Latest Japanese Reviews

痛みを伴う処置を受ける乳児の痛みに対するオピオイド以外の鎮痛剤

1 year 7 months ago
痛みを伴う処置を受ける乳児の痛みに対するオピオイド以外の鎮痛剤 要点 - オピオイド以外の鎮痛剤については、痛みを伴う処置を受ける乳児の痛みを管理するのに十分なエビデンスは見つからなかった。鎮痛剤(ケタミン)を別の鎮痛剤(オピオイド)または甘い液体(訳注:甘味が疼痛を緩和するという研究結果があり、ショ糖液が使用されることが多い)と比較したわずか2件の小規模な研究が、異なった方法で管理されていることがわかった。 - さまざまな鎮痛剤の有益性と有害性、そしてそれらを投与する最善の方法についてよりよく理解するためには、さまざまな鎮痛剤に関するより大規模な研究が必要である。 何が知りたかったのか? 特に早産や病気で生まれた乳児は、入院中に多くの痛みを伴う処置を受けることがある。十分かつ安全に痛みを和らげるためには、どの鎮痛剤が最適なのかはまだはっきりしていない。特に、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と、ケタミンなどのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬を、痛みを伴う処置中の乳児に対して評価した研究に焦点を当てた。これらの鎮痛剤が処置中の乳児の痛みの強さにどのような影響を与えるか、また鎮痛剤が引き起こす副作用について調べたいと考えた。 何を行ったのか? 以下の比較を行った研究を検索した: - NMDA受容体拮抗薬(ケタミンなど)または非ステロイド...

健康のための現金給付の体験と認識 

1 year 7 months ago
健康のための現金給付の体験と認識 本レビューの目的は何か? 健康に関連した条件付き、または無条件の現金給付を受けた人々が、それをどのように受け止めたかについて調査することを目的とした。そのために、41件の質的研究について分析を行った。 要点 人々は現金給付を評価し、基本的な要求を満たすために必要なものだと考えている。しかし、現金給付は、良い影響も悪い影響も与える可能性がある。すべての人が現金給付を望んでいるわけではなく、保健行動(健康を保持、増進したり、病気に対処しようとする行動)を変えるには、現金のみでは不十分であると考えている受給者もいる。 本レビューでは何が調査されたのか? 条件付きおよび無条件の現金給付プログラムは、世界中で行われている。条件付き現金給付とは、特定の行動に対してお金(現金)が給付されるというものであり、例として、親が子供を保健所に連れて行った場合に現金を受け取る場合などが挙げられる。無条件の現金給付とは、使用に関する条件や規則がなく与えられる現金給付のことである。政府の施策により現金給付を受けられる場合もあれば、非政府組織や研究プロジェクトを通じて現金給付が行われる場合もある。これらのプログラムの多くは、人々の健康状態を改善することを目的としており、健康への影響を評価する研究では、さまざまな結果が得られている。そこで、受給者がこれらの現金給付プログラムにつ...

がん患者のうつ病治療における抗うつ薬

1 year 7 months ago
がん患者のうつ病治療における抗うつ薬 要点 本レビューでは、うつ病のがん患者において、抗うつ薬がプラセボ(偽の治療)に対して有益な効果を示す可能性があることが明らかにされたが、エビデンスは不確実であり、明確な結論を出すことは困難であった。そのため、がん患者における抗うつ薬の使用には、個別の検討が必要である。 論点は何か? うつ病は、がん患者において多く見られる。多くの場合、抑うつ症状は、生命を脅かす重篤な疾患に対する正常な反応または直接的な影響である。そのため、抑うつ症状を真の障害と判断し、薬剤による治療の必要性を決定することは困難である。現在の学術文献によると、抑うつ症状は、たとえ軽度であっても、がんの経過に影響を及ぼし、全体的な生活の質(QOL)を低下させ、抗がん剤治療へのコンプライアンス(指示にしたがうこと)に影響を与え、さらに、死亡率を高める可能性があることが明らかになっている。 何を調べようとしたのか? 部位や病期に関わらず、がん患者の抑うつ症状に対する抗うつ薬の有効性および受容性(受け入れやすさ)を評価したいと考えた。 何を行ったのか? がんと診断され、うつ病を有する成人を対象に、抗うつ薬とプラセボ、または抗うつ薬と他の抗うつ薬を比較した適切なデザインの臨床試験について、医学データベースの検索を行った。 何を見つけたのか? 合計1,364人の参加者を対象に、抗うつ薬の...

早産児の鼻腔内持続陽圧換気(CPAP)の圧力源

1 year 7 months ago
早産児の鼻腔内持続陽圧換気(CPAP)の圧力源 要点 気泡発生式(バブル式)持続気道陽圧換気(CPAP)(以後バブルCPAP)は、通常の人工呼吸器やインファントフロードライバー(訳注:CPAP目的以外では人工呼吸に使用できないCPAP専用機器のこと)で供給されるCPAPと比較すると、CPAP治療失敗のリスクを低減できる可能性がある。バブルCPAPは、早産に伴う死亡やその他の合併症のリスクにはおそらくほとんど影響しないが、中等度から重度の鼻の傷のリスクはおそらく増加すると考えられる。 CPAPとは? CPAPは、肺に問題のある早産(未熟児)の赤ちゃんの呼吸を補助するために使用する方法の一つである。水中バブル装置(バブルCPAP)、機械式人工呼吸器、インファントフロードライバーなど、さまざまな種類の機械でCPAPを行うことができる。 何を知りたかったのか? CPAP療法の治療失敗(赤ちゃんの状態が悪化したり、人工呼吸が必要になったりすること)の発生率を下げ、また合併症や害を減らすためには、バブルCPAPと人工呼吸器やインファントフロードライバーを用いたCPAPのどちらが優れているかを示すエビデンスがあるかどうかを調査した。 何を行ったのか? 2023年1月までのランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のいずれかに無作為に割り当てるタイプの研究)を医学データベースで検索した。 何が...

生後6か月から12歳までの小児における亜鉛の補給は、死亡や病気の予防、または成長の促進に有効か、あるいは有害事象があるか?

1 year 7 months ago
生後6か月から12歳までの小児における亜鉛の補給は、死亡や病気の予防、または成長の促進に有効か、あるいは有害事象があるか? 要点 - 生後6か月から12歳の小児における亜鉛の補給は、すべての死因による死亡率についてはほとんど、または全く影響を与えず、下痢による死亡にも差を及ぼさない可能性がある。また、下気道感染症やマラリアによる死亡を減少させる可能性があるが、死亡リスクを増加させるわずかな可能性については否定できない。 - 生後6か月から12歳の小児における亜鉛の補給は、下痢による疾患を予防できる可能性があるが、補給後に嘔吐を引き起こす可能性がある。また、身長の増加に対し、わずかに効果がある可能性がある。 なぜ亜鉛の補給について調査することが重要なのか? 亜鉛は必須微量栄養素である。小児の正常な成長や、健康な免疫系の獲得は重要であるが、亜鉛の不足により、下痢や肺炎、マラリアへの感染を引き起こしやすくなり、さらには死に至る場合もある。食事からの亜鉛摂取量の不足は、貧困と関連していることが多く、低、中所得国ではおよそ半数もの小児が亜鉛欠乏症となっている可能性がある。肉、魚、卵、および乳製品は、亜鉛の良質な天然供給源だが、高価である。清潔な水が不足し、衛生状態が悪い場合、病気に罹患しやすくなるが、亜鉛はその対策に役立つ可能性がある。人体は亜鉛を産生したり貯蔵したりすることができないため...

分娩誘発における器械的方法

1 year 7 months ago
分娩誘発における器械的方法 妊娠第三3半期間(妊娠24週以降)において、器械的方法を用いた分娩誘発の有効性と安全性をランダム化比較試験から検討した。子宮頸部(子宮の下端)を伸展するためのバルーンと、プロスタグランジンE2(PGE2)または低用量ミソプロストールまたはオキシトシンとを比較した。 論点 分娩誘発は一般的に、妊娠を継続する利益よりもリスクが上回る場合、または妊婦の希望により行われる。 分娩誘発の為の器械的方法は子宮頸管を伸展させることにより、頸管熟化と陣痛発来(訳注:陣痛が始まること)を促す。これらは陣痛を起こすために用いられる最も古い方法の一つである。PGE2、ミソプロストール、オキシトシンといった薬物療法が、部分的に器械的方法にとって代わったのは、この数十年間のことである。 重要性 より多くの女性が分娩誘発を行うようになっており、その適応はしばしば緊急を要するものではない。これは分娩誘発の方法において、有効性を犠牲にしても、安全性がより重要となることを意味する。器械的方法は広く利用可能であり、安価で、子宮の過度の収縮(過強陣痛)のような副作用が少ない可能性があり、薬物療法に比べて利点があるかもしれない。陣痛が長すぎたり頻繁すぎたりすると、胎児が十分な酸素を受け取れなくなる可能性があるため、過強陣痛が起こらないことは児にとって安全といえる可能性がある。 得られたエビデ...

嚢胞性線維症の患者が吸入治療を受けるのを助けるための心理的介入

1 year 7 months ago
嚢胞性線維症の患者が吸入治療を受けるのを助けるための心理的介入 要点 心理的介入は、人々が自分の考え、感情、行動を修正できるように設計されている。 心理的介入は、嚢胞性線維症(CF)患者が吸入治療を行う上で、おそらく通常のケアよりも優れており、治療後6~12か月後に測定した場合、(不安や抑うつなどの)害はほとんどないか、全くないと考えられる。 動機づけ面接(MI)が、教育+問題解決(EPS)よりも、CF患者の吸入治療に対する支援において優れているか劣っているかは不明である。 背景 CFは慢性の遺伝病で、通常、新生児スクリーニングにより出生時に診断される。CF患者は、肺や消化器系に濃厚で粘着性の粘液(または痰)が溜まるため、胸部感染症を繰り返す。吸入治療は通常、痰を薄くする(痰を出しやすくする、咳き込みやすくする)か、肺内の細菌を治療・制御する(感染症を減らす)ために処方される。 長期にわたる(慢性)疾患がある人は、処方された治療薬を飲むのに苦労することが多い。これはCFでも変わらない。 何を調べようとしたのか? 心理的介入は、CF 患者が吸入治療を受けるのを助けることができるのか、また、心理的介入による有害な影響や望ましくない影響(不安や抑うつなど)はあるのか。 CF 患者が吸入治療を行う際に、どのような技術(目標設定、問題解決など)が最も効果的か。 何を行ったのか? 年齢を問わ...

メチルフェニデートは注意欠如多動性障害(ADHD)の小児や青少年に有効な治療であるか?

1 year 7 months ago
メチルフェニデートは注意欠如多動性障害(ADHD)の小児や青少年に有効な治療であるか? 要点 - メチルフェニデートは多動や衝動性を抑え、小児が集中力を高める助けになるかもしれない。メチルフェニデートは一般行動の改善にも役立つかもしれないが、生活の質(QOL)には影響しないようである。 - メチルフェニデートは、最長6か月間までの使用では、重篤な(生命を脅かす)望ましくない作用のリスクを増加させないようである。しかし、睡眠障害や食欲減退など、重篤でない副作用のリスクが高まる。 - 今後の研究では、望ましくない影響の報告にもっと焦点を当てるべきであり、より長期間にわたって行われるべきである。 注意欠如多動性障害(ADHD)とは? ADHDは、最も一般的に診断され、治療されている小児期の精神疾患のひとつである。ADHDの小児は集中するのが難しい。多動(そわそわし、長時間じっとしていられない)で衝動的(考える時間をとらずに物事にとりかかる)であることが多い。ADHDの小児は、指示に従ったり集中したりするのが難しいため、学校でうまくやっていくのが難しくなる。行動上の問題は、家族や友人とうまくやっていく妨げになり、他の小児よりも多くの問題を起こすことが多い。 ADHDの治療法は? メチルフェニデート(例えばリタリン)は、ADHDの小児や青年に最もよく処方される薬である。メチルフェニデートは...

非がん性慢性疼痛の管理におけるオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の高用量投与

1 year 7 months ago
非がん性慢性疼痛の管理におけるオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の高用量投与 要点 がんを原因としない慢性的な痛み(非がん性慢性疼痛)を持つ成人に対して、高用量のオピオイドを使用した場合、どの程度効果があるのか、またどのような副作用があるのかを示す質の高いエビデンスはない。 臨床研究では、通常、カットオフ値(基準とする範囲を区切る値)より低い薬剤の用量が使用されている。非がん性慢性疼痛に対して、高用量のオピオイドがどの程度有効なのか、またどのような副作用があるのかを知る必要がある。 背景 オピオイドは、モルヒネに類似した鎮痛薬の一種であり、長期間(通常は3か月以上)続く中等度または重度の慢性疼痛に対して長年使用されてきた。 研究の特徴 本概要では、非がん性慢性疼痛を持つ成人に対する疼痛緩和のためのオピオイドに関するコクランレビュー、および概要から得られた知見をまとめることを目的とした。さらに、オピオイドを高用量(1日あたりモルヒネ200mg以上に相当)で使用した場合にどの程度効果があるのか、またどのような副作用があるのかを明らかにしたいと考えた。 主な結果 2022年7月までに行われた系統的文献検索からは、目的とした情報は得られなかった。オピオイドに関する研究において、高用量で使用された報告はほとんどない。また、あらゆる用量のオピオイドを使用している人を対象とした研究の一部として用いられ...

肺高血圧症に対する運動療法に基づいたリハビリテーション

1 year 7 months ago
肺高血圧症に対する運動療法に基づいたリハビリテーション 要点 医学的に安定している肺高血圧症患者では、運動療法に基づいたリハビリテーションが最も安全で、かつ最も生活の質(QOL)を向上させる可能性がある。運動療法に基づいたリハビリテーションによって、運動能力を大幅に増加させ、平均肺動脈圧を低下させる可能性がエビデンスによって示唆されている。 肺高血圧症とは何か? 肺高血圧症とは、心臓から肺に血液を送る動脈(肺動脈)の血圧が、正常よりも大幅に高くなった状態である。多くの場合、緩やかに発症し、あらゆる年齢の人々に影響を及ぼし、生活の質を低下させ、時に早世に至ることもある。運動療法に基づいたリハビリテーションは、他の慢性肺疾患や心疾患の患者に対しては推奨されているが、近年まで肺高血圧症の患者に対しての推奨はされていなかった。 何を調べようとしたのか? 運動療法に基づいたリハビリテーションと、通常の治療との比較における、適切にデザインされた臨床研究についてのエビデンスのレビューを試みた。 何を行ったのか? 運動能力、健康関連の生活の質(QOL)、重篤な副作用、肺循環の圧力の変化などの短期および長期の結果が運動療法によって改善されるかどうかを調べるために、医学データベースを用いて、肺高血圧症患者が運動療法を行った場合と通常の治療を行った場合とを比較した臨床研究を検索した。本レビューには、合...

出生が早すぎた赤ちゃんの脳出血を予防するフェノバルビタールの利益とリスクは?

1 year 8 months ago
出生が早すぎた赤ちゃんの脳出血を予防するフェノバルビタールの利益とリスクは? 要点 ・早産で生まれた赤ちゃんにフェノバルビタール(けいれん発作を抑える薬)を投与することは、脳室内出血(脳出血)や死亡を防ぐ効果はほとんど、あるいはまったくないかもしれない。 ・フェノバルビタールによる脳室拡大(脳内の空間の拡大)予防や長期的な神経発達についてのエビデンスは非常に不確かである。 脳出血(脳室内出血)とは何か? 早産で生まれた赤ちゃんの脳の中心に大きな出血があると、障害がおこったり、死亡したりする。不安定な血圧と脳血流が、脳室(脳内の液体で満たされた空間)への出血を引き起こすと考えられている。 何を知りたかったのか? フェノバルビタールは血圧を安定させ、脳出血を防ぐ可能性があると考えられている。フェノバルビタールが、無治療の場合やプラセボ(薬を含まないが、見た目や味は試験に使う薬と同じ「ダミー」の治療法)よりも優れているかどうか調べた。 実施したこと フェノバルビタール投与と無治療を比較した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や試験の規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。 わかったこと 10件の研究(792人の赤ちゃんを含む)を対象とした。 エビデンスは、フェノバルビタールに脳出血を予防する効果はほとんど、あるいはまったくないことを示している。脳室拡...

エムポックス(サル痘)に対する治療法

1 year 8 months ago
エムポックス(サル痘)に対する治療法 本レビューの目的は何か? 現在、エムポックス(サル痘)の治療に特化して認可された薬剤はないが、天然痘など類似したウイルス感染症の治療に認可されている薬剤の中には、感染の集団発生時においてエムポックスの治療に認可されているものがある。これらの薬剤の効果は、エムポックス患者を対象としたランダム化試験ではまだ研究されていない。ランダム化試験では、薬剤投与群とプラセボ(偽の薬)投与群など、少なくとも2つの治療群が設定され、研究参加者は、いずれかの群に無作為に割り振られる。本レビューは、ヒトにおけるエムポックスの治療の安全性と有効性に関するエビデンスを要約したものであり、ランダム化比較試験(RCT)からのエビデンスのレビューと、非ランダム化試験(NRS)からの安全性データのレビューの2部構成となっている。 ランダム化比較試験のレビュー エムポックスの治療法における安全性と有効性の両方に関するランダム化比較試験を検索した。 非ランダム化試験のレビュー エムポックスの治療法における安全性に関する非ランダム化試験のみを検索した。 要点 ランダム化比較試験のレビュー 現在進行中の5件のランダム化比較試験のデータが利用可能になれば、エムポックスの治療を受けた場合と受けなかった場合についての安全性と有効性を比較できるようになる。また、さまざまな治療法について、患者...

急性細菌性結膜炎に対する抗菌薬の有益性と有害性は何か?

1 year 8 months ago
急性細菌性結膜炎に対する抗菌薬の有益性と有害性は何か? 要点 抗菌薬の局所投与は、急性細菌性結膜炎患者における徴候と症状、および細菌クリアランス(細菌の減少量)を改善する可能性があるが、一部の抗菌薬は、目やまぶたに有害事象を引き起こす可能性がある。しかし、抗菌薬が身体の他の部位に有害な影響を及ぼす可能性を示唆するエビデンスはない。 急性細菌性結膜炎とは何か? 急性細菌性結膜炎とは、片目または両目における白目の部分とまぶたの内側を覆う薄い層が、細菌感染によって赤く炎症を起こした状態のことである。通常、急性細菌性結膜炎は伝染性があるため、罹患した小児あるいは成人は、登校や出勤を控えることが推奨されている。幸いなことに、ほとんどの場合は自然に治癒する。 急性細菌性結膜炎はどのように治療されるのか? 急性細菌性結膜炎は、通常は回復を早めるために抗菌薬の点眼薬または軟膏によって感染部位の治療が行われるが、抗菌薬が目やその周囲の皮膚に刺激やアレルギー反応を引き起こす可能性があることを考慮した場合、その有益性は疑問視されている。 何を調べようとしたのか? 抗菌薬単独、またはステロイド剤との併用が、結膜炎の徴候および症状を改善するか、あるいは関連する細菌の除去に有用かを調査した。また、抗菌薬が目に有害な影響を及ぼすかどうかについても評価した。 何を行ったのか? 点眼薬、軟膏、または錠剤の抗菌薬と...

放射線治療のみを受けている成人のがん患者に対する運動介入

1 year 8 months ago
放射線治療のみを受けている成人のがん患者に対する運動介入 放射線治療とは何か? 放射線治療(RT:放射線療法とも呼ばれる)とは、体の特定の部分に高線量の放射線を照射し、がん細胞を死滅させる治療法である。がん患者のおよそ2人に1人がRTを受けている。RTが単独で行われる場合もあれば、全身に影響を及ぼす他のがん治療(化学療法、免疫療法、またはホルモン療法)と組み合わされる場合もある。RTの有害事象として、通常は放射線が照射された部位のみに影響が及ぶが、全身に影響を及ぼす症状がみられる場合もある。これらの有害事象は、身体活動、身体能力、および生活の質(QOL)の低下につながる可能性がある。運動を行っているがん患者は、がんやその他の原因による死亡や、がんの再発、およびがん治療による有害事象が少ない可能性があるというエビデンスが存在する。 何を調べようとしたのか? RTのみを受けているがん患者において、運動をすることが以下の項目の改善のために有効かどうかを明らかにしたいと考えた。 ・疲労 ・生活の質(QOL) ・身体能力 ・心理社会的影響(うつ病など) ・全生存期間 ・職場への復帰 ・身体測定値(体重など) ・有害事象 何を行ったのか? 電子医学文献データベース上にて、あらゆる種類と病期のがんに対し、RT単独治療を受けている患者が登録されたランダム化比較試験(RCT)を検索した。対象となっ...

長期療養中の認知症患者に対する個人に合わせた活動

1 year 8 months ago
長期療養中の認知症患者に対する個人に合わせた活動 介護施設に入居する認知症患者の、それぞれの興味や好みに合わせた活動には、どのような利点があるのか。 本レビューでは何が調査されたのか? 介護施設や老人ホームに入居する認知症患者は、やることが少なすぎることが多く、また行うことができる活動が本人にとって有意義でない場合もある。認知症患者に対し、各自の興味や好みに合った活動に参加する機会がもたらされれば、生活の質の向上、アジテーション(落ち着きのなさ、あるいは攻撃的な行動など)の減少、またはその他の良い効果が得られる可能性がある。 何を調べようとしたのか? 介護施設に入居する認知症患者に対し、それぞれの興味に合わせた活動を提供することの効果について調査を行うことを目的とした。本レビューは、2018年に行われた前回のレビューの更新版である。 何を行ったのか? 認知症患者に対し、それぞれの興味に合った活動が提供された場合(介入群)と、それぞれの興味に合った活動が提供されなかった場合(対照群)との比較が行われた研究を検索した。 介護施設に入居している合計1,071人の認知症患者を含む11件の研究が見つかった。このうち10件はランダム化比較試験(RCT)であり、これは、参加者が無作為に介入群と対照群のどちらかに割り付けられたということを意味する。1件の研究はランダム化されておらず、結果に偏りを...

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法以外の治療法の利点とリスクは何か?

1 year 8 months ago
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法以外の治療法の利点とリスクは何か? 要点 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療法について調査した研究は非常に少ない。今回、脳への電気刺激(経頭蓋直流電気刺激法)の使用について評価した、非常に小規模な研究が1件のみ見つかった。 この病気に対してどのような治療が有効か、また、治療が有害事象を引き起こすかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。 PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは何か? PPPDは、めまいやふらつきの症状を伴い、特に立ち上がる時や動き回る時、あるいは視覚刺激(複雑な模様や動きのある映像など)が多い場合に悪化する疾患である。 PPPDはどのように治療されるのか? PPPDの症状を改善するために、薬剤を用いる場合がある。また、前庭リハビリテーションと呼ばれる理学療法や、対話療法なども行われる。 何を知りたかったのか? 以下の項目について明らかにすることを試みた: - 薬物療法以外の治療がPPPDの症状の改善に有用であるというエビデンスがあるかどうか - これらの治療が何らかの有害作用をもたらす可能性があるかどうか 何を行ったのか? 異なる種類の治療(薬物療法を除く)に対し、治療を行わなかった場合、または偽の治療を行った場合(プラセボ)と比較した研究について検索を行った。 何を見つけたのか?...

環境における転倒の危険性を低下させる

1 year 8 months ago
環境における転倒の危険性を低下させる 要点 過去1年間に転倒したことがある、最近入院していた、日常生活のサポートが必要であるなど、転倒のリスクが高い高齢者の場合、自宅における転倒の危険となる環境因子を取り除くことで、転倒回数を38%減少させることができる。手すりのない階段、滑りやすい通路、暗い照明などが、転倒の危険となる環境因子の例として挙げられる。 転倒予防プログラムの一環として、なぜ環境因子を考慮することが重要なのか? 転倒はよくあることで、命にかかわることもあるが、防ぐことは可能である。毎年、65歳以上の人の約3分の1が転倒している。転倒の多くは自宅で発生し、転倒全体の30%以上が環境上の危険によって引き起こされる。環境的転倒危険除去プログラムは、転倒の危険となる環境因子を特定し、除去する専門家によって提供される介入である。 何を知りたかったのか? 以下の内容を検討した: - 転倒予防のために、どのようなタイプの環境プログラムが最も効果的か。 また、転倒を防止する下記のプログラムについても検討した: - 環境における転倒の危険を低減するプログラムを提供する最善の方法: - そのようなプログラムによって、重大な怪我につながる転倒を防ぐことができるか。 下記を含む4種類のプログラムを検討した: - 自宅内外の転倒の危険を取り除くことに重点を置いたもの; - 最新の眼鏡や特殊な靴...

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療に使用される薬剤の利点とリスクは何か?

1 year 8 months ago
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)の治療に使用される薬剤の利点とリスクは何か? 要点 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する薬物療法について評価を行った研究は確認されなかった。 この病気に対してどのような治療が有効か、また、治療が有害事象を引き起こすかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。 PPPDとは何か? PPPDとは、持続性知覚性姿勢誘発めまいの略称である。PPPDは、めまいやふらつきの症状を伴い、立ち上がる時や動き回る時、あるいは視覚刺激(複雑な模様や動きのある映像など)が多い場合に悪化する。 PPPDはどのように治療されるのか? PPPDの症状を改善するために、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」や「セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)」として知られる薬剤が投与される場合がある。その他の治療法、例えば、前庭リハビリテーションとして知られる理学療法の一種や、対話療法なども用いられる。 何を知りたかったのか? 以下の項目について明らかにすることを試みた: - 薬物療法(SSRIおよびSNRI)がPPPDの症状の改善に有用であるというエビデンスがあるかどうか。 - これらの治療が何らかの有害作用をもたらす可能性があるかどうか。 何を行ったのか? SSRIおよびSNRIについて、治療を行わなかった場合、またはプラセボ...

病院での計画的出産と自宅での計画的出産

1 year 8 months ago
病院での計画的出産と自宅での計画的出産 論点 健康な女性の妊娠のほとんどが正常であり、ほとんどの出産は不必要な医学的介入なしに行われる。しかし、出産の過程で合併症が起こらないことを確実に予想することは不可能である。そのため、多くの国では、すべての女性にとって病院で出産することが最も安全な選択肢であると考えられている。しかし、助産師が妊娠中からケアを提供し、出産時には介助を行い、必要時には自宅と病院間の移動が可能であれば、自宅での出産はマタニティ・ケアの一環である、或いはありうると考えられている国もある。不安や病院での多くの医療処置へのアクセスが容易であることが、介入レベルの上昇につながり、それがさらなる介入を招き、最終的には不必要な合併症を引き起こす可能性があることは、ますます明らかになってきているようだ。経験豊富な助産師が介助し、万が一転院が必要になった場合に備えて協力医療機関がバックアップする自宅での計画的出産では、こうした欠点は回避され、必要時に医療介入を受けられるという利点は維持される。 重要である理由 合併症のリスクが低い女性に対する病院での計画的出産は、経験豊富な助産師が協力的な医療のバックアップのもとで支援する自宅での計画的出産より安全というわけではなく、介入が増え、合併症が増える可能性があることを、より優れた観察研究がますます示唆している。病院での計画的出産と自宅...

原発性副甲状腺機能亢進症の成人に対する副甲状腺摘出術

1 year 8 months ago
原発性副甲状腺機能亢進症の成人に対する副甲状腺摘出術 原発性副甲状腺機能亢進症とは 原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は、副甲状腺(首の甲状腺の近くまたは甲状腺上にある4種類の腺)が肥大して、副甲状腺ホルモンを過剰に分泌する疾患である。この病気は成人の1%にみられる。副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、体内のカルシウム濃度が乱れて、骨粗しょう症(骨が弱くなる健康状態)や骨折、慢性腎臓病、心血管疾患、認知機能障害(精神能力の低下)など、さまざまな健康問題につながり、健康関連のQOL(生活の質)を低下させる。 副甲状腺機能亢進症の治療 副甲状腺摘出術(異常な副甲状腺を外科的に摘出する)は、PHPTの患者に対する確立された治療法のひとつである。副甲状腺摘出術は、PHPTを治癒させて、望ましくない合併症を改善することが期待されている。 知りたかったこと 副甲状腺摘出術が、症状のない軽度のPHPTを治癒させ、骨粗しょう症、骨密度低下、腎結石、腎臓病、心血管疾患(心臓や血管に影響を及ぼす疾患)、認知機能障害などの疾患に関連する合併症を改善するために、内科的治療や単純な観察よりも優れているかどうかを知りたかった。また、副甲状腺摘出術に好ましくない影響があるかどうか、PHPT患者の健康関連QOLが改善されるかどうかも明らかにしたかった。 実施したこと PHPTの成人患者を対象に、副甲状腺摘出...
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