2 years 1 month ago
ビタミンDは重度の喘息発作のリスクを低減、または喘息症状の管理を改善するか? 要点 1)このテーマに関する前回のコクランレビューとは対照的に、今回のレビューでは、ビタミンDの重度の喘息発作に対する予防効果や、喘息症状の管理に対する改善効果は明らかではなかった。 2)頻繁に重度の喘息発作を起こす患者や、平常時のビタミンD濃度が非常に低い患者について、また、25-ヒドロキシビタミンD(カルシジオール)の予防効果について、さらなる研究が必要である。 ビタミンDが喘息患者に有効であると考えられたのはなぜか? ビタミンD(日光浴によって生合成されるため、「サンシャイン・ビタミン」とも呼ばれる)の血中濃度が低いと、経口投与によるステロイド剤の全身投与を必要とするような重度の喘息発作のリスクが上昇するとされている。 このテーマに関して、2016年に行われた前回のコクランレビューでは、ビタミンDが喘息発作のリスクを低下させることが明らかになったが、その後も議論は続いており、いくつかの研究ではビタミンDに効果がないことが報告されている。そこで、前回のレビュー以降に完了した新しい研究のデータを含む最新のメタアナリシスを実施した。 何を知りたかったのか? ビタミンD補給の以下の項目における効果について明らかにすることを試みた: ・重度の喘息発作リスクの低減効果 ・喘息症状の管理の改善効果 ・有害作用の...
2 years 1 month ago
知的障害がある人の攻撃的行動を軽減するための行動療法と認知行動療法 要点 - アンガーマネジメント(認知行動療法に基づく)やポジティブ行動支援(PBS;行動療法に基づく)などのアプローチは、知的障害(学習障害)をもつ人における対外的な攻撃的な行動を減らす可能性がある。 - その他の結果や治療法については、小規模な研究が数件しかないため、エビデンスが確実ではない。 - どのような治療やアプローチが、攻撃性の低減やQOLなどの他の結果の改善に役立つのか、より多くのエビデンスが必要である。 対外的な攻撃行動とは何か、なぜそれが重要なのか。 対外的な攻撃行動には、殴る、蹴る、物を投げるなどの他人に対する身体的な攻撃や、物に対する損害が含まれる。この行動は、その人のニーズが満たされていないというコミュニケーションの一形態かもしれない。このような行動は、デイサービスからの排除や、生活支援施設での生活の破綻、精神科病院への不適切な入院など、ネガティブな結果を招く可能性がある。挑戦的な行動の管理において、抗精神病薬の使用は限られた役割しかない。しかし、これはリスクが非常に高い場合にのみ適用され、抗精神病薬は心理的介入やその他の介入と組み合わせてのみ提供されるべきである。役に立つかもしれない治療法として、思考、感情、行動の関連付けを助けるアンガーマネジメントなどの認知行動的アプローチや、行動のきっ...
2 years 2 months ago
サラセミア患者に対する歯科および歯科矯正治療 サラセミアとは何か? 赤血球は、ヘモグロビンという色素を作り、全身に酸素を運んでいる。サラセミア患者では、2つの特定の遺伝子の異常(突然変異)により、ヘモグロビンに異常が起こる。このことから、サラセミアは、αサラセミアとβサラセミアに分類される。世界人口の約5%に、αグロビン遺伝子が部分的に、あるいは全く機能しないという突然変異が見られ、βグロビン遺伝子の突然変異は世界人口の約1.5%に見られる。どちらの種類のサラセミアも、主にサハラ以南のアフリカから地中海沿岸地域、および中東を経て南アジア、東南アジアに至る国々で発生している。また、国から国へ人々が移動することにより、他の多くの地域でもよく見られるようになってきている。 サラセミアはどのように歯科や矯正歯科における問題を引き起こすのか? 2つの変異遺伝子が遺伝すると、赤血球中の異常ヘモグロビンが体内へ正常に酸素を放出しなくなる。異常細胞が体内の臓器や骨髄細胞に蓄積され、組織の損傷や細胞死を引き起こし、赤血球が減少する(貧血)。貧血による酸素不足で臓器が正常に働かなくなり、赤血球の減少を補うために輸血が必要になることも少なくない。貧血を補うために、体が赤血球を増やそうとした結果、骨髄の入っている空間(骨髄腔)の拡大が起こる。その結果、頭蓋骨、頬骨、および顎骨において、異常に骨が膨張し、...
2 years 2 months ago
手根管症候群に対するステロイド局所注射 要点 手首に副腎皮質ステロイドを注射すると、手根管症候群(手首の神経の圧迫)の症状や手の機能が6か月間改善されると言われている。また、生活の質(QOL)の評価や、注射後3か月までの神経伝導の検査も改善される場合がある。副腎皮質ホルモン注射は、1年後のフォローアップで評価すると、手術の必要性を減らす可能性がある。副作用はほとんどないようである。しかし、治療をしなくても自然な改善が見られるのは、3分の1程度の人たちである。 手根管症候群とは? 手根管症候群は世界的に非常に一般的で、人々のQOLに影響を与え、医療システムにとって大きな財政的負担となっている。症状は、手首の正中神経が「刺激」を受けることで発生し、主に手や指に痛み、しびれ、時には脱力感や機能低下が起こる。 手根管症候群はどのように治療するか? 副腎皮質ステロイドは、炎症や腫れを抑える薬である。手根管(手のひら側にある骨と靭帯に囲まれた狭い通路)への副腎皮質ホルモンの注射は、症状が軽度または中等度の場合に行われる傾向があり、手術よりもはるかに安価であるが、その効果や効果の持続期間については議論の余地がある。 調べたかったこと 手首の手根管に副腎皮質ステロイド(ステロイド)を局所的に注射することが、手根管症候群の患者さんにとって有益かどうかを調べたいと考えた。この疑問に答えるために関連す...
2 years 2 months ago
認知機能への刺激は、認知症の人に効果があるのか? 要点 - 軽度から中等度の認知症患者にとって、認知刺激による認知機能(思考や記憶の一般的な能力)の向上は、おそらくわずかな効果にとどまるであろう。 - その他にも、幸福感(ウェルビーイング)、気分、日常生活能力の向上など、さまざまな効果が期待できることがわかったが、効果は一般的にわずかで、特に認知機能や幸福感については研究によって大きなばらつきがあった。 - ほとんどの研究は、集団に対して行う認知刺激を評価している。今後は、個別に行う認知刺激の効果を明らかにすること、グループセッションをどの程度の頻度で行えば最も効果的であるかを評価すること、認知刺激の恩恵を最も受けるのは誰であるかを明らかにすることが必要である。 認知症とは? 認知症は、数多くの脳疾患の総称である。アルツハイマー型認知症は最も一般的な認知症である。あらゆる年齢の人が認知症になる可能性があるが、多くの場合、人生の後半に発症する。認知症の人は、一般的に認知能力が低下し、記憶、思考、言語、実用的なスキルが損なわれることがある。これらの問題は通常、時間とともに悪化し、認知症の人やケアやサポートをする人にとって、孤立や動揺、苦痛につながる可能性がある。 認知機能刺激 認知刺激法(CS)は、認知症の人のために特別に開発された「頭の体操」である。過去や現在の出来事や興味のある話...
2 years 2 months ago
手洗いやマスクの着用などの物理的な対策は、呼吸器系ウイルスの拡散を止めたり、遅らせたりするか? 要点 マスクやN95/P2呼吸器の着用が、呼吸器系ウイルスの感染拡大の抑制に役立つかどうかは、評価した研究に基づく範囲では不明である。 手指衛生プログラムは、呼吸器系ウイルスの感染拡大を抑制するのに有効かもしれない。 呼吸器系ウイルスはどのようにして広がるのか? 呼吸器系ウイルスは、鼻、喉、肺といった気道の細胞に感染するウイルスである。これらの感染症は深刻な問題を引き起こし、正常な呼吸に影響を与える。インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの原因となる。 呼吸器系ウイルスに感染した人は、咳やくしゃみをした時にウイルス粒子を空気中に拡散させる。空気中のウイルス粒子やウイルスが付着した表面に触れると、他の人が感染する。呼吸器系ウイルスは、小規模な集団内における流行から、地域や国での流行(エピデミック)、世界的な流行(パンデミック)にいたるまで、急速に広がる可能性がある。 呼吸器系ウイルスが人々の間で広がるのを防ぐための物理的な対策としては、以下のようなものがある。 - こまめに手を洗う、 - 目、鼻、口に触れない、 - くしゃみや咳をする時は、口と鼻を肘で覆う、 - ものの表面を消毒液で拭く、 - マスク、目の保護具、手袋、保護ガウ...
2 years 2 months ago
健康な閉経前の女性における骨の健康増進のためのカルシウムとビタミンD 要点 健康な閉経前の女性において、カルシウムの補給、ビタミンDの補給、およびカルシウムとビタミンD両方の補給は、どの部位(大腿骨または脊椎)の骨密度(BMD)にも影響を及ぼさないことをエビデンスは示唆している。 骨粗鬆症とは何か? 骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムなどのミネラルの濃度(骨密度:BMDと呼ばれる)が低くなっている状態である。そのため、骨の内部に穴が開いたり、骨の外壁が薄くなることで、骨がもろくなり、ひび割れや骨折が起こりやすくなる。 骨粗鬆症は公衆衛生上の大きな問題であり、年間890万件以上の骨折の原因となっている。これは、平均して3秒に1回の割合で骨粗鬆症による骨折が発生していることになる。(全員に受け入れられているわけではないものの)閉経後の女性にはカルシウムとビタミンDの補給がよく推奨されている。一方、介護施設などの入所者や、骨粗鬆症の患者には、カルシウムとビタミンDの十分な補給が常に推奨されている。しかし、閉経を迎えていない女性のBMDに対するカルシウムとビタミンDの効果については、ほとんど知られていない。この年齢層を対象とした研究はほとんどなく、その結果についても結論が出ていない。この年齢層におけるカルシウムおよびビタミンDの補給の目的は、骨の強度と健康状態を向上させることと考えられてい...
2 years 2 months ago
白内障の手術後における3焦点レンズと2焦点レンズの比較 何を調べたかったのか? 白内障の手術の際に、遠見視力、中間視力、近見視力の3種類の視力を矯正するレンズ(3焦点レンズ)を挿入した場合と、遠見視力および近見視力の2種類の視力を矯正するレンズ(2焦点レンズ)を挿入した場合を比較して、効果や安全性に差があるかどうかについて調べたかった。 要点 白内障手術後に3焦点レンズを使用した患者は、2焦点レンズを使用した患者と比較して、1年後の裸眼中間視力(いわゆる裸眼視力)が改善する可能性があることがわかったが、そのエビデンスにはほとんど信頼性がない。1年後の裸眼遠見視力、裸眼近見視力、最良矯正遠見視力について、3焦点レンズと2焦点レンズに差があるというエビデンスはなかった。QOL(生活の質)や明暗の微妙な変化を識別する能力(コントラスト感度)に対する3焦点レンズと2焦点レンズの効果は、依然として不明であった。 老眼とは何か、またどのように治療されるのか? 老眼とは、加齢に伴い目のレンズ(水晶体)が変化することで、近くのものを見る能力が徐々に低下していく状態である。さらに水晶体の変化が進むと、水晶体の透明度が低下し(白内障と呼ばれる)、視力やコントラスト感度が低下することがある。3種類または2種類の範囲に焦点が合うレンズ(それぞれ3焦点レンズ、2焦点レンズと呼ばれる)は、白内障手術後におけ...
2 years 2 months ago
COVID-19に感染して回復した人や動物の濃縮抗体は、COVID-19の人に有効な治療法であるか? 要点 - 高力価免疫グロブリン(COVID-19から回復した人の抗体で作られた製剤)が、中等症から重症のCOVID-19の人の死亡や重篤な望ましくない作用を減らすかどうかは分かっていない。しかし、動物にある種の抗体を注射して作る同様の製剤は、死亡や重篤な副作用を減らし、人々の症状の悪化を食い止めることができるかもしれない。 - COVID-19を発症しているが症状のない人、軽症のCOVID-19の人を調査した研究は見つからなかったので、ヒトや動物の高力価免疫グロブリンがそれらの人々にどれだけ有効であるかはわからない。 また現在進行中の試験も10件あった。その結果が発表され次第、本レビューを更新する予定である。 高力価免疫グロブリンとは? 体内では、感染症に対する防御策の一つとして抗体が作られている。抗体、すなわち「免疫グロブリン」は、血漿中に存在する。そして免疫反応の重要な部分として作用している。 COVID-19から回復した人の血漿にはSARS-CoV-2(COVID-19の原因となるウイルス)に対する抗体が含まれており、これを用いて2種類の製剤を作ることができる。1つは回復期の血漿であり、これは抗体を含む血漿である。もう1つは高力価免疫グロブリンであり、濃縮されているためより...
2 years 2 months ago
脳内出血後の血栓を防ぐ薬剤 レビューの論点 脳内出血による脳卒中(いわゆる「脳出血」)の後、血栓を防ぐために使用する薬(「抗血栓薬」)の短期的および長期的な利益とリスクは何か。 背景 脳出血による脳卒中の人は、脳出血のない人に比べて、血管に血栓ができやすいと言われている。脳卒中後早期に体を動かさないでいると、脚や骨盤の静脈に血栓ができることがある。また、脳卒中後の短期および長期における患者の基礎疾患は、肺、脳、心臓、足、その他の臓器の動脈に血栓を生じさせる可能性がある。これらの血栓は、重篤な病気や死亡の原因になることがある。抗血栓薬は血栓を防ぐことができる。しかし、これらの薬剤は出血の問題を引き起こし、重篤な病気や死亡の原因になることもある。脳出血後、抗血栓薬が患者に有益か有害かは不明である。このレビューは、前回2017年に発表されたコクランレビューのアップデート版である。 研究の特徴 2021年10月に治療の公平性を検証するランダム化比較試験の広範な検索を更新した。その結果、過去に脳出血を起こした1,491人を対象とした9件の試験が見つかった。動けない脳出血の生存者を対象に、注射による血液希釈剤(「抗凝固剤」として知られている)の短期使用を検討した試験が4件あった。不規則な心拍(「心房細動」と呼ばれる)を持つ脳出血生存者を対象に、経口抗凝固薬の長期使用について3件の試験が行われ...
2 years 2 months ago
下痢症を予防するための衛生環境を改善する取り組み レビューの目的 このコクラン・レビューの目的は、屋内外のトイレを提供したり、改良したり、使用を促したりする衛生環境への介入が下痢を減少させるかを評価することだった。事前に指定された厳密な研究デザインの確実な関連研究を収集・解析し、238,535人を対象とした51件の研究を得た。 要点 衛生環境への介入が下痢症に対して予防的である可能性を示すエビデンスを得た。しかし、介入の種類や設定によって効果は異なっており、エビデンスの確実性は非常に低いものから中等度までに渡っていた。 検討した内容 下痢症は低所得国における、特に幼い子どもたちにとっての死亡や病気の主な原因である。下痢症を起こす病原体の多くは、ヒトの排泄物に曝露することで感染する。屋内外のトイレのような衛生設備は、ヒトの排泄物に含まれる病原体を環境から隔離する最初のバリアとしての役割を担っている。このレビューでは、衛生設備へのアクセス、設備自体、使用法を改善するための介入研究について調査した。このような介入についての51件の研究を同定した。ほとんどが低・中所得国における研究であった。 レビューの主な結果 結果からは、脆弱な幼児および全年齢層において衛生環境への介入が下痢症を約15~26%減少させることが示唆された。しかし、すべての介入が予防的であったわけではなく、効果は介入の種類...
2 years 2 months ago
川崎病に対する免疫グロブリン療法 要点 川崎病の小児において、高用量の免疫グロブリンを点滴で投与する治療法(経静脈的免疫グロブリン療法:IVIG)は: ・アスピリンや中用量または低用量のIVIGと比較して、冠動脈病変形成リスクを減少させる可能性が高い。 ・ 明確な安全性に関する懸念は見られない。 ・アスピリンと比較して、発熱期間を短縮する可能性は高いが、追加治療の必要性についてはほとんど差が認められない。 ・中用量または低用量のIVIGと比較して、発熱の持続期間および追加治療の必要性を減少させる可能性がある。 なぜこの問題が重要なのか? 川崎病は、血管が炎症を起こして腫れる病気である。症状としては、高熱(発熱)に加え、唇の荒れ、イチゴ舌(腫れぼったい赤い舌)、目の充血、発疹、手足の発赤、および腫れ、皮膚の剥がれ、首のリンパ節の腫れなどが見られ、幼児に多く発生する。心臓に血液を供給する血管(冠動脈)の腫れや炎症は、この病気の最も重篤な合併症であり、冠動脈病変を引き起こす原因となる。冠動脈病変は、後天性の心臓病として、時には死亡につながることもある。しかし、迅速な診断と治療により、これらの合併症を防ぐことが可能である。川崎病の治療には、主に免疫グロブリンとアスピリンの静脈内投与が行われる。患者の治療には、これらの薬剤、投与量、および投与時間(レジメン)がさまざまに組み合わせて用いられ...
2 years 2 months ago
COVID-19感染者の治療に使用するレムデシビル COVID-19の治療にレムデシビル(抗ウイルス薬)は有効か? 要点 - COVID-19で入院した成人に対して、プラセボ(偽治療)または通常の治療と比較して、レムデシビルは治療後150日までのあらゆる原因による死亡に対して、おそらくほとんど、あるいは全く効果がない。 - レムデシビルは、入院患者が改善し、退院(病院を去る・家に帰る)する可能性をおそらくわずかに高める。また、悪化(呼吸器による侵襲的な換気や死亡)するリスクを減らすかもしれない。 - 通常、症状が軽く、入院していない患者は、亡くなる可能性が低い。レムデシビルは、おそらくCOVID-19が悪化して入院するリスクを減らすが、回復(例:症状の緩和)に影響するかどうかはわからない。 - 今後の研究では,異なるサブグループ(例:重症度が低いまたは高い人)におけるCOVID-19の経過に対するレムデシビルの影響を調査する必要がある. レムデシビルとは何か? レムデシビルはウイルスと戦う薬である。COVID-19の原因となるウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を防ぐ効果が示されている。医療規制当局は、COVID-19の患者を治療するためにレムデシビルを使用することを承認した。主な副作用として、吐き気、嘔吐、頭痛、血液検査値の変化などが報告されている。 何を知りたかったのか? ...
2 years 2 months ago
単発の非誘発性てんかん発作後の2回目の発作の予測 このレビューの重要性は? 1回の非誘発性てんかん発作はかなり一般的で、85歳までに人口の3%から4%が経験すると推定されている。これは、一生のうちにてんかん発作を起こす人が約25人に1人という計算になる。よって、臨床医が発作の再発リスクや、発作の再発、ひいてはてんかんの発症を予測する因子について確実にカウンセリングできるように、正確な予後データを得られることが最も重要である。 このレビューの目的は何か このレビューの主な目的は、単発のてんかん発作を起こした患者とその家族、そして患者を治療する臨床医に、さらなる非誘発性てんかん発作のリスクとてんかんの発症に関するより正確な情報を提供することにある。 このレビューのさらなる目的は、単発のてんかん発作を起こした患者さん、その家族、そして患者を治療する臨床医に、非誘発性てんかん発作後の早期死亡のリスクに関するより正確な情報を提供することである。 要点 このレビューに含まれる研究のデザインにはかなり大きな差があるが、6か月、12か月、24か月の時点で再びてんかん発作を起こすリスクについての情報を提供することができた。 本レビューでは何を調査したのか? 信頼できるデザインで、最初の非誘発性てんかん発作の後に2回目のてんかん発作を起こした人の数を報告している関連研究を検索した。その結果、12,1...
2 years 2 months ago
進行がんによる疲労(がん関連疲労)の治療において、副腎皮質ステロイド剤を使用することの利点とリスクは何か? 要点 成人の進行がん、およびがん関連疲労(CRF)に対する治療における副腎皮質ステロイド剤の有益性および有害性に関する質の高いエビデンスは見つからなかった。 CRFの治療において、副腎皮質ステロイド剤が有益か、あるいは有害かを判断するためには、今後のより大規模で、かつ適切にデザインされた研究が必要である。 なぜ本レビューが重要なのか? 疲労は、進行がん患者において一般的かつ厄介な症状であり、患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与える。副腎皮質ステロイド剤は、緩和ケアが必要な患者のCRFやその他の症状に対する治療に一般的に使用されている。副腎皮質ステロイド剤は、特に長期間使用した場合、重大な副作用を引き起こす可能性があるため、がんに伴う疲労に対する治療に有効かどうかを明らかにすることが重要である。 何を調べたかったのか? がんに伴う疲労の改善に、副腎皮質ステロイド剤が偽薬(プラセボ)、または他の薬よりも優れているかどうかについて調べたかった。また、進行がんによる疲労に対して副腎皮質ステロイド剤を使用した場合、有害作用があるかどうかについても明らかにしたいと考えた。 何を行ったのか? 成人のがん患者に対して、以下の項目について比較を行った研究を検索した。 - 副腎皮質ステロイ...
2 years 2 months ago
入院中の成人患者に対する薬剤レビューの利点とリスクは何か? 要点 入院患者における薬剤は、再入院を減少させる可能性があるが、死亡率にはほとんど、または全く影響を与えない可能性がある。 薬剤レビューとは何か? 薬剤レビューとは、個々の患者に対する投薬を最適化し、健康状態を改善するために、医療従事者が行う体系化した介入のことである。 何を調べようとしたのか? 薬剤レビューが成人の入院患者の健康状態を改善するかどうかを検討した。 何を行ったのか? 入院中の成人を対象に、通常のケアと薬剤レビューを比較した研究、または2種類以上の薬剤レビューを比較した研究を検索した。研究結果を比較、要約し、エビデンスに対する信頼度を評価した。 何が見つかったのか? 入院中の成人患者における薬剤レビューは、患者の再入院を減少させる可能性があり、また救急治療部の利用を減少させる可能性があることが明らかになった。しかし、死亡率にはほとんど、または全く影響を及ぼさない可能性があり、健康に関連した生活の質(QOL)に影響を及ぼすかどうかは不明であった。 エビデンスの限界は何か? ほぼすべての研究において、多くの薬を服用している高齢の患者が対象になっていたため、他の患者にはこれらの結果を適用できない可能性がある。 このエビデンスはいつのものか? 2022年1月までに発表された研究について電子データベースなどで検索を行...
2 years 2 months ago
皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対する術前補助療法(腫瘍を取り除く手術の前に、薬剤等により行われる治療)の利点とリスクは何か? 何を調べたかったのか? 悪性黒色腫は、非常に侵攻性の高い皮膚がんであり、進行した段階で発見された場合、ほとんどは致命的となる。早期の治療により腫瘍を外科的に除去し、長期生存率を高めることができる可能性がある。術前補助療法(ネオアジュバント療法)とは、主に手術前に行われる薬物療法のことを指し、腫瘍の大きさを小さくすることで切除を容易にし、手術の合併症を減少させ、病気が広がるリスクを低下させる。術前補助療法に有効な免疫療法薬、分子標的治療薬などの新しい種類の薬剤が開発されている。 本レビューでは、ステージⅢまたはステージⅣの悪性黒色腫に対する術前補助療法が生存期間の延長に役立つかどうかを明らかにし、術前補助療法と通常の治療とで有害(好ましくない)作用について比較したいと考えた。 何を行ったのか? 悪性黒色腫に対する特定の種類の治療法を比較したランダム化比較試験(RCT)を行った医学文献について検索した。行われた治療法の種類と用いられた薬剤は以下の通りである: - 分子標的治療:ダブラフェニブ、トラメチニブなど - 免疫療法:イピリムマブ、ニボルマブなど - 化学療法:ダカルバジン、テモゾロミドなど - 局所治療:イミキモドなど - 放射線療法 単剤治療と多剤...
2 years 2 months ago
減塩は糖尿病患者の慢性腎臓病の予防や治療に役立つか レビューの論点 現代人は塩分を摂りすぎており、それが高血圧のリスクを高めているという強いエビデンスがある。これは糖尿病患者にとって特に重要である。というのも、糖尿病は脳卒中、心臓発作、腎不全のリスクを高め、高血圧がさらにそのリスクを押し上げるためである。塩分摂取量を減らせば血圧が低下し、心臓発作のリスクや腎機能が悪化するリスクの低下につながる可能性がある。 本レビューで実施したこと 2022年3月31日までにCochrane Kidney and Transplant Register of Studiesに登録された研究のうち、糖尿病患者を対象として塩分摂取量が高い場合と低い場合を比較したランダム化比較試験の検索を行った。糖尿病患者に塩分が高い食事を与えた場合と塩分が低い食事を与えた場合の収縮期血圧(測定した血圧の高い方)と拡張期血圧(測定した血圧の低い方)の平均低下量を算出した。また、塩分が低い食事を与えた糖尿病患者では、尿中のタンパク量(腎障害の指標)が減少するかどうかも検討した。 わかったこと 1型または2型糖尿病の患者計313人を対象とした研究13件が見つかった。塩分摂取量を1日平均5g減らすと血圧が低下し、具体的には、収縮期血圧が7mmHg、拡張期血圧が3mmHg低下することがわかった。この結果を報告した8件の研究の...
2 years 2 months ago
アルコール使用障害に対するバクロフェン レビューの要点 アルコール使用障害(AUD)患者に対して、禁酒の達成、維持、あるいは飲酒量の減少についてのバクロフェンの有効性と安全性に関するエビデンスについてのレビューを行った。 現在のエビデンスでは、AUD患者、特にすでに解毒が完了しているAUD患者が禁酒を維持するのに役立つ可能性が示唆されている。他の薬剤と比較した結果については、主に1件の研究のみに基づいているため、結論を出すことはできない。 レビューの論点と目的 AUDは最も広く蔓延している精神障害の一つであり、身体、気分、学習、記憶などに特異的な問題を引き起こし、幸福度や健康状態に影響を及ぼす。アルコールの過剰摂取は、食道がん、肝臓疾患、てんかん、自動車事故、殺人、その他の意図的な傷害(自傷行為や他人への暴力行為)の原因の20%から30%を占め、世界における健康に対する最大のリスクの1つとなっている。 長年にわたり、AUDは心理社会的戦略(自分に助けが必要だと認識させること)で主に治療されてきたが、心理社会的な治療法だけを用いた場合の成功率は限られている。AUD患者の多くは治療に全く反応せず、反応した患者であっても長期に渡って禁酒を維持することができない。バクロフェンなどの薬剤は、AUD患者の治療において重要な役割を果たす可能性がある。 レビューの方法 プラセボ(偽薬)または他の...
2 years 2 months ago
小児急性肺炎の治療において、抗菌剤に加えてビタミンDを投与することは有効かつ安全か? 肺炎とは、どのような病気で、どのように治療されているのか? 肺炎は、感染によって肺に炎症(腫れ)が起こる病気である。肺炎の治療には、抗菌剤、酸素マスクからの酸素吸入、およびその他の支持療法が用いられている。ビタミンDは免疫力を高め、過剰な炎症を抑えるので、小児の肺炎からの回復を助けると考えられている。 何が知りたかったのか? ビタミンDを抗菌剤と一緒に投与することが、小児の肺炎からの回復に役立つかどうかを明らかにしようとした。 何を行ったのか? 肺炎を発症した生後1か月から5歳の小児を対象に、ビタミンDとプラセボ(偽の治療)を比較した研究について検索を行った。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要素から、エビデンスに対する信頼性を評価した。 研究の特徴 低、中所得国における計1,601人の小児患者が参加した7件の研究が対象となった。5件の研究では、患者は研究参加時、または入院後24時間以内に大量のビタミンDを単回投与されていた。2件の研究では、5日間ビタミンDの投与が行われていた。1件の研究では、ビタミンDの濃度が正常な患者は除外されていた。2件の研究では、小児の肺炎の原因が報告されていた。 主な結果 ビタミンDの投与は、小児患者が肺炎から回復するまでの時間に対し、ほとんど、または全...
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