。それらは予防接種に反応しない人、反応が悪い人に関係する。 何を知りたかったの...

なぜ認知症診断の向上が重要なのか?

2 years 6 months ago
なぜ認知症診断の向上が重要なのか? 認知症とは、日常生活における記憶、物事への取り組み、または機能などに進行性の問題が生じる、脳の疾患群のことを指す。医師は認知症の診断のために様々な検査を行う。認知症を疑わせる症状で医療機関を受診してから、認知症と診断されるまでに長い時間がかかることがよく報告されている。 認知機能障害とは、認知症の方だけでなく、年齢的に脳の機能が低下しているが、認知症ではない方も含む、より広い意味の用語である。認知症でない認知機能障害者の中には、軽度認知障害(MCI)と呼ばれる状態にある人もいる。MCIの人の中には、時間が経つにつれて認知症を発症する人もいる(全員ではない)。 レビューの目的 このレビューは、プライマリケアにおける認知症、および認知機能障害の診断における総合診療医(GP)の臨床判断の診断精度を検討した。 レビューでは何を調べたのか? 診断精度に関する完全なデータを有する10件を含む11件の研究からの抽出データを対象とした。合計2,790人を対象とした8件の研究を統計的要約に含め、そのうち826人(30%)が認知症であった。診断する状態として認知機能障害を調査した4件の研究を対象とし、合計1,497人のうち594人が認知機能障害(40%)であった。 レビューの主な結果は何か? レビューの結果、理論的には、総合診療医が認知症の診療において臨床判断を行...

入院中の子どもや若者の睡眠を薬を使わずに促進する方法(非薬物療法)

2 years 6 months ago
入院中の子どもや若者の睡眠を薬を使わずに促進する方法(非薬物療法) 主な結果 入院中の子どもや若者に対して、薬物以外の睡眠促進方法がどの程度有効なのかは不明である。 入院中の子どもや若者を対象に、薬物以外の睡眠促進について調査し、効果のある方法を特定するために、確立された信頼性の高い研究方法を用いた研究が必要である。 入院中の子どもにとって、なぜ睡眠が大切なのか? 睡眠は、子どもの健全な発育に重要な役割を果たし、子どもの健康維持に役立つ。睡眠パターンは、子どもの脳の発達に伴い、子ども時代を通じて変化する。子どもが病気になり入院すると、騒音や光、医療行為、看護師による監視、ストレス、痛みなどで、睡眠の質が低下したり、睡眠が妨げられたりすることがある。 入院している子どもの睡眠を改善しようと薬を使うこともあるが、特に効果がなく、睡眠の質を悪化させることもあるという研究結果が出ている。薬以外の方法で睡眠を促進することも可能である。その方法としては、病院の環境を変える、音楽をかける、マッサージをするなどが考えられる。 知りたかったこと 入院している子どもたちに対して、睡眠を改善しようとする薬以外の方法が、通常のケアや他の方法よりもうまくいくかどうかを調べたいと考えた。 これらの異なる方法が以下の項目に対してどの程度有効なのかを調べたいと考えた。 - 子どもたちの睡眠の質と量; - 子ども...

全身投与のヤヌスキナーゼ阻害剤は、COVID-19の患者にとって有効な治療法か?

2 years 6 months ago
全身投与のヤヌスキナーゼ阻害剤は、COVID-19の患者にとって有効な治療法か? 要点 入院患者におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)に対して、全身投与のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤は、死亡数が少なく、臨床的な悪化率が低いことから、有効な治療であると結論づける6件の研究を特定した。それらのエビデンスの確実性は中等度から高度であった。全身投与のJAK阻害剤の評価は13件の試験で進行中であり、さらに9件の試験では結果の公開待ちの状態である。それらの結果が利用可能になったときに、このレビューを更新して結論を変更する可能性がある。 JAK阻害剤とは何か? JAK阻害剤は、時に問題となる免疫システムの特定の部分の活動を阻害する薬である。これらは経口投与(全身投与)され、通常、免疫系が身体そのものを攻撃する自己免疫疾患を患っている人が服用する。JAK阻害剤は吸入での投与も可能であるが、今回は対象としていないため、レビュー全体を通して「全身投与のJAK阻害剤」と表記した。 JAK阻害剤はCOVID-19をどのように治療するのか? COVID-19では、時に免疫系が過剰に反応し、重篤な経過をたどることがある。JAK阻害剤は、免疫系の一部を阻害することで、臨床的な悪化を防ぐことができる。 何を知りたかったのか? COVID-19の患者に対して、通常のケアに加えて全身投与のJAK...

喘息がある人が処方通りに薬を服用するのに役立つデジタル技術

2 years 6 months ago
喘息がある人が処方通りに薬を服用するのに役立つデジタル技術 臨床疑問の背景 喘息は、世界中で最も一般的な長期疾患の一つである。症状を抑えるために、ステロイドを含んだ吸入薬など有効な薬がある。しかし、最良の効果を得るために、維持療法では処方箋通りに薬を服用する必要がある。多忙なスケジュールや、薬は短期間しか必要ないという考えから、薬を飲まない人が多くいる。これはノンアドヒアランス(不遵守)と呼ばれ、より多くの症状や発作を引き起こす可能性がある。ノンアドヒアランス(不遵守)は健康上の大きな問題であり、アドヒアランスを達成することは、発作の予防や死亡リスクの低減のために非常に重要である。ヘルスケア分野では、携帯電話やテキストメッセージ(SMSやメール)、服薬に関する情報をフィードバック(軌道修正を促すこと)できる「スマート(システムが内蔵された)」吸入器など、デジタル介入の利用が増加している。しかし、これらの技術が喘息の服薬改善や症状改善に有効であるかどうかについては、限られたエビデンスしかない。 このレビューでは、デジタル技術が本当に喘息の服薬改善に効果があるのか、また、この服薬改善の効果が喘息症状の改善やその他のメリット(利益)につながるのかを明らかにすることを目的とした。 研究の特徴 検索の結果、喘息を抱えた15,000人以上の大人と子どもを含む40件の研究が見つかった。研究期間...

成人のがん疼痛治療薬オキシコドン

2 years 6 months ago
成人のがん疼痛治療薬オキシコドン 背景 がん患者の多くは、オピオイドに分類される強力な鎮痛薬による治療を必要とする中等度から重度の痛みを経験する。 オキシコドンおよびモルヒネは、このオピオイド系鎮痛薬であり、がん疼痛(がんによる痛み)を和らげるために使用される。しかし、強力な鎮痛薬がすべての人の痛みに必ず効くわけではなく、またそのような薬は誰に対しても忍容性(薬に耐えられること)が良好というわけではない。本レビューでは、成人のがん疼痛に対して、オキシコドンが他の強力な鎮痛薬よりも痛みの緩和に優れており、副作用が少ないと考えられるかどうかを評価することを目的とした。 研究の特性 この更新版では、2021年11月の時点で追加の研究19件が見つかった。合計では、研究42件、参加者4,485人をレビューの対象とした。いずれの研究も、鎮痛作用(有益性)と副作用(有害性)について、さまざまな種類のオキシコドンを相互比較するか、オキシコドンを他の強力な鎮痛薬と比較していた。 主な結果 全体として、レビューの対象とした研究では、4~6時間ごと(即放性)または12時間ごと(徐放性)に服用したオキシコドン製剤の間に差は認められなかった。同じく全体として、対象とした研究では、モルヒネなど他の強力な鎮痛薬とオキシコドンの間に差は認められなかった。 各研究で検討された強力な鎮痛薬のいずれにも、嘔吐、便秘、...

パーキンソン病における転倒予防のための介入

2 years 6 months ago
パーキンソン病における転倒予防のための介入 レビューの論点 本レビューでは、パーキンソン病(PD)患者の転倒を減らすために設計された介入の効果に関するエビデンスを評価した。介入方法は、運動、薬物療法、転倒予防教育、運動と教育を組み合わせたものであった。意識消失(めまいや失神など)による転倒を減らすことを目的とした介入は除外した。本レビューのエビデンスは、2020年7月16日現在のものである。 背景 パーキンソン病(PD)の患者において、頻繁に起こる転倒の出現は最も深刻な病気の進行過程の一つである。効果的な転倒予防策に関する情報は、転倒予防のための介入の実施に役立てることができる。 研究の特性 3,370人の参加者を含む32件の無作為比較試験を対象とした。このうち、2,700人の参加者を含む25件の試験は運動による介入試験であった。242人の参加者を含む3件の研究は、薬物療法による試験であった。53人が参加した1件の試験は、教育による試験であった。375人が参加した3件の研究は、運動と教育を併用した試験であった。全体として、運動単独および運動と教育を併用した研究は、軽度から中等度のPDの人々を対象としていた。 主な結果 12件の研究では、運動と転倒を減少するとは考えられない対照となる介入を比較していた。運動は、おそらく転倒の数を約26%減らすことができる。運動は、おそらく1回以上の...

COVID-19パンデミックを抑制するための学校での対策の予期せぬ結果

2 years 6 months ago
COVID-19パンデミックを抑制するための学校での対策の予期せぬ結果 なぜこの論点が重要なのか? COVID-19の原因となる感染力の強い呼吸器系ウイルスSARS-CoV-2の蔓延を防止・抑制するため、世界各国では多くの公衆衛生および社会的な対策がとられている。学校や地域社会では、SARS-CoV-2の感染を最小限に抑えるため、さまざまな対策が実施されている。学校は、近接した人々の間で長時間の交流が行われるため、ウイルスの感染率が高い環境となる可能性がある。前回のレビューでは、SARS-CoV-2感染に関する学校での対策の有効性に関する研究を探し出し、検討した。政策立案者や保護者が十分な情報を得た上で決断できるように、健康や社会に及ぼす予期せぬ影響に目を向けることも同様に重要である。公衆衛生対策の予期せぬ影響は、有益な場合もあれば有害な場合もある(あるいはその両方が混在する場合もある)。公衆衛生対策は益と害を混在させる可能性がある。本レビューでは、学校におけるSARS-CoV-2の感染拡大を防止・抑制するための対策が予期せぬ影響をもたらしたかどうかを検証することを計画した。そのため、本レビューは、そうした対策の有効性に関する前回のレビューを補完するものであると考えられる。 本レビューで行ったことは何か? 最初に、学校(小学校、中学校、またはその両方)で実施されているウイルス感染...

川崎病の治療に副腎皮質ステロイドを使用すること

2 years 6 months ago
川崎病の治療に副腎皮質ステロイドを使用すること 要点 副腎皮質ステロイド(薬)(以下、ステロイド)は、重要な副作用を引き起こすことなく、川崎病後の心臓疾患のリスクを軽減すると思われる。また、症状(発熱や発疹)の長さ、入院期間、体調不良に伴う血液検査結果の異常を減らすことができる。 川崎病とはどのような病気で、どのように治療するのか? 川崎病は、血管に炎症が起こる病気である。川崎病の治療薬としては、静脈内投与の免疫グロブリン製剤(IVIG)やアスピリンなどが標準的である。この治療法は通常効果的であるが、すべての子どもに効果があるわけではない。現在、川崎病に関する病態は不明な部分があり、どのように対処するのが最善であるかは分かっていない。川崎病は、長期的には心臓に影響を及ぼし、命を縮める危険性があるため、この病気に対する治療は重要である。 本レビューで行ったことは何か? 川崎病の子どもたちにステロイド(薬)を投与し、将来の心臓病の可能性を減らすかどうかを調べたランダム化比較試験を探した。また、発熱期間、血液中の感染徴候、入院日数への影響も調査した。ランダム化比較試験では、人々が受ける治療や検査が無作為に決定されるため、通常、治療効果について最も信頼できるエビデンスが得られる。 レビューの結果 川崎病の小児患者を対象に、ステロイド(薬)の使用と非使用を比較した、1,877人が参加した8...

妊娠初期に中絶をするための薬物療法は有効か、また好ましくない影響があるか?

2 years 6 months ago
妊娠初期に中絶をするための薬物療法は有効か、また好ましくない影響があるか? 要点 - 薬による中絶は、妊娠12週までの妊娠を終了させる安全で効果的な方法である。 - ミフェプリストンとミソプロストールの併用は、これらの薬を単独で使用するよりも効果的である。 - ミソプロストールは、口から飲むよりも腟に入れた方が効果的で、舌の下や頬に入れるよりも不快感がない。 薬による中絶とは? 薬による中絶は、1種類以上の薬を単独で、あるいは組み合わせて用いて、妊娠を終わらせる。最も一般的な薬は、プロスタグランジンやミフェプリストンというホルモン剤である。その他、抗がん剤の一種であるメトトレキサートや、エストロゲンというホルモンの産生を抑えるレトロゾールなどの薬もある。これらの薬は、子宮頸部(子宮の入口)を柔らかくしたり、子宮を収縮させたりして、効果を発揮する。口から飲む、舌の下や頬に入れる、腟に入れるなどの方法がある。病院で看護師や医師が投与することも、女性が自宅で服用することも可能である。 薬による中絶の方法は、大量出血、痛み、吐き気、嘔吐、下痢などの望ましくない影響を引き起こす可能性がある。 中絶の失敗は、頻度は低いが、薬による中絶の重要な合併症である。初期の中絶のための薬は、すでに一部の国で広く利用されており、新しい薬も開発されている。 何を知りたかったのか? 妊娠初期(妊娠12週まで)...

尋常性乾癬と呼ばれる皮膚疾患の治療には、経口投与と注射のうち、どの薬が最も効果的か?

2 years 6 months ago
尋常性乾癬と呼ばれる皮膚疾患の治療には、経口投与と注射のうち、どの薬が最も効果的か? 要点 - 6か月の治療の後、「生物学的製剤」と呼ばれる薬が、皮膚の乾癬の斑点を消すために最もよく効くようである。 - 乾癬の治療のために注射または口から服用する薬による長期間の治療の利益と潜在的な有害性を評価するために、より長期間の研究が必要である。 - これらのタイプの医薬品を直接比較する、より多くの研究が必要である。 乾癬とは? 乾癬は、皮膚や、時には関節に影響を及ぼす免疫疾患である。乾癬は、新しい皮膚細胞の産生を早め、それが蓄積して「プラーク」と呼ばれる皮膚上の盛り上がった斑点を形成する。また、プラーク(局面)は、白い肌では赤く、黒い肌色では黒く見えることがある。 尋常性乾癬は、最もよくみられる乾癬である。 乾癬はどのように治療するか? 乾癬の治療法は、症状がどの程度ひどいかによって異なる。中等度または重度の乾癬患者の約10%~20%は、乾癬をコントロールするために、免疫系に作用する薬を服用する必要がある。これらの薬は全身に作用するため、全身治療薬と呼ばれている。これらは通常、口から摂取する(経口)か、注射で投与される。 コクランレビューを行った理由 乾癬には、3種類の全身用治療薬がある。 - 「生物学的製剤」-インターロイキンやサイトカインと呼ばれる生物学的標的(細胞の挙動に影響を与える...

運動ニューロン疾患における無意識な唾液の流出に対する治療法

2 years 7 months ago
運動ニューロン疾患における無意識な唾液の流出に対する治療法 レビューの論点 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とも呼ばれる運動ニューロン疾患(MND)における唾液の流出に対する治療効果を評価した。 背景 無意識の唾液の流出(流涎)は、嚥下困難のために運動ニューロン疾患(MND)の多くの人々がもっている症状である。現在の流涎管理には、吸引、薬物治療のほか、唾液腺(耳下腺、顎下腺)へのボツリヌス毒素注射、唾液腺への放射線治療、唾液腺管を縛る手術などの侵襲的なアプローチが行われている。本レビューは2011年に発表された初回レビューの更新版である。 研究の特性 コクランレビューの著者は、本レビューに含めることができる4件の試験を特定した。 1件目は、運動ニューロン疾患(MND)の20人が左右の唾液腺にボツリヌス毒素またはプラセボ(ダミー治療)の注射を1回ずつ受けたものである。 2件目の研究では、ボツリヌス毒素と放射線治療を比較したが、盲検化(参加者もスタッフも、実際の治療が行われたのかプラセボが投与されたのかを知らない)はされていない。全ての結果は患者の意見が反映されているため、多少の不確実性がある。さらに、研究者は20人のグループで5回のボツリヌスと3回の放射線治療について検証しており、結果の解釈を困難にしている。 3件目の試験は、臭化水素酸デキストロメトルファンと硫酸キニジンの組み合わせで...

症状や診察でCOVID-19を正確に診断できるか?

2 years 7 months ago
症状や診察でCOVID-19を正確に診断できるか? 要点 このレビューに含まれる単一の症状または徴候は、COVID-19を正確に診断することができないという結果を示唆している。 - 味覚や嗅覚の喪失は、COVID-19の存在を示す「赤信号」である可能性がある。咳や発熱は、COVID-19である可能性のある人を特定するのに有効かもしれない。これらの症状がある場合には、さらなる検査を促すのに役立つかもしれない。 - 最近の接触歴や旅行歴、ワクチン接種の有無など、他の情報と症状や徴候の組み合わせについて、小児や65歳以上の成人を対象に、さらに研究を進める必要がある。 COVID-19の症状や兆候は? 症状は患者が経験するものである。軽度のCOVID-19の患者は、咳、喉の痛み、高熱、下痢、頭痛、筋肉や関節の痛み、倦怠感、嗅覚や味覚の喪失などを経験することがある。 徴候は、医療従事者は診察時に測定する。このレビューで調べたCOVID-19の徴候には、肺音、血圧、血中酸素濃度、心拍数が含まれている。 COVID-19の症状や徴候は、自分や接触した人が自宅で隔離すべきか、ベッドサイドで行われる(小型の医療機器で行われる)迅速簡易検査やPCR(実験室ベースのテスト)で検査すべきか、入院すべきかを知るために重要かもしれない。 何を知りたかったのか? COVID-19の症状や徴候は様々で、COVI...

成人における慢性の神経痛(神経障害性疼痛)に対するクロニジンの塗布

2 years 7 months ago
成人における慢性の神経痛(神経障害性疼痛)に対するクロニジンの塗布 要点 糖尿病による手足の痛み(有痛性糖尿病性神経障害)に対するクロニジンの外用(皮膚への塗布)による治療方法を支持する確実性の高いエビデンスは見つからなかった。また、他の慢性の神経痛を伴う疾患への応用についてのエビデンスは見つからなかった。 何を行ったのか? 神経痛(神経障害性疼痛)を持つ患者において、クロニジンの皮膚への塗布(クロニジン外用薬)がどのように作用するかを調べるため、メディカルデータベース、論文中の参考文献、レジストリ(患者のデータベース)や臨床試験が検索された。また、この分野の専門家にも協力が仰がれた。2人の査読者により、それぞれに文献の適格性の審査、データの抽出、およびバイアス(偏り)のリスク評価が行われた。また、必要な場合には、文献の著者に連絡が取られ、追加の情報提供が求められた。 どのような結果が得られたのか? 検索の結果、4件の研究が特定され、レビューが行われた。研究期間は8週間から85日間で、合計743人の有痛性糖尿病性神経障害を有する被験者が対象となった。研究では、ゲル状にしたクロニジン(0.1%または0.2%)を1日2~3回、痛みのある部位に塗布した場合に対し、3件の研究においてプラセボ(偽の治療)を行った場合とが、また、1件の研究において、カプサイシンの塗布を行った場合とが比較され...

生殖補助医療で妊娠を試みる場合、胚を子宮に移植するのは3日目と5日目のどちらがよいか?

2 years 7 months ago
生殖補助医療で妊娠を試みる場合、胚を子宮に移植するのは3日目と5日目のどちらがよいか? 背景 不妊症のため、医学的な治療を行わなければ妊娠・出産する可能性が低い女性やカップルは少なくない。妊娠の可能性を高めるために、女性の体外で卵子や精子を操作する体外受精(IVF)などの、さまざまな生殖補助医療技術(ART)が開発されてきた。 通常、受精を助けるために、医師が女性から卵子を採取し、実験室で精子と受精させ、胚を形成させる。胚とは、ヒトの発生の初期段階を指す。医師は通常、「卵割期」か「胚盤胞期」のいずれかの発生段階にある胚を1~数個女性の子宮の中に移植する。「卵割期」は、採卵後2~3日で胚は2~128個の細胞からなる。「胚盤胞期」は、採卵後5~6日で胚は70~100個の細胞からなる。 最近まで、より早い段階である卵割期の胚を移植するのが一般的であった。しかし近年は、より遅い胚盤胞期の胚を移植する傾向にある。研究者たちは、生存力がある胚だけが胚盤胞期まで進む、言い換えれば生存可能な胚が自己選択される、と考えている。そのため、より遅れた時期に胚を移植すれば、女性が妊娠し、健康な赤ちゃんを産む可能性を高めることができるかもしれない。 レビューの論点 卵割期(採卵後2~3日目)と胚盤胞期(採卵後5~6日目)のどちらの時期に女性の子宮に胚を移植するのが良いか、以下の点において検討したかった。 ...

大腸がん患者の手術に備えた複数の介入

2 years 7 months ago
大腸がん患者の手術に備えた複数の介入 本レビューの目的 本レビューの目的は、大腸がんの手術前の期間に導入される複数の介入が、患者の全体的な体力を高めて患者の身体的な準備を整え、その結果、手術後の経過を改善できるかを明らかにすることにある。本テーマについて利用可能な全ランダム化対照試験を収集し、分析した。 主な結果 このレビューの対象基準を満たした研究は3件にとどまり、全評価項目について情報が得られず、エビデンスの確実性は全体的に非常に低いから中等度であった。このテーマに関するエビデンスを収集するには、さらに多くの大規模な研究が必要とされる。 本レビューで検討された内容 早期の大腸がんと診断された患者の治癒を目的として手術が行われることが多い。ただし、手術は患者の総合的な体力に負担がかかる。患者は体力が低下することによって、日常生活動作の依存度が高くなり、QOL(生活の質)が低下する。また、術後に合併症が発生し、体力がさらに低下することもある。手術前の介入として、運動プログラム、栄養アドバイスや栄養補助食品、精神面の支援などを行うと手術前に患者の体力向上につながる可能性がある。この考え方は「プレハビリテーション(術前リハビリテーション)」と呼ばれている。手術による負担が軽減され、結果的により早くより良い回復が可能となる。このような手術前の介入を複数組み合わせると、各介入が他の介入の...

中絶時、または経過観察時の子宮内避妊システムの挿入

2 years 7 months ago
中絶時、または経過観察時の子宮内避妊システムの挿入 レビューの論点 中絶時に子宮内避妊システム(IUS)を挿入した場合と、中絶後の経過観察時に挿入した場合の開始率、効果、副作用を比較した。 背景 子宮内避妊システムは、可逆的で長期間妊娠を防ぐことができる、非常に有効な避妊方法である。この方法は、手術や子宮内容物の排出によって妊娠が終了した女性も含め、ほとんどすべての女性に適している。多くの女性が中絶後に経過観察のための診察を受けず、避妊の普及率も低いため、中絶の診察時に子宮内避妊システムを挿入することは、検討に値する有望なアプローチと言える。 研究の特徴 2021年3月までのランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のいずれかにランダムに割り付ける試験)を検索した。中絶のための診察時に子宮内避妊システムを挿入することと、経過観察のために女性が受診した時に挿入することで、この避妊法の使用に影響が出るかどうかを調べた。中絶後に子宮内避妊システムで避妊することを選択した女性計1,162人を対象に、中絶時または経過観察時の挿入に割り付けた3件の研究を対象とした。 主な結果 子宮内避妊システムを中絶時に挿入した場合、子宮内避妊システムの使用率が高くなる可能性がある。中絶時の挿入はおそらく子宮内避妊システムの開始を改善することを示唆するエビデンスがある。一方、中絶時に挿入することで、6か月...

理学療法は複合性局所疼痛症候群の成人の痛みと障害を改善するか?

2 years 7 months ago
理学療法は複合性局所疼痛症候群の成人の痛みと障害を改善するか? 要点 理学療法が複合性局所疼痛症候群(CRPS)に伴う痛みや障害を改善するかどうかは、非常に不確かである。 特定した臨床試験は以下の点において、非常に不確かであった: - 実施または報告が不十分であった(あるいはその両方); - 少数の複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者を対象にした; - さまざまな種類の理学療法で介入試験をした; - 特定の理学療法を調査した試験の数が限られていた。 理学療法が好ましくない副作用を引き起こすかどうかは非常に不確かであり、これを明らかにするためにはより多くのエビデンスが必要である。 理学療法が複合性局所疼痛症候群(CRPS)に伴う痛みや障害を改善するかどうか、さらに調査するために質の高い臨床試験が必要である。 成人の複合性局所疼痛症候群の痛みと障害の治療 複合性局所疼痛症候群は、外傷や手術後に発症し、大きな痛みと障害を伴う疾患である。複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、特定の神経損傷がないI型(CRPS I)と、特定可能な神経損傷があるII型(CRPS II)に分類される。ガイドラインでは、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の治療の一環として理学療法によるリハビリテーションを取り入れることが推奨されている。複合性局所疼痛症候群(CRPS)に対する理学療法には、運動療法、疼痛管理、徒手療...
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