2 years 8 months ago
統合失調症患者に対する抗精神病薬の減量 要点 - 抗精神病薬の数を減らすと、薬効が無くなるなどの理由で早期に試験から離脱する参加者が増える可能性がある。 - 研究数や参加者の数が少ないため、確実な結論を出すことはできない。 背景 統合失調症は深刻な精神疾患である。この病気の人は、自分の考えや信念、思いと現実を区別するのに苦労している。例えば、頭の中で声が聞こえていても、本当に誰かに話しかけられているように感じられることがある。 主に抗精神病薬と呼ばれる薬で治療する。統合失調症の患者には、効果的な治療を実現するために、複数の抗精神病薬による治療が提供されることがよくある。抗精神病薬の使用は副作用と関係があり、異なる抗精神病薬が相互に作用して副作用を悪化させる可能性がある。 知りたかったこと 抗精神病薬の数を減らすことが、同じ数の抗精神病薬を使い続けることと比較して、以下の指標を改善するかどうかを調べたかった: - 生活の質(QOL) - 再入院者数 - 副作用により早期に試験を終了した人の数 - 日常生活動作 - 再発 - あらゆる理由による早期に試験を終了した人の数 - 副作用が1つでもある人の数 実施したこと 統合失調症患者において、抗精神病薬の数を減らすことと、同じ数の抗精神病薬を維持することを比較検討した研究を検索した。 研究方法や研究規模のような要因に基づいて、研究結果を...
2 years 8 months ago
生徒の健康を向上させるための学校ベースの方針と実践の改善 要点 - 学校やその職員は、支援する戦略が用いられた場合、生徒の健康的な食事、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための介入をより適切に実施することができる。 - 実施が支援されている学校ベースの介入は、生徒の健康的な食事、身体活動、肥満またはタバコの使用を改善する上で、わずかに効果が高い可能性がある。 - ほとんどの研究では、学校での介入策の実施を支援する戦略の経済的評価の報告や、考えられる有害作用の評価はなされていない。 知りたかったこと 生徒の食事、身体活動、不健康な体重増加、タバコやアルコールの使用に対処するための学校ベースの介入策の実施を支援するために、どのような戦略が有効であるかを知りたかった。また、費用対効果はあるのか、有害作用はないのか、などを知りたかった。戦略の例としては、品質向上のための方法、教育や訓練、学校の様子に関するフィードバック、注意書きや注意喚起、教育資源(マニュアルなど)などがある。 実施したこと 介入の実施を支援する戦略の使用したものとしていないものを比較した研究、あるいは2つ以上の異なる実施戦略を比較した研究について、以前に実施した検索を更新した。これらの研究は、生徒の栄養、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための学校での介入策の実施を支援するための戦略につ...
2 years 8 months ago
避妊のために用いる子宮内避妊用具(IUD)に関連した、月経過多や月経痛に対する薬 背景 女性が子宮内避妊用具(IUD)の使用を中止する最も多い理由は、月経時の出血量が多いことと痛みである。痛み止めやその他の薬、または他の方法で、IUDの使用に関連する出血や痛みを軽減できるかどうかを調べるためにレビューを行った。 研究の特徴 本エビデンスは2021年1月現在のものである。IUD使用に関連する月経過多や月経痛の治療や予防について調べた研究を対象とした。治療法は、その他の薬、無治療あるいはプラセボ(偽薬)と比較された。 主な結果 このレビューには、計3,689人の女性を対象とした21件の研究が含まれている。11件の研究では月経過多や痛みの治療について検討し、10件の研究ではその予防について検討していた。ほとんどのエビデンスは、参加者の少ない単独の研究から得られたものである。得られた研究結果は、確実性が乏しい。確実性が限定的になったのは、非常に少ない人数しか参加していない研究があったり、介入内容が多様であったり、研究の実施方法について明確な報告がなかったりするためである。 月経過多の治療 銅付加IUD ビタミンB1は、月経の出血がある期間、少量でも出血が認められる日数、1日あたりのナプキン使用枚数を減少させるかもしれない。メフェナム酸はトラネキサム酸と比較して、出血量を減らせるが、出血す...
2 years 8 months ago
入院中の高齢者の身体拘束を予防・軽減するための介入 検討した内容 身体拘束とは、人が動く自由を奪う道具のことである。ベッド柵、ベッドや椅子からの転落を防ぐベルト、椅子やベッドのベルト、固定テーブル、両手を自由に使えないようにするミトンなどである。国によっては、一般病棟で高齢者に身体拘束がごく普通に行われている。主な理由は、転倒や転落によるケガを防ごうとするため、あるいは点滴やチューブを抜かれるのを防ごうとするためである。また、身体拘束は、興奮状態や攻撃的な行動をとる人、人目を避けて病棟内を徘徊する人など、医療スタッフにとってケアを困難にし、危険を伴う可能性のある行動への対応として行われる。移動に問題がある高齢者や、認知症やせん妄による認知機能障害を持つ高齢者の入院治療で最もよく使用される。 身体拘束の使用が転倒やチューブ抜去の防止に有効かどうかは不明であるが、その使用は恐怖、怒り、不快の感情を増大させ、幸福感を低下させる可能性がある。身体拘束の使用によるその他の予期せぬ結果には、運動機能の悪化、褥瘡や失禁のリスクの増加、身体拘束の使用に直接関連する傷害などがある。そのため、身体拘束は入院中の高齢者の回復やリハビリテーションに悪影響を及ぼす可能性がある。ガイドラインでは、その使用を減らすか停止することが推奨されており、国によってはほとんどの状況で違法とされている。身体拘束の防止と削...
2 years 8 months ago
認知症治療薬(メマンチン)は自閉スペクトラム症の人に効くか? 背景 自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder: 自閉症)は、幼少期に発症する疾患である。主な症状は、社会的コミュニケーションの持続的な困難(例:前後の会話、言葉を使わないコミュニケーション、人間関係の構築・維持の困難)、反復的で制限された興味や行動(例:反復的な物言い、制限された興味や行動、変化に対する抵抗、感覚過敏など)である。およそ1%から2%の子供が自閉症である。自閉症の患者は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、不安、言語障害(例:文法の理解や使用が困難)、知的障害など、他の疾患を抱えていることが多い。自閉症は、生活の質、学業成績、社会的関係に悪影響を及ぼす可能性がある。メマンチンは従来から認知症の治療に使われている薬であるが、一部の研究では、中核となる自閉症症状を減少させる可能性が示唆されている。もし、メマンチンが自閉症の中核的な症状を変えるために使われるのであれば、その効果と安全性を評価することが重要である。このレビューは、自閉症におけるメマンチンの使用に関する研究のエビデンスをまとめたものである。 レビューの論点 メマンチンは自閉症と関連行動の中核症状を変えるか? 検索日 エビデンスは2022年2月14日までのものである。 研究の特徴 自閉症におけるメマンチンの有効性を評価した2...
2 years 8 months ago
プロバイオティクス(生きた微生物)は、風邪などの上気道感染症を予防することができるか? 要点 プロバイオティクスは、急性の上気道感染症(URTI)の1回以上の発症を予防するのに有益かもしれない。また、3回以上のURTIの発症を予防するのに有益であると考えられる。高齢者を対象としたより多くの研究が必要である。プロバイオティクス使用の有益性と潜在的な有害性をより良く推定するためには、より大規模でよりよくデザインされた研究が必要である。 急性上気道感染症とは? 急性の上気道感染症(URTI)には、風邪、インフルエンザ、および咽喉や鼻、副鼻腔の感染などがある。症状としては、発熱、咳、痛み、頭痛などがある。急性のURTIの多くはウイルスの感染によるもので、通常は3日から7日で回復する。 プロバイオティクスとは? プロバイオティクスは一般的に、適切な量を摂取することで体に有益な効果をもたらす生きた微生物と説明されている。代表的なものとして乳酸菌やビフィズス菌があり、ヨーグルトや豆乳ヨーグルトなどの発酵食品や栄養補助食品として一般的に摂取されている。 レビューの目的は何か? 健康な免疫系を持つあらゆる年齢層の人々において、プロバイオティクスが急性の上気道感染症を予防するかどうかを調べたいと考えた。 何を行ったのか? 上気道感染症に対するプロバイオティクスの効果を調査した研究を検索した。比較およ...
2 years 8 months ago
人工授精やタイミング療法による妊娠を希望する、不妊症の女性における黄体補充療法は、安全で有効か。 背景 黄体期は、月経周期の一部であり、排卵(卵子が卵巣から放出されること)から月経が始まるまでの期間をさす。この時期には、プロゲステロンというホルモンが卵巣から体内に分泌され、妊娠の可能性に備える。卵巣刺激(排卵誘発剤の使用)は、黄体期のプロゲステロン産生に影響を与える可能性がある。黄体期のプロゲステロン濃度が低い場合、12週以上継続する妊娠や生児出産などの妊娠転帰の可能性が低下することが知られている。プロゲステロン、およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG、妊娠すると産生されるホルモンで、プロゲステロン産生を増やす)や排卵後のプロゲステロンの値を増やすゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストなどの薬剤を用いた黄体補充療法は、妊娠の転帰を改善させると考えられている。 研究の特徴 25件のランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のうちの1つに無作為に割り当てるタイプの試験)を組み込み、合計5,111人の参加者を対象とした。プロゲステロンとプラセボ(ダミーの治療)または無治療との比較、腟に挿入するプロゲステロン剤の異なる用量、異なる経路で補うプロゲステロン、GnRHアゴニストとプラセボまたは無治療との比較、腟に挿入するプロゲステロン剤とGnRHアゴニストとの比較、hCGと無治療...
2 years 8 months ago
成人の不眠症に対する音楽の効果 レビューの論点 本レビューでは、成人の不眠症(睡眠障害)に対する音楽鑑賞の効果と、その効果に影響を与える可能性のある要因について評価が行われた。 要点 音楽が睡眠の質に対して有益な効果を与えることが分かった。しかし、他の結果(評価項目)については、十分な被検者がいなかったことと、データの評価者があらかじめについて治療法を知っていたことにより、質の高いエビデンスを見つけることができなかった。 不眠症とは何か? 世界中で何百万人もの人が不眠症を経験している。不眠症では、寝つきが悪かったり、眠りが浅かったり、あるいは睡眠の質が低下したりすることがある。 睡眠不足は、心身の健康に影響を及ぼす。睡眠不足がもたらす結果は、個人および社会の両方に負担をもたらす。睡眠を改善するために音楽を聴く人は多いが、その効果については明らかではない。 何を行ったのか? 電子データベースの検索により、関連する研究が特定された。1,007人の参加者を含む13件の研究が対象となった。これらの研究では、音楽を聴くことによる効果を、通常の治療、または無治療と比較していた。通常の治療とは、睡眠衛生教育(睡眠を促進する一連の行動について学ぶこと)、または慢性疾患に関連した不眠症を持つ参加者に対する標準的治療のことである。これらの研究では、参加者は毎日25分間から50分間、3日から3か月間、...
2 years 8 months ago
認知症患者における抗コリン作用のある薬剤の累積が将来の有害な臨床転帰に及ぼす影響 要点 抗コリン薬は、認知症を持つ高齢者の死亡リスクを高める可能性がある。 しかし、エビデンスの確実性は低く、抗コリン薬が死亡の原因になるのか、それとも単に健康問題が進行しているためにすでに死亡リスクが高まっている人が使用しやすいだけなのか、はっきりしたことは言えない。 抗コリン薬が、記憶や思考のさらなる悪化、行動や心理的な問題など、他の望ましくない臨床結果を引き起こすリスクについては、確固たる結論を出すことができない。 抗コリン薬が認知症の高齢者に意図しない問題を引き起こすかどうかを確立するために、より多くの研究が必要である。 抗コリン薬とは何か? 薬は、コリン作動性システムと呼ばれる体内の化学シグナル伝達システムの作用を阻害する能力によって分類できる。このような作用を持つ薬を抗コリン作用のある薬といい、抗コリン薬と呼ばれている。 何を知りたかったのか 抗コリン薬は、認知症の人が頻繁に経験する多くの病状を治療するために一般的に使用されている。代表的な例としては、尿路感染症や興奮状態の治療に使用される医薬品が挙げられる。しかし、脳内のコリン作動性システムは学習、記憶、感情の調節に重要な役割を果たしているため、抗コリン薬の使用は、この集団における心理的問題を意図せずに悪化させると考える理論的根拠がある。...
2 years 8 months ago
成人の喘息患者に対して管理された運動と教育のプログラム(いわゆる呼吸リハビリテーションとして知られるもの)は通常の治療と比較してどのような効果があるか? 要点 喘息患者が運動と教育の管理されたプログラム(いわゆる呼吸リハビリテーションとして知られる)に参加すると、通常治療を受けた患者と比べてプログラム終了直後はより壮健になり(より歩行できる)、よりウェルビーイング(訳注:身体的、精神的、社会的に良好な状態)になることを発見した。しかし、1年後までこのような効果が持続するかは定かではない。 エビデンスが乏しいため、喘息発作や入院の割合、不安や抑うつ、あるいは身体活動レベルにおける呼吸リハビリテーションの効果は不明である。 成人喘息患者に対する呼吸リハビリテーションの真の効果をより正確に推定するためには、より大規模で入念に計画された研究が必要である。 喘息とは? 喘息とは、気道が炎症を起こし、狭窄し、余分な粘液を産生する一般的な肺の病気である。喘息患者は咳、喘鳴、胸部圧迫感、息苦しさを経験し、最も重症な患者では日常生活に支障をきたすようになる。 喘息は治癒できないが、症状をコントロールすることはできる。様々な薬で症状を抑えることができる一方で、運動もまた症状を抑えることができる。しかし、喘息患者の中には包括的な運動プログラムを実施することが困難な人も存在するだろう。 呼吸リハビリテー...
2 years 8 months ago
歯科治療前に患者に洗口液を使用させることは、患者から医療従事者への感染リスクを減少させるか? なぜこの問題が重要なのか? 歯科治療の多くにおいて、表面に素早く付着する飛沫が発生する。ドリルなどの高速で動作する器具を使用することで、空気中に浮遊する微粒子からなるエアロゾルが発生し、これを吸い込んだり、離れた場所の表面に付着することがある。このエアロゾルにはさまざまな微生物が含まれており、直接的な接触による感染や、汚染された表面を通した間接的な感染を起こす可能性がある。感染の拡大を防ぐには、エアロゾルに含まれる微生物の数を減らすことが有効であると思われる。歯科治療前に洗口液を使用しうがいすること(治療前口腔内消毒)により、エアロゾルの汚染量を減らすことができる可能性が示唆されている。一般的に使用されている洗口液として、クロルヘキシジン、ポビドンヨード、塩化セチルピリジニウム(CPC)などがある。これらは、口腔内の微生物を殺菌または不活性化することにより、発生するエアロゾルの汚染度を下げる作用がある。このレビューでは、歯科治療の前に患者に対し洗口液による含嗽(うがい)を行わせることが、治療中に発生するエアロゾルの汚染が減少し、感染症の伝播の予防につながるかどうかについて評価が行われた。 エビデンスの特定および評価を行った方法は? 歯科治療の前に使用する洗口液について、プラセボ(偽の洗口...
2 years 8 months ago
近くの組織にのみ広がっている子宮頸がんに対する内科的治療を伴う子宮摘出術 論点 子宮頸がんは、65歳以下の女性において最も多いがんである。貧困国では、局所進行性(近くの組織に広がっているが、明らかな遠隔転移はない)子宮頸がんと診断される女性が少なくない。局所進行性子宮頸がんは一般的に、内科的治療すなわち、化学療法(抗がん剤による治療)を併用した放射線療法または放射線療法単独によって治療される(訳者注:日本では、欧米に比べて、局所進行性子宮頸がんでも広汎子宮全摘出術が選択される傾向にある)。一方、特に放射線療法へのアクセスが限られている貧しい国々では、内科的治療を併用した子宮摘出術も行われている。 本レビューの目的 局所進行性子宮頸がんの女性において、内科的治療を伴う子宮摘出術は、内科的治療のみと比較してより有益か? 本レビューを行った方法 1966年から2022年2月までの 文献検索により、11件の臨床試験を特定したが、これらの試験のバイアスのリスクは中程度から高度であった。これらの試験には、2,683人の女性が含まれ、以下の内容が比較されていた。子宮摘出術と放射線療法の併用と放射線療法単独、子宮摘出術と化学放射線療法(化学療法と放射線療法を同時に行う治療)の併用と化学放射線療法単独、子宮摘出術と化学放射線療法の併用と腔内照射(小線源治療、訳者注:腟腔内に器具を入れて行う放射線療...
2 years 8 months ago
成人および12歳以上の若者における、痛みを伴う顎関節症(顎の関節の疾患:TMDs)に対し、心理療法を行うことの利点とリスクは何か? 要点 全体的に一致した結果は得られなかったが、心理療法により痛みの軽減が可能であるという限定的なエビデンスが見られたことから、心理療法が痛みを伴う顎関節症に対して有効な方法である可能性がある。このレビューでは、心理療法は少なくとも他の治療法と同程度の効果があることが示唆された。また、心理療法の悪影響については不明であるため、心理療法が無害または問題が少なく、かつ効果的な治療法かどうかを結論づけるには、さらなる研究が必要である。 顎関節症とはどのような疾患か? 顎関節症(TMDs)は、顎の関節とそれを動かす筋肉に影響を与える疾患である。多くの場合、3か月以上続く痛み(慢性疼痛として知られる)を伴う。また、口を大きく開けられない、関節の音(クリック音)が聞こえる、口がほとんど開かなくなる(ロッキング)などの症状も起こる。これらの全ての症状は、生活の質や気分の低下につながる可能性がある。 何が知りたかったのか? このレビューでは、少なくとも3か月以上痛みが続く顎関節症に罹患している成人および12歳以上の若者に対して、心理療法がどの程度有効であるかを明らかにしようとした。 何を行ったのか? 医学および歯科医学雑誌のデータベースと進行中のものを含む研究について...
2 years 9 months ago
通常の食塩の代わりに低ナトリウム食塩代替物(LSSS)を使用することは、血圧や心臓病のリスクを低減し、かつ安全か? 要点 • 成人の場合、通常の食塩の代わりにLSSSを食物に使用すると、多分血圧がわずかに下がるだろう。成人で通常の食塩の代わりにLSSSを使用すると、脳卒中や突発的な冠動脈血流低下のような非致命的な心血管病、あるいは心臓病死のリスクがわずかに低くなるだろう。 • 成人で通常の食塩の代わりにLSSSを使用すると、血中カリウム(心拍を整脈に保つためのミネラル)の濃度がわずかに上昇する。これは、体内のカリウムを効率的に調整することができない人にとっては有害となる可能性がある。その他の安全性に関するエビデンスは非常に限られている。 • 小児の場合、通常の食塩の代わりにLSSSを使用した血圧への影響やその安全性については明らかではない。 • このエビデンスは、腎臓に異常がある、あるいは特定の薬を服用している人のように、血中カリウム濃度が高くなるリスクがあるとされている人には、すぐには適用できないかも知れない。 低ナトリウム食塩代替物(LSSS)とは何か? LSSSとは、通常の食塩よりもナトリウムを減らした製品のことである。ナトリウムの一部をカリウムや他のミネラルに置き換えることで、LSSSのナトリウム量が減らされている。ナトリウムの摂取量が多く、カリウムの摂取量が不十分である...
2 years 9 months ago
赤ちゃんの予後を改善するための、早産になる前の副腎皮質ステロイド治療 レビューの論点 早く生まれた赤ちゃん(妊娠37週より前に生まれると早産となる)は、健康問題のリスクが高くなる。これらのリスクには、肺の問題(呼吸窮迫症候群)、脳出血(脳室内出血)、死亡が含まれる。これらの問題の発生を防ぐため、まだ妊娠中の母親に対して副腎皮質ステロイドと呼ばれる薬が投与される。多くの問題に対する予防の有効性について、質の高いエビデンスが得られている。これらの薬は、出生前の赤ちゃんの肺の成熟に働く。副腎皮質ステロイドにはさまざまな種類があり、投与経路や投与量もさまざまである。早産のリスクがある母体に副腎皮質ステロイドを投与すると赤ちゃんの利益になることはわかっているが、どの種類の副腎皮質ステロイドが母体と赤ちゃんにとって最も利益があり、最も害が少ないかはわかっていない。 重要性 薬の種類や量がはっきりしていない、あるいは合意がないため、病院によって投与方法が異なる場合がある。このレビューでは、ランダム化比較試験(受ける治療をランダムに決定する試験で、通常、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスが得られる)から得られるすべてのエビデンスを評価し、母体と赤ちゃんに対してどの薬と投与経路が最適かを判断した。また、赤ちゃんが成長して小児や成人になったときに薬が及ぼす影響についても調べた。 得られたエビ...
2 years 9 months ago
脆弱な集団における、COVID-19ワクチン接種後の免疫 何を調べようとしたのか? 本レビューでは、免疫機能が脆弱な集団に対して最もよく使用されるCOVID-19ワクチンについて、どのような研究が発表され、どのような結果(例えば、有効性の結果、安全性、免疫反応)が報告されているかを調べることによって、今後の有効性に関する系統的レビュー(医学文献を統合したもの)における最も適切な臨床疑問を見出し、これに答えたいと考えた。 本レビューで行ったことは何か? 欧州連合で使用が許可されている(欧州医薬品庁(EMA)承認)、および検索時点で世界10カ国以上で承認されているCOVID-19ワクチンに関する医学データベースと臨床試験登録の検索を行った。 ワクチン接種に対する免疫反応を低下させる可能性がある併存疾患に関する研究で、100人以上の参加者を含むものを、年齢、性別、民族、実施された国を問わず対象とした。 一般集団を対象とした研究や、事前の設定と異なるCOVID-19ワクチンや集団を対象とした研究は除外した。 研究を特定してから、ワクチンを以下のグループに分類した:EMAが承認したCOVID-19ワクチン、その他のCOVID-19ワクチン、異なるCOVID-19ワクチンの組み合わせ。そして、その結果を双方向的なオンライン上でマッピングして概要をまとめた。研究の結果や研究が行われた国、研究デ...
2 years 9 months ago
喫煙をやめると、心臓病の人が再び心臓発作を起こす可能性は低くなるか? 要点 - 心臓病の人が喫煙をやめると、将来、心臓発作や、脳卒中など心臓や血管に関連する病気を発症するリスクが減少する可能性がある。 - 心臓病の人が喫煙をやめても、生活の質(QOL)が悪くなることはない。 喫煙と心臓病 喫煙は心臓発作を起こす可能性を高めるが、喫煙をやめることで2回目の心臓発作を起こすリスクを減らせるかどうかについては、あまり情報がない。 コクラン・レビューを行った理由 心臓発作後に喫煙をやめると、2回目の心臓発作や心臓や血管に関連する他の病気にかかる可能性が低くなるかどうかを調べたかった。もし、禁煙が病気の進行を防ぐのであれば、より多くの人が禁煙する動機付けとなり、医師や看護師がより積極的に禁煙をサポートするようになり得る。 何を行ったのか? 少なくとも6か月間継続した研究で、研究開始時に喫煙習慣があった心臓病と診断された人を対象としたものを探した。また、禁煙したかどうか、心臓発作や脳卒中など、心臓や血管に関連する他の病気を発症したかどうかも測定していることを条件とした。 検索日:2021年4月15日までに発表された研究を対象とした。 どのような研究が見つかったか? 80,702人を対象とした68件の研究が見つかった。ほとんどの研究は一般集団の成人男女を対象としているが、11件の研究では男性の...
2 years 9 months ago
脳卒中後の腕のリハビリテーションのための行動観察 レビューの論点 脳卒中後の腕や手の機能に対する行動観察の効果を、代替介入や無介入と比較した。さらに、この療法が上肢の運動機能、日常生活動作、生活の質(QOL)、脳領域の活性化に与える効果も観察した。 背景 脳卒中を発症すると、腕が動かしにくくなり、日常生活に支障をきたしたり、日常生活への参加が減少したりすることがある。行動観察とは、腕のリハビリテーションのために提案された手法で、脳卒中の人が健常者の行う作業をビデオや対面で観察し、その後同じ作業を実施したり、しなかったりするものである。この安全な方法は、高価で複雑な機器を使用せず、セラピストによる監督も最低限で実施可能である。行動観察では、同じ動作をするときに活性化される脳部位と類似した脳部位が活性化され、脳卒中後の動作回復に有利に働く可能性があることが試験で示されている。 試験の特性 脳卒中後の574人を対象とした16件の試験を同定した。試験の多くは、ビデオの視聴と行動観察に続いて、さまざまな活動を用いた何らかの運動訓練を行い、トレーニングの過程で参加者にとって実施が簡単であった時に課題の複雑さが増加するような活動を使用した。エビデンスは2021年5月までのものである。 主な結果 行動観察が、代替介入や介入なしと比較して、参加者の腕や手の使用の改善につながるかどうかを検証した試験...
2 years 9 months ago
COVID-19ワクチンの接種を促進するための介入 背景 ワクチンは、治療法がほとんどないCOVID-19の死亡や重症化を防ぐのに有効である。COVID-19のワクチン接種が広く行われることで、まだワクチン接種を受けることができない人たちを守ることができるかもしれない。しかし、COVID-19のワクチン接種を希望しない人も多い。そのため、重症化したり死亡したりするリスクが高くなる。 目的 COVID-19ワクチンの接種を増やすためのどのような介入方法がこれまでに評価されてきたか、あるいは現在評価されているかを知りたかった。 方法 2021年10月11日までの医学データベースと臨床試験登録を検索した。COVID-19ワクチンの接種率を高めるための介入を調査したすべての研究を対象とした。他のワクチン(例えば、はしか)を対象とした研究は除外した。参加者が100人以上のあらゆる形態の研究を対象とした。 研究が見つかったら、介入方法を次のグループに分類した:コミュニケーション介入、政策介入、アクセス改善介入、教育介入、インセンティブ、多次元的介入。その結果を対応表にまとめた。さらに、研究の結果(評価項目)、研究が行われた国、研究対象者、研究デザインなどを図表上に示した。 結果 96件の研究をエビデンスを示す図表に含め、そのうち35件は進行中で、61件は結果が公表されている。これらの研究でテ...
2 years 9 months ago
肺がん検診におけるコンピュータ断層撮影(CT)の影響 背景 肺がんは、がん関連死亡の原因として世界で最も多い病気である。肺がんの生存率は、病気と診断された時期に大きく左右される。レントゲン撮影(胸部X線)や、肺の画像をより詳しく複数枚撮影するCT検査で、できるだけ早期に病気を発見することが肝要である。このレビューの目的は、肺がんを早期に発見するためのCTの使用に関する情報を収集し、肺がんの早期発見が肺がんによる死亡を減らすかどうかを調べることであった。また、肺がん検診にCTを使用することで発生する可能性のある、追加検査やそれに伴う合併症などの害も評価した。 対象とした臨床試験の説明 エビデンスは2021年7月31日までのものである。11件の試験に含まれる、合計94,445人の参加者を対象とした。試験はアメリカやヨーロッパで実施された。最も古いものは1991年、最も新しいものは2011年に開始された。参加者は40歳以上の成人であった。CTによるスクリーニングの頻度は、1年ごとから2.5年以上までと幅があった。 主な結果 対象とした試験のうち8件(91,122人の参加者)が、肺がん関連死亡率の主要アウトカム解析に含まれた。喫煙歴の多い40歳以上の人では、CT検診により肺がんによる死亡が21%減少し、肺がんによる1人の死亡を防ぐために226人が検診を受ける必要があることがわかった。また...
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