5 months 1 week ago
アスピリンに対する耐性を誘発する方法は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に対して過敏症のある成人にとって有効な治療法か? 主要メッセージ • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に対して過敏症のある人における治療選択肢としてのアスピリン減感作(ATAD)(過敏症を誘発する薬(アスピリン)を少しずつ体内に取り入れ、アスピリンに対する耐性を誘発する方法、すなわちアスピリンに徐々に慣らしていく方法)の利益と有害性は、確実なエビデンス(科学的根拠)が不足しているため、不明なままである。 • ATAD療法は生活の質の向上につながるかもしれないが、そのエビデンスは小規模な研究から得たものである。 • 今後の研究では、手術や副腎皮質ステロイド(薬)(以下,ステロイド)使用の必要性に対し、アスピリン治療(アスピリン減感作療法)の明確な効果を実証するために、大規模な研究を行うべきである。 NSAID過敏喘息(NSAID不耐性、アスピリン喘息)とは? NSAID過敏喘息(N-ERD)とは、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDsによって誘発される過敏症であり、鼻ポリープ(鼻茸、鼻や副鼻腔の粘膜の良性の腫瘍)や喘息を伴うまたは伴わない慢性の鼻副鼻腔炎(12週間以上続く鼻と副鼻腔の炎症)を合併している。N-ERDがある人にNSAIDを使用すると、30分から120分以内に鼻水、鼻閉(鼻づまり)...
6 months ago
25歳までの若者の自傷行為や自殺を防ぐために、学校、大学で行われている活動(介入)は効果的か? 主な結果 - この疑問に答える研究は51件見つかったが、自傷行為を減らすための教育現場での介入の影響については不明確なままである。 - 有望な結果もあるが、それを確認するためには大規模な研究が必要であり、若者と共同で設計された、安全な環境で、長期間にわたって実施できるさまざまな介入アプローチの組み合わせを検討する研究が必要である。 自傷行為や自殺を防ぐには? 若者の自傷行為や自殺は、若者やその友人、一緒に過ごす他の若者、そして地域社会に苦痛を与える重大な公衆衛生の問題である。自殺や自傷行為を予防するための活動は、若者を守るスキル(技能)の構築など、変えることのできる要素に取り組むものである。活動は主に3つの種類がある。 「普遍的介入」とは、メンタルヘルスや自殺啓発教育プログラムのように、自傷行為や自殺予防に関する知識やスキル(技能)を高めることを目的としたものである。また、「普遍的介入」とは、問題解決能力のような、保護因子として働く特異的なスキルを教えるものである。これは否定的な態度や羞恥心を減らすのに役立ち、自殺願望があったり自傷行為に及んだりした場合に助けを求める可能性を高める。 「選択的介入」は、自殺願望があったり、自傷行為に及んだりしている人に気づき、支援を提供するものである。...
6 months ago
自分自身で記入する認知機能評価ツールは、どの程度正確に認知症を発見できるのだろうか? 主な結果 - このエビデンスは、認知症の発見と診断に、自己記入式認知機能評価ツールを使用できることを示唆している。 - 一種類の評価ツールを他のものよりも推奨する十分なエビデンスはない。 - 診療所や家庭など、さまざまな環境におけるこれらの認知機能評価ツールの使用や、認知症を示すスコアについて、さらなる研究が必要である。 なぜ認知症の発見を改善することが重要なのか? 世界的に長寿化が進んでいるため、認知症と診断される人の数は今後大幅に増加すると予想されている。認知症の人が増えると、多大な医療や社会にかかわる費用をもたらすだろう。認知症は、日常生活に介助が必要になるまで記憶力が低下する永続的な症状である。正確で迅速な診断により、認知症の人やその家族は治療や支援を受けることができる。病態が存在するのに気づかなかった場合(偽陰性)、記憶、思考、行動を助ける治療を受けるのが遅れたり、ソーシャルワークや作業療法などの社会サービスからの支援を受けるのが遅れたりすることがある。認知症の誤った診断(偽陽性)は、検査を受けた人とその家族に精神的、心理的苦痛を与える可能性がある。現在、認知症の診断には専門のクリニックでの対面評価が必要であり、病歴、身体検査、血液検査、脳スキャンなどが検討される。 自己記入式認知機能...
6 months 1 week ago
生徒の健康を向上させるための学校単位の方針と実践の改善 主な結果 - 学校やその職員は、支援する戦略が用いられた場合、生徒の健康的な食事、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための介入をより適切に実施することができる。 - 学校とその職員がこうした介入策を実施するのを支援するためには、どの個別戦略が最適なのかを理解するために、さらなる研究が必要である。 - これまでの研究では、学校への実施支援による好ましくない影響は確認されておらず、その費用に関する情報も限られている。 知りたかったこと 5歳から18歳の生徒の食事、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための学校単位の介入策の実施を支援するために、どのような戦略が有効であるかを知りたかった。例えば、学校食堂の運営者に対する教育や訓練(実施戦略)により、健康的でない食品の入手を減らし(実施結果)、生徒の食生活を改善するための健康的な食堂政策の実施(介入)を改善できるかどうか。また、費用対効果はあるのか、有害作用はないのか、などを知りたかった。その他の戦略の例としては、品質向上のための方法、学校の様子に関するフィードバック、注意書きや注意喚起、教育資源(マニュアルなど)などがある。 実施したこと 介入の実施を支援する戦略の使用したものとしていないものを比較した研究、あるいは2種類以上の異なる実施戦略を比較し...
6 months 1 week ago
妊娠中の鉄欠乏性貧血治療における鉄剤の静脈注射と経口投与の利点とリスクは? 要点 妊娠中の鉄分不足による貧血の治療には、鉄剤の経口投与よりも静脈注射の方が適している可能性が高い。 鉄剤の静脈注射は、経口投与と比べて、産後の大量出血にほとんど差がないかもしれない。また、輸血の必要性にもほとんど差がない可能性が高い。 重篤な副作用はまれであり、鉄剤の経口投与と比べて、鉄剤の静脈注射で増加することはない。 鉄欠乏性貧血とは? 鉄欠乏性貧血は、血液が全身に酸素を運ぶ能力に影響を与える疾患である。血液中の鉄分が不足することで発症する。血液中の鉄分が不足すると、全身の細胞に酸素を運ぶのに必要なヘモグロビンが十分に作られなくなる。鉄欠乏性貧血になると、疲労、脱力感、頭痛、めまい、息切れなどが起こる。 鉄欠乏性貧血を鉄剤で治療するには? 鉄剤による治療は、血液中の利用可能な鉄の量を増やすのに役立つ。したがって、貧血の原因が他になければ、ヘモグロビンの濃度を上げることができる。鉄剤による治療の手段には、主に静脈注射と経口投与の2種類がある。さらに、それぞれの投与法に、複数の製剤があり成分が異なるものも多くある。 何を調べようとしたのか? 妊娠中の鉄欠乏性貧血の治療において、鉄剤の経口投与よりも静脈注射の方が優れているかどうか、また、投与経路の違いによって生じる好ましくない影響について調べたいと考え...
6 months 2 weeks ago
運動は変形性膝関節症に対する効果的な治療法か? 主なメッセージ - 運動は、アテンションコントロールグループ(研究担当者またはケア提供者との1回以上の関わりがあるグループ[訳注:健康教育や栄養指導など、痛みや機能等の結果に影響しない介入をうけた])やプラセボグループ[訳注:痛みや機能等の結果に影響しない介入を受けた]と比較した場合、痛みや身体機能の改善につながり、治療なしや通常のケア(かかりつけ医による日常的な治療など)、限定的な教育(基本的な情報が載ったパンフレットやオンライン情報へのリンクの提供など)と比較した場合、痛みや身体機能、生活の質(QOL)の改善につながる可能性がある。また、運動に別の治療を加えた場合も、その治療のみのときと比較して、痛み、身体機能、QOLの改善につながる可能性がある。しかし、その効果は臨床上重要かどうかは不明であり、患者にはっきりとした違いがわかるような症状の変化がない可能性があった。 - 研究数が多いにもかかわらず、多くの研究は参加者数が少なく、研究の質も低かった(参加者は自分がどの治療グループかどうかを知っていたなど)ため、結論に対する確実性が低かった。 運動は変形性膝関節症の人にどのように役に立つか? 変形性膝関節症は、持続的な痛みや能力が低下する原因となることが多い。運動は筋力を増加させ、関節の機能と可動域を改善することを目的としており、変...
6 months 3 weeks ago
筋力トレーニングはがんと診断された人の倦怠感に対する有効な療法であるか? 要点 ‐がんの治療中に筋力トレーニングを行うと、倦怠感が軽減され、生活の質 (QOL)が向上する可能性がある。 ‐がんの治療後に筋力トレーニングを行うと、生活の質 (QOL)がやや向上するかもしれない。 ‐より多くの研究が行われれば、がんの治療前の筋力トレーニングの効果を理解するのに役立つだろう。 がん関連倦怠感とはなにか? がん関連倦怠感は、長期間続く極度の疲労感である。原因はがんそのもの、がんの治療、あるいはその両方である。がん関連倦怠感は身体と気分の両方に影響し、通常の活動を行うのが難しくなる。単なる疲労よりも強く、休んでも回復しない。 筋力トレーニングとは何か、またどのような効力を持つか? 筋力トレーニングとは、たとえばダンベル、トレーニングマシン、エクササイズバンド、あるいは自身の体重など、負荷をかけて筋肉を働かせるタイプの運動である。筋力トレーニングは、がん関連倦怠感に関係する多くの側面で作用する。たとえば、筋力を強化し、筋肉の減少を防ぎ、気分、睡眠、健康状態を改善する。このため、筋力トレーニングはがん関連倦怠感の緩和に役立つ可能性がある。 知りたかったこと 知りたかったのは、筋力トレーニングによってがん関連倦怠感が緩和されるかどうかである。倦怠感に対する何らかのプラスの効果がトレーニング終了後...
6 months 3 weeks ago
臨床試験の結果が公表されるまでの期間は? このレビューはどのような疑問を解決するのか? 健康介入を検討するために実施された臨床試験(研究)のうち、ジャーナルに掲載されたものはどれくらいあるのか。論文発表率や論文発表までの期間は、試験結果の性質、参加者や試験施設の数、あるいは試験の資金源に影響されるのか。 主な結果 全臨床試験の半数近く(47%)が未発表のままである。 臨床試験が公表されるかどうか、またどのくらいの期間を要するかは、肯定的な結果が得られたかどうか、臨床試験の規模、単施設か多施設か、どのような組織が資金を提供したか、などに影響される。 出版と出版バイアスとは何か? 臨床試験結果の公表にはいくつかの段階がある。このプロセスは、臨床試験が実施されることから始まり、その後、試験の目的、方法、結果を記載した要約文書(原稿)が作成される。原稿はジャーナル編集者に送られ、編集者や同僚、そして原稿のテーマに関する専門家であるが、試験には関与していない査読者によってチェックされ、コメントされる。原稿が正しく適切であると評価されれば、オンラインまたは印刷されたジャーナルに掲載され、研究結果に関心を持つ人々に読まれることになる。原稿にアクセスするには購読料が必要な場合もあるが、多くの場合は「オープンアクセス」、つまり自由に利用できる。試験結果を公表するかどうかの決定が、その結果の性質、す...
7 months ago
オメガ3多価不飽和脂肪酸の補充は、小児および青年期のうつ病治療においてプラセボより優れているか? 要点 - 確固としたエビデンスが不足しているため、小児や青年期のうつ病治療におけるオメガ3多価不飽和脂肪酸(食事から摂取しなければならない重要な脂肪である)の補給の利益と好ましくない影響は不明である。 - 小児および青年期のうつ病に対するオメガ3多価不飽和脂肪酸補給の潜在的な利益と有害性をよりよく推定するためには、より大規模でデザインされた研究が必要である。 なぜ、うつ病の小児や青年の治療法を見つけることが重要なのか? うつ病がある人は、気分が落ち込んだり、いつもの活動に対する喜びや興味を失ったりする。 長期にわたる(慢性の)障害であり、重篤であると同時に再発を繰り返す(体調が良い時期があっても再発することがある)。小児期や青年期に発症することが多く、100人に8人が罹患するといわれている。残念ながら、小児や青年のうつ病に対する現在の治療に対する反応は悪く、症状の緩和(寛解)は困難である。最近の研究では、オメガ3多価不飽和脂肪酸のサプリメントが成人のうつ病の治療薬として有望視されている。これらの有益な脂肪は体内で作ることはできないが、油性の魚や海産物、特定のナッツ類や種子類に自然に含まれている。また、カプセルや液状のサプリメント(例えば、タラ肝油カプセル)として毎日与えることもできる...
7 months ago
筋緊張性ジストロフィーにおける日中の過度の眠気(過眠症)に対する覚醒度を高める薬(精神刺激薬) 要点 - 覚醒度を高める薬(精神刺激薬)が、客観的な睡眠検査で評価される日中の過度の眠気(過眠症)に及ぼす影響は、非常に不確かである。 - 精神刺激薬は、患者の自己評価による過眠症を改善する可能性がある。 - 筋強直性ジストロフィーに対する精神刺激薬の有効性と安全性について、短期および長期の両方について、より多くの研究が必要である。 筋強直性ジストロフィーにおける過眠症とは? 筋強直性ジストロフィーは遺伝性の筋ジストロフィーで、筋力低下と萎縮を引き起こす。日中の過度の眠気(過眠症)は、筋緊張性ジストロフィーがある人に頻繁にみられる訴えであり、呼吸のコントロールの問題に関連している。 筋緊張性ジストロフィーの過眠症はどのように治療するのか? 精神刺激薬は覚醒度を高める薬で、カフェイン、アンフェタミン、セレギリン、メチルフェニデート、モダフィニルが含まれる。 知りたかったこと 筋緊張性ジストロフィーの過眠症の治療において、精神刺激薬がプラセボ(ダミー治療)や無治療よりも優れているかどうかを調べたかった。 実施したこと 筋強直性ジストロフィーおよび過眠症の小児および成人において、精神刺激薬をプラセボまたは無治療と比較した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方法や規模などの要因に基...
7 months ago
分娩第2期に会陰にヒアルロニダーゼを注射すると、出産する女性の会陰外傷を減少させられるか? 要点 分娩第2期の女性に対して、会陰にヒアルロニダーゼという物質を注射すると、何も介入しない場合に比べて、会陰外傷(予期せぬ会陰裂傷、または会陰切開として知られる意図的な外科的処置、あるいはその両方)のリスクを減らす可能性がある。ヒアルロニダーゼの注射とプラセボ(偽薬)の注射を比較した場合、差はないかもしれない。 分娩第2期に会陰にヒアルロニダーゼを注射すると、プラセボ注射と比較して、経腟分娩24時間後の会陰の腫脹をおそらく減少させる。 経腟分娩において会陰にヒアルロニダーゼを注射することの意義を十分に評価するためには、より質の高い研究が必要である。 経腟分娩における会陰外傷とは? 会陰は、泌尿生殖器と肛門を取り囲む組織からなる。会陰外傷とは、経腟分娩の際に、自然に起こる会陰裂傷と外科的に切開する会陰切開を合わせた損傷をさす。経腟分娩後の会陰外傷は非常に一般的だが、短期的および長期的な健康障害を伴うことがある。会陰外傷は、その重症度や損傷の範囲によって、第1度、第2度、第3度、第4度に分類される。 なぜ、経腟分娩時の会陰外傷を軽減する可能性のある技術を評価することが重要なのか? 会陰外傷は、出血、創部感染、肛門括約筋断裂、排尿困難、肛門失禁、肛門挙筋の損傷、性的問題などを起こす。そのため、...
7 months 1 week ago
フッ化ジアンミン銀は小児および成人に対するう蝕の予防と管理に有効か? 要点 - う蝕の予防や治療において、フッ化ジアンミン銀(SDF)の使用が、治療を行わなかった場合よりも優れているかどうかは不明である。 - う蝕の予防や治療において、SDFが他の方法よりも優れているかどうかは不明である。 ‐ 新たな研究により、SDFの有害事象、SDFによる歯の着色が問題となるかどうか、および最善の治療方法について解明できる可能性がある。 う蝕(むし歯)とは何か? う蝕(むし歯)は、口の中の細菌が食べ物の糖分を分解して酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を侵食することで起こる。その結果、歯に窪みや穴が生じる。う蝕は乳歯の歯冠部(歯肉より上の部分)、および永久歯の歯冠部と歯根部に影響を与える。予防や治療を行わない場合、歯痛や感染症を起こしたり、あるいは歯を失う可能性もある。 う蝕の予防または治療方法には何があるのか? う蝕の予防または治療方法には、細菌の侵襲から歯を守るために、液体やジェル状の薬剤を歯に塗布したり、シーラントを用いる方法がある。また、大きなう蝕の場合には充塡材を用いて治療することもある。フッ化ジアンミン銀(SDF)は安価な液状の薬剤であり、歯科医師や他の医療従事者によって歯に塗布することができ、特別な健康上の配慮が必要な患者を含め、あらゆる年齢層の患者に適用可能である。しかし、SDF...
7 months 2 weeks ago
ガランタミンはアルツハイマー病による認知症や軽度認知障害に効果があるか? 主要な結果 アルツハイマー病による認知症のある人の場合、ガランタミン(推奨用量は1日16mgから24mg)は、治療後6か月および治療後2年で、記憶力とセルフケア活動をする能力の低下を遅らせる。 軽度認知障害がある人の場合、ガランタミンとプラセボ(不活性薬または偽薬)を比較しても、記憶力の改善やセルフケア活動をする能力に差はない。 ガランタミンはプラセボと比較して、より多くの副作用(吐き気、嘔吐、下痢)を引き起こしたが、いかなる原因による死亡に関しては差はなかった。 背景 アルツハイマー病は、記憶、思考、行動の問題を引き起こす、高齢者の間で最も一般的な認知症である。この病気は時間とともに悪化し、日常生活に支障をきたすようになる。軽度認知障害のある人の場合、思考や記憶に影響を及ぼす症状は軽度で、通常は日常生活や活動に支障をきたすほど深刻ではない。 現在、アルツハイマー病の治療法はないが、症状を改善する薬はある。ガランタミンは、アルツハイマー病の症状を治療するために米国食品医薬品局(FDA)により承認された3種類のコリンエステラーゼ阻害薬の1つである。ガランタミンは、信号を伝達する脳内の化学物質アセチルコリンの濃度を高めることによって作用し、アルツハイマー病の症状を改善する可能性がある。 現在、軽度認知障害の治療...
7 months 2 weeks ago
スタチンを服用することで、血栓を起こしたことのない人の静脈に血栓ができるのを防げるか? 主な結果 - 静脈血栓塞栓症(VTE;静脈内に血栓ができたりそれが詰まったりする疾患)の一次予防を目的としてスタチンを使用したら、VTEおよび何らかの原因による死亡の発症率をわずかに減少させるかもしれないが、その減少幅は小さすぎて重要ではないかもしれない。 - スタチンは、深部静脈血栓症(DVT:下肢に血栓ができる疾患)、肺塞栓症(PE:肺の血管に血栓が詰まる疾患)、ミオパチー(骨格筋に影響を及ぼす疾患)を起こす可能性に影響を与えないかもしれない。 - 入手可能なエビデンスは限られており、その信頼性については確実ではない。今後の前向き研究は、十分な計画のもとに実施されるべきである。多くの人々が参加し、少なくとも1年以上の妥当な期間にわたって実施されるべきである。 静脈血栓塞栓症(VTE)とは何か? VTEとは、静脈に血栓ができて血管が詰まる病気である。血栓ができた静脈の血流が減少し、腫れや痛みを引き起こす。VTEは下腿、大腿、骨盤の「深部静脈」で起こることが最も多く、DVTと呼ばれる。血栓が外れて肺に移動した場合は、PEと呼ばれる。世界では、年間10万人あたり、57人がVTE、35人がDVT、21人がPEと診断されている。 スタチン系薬剤には、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピ...
8 months ago
慢性腎臓病と高血圧がある人にとって、血圧目標値を標準的な降圧目標値より低く設定すると、より多くの利益が得られるか? 主要な結果 ・血圧が高い人(高血圧患者)の血圧を下げると、健康上の利益が得られる。しかし、高血圧と慢性腎臓病の両方がある人において、血圧目標値をどれだけ低くするべきかはわかっていない。 ・血圧目標値を標準的な降圧目標値より強化しても(標準的な降圧目標値より血圧を下げても)、慢性腎臓病がある人の死亡数、重篤な好ましくない有害事象、あるいは心血管系イベント(心臓や血管に影響を与える疾患)は減らない可能性がある。血圧目標値を低くしても、心血管系疾患に関わる死亡数を減らしたり、腎臓病の悪化を遅らせたりすることはできないかもしれない。 慢性腎臓病とは? 慢性腎臓病とは、腎臓の機能が低下および損傷し、血液を正常に濾過できなくなる長期的な疾患である。慢性腎臓病は時の経過と共に進行しうるため、いずれは腎臓がまったく機能しなくなる可能性がある。高血圧(異常に高い血圧)は糖尿病に次いで二番目に多くみられる慢性腎臓病の原因である。 慢性腎臓病はどのように治療するか? 高血圧と慢性腎臓病がある人に対する治療法はないが、血圧を下げることで腎臓病の進行を遅らせることができる。しかし、最適な血圧水準についてはまだよくわかっていない。 知りたかったこと 知りたかったことは、高血圧と慢性腎臓病がある...
8 months ago
SARS-CoV-2感染者を診断するのに、(RNA抽出・精製を事前に行ったRT-PCR検査に代わる)検査室で行う分子検査はどの程度正確なのか? 要点 * TMA検査(逆転写酵素とRNA合成酵素を利用した、核酸増幅検査)と、RNA(ほとんどの生物学的機能に必須な分子)を抽出・精製する工程を省けるように特別に設計された市販のRT-PCR検査(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を利用した、核酸増幅検査)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者を特定するために、RNAの抽出・精製を事前に行うRT-PCR検査に取って代わるのに十分な精度があると思われる。しかし、エビデンスには若干の限界があるため、これらの結果は慎重に解釈・使用する必要がある。 * 他の検査室で行う分子検査の精度は、RT-PCR検査の代替検査として行うには、世界保健機関(WHO)が推奨する基準を下回っているか、信頼できる結論を導き出すのに十分な量のエビデンスがない。 * 評価した検査から得られた精度に関するデータを同じ技術を用いた他ブランドの検査に外挿することは、解析した主な検査手法がそれぞれ高精度だったブランドの検査によって占められていたため、困難である。実際の臨床現場におけるこれらの検査については、さらなる評価が必要である。 SARS-CoV-2感染者を特定するための、検査室で行う分子検査にはどのようなものがあるか?...
8 months 2 weeks ago
水道水へのフッ化物添加はむし歯の予防に有効か? 要点 - 水道水へのフッ化物添加は、小児における乳歯のう蝕をわずかに減少させる可能性がある - 水道水へのフッ化物添加は、う蝕に罹患していない小児がわずかに増える可能性がある - 水道水へのフッ化物添加の利点は、歯磨き粉(歯磨剤)へのフッ化物添加が普及する以前よりも少ない可能性がある むし歯(う蝕)とフッ化物の使用 むし歯(う蝕)は、成人や小児のほとんどが罹患する世界的な問題である。う蝕を治療せずに放置すると、痛みを引き起こし、歯を抜かなければならなくなる可能性もある。 フッ化物は無機物として水中にさまざまな濃度で存在し、う蝕を予防する効果がある。1975年以降、フッ化物はほとんどの歯磨剤に含まれている。フッ化物は洗口液にも使用されており、歯科医師はフッ化物を治療に応用している。また、地域の水道水にフッ化物を添加することも可能であり、この場合、当該地域のすべての人に対しフッ化物を応用することができる。 小児が永久歯の形成期にフッ化物を過剰に摂取すると、永久歯に白い斑点が生じることがあり、これは歯のフッ素症と呼ばれる。歯のフッ素症は多くは非常に軽度で、ほとんどが目立たない白い線や筋ができる程度である。しかし、まれにフッ素症が顕著に現れることもあり、歯の見た目に悪影響を及ぼすこともある。 何を調べようとしたのか? フッ化物を添加した水道...
8 months 2 weeks ago
統合失調症がある人やその家族を対象とした介入は、標準治療よりも効果的なのか? 要点 - 家族介入によって統合失調症がある人の再発を減少させる可能性がある。 - 家族介入は介護者の負荷を軽減する可能性が高く、統合失調症がある人の家族における感情表出(家族関係や交流関係を含む患者にとって不利な家族環境)を改善する可能性がある。 - 統合失調症がある人とその家族に対する家族介入について確かな結論を出すためには、さらなる研究が必要である。 統合失調症とはどのような病気で、家族にどのような影響を及ぼすのか? 統合失調症は深刻で長期にわたる精神障害である。統合失調症がある人は、妄想、幻覚、まとまらない言動、活動性やセルフケアの低下、あるいはこれらの症状の組み合わせに悩まされることがある。また、回復してもまた病気になる(再発)ことが多い。治療は通常長期的で、薬物療法と、社会技能訓練、会話療法、行動療法などの「心理社会的」介入が含まれ、統合失調症がある人の症状の回復と管理を支援する。家族は病気の家族の世話において重要な役割を担っており、その結果、家族に精神的苦痛や大きな負担がかかり、統合失調症がある人の再発リスクを高める可能性がある。家族への介入は、家族の知識、感情、行動、そして家族環境全体を改善することに焦点を当て、それによって家族の幸福と患者の症状管理に利益をもたらす。プライバシーや家族への...
8 months 2 weeks ago
心理的または教育的な介入(もしくはその両方)は自宅で生活している高齢者の転倒を減らすことができるか? 主なメッセージ - 心理的な介入、すなわち動機づけ面接(「変わりたい一方で変わりたくない」のような不確定な気持ちを丁寧に引き出し、個人の内発的動機づけを促すことで行動変容を目指す方法)とコーチングを含む介入に、それに合わせた教育的な介入(運動や薬物療法に関するアドバイスなど)を組み合わせても、転倒する人数(転倒者)はほとんど、あるいは全く変わらないが、転倒する回数は減少する可能性が高い(ただし、どの程度減少するかは不明)。 - 個々の心理的または教育的な介入の効果を確信できるほどの十分に質の高いエビデンスはなかった。 調べたかったこと 年齢を重ねるにつれ、転びやすくなり、ケガをする可能性が高くなる。高齢者の3人に1人が毎年転倒していると推定され、転倒は自立した生活や健康寿命に影響を及ぼす可能性がある。転倒はさまざまな理由で起こるが、それぞれの危険因子(筋力低下、視力、環境、薬など)に合わせた運動や介入を行うことで、転倒を減らすことができる。転倒するかもしれないと不安になれば、行動を制限することになり、転倒リスクが高まる可能性がある。心理的な介入は、転倒に対する不安を軽減し、転倒を予防するための行動をとる意識や意欲を高めることを目的としている。教育的な介入は、転倒のリスクを減らす方...
8 months 2 weeks ago
小児喘息の発作における非侵襲的陽圧換気法 要点 ・どの研究でも、死亡または重篤な好ましくない事象は一切報告されていない(1件で挿管率(気管へのチューブ挿入)の報告があるのみ)。 ・非侵襲的陽圧換気は喘息症状スコアの改善、挿管率の低下につながり、小児集中治療室の滞在期間がわずかに短縮される可能性があるが、この結果の確実性は非常に低い。 小児喘息の発作に対してどのような治療が行われるか 喘息は世界的に重要な公衆衛生上の課題で、経済的な影響も大きい。喘息のある小児には、入院や、場合によって集中治療室入室が必要となる発作がしばしば起きる。 喘息発作に対する治療は、特に集中治療室に入室した小児の場合、主に、気道の筋肉を弛緩させる気管支拡張剤と炎症を抑えるステロイド(薬)の吸入または静脈内投与(静脈内への注入)である。これらの患者の多くは、うまく呼吸ができないので、持続陽圧換気(CPAP)や二相性陽圧換気(BiPAP)などの非侵襲的陽圧換気(NPPV)の形で呼吸補助が行われる。これらはいずれも侵襲的な人工気道を使わずに陽圧による呼吸補助を行う方法である。CPAPでは、かかる圧力は呼吸のサイクルを通じて一定だが、BiPAPでは息を吸うときには、吐くときよりも高い圧力がかかる。この陽圧はしばしば、フロージェネレーター(加圧空気供給装置)に接続された鼻マスクまたは(鼻と口を覆う)顔面マスクを介して...
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