8 months 1 week ago
妊娠中における日常的な鉄の経口的補充の効果 要点 鉄のサプリメントを毎日摂取している女性は、プラセボを摂取している女性や鉄を補充していない女性と比較して、出産予定日前後の出産時に貧血や鉄欠乏が減少する可能性がある。 本レビューのエビデンス(科学的根拠)から、鉄の補充が女性とその児のその他の転帰に与える影響については、あまり定かではない。 貧血とは何か? 貧血とは、赤血球の数が通常より少ない状態、または赤血球1つ1つに含まれるヘモグロビン(血液中に含まれる赤い物質で、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ)の量が少ない状態のことである。鉄欠乏が貧血の主な原因であり、葉酸やビタミンB 12 などの微量栄養素の欠乏も貧血の原因となる。妊婦が貧血になったり、鉄やその他の栄養素が不足したりすると、その栄養分を十分に胎児に供給できなくなる。女性の鉄および葉酸の低値により貧血を生じる可能性があり、そのため女性は疲労を感じ、失神を起こし、感染症のリスクが増大する可能性がある。 知りたかったこと 妊婦が鉄のサプリメント(単独、または葉酸や他のビタミン、ミネラルとの併用)を毎日摂取することが、妊婦と胎児の健康と栄養を改善するかどうかを検証したいと考えた。 実施したこと 妊娠中の毎日の鉄の補充(単独、または葉酸や他のビタミン・ミネラルとの併用)の効果を調査した研究を検索した。研究結果を比較および要約し、研究方...
8 months 3 weeks ago
ビタミンDの補充は、妊娠中の女性およびその児に有益か、有害か、あるいは影響がないか? 要点 妊娠中のビタミンD補充は、妊娠中の女性およびその児の特定の健康状態を改善し、妊娠の有害転帰のリスク(危険)を低減するのに役立つ可能性がある。 {1>公衆衛生への影響<1} 妊娠中のビタミンD不足は、妊娠中の女性およびその児の健康合併症と関連している。このような合併症を予防する上で、妊娠中のビタミンD補充は必要であると考えられている。 何を調べようとしたのか? 妊娠中のビタミンD補充が、妊娠中の女性およびその児の特定の健康結果(早産や低出生体重児の減少など)を安全に改善し、妊娠の有害転帰(過度の出血など)のリスク(危険)を減少させるかどうかを評価すること 本レビューで行ったこと 本レビューは2012年に初版が発表され、その後2016年と2019年に更新されたレビューの最新版である。妊娠中のビタミンD補充について、単独またはカルシウムや他のビタミン・ミネラルとの併用で、プラセボまたは介入なしと比較した臨床試験を検索した(2022年12月)。各研究の信頼性を評価するツール を用いて検証した。 研究の結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要因に基づいて、情報の信頼性を評価した。 何を見つけたのか? 本レビューの旧版には30件の研究が含まれていた。今回の更新では、これらの研究のうち20件を「分類待...
11 months 1 week ago
冠動脈疾患、心不全、心房細動のある人において、心理的介入は、心理的介入を行わない場合と比較して、うつ状態や不安を軽減するか? 要点 - うつ状態や不安に対する心理的介入は、冠動脈疾患や心不全のある人において、おそらくうつ状態や不安の中等度の減少をもたらす。 - うつ状態や不安に対する心理的介入は、冠動脈疾患や心不全のある人において、精神的健康に関連した生活の質(QOL)の中等度の改善をもたらすが、身体的健康に関連したQOLは改善しない。 - 心房細動のある人を対象とした研究はないため、この集団におけるうつ状態と不安に対する心理的介入の効果は不明である。 心臓病とは何か? 「心臓病」とは、冠動脈疾患(心臓への血流が減少)、心不全(心臓のポンプ機能が低下)、心房細動(心臓の拍動が不規則)など、心臓に影響を及ぼすさまざまな疾患を指す。 なぜ心理的介入が心臓病のある人の助けになるのか? 心臓病のある人の多く(約40%)がうつ状態や不安の症状を持っており、その多くは長期にわたっていることを示唆するエビデンスが増えつつある。心理的介入とは、よりポジティブな思考、感情、行動を生み出すために用いられる療法で、例えば、より正確でバランスの取れた信念を身につけるための認知行動療法や、瞑想に基づく療法であるマインドフルネスなどがある。これらの介入が、さまざまな心理障害、つまり気分や思考、行動に悪影響を...
11 months 2 weeks ago
風邪の予防および治療のための亜鉛 要点 ‐ 亜鉛サプリメントの摂取は、プラセボ(偽薬)と比較して風邪を発症するリスクはほとんど、あるいはまったく減少しない可能性がある。 ‐ 風邪を発症している場合の亜鉛サプリメントの摂取は、プラセボと比較して風邪の発症期間を短縮できる可能性がある。 - 風邪の治療に亜鉛を使用した場合、重篤ではない有害事象のリスクが増加する可能性がある。 風邪とは何か? 風邪とは、一般的に上気道におけるウイルス感染症である。特定の症状の組み合わせが風邪を定義するわけではないが、症状には発熱の有無にかかわらず、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、咳、疲労感、および鼻水などが含まれる。ほとんどは通常、特別な治療をしなくても回復するが、風邪を予防したり、風邪の期間を短縮したりする決定的な治療法はない。成人および小児における風邪の頻度を考えると、風邪は公衆衛生上の負担であり、労働生産性の低下や学校の欠席における有意な原因となっている。亜鉛による風邪の予防および治療の試みは、現在でも関心を集めている。 何を調べようとしたのか? 亜鉛がプラセボよりも風邪にかかるリスクを低減し、また風邪の発症期間を短縮するのに効果的であるかどうかについて調査した。プラセボとは、見た目は治療薬に似ているが、治療効果が不明な物質のことである。プラセボは、治療を受けているという思い込みがもたらす効果につ...
11 months 2 weeks ago
重度精神疾患を持つ人々に対するコラボレーティブケアアプローチ 要点 このレビューでは、生活の質(QOL)、精神状態、精神科への入院に関して、中期的(12か月時点)にコラボレーティブケアが標準ケアよりも効果的であることを示すエビデンスは得られていない。 12か月後のQOL、精神状態、精神科病院への入院に差は認められなかった。1件の研究では、12か月後に障害の改善がみられた。障害は、社会的役割や活動という観点から、人々が生活の中でどの程度機能しているかを示す間接的な尺度として用いられた。 対象となった研究のほとんどは、厳密なコラボレーティブケアの定義(タイプAコラボレーティブケアと呼ぶもの)を満たしておらず、実施された介入には大きなばらつきがあった。さらに、エビデンスの大半は、確実性が低いか非常に低いものであった。 重度の精神疾患とは? 重度精神疾患(SMI)とは、日常生活に支障をきたすレベルの心理的問題を抱えた人を指す。統合失調症、双極性障害、非器質性精神障害はすべてSMIの例である。 知りたかったこと このレビューの目的は、標準ケアや通常ケアと比較したコラボレーティブケアの有効性を評価することである。 コラボレーティブケアとは何か? コラボレーティブケアの目的は、重度精神疾患を持つ人々の身体的・精神的健康を改善させることである。プライマリ・ケア(一般開業医(GP)や診療看護師)と...
11 months 2 weeks ago
成人における歯の根の炎症や感染(根尖性歯周炎および根尖膿瘍)による痛みおよび腫れに対する抗菌薬の効果 要点 - 根管治療の前に抗菌薬を1回投与しても、痛みや腫れにはほとんど、または全く差はないと考えられる。 - デブリードマン(根管内の部分的または全体的な洗浄を含む処置)後に抗菌薬を服用した場合の痛みや腫れに対する効果についてのエビデンスは、非常に不確実である。 - 歯痛の原因となり得る2つの疾患に対して、歯科治療を行わずに抗菌薬単独の効果を検討した研究はない。 根尖性歯周炎や根尖膿瘍はどのようにして起こるのか? 歯の痛みは、う蝕(虫歯)や外傷によって歯の神経(歯髄)が死んでしまった場合にしばしば生じる問題である。歯髄の壊死に続いて歯の根の先端部(根尖部)の周囲の骨に炎症が生じた場合、根尖性歯周炎という病態となる。これが痛みなどの症状を引き起こした場合、症候性根尖性歯周炎と呼ばれる。 治療しなかった場合、歯に感染した細菌の影響によって、根尖部に膿が蓄積し(根尖膿瘍と呼ばれる)、腫れや感染の拡大につながる可能性がある。 根尖性歯周炎や根尖膿瘍による歯痛はどのように治療されているのか? これらに対して推奨されている治療法は、壊死した歯髄や細菌を除去することである。これは通常、抜歯あるいは根管系の洗浄(化学的および機械的デブリードマン)によって行われる。 治療は一度の来院で完了すること...
11 months 2 weeks ago
バレニクリンやシチシン等の薬剤(ニコチン受容体部分作動薬)は、禁煙に有用か、また有害事象はあるか? 要点 ・バレニクリンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、ブプロピオン、または単独のニコチン代替療法(ニコチンパッチ等)よりも効果的であるというエビデンスが認められた。禁煙成功率は、2種類以上のニコチン代替療法を同時に行った場合(ニコチンパッチとニコチンガムの併用等)と同等である可能性がある。 ・シチシンは、少なくとも6か月間の禁煙に有効であり、バレニクリンと同等の効果が期待できるが、今後のエビデンスにより、その効果はバレニクリンには及ばないことが示される可能性がある。 ・今後の研究では、シチシンの有効性と安全性をバレニクリンや他の禁煙補助薬と比較し、また、シチシンやバレニクリンを異なる用量および異なる期間で投与することも検討する必要がある。 ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)とは何か? 喫煙は、健康に対し極めて悪い影響を与える。喫煙者にとって、禁煙は最善の健康改善手段であるが、禁煙は難しいと感じている喫煙者は多い。ニコチン受容体部分作動薬(NRPA)は、禁煙の補助に使用される薬剤の一種である。NRPAは、禁煙時に現れる禁断症状(喫煙衝動や不快な気分など)を軽減するのに有効であり、また、喫煙時の快感も軽減される。この種類の薬剤で最も広く利用されているものはバレニクリンであり、...
11 months 3 weeks ago
統合失調症における攻撃的行動のリスク評価 レビューの論点 攻撃性や暴力の構造化されたリスク評価法は、統合失調症や統合失調症様疾患のある人々にとって、精神科的環境における攻撃的事件を減少させるために有効か? 背景 統合失調症に対する一般的な認識では、攻撃的あるいは暴力的な行動はしばしば統合失調症のある人を連想させる。入院患者ケアにおける攻撃的または暴力的な出来事を減少させるために、さまざまな介入が開発されているが、入院患者環境で働くスタッフは、患者の攻撃的な出来事を減少させるための使いやすい方法を求めている。しかし、これらの多くは時間がかかり、スタッフへの集中的なトレーニングや患者のモニタリングが必要である。スタッフが構造化された方法で患者の行動を監視すれば、監視そのものが、精神医療現場における攻撃的や暴力的な行動や事件の減少につながるかもしれない。 エビデンスの検索 2021年2月10日に、統合失調症または統合失調症類似疾患のある人を、攻撃性または暴力の構造化されたリスク評価法に参加させるか、標準治療に参加させるかを無作為に割り付けた臨床試験を電子検索した。 特定されたエビデンス 4件の研究がレビュー要件を満たし、使用可能なデータを提供した。これらの試験では、構造化されたリスク評価と標準的な専門家によるケアの効果が比較された。この結果は、構造化された攻撃性や暴力のリスク評価の使用...
11 months 3 weeks ago
呼吸困難の新生児における非侵襲的高頻度換気法(nHFV) 要点 呼吸困難とは何か? 呼吸困難は、新生児に頻繁に起こる呼吸の問題である。その原因は、在胎期間(出産までに児が子宮内で過ごす期間)によって異なる。予定日より早く生まれた児(早産児)に多い原因は、肺の天然化合物(界面活性剤)の不足で、肺胞が容易に開閉できないことである。妊娠37週(正期産)以降に生まれた児に最も多い原因は、一過性新生児多呼吸(または湿性肺)と呼ばれる疾患で、出生後に肺液の排出が遅れるために呼吸困難や速い呼吸が起こる。呼吸困難のケースは他にもたくさんある。 呼吸困難はどのように治療するのか? 通常の治療には、呼吸補助(人工呼吸)、酸素吸入、界面活性剤(サーファクタント)と呼ばれる薬剤の新生児の気管への直接投与などがある。 呼吸補助は、気管内チューブと呼ばれるチューブを乳児の気管に挿入する方法(侵襲的換気)と、マスクや鼻カニューレを使用する方法(非侵襲的換気)がある。侵襲的人工呼吸は、慢性肺疾患と呼ばれる肺障害のリスク増大と関連している。サーファクタント治療の有無にかかわらず、非侵襲的人工呼吸は、呼吸困難の新生児における機械的人工呼吸の必要性と慢性肺疾患のリスクを減少させる可能性がある。 非侵襲的高頻度換気とは何か? 高頻度換気は、非常に小さな呼吸を非常に速い速度(6~15ヘルツ、毎分360~900回)で行う。...
11 months 3 weeks ago
脚の血液循環を元通りに、または改善するための手術後の運動は、末梢動脈疾患の患者に役立つか? 主なメッセージ: - 脚の血流不足による痛みで歩行が難しくなる人は、血流を改善する手術で治療することができる。この手術の後に運動療法を行うことで、手術のみの場合と比べて、より長い距離を歩けるようになるかもしれないが、エビデンスの質が低いため、非常に不確かである。 - 運動療法を行うことで、脚の血流、痛みなく歩ける距離、生活の質、再手術の必要性、死亡率が改善されるかどうかはわからない。 - これらの研究は参加者が比較的少なく、方法論的に不足している部分も多いため、得られた結果は正確性に欠ける可能性がある。手術後に運動療法を行うことで、末梢動脈疾患患者の重要な健康に関する治療結果が改善されると確信するには、もっと質の高いエビデンスが必要である。 末梢動脈疾患(PAD)とは何か? PADは脚の血管が細くなったり詰まったりして、血液が流れにくくなる病気である。その結果、歩行時に脚の痛みや疼きを感じ、ひどい場合には安静時に痛みを感じたり、傷が治らないなどの問題を引き起こし、切断(脚の一部を切除すること)に至ることもある。 PADの症状がある人は通常、悪化しないように薬での治療と運動療法を行う。しかし、場合によってこれでは不十分で、血流を改善するための手術が必要となる。 知りたかったこと PADに対す...
11 months 3 weeks ago
生殖補助医療を受ける不妊症女性の子宮や卵巣に多血小板血漿を注入すると、妊娠しやすくなるか? 要点 - 子宮内への多血小板血漿(PRP)注入が、生児出産(または妊娠継続)、流産、臨床的に確認された妊娠、多胎妊娠、子宮外妊娠という点で、無治療やダミー治療よりも優れているかどうかはわからない。子宮内へのPRP注入は早産のリスクを高める可能性がある。PRPのその他の潜在的な副作用については、十分な情報がない。 - 卵巣へのPRP注入の使用については、十分な情報がない。 - この結果には確信が持てないので、PRPの使用が生殖補助医療によって妊娠しようとする女性に有益で安全かどうかを調査するためには、もっと質の高い研究が必要である。 多血小板血漿とはどのようなもので、女性の妊娠にどのように役立つのか? 多血小板血漿(PRP)とは血小板を多く含む血漿であり、血漿(血液の液体部分)と高濃度の血小板(血栓の原因となる細胞)からできている。治療を受けている人の血液から作られる。PRPには成長因子が含まれており、特に治癒の遅い組織の修復を促進する。専門家の中には、PRPは卵巣刺激(より多くの卵子を排卵させるために行われるホルモン治療)に対する卵巣の反応を良くし、胚の着床に対する子宮内膜の反応を良くすると考える人もいる。このように、PRPは生殖補助医療を受ける女性の妊娠を助けることができるかもしれない。...
11 months 3 weeks ago
パーキンソン病がある人のための身体運動:どのような運動が最も効果的か? 注意事項: ネットワークメタ解析の主な結果は、MAGICと共同で作成した 双方向型の結果の要約表 でも見ることができる。 背景 パーキンソン病(PD)は、主に60歳以上の人がかかる進行性の神経系疾患である。症状は徐々に始まり、震え、こわばり、動作やバランスの遅さ、協調性の問題など、動作の問題が出てくる。また、PDがある人は、感情や気分の問題、疲労、睡眠障害、思考障害などを抱えることがある。この病気は治すことはできないが、薬や手術などで症状を和らげることは可能である。さらに、PDがある人は、理学療法やダンスなどの運動が有効な場合がある。しかし、これらの運動の種類によって、より効果的なものがあるのかどうかは、まだ不明である。 目的 PDがある人の動作と生活の質(QOL)を向上させるために、どのような運動が最も効果的かを調べたいと考えた。また、どのような運動が最も副作用が少ないかを調べたいと考えた。 本レビューで実施したこと 身体運動と身体運動なし、または別の種類の身体運動と比較した研究を検索した。その短期間の結果を比較・要約し、研究方法や対象者数などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。短期間の結果しか調べていない。 わかったこと PDがある人に対する様々な種類の身体運動に関する154件の研究が見...
1 year ago
気管支肺異形成を発症する危険がある早産児を副腎皮質ステロイドで治療することの利点とリスク 要点 気管支肺異形成のリスクが高い新生児に対する唯一の有効な治療法は、現在のところ、 生後1週間以降 に投与するデキサメタゾンによる治療である。 副腎皮質ステロイドを界面活性剤とともに気管に直接投与することが、将来有望な治療法になるかもしれない。 生後1週間までに デキサメタゾンを投与したり、 生後のどこかの時点で ヒドロコルチゾンを投与したりする治療法は効果がないか、あるいは安全ではない可能性がある。 気管支肺異形成とは 超早産や早産で生まれた赤ちゃんは、医学用語で気管支肺異形成(BPD)と呼ばれる肺損傷のリスクが高い。BPDの赤ちゃんは、BPDではない赤ちゃんに比べて死亡する確率が高く、死亡を免れてもその後の人生に(肺の状態が悪い、再入院の頻度が高い、小児期の発達が悪いなど)悪影響を受ける。BPDの原因の一つは肺の炎症である。炎症は、傷害に対する身体の一般的な反応である。 BPDの治療法 副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)は炎症に作用する(赤ちゃんの免疫反応を鎮め、腫れを抑える)薬であり、BPDの予防や治療のために早産児に投与される。しかし、ステロイドによって重篤な副作用(腸管穿孔(消化管に穴が開く)や小児期の発達の悪化など)が起こることもある。早産児に使用されるステロイドの例として...
1 year ago
医療現場以外でのSARS-CoV-2感染リスク軽減を目的とした職場介入は、どのような利益と害があるのか? 要点 - 職場でSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染を予防する最善の方法に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。結果を報告している研究は1件しかなく、その結果については非常に不確かである。 - さまざまな職場介入による利益と害をよりよく理解するためには、より大規模で綿密にデザインされた研究が必要である。 レビューテーマの紹介 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的に蔓延している呼吸器感染症である。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)に感染した人は、重症化する可能性があり、特に高齢者や基礎疾患のある人は死亡するリスクがある。パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。 調べたかったこと これらの介入がCOVID-19感染率、欠勤、COVID-19関連死亡、有害事象に及ぼす影響を調査した. 実施したこと 以下の4つのカテゴリーに基づいて介入を検討した研究を検索した。 - 曝露の排除(自己隔離戦略など) - 技術的管理(同僚や作業員と一般の人々を分離または隔離するための障壁など) - 管理統制(在宅勤務など) - 個...
1 year ago
歯科矯正装置は、小児や十代の若者の反対咬合(下顎前歯が突出している状態)を改善するか? 要点 小児期における非外科的および外科的矯正治療は、噛み合わせや顎骨の位置を改善することができる。しかし、これらの効果がどの程度持続するのかは不明である。 小児期に患者を治療することで、成人期における顎矯正手術の必要性を防ぐことができるかどうかを明らかにするには、十分な期間をかけて研究する必要がある 反対咬合(アンダーバイト、受け口)とは何か? 下あごの前歯が突出している状態(反対咬合)は、上あご(上顎)の骨(上顎骨)が後退しすぎている、下あご(下顎)の骨(下顎骨)が前方に突き出ている、上顎の前歯が後方に傾いている、下額の前歯が前方に傾いている、またはこれらの組み合わせによって引き起こされる可能性がある。この場合、からかいの対象になったり、食事に支障をきたす、または顎関節症などの問題を引き起こしたりする可能性がある。 反対咬合はどのように治療されているのか? 反対咬合の歯科矯正治療には、口の内側または外側に装着し、歯に固定するタイプの矯正装置、あるいは頭部に装着するタイプの矯正装置を用いる方法がある。これらの矯正装置には、上顎の歯と骨が前下方に移動するよう促すもの、下顎骨の成長を制限するもの、あるいは両方の作用を持ったものがある。 何を調べようとしたのか? 本レビューは2013年に行ったレビュ...
1 year ago
早産新生児における肺疾患の予防と治療のための吸入気管支拡張薬の利点とリスクは? 要点 - 未熟児の慢性肺疾患予防のための気管支拡張薬(呼吸を助けるために気道を広げる薬)の吸入(息で吸い込む)使用に関する研究は2件しか見つからなかった。 - ある研究から、気管支拡張剤サルブタモールの使用は、プラセボ(偽薬)と比べて死亡や慢性肺疾患の予防に効果がない可能性が示唆された。 - サルブタモールが気胸(肺虚脱)のリスクに影響を及ぼすかどうかは不明である。どちらの研究でも気管支拡張薬の有害作用(望ましくない作用、有害な作用)は報告されていない。 気管支肺異形成とは? 早産、特に妊娠28週以前に生まれた新生児は、臨月または臨月近くに生まれた新生児に比べて、死亡、肺疾患、脳障害のリスクが高い。たとえば、知的障害、失明、難聴になる赤ちゃんもいる。慢性肺疾患は、早産児によく見られる、自力で呼吸ができず、酸素吸入や機械的人工呼吸(人工呼吸器)による補助が必要な疾患である。 気管支拡張薬とは? 気管支拡張薬は肺の空気の通り道を広げる薬である。早産児の肺にある小さな気道を開く可能性があるため、慢性肺疾患の治療に使用されてきた。早産児に気管支拡張剤を投与することで、慢性肺疾患を予防できる可能性もある。気管支拡張薬は、吸入(吸入器、パファーとも呼ばれる)、経口投与、注射、ネブライザー(気管支拡張薬をスプレーや...
1 year 1 month ago
細気管支炎を起こした乳幼児に対する高流量鼻カニューレ(チューブ)酸素療法 細気管支炎とは? 細気管支炎は、(細い)下気道におこる、乳幼児(月齢24か月未満)によく見られる病気である。通常、ウィルス感染が原因となり、咳、速い呼吸、喘鳴などの呼吸障害を引き起こすが、哺乳不良となる可能性もある。これは乳幼児が入院する主な原因の一つである。細気管支炎の治療は対症療法である。つまり、入院が必要な場合は、感染症が治るまで、患児の呼吸を補助することになる。呼吸を助ける方法として、次第に多く採用されるようになっているのは、空気と酸素を混合し、加温、加湿したものを、鼻カニューレ(酸素供給用チューブ)を通じて、従来の(低流量)加湿しない酸素供給の最大流量である毎分2リットルより高い流量で供給する方法である。これは高流量鼻カニューレ療法として知られ、これによって空気と酸素の混合ガスを高流量で快適に供給し、換気を改善しうる。他方、持続的気道陽圧法(CPAP)も細気管支炎の治療に次第に多く使われるようになっている。この療法では、空気と酸素の混合ガスを事前に設定された気圧で供給することによって、気道を開いた状態に保ち、呼気時(息を吐くとき)に虚脱が起きないようにする。 調べたかったこと 高流量酸素療法は、侵襲的な呼吸補助(挿管(人工呼吸)など)の必要性の低減につながりうるほか、上気道の乾燥を防ぐなど、他の治...
1 year 1 month ago
心理療法は、長期療養を受ける高齢者のうつ病を軽減するのに有効か? 要点 - 長期療養(LTC)施設(例えば、介護施設や老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど)に居住する高齢者では、心理療法(トーキング・セラピーとして知られることもある)は心理療法でないケアよりもうつ病の症状をよく治療する可能性がある。 - 心理療法はまた、生活の質(QOL)や心理的ウェルビーイング(個人の情緒的健康と全体的機能)を短期的に向上させるためには、心理療法でないケアよりも優れているかもしれない。 - 十分なエビデンスがないため、心理療法の広範な利益や長期的な効果は不明である。 調べたかったこと 心理療法がLTC環境におけるうつ病の管理に有益かどうかを調べたかった。 重要である理由 うつ病はLTCで暮らす高齢者によく見られる。このような人々は、うつ病を治療するために薬を処方されることが多い。心理療法が有効な選択肢になるかもしれない。 高齢者のうつ病の治療には、どのような心理療法があるか? LTC生活者のうつ病を治療する心理療法には、行動療法、認知行動療法、回想療法などがある。 実施したこと LTC施設で生活するうつ病の高齢者に対する心理療法を、代わりのケアと比較した研究を検索した。治療終了後、短期(3か月まで)、中期(3か月から6か月)、長期(6か月以上)の追跡調査における結果(評価項目)を検討した。 研...
1 year 1 month ago
在宅ホスピタル実施に関する複数の認識 要点 - 在宅ホスピタルサービスを開発する際には、医療専門家が患者を紹介するためのわかりやすいプロセスを設定することが重要である。これには、サービスがどのような人に適しているかを定めた明確なガイドラインを作成することも含まれる。 - 在宅ホスピタルサービスには、スタッフ、患者、介護者間の明確で一貫したコミュニケーションとともに、安全で効果的な患者中心のケアを在宅で提供するスキルを持った訓練された労働力が必要である。 - 在宅ホスピタルサービスを新たに導入する際、あるいは既存のサービスを運営する際に、医療専門家や管理者が使用するための質問をいくつか提案する。この質問は、在宅ホスピタルサービスの計画と実施に役立て、スタッフ、患者、介護者の満足度と結果(評価項目)を向上させることを目的としている。 在宅ホスピタルとは? 在宅ホスピタルでは、病院に入院しなければならない人々を対象に、病院レベルのケアを自宅で提供する。在宅ホスピタルの1つのタイプは、入院を避けることである。これは入院回避在宅ホスピタルと呼ばれる。これらのサービスは、肺疾患の再燃など、通常であれば病院のベッドでの治療が必要な人を対象とし、入院に代わるものである。その代わり、医師は、自宅(または、入所施設を含む、普段生活している場所)で病気の治療を受けるのに適していると評価した患者を、期間...
1 year 1 month ago
初回エピソードおよび最近発症した精神病における認知行動療法と標準治療の併用 要点 認知行動療法(CBT)は統合失調症の症状を軽減し、統合失調症の初期段階の人々の機能を改善するのに有効である。 この介入に関連する潜在的な有害作用については、ほとんど情報がなかった。 背景 統合失調症は、その症状が患者の日常生活に大きな影響を及ぼすため、深刻な精神疾患である。この病気がある人は、自分の考え、思い込み、想念と現実を区別するのに苦労している。例えば、頭の中で声が聞こえることがあり、それが本当に誰かに話しかけられているように感じられる。病気の初期段階の治療は、慢性化を防ぐため、またはそのリスクを減らすために非常に重要である。この段階は通常「初回エピソード」と定義され、「最近発症した」という言葉は初回エピソードから3~5年の期間を表す言葉としても使われる。 心理学的介入である認知行動療法は、一般に統合失調症のある人の症状を抑えるのに有効である。 しかし、この介入が病気の初期段階の人々にも有効かどうかは、まだ明らかではない。 調べたかったこと 初回エピソードあるいは最近発症した統合失調症患者に対して、標準治療に認知行動療法を追加した場合の効果を調べたいと考えた。 行ったこと 標準治療(通常は薬物)に加えて認知行動療法を行い、標準治療単独または他の心理社会的介入と比較した研究を検索した。 研究結果...
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17 hours 23 minutes ago
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