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マインドフルネスによる医学生および若手医師の精神的健康状態(ウェルビーイング)の改善

2 years 4 months ago
マインドフルネスによる医学生および若手医師の精神的健康状態(ウェルビーイング)の改善 なぜこのレビューが重要なのか? 医療の専門職は、そのやりがいと過酷さが認識されている。医学生や若手医師は、研修期間中に個人的・職業的なストレス要因が増加することが知られている。その結果、彼らの精神的健康(ウェルビーイング)への負担は大きくなる。医学生や若手医師の精神的な健康をサポートすることは、彼らの健康全般のバランスを確保し、また患者のケアや患者の安全という彼らの責務を支援するために、重要である。さらに、医学生や若手医師は時間に余裕がないことが多い。したがって、マインドフルネス(今の心に意識を向けること)がその時間的な拘束を正当化できるほど効果的な介入であるかどうかを検証することが重要である。今回の対象者に対するマインドフルネスを検証したコクランレビューは、これまでなかった。 このレビューに関心をもつ人は誰なのか? 医学生や若手医師、研修レベルや専門性の異なる他の医療従事者、医学生の教育や研修に携わる大学や病院などの機関である。 このレビューでわかることは何か? マインドフルネスに基づく心理的介入は、医学生や若手医師の精神的健康状態にどのような効果をもたらすか? このレビューにはどのような研究が含まれたか? 2021年10月までに発表された、医学生と若手医師を対象としたマインドフルネスに関する...

出血傾向がある、または出血性疾患のキャリアである女性における、出産後の母児のアウトカムに関する自然経腟分娩と帝王切開分娩の比較

2 years 4 months ago
出血傾向がある、または出血性疾患のキャリアである女性における、出産後の母児のアウトカムに関する自然経腟分娩と帝王切開分娩の比較 レビューの論点 出血性疾患やそのキャリアである女性における、自然経腟分娩あるいは帝王切開分娩で出産した後の母児のアウトカムに関するエビデンスを調べた。これは、以前に公開されたレビューの更新版である。 背景 出血性疾患がある女性とそのキャリアの女性の最も安全な出産方法を検討し、それぞれの方法で出産時に母児に起こりうる問題を評価したいと考えた。 検索日 このレビューにおけるエビデンスは、2021年6月21日現在のものである。 主な結果 出血性疾患の女性における、最も安全な出産方法(自然経腟分娩と帝王切開との比較)や出産時に母児に起こりうる問題を検討した、ランダム化または準ランダム化比較試験は見つからなかった。出血性疾患の希少性や妊娠中に試験を行うことの難しさを考えると、将来的にもランダム化比較試験が行われる可能性は低いと思われる。そのため、臨床医は低レベルのエビデンスを用いて治療法を決定しなくてはならないだろう。 訳注:  《実施組織》 杉山伸子、小林絵里子 翻訳 [2022.02.16]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連...

急性痛風発作に対する非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果

2 years 4 months ago
急性痛風発作に対する非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果 急性痛風発作とは何か、NSAIDsとは何か? 痛風は、尿酸一ナトリウム結晶が関節の内部またはその周辺に沈着したために起こり、通常、自然に治癒する急性関節炎のエピソード(発作)として現れる。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は痛みと炎症を抑える薬だが、胃腸の潰瘍や出血のリスクを高める恐れがある。シクロオキシゲナーゼ(COX)‐2選択的阻害薬(COXIBs)はNSAIDsの一種だが、胃潰瘍を起こしにくい。 研究の特徴 本レビューは、2014年に初めて公表され、2020年8月28日に更新されたコクラン・レビューのアップデート版で、28件の試験(参加者3,406人)の結果を反映している。参加者の大半(69%から100%)は男性で、年齢は44~66歳、急性痛風発作の持続時間は48時間未満だった。 これら試験のうち、1件(参加者30人)はプラセボ(偽薬)とNSAIDを、13件(参加者518人)は1つのNSAIDと別のNSAIDを、6件(参加者1,244人)はNSAIDsとCOXIBsを、5件(参加者772人)はグルココルチコイドとNSAIDsを、1件(参加者225人)はインターロイキン‐1阻害薬とNSAIDsを、1件(参加者163人)は鍼治療と赤外線照射を併用した場合とNSAIDsを、そして1件(参加者399人)はコルヒ...

臨床試験における新しいモニタリング戦略

2 years 4 months ago
臨床試験における新しいモニタリング戦略 論点 新しいモニタリング戦略が、モニタリングの所見、参加者の募集、参加者のフォローアップ、臨床試験における資源の使用などに及ぼす影響に関するエビデンスをまとめた。また、検証された戦略のさまざまな構成要素と、プロセス評価から得られた質的なエビデンスをまとめた。 背景 臨床試験のモニタリングは、参加者の安全性と結果の信頼性を確保するために重要である。診療のモニタリングのために新しい方法が開発されているが、患者の権利と安全、試験結果の品質保証の観点から、既存の方法に劣ることなく有効性が向上するかどうか、これらの新しい方法についてさらなる評価が必要である。臨床試験においてこの疑問を検証した研究、すなわち、臨床試験で使用される様々なモニタリング戦略を比較した研究のレビューを実施した。 研究の特性 国内試験や大規模な国際試験を含む幅広い臨床試験において、様々なモニタリング戦略を対象とした8件の研究を対象とした。これらは、一次(一般)、二次(専門)、三次(高度専門)医療施設で行われたものである。研究規模は32人から4371人、施設数は1施設から196施設であった。 主な結果 本レビューでは、5つの比較を特定した。1つ目の比較として、リスクベース(試験の質や安全性に影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、評価をすること)のモニタリングと広範な現場でのモニタ...

精神病性うつ病の薬物療法

2 years 4 months ago
精神病性うつ病の薬物療法 精神病性うつ病とは、精神病的な特徴(妄想や幻覚など)を伴う重度のうつ病のことである。精神病性うつ病に対する最も効果的な薬物治療は、抗うつ薬単独、抗精神病薬単独、あるいは抗うつ薬と抗精神病薬の併用のいずれかであり、不確実性が高い。 このレビューの目的は、精神病性うつ病の治療に用いられてきたさまざまな形態の薬物治療の有効性を比較することである。そのために、すべてのランダム化比較試験(RCT)を分析した。12件のRCTが組み入れ基準を満たした。これらの試験には、合計929人が参加した。 これらの試験から、精神病性うつ病に対して、抗うつ薬と抗精神病薬の併用が、どちらか一方の治療のみの場合よりも有効であるというエビデンスが得られた。しかし、これらの情報は少数のRCTから得られたものであり、少数の人を対象としたものであるため、この結論に対する確信は限られている。さらに、RCTによって対象者のタイプが異なり、これらの試験はデザインも異なるため、自信を持って結果を一般化することはできない。 訳注:  《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳 [2021.12.14]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコ...

根治目的の手術後または放射線治療後の I~III期 非小細胞肺がんに対する免疫療法の延命効果

2 years 4 months ago
根治目的の手術後または放射線治療後の I~III期 非小細胞肺がんに対する免疫療法の延命効果 レビューの論点 生体の免疫システムはがん細胞を攻撃する。免疫システムを助ける治療法(免疫療法)は 、根治を目的とした手術または放射線治療を受けた非小細胞肺がん(NSCLC)患者の生存期間を延長するか。 背景 根治を目的とした手術または放射線治療を受けたNSCLC患者の多くが、もともとあったがんが肺に再発するか、あるいは体の別の部位に転移して最終的には死に至る.。免疫療法によって患者の余命が長くなるかどうかを検討した試験は長年の間に数多くあり、効果を示した試験もあれば、示さなかった試験もあると思われる。 研究の特性 4つのコンピュータデータベースと5つの臨床試験登録から2021年5月19日までの試験を検索した。患者が異なる治療法に無作為に割り付けられており(ランダム化比較試験、RCT)、腫瘍検体検査により確定診断された早期NSCLC(I ~III期)の成人(18歳以上)を対象としたあらゆる試験を検索した。その結果、手術または根治的放射線治療を受けた計5,000人を超える患者が免疫療法群あるいは無治療群のいずれかに無作為に割り付けられたRCT 11件が抽出された。 主な結果 免疫療法は主にワクチンをベースとする(宿主の免疫システムを活性化して、腫瘍特異抗原に対するヒト免疫応答の誘導を目的とす...

軍人や第一線の救急隊員が実際の配備前に行うレジリエンス構築プログラムは、どのような効果があるか

2 years 4 months ago
軍人や第一線の救急隊員が実際の配備前に行うレジリエンス構築プログラムは、どのような効果があるか 軍人や第一線の救急隊員は、トラウマになりそうな出来事を目撃すると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やその他のトラウマに関連した心理的困難に陥る危険性がある。このような出来事には、けがや死亡を目撃したり、隊員がけがや死亡の危険にさらされる状況を経験することが含まれる。理論的には、このような種類のイベントに直面する前に、これら隊員の心理的な回復力を高めることで、心的外傷後の苦痛の発生と重症度を軽減することができるかもしれない。本レビューでは、この種のレジリエンス構築プログラムのエビデンスを特定し、照合した。実験群と対照群を比較するデザイン(ランダム化比較試験(RCT)/クラスターRCT)を用いた研究のみをレビューの対象とした。6,774件以上の記録がスクリーニングされ、28件の研究がレビューの対象として選ばれた。このレビューの対象となったプログラムは、それぞれ異なる理論(「理論的方向性」)に基づいており、提供方法も異なっていた(例:オンライン/オフライン、グループベース/個人ベース)。このようなプログラムが、心理的ストレスの症状に対する回復力を高め、重大事件後のPTSDの診断を防ぐことができるという主張を裏付けるには、まだ十分なエビデンスがない。とはいえ、既存のエビデンスの基盤には限界が...

成人の慢性疼痛の治療における電気的脊髄刺激・後根神経節刺激の利点とリスクは何か?

2 years 4 months ago
成人の慢性疼痛の治療における電気的脊髄刺激・後根神経節刺激の利点とリスクは何か? この研究疑問が重要である理由 持続的な(慢性的な)痛みは、あらゆる立場の人に共通する問題である。さまざまな疾患が原因となり、時には原因不明の場合もあるが、多くの場合、大きな苦痛、悩み、障害をもたらし、その人の生活の質に大きな影響を与える。 埋め込み型脊髄神経調節法(SNMD)は、神経や脊髄の周囲の空間にワイヤー(電極)を外科的に埋め込み、通常は患者の皮下に埋め込まれる「パルスジェネレータ」装置に接続する。神経や脊髄に電気刺激を与える。この刺激は、脊髄や脳に送られる危険なメッセージを妨害することで、痛みを感じにくくすると考えられている。一旦、SNMDを装着すると、人々はそのデバイスを装着したまま生活することになり、場合によっては永続的に使用することになる。これらの介入が、痛み、障害、薬の使用を減らし、生活の質を向上させるのに有効であるかどうか、また、これらの介入が引き起こす可能性のある合併症のリスクとタイプを調べるために、エビデンスを検討した。SNMDには大きく分けて、脊髄の近くに電極を置く「脊髄刺激(SCS)」と、脊髄から神経が分岐する神経根の近くに電極を置く「後根神経節刺激(DRGS)」の2種類がある。 どのようにしてエビデンスを特定し、評価したか まず、医学文献に掲載されているすべての関連研究を...

デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対する抗酸化物質の予防効果

2 years 4 months ago
デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対する抗酸化物質の予防効果 レビューの論点 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者の呼吸障害の悪化を防ぐための抗酸化物質の効果(有益性と有害性)は? 背景 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、幼少期に筋力低下の兆候が見られ、時間の経過とともに悪化していく遺伝性疾患である。呼吸に使われる筋が悪化することで、息切れが起こり、人工呼吸器(呼吸をサポートする機械)が必要になる。筋力の低下や呼吸機能の低下を遅らせるために抗酸化物質による治療が、提案されている。 研究の特徴 2021年3月23日までのエビデンスを検索した。呼吸に影響を与えたDMDの男児を対象とした2つの研究を含めた。いずれの試験も、抗酸化薬であるイデベノンとダミー薬を比較したものである。1件の研究は、10歳から18歳の66人の参加者を対象としていた。この研究の参加者は、コルチコステロイド(DMDに効果があるとされる薬)の投与を受けていなかった。もう一件の研究では、副腎皮質ステロイドを服用しているDMD患者255人を対象としていた。この研究は、有益ではないという理由で早期に中止された。この研究の全結果はまだ公表されていない。 研究の資金源 この研究は、イデベノンのメーカーであるSanthera Pharmaceuticals社がスポンサーとなっている。 主な結果 イデベノンは、努力性肺活...

睡眠中に発症した脳梗塞に対する2つの再開通療法の効果

2 years 4 months ago
睡眠中に発症した脳梗塞に対する2つの再開通療法の効果 レビューの論点 朝起きたときに、新たに発症した急性脳梗塞がわかった患者に対して、閉塞した血管を再開通させる治療(再開通治療)は有効だろうか? 背景 脳卒中の多くは脳の血管に血栓(血の塊)が詰まることによって起きる(虚血性脳卒中=脳梗塞)。これは世界中で死亡や身体障がいの主な原因のひとつとなっている。血栓溶解剤により詰まった血管を再開通させる治療(血栓溶解療法)や、血栓を取り除くための機器(血栓回収療法)は、できるだけ早く(発症から数時間以内に)血流を再開できれば、脳梗塞後の回復をよりよくする可能性がある。 脳梗塞のおよそ5件に1件が睡眠中に起きている(起床時脳梗塞)。睡眠中に起きた脳梗塞は、正確な発症時刻がわからないため、いままで血管再開通療法の適応外と考えられてきた。しかし、その中で特定の基準を満たす患者を選んで行った最近の複数の研究では、血管再開通療法が有益である可能性が示されている。 検索期間 2021年5月24日までに発表されたランダム化比較試験(参加者を2つかそれ以上の治療グループのどちらかにランダムに割り付けて行う研究方法のひとつ)を検索した。 研究の特徴 今回は合計980人を含む7件の試験を組入れた。睡眠中に脳梗塞となった患者775人を含む5件の試験では、静脈内投与による血栓溶解療法か、または対照群(プラセボ(疑...

気管支炎で入院中の小児に対する点滴と経鼻胃管または経口胃管による水分補給の比較

2 years 4 months ago
気管支炎で入院中の小児に対する点滴と経鼻胃管または経口胃管による水分補給の比較 レビューの論点 気管支炎の小児入院患者の水分補給には、栄養チューブと静脈カテーテルのどちらが適しているか? 背景 気管支炎は幼児によく見られる呼吸器系の感染症で、呼吸の努力性や粘液の分泌量が増えるため食事などによる口からの栄養補給が困難になる。口からの栄養補給が難しいと判断された場合、栄養チューブや静脈カテーテルを使って水分を与える方法がある。栄養チューブは、鼻や口から子どもの胃の中に挿入され、ミルクや補水液などの透明な液体を与えるために使用される。静脈カテーテルは静脈に挿入され、医療用の水分補給液を静脈内に投与する。ある水分補給の方法が他の方法よりも優れているかどうかは明らかではなく、気管支炎で入院した子どもたちがどの方法で水分補給を行われるかは、かなりのばらつきがある。今回のレビューでは、標準的なコクランの手法を用いて、栄養チューブまたは静脈カテーテルのいずれかに子どもを無作為に割り付け、2つの輸液療法の効果を比較した研究を特定した。本レビューは、ある方法が他の方法よりも優れているかどうかを検証することを目的とした。 検索期間 エビデンスは2021年3月8日現在のものである。 研究の特性 気管支炎で入院している子どもで栄養チューブの使用を静脈カテーテルの使用と比較した研究は2件しかなかった。対象と...

早産児の罹患率と死亡率を低下させるための経鼻的持続陽圧呼吸療法の圧レベル

2 years 4 months ago
早産児の罹患率と死亡率を低下させるための経鼻的持続陽圧呼吸療法の圧レベル レビューの論点 早産児に低圧あるいは中~高圧の経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行うことにより、健康に関する重要な評価項目にどのような影響を与えるか? 背景 早産児は、予定よりも早く生まれてくる。早産児は、正期産児に比べて肺が未熟で、部分的に虚脱する危険性がある。肺が虚脱すると、酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外に排出することが難しくなる。そのため、このような新生児には、気道に陽圧をかけて虚脱した肺を膨らませ、呼吸不全を防ぐための経鼻的CPAP療法が一般的に行われている。鼻マスクや鼻プロングを介して圧力をかける。経鼻的CPAPは、新生児集中治療室への入室時の初期呼吸補助として使用されるほか、人工呼吸器による機械的人工呼吸や呼吸チューブを抜いた後にも使用される。医療者はどの程度の圧力をかけるかを決める。この圧力の程度をCPAPレベルといい、単位は水柱センチメートル(cm H2O)で表される。圧力が十分でない場合も高すぎる場合も有害であり、どのCPAPレベルが最良の結果をもたらすかはまだ不明である。早産児の初期CPAPレベルを低レベル(5cmH2O以下)にすることと中~高レベル(5cmH2O以上)にすることの影響をまとめるために、医学文献を包括的に検索した結果、以下のような結果が得られた。 研究の特徴 検...

赤茶(ローゼル)による成人の血圧低下作用

2 years 5 months ago
赤茶(ローゼル)による成人の血圧低下作用 要点: ローゼルを摂取することで、高血圧症(高血圧)の人の血圧が下がるかどうかはわからない。 高血圧症の人がローゼルを摂取しても安全かどうか、心拍数や脈圧に影響を与えるかどうかはわからない。 何を知りたかったのか 私たちは、プラセボ(ダミー治療)や無治療と比較して、赤茶(ローゼル)が成人の高血圧患者の血圧を下げる安全で効果的な治療法であるかどうかを知りたいと思った。ローゼルにはアントシアニンと呼ばれる物質が含まれており、動物や人を対象とした研究では、血圧を下げる効果が認められている。 実施したこと 高血圧症の人を対象に、ローゼルをプラセボまたは無治療と比較した研究を検索した。 わかったこと 2型糖尿病と高血圧を有する60人の被験者を対象とした1件の研究を対象とした。参加者は、純粋なローゼルエキスのカプセルまたは乳糖を含むプラセボのいずれかを8週間にわたって摂取した。ローゼルが血圧に影響を与えるかどうかは定かではないし、この研究ではローゼルの安全性や心拍数の変化については報告されていない。 エビデンスの限界 少数の被験者を対象とし、全員が糖尿病を患っていた試験が1件だけ見つかった。様々なタイプの参加者や、ローゼルの摂取方法(形態、量、時間帯、使用期間)を変えた研究がさらに必要である。 このレビューの更新状況 本レビューは、前回のレビューを更...

外来で子宮鏡の検査を行う時に子宮腔を広げるために使用する物質

2 years 5 months ago
外来で子宮鏡の検査を行う時に子宮腔を広げるために使用する物質 レビューの論点 外来で行う子宮鏡検査の際に子宮腔を広げるにはどの物質が最適かを調べた。どの物質がより患者に受け入れられ、副作用が少なく、検査を実施する術者にとって満足度が高く、処置時間が短くなるかを確認した。 背景 子宮は中が空洞になっている器官である。子宮鏡とは、子宮内に挿入して子宮腔内を観察するための器具である。子宮腔内を観察するためには、その中を透明な物質で満たす必要がある。この物質は、液体(生理食塩水)であったり、気体(二酸化炭素)であったりする(訳者注:日本では、一般的に液体の灌流液が使用される)。液体の場合、体温と同じ温度に温めると患者の忍容性を高められることが示された。それぞれの物質には利点と副作用があり、ここではそれらを比較した。 研究の特徴 外来で子宮鏡検査を受ける合計1946人の女性を対象に、子宮を拡張するための物質を比較した12件のランダム化比較試験を特定した。エビデンスは2021年4月現在のものである。 主な結果 術中の痛みは、生理食塩水でも二酸化炭素でもほぼ変わらないかもしれない。強い痛みや鎮痛剤の使用が必要なために手術を中止する割合という点において、生理食塩水が二酸化炭素と同じ程度に許容されるかどうかははっきりしなかった。生理食塩水は、おそらく二酸化炭素よりも副作用が少ない。生理食塩水は、子...

集中治療や高度医療を行う病棟以外で入院治療を受けている成人患者のせん妄を予防するための非薬物的アプローチ

2 years 5 months ago
集中治療や高度医療を行う病棟以外で入院治療を受けている成人患者のせん妄を予防するための非薬物的アプローチ レビューの論点 集中治療室(ICU、重篤な患者を治療するための専門病棟)で治療を受けている人を含まない、入院中の成人患者のせん妄を予防するための非薬理学的(薬を使わない)アプローチに関するエビデンスを評価した。 背景 せん妄は、成人、特に入院中の高齢患者によく見られる重要な病気である。せん妄は時々「急性錯乱状態」と呼ばれる。典型的には、せん妄患者は変動する混乱状態が突然現れ、集中力、記憶力や思考力の低下、周囲の状況に対する認識の低下、眠気や焦燥感、落ち着きのなさ、そして通常は視覚的な幻覚(実際にはないものが見える)などをしばしば伴う。せん妄は本人やその家族にとって苦痛になり得る。また、入院中に死亡したり、入院期間が長くなったり、退院後に多くの医療が必要になるなどの合併症リスクも高まる。せん妄は、認知症の発症や悪化など、記憶力や思考力の永続的な悪化のリスクを高めるというエビデンスがますます増えている。 非薬理学的アプローチとは、薬を使わず、医療の他の側面に重点を置いたアプローチである。それらはせん妄リスクを低減する上で重要であることはすでに認識されているが、特にせん妄の一般的な危険因子のいくつかを対象とした複数要素介入はそうである。これらの複合的介入のうち、どの要素がせん妄の予...

神経内分泌腫瘍の治療選択肢

2 years 5 months ago
神経内分泌腫瘍の治療選択肢 レビューの論点 消化管および膵臓の神経内分泌腫瘍(NET)に対する治療法の安全性と有効性に関するエビデンスをレビューし、治療法の順位付けを行なった。 背景 NETは、多様な希少がんの総称であり、体のどこにでも発生する可能性がある。とはいえ、ほとんどのNETが消化管または膵臓から発生する。NETには多くの種類があり、増殖速度や症状もさまざまである。過剰なホルモンを分泌するNETがある一方、ホルモンを分泌しない、あるいは分泌しても症状が出るほどではないNETもある。治療の選択肢およびその組み合わせや順序は、腫瘍の種類、部位、悪性度、過剰なホルモン産生の有無によって異なる。 これまで、NETに対してどの治療が最も効果的で、有害事象が最も少ないかについて、明確な推奨ができなかった。そこで、入手可能な情報に基づき、統計的手法を用いてすべての治療法を相互に比較した。 研究の特性 2020年12月11日までに発表されたランダム化比較試験(RCT、参加者を治療群に無作為に割り当てる研究)22件、合計4,299人を対象とした。研究間では、腫瘍の部位(消化管および膵臓)、腫瘍の種類、対象患者数、治療法、研究の質に差があった。 主な結果 本解析では、消化管および膵臓NETのいずれでも、全般的にソマトスタチン様薬を含む併用療法の優位性が示唆された。しかし、膵臓NETでは、エベ...

病院における成人への投薬ミスを減らすための介入方法

2 years 5 months ago
病院における成人への投薬ミスを減らすための介入方法 臨床疑問の背景 薬剤有害事象(ADE)とは、薬剤に関連した医療介入によって生じる傷害のことである。ADEは、時に、投薬ミスと関連している。ADEや投薬過誤は、重要な損害、コスト、さらには死亡を引き起こす可能性がある。 投薬ミスを減らすための介入としては、患者の投薬指示と患者が服用していた薬を比較するプロセスであるMedication Reconciliation(薬物調整)がある。薬物調整は、電子処方システム、薬剤を正しく投与するためのバーコード、組織の変更、投薬ミスに関するフィードバック、専門家の教育、調剤システムの改善など、他の介入と一緒に行うことができる。 レビューの論点 病院環境で成人への投薬ミスを減らすための介入の有効性は? 入院患者(二次医療機関、三次医療機関、集中治療室、手術室)、外来患者、救命・救急部門を対象とした。 研究の特性 科学的研究のデータベースを検索した。65件の研究を対象とし、そのうち51件はランダム化比較試験であり、病院環境にある23,182人の成人を対象とした。残りの14件の研究は、介入の効果を評価するために介入の前後の長期的な期間を考慮した大規模な分割時系列研究で、87,000人以上の参加者を対象としていた。 エビデンスの確実性 我々は、含まれているエビデンスを評価して、その効果が真実であり、こ...

成人のうつ病に対するオメガ3脂肪酸

2 years 5 months ago
成人のうつ病に対するオメガ3脂肪酸 なぜこのレビューが重要なのか? 大うつ病性障害(MDD)は、憂鬱な気分、あらゆる活動に対する興味や喜びの顕著な低下を特徴とする。MDDは個人や社会に悪影響を与え、しばしば長期にわたる。MDDに対する有望な治療の1つがオメガ3油として知られるn-3多価不飽和脂肪酸(n-3PUFA)で、脂肪の多い魚やその他の魚介類、ナッツや種子類に含まれる。さまざまなエビデンスが、n-3PUFAが抑うつ症状に影響する可能性を示唆しているが、知見が異なる研究が多く、結論に達するのは困難である。 このレビューに関心をもつ人は誰か? 総合診療医、メンタルヘルスや精神科の専門医など医療従事者。MDD患者、患者の家族など。 このレビューでわかることは何か? MDDと診断された患者において、n-3PUFAは別の方法と比較して、抑うつ症状、好ましくない副作用、回復率、生活の質、研究からの脱落率に影響を及ぼすか? どのような研究がレビューに含まれたか? このレビューは、同じ手法を用いた以前の論文(Appleton 2015)を更新したものである。MDDと診断された成人にn-3PUFAまたは他の代替物を投与した、2021年1月までに完了したあらゆるランダム化比較試験について、科学的データベースを検索した。 35件の関連研究が含まれている。1,924人を対象とした34件の研究では、n...

脳卒中や時間の経過とともに悪化しない脳損傷(非進行性脳損傷)後のリハビリテーションをサポートするための環境エンリッチメントによる治療

2 years 5 months ago
脳卒中や時間の経過とともに悪化しない脳損傷(非進行性脳損傷)後のリハビリテーションをサポートするための環境エンリッチメントによる治療 背景 リハビリテーションは、脳卒中や、その他の非進行性の脳損傷に対して、セラピーを通じて回復を促す。しかし、セラピーの時間以外では、患者はほとんど刺激を受けることがない。環境エンリッチメントとは、リハビリテーションにおける比較的新しい概念で、環境そのものが魅力的で、運動やゲームのような身体的、思考的、社会的な活動を含むようにデザインされている。例えば、赤ちゃんのための保育園は面白くて刺激的かもしれないが、大人のための病院の環境は一般的にそうではない。環境のデザイン単独で、特別なリハビリテーションを更に多く実施しなくても活動を促せるように(強制ではなく)できたほうがいい。 レビューの論点 本レビューは、環境エンリッチメントを用いた治療が、他の治療法と比べて良いのか悪いのかを検討した。 検索期間 エビデンスは2020年10月26日までのものである。 研究の特性 対象者:脳卒中または非進行性の脳損傷(認知症、アルツハイマー病や多発性硬化症ではなく、外傷性脳損傷など)の成人 介入:環境エンリッチメントの介入は、通常、コンピュータやゲーム機器、音楽や読書など、複数の活動を含む 比較:環境への介入を、通常の治療(通常の理学療法、言語療法、作業療法)または代替療...

脳卒中患者とその介護者への情報提供

2 years 5 months ago
脳卒中患者とその介護者への情報提供 レビューの内容は何か? 脳卒中後の人への情報提供の効果に関するエビデンスを検討した。脳卒中や軽度の脳卒中(一過性脳虚血発作(TIA))を発症した人、またはその友人や家族などの介護者を対象にした。主に、脳卒中という病気そのものや脳卒中のケアに関する知識、気分、生活の質(QOL)への影響を調べた。 背景 脳卒中は、血液の供給不足により、突然、脳の機能が失われる病気である。脳卒中は、死亡や身体的・精神的な問題を引き起こす可能性がある。そして、その人の人生や周りの人に大きな影響を与える。 脳卒中の生存者とその介護者は、脳卒中について十分な情報を提供されなかったと訴えることが多い。また、退院後の生活の準備ができていないと感じることが多い。何も考えられなかったという人もいる。情報が説明されなかったり、間違ったタイミングで与えられることもあった。情報は、健康をよりよく管理し、脳卒中後の生活に適応するのに役立つかもしれない。 このレビューでは、多くの情報を与えられた方が良いのか悪いのかを検討した。また、情報の提供の仕方が重要かどうかも検討した。 研究の特性 5,255人の脳卒中患者と3,134人の介護者を対象とした33件の研究が見つかった。11件の研究では、リーフレット、DVD、病歴、個人用パンフレットにより、受動的に情報を提供された。22件の研究では、講演、...
Checked
22 hours 29 minutes ago
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