Latest Japanese Reviews

胎児への手術や侵襲的な処置の際に、妊婦と胎児を静止させるために投与される薬物

2 years 7 months ago
胎児への手術や侵襲的な処置の際に、妊婦と胎児を静止させるために投与される薬物 まだ生まれておらず母親の子宮内にいる胎児に対して、外科手術や侵襲的な処置が安全に行えるように、胎動を防止する(胎児を動けなくする)ための麻酔と鎮痛の薬剤の有効性に関するランダム化比較試験によるエビデンスを求めた。 レビューの論点 妊娠中の超音波検査が非常に進歩したことで、まだ生まれていない赤ちゃんの発育に問題がないかを診断することができるようになった。胎児の器質的問題や多胎妊娠による合併症の多くが、赤ちゃんがまだ母親の子宮の中にいる間に治療できる。気道の閉塞など、一般的に生まれる前に治療を必要とする問題は多い。子宮内治療を行うために胎児を動けなくする薬の有効性と、鎮静・鎮痛中の母体に対する影響を調べた。これらの子宮内治療における処置を安全に行うために、胎児の動きを抑える必要があるだろう。この麻酔は、母体に薬を投与する方法(多くは静脈に注射する)と胎児に直接投与する方法(胎児の筋肉に注射する)のいずれかで行われる。 重要性 肺や心臓の器質的問題を治療することで、妊娠予後や新生児予後を大きく改善することができる。双子で一つの胎盤を不均等に分け合う双胎間輸血症候群のような、多胎妊娠の合併症についても同様である。胎動を減らして手術に最高の環境を用意することは、治療を安全に行うこと、早産などの合併症を減らすことに...

薬による妊娠14週以前の中絶のための疼痛管理

2 years 7 months ago
薬による妊娠14週以前の中絶のための疼痛管理 要点 - イブプロフェンは、妊娠14週までの薬による中絶の際の痛みを軽減させるのに最も良いエビデンスがあるが、最適な用量は不明である。 - 強固で一貫した方法によって痛みを記録した、さらなる研究が必要である。 薬による中絶とは? 中絶には大きく分けて、外科手術と薬による中絶の2種類がある。外科手術による中絶は、専門の医師がクリニックで行う。薬による中絶では、女性は薬(ミフェプリストンとミソプロストールからなる「中絶薬」)を飲んで、妊娠を終わらせる。薬による中絶は、世界中でますます一般的になってきているが、さしこむような強い下腹部痛を引き起こすことが知られている。妊娠の最初の14週間は、薬による中絶はクリニックでも自宅でも行うことができるので、女性が痛みに対して自分で治療する方法を持っていることが重要である。 何を知りたかったのか? この痛みに対して、どのような治療方法が最適なのかは不明である。イブプロフェンや麻薬などの鎮痛薬や、湯たんぽやマインドフルネスなどの非薬物療法について、どのようなエビデンスがあるのかに興味があった。 このレビューで行ったことは何か? 妊娠14週までの薬による中絶のためのさまざまな鎮痛治療を比較した研究を探した。 レビューの結果 その結果、5件の研究が見つかったが、いずれも異なる種類の治療法を検討していた。イス...

歯科治療における感染性心内膜炎(心臓の内側への重度の感染または炎症)の予防のための抗菌薬の使用

2 years 7 months ago
歯科治療における感染性心内膜炎(心臓の内側への重度の感染または炎症)の予防のための抗菌薬の使用 レビューの論点 このコクランレビューは、感染性心内膜炎(心臓の内壁への重度の感染または炎症のことで、時に致命的となる)のリスクが高い人々に対し、歯科での侵襲的治療(抜歯を含めた外科処置等)の前における抗菌剤投与を慣例的に行うことが、感染性心内膜炎の発生率、死亡者数、および重症者数を減らすことにつながるかどうかについて検証することを目的としている。 背景 感染性心内膜炎は、心臓の損傷部や奇形部に発生しやすい感染症であり、通常、抗菌薬の投与によって治療される。まれではあるが、感染性心内膜炎により命がおびやかされる場合もある。感染性心内膜炎に罹患した患者のうち、抗菌薬による治療を行ったとしても死亡してしまう確率は最大30%である。 高リスクの患者に対する侵襲的な歯科治療により、感染性心内膜炎が引き起こされる可能性があるが、歯科治療によって直接的に感染性心内膜炎が引き起こされた症例は(あったとしても)、その数は不明である。歯科治療の多くは、血液中に細菌が存在する状態である菌血症を引き起こす。菌血症は通常、体内の免疫系によって速やかに対処されるが、高リスク患者の場合は、感染性心内膜炎の発症につながる可能性があると一部の専門家は考えている。 多くの国におけるガイドラインでは、感染性心内膜炎のリスク...

自閉症の人のための音楽療法

2 years 7 months ago
自閉症の人のための音楽療法 レビューの論点 自閉症の人に対する音楽療法の有効性について、エビデンスを評価した。音楽療法(または標準治療に音楽療法を加えたもの)を受けた人の結果を、音楽を使わない同様の療法(プラセボ療法)、標準治療、または全く治療を受けなかった人の結果と比較した。 背景 自閉症は生涯続く神経発達症であり、周囲の世界の捉え方、他者とのコミュニケーションや関わり方に影響を与える疾患である。社会的相互作用と社会的コミュニケーションは、自閉症の人々にとって中心的な困難の一つである。音楽療法は、音楽の経験や、その経験によって築かれる関係を通して、他者との交流やコミュニケーション、および感情の共有を可能にする。このように、音楽療法は自閉症の人たちの核となる問題に取り組んでいる。音楽療法は、1950年代初頭から自閉症に適用されている。自閉症の人が音楽療法を利用できるかは、国や環境によって異なる。音楽療法を適用するには、特別な学術的、臨床的な研修が必要である。これは、治療者が患者の特定のニーズに合わせて介入するのに役立つ。私たちは、音楽療法が他の選択肢と比較して、自閉症の人たちに役立つかどうかを調査したいと思った。 検索日 エビデンスは2021年8月までのものである。 研究の特徴 今回の更新では、新たに16件の研究を追加したため、このレビューにおけるエビデンスは、現在、26件の研究...

物資使用障害の人のための音楽療法

2 years 7 months ago
物資使用障害の人のための音楽療法 本レビューの目的は何か? 標準治療に加えて音楽療法を行うことが、物質使用障害の人に対して、物質渇望(物質を使用したいという強い欲求)、治療への動機づけ、断酒・更生(物質を使用しない状態を続けること)への動機づけに影響を与えるかどうかを評価することを目的とした。また、再発の危険因子である抑うつや不安に対する効果についてのエビデンスにも関心があった。 要点 音楽療法を標準的な治療に「追加」することで、解毒やリハビリテーションの環境にある成人の物質渇望を軽減し、治療に対するモチベーションを高めることができると思われる。音楽療法のセッションを2回以上続けられると、物質への渇望がより軽減される。抑うつ、不安、断酒・更生への動機づけ、治療の継続に対する効果を示すエビデンスはない。また、有害事象に関するデータはなかった。 なぜ、このレビューが重要か? このレビューは、音楽療法が問題のある物質使用に関する状況や治療への動機づけに対して有益な影響を与えるかどうかを判断するのに役立つ。 このレビューからわかったこと 物質使用障害とは、アルコールの有無にかかわらず、違法薬物や処方薬などの薬物を、これらの物質が健康上の問題を引き起こしたり、社会的機能に悪影響を及ぼす場合でも、継続して使用することをいう。世界で約3,500万人が問題のある薬物を使用しており、毎年300万人...

高所得国の難民児童・青少年に対する地域社会での精神衛生への支援

2 years 7 months ago
高所得国の難民児童・青少年に対する地域社会での精神衛生への支援 高所得国に定住している子どもや青年の難民は、移住前、移住中、移住後に直面する多くの課題により、メンタルヘルス(精神衛生)上の問題を抱えるリスクがある。 要点 現在までのエビデンスは、実際にどのような介入を行うべきかを推奨するには量的にも質的にも十分ではない。子どもの難民や庇護希望者に対する既存のメンタルヘルス支援プログラムや介入を評価し、この集団におけるメンタルヘルス支援に何が有効かについてのエビデンスを追加できるようにすることが必要である。 何を知りたかったのか? 高所得国に住む子どもや青少年の難民を対象に、コミュニティで行われるメンタルヘルス(精神衛生)の促進、予防、治療に関するエビデンスを評価することを目的とした。プログラムや介入の中には、地域づくりや社会的支援を通じたメンタルヘルス・プロモーション(心の健康増進)に重点を置くものもあれば、個別の専門的なケアによるメンタルヘルス問題の治療に重点を置くものもある。 このレビューで行ったことは何か? 2021年2月23日にオンラインデータベースとレジストリで研究を検索した。 18歳以下の難民の児童・青少年を対象とし、高所得国における地域社会に根ざしたメンタルヘルスへの介入を評価するものであれば、デザインは問わず、対象とした。 レビューの結果 研究デザイン、参加者の特...

医療現場以外の労働者のコロナウイルスSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)感染リスク低減のための介入策

2 years 7 months ago
医療現場以外の労働者のコロナウイルスSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)感染リスク低減のための介入策 レビューの目的 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的に蔓延している呼吸器感染症である。SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)に感染すると、特に高齢者や基礎疾患を持つ人は重症化し、死亡する可能性がある。パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。これらの介入がCOVID-19感染率,欠勤率,COVID-19関連死亡率,有害事象に及ぼす影響を評価した. 本レビューで検討したことは何か? 以下の4つのカテゴリーに従って、介入策を検討した研究を検索した。1)隔離(例:自己隔離戦略)、2)工学的管理(例:同僚や作業員と一般の人々を分離または距離を置くための障壁)、3)業務運営的管理(例:在宅勤務)、4)個人保護具(例:フェイスマスクや他のタイプの顔面カバーの使用)。医療現場以外のあらゆる労働者を対象とした研究も対象とした。言語の制約や時間的な制約のない研究を探した。 本レビューの主な結果 13,000件以上の報告をスクリーニングし、2021年3月から6月にかけてイングランドの中等・高等学校162校で実施された1件の研究が含まれている。この研究では、...

健康状態の悪化が懸念される地域の高齢者を対象とした高齢者総合機能評価

2 years 7 months ago
健康状態の悪化が懸念される地域の高齢者を対象とした高齢者総合機能評価 世界的に寿命が延びる中、医療を必要とする高齢者に最適な環境で適切な医療を提供するためのさまざまな方法を模索することが急務となっている。現在、より多くの高齢者がフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)を抱えて生活している。フレイルは、早期死亡、老人ホームへの入所、自立度の低下など、健康に悪影響を及ぼす結果を招きやすい特徴を持つ臨床的な症候群である。 医師、看護師、セラピストなど、フレイルを持つ高齢者のケアに精通した医療専門家が組織的かつ協調的に行うケア(高齢者総合機能評価:CGA)が、地域在住でフレイルを持つ高齢者が受ける通常のケアと比べて、(老人ホームではなく)地域で生活を継続する可能性を高めるかどうかを検討した。また、CGAが入院や救急外来を受診する可能性を減らすかどうか、CGAが高齢者の機能レベルやQOL(生活の質)に与える影響も検討した。 CGAは高齢者の自宅や地域の別の場所で行われ、高齢者医療に精通した医療チームによって実施された。CGAに基づくケアを、高齢者が地域で受ける通常の医療ケアと比較する研究を探した。 10か国、4大陸の7,893人のフレイルを持つ高齢者について情報を提供している21件の関連する研究を特定した。通常の医療ではなくCGAを受けた高齢者は、全体として死亡リスクが有意に低いというこ...

磁気共鳴画像(MRI)検査で肝臓癌を発見する精度は?

2 years 7 months ago
磁気共鳴画像(MRI)検査で肝臓癌を発見する精度は? 要点 慢性肝疾患の患者に関して、磁気共鳴画像(MRI:体内を横断的にスキャンする)により、16%の人が肝臓癌を見落とされ適時適切な治療を受けられない可能性があり、6%の人が肝臓癌を誤って発見され不必要な治療を受ける可能性がある。 MRIにより、肝臓の一部を切除する手術を受ける可能性のある肝臓癌患者の16%が、おそらく肝臓癌を見逃され、肝臓の一部を切除する手術を受ける必要のない患者の7%が、肝臓癌を誤って発見されてしまう。 これらの研究は、バイアスのリスクが高く、また、互いにあまりにも異なるため、エビデンスに基づく確固とした結論を導き出すことはできなかった。 なぜ、肝臓癌を正確に診断することが重要か? 肝臓癌、すなわち「肝細胞癌」は、原因に関係なく、ほとんどが慢性肝疾患の人に発生する。世界で6番目に多い癌であり、癌による死亡原因の3番目に多い癌である。初期症状は肝臓の病気と似ているため、診断が難しい。血液検査や超音波検査の結果、肝臓癌が疑われる人は、肝臓の画像を作成するスキャンや、肝臓の一部を取り出して調べる生検など、さらなる検査を受けることができる。肝臓癌が早期に発見された場合、肝臓の一部を切除する手術(肝切除術という)や肝移植による治療が行われることがある。肝臓癌がさらに進行している場合は、化学療法が必要になることもある。肝...

多発性硬化症患者の対症療法としての医療用大麻およびカンナビノイド

2 years 7 months ago
多発性硬化症患者の対症療法としての医療用大麻およびカンナビノイド 要点 - ナビキシモルスによる治療は、プラセボと比較して、痙性(麻痺に伴う副作用であり、軽度の筋硬直から、重度の脚部運動制御不能まで、各種の痙性がある)の改善をもたらす可能性が高く、重篤な有害事象を増加させない可能性がある。 - カンナビノイド(ナビキシモルス、大麻抽出物、合成カンナビノイド)は、プラセボと比較して、患者による報告の結果で測定した場合、幸福感を向上させる可能性が高い。 - これらの医薬品は、確実なエビデンスがないため、慢性神経障害性疼痛の治療に対する有用性は不明である。 レビューの論点 多発性硬化症(MS)の患者さんの多くは、痛みを伴う痙性を経験し、日常生活に支障をきたしている。痙性は、筋肉の緊張が高まった状態である。医療用大麻とは、大麻、またはカンナビノイドと呼ばれる成分を、MSの痙性や慢性疼痛などの症状を緩和するための内科的治療として使用することを指す。国際的な調査によると、医療用大麻が最もよく使用される5つの病状の1つにMSが挙げられている。英国で行われた別の調査では、MS患者の5人に1人以上が、自分の症状を抑えるために医療用大麻を使用したことがあると回答している。 何を知りたかったのか? カンナビノイドがプラセボよりもMSの成人の以下の項目の改善に優れているかどうかを知りたかった。 - 痙性...

男性不妊症に対する抗酸化物質

2 years 7 months ago
男性不妊症に対する抗酸化物質 レビューの論点 抗酸化物質の経口補充は、プラセボ、無治療、他の抗酸化物質と比較して、不妊症の男性の妊孕性(妊娠させる力)を向上させるか? 背景 1年以上妊娠を試みても妊娠できないカップルには、不妊の問題があると考えられる。不妊治療を行っている多くの不妊症の男性は、妊孕性の向上を期待して栄養補助食品を摂取している。不妊治療は、男性やそのパートナーにとって非常にストレスとなり得る。このようなカップルが、抗酸化物質の栄養補助食品に関する十分な説明を受けたうえで摂取するかどうかを決定できるように、質の高い科学的根拠(エビデンス)を利用できる状況が重要である。これは、抗酸化物質の栄養補助食品の多くは法令の規制を受けていないため、特に重要となる。今回のレビューは、不妊症の男性が抗酸化物質の栄養補助食品を摂取することで、臨床的妊娠(超音波検査で妊娠と確認できること)と生児出産(最終的に赤ちゃんが産まれること)の可能性が高くなるかどうかを評価することを目的とした。精子が正常だった男性における抗酸化物質の使用については調べなかった。 研究の特徴 10,303人の不妊症の男性を対象に、18種類の抗酸化物質とプラセボ、無治療、その他の抗酸化物質を比較した90件のランダム化比較試験を含むレビューを行った。参加者の年齢は18~65歳であった。参加者は不妊治療クリニックに紹介さ...

医薬品への保険制度を規制する政策の効果

2 years 7 months ago
医薬品への保険制度を規制する政策の効果 本コクランレビューの目的は、医薬品保険制度が、人々の医薬品の使用、医薬品に支払う金額、健康状態、医療サービスの利用を変えるかどうかを調べることであった。関連するすべての研究を収集し、分析した。その結果、58件の研究を特定した。これらの研究のほとんどは、2006年1月に実施された一つの政策変更(メディケアパートD)を評価した米国のものであった。 要点 アメリカのメディケアパートDは、高齢者に無料で処方薬を提供している。この制度は、高齢者が使う薬の量を増やすかもしれないが、薬に支払うお金を減らす可能性がある。このシステムが人々の健康や医療サービスの利用を変えるかどうかは、エビデンスの確実性が非常に低かったため不明である。 医薬品保険制度とは何か? 医薬品保険制度では、政府や民間団体が人々に必要な医薬品を低価格または無料で提供する。薬は通常、政府の税金、雇用者、保険制度への加入者、またはこれらの組み合わせによって支払われる。 多くの国では、公的な医薬品保険と民間の医薬品保険の両方のシステムがある。医薬品保険制度の中には、国や環境に応じてすべての人をカバーするものがある。また、特定のグループのみを対象とする制度もある。例えば、働いている人だけを対象とする保険制度もあれば、貧しい人や高齢者だけを対象とする保険制度もある。 良い医薬品保険制度は、必要な...

認知症および軽度認知障害における抑うつと不安に対する心理療法

2 years 7 months ago
認知症および軽度認知障害における抑うつと不安に対する心理療法 キーポイント - 思考や行動変容に焦点をあてた認知行動療法に基づく心理療法は、おそらく認知症や軽度認知障害の人の抑うつ、生活の質、日常生活にわずかながらプラスの効果をもたらすと考えられている。 - 認知症や軽度認知障害の不安に対して、どのような心理療法が有効であるかは、十分なエビデンスがない。 - さまざまな種類の心理療法や、どのような人にどのような治療が最適なのかについて、より多くのエビデンスが必要である。 認知症と軽度認知障害とは? 認知症は、認知(記憶や思考能力)に問題が生じる疾患である。認知症の人は、すべての日常生活を自立して営むことは今ではできない。軽度認知障害は、それほど重症ではなく、日常生活に大きな影響を与えてはいない状態である。軽度認知障害を発症した人の中には、そのまま認知症に移行する人もいる。 心理療法とは? 心理療法は、「話し合い療法」とも呼ばれ、心理学の理論に基づいた治療法である。セラピストが個人または少人数のグループと一緒になって、健康状態を改善するためのスキルや方法を身につける。これらの治療法は、認知障害のある方にも適応することができる。 何を知りたかったのか? 認知症や軽度認知障害では、抑うつや不安がよく見られるが、その治療方法は不明である。これらの問題の治療によく使われる薬は、認知症の人に...

マインドフルネスは禁煙に役立つか?

2 years 8 months ago
マインドフルネスは禁煙に役立つか? 要点 - マインドフルネスを用いた治療が禁煙に役立つ、あるいは精神的な健康や幸福感を向上させるという明確なエビデンスは、今のところない。 - しかし、エビデンスに対する信頼度は低いか非常に低く、さらなるエビデンスによって結論が変わる可能性がある。 マインドフルネスとは? マインドフルネスとは、自分の考えや感情に注意を向け、それらが生じたり消えたりするのを、判断せずに観察することである。マインドフルネスは、人々が思考や感情に支配されるのではなく、むしろ思考や感情をよりよくコントロールするのに役立つと考えられている。禁煙すると、タバコを吸いたい衝動に駆られたり、気分が落ち込んだりするが、マインドフルネスを用いた治療により、それらに対処する能力を高めることができるかもしれない。 マインドフルネスに基づいた治療の種類は以下の通りである: - マインドフルネス・トレーニング(マインドフルネスに基づく瞑想のトレーニングを行うもの)。 - 受容とコミットメント療法(アクセプタンス&コミットメント・セラピー:acceptance and commitment therapy, ACT):瞑想を教えるのではなく、自分の考えや感情と戦うのではなく、それを受け入れるように促し、行動を変えることを約束させる療法。 - 苦痛耐性トレーニング(ACT療法の一部を提供すると...

歯周病の治療は、糖尿病をもつ人の血糖値のコントロールに役立つのか?

2 years 8 months ago
歯周病の治療は、糖尿病をもつ人の血糖値のコントロールに役立つのか? レビューの論点 レビューの主な論点:歯周病治療は、積極的な治療を行わない場合や通常の治療と比較して、糖尿病患者の血糖をコントロールすること(血糖コントロール)にどのように有効か? 背景 歯周炎の治療の目的は、腫れと感染を抑え、歯茎とそれを支える骨の状態を安定させることである。糖尿病をもつ人は血液中の糖の量が多すぎるため、血糖値をコントロールすることが重要な課題である。いくつかの臨床研究では、歯周病の治療と血糖コントロールの間に関連があることが示唆されてる。 血糖コントロールは、さまざまな方法で測定することができる。本レビューでは、過去3ヶ月間の平均血糖値を示すHbA1cに注目した。HbA1cは総ヘモグロビン量に対する割合(%)、またはmmol/mol(ミリモル/モル)で報告される。糖尿病患者の血糖コントロールが優れている時のHbA1cは、6.5%または48mmol/mol程度と考えられる。 本レビューは、コクランオーラルヘルスに所属する著者によって実施され、2010年と2015年に発表されたレビューのパート1の更新版である。本レビューでは、歯周病治療を、積極的な治療なし、または通常のケアと比較して評価した。レビューのパート2では、さまざまな種類の歯周病治療を比較する予定である。歯周病治療が血糖コントロールを改善す...

遠隔で評価を行う認知症診断の精度は?

2 years 8 months ago
遠隔で評価を行う認知症診断の精度は? なぜこの問題が重要なのか? 認知症は慢性的かつ進行性の疾患で、記憶力や日常生活に必要な能力に影響を与える。認知症の臨床診断には、通常、脳画像、身体検査、問診を行う。最初のステップとして、記憶や思考の検査を行うことが多く、更なる評価を必要とする人を特定する。従来、これらの検査は対面で行われてきたが、検査を改良することで、電話やテレビ電話を介して行うことができるようになり、「リモートアセスメント(遠隔評価)」と呼ばれることもある。 特にCOVID-19により、遠隔評価の必要性が急増している。しかし、COVID-19のパンデミック以外にも、遠隔評価のメリットは潜在している。対面ので診療予約をとるのが難しい人もいるため、遠隔評価はより多くの利便性をもたらす。また、遠隔評価は、かなりの短時間で多くの人と接することができるため、研究にも有効である。 電話で実施される検査は、対面でのテストに劣る可能性があり、これらのテストを正しく行うことが重要である。一方、認知症でないにもかかわらず認知症であると示唆された場合(偽陽性という)は、本人や家族に精神的な影響を与える可能性がある。一方、記憶や思考の問題があるにもかかわらず、それを発見できない場合は(偽陰性という)、その人が必要とする治療やサポートを受けられないことを意味する。 本レビューの目的は何か? 電話やテ...

小児急性気管支炎に対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP)

2 years 8 months ago
小児急性気管支炎に対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP) レビューの論点 急性気管支炎の子どもに対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP)は支持療法(症状を軽くするための治療)より優れているか、それとも劣っているか? 背景 気管支炎は、肺の小さな気道に起こる炎症で、幼児期に救急外来を受診する原因として多い病気である。急性の気管支炎の子どもに対しては通常充分な水分補給を行い、必要に応じて酸素投与を行うなどの支持療法を受ける。CPAPによる治療ではポンプから空気を送り込み気道を広げることで気道を確保するものであり、気管支炎の子どもに対し有効である可能性がある。このレビューは2015年に出版され、2019年に更新されたレビューの再更新である。 検索期間 2021年8月15日現在のものを検索した。 研究の特徴 気管支炎と診断された生後12か月までの総計122名の子どもを含めた3件の小規模なランダム化比較試験(対象者を2つ以上のグループにランダムに振り分ける研究)を対象とした。今回の更新では新規の試験は見つからなかった。3件の研究はフランス、イギリス、インドで単一の施設で実施されいた。すべての研究でCPAPと標準的な治療とが比較された。 試験の資金源 1件の研究は大学病院から資金提供を受け、1件の研究は資金提供は受けていないと報告している。3件目の研究は資金提供元について明記していない。 主要な結...

精神障害者のためのランダム化試験における対照介入群

2 years 8 months ago
精神障害者のためのランダム化試験における対照介入群 この系統的レビューでは、精神障害者を含むランダム化試験におけるさまざまな対照介入群の効果を評価する。ランダム化試験では、患者は2つ以上の群(通常は実験介入群と対照介入群)のうちの1つに偶然的に割り付けられる。精神保健に関する介入研究において、対照介入群には多くの種類がある。最も一般的なものは、実験介入群における活性成分と仮定されるものを欠いた異なる種類の偽薬群や、患者が住んでいる地域の精神障害に対する標準治療を受ける標準治療群などである。他の2つのタイプの対照介入群は、順番待ち群または試験中に試験に関連したケアを受けない無治療群(ただし、一部の患者は試験外でケアを受けるかも知れない)である。順番待ち患者は、試験が有害性よりも有益性が高いと決着した後に実験的介入を提供されることがしばしばで、一方無治療参加者は、研究者から実験的介入を提供されることはない。 精神障害者を対象とし、順番待ち群、通常ケア群、偽薬介入群を順番待ち群または無治療群と比較したランダム化試験を検索した。有益な効果に関するすべての種類の対照介入群間の違いと、それらの対照介入群が何らかの有害な効果を引き起こしたかどうかを調べた。合計4,200人の参加者を対象とした96件の試験があった。使用可能なデータを提供したのは83件の試験(3,614人の参加者)だけであった。1...

てんかんに対する抗てんかん薬単独療法(単剤治療)

2 years 8 months ago
てんかんに対する抗てんかん薬単独療法(単剤治療) 背景 てんかんは、脳からの異常な放電により繰り返す発作が引き起こされる一般的な神経疾患である。このレビューでは2つの種類のてんかん発作について検討した:脳のある部位で始まる焦点発作と、両大脳半球で同時に始まる全般強直間代発作である。 てんかん患者の約70%は発作をコントロールすることができ、大多数の患者は抗てんかん薬単剤で発作をコントロールすることができる。現在、英国では成人および小児に対する国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインにおいて、新たに焦点発作と診断された患者にはカルバマゼピンまたはラモトリギン、新たに全般強直間代発作と診断された患者にはバルプロ酸ナトリウムを最初に試みるべき治療選択肢として推奨しているが、その他の抗てんかん薬も幅広く提供されている。 新たに発作と診断された患者にとって、最初に使用する抗てんかん薬の選択は非常に重要であり、発作を抑制する効果がどの程度あるか、副作用がどの程度かに関する質の高いエビデンスを考慮して決定されるべきである。また、異なる種類の発作に適した薬剤を比較検討することも重要である。 レビューの方法 本調査で対象とした抗てんかん薬は、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、フェノバルビトン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、レベチラセタム、ゾニサ...

早産児の罹患および死亡を予防するためのシクロオキシゲナーゼ阻害剤の予防的投与

2 years 8 months ago
早産児の罹患および死亡を予防するためのシクロオキシゲナーゼ阻害剤の予防的投与 レビューの論点 利用可能なシクロオキシゲナーゼ(COX-I)阻害薬(インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェン)のうち、生後72時間以内に動脈管開存症(PDA)の存在を事前に知らずに予防投与した場合に、最も安全で早産児の死亡や望ましくない結果を防ぐ効果が高いのはどれか。 背景 PDAは早産児や低出生体重児によく見られる合併症である。PDAは、肺と心臓の間に開いた血液路で、通常は生後まもなく閉鎖する。早産児では、PDAが開いたままになることが多く、生命を脅かす合併症の一因となる可能性がある。インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなどのCOX-I阻害薬は、PDAとそれに関連する望ましくない結果を予防できる可能性がある。3種類のCOX-I阻害薬のうち、どれが早産児の臨床結果を改善するかについては、論争が続いている。 研究の特性 PDAを有するかどうかわからないが生後72時間以内にCOX-Ⅰ阻害薬が投与された早産児(妊娠37週未満で出生した児)、低出生体重児(体重2,500g未満の児)、または早産児・低出生体重児を対象としたランダム化比較試験(参加者が2つ以上の治療群のいずれかへ無作為に割り付けられた臨床試験)について、科学データベースを検索した。対象となった試験では、インドメタシンまたはイ...
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8 hours 43 minutes ago
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