Latest Japanese Reviews

脳卒中患者の日常生活動作に対する反復末梢磁気刺激(repetitive peripheral magnetic stimulation:rPMS)

1 year 6 months ago
脳卒中患者の日常生活動作に対する反復末梢磁気刺激(repetitive peripheral magnetic stimulation:rPMS) レビューの論点 反復末梢磁気刺激(repetitive peripheral magnetic stimulation:rPMS)は脳卒中後の人の日常活動を向上させるのに有効であるか? 背景 脳卒中は、身体的障害の最も一般的な原因であり、脳の一部への血液供給が遮断されたり、減少したりすることで起こる。脳卒中には、虚血性(血流不足によるもの)と出血性(出血によるもの)の2種類があることが知られている。脳卒中後の上下肢麻痺は、食事、入浴、更衣、歩行などの日常生活動作に問題を生じさせる。脳卒中後の人は、しばしば上下肢のトレーニング、日常動作に重点を置いた運動、適切な歩行補助用具(杖など)といった身体のリハビリテーションが必要である。しかし、有用な治療法は現在限られている。反復末梢磁気刺激(rPMS)は、運動神経の末端枝を刺激して筋収縮を起こすことにより、脳や神経の損傷で筋力が低下した人の動きを改善する非侵襲的治療(身体に器具を挿入しない治療)である。rPMSは筋肉の深層まで浸透し、痛みがほとんどなく、副作用がほとんどないのが特徴である。 検索日 この検索は2021年10月5日現在のものである。 研究の特性 本レビューは2019年に報告された...

多嚢胞性卵巣症候群の女性における不妊治療で用いるアロマターゼ阻害薬

1 year 6 months ago
多嚢胞性卵巣症候群の女性における不妊治療で用いるアロマターゼ阻害薬 レビューの論点:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による不妊症の女性に用いるアロマターゼ阻害薬に関するエビデンスを検討した。 背景:PCOSは、希発月経や無月経の最もよく見られる原因であり、全世界の女性の約5%~20%が罹患していると言われている。それはしばしば排卵障害による不妊症の原因となる。アロマターゼ阻害薬は、排卵を促すために用いられる。2001年頃以降、アロマターゼ阻害剤であるレトロゾールの不妊治療における効果についての臨床試験が行われているが、最も一般的に使用されるクロミフェンクエン酸塩と比較して少なくとも同等の効果があるかどうかについて、結論は一致していない。 試験の特徴:レビューには、参加者が無作為に介入群(レトロゾール)か対照群(クロミフェンクエン酸塩など)に割り付けられた臨床試験を組み入れた。これらの試験はランダム化比較試験と呼ばれている。このレビューには、6,522人の女性を対象とした41件のランダム化比較試験が含まれる。すべての試験で、用いられたアロマターゼ阻害薬はレトロゾールであった。対照群では、26件のランダム化比較試験でクロミフェンクエン酸塩が用いられ、4件のランダム化比較試験では腹腔鏡下卵巣開孔術(排卵を促すために行われる外科的処置)が行われた。他の治療法を行う試験もいくつかあった。 主...

デクスラゾキサン(dexrazoxane)はアントラサイクリン(anthracyclines)を使用している成人および小児のがん患者の心臓障害を予防または軽減できるか?

1 year 6 months ago
デクスラゾキサン(dexrazoxane)はアントラサイクリン(anthracyclines)を使用している成人および小児のがん患者の心臓障害を予防または軽減できるか? レビューの論点 アントラサイクリン系化学療法を受けた成人および小児のがん患者における心臓障害の予防または軽減に対するデクスラゾキサンの有用性に関するエビデンス(科学的根拠)を評価した。また、心臓障害以外にも、抗腫瘍効果(すなわち生存率および奏効率)、生活の質および有害作用(治療による望ましくないまたは有害な影響)に関してデクスラゾキサンの潜在的効果を検証した。 背景 アントラサイクリンはさまざまな種類のがんに使用できる、有効な化学療法剤である。しかし、累積投与量(時間とともに投与された総量)に応じて心臓障害(心毒性)のリスクがある。心毒性は無症候性心機能不全(心機能が制限されたことを示す結果が検査により得られているものの、患者に症状が認められない)を引き起こす場合があり、この状態は症候性心不全(患者に症状が認められる)へと進行する可能性がある。デクスラゾキサンは、この心臓障害を予防または軽減する可能性がある医薬品である。 本レビューは以前報告されたコクランレビューの3回目のアップデート版である。前回のレビューでは心臓保護剤(心臓を保護する薬剤)の候補となり得るすべての薬剤を検討したが、これを分割し、本レビューでは...

成人と小児の喘息発作において吸入ステロイドを増量した場合と通常の用量で続けた場合の治療効果の比較

1 year 6 months ago
成人と小児の喘息発作において吸入ステロイドを増量した場合と通常の用量で続けた場合の治療効果の比較 要点 喘息発作が起きた当初に一回量が通常の用量よりも多いステロイド薬吸入器を使用するという行動計画に従っても、おそらく患者は(増量しない場合と)同様に症状が悪化して経口ステロイド薬が必要になる可能性がある。他の有益性と有害性については確かではないが、誰の吸入量が増やされたか参加者にも治験実施者にもわからないように「盲検化された吸入器」を使ったどの研究においても、軽度または中等度喘息患者の吸入量を増やすことによる有益性は示されなかった。なお、盲検化された吸入器が用いられなかったために本レビューの対象から除外された最近の研究で、コントロール不良の喘息につき、より好ましい結果が得られたことは留意すべきである。 喘息とは? 喘息は、よくある慢性の肺の病気で、咳、息切れ、喘鳴などを引き起こす。喘息患者はしばしば、増悪または「発作」と呼ばれる短期的な症状悪化に見舞われるが、これは中等度のこともあれば、生命を脅かすこともある。 これが喘息患者にとって重要なのはなぜか 喘息患者にとって喘息発作は怖いもので、しばしば自宅や病院での応急手当てが必要となる。どうしたら初期的な徴候が出た時点で喘息の発作をよりよく抑えられるかを知ることは、経口ステロイド薬や病院での救急治療が必要となる事態を避けるために重要で...

肥厚性瘢痕やケロイドに対するレーザー治療

1 year 6 months ago
肥厚性瘢痕やケロイドに対するレーザー治療 このレビューでは何が評価されたのか? 肥厚性瘢痕およびケロイドとは、傷口が正しく治癒しない場合に形成される凹凸のある瘢痕である。これらの瘢痕は変色したり、赤くなることがあり、また痛みやかゆみを引き起こすこともある。治療法には、シリコーンゲルやステロイドを用いた方法など、さまざまなものがある。 レーザー治療は、これらの瘢痕に対する新たな治療方法となる可能性がある。レーザー治療では、皮膚に強力な光線を照射することで、損傷した組織を破壊することができる。患者の皮膚の性状や瘢痕の性質に応じて、さまざまな種類のレーザー治療が用いられる。レーザー治療は高価で、また有害作用を起こす可能性もあるため、安全かつ効果的であるかどうかを評価することが重要である。 このレビューの目的は何か? このレビューの目的は、レーザー治療が肥厚性瘢痕やケロイドに対し、効果的な治療法であるかどうかを調査することである。この疑問を解決するために、コクランの研究者は関連したすべての研究を収集、分析した結果、15件のランダム化比較試験(RCT)が見つかった。 このレビューの主な結果は? 1999年から2019年にかけて発表された15件の研究が対象とされ、小児および成人の男女、合計604人の参加者が対象となった。それぞれの研究規模は小さく(10人から120人の参加者数)、被験者の観察...

境界性パーソナリティ障害の人への危機介入

1 year 6 months ago
境界性パーソナリティ障害の人への危機介入 境界性パーソナリティ障害とは? 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、一般集団の約2%が罹患する複雑で重度の精神障害である。BPDと診断された人の多くは、人間関係が不安定で、つらい急激な感情の変化があり、頻繁に危機的状況に陥る。このような危機は、薬物やアルコールの使用量が増えたり、医療専門家との接触が減ったり、自傷行為に走ることにつながりかねず、命にかかわることもあるため、重要な時期である。 知りたかったこと 現在までのところ、BPDと診断された人々が急性期の危機に直面しているときに、何が助けになるのか、ほとんどわかっていない。このレビューでは、ランダム化比較試験(一部の参加者(介入群)が実験的な治療を受けるように無作為に割り当てられ、他の参加者(対照群)は治療を一切受けないか、ダミー治療(プラセボ)または通常の治療を受けるように無作為に割り当てられる)のエビデンス(科学的根拠)を調べることによって、BPDと診断された人々に対して危機介入が有効であるかどうかを見極めたいと考えた。 わかったこと 医学データベースを検索したところ、この問題を扱った2件の研究が見つかった。 1件の研究では、介入群は共同危機管理計画(将来の危機管理のための治療に関する本人の希望を説明した文書で、危機の際に携帯して参照できる)を立てていた。この文書は、元気回復行動...

歯槽骨炎(ドライソケット)に対する予防および治療の方法にはどのようなものがあるか?

1 year 6 months ago
歯槽骨炎(ドライソケット)に対する予防および治療の方法にはどのようなものがあるか? 要点 ・抜歯前、または抜歯後24時間以内におけるクロルヘキシジンの洗口液によるうがいにより、ドライソケットを予防できる可能性がある。 ・抜歯直後にクロルヘキシジンゲルを抜歯窩(歯を抜いた後の穴)に直接注入することにより、ドライソケットを予防できる可能性がある。 ・クロルヘキシジンの洗口液には軽度の有害作用があるが、抜歯窩用のクロルヘキシジンゲルには有害作用は認められなかった。 ・Alvogyl(訳者注:ドライソケット治療用の製剤。翻訳時、日本未販売)は、酸化亜鉛ユージノールよりもドライソケットの痛みを軽減する作用が強いが、そのエビデンスは非常に不確実である。 ・Alvogylには、有害作用は認められなかった。 ・今後のさらなる研究により、エビデンスを強化し、ドライソケットを予防および治療するための最適な方法を調査していく必要がある。 ドライソケットとは何か? ドライソケットとは、歯を抜いた後に時々発生する痛みを伴う症状であり、下の智歯(親知らず)を抜いた後に起こりやすいと言われている。 ドライソケットの原因は何か? 歯を抜いた後に、抜歯窩の底にできる血餅(血が固まったもの)の一部または全部が失われることと関連していると考えられている。 ドライソケットを予防する方法は? ドライソケットの予防法として...

ギャンブル依存症の治療のための薬物療法

1 year 6 months ago
ギャンブル依存症の治療のための薬物療法 背景 ギャンブルの問題は、ギャンブル依存症の人、その家族・友人、そして地域社会に深刻な影響を与える可能性がある。ギャンブル依存症の患者の治療にはさまざまな薬剤が使用されているが、実際にどの薬剤を使用すべきかを示すエビデンスの質の高いレビューはほとんどない。 論点 異なる種類の薬剤が、無治療(プラセボ、またはダミー治療)と比較して、ギャンブル症状の軽減に有効であるかどうかを調査した。 研究の特徴 2022年1月以前に発表されたランダム化比較試験(参加者が2つ以上の治療法のいずれかに無作為に割り付けられた治療の有効性を評価するためのゴールドスタンダードである試験)を対象とした。17件の研究をレビューに含め、合計1,193人の参加者を得た。これらの研究では、抗うつ薬(うつ病の予防や治療に用いられる薬)、オピオイド拮抗薬(鎮痛剤やヘロインなどのオピオイドの作用を逆転させてブロックする薬;例.ナルトレキソン、ナルメフェンなど)、気分安定薬(ハイ(躁)状態やロー(鬱)状態を治療・予防する薬)、非定型抗精神病薬(統合失調症の治療や他の精神疾患の治療に用いられる薬)を互いに比較したり、無治療対照群(すなわちプラセボ)と比較していた。ギャンブル症状の重症度、ギャンブルへの支出、ギャンブルの頻度、うつ症状、不安症状、機能障害(病気による制限)、レスポンダー状態...

ニルマトレルビルとリトナビルの併用は新型コロナウイルス感染症の治療または予防に有効か

1 year 6 months ago
ニルマトレルビルとリトナビルの併用は新型コロナウイルス感染症の治療または予防に有効か 要点 ニルマトレルビルとリトナビルの併用(販売名パキロビッド®パック、2種類の錠剤1日分が1枚のシートになっているパック製剤)は、2019年に始まった新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の治療として評価されている。 ニルマトレルビルとリトナビルの併用は、投与後28日以内の入院の必要性または死亡により評価した場合、患者の状態を改善し、死亡率を減少させる可能性がある。 データは、ワクチンの接種をしておらず、疾患の進行リスクが高い患者で、症状発現後5日以内に治療が開始された患者のデータしかなかった。 検索の結果、進行中の研究が8件見つかった。今後、毎月検索結果を更新していく予定である。 ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド®)について ニルマトレルビルとリトナビルの併用(パキロビッド®)は、SARS-CoV-2ウイルスによる感染症(COVID‐19)を治療するために開発された新しい薬であり、無症状または軽症の患者が重症化するのを防ぐことを目的としている。リトナビルはニルマトレルビルの効果を高めるが、他の多くの薬剤と相互作用を起こし、副作用を増加させる可能性がある。 知りたかったこと ニルマトレルビルとリトナビルの併用がCOVID-19患者の死亡率や症状、感染期間を減少させるかどうか...

FIGOステージ分類(2019年版)IB3期/II期の子宮頸がんに対する腫瘍減量子宮摘出術後の化学放射線療法と、化学放射線療法との比較

1 year 7 months ago
FIGOステージ分類(2019年版)IB3期/II期の子宮頸がんに対する腫瘍減量子宮摘出術後の化学放射線療法と、化学放射線療法との比較 レビューの論点 子宮頸がんは子宮の下方(頸部)から発生する。世界的には、子宮頸がんは女性のがんの中で3番目に多く、2018年の新規患者数は57万人と推定されている。疾患による負担は低・中所得国に集中している。この病気は若い女性(英国では25~30歳に最も多い)に多く発症するため、女性や世界の社会経済状況全体に大きな悪影響を及ぼす。 子宮頸がんの治療は、診断時のがんの広がり(病期、ステージ)に基づいて行われる。国際産婦人科連合(FIGO)の病期分類は病気の広がりによって表されており、IA1期は顕微鏡的病変、IVB期は体の離れた部位にがんが広がった状態とされる。IB3期/II期は、がんが子宮頸部で相当大きくなっているか、すでに隣接した組織に広がっているが明らかに遠くの組織や臓器には転移していない状態である。IB3期/II期は、局所進行子宮頸がんと呼ばれることがある。 小さな腫瘍が子宮頸部にとどまっている早期の段階では、外科的治療(子宮と骨盤内リンパ節の切除)により、ほとんどの女性を治療することができる。一方、子宮頸がんが隣接する組織や臓器に広がっている場合、手術では治癒する可能性が低いため、手術に替えて放射線療法と毎週の化学療法(化学放射線療法)を行...

がん患者および緩和ケアを受けている患者におけるオピオイド使用に伴う腸機能障害に対するμオピオイド拮抗薬

1 year 7 months ago
がん患者および緩和ケアを受けている患者におけるオピオイド使用に伴う腸機能障害に対するμオピオイド拮抗薬 背景 オピオイド(モルヒネ様作用薬)は、激しい痛みの治療に用いられるが、便秘、排便の不完全、腹部膨満、胃内容物の食道(食物管)への逆流(流れ戻り)の増加などの腸の機能障害を引き起こす可能性がある。これは、オピオイドの受容体が腸に存在するためである。オピオイドによる腸の機能障害は非常に深刻で、腸の機能を改善するために痛みの緩和を制限することを選択する場合もある。オピオイドによる腸機能障害は、がん患者や緩和ケア(治癒が見込めない場合)を受けている人によく見られる。オピオイドによる腸の機能障害には、下剤が第一選択薬となることが多い。効果が得られない場合もある。μオピオイド拮抗薬は、オピオイドによる腸管機能障害に特化した医薬品で、オピオイドの作用(腸管での作用)を抑えるために開発されたものである。しかし、この治療法の副作用として考えられるのは、痛みの軽減の減少である。 試験の特性 この最新のレビューの目的は、がん患者や緩和ケアを受けている患者におけるオピオイド誘発性腸機能障害の管理に対するμオピオイド拮抗薬(MOAB)の有効性と安全性について、これまでに得られた知見を明らかにすることであった。最も信頼性の高いエビデンスを提供するランダム化比較試験のみを対象とした。ランダム化比較試験は、...

傷口の洗浄に水または他の液体を使用した場合における効果の比較

1 year 7 months ago
傷口の洗浄に水または他の液体を使用した場合における効果の比較 背景 感染は、創傷の正常な治癒過程を妨げる可能性がある。感染のリスクを減らすために、慣例的に創傷の洗浄が行われ、汚れや汚染物、あるいは異物が除去される。このレビューでは、創傷を皮膚の損傷と定義している。 このレビューの目的は何か? 本レビューの目的は、異なる種類の水(水道水、蒸留水、煮沸水など)による創傷洗浄の効果を、洗浄を行わなかった場合、または他の液体(生理食塩水など)を用いた場合とを比較して調査することである。創傷に関連した感染率と、創傷の治癒について調べることにより、洗浄効果の評価が行われた。 コクランの研究者により、関連するすべての無作為化比較試験(RCT)が検索され、その結果、13件の研究が見つかった。RCTとは、被検者が無作為に選ばれ、それぞれに異なる治療を受ける研究方法である。この方法に基づいて被検者が割り当てられることで、治療方法と、報告された治療結果との関連性について、最も信頼できるエビデンスを得ることができる。 要点 水道水、蒸留水、煮沸後に冷ました水、または生理食塩水による創傷洗浄を行った場合のそれぞれの比較と、洗浄を行わなかった場合とにおける比較が行われた。結果、これらの介入が創傷に感染を起こした数に影響したかどうかは不明であった。また、創傷の治癒(創傷が治癒した数、創傷の大きさの変化、創傷の...

COVID‐19の治療におけるフルボキサミンの効果

1 year 7 months ago
COVID‐19の治療におけるフルボキサミンの効果 レビューの論点 フルボキサミンはCOVID-19に対する治療薬として有効か、また、有害な作用はあるか? 要点 軽度から中等度のCOVID-19患者の治療に対し、フルボキサミンの使用が有効かどうかは不明である。これは、現在、明確な判断を下すのに十分な研究が行われていないためである。 COVID-19の治療薬として、フルボキサミンを調査している進行中の研究が5件、さらなる情報が必要な研究が2件見つかった。その結果として結論が変更される場合、このレビューを更新する予定である。 フルボキサミンとは何か? フルボキサミンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)として知られる薬剤の一種で、錠剤の形で使用されている。最近の研究により、フルボキサミンがCOVID-19に対し効果がある可能性があることが明らかになった。免疫系がウイルスと戦う際に、肺や気道が炎症を起こし、呼吸困難を引き起こすことがあるが、フルボキサミンはこの炎症を軽減し、抗炎症作用および抗ウイルス作用により、重度のCOVID-19と、それに伴う肺の症状を発症するリスクを減らすことができる可能性がある。フルボキサミンは、抗うつ剤として服用した時でも、ほとんどの場合には重篤な副作用を起こさないことがわかっている。しかし、特に服用を開始したときに、次のような副作用を起こす場合があ...

原発性脳腫瘍がある成人患者における倦怠感の管理に対する介入

1 year 7 months ago
原発性脳腫瘍がある成人患者における倦怠感の管理に対する介入 要点 原発性脳腫瘍と高度の倦怠感がある患者の管理に有効な治療法があるかどうかは、参加者数が少ない3件の研究しか見つからなかったため、分からない。 原発性脳腫瘍とは? 原発性脳腫瘍は、体の他の部分から広がったのではなく、脳で発生した癌である。脳腫瘍は、高悪性度と低悪性度に分類され、高悪性度腫瘍は異型度の高い細胞で構成され、急速に増殖するのに対し、低悪性度腫瘍は異型な細胞で構成され、ゆっくりと増殖する。原発性脳腫瘍の患者には、倦怠感(疲労感)がよくみられる。これは、腫瘍やその治療、あるいは抗てんかん薬(発作の治療に用いられる)など、他の医薬品の使用が原因である可能性がある。また、睡眠障害、思考障害、精神的苦痛など他の症状を伴うこともある。 知りたかったこと 倦怠感を管理するための治療が、その人の生活の質(QOL)、癌治療に耐える能力(それ自体が疲労と関連している)、社会生活や日常生活を営む能力を改善するかどうかを検討した。 本レビューで実施したこと 2022年4月、4件の医学データベースを検索した。その結果、対象となる臨床試験が3件見つかった。この3件の試験は、原発性脳腫瘍で高度の倦怠感を有する成人患者を対象に、3種類の医薬品(モダフィニル、アルモダフィニル、デキサムフェタミン硫酸塩)の使用を調査した。これらの薬は、覚醒を促...

固形臓器移植後の免疫抑制剤の服薬アドヒアランスを向上させるための介入

1 year 7 months ago
固形臓器移植後の免疫抑制剤の服薬アドヒアランスを向上させるための介入 論点 固形臓器移植とは、心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓のいずれかを移植することである。固形臓器移植後、免疫抑制剤は免疫系を抑制し、臓器移植の短期および長期の生存を確保するために働く。免疫抑制剤を正しい時期に正しい量で服用することは、移植後のケアにおいて非常に重要なことである。しかし、免疫抑制剤の服用を守らないことは頻繁にあり、移植失敗の一般的な理由となりえる。固形臓器移植後の免疫抑制剤の服薬アドヒアランスを向上させる効果的な介入方法を特定するための明確なエビデンスが必要である。 本レビューで実施したこと 心臓、肺、腎臓、膵臓、肝臓のいずれかの移植後に免疫抑制剤の服薬アドヒアランスを高めるための介入を記述した研究を見つけるために文献を検索した。研究から情報を集め、これを組み合わせて、ある介入が有用であるかどうかを特定した。観察された効果がどの程度確かなものであるかを判断するために、これらの介入の質を調べた。 レビューの結果 その結果、3,718人の成人と178人の青年を対象とした40件の研究が見つかった。大半の研究では、腎臓移植を受けた参加者を対象としていた。介入の種類は研究によって異なり、27件の研究では免疫抑制剤の服薬アドヒアランスを向上させるための複数のアプローチが含まれていることがわかった。薬の正しい服用量を...

地域におけるマラリア治療プログラムに迅速診断検査を取り入れることで、マラリアや発熱に対する治療内容が改善されるか?

1 year 7 months ago
地域におけるマラリア治療プログラムに迅速診断検査を取り入れることで、マラリアや発熱に対する治療内容が改善されるか? 要点 ・マラリアが深刻な問題となっている地域(マラリア流行地域)では、多くの人が必要な治療を受けることができない。 ・マラリアを診断するための迅速診断検査(mRDT)は、指を刺して、血液を小さな検査用のカセットに滴下するという簡単なものである。 ・マラリア流行地域におけるマラリア治療プログラムというのは、医療の専門資格を持たない人々が、身体所見や症候に基づく診断(身体所見による診断)を行うのではなく、mRDTを利用することで、マラリアの治療状況が改善される。 ・抗菌薬の処方頻度に対するmRDTの影響を知るには、さらなる研究が必要である。 地域ごとの治療プログラムにおいて、マラリアはどのように診断され、治療されるのか? マラリアには有効で安全な治療薬(抗マラリア薬)があるが、特に医療施設から遠く離れた場所に住んでいる場合は、多くの人はいまだに治療薬が必要な時であっても治療薬を入手することが難しい状況である。この状況を改善するため、正規の医療資格を持たない地域の住民が、マラリアかどうか徴候や症状の確認を行ったり、mRDTを使用したりして、マラリアを診断、治療するための訓練を受けている。これらを担うのは、地域保健に従事する医療者や、調剤薬局ではないドラッグストアの販売員な...

成人における大腿骨近位部骨折手術後のモビリティストラテジー(より良い動きをすることを目的とした治療法)は歩行能力を改善・回復させるか?

1 year 7 months ago
成人における大腿骨近位部骨折手術後のモビリティストラテジー(より良い動きをすることを目的とした治療法)は歩行能力を改善・回復させるか? 要点 移動能力とは、立ち上がりや歩行など、動く能力のことである。モビリティストラテジーとは、より良い動きをすることを目的とした治療法である。 大腿骨骨折から4か月後に、病院で行われる運動療法が移動能力を中等度改善する可能性がある。その他の主な結果(評価項目)に対する運動療法の効果は不明であった。大腿骨近位部骨折後の退院後に行う運動療法 により、移動能力が向上し、おそらく歩行速度が上がり、機能がわずかに改善され、転倒が減少する。 今後は、どのような治療法が最も効果的なのか、また、その治療法が低所得の国でも有効なのかに焦点を当てた研究が必要である。 大腿骨近位部骨折の後、移動能力を向上させるためにできることは何か? 大腿骨近位部骨折の手術後のケアの主な目的は、安全に自分の足を動かし、再び歩けるようにすることである。初めはベッドで安静にし、体重負荷を制限する場合もある。そして、歩行の再訓練、運動プログラム、電気刺激など、移動能力を改善するためのさまざまな戦略が、入院中やしばしば退院後に用いられる。 何が知りたかったのか? 以下の内容を検討した: - 病院や退院後に行われる運動療法が、より良い動きの獲得に役立つかどうか; - 大腿骨近位部骨折の後、どのよ...

成人の肺炎に対する胸部理学療法

1 year 7 months ago
成人の肺炎に対する胸部理学療法 レビューの論点 胸部理学療法は成人肺炎の支持療法として有効かつ安全か? 背景 肺炎は、世界中のあらゆる年齢層が罹患する最も一般的な健康問題の1つである。肺炎の治療は抗生物質が中心であるが、酸素供給などの支持療法も患者の予後を改善するために有効な場合がある。気道浄化の手技である胸部理学療法は、信頼できるエビデンスがないまま、成人の肺炎の支持療法として広く用いられてきている。 検索日 エビデンスは2022年5月までのものである。 研究の特性 合計974人の参加者を含む8件の研究を対象とした。今回の更新では、新たに2件の試験(540人)を組み入れた。すべての研究は、入院患者を対象としている。研究では次の5種類の胸部理学療法を検証した:従来の胸部理学療法(痰の排出を助ける徒手的手技)、アクティブサイクル呼吸法(痰の排出を助ける一連の呼吸法)、整骨的徒手療法(呼吸機能と痰の排出を改善するために理学療法士が手の力で誘導する治療法)、呼気陽圧(気流抵抗を増加させて痰の排出を改善する装置の使用)、高周波胸壁振動(特殊装置による胸壁振動で痰の排出促進) 主な結果 1. 死亡 従来の胸部理学療法、整骨的徒手療法、高周波胸壁振動療法(理学療法なし、またはプラセボ療法との比較)は、死亡を減らす効果はほとんど、または全く無い可能性があるが、エビデンスの確実性は非常に低い。 ...

オピオイド系鎮痛薬の依存症に対するオピオイド維持療法

1 year 7 months ago
オピオイド系鎮痛薬の依存症に対するオピオイド維持療法 要点 1.メサドンはブプレノルフィンよりも多くの人を治療にとどめるかもしれない。 2.オピオイドの使用については、メタドンの方がブプレノルフィンより少ないという報告があったが、尿検査では両群間に差はなかった。 3.ブプレノルフィンによる維持療法は、おそらく非オピオイド治療よりも多くの人に治療を続けさせ、オピオイドの使用を減らすのに役立つと思われる。 オピオイド系鎮痛薬の依存性とは? 1990年代半ば以降、世界の一部地域で医薬品オピオイド(疼痛治療薬)の使用量が急激に増加している。利用の増加に伴い、医薬品であるオピオイドの依存症(アディクション)の治療を希望する人が増えている。現在、ほとんどの治療ガイドラインは、ヘロイン(依存性の高いオピオイド)に依存した人々を対象に行われた研究に基づいている。医薬品のオピオイドを使用する人は、慢性疼痛や精神症状の有病率が高いなど、ヘロインを使用する人とは重要な点で異なる可能性がある。 知りたかったこと このレビューは、医薬品オピオイド依存症の治療において、異なるオピオイド作動薬維持療法(すなわち、メタドンやブプレノルフィンなどの治療薬を少なくとも30日間投与し、その人が無許可の薬の使用を減らせるようにすること)を比較しようとしたものである。また、維持療法の結果を、解毒(体内から薬物を取り除くこ...

COVID-19後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)の予防のための介入

1 year 7 months ago
COVID-19後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)の予防のための介入 なぜこれが重要なのか? COVID-19は、嗅覚に問題を生じることがわかっている。匂いを感じる能力が低下することもあれば、完全に嗅覚が失われることもある。多くの人は短期間で回復するが、数週間から数か月間続く人もいる。このレビューでは、嗅覚を失ってからすぐに(症状が始まってから4週間以内に)、長期的な問題にならないようにするための治療法があるかどうかを検討する。 どのようにしてエビデンスを特定し、評価したか 結果をまとめるために、医学文献から関連するすべての研究を検索した。また、研究の規模や実施方法などを考慮して、エビデンスの確実性を評価した。これらの評価に基づいて、エビデンスの確実性を「非常に低い」、「低い」、「中等度」、「高い」に分類した。 どのような研究が見つかったか? その結果、5件の研究が完了していることがわかった。 副腎皮質ステロイド(薬)(以下、ステロイド)の点鼻と無治療の比較 この治療法については、3件の研究が行われた。 ステロイドの点鼻用スプレーは、特定の検査で測定すると(嗅覚について人に尋ねるよりも)、嗅覚にほとんど、あるいは全く影響を与えないかもしれない。 その他のエビデンスは確実性が非常に低いため、以下の指標に関してステロイド点鼻用スプレーが無治療よりも優れているか劣っているかはわからな...
Checked
9 hours 17 minutes ago
Search on cochrane.org for:
Subscribe to Latest Japanese Reviews feed