Latest Japanese Reviews

多発性硬化症がある人の状態の変化(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか?

1 year 2 months ago
多発性硬化症がある人の状態の変化(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか? なぜ多発性硬化症を研究することが重要なのか? 多発性硬化症(MS)は、脳、脊椎、神経の慢性疾患である。世界中で何百万人もの人々がこの病気を患っているが、病態やその経過は人によって大きく異なる。MSを完治することはできないが、症状を緩和したり、病状の悪化を遅らせるのに役立つさまざまな治療法がある。これらの治療法の作用の仕方はさまざまで、他の治療法より強い副作用を伴うものもある。MSの重篤度を理解することは、患者本人と医療従事者にとって重要である。 なぜ多発性硬化症では予後予測モデルが重要なのか? 予後予測モデルは、患者の病状がどれだけ進んでいるか、将来どの程度進行するか、患者本人と医療従事者が理解する上で助けとなる。この理解は、患者が人生や治療の選択を行う際のよりどころとなりうる。予後予測モデルはまた、医療従事者が個々の患者にどのような治療が最も適しているか判断したり、病気をよりよく理解するために、あるいは治療法を開発する上で役立ちうる。MSの予後予測モデルでは、病気がどのように進行していくかを予測するために、患者本人に関する一連のさまざまな情報を組合わせることになるかもしれない。予後予測モデルに組み込むべき重要な情報は、例えば、個人の属性に関する情報(年齢、性別、体格指数など)、行動に関する情...

多発性硬化症がある人の結果(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか?

1 year 2 months ago
多発性硬化症がある人の結果(評価項目)を予測するためにどのようなモデルがあるか? なぜ多発性硬化症を研究することが重要なのか? 多発性硬化症(MS)は、脳、脊椎、神経の慢性疾患である。世界中で何百万人もの人々がこの病気を患っているが、病態やその経過は人によって大きく異なる。MSを完治することはできないが、症状を緩和したり、病状の悪化を遅らせるのに役立つさまざまな治療法がある。これらの治療法の作用の仕方はさまざまで、他の治療法より強い副作用を伴うものもある。MSの重篤度を理解することは、患者本人と医療従事者にとって重要である。 なぜ多発性硬化症では予後予測モデルが重要なのか? 予後予測モデルは、患者の病状がどのだけ進んでいるか、将来どの程度進行するか、患者本人と医療従事者が理解する上で助けとなる。この理解は、患者が人生や治療の選択を行う際のよりどころとなりうる。予後予測モデルはまた、医療従事者が個々の患者にどのような治療が最も適しているか判断したり、病気をよりよく理解するために、あるいは治療法を開発する上で役立ちうる。MSの予後予測モデルでは、病気がどのように進行していくかを予測するために、患者本人に関する一連のさまざまな情報を組合わせることになるかもしれない。予後予測モデルに組み込むべき重要な情報は、例えば、個人の属性に関する情報(年齢、性別、体格指数など)、行動に関する情報(喫...

手術中に失われた血液を回収して患者自身に戻すことで、献血された血液をその患者に使用する必要性を減らせるか?

1 year 2 months ago
手術中に失われた血液を回収して患者自身に戻すことで、献血された血液をその患者に使用する必要性を減らせるか? 要点 本レビューでは、待機的で緊急性のない(外傷以外の)手術について、自己血回収術を用いる場合と用いない場合を比較した研究を評価した。手術にはさまざまなタイプがあるため、本レビューの対象は非常に広範である。エビデンスは手術のタイプによって分け、医師や患者が自身に関係するものを見つけやすいようにした。 がんの手術、人工心肺装置を使わない心臓手術、血管手術(大血管の手術)については、あまりエビデンスがない。 大半のエビデンスは、自己血回収術を用いると、献血された血液の必要性が少なくなる可能性を示唆している。自己血回収術を用いても通常の処置と比べて合併症は増えない(自己血回収術を用いた群と用いなかった群の間では差がなかった)というエビデンスは不確かだが、全体としては便益がある可能性を示している。しかし、強い結論を下す前に、エビデンスに影響している他の要素に注目した研究をさらに行う必要がある。 自己血回収術とは何か?また、なぜ用いられるのか? 手術を受ける人は、手術中に失われる血液を補うために輸血が必要になる場合がある。「輸血」は、患者の腕の静脈に挿入した細い管を通じて血液を投与するルーチンの医療行為である。輸血に使われるのは、多くは献血者から提供された血液である。輸血によって命を...

音楽療法は早産児とその両親に有益か?

1 year 2 months ago
音楽療法は早産児とその両親に有益か? 要点 ・音楽療法は、標準的なケアと比較して、おそらく早産児の介入中の心拍数を低下させる。この有益な効果は、介入後もさらに増大し、より確実性が高いものとなり、リラックス効果と安定化が長く持続することが示唆された。 ・音楽と音声による有害な影響は見られなかった。しかし、多くの研究で望ましくない影響の可能性について明確に探索していない。 ・介入による乳児、その両親、両親と乳児の愛着に対する他の明確な有益または有害な効果についてのエビデンスは見つからなかった。より明確な結論を出すには、より質の高いエビデンスが必要である。 早産児とは? 早産児とは、妊娠37週以前に生まれた新生児のことで、多くの場合、生存のために新生児集中治療室というストレスの多い環境で数週間から数カ月にわたって治療を受ける必要がある。 なぜ、早産児とその両親に対する音楽療法の潜在的な利点を調べるのか? 早産児はさまざまな健康上の問題を抱えるリスクがある。また、早産は両親にとってもトラウマとなる出来事である。そのため、早産児とその両親の身体的及び精神的健康を改善するために、新生児ケアにおける音楽療法などの補完的アプローチを用いることが多くなっている。しかし、さまざまな研究およびレビューが示す音楽療法の有効性は明確なものではない。矛盾するデータやレビューに対処するために、より包括的で厳格...

心理社会的介入はケアホーム入居者の抗精神病薬使用を減らすことができるか?

1 year 2 months ago
心理社会的介入はケアホーム入居者の抗精神病薬使用を減らすことができるか? 要点 一般的に心理社会的介入が、ケアホームにおける抗精神病薬の使用を減らす効果的な方法であるかどうかは不明である。この調査ではさまざまなアプローチが用いられ、一貫性のない結果が示されたが、異なる医療・社会保障制度における結果を一般化することは難しいようだ。心理社会的介入が、転倒事故や入院などの有害な出来事につながるというエビデンスはなかった。 なぜケアホームの入居者は抗精神病薬を処方されるのか? ケアホームの入居者の多くは認知症を持っており、病気の経過中の様々な時期に、感情や行動の問題を経験するが、より一般的に経験するのは認知症の後期である。症状は、入居者自身や介護者の双方にとって重く、困難の大きいものであり、不安、落ち着きのなさ、徘徊、幻覚(実際にはないものが見えたり聞こえたりする)、他人に対する攻撃的な行動などが含まれる。介護者は、入居者の困難な行動に直面し、その行動の原因、前兆、結果を分析することに直面する。 こうした症状や行動を抑えるために、抗精神病薬が使われることが多い。抗精神病薬は、主に精神病に関連した症状(物事を他の人とは違うように認識したり解釈したりする精神的な健康問題)の治療に使用されるが、認知症など精神病に似た症状を持つ他の病気にも使用される。これらの薬は必ずしも有効であるとは限らず、認...

早産児の気管支肺異形成予防のために静脈内投与されるさまざまな副腎皮質ステロイド(薬)治療の利点とリスクは?

1 year 2 months ago
早産児の気管支肺異形成予防のために静脈内投与されるさまざまな副腎皮質ステロイド(薬)治療の利点とリスクは? 要点 - このレビューでは、ネットワークメタアナリシス(NMA)を用いた。ネットワークメタアナリシスは比較的新しいツールであり、過去の臨床試験で直接比較されていない治療法も含め、関連するすべての治療法を比較することができる。 - NMAは既存のデータにわずかな情報を加えることができ、特に未熟児出生児の気管支肺異形成(BPD)予防のための副腎皮質ステロイド(薬)の投与量の違いによる効果の比較は重要であった。 - 長期的な有害性に関して、意思決定を完全に導くのに充分なエビデンスが得られていない。したがって、ステロイドを投与する最適な方法はまだ示せない。 BPD(気管支肺異形成)とは? 未熟児として生まれた新生児は、気管支肺異形成(BPD)として知られる肺障害を発症する可能性があり、これは深刻で永続的な有害な影響を及ぼす可能性がある。 BPDはどうすれば予防できるのか? 副腎皮質ステロイドとして知られる抗炎症薬は、その抗炎症作用によってBPDの発症を抑えることができるが、それなりの潜在的リスクもある。どの種類のステロイド(デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどがある)を使うか、どの程度の量を使うか、いつから治療を開始するかなど、これらの利点とリスクのバランスをとるための最適なステロ...

レイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)は、子どもの消耗症を効果的に発見し、治療することができるか?

1 year 2 months ago
レイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)は、子どもの消耗症を効果的に発見し、治療することができるか? このコクラン・レビューの目的は、消耗症(訳注:急性あるいは重度の栄養不足により、差し迫った死の危険に直面している状態のこと)の子どもの発見と治療において、専門の医療従事者よりもレイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)の方が効果的かどうか調べることである。 要点 このレビューの結果は、重度の消耗症に対してレイヘルスワーカー(補助的な医療従事者)からケアを受けた子どもは、専門の医療従事者からケアを受けた子どもと同じような結果になるか、わずかに結果が悪くなる可能性があることを示唆している。 消耗症とは何か? 小児期消耗症とは、身長のわりにやせすぎている子どもを指す。消耗症は、子どもが十分な食事や健康的な食事を摂っていない場合、あるいは病気のために起こる。消耗症に罹患している子どもは、病気の頻度が高く、発達に問題がある場合があり、特に消耗症が重症の場合は死亡する可能性が高い。何百万人もの子どもたちが消耗症に苦しんでおり、そのほとんどが貧しい国に住んでいる。 この問題に対する最善の解決策は、そもそも消耗症の発症をなくすことである。それが不可能な場合は、できるだけ早く消耗症の子どもを発見し、治療することが重要である。しかし、治療には数週間から数カ月を要することもあり、家族が治療を受けるには困...

長期にわたる慢性疼痛を抱える人々にとって、どのような遠隔で配信される心理学的アプローチが症状の改善に役立つのだろうか?

1 year 2 months ago
長期にわたる慢性疼痛を抱える人々にとって、どのような遠隔で配信される心理学的アプローチが症状の改善に役立つのだろうか? 要点 - オンライン認知行動療法は、最も一般的な遠隔で配信される心理療法である。慢性的な痛みを感じている人の痛みや障害を改善する可能性がある。 - 遠隔で配信される心理療法が生活の質(QOL)を向上させるのか、あるいは有害な影響を引き起こすのかは、エビデンスが限られており、その質も限定的であることが多いため、ほとんど不明である。 - 遠隔で配信される心理療法を調査するために、もっともっと良い研究が必要である。今後の研究では、より幅広い技術や治療法を検討し、起こりうる副作用に焦点を当てるべきである。 慢性疼痛に対する遠隔心理療法を検討する理由は? 慢性疼痛とは、3か月以上続く痛みのことである。慢性疼痛は、日常生活や幸福感に大きな影響を与える、一般的な経験である。心理療法は気分や痛みに関連した障害を改善することが分かっている。慢性疼痛に対する最も一般的な心理学的アプローチは認知行動療法(CBT)であり、思考、感情、行動の相互関係に焦点を当て、症状管理をサポートする。 残念ながら、心理療法を受けることは難しいかもしれない。こうしたサービスを提供する有資格の医療専門家の数は限られており、クリニックに通うことが物理的に困難な人もいる。テクノロジー(携帯電話、コンピューター...

ホルモン療法は、閉経期または閉経後の女性の性機能を改善するか?

1 year 2 months ago
ホルモン療法は、閉経期または閉経後の女性の性機能を改善するか? 要点 - エストロゲン(女性の性的・生殖的発育に関連するホルモン)単独では、おそらくプラセボに比べて性機能スコアが改善する。 - エストロゲンとプロゲストーゲン(別の女性ホルモン)、合成ステロイド(チボロンなど)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(エストロゲンの働きに影響を与える)、選択的エストロゲン受容体モジュレーターとエストロゲンの併用が、プラセボや無治療と比較して性機能に及ぼす影響については不明である。 - ホルモン治療や投与量の違い、評価に使用した質問紙法の違いにより、結果にばらつきが生じた可能性がある。 更年期障害とその女性への影響とは? 更年期とは、女性の月経が止まることで、通常45歳から55歳くらいである。更年期になると、卵巣は月経を調節するホルモンであるエストロゲンを徐々に分泌しなくなる。エストロゲンの減少は、月経が止まる前(更年期)、閉経中、閉経後に望ましくない症状を引き起こす可能性がある。症状には気分の変化、ほてり、寝汗などがある。性交痛、セックスへの興味の欠如、興奮やオーガズムに関する問題などの性的不満は、閉経後によく見られ、女性の自尊心、自信、性的健康に影響を与える可能性がある。 ホルモン療法とはどのようなもので、女性の性機能にどのように役立つのか? ホルモン療法は、更年期症状の軽減に役...

保育園、幼稚園、児童養護施設における健康的な食事プログラムは、どの程度成功しているのだろうか?

1 year 2 months ago
保育園、幼稚園、児童養護施設における健康的な食事プログラムは、どの程度成功しているのだろうか? 要点 - 幼児教育と保育(ECEC)の場(保育園、幼稚園、家庭的保育など)で実施される健康的な食事プログラムは、子どもの食事の質を改善し、果物の消費量を増加させ、野菜の消費量に好ましい影響を与える可能性があり、あまり健康的でない食品や砂糖入り飲料の消費量には影響を与えない可能性がある。子どもの体重に良い影響を与え、過体重や肥満のリスクを減らす可能性がある。 - 健康的な食事介入が節約になるのか、望ましくない効果をもたらすのかは、これらの点について情報を提供した研究がほとんどないため、わからない。 - 低中所得国のエビデンスはほとんど見つからなかったが、高所得国の健康的な食事プログラムは子どもの健康に役立つ可能性がある。これらのプログラムを実践するために、教育者やスタッフをどのようにサポートすればいいのかわからない。低所得国でのプログラムの提供やその効果について、もっと研究が必要である。 なぜ小児の食生活を改善することが重要なのか? 不健康な食事は、心臓病、2型糖尿病、ある種の癌を含む多くの長期的な病気のリスクになる。調査によると、不健康な食生活が原因で死亡する人は世界で1,100万人を超えると推定されている。食生活の行動や嗜好は、人生の早い時期に確立され、成人期まで続く。 健康的な食事...

小児の逆流性食道炎に対する薬

1 year 2 months ago
小児の逆流性食道炎に対する薬 レビューの論点 胃食道逆流の赤ちゃんや子どもにとって、最も安全で最善の治療法は何か? 要点 - 胃食道逆流症/逆流性食道炎の乳児に対する薬物療法のエビデンスは非常に不確かである; - 胃食道逆流症の小児に対するプロトンポンプ阻害薬の効果については、エビデンスが非常に不確かである。他の薬に関しては、結論を出すのに十分な証拠はなかった。 胃食道逆流とは何か? 胃食道逆流は、胃の内容物が食道に逆流することで起こる。ほとんどの赤ちゃん(1歳未満)は逆流の症状が治まるが、薬は役に立つのだろうか?子供(1歳以上)も大人と同じように逆流することがある。逆流は正常な場合もあるが(「生理的逆流」)、乳幼児や小児の場合、食道が炎症を起こし(食道炎)、痛みや体重減少などの症状を引き起こすことがある。逆流の厄介な症状は「胃食道逆流症」(GORD)と呼ばれる。 胃食道逆流はどのように治療するのか? 胃の内容物を濃くする薬(アルギン酸塩)、胃酸を中和する薬(ラニチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール)、胃を早く空にする薬(ドンペリドン、エリスロマイシン)などがある。 何を調べようとしたのか? 私たちは、赤ちゃんや子供の逆流を抑える最善の方法を知りたかった。私たちは、薬が乳幼児や小児の気分(症状スコア)を良くするか、食道を治すか(これは内視鏡検査(小さなカメラを食道に入れて検査...

メンタルヘルスとウェルビーイング(幸福)を向上させるツールとしてのメンタルヘルス・ファーストエイド

1 year 2 months ago
メンタルヘルスとウェルビーイング(幸福)を向上させるツールとしてのメンタルヘルス・ファーストエイド このレビューの重要性は? メンタルヘルス・ファーストエイドとは、「精神衛生上の問題を発症している人、精神衛生上の問題が悪化している人、精神衛生上の危機に陥っている人に提供される援助」と定義されている。ファーストエイドは、適切な専門家の援助を受けるか、危機が解決するまで行われる。 メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)は、一般の人々にメンタルヘルス・ファーストエイドを教えることを目的としたトレーニングプログラムである。MHFA訓練はカスケード・モデルで行われ、認定された指導員が研修を実施し、受講生がメンタルヘルス・ファーストエイドのスキルを習得できるよう指導する。訓練を受けた受講生は、職場や組織、地域社会の人々にメンタルヘルス・ファーストエイドを提供する。MHFA研修は、精神衛生問題についての知識を深め、それによって精神衛生問題につきまとうスティグマを軽減することを目的としている。受講生は、支援を受ける人への迅速な支援の提供方法と、必要なサービスに繋げる方法を学ぶ。 このレビューに関心を持つ人は誰か? MHFAトレーニングを検討している個人 従業員と雇用主 政策決定者 このレビューで明らかにしたいことは? メンタルヘルス・ファースト・エイド(MHFA)研修が、MHFA研修が実施...

中用量の吸入ステロイド薬でコントロール不良な喘息に推奨される治療選択肢

1 year 3 months ago
中用量の吸入ステロイド薬でコントロール不良な喘息に推奨される治療選択肢 要点 • 中用量の吸入ステロイド薬(ICS)に長時間作用性β2刺激薬(LABA)または長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を追加すると、経口ステロイド薬による治療を要する喘息発作が減少する可能性が高い。またICS単独と比較して、良好な症状コントロールのオッズ(達成確率)が増加するが、ICSの用量を2倍にしても、おそらく増加しない。LAMAよりもLABAの方がはるかに多くのデータが見つかった。 • 包含された研究の実施期間は平均わずか6か月であったため、高用量ICSの長期的な副作用について、さらに研究が必要である。ステロイドによる副作用を最小限に抑えるために、ICSは最小有効量で使用することが推奨される。 喘息とは何か、またどのように治療するのか 喘息とは、気道の炎症と狭窄(細く狭くなること)を特徴とする慢性呼吸器疾患であり、喘鳴(ぜんめい)、咳、胸の圧迫感、息切れなどの症状を引き起こす。治療には、発作治療薬(短時間作用性気管支拡張薬など)や必要に応じて発作予防薬(ICSなど)の吸入薬を使用するほか、発作の誘因を避け、健康的な生活習慣を維持することが必要である。 知りたかったこと この研究では、中用量のICSで喘息を上手くコントロールできていない10代および成人を対象に、喘息コントロールを改善するのに最適な方法を...

視機能、黄斑(目の奥の部位)の保護、および睡眠の質の向上のためのブルーライトフィルター付き眼鏡レンズ

1 year 3 months ago
視機能、黄斑(目の奥の部位)の保護、および睡眠の質の向上のためのブルーライトフィルター付き眼鏡レンズ 本レビューの目的は何か? 本レビューの目的は、ブルーライトカットレンズとしても知られるブルーライトフィルター付き眼鏡レンズが、視機能、黄斑の保護、および睡眠の質に与え得る利益と安全性について調査することである。本レビューの著者らは、関連するすべての研究を収集、分析し、入手可能な最良のエビデンスをまとめた。 要点 ブルーライトフィルター付きレンズは、通常のレンズと比較して、コンピューター作業による短期的な眼精疲労の軽減には差がない可能性がある。潜在的な有害作用は一時的で、一般的に軽度であり、そのほとんどはレンズ自体よりも、眼鏡全般に関連していると考えられる。 矯正視力(最高矯正視力)、濃淡や模様の違いを識別する能力(コントラスト感度)、色識別、明るい光によるまぶしさ(不快グレア)の軽減、目の奥の網膜(黄斑)の健康状態、睡眠の状態(血中メラトニン濃度や睡眠の質など)、および使用者の満足度など、視機能と睡眠における多くの側面に対するブルーライトフィルター付きレンズの効果についてのエビデンスを得るためには、今後のさらなる研究が必要である。 本レビューでは何が調査されたのか? 主要評価項目は、1か月以上レンズを使用した後に測定された眼精疲労の自覚的および定量的な評価における変化であり、その...

男性不妊でないカップルの体外受精における顕微授精と一般体外受精との比較

1 year 3 months ago
男性不妊でないカップルの体外受精における顕微授精と一般体外受精との比較 テーマ 体外受精(IVF)中の卵子受精において、総精子数と運動率が正常な男性を持つカップルを対象に、顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)と従来の体外受精(c-IVF)を比較した。 レビューの論点 総精子数と運動率が正常な男性を持つカップルにおける顕微授精と従来の体外受精の効果に関するエビデンスをレビューした。 背景 40年以上前に開始されて以来、体外受精は不妊治療の礎となっている。体外受精の過程では、卵巣を過剰に刺激して複数の卵子を採取する。従来の体外受精の場合、卵子は実験室で精子と一緒に培養され、受精するかどうか待たれる。もともと1992年に発見された顕微授精は、精子の数が少ないことを克服するための受精技術として導入された。顕微授精は現在、体外受精の追加治療としても用いられ、従来の体外受精で受精率が低かったり、完全に受精しなかったりした症例や、軽度の男性不妊症、あるいは原因不明の不妊症の場合にも利用されている。顕微授精が従来の体外受精と比較してより好ましい結果をもたらすかどうかを比較した。 研究の特徴 本レビューは、不妊治療を受けた計1,539組のカップルを対象として、顕微授精と従来の体外受精を比較した3件のランダム化比較試験(RCT)を含んでいる。エビデンスは2023年2月現在のものである。 主な結...

呼吸器を使用し、脳出血のリスクがある未熟児の痛みや不快感に対処する薬剤

1 year 3 months ago
呼吸器を使用し、脳出血のリスクがある未熟児の痛みや不快感に対処する薬剤 レビューの論点 痛み止め(鎮痛薬)は、正期産(訳注:37週0日~41週6日)よりも早く生まれて(「早産児」)機械的な呼吸補助を必要とする赤ちゃんの脳出血や死亡を減らし、長期的な発達を改善するか 背景 早産児、特に妊娠28週よりも前に生まれた赤ちゃんは、時に脳出血を起こすことがある。脳の出血が重度でなければ、赤ちゃんは完全に回復するか、のちに問題があっても軽度で済むかもしれない。出血が重篤になると死亡するか、のちにいくつか問題が生じる可能性がある。現在のところ、脳出血を予防したり治療したりする対処方法はない。 実施したこと 早産児の脳出血予防のための鎮痛薬を検討したコクラン・レビューを検索した。各レビューの質を評価し、その結果を要約することによって、各治療薬に関連する現在のエビデンスを一か所に集めた。 わかったこと コクラン・レビュー7件とコクラン・レビューのプロトコール(計画書)1件を対象とした。2件のレビューには、対象外の範囲の研究が含まれていた。たとえば、妊娠末期に普通に生まれた赤ちゃんや、呼吸器を必要としない赤ちゃんに焦点を当てたものなどである。それ以外の5件では、パラセタモール(3件)、ミダゾラム(3件)、フェノバルビタール(9件)、オピオイド(20件)、イブプロフェン(5件)が検討されていた。 主な...

運動ニューロン疾患として知られる筋萎縮性側索硬化症の患者における経腸経管栄養

1 year 3 months ago
運動ニューロン疾患として知られる筋萎縮性側索硬化症の患者における経腸経管栄養 要点 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者において、経管栄養の使用と経口栄養の継続を比較した、または、異なる種類や方法における栄養チューブ留置の安全性とタイミングを調査したランダム化または準ランダム化(部分ランダム化)比較試験は見つからなかった。ALSは運動ニューロン疾患(MND)の最も一般的な病態であり、この2つの用語はしばしば同じ意味で使われる。 ランダム化試験および準ランダム化試験は、参加者のグループにおける類似性を保証することを目的とした試験である。このような研究は、栄養チューブの挿入が経口栄養の継続と比較して生存期間を延長し、生活の質を改善するかどうかについて、臨床家やALS患者に情報を提供することができる。しかし、質の高いエビデンスがないにもかかわらず、国際的な専門家のコンセンサスやガイドラインがALS患者への経管栄養を支持しているため、このような試験を実施するには倫理的な問題がある。 ALSとは? ALSは、運動を司る神経が機能しなくなる病気である。ALSは衰弱を引き起こし、麻痺の状態になるまで時間の経過とともに悪化する。それは、ほとんどの場合が命に関わるものである。 ALS患者のほとんどが嚥下障害を発症する。これらは深刻な体重減少を引き起こし、患者は食べ物や飲み物を気管に吸い込む危険性がある...

6歳までの第二言語(L2)学習者への語彙介入

1 year 3 months ago
6歳までの第二言語(L2)学習者への語彙介入 要点 - このレビューに含まれる研究では、第二言語学習者に対する語彙介入は、子どもの第二言語の語彙学習に役立つかもしれないが、リスニングの理解力にはほとんど効果がないことが示唆されている。ただし、そのエビデンスは非常に不確かである。語彙の介入は、おそらくストーリーテリングのスキルを向上させるだろう。 - より長期的な効果を調査するために、第二言語学習者を長期にわたって追跡調査する、より質の高い研究が必要である。これには米国外の学習者も含まれるべきだ。 なぜこのレビューが重要なのか? 第二言語(L2)の能力が限られていると、学業成績に悪影響を及ぼす可能性がある。なぜなら、指導を受ける言語の語彙知識は、読解力、教室での学習、多様性の受け入れにおいて中心となるものだからである。成人期には、(母語(L1)の継続的な言語能力だけでなく)地域言語の熟達は、雇用、良好な人間関係、社会参加の予測材料となる。 レビューの目的は何か? 主な目的は、6歳までの第二言語学習者を対象とした語彙力介入が、語彙力と社会的および情動的なウェル・ビーイング(感情を理解し管理する能力、責任ある決断を下す能力、人間関係を構築し維持する能力、他者を理解し共感する能力)に及ぼす即時的および長期的な影響を調べることであった。第二の目的は、第二言語の語彙介入と第二言語学習者の一般...

糖尿病患者に対する手術前、手術中および手術後の厳格な血糖管理にはどのような効果があるのか

1 year 3 months ago
糖尿病患者に対する手術前、手術中および手術後の厳格な血糖管理にはどのような効果があるのか 要点 - 厳格な血糖管理は血糖値の低下を招き、「低血糖」(健康な血糖値を下回ること)のリスクを高める可能性がある。 - 厳格な血糖管理によって死亡率は低下しない。また、感染症および腎障害のリスクは減少せず、入院期間や集中治療室の滞在期間が短縮されることもない。しかし、厳格な血糖管理によって心血管障害のリスクが減少する可能性がある。 - さまざま種類の手術に対する厳格な血糖管理の効果を明らかにするには、さらに多くの研究が必要である。 これまでにわかっていること 周術期とは、病棟への入院、麻酔、術後の回復など、患者ひとりの手術前、手術中、手術後の各段階を網羅した外科手術前後の期間のことである。糖尿病患者は、通常よりも手術後の合併症のリスクが高い。糖尿病は術後の合併症の危険因子としてよく知られており、入院期間の延長、医療資源の利用の増加、さらに死亡率の上昇を引き起こす。最も重大な合併症のひとつが、手術前後の感染症リスクの増加である。しかし、糖尿病患者の手術に伴うリスクを減らすために、周術期に、通常よりも厳格な血糖管理を目指すことが、従来の血糖値を目標とするよりも優れているかどうかは明らかになっていない。 知りたかったこと 前回のレビューの結果は、糖尿病患者に対する手術中の血糖管理方法について明らか...

機能性月経困難症の治療としての配合経口避妊薬(OCP)

1 year 3 months ago
機能性月経困難症の治療としての配合経口避妊薬(OCP) 論点 コクランは月経痛(生理痛、月経困難症とも呼ばれる)の治療に対する配合経口避妊薬(OCP)の有効性と安全性に関するエビデンスをレビューした。 背景 OCPは月経痛の治療薬としてしばしば使用されているが、その効果についてのエビデンスは不確かであった。 研究の特徴 OCPの効果をプラセボ(偽薬)、他のOCP、痛みや炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬のいずれかと比較した21件のランダム化比較試験(2つ以上の治療群のうちひとつに無作為に割りつける臨床試験)を特定した。これらの研究には3,723人の女性が含まれていた。ほとんどの女性は、少なくとも中等度以上の痛みを伴う月経痛があった。11件の研究がOCPの製薬会社から資金を提供されていた。2023年3月にデータベースを検索した。 主な結果 OCPとプラセボの比較 OCPは、月経痛のある女性において、プラセボと比較して、月経困難症総合スケール(0~6の範囲)で0.7~1.3ポイント痛みを軽減する(588人の女性を対象とした6件の研究;質の高いエビデンス)。改善を「はい/いいえ」で評価した6件の研究では、OCPは痛みを軽減する可能性があることが示された。プラセボでは28%の確率で症状が改善し、OCPでは37%~60%の確率で改善する可能性がある(質の低いエビデンス)。 OCPは副作用の...
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