1 month 3 weeks ago
子癇前症や子癇がある女性に対する代替硫酸マグネシウムレジメン 著者の結論: 強力なエビデンスが子癇の予防と治療に対する硫酸マグネシウムの使用を支持しているが、代替治療レジメンを比較している試験は、信頼できる結論を導くには規模が小さ過ぎる。 アブストラクト全文を読む 背景: 硫酸マグネシウムは今なお子癇の予防と治療に対する選択薬である。硫酸マグネシウム投与のためのレジメンが数年間にわたって展開してきたが、まだ正式に評価されていない。 目的: 子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる場合の硫酸マグネシウム投与のための代替レジメンの効果を比較し、評価する。 検索戦略: Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年6月)を検索した。 選択基準: 子癇前症や子癇のある女性のケアに用いられる硫酸マグネシウム投与のための様々なレジメンを比較しているランダム化試験。 データ収集と分析: 4名のレビューア全員が独自に試験の質を評価し、データを抽出した。 主な結果: 17件の研究を同定し、そのうち6件(866例の女性)が選択基準を満たした:2件の試験(451例の女性)が子癇の女性に対するレジメンを比較し、4件(415例の女性)が子癇前...
5 months 1 week ago
前立腺肥大症に対する ノコギリヤシ(Serenoa repens) レビューの論点 Serenoa repens(ノコギリヤシ)単独あるいは他の植物治療剤との併用は、前立腺肥大症の男性の症状を改善するか? 背景 前立腺が肥大すると、日中や夜間に頻繁に尿意をもよおしたり、尿の出が悪くなったり、残尿感があるなど、煩わしい尿路症状が現れることがあるかもしれない。一般的な薬剤を用いた介入のほかに、植物やハーブの使用(植物療法)は一般的であり、多くの西洋諸国で徐々に増えてきている。アメリカノコギリヤシ(矮性椰子)(American saw palmetto、dwarf palm plant)、Serenoa repens(ノコギリヤシ)(植物学名Sabal serrulatumとしても知られている)の抽出物(エキス)は、この症状の治療に利用されているいくつかの植物治療薬のひとつである。 研究の特性 ノコギリヤシ単独または他のハーブ製品との併用とプラセボ(実際には治療を受けていないが、治療を受けたと参加者に思い込ませる方法)を比較した男性4,656例を対象とした27件の研究を同定した。ほとんどの研究は、中程度の症状を有する50歳以上の男性を対象としていた。10件の研究は製薬企業から資金提供を受け、2件の研究は政府から資金提供を受けていた。残りの研究は資金供給元に関する報告がなかった。 主要な...
5 months 1 week ago
低グリセミック・インデックス(GI)食または低グリセミック負荷(GL)食は、過体重または肥満の減量に役立つか。 主要な結果 低グリセミック・インデックス(glycaemic index:GI)食または低グリセミック負荷(glycaemic load :GL)食は、高GI食または高GL食など他の食事と比べて、おそらく体重にほとんどまたは全く差を生じない。 これらの食事が人々の生活の質(Quality of Life:QOL)、副作用、死亡に及ぼす影響については非常に不確かである。 低GI食または低GL食とはどんなものか? 低GI食または低GL食は、血糖値の上昇を穏やかにしたり、遅らせたりする食品で構成される。そのため、体内でのインスリン分泌が少なくなり、体重減少につながるかもしれない。 わかったこと 過体重または肥満の人々におけるこれらの食事の効果を評価したいと考えた。体重、QOL、副作用、死亡への影響を検証した。 実施したこと 過体重または肥満の成人におけるこれらの食事の効果を、高血糖指数食または高血糖負荷食(血糖値が急上昇するような食事)などの他の食事と比較した研究を検索した。これらの研究は少なくとも8週間の追跡調査を条件とした。 わかったこと 1,210例(参加者の4.1%は小児、1.9%は65歳以上の成人)を対象とした10件の研究を組み入れた。これらの研究の半数は米国で実施...
5 months 2 weeks ago
早産児の経口哺乳に対する口腔刺激の効果 レビューの論点 妊娠37週より前に生まれた早産児に、指による刺激を用いた口腔刺激介入を行う: 完全経口哺乳を達成するまでの期間(日数)の短縮につながるか? 新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care:NICU)で過ごす期間(日数)の短縮につながるか? 入院期間(日数)の短縮につながるか? 栄養チューブ(経静脈栄養)により栄養補給される期間(日数)の短縮につながるか? 背景 これは2016年のレビューのアップデート版である。多くの早産児は、経口(吸啜)哺乳の確立が遅く、最初は栄養チューブや経静脈(非経口)栄養により栄養補給される。経口哺乳能力の発達には、吸啜、嚥下、呼吸の綿密な協調を必要とする。早産児における経口哺乳の確立は困難な場合がある。その理由として、入院期間が長いこと、呼吸困難および早産に関連するその他の医学的症状を呈することが挙げられる。人工呼吸、および口や鼻からの頻回の分泌物吸引といった不快な処置は、経口哺乳能力に悪影響を及ぼす可能性がある。経管栄養から経口哺乳への移行に関する国際的なガイドラインは、内容のばらつきが大きい。医療従事者は、早産時の吸啜・哺乳能力を向上させるためにさまざまな介入を用いており、経管栄養から経口哺乳への移行期間の短縮、入院期間の短縮、乳児の吸啜能力の向上につながることが複数の研究で報...
5 months 2 weeks ago
固定式装置を用いた歯科矯正治療中の患者において、歯の移動を促進させるための補助的な非外科的治療法 論点 矯正力による歯の移動(OTM)を促進すると言われている非外科的処置の追加により、歯科矯正治療全体の治療期間が短縮するか? 背景 若年者や成人の歯並びや噛み合わせに問題がある場合、歯の位置を矯正するための歯科矯正治療が世界的に行われている。使用される矯正装置の種類はさまざまであり、自分で取り外しのできない固定式矯正装置(ワイヤーを固定するためのブラケットを歯に接着した上で、矯正用ワイヤーを連結して用いるものなど)や自分で取り外しが可能な可撤式矯正装置(透明な樹脂で作製されたマウスピースタイプのものなど)がある。歯や噛み合わせの状態によって、治療期間は数か月から数年に及ぶことがあるが、全ての歯を対象とした歯科矯正治療のほとんどでは、通常20か月程度を要する。歯科矯正治療は、笑顔を改善し、患者に良い影響を与えることは知られているものの、う蝕、あるいは歯根吸収(OIIRR)の発生などのリスクも伴う。OTMを促進させることで、治療期間を短縮し、時々起こり得る有害事象を軽減できる可能性がある。そのために、外科的治療や非外科的治療を含むいくつかの方法が提案されている。本レビューでは、OTMを促進させるための非外科的治療に関するエビデンスについて評価を行った。 今回、コクラン・オーラルヘルスの...
5 months 2 weeks ago
機能性ディスペプシアに対する中薬(中医学の薬草療法)以外の薬草療法の効果は? 主要な結果 機能性ディスペプシア患者の症状とウェルビーイング(well-being)の改善に有用な複数の薬草療法を同定した。また、偽治療と比較して、重要な望ましくない事象を伴わないかもしれない。しかしながら、薬草療法と他の治療法の有用性を比較した科学的根拠(エビデンス)はほとんどなかった。 薬草療法の有用性は、機能性ディスペプシアに対する一般的な内科的治療と比較して、相対的な有用性を評価する必要があるかもしれない。機能性ディスペプシアについては、特に一般的な消化器合併症がある人を対象とした、より質の高い試験が必要である。 背景 機能性ディスペプシアとは? 機能性ディスペプシアは成人において頻繁にみられる健康問題である。胃の痛みや不快感を特徴とする。しかしながら、器質性ディスペプシアとは異なり、これらの症状は胃や腸の潰瘍やその他の病変が原因とはいえない。 機能性ディスペプシアの治療法とは? この疾患の治療法には薬物療法と非薬物療法があるが、それらにどの程度有用性があるかは不明である。さまざまな薬草(ハーブ)製品が、この症状の治療薬となる可能性があるとしてある程度まで研究が行われている。 わかったこと 本レビューでは、このテーマに関するすべての利用可能な研究を検証し、これらの薬草のどれかが症状やウェルビーイ...
5 months 3 weeks ago
フェノフィブラートは糖尿病網膜症に有効か? レビューの目的は何か? 1型糖尿病または2型糖尿病の患者において、フェノフィブラートが、プラセボもしくは経過観察と比較して、糖尿病網膜症の発症を予防するのか、あるいはすでに糖尿病網膜症を発症している場合、その進行を遅らせるのかを明らかにすることが目的である。 要点 - 総じてフェノフィブラートは、プラセボとの比較で、糖尿病網膜症の進行にほとんど差がない可能性が高い(中等度の確実性のエビデンス)。 - 糖尿病網膜症を発症している患者では、フェノフィブラートの服用で、糖尿病網膜症の進行が緩やかになる可能性が高い(中等度の確実性のエビデンス)。 - まれではあるが、フェノフィブラートの服用で副作用が増加した(高度の確実性のエビデンス)。 - さらなる研究が必要である。例えば、1型糖尿病患者を含む研究や、患者が受けた他の治療を考慮した研究、そして重要なのは、糖尿病と共に生きる人々にとって重大なアウトカムを含む研究である。 レビューでは何が検討されたのか? 糖尿病網膜症とは、目の奥の血管に障害が起きて生じる疾患で、世界的に失明の主な原因であり、社会への負担となっている。視力を守るためには、糖尿病網膜症の発症を予防し、発症した場合には進行を遅らせたり、防いだりしなければならない。このレビューでは、フェノフィブラートがこの目的に有効なのか、プラセボや...
6 months ago
早産児の壊死性腸炎予防のためのプレバイオティクス レビューの論点 超早産児や超低出生体重児にプレバイオティクスを投与すると壊死性腸炎を予防できるか? 背景 超早産児(予定日より8週以上早く生まれた児)および超低出生体重児(1.5kg未満で生まれた児)は、腸の粘膜の一部が炎症を起こして死に至る重篤な疾患である壊死性腸炎を発症するリスク(危険)がある。この疾患は、死亡、重篤な感染症、長期にわたる障害や発達障害を伴う。壊死性腸炎を予防する1つの方法として、プレバイオティクス(健康な「プロバイオティクス」細菌による腸内コロニー形成をサポートする難消化性の糖鎖)をミルクに添加することが考えられる。 実施したこと 超早産児または超低出生体重児の壊死性腸炎のリスクに対するプレバイオティクスの効果を調べた試験を検索した。試験結果を比較・要約し、試験方法や規模などの要因に基づいて、科学的根拠(エビデンス)の確実性を評価した。 わかったこと 合計705乳児例を対象とした6試験を同定した。臨床試験はほとんどが小規模で、ほとんどにデザイン上の欠陥があり、結果にバイアスが生じている可能性がある。 主要な結果 複合解析の結果、超早産児や超低出生体重児にプレバイオティクスを投与しても、壊死性腸炎や死亡、重篤な感染症のリスクにはほとんどまたは全く差がないかもしれないが、そのエビデンスの確実性は低い。1件の試験で...
6 months 1 week ago
うつ病の治療薬は禁煙に有効か? 抗うつ薬とは何か? 抗うつ薬とは、うつ病の治療に用いられる薬やサプリメントである。その中には、禁煙に効果があるかどうか検証されている薬もある。ブプロピオン(ザイバンも呼ばれる)とノルトリプチリンという2つの薬が、禁煙を支援するために処方されることがある。 本コクランレビューの実施理由 喫煙の健康への悪影響は非常に大きい。喫煙者にとって、禁煙は健康増進のためにできる最善の選択である。しかし、禁煙は難しいと感じる人も多い。そこで、抗うつ薬を使うことで禁煙(6ヶ月以上)を成功させることができるか、また、これらの薬を使うことでどのような有害性があるかを調査することにした。 着目した点 - どれくらいの人が少なくとも6ヶ月禁煙できたか - どれくらいの人が好ましくない影響を受けたか 実施したこと 禁煙を支援するための抗うつ薬の使用を検討した研究を検索した。 治療が無作為に決定されるランダム化比較試験を検索した。このような研究方法(ランダム割付)は、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスが得られるとされている。有害性についてはどのような観察期間の研究であっても対象としたが、禁煙に成功したかどうかの評価については少なくとも6ヶ月以上の観察期間の研究を採用した。 どのような研究が見つかったか? このレビューでは、禁煙のために抗うつ薬を使用した場合に、異なる抗う...
6 months 3 weeks ago
ホルモン剤による避妊をしていない人と比較した、ホルモン剤による避妊をしている人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった時に血栓を発症する確率 論点 COVID-19になった人の、心臓発作や脳卒中を含む血栓の発生やその他の重篤な結果に対するホルモン剤による避妊法の影響に関するエビデンスを検討した。エストロゲンとプロゲスチンの両方を含む避妊薬を服用している人と、ホルモン剤を使用しない避妊をしている人、プロゲスチンだけを含む避妊薬を服用している人を比較検討したいと考えた。該当する研究は5件しか見つからなかった。 背景 ホルモン剤による避妊、特にエストロゲンを含む避妊薬の使用は、足や肺に血栓ができる可能性を高めたり、脳卒中になる可能性を高めたりすることがある。また、COVID-19の発症により、足や肺に血栓ができることも確認されている。ホルモン剤による避妊をしている人がCOVID-19になった場合、血栓ができる可能性が高いかどうかはわかっていない。ホルモン剤による避妊をしている人がCOVID-19陽性になった場合、避妊薬の使用を止めるべきか、違う避妊法に切り替えるべきかを知ることができるよう、さらなる研究が必要である。 研究の特性 2022年3月までに発表された研究を対象とした。避妊をした人(特に、ホルモン配合剤のようにエストロゲンを含む避妊薬を使用した人)における、避妊...
6 months 3 weeks ago
新生児の気管内挿管にビデオ補助(ビデオ喉頭鏡)を使用することは、手技の成功と安全性を高めるか? 要点 ビデオ喉頭鏡の使用は、初回の気管内挿管成功率を高め、ケア提供者が病気の新生児の気管内挿管を施行する回数をわずかに減らす結果になるかもしれないが、気管内挿管にかかる時間を短縮するわけではない。 ビデオ喉頭鏡の使用では、挿管時の新生児の気道の傷がわずかに少ないと思われる。 さまざまな診療領域で、さまざまなケア提供者が配置を行う場合のビデオ喉頭鏡の役割を理解するために、より良い研究が必要である。 何が問題なのか? 新生児の100人に1人は、呼吸が困難な場合、口か鼻に呼吸用チューブを挿入して(気管内挿管)命をつなぐ必要がある。新生児は口や気道が小さいため、直接喉頭鏡を使って(ビデオなしで)呼吸用チューブを挿入するのは難しいかもしれないし、すべてのケア提供者が経験を積んでいるわけではない。 ビデオ喉頭鏡法とは何か? ビデオで気道を見ながら気管内挿管を行うことを、ビデオ喉頭鏡法という。そうすることで、呼吸チューブの挿入がより簡単で安全になる。これはまた、トレーニングを受けている人がこの救命技術を習得する際にも役立つだろう。 何を調べようとしたのか? 生後0日から28日の乳児を対象に、直接喉頭鏡法よりもビデオ喉頭鏡法の方が、呼吸チューブの挿入の成功と安全性が高まるかどうかを調べようとした。 何...
6 months 3 weeks ago
骨盤位胎児(逆子)の回転に対する灸 論点は何か 骨盤位(胎児の臀部が下にある状態)は妊娠中期(第2期)に多くみられる。ほとんどの胎児は陣痛が始まる前に頭が下になるように自身で回転するが、回転しない胎児もみられる。臀部または足が先に出てくる胎児は、出産が困難になる可能性がある。これは母体および胎児に問題を引き起こす可能性があり、胎児は帝王切開で生まれる可能性が高くなる。 灸は中医学の一種で、骨盤位の胎児の回転に有用である可能性がある。それは足小指の経穴の皮膚の近くでアルテメシア( Artemesia )という生薬を燃やし温感を生じさせ、子宮に刺激を与えるというものである。この手技は、安全な灸のやり方の訓練を受けた上で妊婦またはその家族や友人が行うことができる。 重要である理由 骨盤位での経膣分娩は、経験豊富な医師や助産師、設備の整った病院であれば可能であり、プライマリーケアの環境以外でも計画外の経膣分娩は起こりうる。しかし、胎児が骨盤位にある女性の経膣分娩をすべての病院で行なえるわけではなく、帝王切開による分娩が計画されることもある。帝王切開には現在および将来の妊娠に対するリスク(危険)があるため、帝王切開を避けたいと考える医療従事者や妊婦は多い。自宅で妊婦やその家族、友人が自分でできる灸治療が、分娩前の頭位回転に役立つかどうかを明らかにしたいと考えた。 得られたエビデンス 灸+通...
7 months ago
進行した腎がん(腎細胞がん)の成人患者に対する初回治療 略語 • 腎細胞がん(RCC) • アベルマブ(AVE) • アキシチニブ(AXI) • カボザンチニブ(CAB) • イピリムマブ(IPI) • レンバチニブ(LEN) • ニボルマブ(NIV) • パゾパニブ(PAZ) • ペムブロリズマブ(PEM) • スニチニブ(SUN) 要点 • 治療を決定するにあたり、薬剤によって余命が延長するのか、有害な副作用が少ないのか多いのかを考えることが重要である。 • 本レビューの結果は、明細胞成分を含む進行腎細胞がん(RCC)に主に適用される。 進行腎細胞がんとはどのような病気で、どのように治療するのか 腎細胞がんは腎がんの一種である。高齢者に、また女性よりも男性に多くみられる。これは、年齢(60歳以上)と性別が男性であることにより、罹患リスクが高くなるためである。その他の危険因子には、体重、喫煙、腎結石の既往歴、高血圧などがある。多くの場合、初期の段階では症状がないため、腎細胞がんに罹患している人の半数以上が定期健診によってがんであることが判明する。症状が現れると、患者のQOL(生活の質)や日常の活動に影響を与える。2005年以前には、進行腎細胞がんの治療薬は少なく、治療には多くの副作用があった。現在では、免疫療法(がん細胞を見つけて破壊するために、患者自身の免疫系を利用する)や標...
7 months 2 weeks ago
全身性エリテマトーデスの患者が運動することの利点とリスクとは? 要点 全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、「通常のケア(介入)」に加えて運動を行うことは、疲労、日常生活能力、痛みに対してほとんど効果がない可能性がある。 運動中における副作用に関する報告はなかった。しかし、全体的なエビデンスに対する信頼性は低い。 全身性エリテマトーデスとはどのような病気か? SLE(または「ループス」)は、体内の免疫(防御)システムが誤って身体のさまざまな場所の健康な組織を攻撃してしまう病気である。これは長期にわたる病気である(6週間以上続くものであり、通常一生続く)。また、SLEは関節や筋肉に痛みの痛みを引き起こしたり、極端に疲れやすくなったりする。症状は一時的に改善することもあり、また突然悪化することもある(フレア)。 全身性エリテマトーデスはどのように治療されるか? SLEの管理または通常の治療には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬による治療が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、日光を避ける、サプリメント(ビタミンDなど)、SLEや他の病気(高血圧など)に関する教育、身体活動や運動など薬以外の治療も含まれることがある。通常の運動トレーニングはSLE患者の補助的な治療法として役立つ可能性がある。 何を調べたかったのか...
8 months ago
がん患者のうつ病治療における抗うつ薬 要点 本レビューでは、うつ病のがん患者において、抗うつ薬がプラセボ(偽の治療)に対して有益な効果を示す可能性があることが明らかにされたが、エビデンスは不確実であり、明確な結論を出すことは困難であった。そのため、がん患者における抗うつ薬の使用には、個別の検討が必要である。 論点は何か? うつ病は、がん患者において多く見られる。多くの場合、抑うつ症状は、生命を脅かす重篤な疾患に対する正常な反応または直接的な影響である。そのため、抑うつ症状を真の障害と判断し、薬剤による治療の必要性を決定することは困難である。現在の学術文献によると、抑うつ症状は、たとえ軽度であっても、がんの経過に影響を及ぼし、全体的な生活の質(QOL)を低下させ、抗がん剤治療へのコンプライアンス(指示にしたがうこと)に影響を与え、さらに、死亡率を高める可能性があることが明らかになっている。 何を調べようとしたのか? 部位や病期に関わらず、がん患者の抑うつ症状に対する抗うつ薬の有効性および受容性(受け入れやすさ)を評価したいと考えた。 何を行ったのか? がんと診断され、うつ病を有する成人を対象に、抗うつ薬とプラセボ、または抗うつ薬と他の抗うつ薬を比較した適切なデザインの臨床試験について、医学データベースの検索を行った。 何を見つけたのか? 合計1,364人の参加者を対象に、抗うつ薬の...
8 months ago
早産児の鼻腔内持続陽圧換気(CPAP)の圧力源 要点 気泡発生式(バブル式)持続気道陽圧換気(CPAP)(以後バブルCPAP)は、通常の人工呼吸器やインファントフロードライバー(訳注:CPAP目的以外では人工呼吸に使用できないCPAP専用機器のこと)で供給されるCPAPと比較すると、CPAP治療失敗のリスクを低減できる可能性がある。バブルCPAPは、早産に伴う死亡やその他の合併症のリスクにはおそらくほとんど影響しないが、中等度から重度の鼻の傷のリスクはおそらく増加すると考えられる。 CPAPとは? CPAPは、肺に問題のある早産(未熟児)の赤ちゃんの呼吸を補助するために使用する方法の一つである。水中バブル装置(バブルCPAP)、機械式人工呼吸器、インファントフロードライバーなど、さまざまな種類の機械でCPAPを行うことができる。 何を知りたかったのか? CPAP療法の治療失敗(赤ちゃんの状態が悪化したり、人工呼吸が必要になったりすること)の発生率を下げ、また合併症や害を減らすためには、バブルCPAPと人工呼吸器やインファントフロードライバーを用いたCPAPのどちらが優れているかを示すエビデンスがあるかどうかを調査した。 何を行ったのか? 2023年1月までのランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のいずれかに無作為に割り当てるタイプの研究)を医学データベースで検索した。 何が...
8 months ago
生後6か月から12歳までの小児における亜鉛の補給は、死亡や病気の予防、または成長の促進に有効か、あるいは有害事象があるか? 要点 - 生後6か月から12歳の小児における亜鉛の補給は、すべての死因による死亡率についてはほとんど、または全く影響を与えず、下痢による死亡にも差を及ぼさない可能性がある。また、下気道感染症やマラリアによる死亡を減少させる可能性があるが、死亡リスクを増加させるわずかな可能性については否定できない。 - 生後6か月から12歳の小児における亜鉛の補給は、下痢による疾患を予防できる可能性があるが、補給後に嘔吐を引き起こす可能性がある。また、身長の増加に対し、わずかに効果がある可能性がある。 なぜ亜鉛の補給について調査することが重要なのか? 亜鉛は必須微量栄養素である。小児の正常な成長や、健康な免疫系の獲得は重要であるが、亜鉛の不足により、下痢や肺炎、マラリアへの感染を引き起こしやすくなり、さらには死に至る場合もある。食事からの亜鉛摂取量の不足は、貧困と関連していることが多く、低、中所得国ではおよそ半数もの小児が亜鉛欠乏症となっている可能性がある。肉、魚、卵、および乳製品は、亜鉛の良質な天然供給源だが、高価である。清潔な水が不足し、衛生状態が悪い場合、病気に罹患しやすくなるが、亜鉛はその対策に役立つ可能性がある。人体は亜鉛を産生したり貯蔵したりすることができないため...
8 months ago
分娩誘発における器械的方法 妊娠第三3半期間(妊娠24週以降)において、器械的方法を用いた分娩誘発の有効性と安全性をランダム化比較試験から検討した。子宮頸部(子宮の下端)を伸展するためのバルーンと、プロスタグランジンE2(PGE2)または低用量ミソプロストールまたはオキシトシンとを比較した。 論点 分娩誘発は一般的に、妊娠を継続する利益よりもリスクが上回る場合、または妊婦の希望により行われる。 分娩誘発の為の器械的方法は子宮頸管を伸展させることにより、頸管熟化と陣痛発来(訳注:陣痛が始まること)を促す。これらは陣痛を起こすために用いられる最も古い方法の一つである。PGE2、ミソプロストール、オキシトシンといった薬物療法が、部分的に器械的方法にとって代わったのは、この数十年間のことである。 重要性 より多くの女性が分娩誘発を行うようになっており、その適応はしばしば緊急を要するものではない。これは分娩誘発の方法において、有効性を犠牲にしても、安全性がより重要となることを意味する。器械的方法は広く利用可能であり、安価で、子宮の過度の収縮(過強陣痛)のような副作用が少ない可能性があり、薬物療法に比べて利点があるかもしれない。陣痛が長すぎたり頻繁すぎたりすると、胎児が十分な酸素を受け取れなくなる可能性があるため、過強陣痛が起こらないことは児にとって安全といえる可能性がある。 得られたエビデ...
8 months 1 week ago
非がん性慢性疼痛の管理におけるオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の高用量投与 要点 がんを原因としない慢性的な痛み(非がん性慢性疼痛)を持つ成人に対して、高用量のオピオイドを使用した場合、どの程度効果があるのか、またどのような副作用があるのかを示す質の高いエビデンスはない。 臨床研究では、通常、カットオフ値(基準とする範囲を区切る値)より低い薬剤の用量が使用されている。非がん性慢性疼痛に対して、高用量のオピオイドがどの程度有効なのか、またどのような副作用があるのかを知る必要がある。 背景 オピオイドは、モルヒネに類似した鎮痛薬の一種であり、長期間(通常は3か月以上)続く中等度または重度の慢性疼痛に対して長年使用されてきた。 研究の特徴 本概要では、非がん性慢性疼痛を持つ成人に対する疼痛緩和のためのオピオイドに関するコクランレビュー、および概要から得られた知見をまとめることを目的とした。さらに、オピオイドを高用量(1日あたりモルヒネ200mg以上に相当)で使用した場合にどの程度効果があるのか、またどのような副作用があるのかを明らかにしたいと考えた。 主な結果 2022年7月までに行われた系統的文献検索からは、目的とした情報は得られなかった。オピオイドに関する研究において、高用量で使用された報告はほとんどない。また、あらゆる用量のオピオイドを使用している人を対象とした研究の一部として用いられ...
8 months 2 weeks ago
肺高血圧症に対する運動療法に基づいたリハビリテーション 要点 医学的に安定している肺高血圧症患者では、運動療法に基づいたリハビリテーションが最も安全で、かつ最も生活の質(QOL)を向上させる可能性がある。運動療法に基づいたリハビリテーションによって、運動能力を大幅に増加させ、平均肺動脈圧を低下させる可能性がエビデンスによって示唆されている。 肺高血圧症とは何か? 肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送る動脈(肺動脈)の血圧が、正常よりも大幅に高くなった状態である。多くの場合、緩やかに発症し、あらゆる年齢の人々に影響を及ぼし、生活の質を低下させ、時に早世に至ることもある。運動療法に基づいたリハビリテーションは、他の慢性肺疾患や心疾患の患者に対しては推奨されているが、近年まで肺高血圧症の患者に対しての推奨はされていなかった。 何を調べようとしたのか? 運動療法に基づいたリハビリテーションと、通常の治療との比較における、適切にデザインされた臨床研究についてのエビデンスのレビューを試みた。 何を行ったのか? 運動能力、健康関連の生活の質(QOL)、重篤な副作用、肺循環の圧力の変化などの短期および長期の結果が運動療法によって改善されるかどうかを調べるために、医学データベースを用いて、肺高血圧症患者が運動療法を行った場合と通常の治療を行った場合とを比較した臨床研究を検索した。本レビューには、合...
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19 hours 29 minutes ago
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