Latest Japanese Reviews

単発の非誘発性てんかん発作後の2回目の発作の予測

1 year 9 months ago
単発の非誘発性てんかん発作後の2回目の発作の予測 このレビューの重要性は? 1回の非誘発性てんかん発作はかなり一般的で、85歳までに人口の3%から4%が経験すると推定されている。これは、一生のうちにてんかん発作を起こす人が約25人に1人という計算になる。よって、臨床医が発作の再発リスクや、発作の再発、ひいてはてんかんの発症を予測する因子について確実にカウンセリングできるように、正確な予後データを得られることが最も重要である。 このレビューの目的は何か このレビューの主な目的は、単発のてんかん発作を起こした患者とその家族、そして患者を治療する臨床医に、さらなる非誘発性てんかん発作のリスクとてんかんの発症に関するより正確な情報を提供することにある。 このレビューのさらなる目的は、単発のてんかん発作を起こした患者さん、その家族、そして患者を治療する臨床医に、非誘発性てんかん発作後の早期死亡のリスクに関するより正確な情報を提供することである。 要点 このレビューに含まれる研究のデザインにはかなり大きな差があるが、6か月、12か月、24か月の時点で再びてんかん発作を起こすリスクについての情報を提供することができた。 本レビューでは何を調査したのか? 信頼できるデザインで、最初の非誘発性てんかん発作の後に2回目のてんかん発作を起こした人の数を報告している関連研究を検索した。その結果、12,1...

進行がんによる疲労(がん関連疲労)の治療において、副腎皮質ステロイド剤を使用することの利点とリスクは何か?

1 year 9 months ago
進行がんによる疲労(がん関連疲労)の治療において、副腎皮質ステロイド剤を使用することの利点とリスクは何か? 要点 成人の進行がん、およびがん関連疲労(CRF)に対する治療における副腎皮質ステロイド剤の有益性および有害性に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。 CRFの治療において、副腎皮質ステロイド剤が有益か、あるいは有害かを判断するためには、今後のより大規模で、かつ適切にデザインされた研究が必要である。 なぜ本レビューが重要なのか? 疲労は、進行がん患者において一般的かつ厄介な症状であり、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与える。副腎皮質ステロイド剤は、緩和ケアが必要な患者のCRFやその他の症状に対する治療に一般的に使用されている。副腎皮質ステロイド剤は、特に長期間使用した場合、重大な副作用を引き起こす可能性があるため、がんに伴う疲労に対する治療に有効かどうかを明らかにすることが重要である。 何を調べたかったのか? がんに伴う疲労の改善に、副腎皮質ステロイド剤が偽薬(プラセボ)、または他の薬よりも優れているかどうかについて調べたかった。また、進行がんによる疲労に対して副腎皮質ステロイド剤を使用した場合、有害作用があるかどうかについても明らかにしたいと考えた。 何を行ったのか? 成人のがん患者に対して、以下の項目について比較を行った研究を検索した。 - 副腎皮質ステロイ...

入院中の成人患者に対する薬剤レビューの利点とリスクは何か?

1 year 9 months ago
入院中の成人患者に対する薬剤レビューの利点とリスクは何か? 要点 入院患者における薬剤は、再入院を減少させる可能性があるが、死亡率にはほとんど、または全く影響を与えない可能性がある。 薬剤レビューとは何か? 薬剤レビューとは、個々の患者に対する投薬を最適化し、健康状態を改善するために、医療従事者が行う体系化した介入のことである。 何を調べようとしたのか? 薬剤レビューが成人の入院患者の健康状態を改善するかどうかを検討した。 何を行ったのか? 入院中の成人を対象に、通常のケアと薬剤レビューを比較した研究、または2種類以上の薬剤レビューを比較した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、エビデンスに対する信頼度を評価した。 何が見つかったのか? 入院中の成人患者における薬剤レビューは、患者の再入院を減少させる可能性があり、また救急治療部の利用を減少させる可能性があることが明らかになった。しかし、死亡率にはほとんど、または全く影響を及ぼさない可能性があり、健康に関連した生活の質(QOL)に影響を及ぼすかどうかは不明であった。 エビデンスの限界は何か? ほぼすべての研究において、多くの薬を服用している高齢の患者が対象になっていたため、他の患者にはこれらの結果を適用できない可能性がある。 このエビデンスはいつのものか? 2022年1月までに発表された研究について電子データベースなどで検索を行...

皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対する術前補助療法(腫瘍を取り除く手術の前に、薬剤等により行われる治療)の利点とリスクは何か?

1 year 10 months ago
皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対する術前補助療法(腫瘍を取り除く手術の前に、薬剤等により行われる治療)の利点とリスクは何か? 何を調べたかったのか? 悪性黒色腫は、非常に侵攻性の高い皮膚がんであり、進行した段階で発見された場合、ほとんどは致命的となる。早期の治療により腫瘍を外科的に除去し、長期生存率を高めることができる可能性がある。術前補助療法(ネオアジュバント療法)とは、主に手術前に行われる薬物療法のことを指し、腫瘍の大きさを小さくすることで切除を容易にし、手術の合併症を減少させ、病気が広がるリスクを低下させる。術前補助療法に有効な免疫療法薬、分子標的治療薬などの新しい種類の薬剤が開発されている。 本レビューでは、ステージⅢまたはステージⅣの悪性黒色腫に対する術前補助療法が生存期間の延長に役立つかどうかを明らかにし、術前補助療法と通常の治療とで有害(好ましくない)作用について比較したいと考えた。 何を行ったのか? 悪性黒色腫に対する特定の種類の治療法を比較したランダム化比較試験(RCT)を行った医学文献について検索した。行われた治療法の種類と用いられた薬剤は以下の通りである: - 分子標的治療:ダブラフェニブ、トラメチニブなど - 免疫療法:イピリムマブ、ニボルマブなど - 化学療法:ダカルバジン、テモゾロミドなど - 局所治療:イミキモドなど - 放射線療法 単剤治療と多剤...

減塩は糖尿病患者の慢性腎臓病の予防や治療に役立つか

1 year 10 months ago
減塩は糖尿病患者の慢性腎臓病の予防や治療に役立つか レビューの論点 現代人は塩分を摂りすぎており、それが高血圧のリスクを高めているという強いエビデンスがある。これは糖尿病患者にとって特に重要である。というのも、糖尿病は脳卒中、心臓発作、腎不全のリスクを高め、高血圧がさらにそのリスクを押し上げるためである。塩分摂取量を減らせば血圧が低下し、心臓発作のリスクや腎機能が悪化するリスクの低下につながる可能性がある。 本レビューで実施したこと 2022年3月31日までにCochrane Kidney and Transplant Register of Studiesに登録された研究のうち、糖尿病患者を対象として塩分摂取量が高い場合と低い場合を比較したランダム化比較試験の検索を行った。糖尿病患者に塩分が高い食事を与えた場合と塩分が低い食事を与えた場合の収縮期血圧(測定した血圧の高い方)と拡張期血圧(測定した血圧の低い方)の平均低下量を算出した。また、塩分が低い食事を与えた糖尿病患者では、尿中のタンパク量(腎障害の指標)が減少するかどうかも検討した。 わかったこと 1型または2型糖尿病の患者計313人を対象とした研究13件が見つかった。塩分摂取量を1日平均5g減らすと血圧が低下し、具体的には、収縮期血圧が7mmHg、拡張期血圧が3mmHg低下することがわかった。この結果を報告した8件の研究の...

アルコール使用障害に対するバクロフェン

1 year 10 months ago
アルコール使用障害に対するバクロフェン レビューの要点 アルコール使用障害(AUD)患者に対して、禁酒の達成、維持、あるいは飲酒量の減少についてのバクロフェンの有効性と安全性に関するエビデンスについてのレビューを行った。 現在のエビデンスでは、AUD患者、特にすでに解毒が完了しているAUD患者が禁酒を維持するのに役立つ可能性が示唆されている。他の薬剤と比較した結果については、主に1件の研究のみに基づいているため、結論を出すことはできない。 レビューの論点と目的 AUDは最も広く蔓延している精神障害の一つであり、身体、気分、学習、記憶などに特異的な問題を引き起こし、幸福度や健康状態に影響を及ぼす。アルコールの過剰摂取は、食道がん、肝臓疾患、てんかん、自動車事故、殺人、その他の意図的な傷害(自傷行為や他人への暴力行為)の原因の20%から30%を占め、世界における健康に対する最大のリスクの1つとなっている。 長年にわたり、AUDは心理社会的戦略(自分に助けが必要だと認識させること)で主に治療されてきたが、心理社会的な治療法だけを用いた場合の成功率は限られている。AUD患者の多くは治療に全く反応せず、反応した患者であっても長期に渡って禁酒を維持することができない。バクロフェンなどの薬剤は、AUD患者の治療において重要な役割を果たす可能性がある。 レビューの方法 プラセボ(偽薬)または他の...

小児急性肺炎の治療において、抗菌剤に加えてビタミンDを投与することは有効かつ安全か?

1 year 10 months ago
小児急性肺炎の治療において、抗菌剤に加えてビタミンDを投与することは有効かつ安全か? 肺炎とは、どのような病気で、どのように治療されているのか? 肺炎は、感染によって肺に炎症(腫れ)が起こる病気である。肺炎の治療には、抗菌剤、酸素マスクからの酸素吸入、およびその他の支持療法が用いられている。ビタミンDは免疫力を高め、過剰な炎症を抑えるので、小児の肺炎からの回復を助けると考えられている。 何が知りたかったのか? ビタミンDを抗菌剤と一緒に投与することが、小児の肺炎からの回復に役立つかどうかを明らかにしようとした。 何を行ったのか? 肺炎を発症した生後1か月から5歳の小児を対象に、ビタミンDとプラセボ(偽の治療)を比較した研究について検索を行った。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要素から、エビデンスに対する信頼性を評価した。 研究の特徴 低、中所得国における計1,601人の小児患者が参加した7件の研究が対象となった。5件の研究では、患者は研究参加時、または入院後24時間以内に大量のビタミンDを単回投与されていた。2件の研究では、5日間ビタミンDの投与が行われていた。1件の研究では、ビタミンDの濃度が正常な患者は除外されていた。2件の研究では、小児の肺炎の原因が報告されていた。 主な結果 ビタミンDの投与は、小児患者が肺炎から回復するまでの時間に対し、ほとんど、または全...

小児のクループに対するグルココルチコイド

1 year 10 months ago
小児のクループに対するグルココルチコイド レビューの論点 小児クループの治療におけるグルココルチコイドの有効性と安全性は? 背景 小児のクループの主な原因は、呼吸器系ウイルスである。クループは、のどや気道が腫れて、呼吸が困難になる。また、小児では「犬吠様咳嗽(犬が吠えるような咳)」と呼ばれる特殊な咳をすることがある。ステロイドの一種であるグルココルチコイドは、腫れを抑えて、クループの子どもたちが呼吸しやすいようにする。 このレビューは、1999年に発表され、2004年、2011年、2018年に更新されたレビューのアップデート版である。 検索日 エビデンスは2022年3月4日までのものである。 研究の特徴 1964年から2021年までに発表された0歳から18歳の子ども5,888人を対象とした45件の研究に対し、1,323人の子どもを対象とした2件の新しい研究を含めた。今回使用されたグルココルチコイドは、ブデソニド、デキサメタゾン、プレドニゾロンの3種類である。最新の1件の研究では、ブデソニドとデキサメタゾンの有効性が比較された。もう1件の新しい研究では、デキサメタゾンとプレドニゾロンの有効性、およびデキサメタゾンの少量投与(0.15mg/kg)とデキサメタゾン0.60mg/kgとを比較した。デキサメタゾンの投与量を比較した新しい研究のデータを、同じ比較を行った以前からレビューに含ま...

脳卒中や一過性脳虚血発作の既往がある人の脳卒中やその他の血管疾患の予防を目的とした糖尿病治療薬

1 year 10 months ago
脳卒中や一過性脳虚血発作の既往がある人の脳卒中やその他の血管疾患の予防を目的とした糖尿病治療薬 論点 すでに脳卒中や一過性脳虚血発作を起こした人を対象に、新しい糖尿病治療薬(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPAR-γ)作動薬)の脳卒中および関連血管疾患の予防における有効性と安全性を評価したいと考えた。 背景 ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ作動薬は、人体におけるインスリンの働きを改善する薬である。成人型糖尿病(2型糖尿病)の治療に広く使用されている。さらに、脳卒中の危険因子である両者、血中の余分な脂肪と動脈壁の病気に対しても防ぐかも知れない。 研究の特徴 合計5,039人の参加者を含む2022年1月1日までの5件の研究を確認した。4件の試験は薬剤、ピオグリタゾンを、1件の試験はロシグリタゾンを評価した。4件の研究では、糖尿病の既往のない参加者を含み、1件の研究では糖尿病のある参加者のみを含んだ。 主な結果 PPAR-γ作動薬は、プラセボ錠と比較して、脳卒中やその他の血管疾患の再発を抑制し、インスリンに対する身体反応を改善し、動脈壁の脂肪沈着を安定化させた。また、薬剤の忍容性も高いようだが、そのエビデンスは結論的ではなかった。 エビデンスの質 本研究の結論は、対象となった研究数が少ないことと、いくつかの研究の質が低いことを考慮し、注意して解釈されるべきである。大規模で更...

分娩時の胎児の健康状態を調べるための、胎児の頭皮を刺激すること

1 year 10 months ago
分娩時の胎児の健康状態を調べるための、胎児の頭皮を刺激すること 胎児の心拍数モニターに懸念がある場合に、健康状態を確認する第2選択の検査として胎児の頭皮を刺激することの有効性と安全性について、ランダム化比較試験からエビデンスを探すことに着手した。 論点 何らかの合併症がある妊婦には、CTGと呼ばれる電子記録装置で胎児の心拍数を継続的にモニターすることが推奨されている。CTGでは、分娩中の胎児の心拍数に異常が見られることはよくある。場合によっては、緊急帝王切開が必要なほどの異常が見られることもある。不必要な帝王切開の可能性を減らすために、追加で「第2選択の」検査を実施することができる。そのひとつが、胎児の頭皮を腟内から刺激し、心拍数が上昇するかどうか調べる検査である。この反応は健康的なもので、胎児に十分な酸素が供給されていることを示唆している。また、胎児の頭皮から少量の血液を採取し、血液中の酸塩基濃度を検査する方法もある。 重要性 もし、胎児の頭皮を刺激することが安全で効果的であることが証明されれば、分娩中の女性が不必要な帝王切開を受ける機会を減らすことができるかもしれない。 得られたエビデンス 2022年10月18日にエビデンスを検索し、2件の適格な研究(377人の女性が参加)を特定した。アイルランドで50人の女性を対象とした1件のパイロット研究で、CTGにデジタル胎児頭皮刺激法...

嚢胞性線維症患者における骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤

1 year 10 months ago
嚢胞性線維症患者における骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤 レビューの論点 経口投与(口から飲む)または静脈内投与(静脈に直接投与)のビスフォスフォネート(骨量の減少を防ぐ薬)は、嚢胞性線維症(CF)の人の骨粗鬆症に対してどのような効果があるか。 背景 嚢胞性線維症は、全身の多くの臓器(肺や膵臓など)に影響を及ぼす重篤な遺伝性疾患である。CF患者の約23.5%は、一般に骨粗鬆症と呼ばれる骨密度(BMD)の減少を経験しており、骨折の可能性を高めている。骨折(例 . 肋骨や脊椎など)の短期および長期の影響により、肺疾患が悪化し、入院がより頻繁になる可能性がある。ビスフォスフォネートは、骨が吸収される速度を遅くすることによって、BMDを増加させる薬である。更年期障害や副腎皮質ホルモン剤の使用による骨粗鬆症の治療に使用される。ビスフォスフォネートがCF患者の骨折の頻度、BMD、生活の質(QOL)に影響を与えるかどうか、また、副作用があるかどうかを知りたかった。このレビューは以前のコクランレビューをアップデートしたものである。 検索日 エビデンスは2022年5月10日までのものである。 研究の特徴 成人272人、小児113人(5歳から18歳)を対象とした6か月から2年間の9件の試験を対象とした。8件の試験には肺移植を受けていない成人238人が参加し、そのうち3件の試験ではビスフォスフ...

慢性静脈不全に対する水療法

1 year 10 months ago
慢性静脈不全に対する水療法 要点 - バルネオセラピー(水療法)は、何もしない場合と比較して、慢性静脈不全(血液が心臓にうまく戻らず、足に溜まってしまう状態)の人で、おそらく病気の重症度が少し改善し、痛みや皮膚の色の変化も改善する可能性がある。 - 水療法は無治療と比較して生活の質(QOL)を改善する可能性があるが、その結果については非常に不確かなものである。副作用、下腿潰瘍、浮腫(脚の腫れ)に差があることを示すエビデンスはほとんど見つからなかった。 - 水療法を他の治療法と比較したエビデンスは非常に限られている。フレボトニック(毛細血管脆弱性を軽減し、静脈不全における微小循環を改善する薬剤)と呼ばれる薬との比較では、痛みや浮腫を感じる人の数に差があることを示すエビデンスは見つからなかった。乾燥地での運動と比較して、水療法はQOLと浮腫を若干改善する可能性があるが、QOLに関しては非常に不確かなエビデンスである。 慢性静脈不全とは? 慢性静脈不全は、下肢静脈に血液が異常に運ばれ、静脈が心臓に十分な血液を送り返すことができないために起こる病気である。この症状の人は、静脈がこぶのように肥大していることが多い。多くの症状が考えられる中で、最も深刻なのは静脈性潰瘍である。 慢性静脈不全はどのように治療するのか? 慢性静脈不全の治療法には、圧迫(力を加えること)、理学療法、薬物療法、手術な...

慢性閉塞性肺疾患に対し、呼吸筋を鍛える運動は有効か?

1 year 10 months ago
慢性閉塞性肺疾患に対し、呼吸筋を鍛える運動は有効か? 要点 ・通常の運動に呼吸筋を鍛えるための運動を取り入れても、息切れ、体力、および生活の質は改善されない可能性がある。呼吸筋の強さと持久力は増加したが、患者に十分な変化をもたらすほどではなかった。 ・運動をしない場合と比較した場合、呼吸筋を鍛えるための運動は、息切れ、体力、および生活の質を改善する可能性がある。呼吸筋の強さと持久力は増加したが、患者に利益をもたらすかどうかは不明である。 ・呼吸筋の機能が低下している患者が、通常の運動または呼吸筋を鍛える運動を数週間行うことが効果的かどうかは不明である。 ・今後は、呼吸筋の機能が低下している患者に焦点を当て、より多くの参加者を対象にした研究を行う必要がある。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは何か? 慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、息切れや咳を引き起こす気道の閉塞を特徴とする肺の疾患で、タバコの煙や化学物質などの刺激性ガスを長期にわたって吸入した後に発症する。呼吸筋を訓練し鍛えることで、呼吸が改善され、気道の閉塞が軽減されると考えられている。 COPD患者はどのような運動療法を行っているのか? COPDの改善のためにさまざまな運動療法が行われている。 ・症状を軽減し、運動能力や生活の質を向上させるために、一般的な運動や教育のプログラムを実施する人もいる。 ・専用の器具を使った一連の...

認知症の睡眠障害に対する非薬物的介入

1 year 10 months ago
認知症の睡眠障害に対する非薬物的介入 認知症の人の睡眠の問題とは何か? 認知症の人は、目覚めている時間の長さや回数が増えたり、眠りが浅くなるなど、睡眠に問題があることが多い。そのため、認知症の人やその親族、介護者にさまざまな問題が生じ、場合によっては介護者の苦痛につながり、老人ホームや介護施設に入所することになる。 薬以外の介入は有効か? 認知症の人の睡眠を改善するために薬が役立つかどうかは分からないので、薬以外の介入が頻繁に推奨されている。光療法、社会的・身体的活動、環境を変える(夜間の騒音や光を減らすなど)、あるいは昼間の睡眠を避けることなどが挙げられる。また、これらの構成要素を2つ以上組み合わせた介入プログラム(いわゆる「マルチモーダル介入(複合的介入)」;例、光療法と認知症の人のための活動の組み合わせ)も利用できる。 何が知りたかったのか? 認知症と睡眠障害を持つ人に対する薬以外の介入の効果を検証した臨床試験を検索した。これらの介入やプログラムが、睡眠を改善し、認知症患者やその介護者に対する副作用を回避できるかどうかを検討した。 何を行ったのか? 認知症の人の睡眠を改善するための薬以外の介入を評価するランダム化比較試験(通常、治療の効果について最も信頼できるエビデンスを与える研究デザイン)を検索した。研究方法と参加者数などの因子に基づいて、研究結果とエビデンスの確信度を比...

ケロイドの治療にシリコンゲルシートを使用する利点とリスクは何か?

1 year 10 months ago
ケロイドの治療にシリコンゲルシートを使用する利点とリスクは何か? 要点 以下の場合よりも、シリコンゲルシートの使用が瘢痕の外観をより改善させるかどうかは不明である: - 処置を行わなかった場合 - シリコンを含まないシリコンゲルシートに類似した貼付材による処置を行った場合 - トリアムシノロンアセトニドを病変部または皮下へ直接注入した場合 シリコンゲルシートによる処置が、処置を行わなかった場合と比較した際の痛みに及ぼす影響については不明である。 シリコンゲルシートを使用しない場合やトリアムシノロンアセトニドの局所注射を行った場合と比較して、シリコーンゲルシートによる処置が痛みに影響を与えるかどうかは不明である。 ケロイドとは何か? 傷や怪我が治った後に皮膚に残る傷跡を瘢痕(はんこん)と言う。瘢痕が異常に発達して隆起した場合にケロイドが形成されるが、その見た目の悪さから、身体的、精神的に影響を及ぼすことがある。ケロイドは軽いけがの後に発症することが多く、元の傷の周囲の皮膚に広がることがある。ケロイドは治療が困難で、性別や、年齢を問わず発生する可能性がある。 ケロイドはどのように治療されるのか? シリコンゲルシートは、弾力性のあるシリコンを配合した、柔軟性のある被覆材である。ゴムのような柔らかな感触で、皮膚に容易に貼り付けることができる。シリコンゲルシートは、ケロイドの治療に最適と考...

成人の糖尿病性腎臓病の患者における低たんぱく質食

1 year 10 months ago
成人の糖尿病性腎臓病の患者における低たんぱく質食 何が問題なのか? 透析を必要としない糖尿病性腎臓病(DKD)の患者には、慢性腎臓病の進行を遅らせるために、食事中のたんぱく質の量を制限することが推奨される場合がある。しかし、たんぱく質の摂取量については依然として不明な点がある。 何を行ったのか? 透析を受けていない成人のDKD患者において、低たんぱく質食が腎臓病の進行に及ぼす影響に関するエビデンスについて検索を行った。検索したエビデンスは2022年11月17日までのものである。低たんぱく質食(0.6~0.8g/kg/日)と通常食、または非制限食(1.0g以上/kg/日)について12か月以上比較を行った研究を検索し、すべての研究の結果を統合した。 何が見つかったのか? 異なる病期の慢性腎臓病を持つ計486人のDKD患者を対象とした8件の研究が見つかった。研究には、1型糖尿病と2型糖尿病が含まれていた。その結果、低たんぱく質食の糸球体濾過率の減少を遅らせる効果については不確実であった。通常食、または非制限食と比較した場合、低たんぱく質食は死亡、または透析が必要な腎不全への進行に対し、ほとんど影響を及ぼさない可能性が示唆された。ほとんどの研究で栄養状態が報告されており、低たんぱく質食群において栄養不良の可能性を示した研究は1件のみであった。健康に関連した生活の質(QOL)にはほとんど、...

早産・低出生体重児の動脈管開存症(PDA)に対するパラセタモール(アセトアミノフェン)の効果と危険性は何か?

1 year 11 months ago
早産・低出生体重児の動脈管開存症(PDA)に対するパラセタモール(アセトアミノフェン)の効果と危険性は何か? 背景 早産児や未熟児、低出生体重児によく見られる合併症に、動脈管開存症(PDA)がある。赤ちゃんが生まれる前は、肺がまだ機能していないため、肺への血液循環は必要ない。その代わり、胎盤が胎児の血液に酸素を供給している。PDAは、肺動脈(生まれた後には、心臓から肺に酸素が少ない血液を運ぶ血管)と大動脈(肺静脈を通って肺から心臓へと戻された、新鮮な酸素を多く含んだ血液を、心臓から全身へと送り出す血管)をつなぐ胎児の仮設の血管である。言い換えれば、PDAは肺を通る胎児の血液循環を「ショートカット」させるものである。子宮の中にいる時は生命を維持するために必要で、出まれた後は閉じるべき血管であるが、児の発達が未熟な場合に動脈管が開いたままになってしまうことがある。 早産児のPDAは、生命を脅かす合併症と関連している。PDAの治療には、プロスタグランジンの生成を抑制してPDAの閉鎖を促すインドメタシンやイブプロフェンという薬剤が一般的に使われてきた。プロスタグランジンは、特定の臓器に限らず全身で作られる化学物質で、特に軟部組織が損傷した場所で作られる。その合成は、治癒の過程において重要な役割を担っている。この物質は、動脈管が開いている状態を維持するのに重要な役割を果たすことが知られてお...

かぜ予防のためのワクチン

1 year 11 months ago
かぜ予防のためのワクチン レビューの論点 ワクチンはかぜの予防になるか? 背景 かぜは、主に上気道のウイルス感染によって引き起こされる。かぜをひいた人は、体調が悪くなり、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛みの有無にかかわらず咳をし、体温が少し高くなる。しかし、通常、自己の免疫システムがウイルス感染による影響をコントロールすることで、回復する。かぜに対する治療は、症状を和らげることを目的としている。世界的に見ると、かぜは広く病気を引き起こし、大きな経済的損失をもたらしている。米国では、かぜによる経済的損失は年間400億ドルを上回ると推定され、これには数百万日もの欠勤日数や学校での欠席日数が含まれる。欧州では、1回の発症あたりの総費用は最大1,102ユーロとなる可能性がある。また、不適切な抗菌薬処方による支出も大きい。かぜの原因ウイルスは複数存在するため、予防のためのワクチンを製造することは困難であった。健康な人に対するかぜ予防のためのワクチンの効果はまだ不明である。 検索日 エビデンスは2022年4月26日現在のものである。 研究の特性 今回の更新では新規の試験は見つからなかった。このレビューには、過去に確認されている、1965年に実施されたランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のうちの1つに無作為に割り当てるタイプの試験)が含まれている。この研究は、米国海軍の訓練施設に所属...

小児の急性呼吸器感染症の予防と治療における経口ホメオパシー薬の利点とリスクは何か?

1 year 11 months ago
小児の急性呼吸器感染症の予防と治療における経口ホメオパシー薬の利点とリスクは何か? 要点 ホメオパシーは、補完代替医療の一種である。これは、健康な人に病気や症状を引き起こす可能性のある物質が、ごく少量であれば、病気や症状を治療できるということ、そして、高度に希釈された物質の分子は、元の物質の記憶を保持しているという2つの主要な考え方に基づいている。明確なエビデンスが存在しないために、小児の急性呼吸器感染症(ARTI)の予防と治療に対する経口ホメオパシー薬の利点とリスクは、未だ不明である。研究デザインや報告の質が低い研究においては、しばしば経口ホメオパシー薬の有益性の可能性が示唆されているが、質の高い研究においては有益性を示す報告はない。 呼吸器感染症とは何か? 風邪やインフルエンザに代表される呼吸器感染症は、一般的にウイルスの感染によって引き起こされるが、肺や耳においては細菌の感染によって引き起こされるものも存在する。これらの感染症は同時に発症することもあり、見分けるのが困難な場合がある。これらの感染症の多くは、治療を行わなくても改善するが、最初の感染が治まった後にも症状が続くことがある。そのため、治療は症状の緩和が目的となる。 なぜ小児における呼吸器感染症が重要なのか? 小児は、年間で平均3回から6回の呼吸器感染症にかかる。ほとんどは軽症で、治療が可能だが、急性(症状が重く、急...

根管治療(歯の神経の治療)は、1回で完了すべきか、複数回に分けて行うべきか?

1 year 11 months ago
根管治療(歯の神経の治療)は、1回で完了すべきか、複数回に分けて行うべきか? 要点 歯の中心部にある神経や血管を含む柔らかい組織(歯髄)が、生きているか死んでいるかに関わらず、単回治療でも、複数回による治療でも、歯内療法(根管治療)は同程度に効果的である。 また、どちらの治療法を用いたとしても、治療後の短期的な痛みを伴うことがある。 根管治療とは何か? 根管治療とは、歯髄が回復不可能なほど損傷している場合に必要となる、歯科における一般的な処置(いわゆる「神経の処置」)である。根管治療は、治療後、痛みなどの症状がなく、レントゲン上で骨や歯の支持組織への損傷が見られず、また、歯肉の腫れや、ろう孔(膿の通路)の形成などの感染の兆候が見られない場合に「成功」とみなされる。 根管治療はどのように行われるのか? 根管治療は、1回または複数回の治療で行われる。まず、治療する歯にゴム製のシート(ラバーダム)を装着し、唾液から隔離した後、ドリルで歯冠(歯の口の中に見える部分)を歯髄に到達するまで削り、歯髄を除去する。そして根管(歯髄の入っていた管)内を消毒した後、最後に詰め物(根管充塡材)を用いて根管内を密封する。 以前は、これらの処置は2回以上に分けて行われ、次回の治療との間に少量の薬剤(根管貼薬剤)を根管内に入れておくことで、残存した細菌の殺滅を図っていたが、現在は薬剤(根管貼薬剤)を使用せず...
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