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メチルフェニデートは注意欠如多動性障害(ADHD)の小児や青少年に有効な治療であるか?

2 years ago
メチルフェニデートは注意欠如多動性障害(ADHD)の小児や青少年に有効な治療であるか? 要点 - メチルフェニデートは多動や衝動性を抑え、小児が集中力を高める助けになるかもしれない。メチルフェニデートは一般行動の改善にも役立つかもしれないが、生活の質(QOL)には影響しないようである。 - メチルフェニデートは、最長6か月間までの使用では、重篤な(生命を脅かす)望ましくない作用のリスクを増加させないようである。しかし、睡眠障害や食欲減退など、重篤でない副作用のリスクが高まる。 - 今後の研究では、望ましくない影響の報告にもっと焦点を当てるべきであり、より長期間にわたって行われるべきである。 注意欠如多動性障害(ADHD)とは? ADHDは、最も一般的に診断され、治療されている小児期の精神疾患のひとつである。ADHDの小児は集中するのが難しい。多動(そわそわし、長時間じっとしていられない)で衝動的(考える時間をとらずに物事にとりかかる)であることが多い。ADHDの小児は、指示に従ったり集中したりするのが難しいため、学校でうまくやっていくのが難しくなる。行動上の問題は、家族や友人とうまくやっていく妨げになり、他の小児よりも多くの問題を起こすことが多い。 ADHDの治療法は? メチルフェニデート(例えばリタリン)は、ADHDの小児や青年に最もよく処方される薬である。メチルフェニデートは...

非がん性慢性疼痛の管理におけるオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の高用量投与

2 years ago
非がん性慢性疼痛の管理におけるオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の高用量投与 要点 がんを原因としない慢性的な痛み(非がん性慢性疼痛)を持つ成人に対して、高用量のオピオイドを使用した場合、どの程度効果があるのか、またどのような副作用があるのかを示す質の高いエビデンスはない。 臨床研究では、通常、カットオフ値(基準とする範囲を区切る値)より低い薬剤の用量が使用されている。非がん性慢性疼痛に対して、高用量のオピオイドがどの程度有効なのか、またどのような副作用があるのかを知る必要がある。 背景 オピオイドは、モルヒネに類似した鎮痛薬の一種であり、長期間(通常は3か月以上)続く中等度または重度の慢性疼痛に対して長年使用されてきた。 研究の特徴 本概要では、非がん性慢性疼痛を持つ成人に対する疼痛緩和のためのオピオイドに関するコクランレビュー、および概要から得られた知見をまとめることを目的とした。さらに、オピオイドを高用量(1日あたりモルヒネ200mg以上に相当)で使用した場合にどの程度効果があるのか、またどのような副作用があるのかを明らかにしたいと考えた。 主な結果 2022年7月までに行われた系統的文献検索からは、目的とした情報は得られなかった。オピオイドに関する研究において、高用量で使用された報告はほとんどない。また、あらゆる用量のオピオイドを使用している人を対象とした研究の一部として用いられ...

肺高血圧症に対する運動療法に基づいたリハビリテーション

2 years ago
肺高血圧症に対する運動療法に基づいたリハビリテーション 要点 医学的に安定している肺高血圧症患者では、運動療法に基づいたリハビリテーションが最も安全で、かつ最も生活の質(QOL)を向上させる可能性がある。運動療法に基づいたリハビリテーションによって、運動能力を大幅に増加させ、平均肺動脈圧を低下させる可能性がエビデンスによって示唆されている。 肺高血圧症とは何か? 肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送る動脈(肺動脈)の血圧が、正常よりも大幅に高くなった状態である。多くの場合、緩やかに発症し、あらゆる年齢の人々に影響を及ぼし、生活の質を低下させ、時に早世に至ることもある。運動療法に基づいたリハビリテーションは、他の慢性肺疾患や心疾患の患者に対しては推奨されているが、近年まで肺高血圧症の患者に対しての推奨はされていなかった。 何を調べようとしたのか? 運動療法に基づいたリハビリテーションと、通常の治療との比較における、適切にデザインされた臨床研究についてのエビデンスのレビューを試みた。 何を行ったのか? 運動能力、健康関連の生活の質(QOL)、重篤な副作用、肺循環の圧力の変化などの短期および長期の結果が運動療法によって改善されるかどうかを調べるために、医学データベースを用いて、肺高血圧症患者が運動療法を行った場合と通常の治療を行った場合とを比較した臨床研究を検索した。本レビューには、合...

出生が早すぎた赤ちゃんの脳出血を予防するフェノバルビタールの利益とリスクは?

2 years ago
出生が早すぎた赤ちゃんの脳出血を予防するフェノバルビタールの利益とリスクは? 要点 ・早産で生まれた赤ちゃんにフェノバルビタール(けいれん発作を抑える薬)を投与することは、脳室内出血(脳出血)や死亡を防ぐ効果はほとんど、あるいはまったくないかもしれない。 ・フェノバルビタールによる脳室拡大(脳内の空間の拡大)予防や長期的な神経発達についてのエビデンスは非常に不確かである。 脳出血(脳室内出血)とは何か? 早産で生まれた赤ちゃんの脳の中心に大きな出血があると、障害がおこったり、死亡したりする。不安定な血圧と脳血流が、脳室(脳内の液体で満たされた空間)への出血を引き起こすと考えられている。 何を知りたかったのか? フェノバルビタールは血圧を安定させ、脳出血を防ぐ可能性があると考えられている。フェノバルビタールが、無治療の場合やプラセボ(薬を含まないが、見た目や味は試験に使う薬と同じ「ダミー」の治療法)よりも優れているかどうか調べた。 実施したこと フェノバルビタール投与と無治療を比較した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や試験の規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。 わかったこと 10件の研究(792人の赤ちゃんを含む)を対象とした。 エビデンスは、フェノバルビタールに脳出血を予防する効果はほとんど、あるいはまったくないことを示している。脳室拡...

エムポックス(サル痘)に対する治療法

2 years ago
エムポックス(サル痘)に対する治療法 本レビューの目的は何か? 現在、エムポックス(サル痘)の治療に特化して認可された薬剤はないが、天然痘など類似したウイルス感染症の治療に認可されている薬剤の中には、感染の集団発生時においてエムポックスの治療に認可されているものがある。これらの薬剤の効果は、エムポックス患者を対象としたランダム化試験ではまだ研究されていない。ランダム化試験では、薬剤投与群とプラセボ(偽の薬)投与群など、少なくとも2つの治療群が設定され、研究参加者は、いずれかの群に無作為に割り振られる。本レビューは、ヒトにおけるエムポックスの治療の安全性と有効性に関するエビデンスを要約したものであり、ランダム化比較試験(RCT)からのエビデンスのレビューと、非ランダム化試験(NRS)からの安全性データのレビューの2部構成となっている。 ランダム化比較試験のレビュー エムポックスの治療法における安全性と有効性の両方に関するランダム化比較試験を検索した。 非ランダム化試験のレビュー エムポックスの治療法における安全性に関する非ランダム化試験のみを検索した。 要点 ランダム化比較試験のレビュー 現在進行中の5件のランダム化比較試験のデータが利用可能になれば、エムポックスの治療を受けた場合と受けなかった場合についての安全性と有効性を比較できるようになる。また、さまざまな治療法について、患者...

急性細菌性結膜炎に対する抗菌薬の有益性と有害性は何か?

2 years ago
急性細菌性結膜炎に対する抗菌薬の有益性と有害性は何か? 要点 抗菌薬の局所投与は、急性細菌性結膜炎患者における徴候と症状、および細菌クリアランス(細菌の減少量)を改善する可能性があるが、一部の抗菌薬は、目やまぶたに有害事象を引き起こす可能性がある。しかし、抗菌薬が身体の他の部位に有害な影響を及ぼす可能性を示唆するエビデンスはない。 急性細菌性結膜炎とは何か? 急性細菌性結膜炎とは、片目または両目における白目の部分とまぶたの内側を覆う薄い層が、細菌感染によって赤く炎症を起こした状態のことである。通常、急性細菌性結膜炎は伝染性があるため、罹患した小児あるいは成人は、登校や出勤を控えることが推奨されている。幸いなことに、ほとんどの場合は自然に治癒する。 急性細菌性結膜炎はどのように治療されるのか? 急性細菌性結膜炎は、通常は回復を早めるために抗菌薬の点眼薬または軟膏によって感染部位の治療が行われるが、抗菌薬が目やその周囲の皮膚に刺激やアレルギー反応を引き起こす可能性があることを考慮した場合、その有益性は疑問視されている。 何を調べようとしたのか? 抗菌薬単独、またはステロイド剤との併用が、結膜炎の徴候および症状を改善するか、あるいは関連する細菌の除去に有用かを調査した。また、抗菌薬が目に有害な影響を及ぼすかどうかについても評価した。 何を行ったのか? 点眼薬、軟膏、または錠剤の抗菌薬と...

放射線治療のみを受けている成人のがん患者に対する運動介入

2 years ago
放射線治療のみを受けている成人のがん患者に対する運動介入 放射線治療とは何か? 放射線治療(RT:放射線療法とも呼ばれる)とは、体の特定の部分に高線量の放射線を照射し、がん細胞を死滅させる治療法である。がん患者のおよそ2人に1人がRTを受けている。RTが単独で行われる場合もあれば、全身に影響を及ぼす他のがん治療(化学療法、免疫療法、またはホルモン療法)と組み合わされる場合もある。RTの有害事象として、通常は放射線が照射された部位のみに影響が及ぶが、全身に影響を及ぼす症状がみられる場合もある。これらの有害事象は、身体活動、身体能力、および生活の質(QOL)の低下につながる可能性がある。運動を行っているがん患者は、がんやその他の原因による死亡や、がんの再発、およびがん治療による有害事象が少ない可能性があるというエビデンスが存在する。 何を調べようとしたのか? RTのみを受けているがん患者において、運動をすることが以下の項目の改善のために有効かどうかを明らかにしたいと考えた。 ・疲労 ・生活の質(QOL) ・身体能力 ・心理社会的影響(うつ病など) ・全生存期間 ・職場への復帰 ・身体測定値(体重など) ・有害事象 何を行ったのか? 電子医学文献データベース上にて、あらゆる種類と病期のがんに対し、RT単独治療を受けている患者が登録されたランダム化比較試験(RCT)を検索した。対象となっ...

長期療養中の認知症患者に対する個人に合わせた活動

2 years ago
長期療養中の認知症患者に対する個人に合わせた活動 介護施設に入居する認知症患者の、それぞれの興味や好みに合わせた活動には、どのような利点があるのか。 本レビューでは何が調査されたのか? 介護施設や老人ホームに入居する認知症患者は、やることが少なすぎることが多く、また行うことができる活動が本人にとって有意義でない場合もある。認知症患者に対し、各自の興味や好みに合った活動に参加する機会がもたらされれば、生活の質の向上、アジテーション(落ち着きのなさ、あるいは攻撃的な行動など)の減少、またはその他の良い効果が得られる可能性がある。 何を調べようとしたのか? 介護施設に入居する認知症患者に対し、それぞれの興味に合わせた活動を提供することの効果について調査を行うことを目的とした。本レビューは、2018年に行われた前回のレビューの更新版である。 何を行ったのか? 認知症患者に対し、それぞれの興味に合った活動が提供された場合(介入群)と、それぞれの興味に合った活動が提供されなかった場合(対照群)との比較が行われた研究を検索した。 介護施設に入居している合計1,071人の認知症患者を含む11件の研究が見つかった。このうち10件はランダム化比較試験(RCT)であり、これは、参加者が無作為に介入群と対照群のどちらかに割り付けられたということを意味する。1件の研究はランダム化されておらず、結果に偏りを...

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法以外の治療法の利点とリスクは何か?

2 years ago
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法以外の治療法の利点とリスクは何か? 要点 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療法について調査した研究は非常に少ない。今回、脳への電気刺激(経頭蓋直流電気刺激法)の使用について評価した、非常に小規模な研究が1件のみ見つかった。 この病気に対してどのような治療が有効か、また、治療が有害事象を引き起こすかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。 PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは何か? PPPDは、めまいやふらつきの症状を伴い、特に立ち上がる時や動き回る時、あるいは視覚刺激(複雑な模様や動きのある映像など)が多い場合に悪化する疾患である。 PPPDはどのように治療されるのか? PPPDの症状を改善するために、薬剤を用いる場合がある。また、前庭リハビリテーションと呼ばれる理学療法や、対話療法なども行われる。 何を知りたかったのか? 以下の項目について明らかにすることを試みた: - 薬物療法以外の治療がPPPDの症状の改善に有用であるというエビデンスがあるかどうか - これらの治療が何らかの有害作用をもたらす可能性があるかどうか 何を行ったのか? 異なる種類の治療(薬物療法を除く)に対し、治療を行わなかった場合、または偽の治療を行った場合(プラセボ)と比較した研究について検索を行った。 何を見つけたのか?...

環境における転倒の危険性を低下させる

2 years ago
環境における転倒の危険性を低下させる 要点 過去1年間に転倒したことがある、最近入院していた、日常生活のサポートが必要であるなど、転倒のリスクが高い高齢者の場合、自宅における転倒の危険となる環境因子を取り除くことで、転倒回数を38%減少させることができる。手すりのない階段、滑りやすい通路、暗い照明などが、転倒の危険となる環境因子の例として挙げられる。 転倒予防プログラムの一環として、なぜ環境因子を考慮することが重要なのか? 転倒はよくあることで、命にかかわることもあるが、防ぐことは可能である。毎年、65歳以上の人の約3分の1が転倒している。転倒の多くは自宅で発生し、転倒全体の30%以上が環境上の危険によって引き起こされる。環境的転倒危険除去プログラムは、転倒の危険となる環境因子を特定し、除去する専門家によって提供される介入である。 何を知りたかったのか? 以下の内容を検討した: - 転倒予防のために、どのようなタイプの環境プログラムが最も効果的か。 また、転倒を防止する下記のプログラムについても検討した: - 環境における転倒の危険を低減するプログラムを提供する最善の方法: - そのようなプログラムによって、重大な怪我につながる転倒を防ぐことができるか。 下記を含む4種類のプログラムを検討した: - 自宅内外の転倒の危険を取り除くことに重点を置いたもの; - 最新の眼鏡や特殊な靴...

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療に使用される薬剤の利点とリスクは何か?

2 years ago
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療に使用される薬剤の利点とリスクは何か? 要点 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法について評価を行った研究は確認されなかった。 この病気に対してどのような治療が有効か、また、治療が有害事象を引き起こすかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。 PPPDとは何か? PPPDとは、持続性知覚性姿勢誘発めまいの略称である。PPPDは、めまいやふらつきの症状を伴い、立ち上がる時や動き回る時、あるいは視覚刺激(複雑な模様や動きのある映像など)が多い場合に悪化する。 PPPDはどのように治療されるのか? PPPDの症状を改善するために、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」や「セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)」として知られる薬剤が投与される場合がある。その他の治療法、例えば、前庭リハビリテーションとして知られる理学療法の一種や、対話療法なども用いられる。 何を知りたかったのか? 以下の項目について明らかにすることを試みた: - 薬物療法(SSRIおよびSNRI)がPPPDの症状の改善に有用であるというエビデンスがあるかどうか。 - これらの治療が何らかの有害作用をもたらす可能性があるかどうか。 何を行ったのか? SSRIおよびSNRIについて、治療を行わなかった場合、またはプラセボ...

病院での計画的出産と自宅での計画的出産

2 years ago
病院での計画的出産と自宅での計画的出産 論点 健康な女性の妊娠のほとんどが正常であり、ほとんどの出産は不必要な医学的介入なしに行われる。しかし、出産の過程で合併症が起こらないことを確実に予想することは不可能である。そのため、多くの国では、すべての女性にとって病院で出産することが最も安全な選択肢であると考えられている。しかし、助産師が妊娠中からケアを提供し、出産時には介助を行い、必要時には自宅と病院間の移動が可能であれば、自宅での出産はマタニティ・ケアの一環である、或いはありうると考えられている国もある。不安や病院での多くの医療処置へのアクセスが容易であることが、介入レベルの上昇につながり、それがさらなる介入を招き、最終的には不必要な合併症を引き起こす可能性があることは、ますます明らかになってきているようだ。経験豊富な助産師が介助し、万が一転院が必要になった場合に備えて協力医療機関がバックアップする自宅での計画的出産では、こうした欠点は回避され、必要時に医療介入を受けられるという利点は維持される。 重要である理由 合併症のリスクが低い女性に対する病院での計画的出産は、経験豊富な助産師が協力的な医療のバックアップのもとで支援する自宅での計画的出産より安全というわけではなく、介入が増え、合併症が増える可能性があることを、より優れた観察研究がますます示唆している。病院での計画的出産と自宅...

原発性副甲状腺機能亢進症の成人に対する副甲状腺摘出術

2 years ago
原発性副甲状腺機能亢進症の成人に対する副甲状腺摘出術 原発性副甲状腺機能亢進症とは 原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は、副甲状腺(首の甲状腺の近くまたは甲状腺上にある4種類の腺)が肥大して、副甲状腺ホルモンを過剰に分泌する疾患である。この病気は成人の1%にみられる。副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、体内のカルシウム濃度が乱れて、骨粗しょう症(骨が弱くなる健康状態)や骨折、慢性腎臓病、心血管疾患、認知機能障害(精神能力の低下)など、さまざまな健康問題につながり、健康関連のQOL(生活の質)を低下させる。 副甲状腺機能亢進症の治療 副甲状腺摘出術(異常な副甲状腺を外科的に摘出する)は、PHPTの患者に対する確立された治療法のひとつである。副甲状腺摘出術は、PHPTを治癒させて、望ましくない合併症を改善することが期待されている。 知りたかったこと 副甲状腺摘出術が、症状のない軽度のPHPTを治癒させ、骨粗しょう症、骨密度低下、腎結石、腎臓病、心血管疾患(心臓や血管に影響を及ぼす疾患)、認知機能障害などの疾患に関連する合併症を改善するために、内科的治療や単純な観察よりも優れているかどうかを知りたかった。また、副甲状腺摘出術に好ましくない影響があるかどうか、PHPT患者の健康関連QOLが改善されるかどうかも明らかにしたかった。 実施したこと PHPTの成人患者を対象に、副甲状腺摘出...

赤ちゃんがとても大きい(巨大児)と疑われる場合の、妊娠末期または末期近くの分娩誘発

2 years ago
赤ちゃんがとても大きい(巨大児)と疑われる場合の、妊娠末期または末期近くの分娩誘発 論点 大きい赤ちゃん(巨大児、出生体重が4000gを越える)の出産は難しく、時には分娩外傷がおこる。この外傷を減少させるための一つの方法は、赤ちゃんが大きくなりすぎる前に分娩を誘発することである。出産前に赤ちゃんの体重を推定することは難しく、あまり正確ではない。臨床的な推定は子宮の感触と子宮底の高さに基づいている。いずれもかなりのばらつきがある。超音波検査も正確ではなく、大きいことが疑われた赤ちゃんは出産時にそうでないことがある。これは両親を心配させうる。 重要である理由 陣痛誘発が早すぎると、赤ちゃんも臓器も未熟に生まれてくる可能性がある。 得られたエビデンス 赤ちゃんが大きいことが疑われる、妊娠37週から40週の女性を対象として行った分娩誘発を評価した、4件の試験を同定した。合計1,190人の糖尿病でない女性が対象となった。2015年10月31日にエビデンスを検索した。女性がどのグループに割りつけられたかを、女性や医療スタッフに盲検化することはできなかったが、研究の質は中等度から良好であった。ただし、これはバイアスを誘っているかもしれない。 結果が意味すること 赤ちゃんの肩がつかえてしまうこと(肩甲難産)や骨折(多くは鎖骨で、後遺症なく治る)は、陣痛誘発群で減少した。肩甲難産についてのエビデン...

腰痛症に対する脊髄刺激療法

2 years ago
腰痛症に対する脊髄刺激療法 背景 腰痛症(腰痛)は、世界において障害を引き起こす主要な原因となっている。脊髄刺激療法は、脊髄に電気インパルスを与える装置を埋め込む外科的治療法であり、長期にわたる腰痛を改善できる可能性が示唆されている。本レビューの目的は、腰痛患者に対する脊髄刺激療法の有益性と有害性に関するエビデンスを評価することである。 研究の特徴 2022年6月10日に、オンラインデータベースおよび臨床試験登録システム上で、関連する研究を検索した。その結果、合計699人の参加者を対象とした13件の研究が見つかった。このうち55%が女性で、平均年齢は47歳から59歳だった。参加者における腰痛の平均持続期間は、5年間から12年間と幅があった。13件の研究のうち10件は、脊髄刺激装置の製造業者と金銭的なつながりがあった。 主な結果 脊髄刺激療法がプラセボ(偽の治療)よりも優れているかどうかについて、6か月以上の検証が行われた研究はなかった。これは、長期的な治療効果は不明であることを意味する。利用可能な研究のほとんどでは、治療開始後1か月未満での結果だけが評価されており、1件の研究においてのみ、治療開始後6か月目における結果が評価されていた。 痛みの強さ(0~100で評価、ポイントが低いほど痛みが少ないことを意味する) 唯一利用可能であった研究からは、プラセボと比較して、治療開始6か月...

ランダム化試験において、標準プラセボと比較して活性プラセボを使用した場合、治療効果は異なるか?

2 years ago
ランダム化試験において、標準プラセボと比較して活性プラセボを使用した場合、治療効果は異なるか? 要点 1.活性プラセボと標準プラセボの間に明確な効果の差は認められなかったが、この結果については非常に不確かである。 2.副作用が明確な医薬品を調査する際には、プラセボの種類を慎重に検討することを提案する。 標準プラセボ、活性プラセボとは何か? 盲検化(またはマスキング)はランダム化試験の重要な部分であり、参加者が実験的な治療を受けているかどうかを知ることによって、参加者や医療提供者が影響を受けないようにするものである。もしこのような知識があれば、意図せず治療効果を過大評価(あるいは過小評価)してしまうかもしれない。盲検化の方法の1つは、非治療群の参加者にプラセボを与えることである。プラセボは、薬のように見えるが(例えば、同様の形、色、匂い、味、質感の錠剤)、有効成分を含んでいない。 プラセボによる盲検化は必ずしも成功するとは限らない。治療薬にはプラセボと区別できる副作用があるため、治療効果を正確に測定することができない場合がある。そのため、試験によっては、実験薬の副作用を模倣した活性プラセボを使用することもある。しかし、プラセボの種類の選択によって、実際に治療効果に差が出るかどうかは不明である。 何を知りたかったのか? ランダム化試験における治療効果が、標準プラセボと比較して、活性プ...

オピオイドは手術後の乳児の疼痛管理に最適か?

2 years ago
オピオイドは手術後の乳児の疼痛管理に最適か? 要点 - 乳幼児の手術後の痛みを管理するためのオピオイド(鎮痛薬の一群)の有益性とリスクに関する十分な質の高いエビデンスは見つからなかった。対象となる研究は4件しか見つからず、信頼できる結果を出すのに十分な数の乳児が登録されていなかった。 - オピオイド、その他の医薬品、非医薬品ベースの治療法の利益と潜在的有害性をよりよく推定するためには、より大規模でデザインされた研究が必要である。 乳児の手術後の痛みを抑えるために、なぜオピオイドが投与されるのか? 乳児は(特に生後4週間は)手術を受けなければならないことがしばしばある。大人と同様に、これらの手術後も継続的な痛みの管理が必要であり、オピオイドは一般的に乳児の手術後の痛みを和らげるために使用される。 何を調べようとしたのか? 手術を受ける乳児にオピオイドを投与した場合の影響を以下のものと比較して調べようとした: 1) 無治療またはプラセボ(薬を含まないが、見た目や味が試験中の薬と同じ「ダミー」の治療); 2)薬を使わない治療法(甘い溶液など); 3) 他の医薬品; 4) 異なる種類のオピオイド 何を行ったのか? オピオイドと上記の4種類の治療法を比較した研究を検索した。その結果を比較、要約し、研究方法や規模などの要素から、エビデンスに対する信頼性を評価した。 何が見つかったのか? 33...

成人の直近に骨折した骨に対する超音波療法および衝撃波治療

2 years ago
成人の直近に骨折した骨に対する超音波療法および衝撃波治療 要点 - 超音波や衝撃波による治療が、骨折後の人々の生活の質(QOL)を向上させるかどうかは定かではない。 - 超音波療法を行っても、おそらく骨の治り具合に差はないだろう。 - 衝撃波療法で、大腿骨(太ももの骨)や脛骨(すねの骨)を骨折した人の受傷1ヶ月後の痛みを、ごくわずかに軽減させる可能性がある。しかし、この痛みの軽減が意味のあるほどのものかは疑わしい。 - 超音波や衝撃波による治療が骨折を治すのに役立つかどうかを見るには、よりよくデザインされた大規模な研究が必要である。 なぜ直近に起こった骨折に対する治療が重要か? 時には、骨折が治るのに時間がかかったり、完治しない可能性がある。その結果、人々の生活の質(QOL)が低下し、通常の生活(仕事など)に戻るまでの時間を長引かせかねない。 骨折を確実に治すためには、骨を治りやすくさせる治療が役に立つだろう。 音波が骨折部を刺激して、新しい骨を作ることで、折れた骨を治す可能性がある。 超音波や衝撃波療法などの音波を使って治療できる可能性がある。どちらの治療も、骨折部位の上の皮膚に特殊な装置を毎日約20分間あてて行う。 低エネルギーの音波を使用する超音波療法と、あてられている部位が振動のように感じる高エネルギーの音波を使う衝撃波療法がある。 何を知りたかったのか? 私たちは、超音...

脳卒中がある人の活動性向上のための体幹トレーニング

2 years 1 month ago
脳卒中がある人の活動性向上のための体幹トレーニング 背景 脳卒中は一般的な疾患であり、成人では大きな障害や死に至ることさえある。脳卒中は、動作の制限を含め、人間の機能のさまざまな側面に重要な影響を及ぼす。脳卒中後に頻繁に観察される障害のひとつに、体幹の機能低下がある。この障害は、とりわけ、可動性の低下、座位バランスの低下、内的・外的障害に対する反応の遅れや低下、筋力の低下、体幹の筋活動パターンの低下によって特徴づけられる。体幹の動きと座位バランスは、どちらも機能的自立、つまり、着替え、食事、身だしなみなどの日常生活作業を手助けなしで行う能力にとって重要である。体幹の機能は、脳卒中後の回復度や自立度を大きく左右する。 体幹トレーニングは、体幹の機能を取り戻すことを目的としている。体幹トレーニングは、腹筋や背筋の筋力トレーニング、体幹の可動性を高めることに焦点を当てたエクササイズ、座位バランスを改善することを目的とした、座っているときの横方向や前方向のバランスを改善するエクササイズなど、さまざまな要素から構成される。 胴体は身体の中核であり、頭部や四肢をコントロールし、動かすための安定した土台となる。体幹のトレーニングは、体幹の機能だけでなく、日常生活動作、立位バランス、歩行、幸福感など、他の結果にも好影響を与える可能性がある。 レビューの論点 脳卒中後、体幹のトレーニングによって日...

新生児黄疸に対する間欠的光線療法と持続的光線療法の比較

2 years 1 month ago
新生児黄疸に対する間欠的光線療法と持続的光線療法の比較 レビューの論点 新生児黄疸において、間欠的光線療法は持続的光線療法と比較してビリルビン濃度を低下させるのに有効か。 背景 新生児黄疸とは、血液中のビリルビン(血液に含まれる黄色の化合物)濃度が高いために新生児の皮膚が黄色に変化することである。光線療法は、新生児黄疸に対する有効な治療法として広く受け入れられている。通常、光線療法は持続的に行われるが、間欠的光線療法は母親による哺乳やボンディング(訳注:絆の形成)を促進するといった利点が期待される。間欠的光線療法が持続的光線療法と同等の効果があるかは不明である。 研究の特性 2022年1月までの医学データベースの検索により、乳幼児における間欠的光線療法の効果を評価した33件の研究を同定した。これらのうち、12件の試験(合計1600例の乳児を含む)がこのレビューの選択基準を満たしていた。1件の試験が進行中であり、4件の試験が分類待ちである。主要評価項目は、血清ビリルビン値の低下率とビリルビン誘発性神経機能異常(BIND)であった。検索結果は2022年1月31日時点で最新のものである。 主な結果 間欠的光線療法と持続的光線療法の間には、ビリルビン濃度の低下についてほとんど、あるいはまったく差がなかった。持続的光線療法は早産児においてより有効であったが、これが有意な差であるかは不明であ...
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