Latest Japanese Reviews

小児の機能性腹痛障害の管理のためのプロバイオティクス

1 year 9 months ago
小児の機能性腹痛障害の管理のためのプロバイオティクス 小児の胃痛に対するプロバイオティクス 要点 プロバイオティクスは、プラセボ(ダミー治療)よりも機能性腹痛を持つ小児の胃の痛みを改善する効果がある可能性がある。 シンバイオティクスは、プラセボ(ダミー治療)よりも機能性腹痛を持つ小児の胃の痛みの改善する効果がある可能性がある。 機能性腹痛とは? 機能性腹痛は、小児に多い問題である。症状に対して原因が見つからない場合に機能性腹痛という言葉が使われる。この症状は、半年以上続く頻繁な胃の痛みで、日常生活に支障をきたすものである。 プロバイオティクスとは? プロバイオティクスとは、生きた細菌や酵母のことで、さまざまな利益があるとして推進されている。よく「善玉菌」と呼ばれるものである。これらのプロバイオティクスは、腸内細菌の自然なバランスを助け、特定の病気における症状を改善する可能性があると考えられている。また、プレバイオティクス(これらの細菌や酵母の増殖を助ける食品)と呼ばれる物質を加えることもでき、これらをまとめて一つの製剤にしたものをシンバイオティクスと呼んでいる。 何を調べようとしたのか? プロバイオティクスやシンバイオティクスが小児の機能性腹痛の治療に使えるかどうか、また安全に使えるかどうかを調べたいと考えた。 何を行ったのか? 機能性腹痛障害と診断された4歳から18歳の小児を対...

血管手術後の出血を抑える薬剤はあるのか

1 year 9 months ago
血管手術後の出血を抑える薬剤はあるのか ・要点 血管手術時の出血や輸血を減らすために、どの薬剤が最適なのかについては未だ不明である。 ・血管手術とは何か 血管手術とは、血管の破れや弱った部位を修復したり、詰まりを除去したりする手術のことである。本レビューでは、特に重度の出血につながりやすい血管手術に注目した。 ・血管手術中の輸血を減らすことがなぜ重要なのか 血管手術中、または手術後に大量に出血した場合、失った血液を補うために輸血が必要になることがある。輸血は害を及ぼす可能性があるため、できれば輸血を避けることが望ましい。これは、血液の供給が少ないときは特に重要である。 ・何を知りたかったのか 出血を抑えて輸血の必要性を減らすために役立つ薬物療法を知りたかった。また、そのような処置が血栓など副作用のリスクを高めるかどうかについて明らかにしたいと考えた。 ・本レビューで実施したこと 複数の電子ライブラリーを利用して、血管手術後の出血を防ぐ薬剤について、ランダム化比較試験と呼ばれる最も信頼性の高い研究を検索した。 ・わかったこと 出血量を減らすために手術前に注射された薬剤に関する研究が7件、薬剤を含んだドレッシング材(包帯材)や接着剤に関する研究が15件見つかった。このような薬剤は、手術中に出血を止めるために使用されるが、手術後も体内に残留する。血管手術中の出血や輸血を減少させるために...

小児における近視の進行を遅らせるための介入方法

1 year 9 months ago
小児における近視の進行を遅らせるための介入方法 要点 ・アトロピンなどの薬剤の点眼により、小児の近視の進行を遅らせたり、近視による眼球の伸長を抑制できる可能性がある。高用量のアトロピンが最も効果的であるが、低用量のアトロピンの効果については不確実である。 ・特殊なレンズを使用した眼鏡やコンタクトレンズを利用するなどの方法は、近視の進行を遅らせる可能性があるが、その効果は依然として不確実であり、また有害事象のリスクに関する情報も十分ではない。 ・また、近視の進行に対して使用される薬剤やレンズに関して、現在報告されている効果が、長年にわたって維持されるかどうかについても不明である。 近視とは何か? 近視とは、遠くのものをはっきり見ることができないが、近くのものであればはっきり見ることができる状態のことである。近視は世界的に非常に多く見られ、中国や東南アジアにおいては半数以上の小児に見られると言われている。近視は、学習や仕事など、生活のさまざまな場面で障害をもたらす可能性がある。さらに、近視は目を伸長させるため、網膜が引き伸ばされる。そのため、将来的に、緑内障や黄斑症、あるいは網膜剥離などの眼疾患にかかるリスクが高くなる。 近視はどのように治療されるのか? 従来の眼鏡やコンタクトレンズでも近視を矯正することはできるが、その進行を遅らせることはできない。近視の進行を遅らせることを目的とし...

妊娠糖尿病になることを防ぐために、妊娠中にミオイノシトールを栄養補助食品として摂取すること

1 year 9 months ago
妊娠糖尿病になることを防ぐために、妊娠中にミオイノシトールを栄養補助食品として摂取すること 要点 妊娠糖尿病になった女性は、妊娠中や出産時に合併症を起こしたり、その後糖尿病になったりするリスクが高くなると言われている。妊娠糖尿病の母親から生まれてくる赤ちゃんは、本来より大きくなりすぎて、出産時にけがをしてしまう可能性がある。また、子どもの頃や若いうちから、糖尿病になるリスクがある。妊娠糖尿病と診断される女性は世界中で増えており、妊娠糖尿病を防ぐための簡単で費用対効果の高い方法を見つけることが重要である。 ミオイノシトールは、穀類、とうもろこし、緑黄色野菜、肉類などに含まれる天然の糖質で、体内のインスリン感受性に関与している。 何を調べようとしたのか? ミオイノシトールが、妊娠糖尿病を防ぐのに有効な妊婦用栄養補助食品であるかどうかを調べたかった。 何を行ったのか? ミオイノシトール(単独投与または他の治療との併用)を無治療または他の治療と比較した試験を検索した。研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などに基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。 何がわかったか? 妊娠10~24週の女性1,319人を対象とした7件の研究を確認した。 主な結果 ミオイノシトールの補給が妊娠糖尿病の発症率の低下と関連するかどうかは不明である。ただし、ミオイノシトールは、妊娠高血圧症候群の減少に...

リハビリテーションを必要とする人々に対する在宅リハビリテーションサービスの提供に影響を与える要因:質的エビデンス統合

1 year 9 months ago
リハビリテーションを必要とする人々に対する在宅リハビリテーションサービスの提供に影響を与える要因:質的エビデンス統合 このコクラン質的エビデンス統合の目的は、自宅で提供されるリハビリテーションサービスに影響を与える要因を探ることであった。この統合では、対面で提供されるサービスと、遠隔リハビリテーションで提供されるサービスについて検討した。この疑問に答えるため、53件の質的研究を分析した。 要点 在宅リハビリテーションは、対面または遠隔リハビリテーションによって提供され、施設でのサービスよりも身近で便利なものとして体験することができる。また、患者、サービスの提供者、家族は、在宅サービスを利用することで人間関係のあり方が変わり、実践的で資源的な意味合いがプラスにもマイナスにもなりうることを述べている。 エビデンスの統合で検討したことは何か? COVID-19のパンデミックにより、在宅医療への注目度が高まった。在宅医療には、対面または遠隔リハビリテーションを利用して提供される在宅リハビリテーションサービスの提供が含まれる。在宅リハビリテーションサービスは、施設でのサービスの代わりに、あるいは施設でのサービスを補完するものとして、患者の回復過程における一般的な選択肢となる可能性がある。また、デジタル技術の利用が増えるにつれて、遠隔リハビリテーションも一般的になってきている。 レビューの主...

神経難病で長期肺感染症の小児への抗菌薬投与

1 year 9 months ago
神経難病で長期肺感染症の小児への抗菌薬投与 「神経障害」とは、主に神経学的問題(脳性麻痺など)、神経筋の問題(筋ジストロフィーなど)、発達の問題(発達障害、ダウン症など)に起因する一群の状態を指す。これらの疾患を持つ小児や若年者は、移動、摂食、咳などの同様の問題を持つことがある。胸部や呼吸の問題(肺の感染症を含む)は、神経障害のある小児や若年者がよく経験し、病院での治療が必要となる原因となっていることが多い。 胸の分泌物を完全に取り除くことができない人や、頻繁に感染症を起こす人の場合、肺感染症は完全に取り除くことができず、「慢性感染症」となってしまうことがある。このような立場の小児や若年者にとって、どのような治療が最適なのかは不明である。 慢性肺感染症の小児と若年者を対象に、肺感染症の抗菌薬治療について検討したすべての臨床試験を系統的にレビューすることを目指した。2022年2月までに発表された合計1,968件の研究を、さまざまなオンラインデータベースから検討したが、本レビューに含めるべき関連性のあるものはなかった。2件の研究は進行中であったため、今回のバージョンに含めることができなかった。 この重要な問いに答える臨床試験が見つからなかったのは残念である。このような立場の小児や若年者が最善の治療を受けられるよう、今後の課題としていく。 このエビデンスがお役に立ちましたら、コクランへ...

慢性疾患を持つ小児やティーンエイジャーの教育を支援するサービスは、彼らが学校活動にもっと参加し、学習結果を向上させるのに役立つか?

1 year 9 months ago
慢性疾患を持つ小児やティーンエイジャーの教育を支援するサービスは、彼らが学校活動にもっと参加し、学習結果を向上させるのに役立つか? 要点 - 教育支援介入が、スクール・エンゲージメント、学習結果、(ウェルネス期間中の)生徒の学校復帰の可能性などに及ぼす影響については、まだ不明な点が多いのが現状である。 - 教育支援介入が、2件の研究で自尊心として測定されたように、精神的な健康をわずかに改善する可能性があるというエビデンスがいくつかあるが、生活の質は研究で測定されていない。 - これらの介入が有効かどうか、またベストプラクティスモデルがどのようなものかを知るためには、米国以外で行われた研究を含む、より質の高いエビデンスが必要である。 教育支援サービスとは何か、なぜ慢性疾患を持つ小児やティーンエイジャーに役立つ可能性があるのか。 一部の小児やティーンエイジャーにとって慢性疾患に罹患した場合、学校への出席、参加、取り組みに影響を与える可能性がある。そのため、仲間についていけず、自分の可能性を最大限に発揮できない可能性がある。慢性疾患を持つ小児や青少年の教育支援サービスは、病気によって学校を休んだ際に、学校や教育・学習から離脱してしまうことを防ぐことを目的としている。これらのサービスは、病院、通常の学校、地域社会で行われ、小児、家族、学校、病院、地域社会、またはこれらの組み合わせを対象と...

ビタミンDは重度の喘息発作のリスクを低減、または喘息症状の管理を改善するか?

1 year 9 months ago
ビタミンDは重度の喘息発作のリスクを低減、または喘息症状の管理を改善するか? 要点 1)このテーマに関する前回のコクランレビューとは対照的に、今回のレビューでは、ビタミンDの重度の喘息発作に対する予防効果や、喘息症状の管理に対する改善効果は明らかではなかった。 2)頻繁に重度の喘息発作を起こす患者や、平常時のビタミンD濃度が非常に低い患者について、また、25-ヒドロキシビタミンD(カルシジオール)の予防効果について、さらなる研究が必要である。 ビタミンDが喘息患者に有効であると考えられたのはなぜか? ビタミンD(日光浴によって生合成されるため、「サンシャイン・ビタミン」とも呼ばれる)の血中濃度が低いと、経口投与によるステロイド剤の全身投与を必要とするような重度の喘息発作のリスクが上昇するとされている。 このテーマに関して、2016年に行われた前回のコクランレビューでは、ビタミンDが喘息発作のリスクを低下させることが明らかになったが、その後も議論は続いており、いくつかの研究ではビタミンDに効果がないことが報告されている。そこで、前回のレビュー以降に完了した新しい研究のデータを含む最新のメタアナリシスを実施した。 何を知りたかったのか? ビタミンD補給の以下の項目における効果について明らかにすることを試みた: ・重度の喘息発作リスクの低減効果 ・喘息症状の管理の改善効果 ・有害作用の...

知的障害がある人の攻撃的行動を軽減するための行動療法と認知行動療法

1 year 9 months ago
知的障害がある人の攻撃的行動を軽減するための行動療法と認知行動療法 要点 - アンガーマネジメント(認知行動療法に基づく)やポジティブ行動支援(PBS;行動療法に基づく)などのアプローチは、知的障害(学習障害)をもつ人における対外的な攻撃的な行動を減らす可能性がある。 - その他の結果や治療法については、小規模な研究が数件しかないため、エビデンスが確実ではない。 - どのような治療やアプローチが、攻撃性の低減やQOLなどの他の結果の改善に役立つのか、より多くのエビデンスが必要である。 対外的な攻撃行動とは何か、なぜそれが重要なのか。 対外的な攻撃行動には、殴る、蹴る、物を投げるなどの他人に対する身体的な攻撃や、物に対する損害が含まれる。この行動は、その人のニーズが満たされていないというコミュニケーションの一形態かもしれない。このような行動は、デイサービスからの排除や、生活支援施設での生活の破綻、精神科病院への不適切な入院など、ネガティブな結果を招く可能性がある。挑戦的な行動の管理において、抗精神病薬の使用は限られた役割しかない。しかし、これはリスクが非常に高い場合にのみ適用され、抗精神病薬は心理的介入やその他の介入と組み合わせてのみ提供されるべきである。役に立つかもしれない治療法として、思考、感情、行動の関連付けを助けるアンガーマネジメントなどの認知行動的アプローチや、行動のきっ...

サラセミア患者に対する歯科および歯科矯正治療

1 year 9 months ago
サラセミア患者に対する歯科および歯科矯正治療 サラセミアとは何か? 赤血球は、ヘモグロビンという色素を作り、全身に酸素を運んでいる。サラセミア患者では、2つの特定の遺伝子の異常(突然変異)により、ヘモグロビンに異常が起こる。このことから、サラセミアは、αサラセミアとβサラセミアに分類される。世界人口の約5%に、αグロビン遺伝子が部分的に、あるいは全く機能しないという突然変異が見られ、βグロビン遺伝子の突然変異は世界人口の約1.5%に見られる。どちらの種類のサラセミアも、主にサハラ以南のアフリカから地中海沿岸地域、および中東を経て南アジア、東南アジアに至る国々で発生している。また、国から国へ人々が移動することにより、他の多くの地域でもよく見られるようになってきている。 サラセミアはどのように歯科や矯正歯科における問題を引き起こすのか? 2つの変異遺伝子が遺伝すると、赤血球中の異常ヘモグロビンが体内へ正常に酸素を放出しなくなる。異常細胞が体内の臓器や骨髄細胞に蓄積され、組織の損傷や細胞死を引き起こし、赤血球が減少する(貧血)。貧血による酸素不足で臓器が正常に働かなくなり、赤血球の減少を補うために輸血が必要になることも少なくない。貧血を補うために、体が赤血球を増やそうとした結果、骨髄の入っている空間(骨髄腔)の拡大が起こる。その結果、頭蓋骨、頬骨、および顎骨において、異常に骨が膨張し、...

手根管症候群に対するステロイド局所注射

1 year 9 months ago
手根管症候群に対するステロイド局所注射 要点 手首に副腎皮質ステロイドを注射すると、手根管症候群(手首の神経の圧迫)の症状や手の機能が6か月間改善されると言われている。また、生活の質(QOL)の評価や、注射後3か月までの神経伝導の検査も改善される場合がある。副腎皮質ホルモン注射は、1年後のフォローアップで評価すると、手術の必要性を減らす可能性がある。副作用はほとんどないようである。しかし、治療をしなくても自然な改善が見られるのは、3分の1程度の人たちである。 手根管症候群とは? 手根管症候群は世界的に非常に一般的で、人々のQOLに影響を与え、医療システムにとって大きな財政的負担となっている。症状は、手首の正中神経が「刺激」を受けることで発生し、主に手や指に痛み、しびれ、時には脱力感や機能低下が起こる。 手根管症候群はどのように治療するか? 副腎皮質ステロイドは、炎症や腫れを抑える薬である。手根管(手のひら側にある骨と靭帯に囲まれた狭い通路)への副腎皮質ホルモンの注射は、症状が軽度または中等度の場合に行われる傾向があり、手術よりもはるかに安価であるが、その効果や効果の持続期間については議論の余地がある。 調べたかったこと 手首の手根管に副腎皮質ステロイド(ステロイド)を局所的に注射することが、手根管症候群の患者さんにとって有益かどうかを調べたいと考えた。この疑問に答えるために関連す...

認知機能への刺激は、認知症の人に効果があるのか?

1 year 9 months ago
認知機能への刺激は、認知症の人に効果があるのか? 要点 - 軽度から中等度の認知症患者にとって、認知刺激による認知機能(思考や記憶の一般的な能力)の向上は、おそらくわずかな効果にとどまるであろう。 - その他にも、幸福感(ウェルビーイング)、気分、日常生活能力の向上など、さまざまな効果が期待できることがわかったが、効果は一般的にわずかで、特に認知機能や幸福感については研究によって大きなばらつきがあった。 - ほとんどの研究は、集団に対して行う認知刺激を評価している。今後は、個別に行う認知刺激の効果を明らかにすること、グループセッションをどの程度の頻度で行えば最も効果的であるかを評価すること、認知刺激の恩恵を最も受けるのは誰であるかを明らかにすることが必要である。 認知症とは? 認知症は、数多くの脳疾患の総称である。アルツハイマー型認知症は最も一般的な認知症である。あらゆる年齢の人が認知症になる可能性があるが、多くの場合、人生の後半に発症する。認知症の人は、一般的に認知能力が低下し、記憶、思考、言語、実用的なスキルが損なわれることがある。これらの問題は通常、時間とともに悪化し、認知症の人やケアやサポートをする人にとって、孤立や動揺、苦痛につながる可能性がある。 認知機能刺激 認知刺激法(CS)は、認知症の人のために特別に開発された「頭の体操」である。過去や現在の出来事や興味のある話...

手洗いやマスクの着用などの物理的な対策は、呼吸器系ウイルスの拡散を止めたり、遅らせたりするか?

1 year 9 months ago
手洗いやマスクの着用などの物理的な対策は、呼吸器系ウイルスの拡散を止めたり、遅らせたりするか? 要点 マスクやN95/P2呼吸器の着用が、呼吸器系ウイルスの感染拡大の抑制に役立つかどうかは、評価した研究に基づく範囲では不明である。 手指衛生プログラムは、呼吸器系ウイルスの感染拡大を抑制するのに有効かもしれない。 呼吸器系ウイルスはどのようにして広がるのか? 呼吸器系ウイルスは、鼻、喉、肺といった気道の細胞に感染するウイルスである。これらの感染症は深刻な問題を引き起こし、正常な呼吸に影響を与える。インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの原因となる。 呼吸器系ウイルスに感染した人は、咳やくしゃみをした時にウイルス粒子を空気中に拡散させる。空気中のウイルス粒子やウイルスが付着した表面に触れると、他の人が感染する。呼吸器系ウイルスは、小規模な集団内における流行から、地域や国での流行(エピデミック)、世界的な流行(パンデミック)にいたるまで、急速に広がる可能性がある。 呼吸器系ウイルスが人々の間で広がるのを防ぐための物理的な対策としては、以下のようなものがある。 - こまめに手を洗う、 - 目、鼻、口に触れない、 - くしゃみや咳をする時は、口と鼻を肘で覆う、 - ものの表面を消毒液で拭く、 - マスク、目の保護具、手袋、保護ガウ...

健康な閉経前の女性における骨の健康増進のためのカルシウムとビタミンD

1 year 9 months ago
健康な閉経前の女性における骨の健康増進のためのカルシウムとビタミンD 要点 健康な閉経前の女性において、カルシウムの補給、ビタミンDの補給、およびカルシウムとビタミンD両方の補給は、どの部位(大腿骨または脊椎)の骨密度(BMD)にも影響を及ぼさないことをエビデンスは示唆している。 骨粗鬆症とは何か? 骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムなどのミネラルの濃度(骨密度:BMDと呼ばれる)が低くなっている状態である。そのため、骨の内部に穴が開いたり、骨の外壁が薄くなることで、骨がもろくなり、ひび割れや骨折が起こりやすくなる。 骨粗鬆症は公衆衛生上の大きな問題であり、年間890万件以上の骨折の原因となっている。これは、平均して3秒に1回の割合で骨粗鬆症による骨折が発生していることになる。(全員に受け入れられているわけではないものの)閉経後の女性にはカルシウムとビタミンDの補給がよく推奨されている。一方、介護施設などの入所者や、骨粗鬆症の患者には、カルシウムとビタミンDの十分な補給が常に推奨されている。しかし、閉経を迎えていない女性のBMDに対するカルシウムとビタミンDの効果については、ほとんど知られていない。この年齢層を対象とした研究はほとんどなく、その結果についても結論が出ていない。この年齢層におけるカルシウムおよびビタミンDの補給の目的は、骨の強度と健康状態を向上させることと考えられてい...

白内障の手術後における3焦点レンズと2焦点レンズの比較

1 year 9 months ago
白内障の手術後における3焦点レンズと2焦点レンズの比較 何を調べたかったのか? 白内障の手術の際に、遠見視力、中間視力、近見視力の3種類の視力を矯正するレンズ(3焦点レンズ)を挿入した場合と、遠見視力および近見視力の2種類の視力を矯正するレンズ(2焦点レンズ)を挿入した場合を比較して、効果や安全性に差があるかどうかについて調べたかった。 要点 白内障手術後に3焦点レンズを使用した患者は、2焦点レンズを使用した患者と比較して、1年後の裸眼中間視力(いわゆる裸眼視力)が改善する可能性があることがわかったが、そのエビデンスにはほとんど信頼性がない。1年後の裸眼遠見視力、裸眼近見視力、最良矯正遠見視力について、3焦点レンズと2焦点レンズに差があるというエビデンスはなかった。QOL(生活の質)や明暗の微妙な変化を識別する能力(コントラスト感度)に対する3焦点レンズと2焦点レンズの効果は、依然として不明であった。 老眼とは何か、またどのように治療されるのか? 老眼とは、加齢に伴い目のレンズ(水晶体)が変化することで、近くのものを見る能力が徐々に低下していく状態である。さらに水晶体の変化が進むと、水晶体の透明度が低下し(白内障と呼ばれる)、視力やコントラスト感度が低下することがある。3種類または2種類の範囲に焦点が合うレンズ(それぞれ3焦点レンズ、2焦点レンズと呼ばれる)は、白内障手術後におけ...

COVID-19に感染して回復した人や動物の濃縮抗体は、COVID-19の人に有効な治療法であるか?

1 year 9 months ago
COVID-19に感染して回復した人や動物の濃縮抗体は、COVID-19の人に有効な治療法であるか? 要点 - 高力価免疫グロブリン(COVID-19から回復した人の抗体で作られた製剤)が、中等症から重症のCOVID-19の人の死亡や重篤な望ましくない作用を減らすかどうかは分かっていない。しかし、動物にある種の抗体を注射して作る同様の製剤は、死亡や重篤な副作用を減らし、人々の症状の悪化を食い止めることができるかもしれない。 - COVID-19を発症しているが症状のない人、軽症のCOVID-19の人を調査した研究は見つからなかったので、ヒトや動物の高力価免疫グロブリンがそれらの人々にどれだけ有効であるかはわからない。 また現在進行中の試験も10件あった。その結果が発表され次第、本レビューを更新する予定である。 高力価免疫グロブリンとは? 体内では、感染症に対する防御策の一つとして抗体が作られている。抗体、すなわち「免疫グロブリン」は、血漿中に存在する。そして免疫反応の重要な部分として作用している。 COVID-19から回復した人の血漿にはSARS-CoV-2(COVID-19の原因となるウイルス)に対する抗体が含まれており、これを用いて2種類の製剤を作ることができる。1つは回復期の血漿であり、これは抗体を含む血漿である。もう1つは高力価免疫グロブリンであり、濃縮されているためより...

脳内出血後の血栓を防ぐ薬剤

1 year 9 months ago
脳内出血後の血栓を防ぐ薬剤 レビューの論点 脳内出血による脳卒中(いわゆる「脳出血」)の後、血栓を防ぐために使用する薬(「抗血栓薬」)の短期的および長期的な利益とリスクは何か。 背景 脳出血による脳卒中の人は、脳出血のない人に比べて、血管に血栓ができやすいと言われている。脳卒中後早期に体を動かさないでいると、脚や骨盤の静脈に血栓ができることがある。また、脳卒中後の短期および長期における患者の基礎疾患は、肺、脳、心臓、足、その他の臓器の動脈に血栓を生じさせる可能性がある。これらの血栓は、重篤な病気や死亡の原因になることがある。抗血栓薬は血栓を防ぐことができる。しかし、これらの薬剤は出血の問題を引き起こし、重篤な病気や死亡の原因になることもある。脳出血後、抗血栓薬が患者に有益か有害かは不明である。このレビューは、前回2017年に発表されたコクランレビューのアップデート版である。 研究の特徴 2021年10月に治療の公平性を検証するランダム化比較試験の広範な検索を更新した。その結果、過去に脳出血を起こした1,491人を対象とした9件の試験が見つかった。動けない脳出血の生存者を対象に、注射による血液希釈剤(「抗凝固剤」として知られている)の短期使用を検討した試験が4件あった。不規則な心拍(「心房細動」と呼ばれる)を持つ脳出血生存者を対象に、経口抗凝固薬の長期使用について3件の試験が行われ...

下痢症を予防するための衛生環境を改善する取り組み

1 year 9 months ago
下痢症を予防するための衛生環境を改善する取り組み レビューの目的 このコクラン・レビューの目的は、屋内外のトイレを提供したり、改良したり、使用を促したりする衛生環境への介入が下痢を減少させるかを評価することだった。事前に指定された厳密な研究デザインの確実な関連研究を収集・解析し、238,535人を対象とした51件の研究を得た。 要点 衛生環境への介入が下痢症に対して予防的である可能性を示すエビデンスを得た。しかし、介入の種類や設定によって効果は異なっており、エビデンスの確実性は非常に低いものから中等度までに渡っていた。 検討した内容 下痢症は低所得国における、特に幼い子どもたちにとっての死亡や病気の主な原因である。下痢症を起こす病原体の多くは、ヒトの排泄物に曝露することで感染する。屋内外のトイレのような衛生設備は、ヒトの排泄物に含まれる病原体を環境から隔離する最初のバリアとしての役割を担っている。このレビューでは、衛生設備へのアクセス、設備自体、使用法を改善するための介入研究について調査した。このような介入についての51件の研究を同定した。ほとんどが低・中所得国における研究であった。 レビューの主な結果 結果からは、脆弱な幼児および全年齢層において衛生環境への介入が下痢症を約15~26%減少させることが示唆された。しかし、すべての介入が予防的であったわけではなく、効果は介入の種類...

川崎病に対する免疫グロブリン療法

1 year 9 months ago
川崎病に対する免疫グロブリン療法 要点 川崎病の小児において、高用量の免疫グロブリンを点滴で投与する治療法(経静脈的免疫グロブリン療法:IVIG)は: ・アスピリンや中用量または低用量のIVIGと比較して、冠動脈病変形成リスクを減少させる可能性が高い。 ・ 明確な安全性に関する懸念は見られない。 ・アスピリンと比較して、発熱期間を短縮する可能性は高いが、追加治療の必要性についてはほとんど差が認められない。 ・中用量または低用量のIVIGと比較して、発熱の持続期間および追加治療の必要性を減少させる可能性がある。 なぜこの問題が重要なのか? 川崎病は、血管が炎症を起こして腫れる病気である。症状としては、高熱(発熱)に加え、唇の荒れ、イチゴ舌(腫れぼったい赤い舌)、目の充血、発疹、手足の発赤、および腫れ、皮膚の剥がれ、首のリンパ節の腫れなどが見られ、幼児に多く発生する。心臓に血液を供給する血管(冠動脈)の腫れや炎症は、この病気の最も重篤な合併症であり、冠動脈病変を引き起こす原因となる。冠動脈病変は、後天性の心臓病として、時には死亡につながることもある。しかし、迅速な診断と治療により、これらの合併症を防ぐことが可能である。川崎病の治療には、主に免疫グロブリンとアスピリンの静脈内投与が行われる。患者の治療には、これらの薬剤、投与量、および投与時間(レジメン)がさまざまに組み合わせて用いられ...

COVID-19感染者の治療に使用するレムデシビル

1 year 9 months ago
COVID-19感染者の治療に使用するレムデシビル COVID-19の治療にレムデシビル(抗ウイルス薬)は有効か? 要点 - COVID-19で入院した成人に対して、プラセボ(偽治療)または通常の治療と比較して、レムデシビルは治療後150日までのあらゆる原因による死亡に対して、おそらくほとんど、あるいは全く効果がない。 - レムデシビルは、入院患者が改善し、退院(病院を去る・家に帰る)する可能性をおそらくわずかに高める。また、悪化(呼吸器による侵襲的な換気や死亡)するリスクを減らすかもしれない。 - 通常、症状が軽く、入院していない患者は、亡くなる可能性が低い。レムデシビルは、おそらくCOVID-19が悪化して入院するリスクを減らすが、回復(例:症状の緩和)に影響するかどうかはわからない。 - 今後の研究では,異なるサブグループ(例:重症度が低いまたは高い人)におけるCOVID-19の経過に対するレムデシビルの影響を調査する必要がある. レムデシビルとは何か? レムデシビルはウイルスと戦う薬である。COVID-19の原因となるウイルス(SARS-CoV-2)の増殖を防ぐ効果が示されている。医療規制当局は、COVID-19の患者を治療するためにレムデシビルを使用することを承認した。主な副作用として、吐き気、嘔吐、頭痛、血液検査値の変化などが報告されている。 何を知りたかったのか? ...
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