Latest Japanese Reviews

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の予防および治療に対するイベルメクチン

3 years 3 months ago
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の予防および治療に対するイベルメクチン COVID-19にイベルメクチンは有効か? 要点 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の治療または予防にイベルメクチンを使用することを支持するエビデンスは見つからなかったが、エビデンスの根拠には限りがある。 イベルメクチンの評価は進行中の31試験で行われており、その結果が出たらこのレビューを更新する予定である。 イベルメクチンとは何か? イベルメクチンは、動物の腸内寄生虫や疥癬などの寄生虫の治療に用いられる薬である。安価であるため、寄生虫の発生が多い地域で広く使われている。望ましくない副作用はほとんどない。 実験室での試験では、イベルメクチンがCOVID-19(SARS-CoV-2ウイルスの繁殖)を遅らせることが分かっている。しかし、ヒトでもそのような効果を得るためには、大量投与する必要がある。医薬品を規制する機関では、COVID-19に対するイベルメクチンの使用を承認していない。本剤は、その効果を評価するために十分にデザインされた研究(ランダム化比較試験と呼ばれる)の一部としてのみ使用されるべきである。 何を知りたかったのか? イベルメクチンがCOVID-19患者の死亡、疾病、感染期間を減少させるのか、あるいは病気の予防に役立つのかを知りたかった。薬をプラセボ(ダミーの治療)、無治...

軽度認知障害(MCI)を持つ人の認知症発症を早期に予測するためのMini-Mental State検査(MMSE)のベースラインスコア

3 years 3 months ago
軽度認知障害(MCI)を持つ人の認知症発症を早期に予測するためのMini-Mental State検査(MMSE)のベースラインスコア MCI患者は、認知症への進行のリスクが高いため、評価とモニタリングを行う必要がある。現在のところ、認知症への進行を登録するための最良のアプローチについては合意されていない。この課題には、いくつかの認知機能テストが提案されている。その理由は、ほとんどのテストが簡単に実施でき、10分以内に終了し、主要な遂行機能を含み、客観的なスコアを得ることができるからである。今回のレビューでは、認知機能障害を持つ患者の認知症への移行を予測するための簡易検査の1つであるMini-Mental State Examination(MMSE)に関する最新のエビデンスを評価した。入手可能な情報を広範に検索・分析した結果、将来的に認知症に移行する患者を特定する上で、単独の単回実施検査としてのMMSEが実質的な役割を果たすことを支持するエビデンスは得られなかった。 訳注:  《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳[2021.08.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew re...

COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)に対する治療介入

3 years 3 months ago
COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)に対する治療介入 なぜこれが重要なのか? 嗅覚は、匂いや味を楽しむために重要であり、安全のためにも重要である。COVID-19のパンデミックでは、感染に伴う初期症状の一つとして嗅覚の変化に注目が集まっている。その中では、嗅覚の低下、変化、または完全な喪失となったケースがある。ほとんどの人は一時的な症状であったが、中には数週間から数ヶ月続く人もいる。長期間にわたって嗅覚が失われた場合(COVID-19に感染してから4週間以上経過した場合)、嗅覚を回復させる治療法があるかどうかは分かっていない。 どのようにしてエビデンスを特定し、評価したか 医学文献を検索し、関連する試験を特定し、結果をまとめた。研究の質だけでなく、エビデンスの確実性についても評価した。その要因としては、研究の規模、実施方法、研究者による結果の報告方法などが挙げられる。これらの評価結果に基づいて、エビデンスの確実性を「非常に低い」、「低い」、「中等度」、「高い」に分類した。 わかったこと 見つけた唯一の研究が終了している臨床研究では、18人が参加していた。すべての患者は、嗅覚障害が4週間以上続いており、COVID-19の感染後に発症した。嗅覚障害は、研究チームが実施した特別な嗅覚識別テストで確認された。患者さんは、治療あり群と無治療群に無作為に分けられた。このケ...

COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)の予防のための介入

3 years 3 months ago
COVID-19感染後の持続的な嗅覚障害(嗅覚機能障害)の予防のための介入 なぜこれが重要なのか? COVID-19は、嗅覚に問題を生じることがわかっている。匂いを感じる能力が低下することもあれば、完全に嗅覚が失われることもある。多くの人は短期間で回復するが、数週間から数ヶ月間続く人もいる。このレビューでは、嗅覚を失ってからすぐに(症状が始まってから4週間以内に)、長期的な問題にならないようにするための治療法があるかどうかを検討する。 どのようにしてエビデンスを特定し、評価したか 結果をまとめるために、医学文献から関連するすべての研究を検索した。また、研究の規模や実施方法などを考慮して、エビデンスの確実性を評価した。これらの評価に基づいて、エビデンスの確実性を「非常に低い」、「低い」、「中等度」、「高い」に分類した。 わかったこと 終了した研究は1件しか見つからなかった。これには100人の患者が含まれており、全員が研究開始時に短期間(4週間以内)の嗅覚障害を抱えていた。この研究では、ステロイドの点鼻薬で治療を受けた人と、何も治療を受けなかった人を比較した。また、すべての被験者には、嗅覚の回復を促すために、毎日短時間で特定の香りを嗅ぐ練習をする「嗅覚トレーニング」を行うことが推奨された。研究者は、3週間にわたって患者を追跡し、何が起こったかを確認した。この1回の比較で得られた結果を...

出産後間もない時期の家庭訪問

3 years 4 months ago
出産後間もない時期の家庭訪問 論点 母親と赤ちゃんの健康問題は、一般的に出産後の数週間に発生したり、明らかになったりする。母親にとっては、産後出血(大量出血の代償)、発熱・感染症、腹痛・腰痛、おりもの異常(腟からの多量のおりもの、臭いおりもの)、血栓塞栓症(血管内で血が固まったり詰まったりする)、尿路系合併症(おしっこをしたくても我慢できない)、産後うつ病などの心理的・精神的問題などがある。また、母親が母乳育児を確立するためのサポートも必要である。赤ちゃんは、感染症(赤ちゃんは重い感染症にかかるかもしれない)、窒息(酸素不足による呼吸困難)、早産(未熟児として生まれること)などで死亡する危険性がある。 重要性 産後早期に医療従事者や一般の支援者が家庭訪問を行えば、健康問題が長期化して、女性や赤ちゃん、家族に影響を及ぼすことを防げるかもしれない。今回のレビューでは、出産後数週間における異なる訪問スケジュールについて調べた。 どのようなエビデンスが得られたか? 12,080人の女性を対象とした16件のランダム化比較試験を対象とした。母親と新生児の身体検査を中心としたもの、母乳育児のサポートを行うもの、家事や育児の実践的なサポートを行うものなどがあった。これらの研究は、高資源国と、通常のケアを受けている女性が早期退院後に追加の産後ケアを受けていない可能性がある低資源国の両方で実施されて...

成人肺移植患者のための運動トレーニング効果

3 years 4 months ago
成人肺移植患者のための運動トレーニング効果 何が問題なのか? 肺移植は多くの場合、慢性肺疾患患者における最終治療法である。肺移植を受けた患者は、回復を早めるために運動トレーニングを行うことが提案されている。運動トレーニングは、肺移植患者が日常生活に戻るのを支援し、患者のQOL(生活の質)を改善させる。しかし、肺移植患者における運動トレーニングの正確な効果は不明であり、現在のところどのように運動トレーニングが行われるべきかを推奨する明確なガイドラインはない。 実施したこと 電子データベースと臨床研究の記録を検索し、このテーマに関連した研究の参考文献も調べた。成人肺移植患者における運動トレーニングの効果を理解するために役立つ研究を特定することを目的とした。また、このレビューに含まれる研究の質を評価した。 何がわかったか? このレビューの要件を満たした8件の研究が見つかった。レジスタンス運動トレーニングを実施した場合と通常ケアまたは運動トレーニングをしない場合を比較した研究が2件、レジスタンス運動トレーニングにおいて違う種類のレジスタンス運動トレーニングを実施した場合を比較した研究が3件、多様な運動トレーニング(複数の異なる運動)と通常ケアまたは運動トレーニングをしない場合と比較した研究が2件、同じ多様な運動トレーニングプログラムを7週間実施した場合と14週間実施した場合を比較した研究...

認知症および軽度認知障害の診断における遠隔医療評価の精度

3 years 4 months ago
認知症および軽度認知障害の診断における遠隔医療評価の精度 背景 認知症とは、記憶力などの思考力が低下し、人の手を借りなければ日常生活を送ることができなくなる病気である。記憶や思考の問題が軽度で、自立した生活に支障がない場合は、軽度認知障害(MCI)と表現される。どちらも高齢者に多い疾患である。認知症やMCIの方は、ご本人やご家族が問題を理解し、治療や支援を受けることができるように、ご本人に適した時間と場所で正確な診断を受けることが重要であると考えている。しかし、世界では何百万人もの認知症患者が診断を受けていない。その理由はさまざまであるが、特に地方の方や移動が困難な方にとって、利用しやすい診断サービスがないことが考えられる。COVID-19のパンデミックでは、多くの対面式サービスが閉鎖された。テレヘルス(情報通信技術(ICT)を利用して遠隔地から医療サービスを提供すること)は、診療所に通うことが困難な認知症の疑いのある人が専門家の診断を受ける機会を増やすための手段となる。しかし、アクセシビリティの向上が診断の正確さを犠牲にすることがないようにすることが重要である。 レビューの論点 認知症やMCIの遠隔診断の精度は、従来のクリニックでの対面診断と比べてどうか。 方法 2020年11月4日までの医学研究のデータベースを検索し、認知症またはMCIが疑われる人に対して、遠隔医療による評価...

ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験

3 years 4 months ago
ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験 この系統的レビューの目的は、ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験を探ることである。関連する質的研究を検索・分析し、11件の研究を対象とした。 要点 ワクチン接種に関する高齢者とのコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験を調査した研究はほとんどなかった。見つかった研究では、ワクチンに関するコミュニケーションの目的や、ワクチンの決定における高齢者の役割の理解について、医療従事者の間で違いがあることが示唆された。今回の知見に基づき、医療従事者と高齢者の間でのワクチン接種コミュニケーション戦略を計画・実施する際に、計画立案者やプログラム管理者を支援する質問集を作成した。 このレビューからわかったこと 高齢者の感染症予防には、季節性インフルエンザ、肺炎球菌感染症、帯状疱疹、COVID-19などに対するワクチンが利用できる。しかし、高齢者が利用できるワクチンを常に接種しているとは限らない。 高齢者がワクチン接種を決断する際には、医療従事者とのコミュニケーションが重要な役割を果たす。予防接種について十分な情報を得た上での決定をサポートするために、医療従事者は高齢者の知識不足、ニーズ、懸念を把握できるようにすべきである。また、その人の病気のリスクや重症度、ワクチ...

潜在的な認知症を評価するための記憶力やその他の思考能力の変化を評価する構造化面接(IQCODE)

3 years 4 months ago
潜在的な認知症を評価するための記憶力やその他の思考能力の変化を評価する構造化面接(IQCODE) 認知症をはじめとする記憶や思考の問題を抱える人の数は、世界的に増加している。認知症の早期診断が推奨されているが、最良のアプローチや、認知症以外の専門家がどのように患者を評価すべきかについては合意が得られていない。対象者の友人や家族にインタビューを行い、記憶力やその他の思考能力の変化を評価するという方法がある。この「付随的」なインタビューには様々な方法があるが、最もよく使われているのは「Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(IQCODE)」と呼ばれるものである。IQCODEの認知症検出精度に関連するすべての論文について、発表された研究の異なるデータベースを検索した。IQCODEの診断精度をプライマリーケア/一般診療の場で検証した研究は1件しか見つからなかった。本研究は選択された集団(日系アメリカ人)を対象としているため、他の国の患者には適用できない可能性がある。また、使用された研究方法や報告された結果にも問題があった。この単一の研究に基づいて、IQCODEがプライマリーケアにおける認知症評価としてどの程度機能するかについて指針を示すことはできない。記憶や思考に問題がある患者さんの多くは、まず一般開業医や家...

潜在的な認知症を評価するための、認知・機能に関する構造化された付随的インタビュー(IQCODE)

3 years 4 months ago
潜在的な認知症を評価するための、認知・機能に関する構造化された付随的インタビュー(IQCODE) 認知症やその他の認知機能の問題を抱える人の数は、世界的に増加している。認知症の早期診断が推奨されているが、そのための最良のアプローチ方法や、認知症以外の専門家がどのように患者を評価すべきかについては合意が得られていない。1つの方法として、対象者の友人や家族にインタビューを行い、機能や認知の変化を評価するという方法がある。この「付随的」なインタビューには様々な方法があるが、最もよく使われているのは「Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(IQCODE)」と呼ばれるものである。IQCODEによる認知症検出の精度に関する、発表されたすべての研究について、複数の異なるデータベースを検索した。その結果、地域住民を対象にIQCODEの診断精度を検証した研究が11件見つかり、その結果を統合して要約した結果が得られた。(項目数の異なる)2種類のIQCODEアンケートを比較したところ、質問数の少ない短縮版は、オリジナルの長いアンケートと同等の精度を持つことがわかった。IQCODEの全体的な精度は、完璧ではないものの妥当なものであった。しかし、IQCODEを単独で、大規模な高齢者集団の評価に使用した場合には、認知症をもたない...

構造化された質問票「IQCODE」を用いた高齢者の記憶と日常機能の変化の評価

3 years 4 months ago
構造化された質問票「IQCODE」を用いた高齢者の記憶と日常機能の変化の評価 認知症かもしれない人を評価する方法を改善することは、医療および社会福祉の優先事項であり、最近では認知症診断率を高めるための取り組みが注目されている。現在のところ、認知症検査についての合意されたアプローチはない。認知症を示唆する記憶や思考の問題を持つ人を特定するのに役立つ多くの検査があるが、どの検査が最も優れているかについては合意されていない。特定の医療環境に適した検査がある可能性がある。 私たちのレビューでは、IQCODE(Informant Questionnaire for Cognitive Decline in the Elderly)と呼ばれる質問紙ベースの認知症評価の精度に関心があった。IQCODEを病院で使用した場合の有用性について述べた。「病院」という言葉には、一般病院の診療所や病棟、その中の高齢者向けサービスだけでなく、記憶の専門クリニックや高齢者精神科病棟も含まれる。 発表された研究の電子データベースを検索し、病院環境でIQCODEを使用したすべての研究を探した。2013年1月までの科学分野のデータベースで、最初に入手可能な論文から検索した。 その結果、1つの分析としてまとめるのに適した結果が得られた13の関連研究が見つかった。これらの論文のうち、6件(1352名)は、記憶の専門クリ...

非アルコール性脂肪性肝疾患患者への栄養補給

3 years 4 months ago
非アルコール性脂肪性肝疾患患者への栄養補給 本レビューの目的 何らかの栄養補給が、非アルコール性脂肪性肝疾患による寿命、健康関連QOL(生活の質)、慢性肝疾患およびその合併症に対する影響を減少させるかどうか、また栄養補給で何らかの害が生じるかどうかを明らかにすることが目的であった。 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、肝臓にダメージを与えるような既往(大量のアルコール摂取、医薬品の使用、C型肝炎ウイルス感染などの疾患、飢餓状態など)がない人の肝臓に脂肪が蓄積する病気である。脂肪肝は、炎症(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))や肝瘢痕化(肝硬変)などの肝障害を引き起こす可能性がある。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)には様々な医学的治療が試みられている。しかし、現在のところ、どれも効果があるというエビデンスはない。栄養補給は肝障害を減少させる可能性があるが、それが本当かどうかは現在のところ不明である。本レビューは、最良の治療法を見つけるために、関連する全てのランダム化臨床試験を収集し、分析を行った。その結果、202件のランダム化臨床試験(参加者を2つの治療群のいずれかに無作為に割りつける試験)が見つかった。データの分析手法には、一度に2つの治療法しか比較できない、標準的なコクランの方法を用いた。さらに、複数の治療法を同時に比較できる高度な技術(通常、「ネットワーク...

認知症を発症する可能性のある人を検出するための、構造化された質問票(IQCODE)の使用

3 years 4 months ago
認知症を発症する可能性のある人を検出するための、構造化された質問票(IQCODE)の使用 背景 認知症をもつ方を正確に同定することは、社会的にも専門家にとっても関心の高い分野である。認知症は病状が進行するまで診断されないことが多く、そのため適切な医療的・社会的支援を適時に受けることができない場合がある。認知症の症状が問題となる前、あるいは明らかになる前に、認知症を早期に発見するための検査が注目されている。その一つとして、ある人を検査し、時間をおいて再評価することで、その人が認知症を発症したかどうかを確認する方法がある。 今回のレビューでは、IQCODE(Informant Questionnaire for Cognitive Decline in the Elderly)と呼ばれる質問紙ベースの認知症評価の精度に注目した。そして、最初のIQCODEスコアによって、最初のIQCODE評価から数ヶ月後、あるいは数年後に認知症を発症する人を特定できるかどうかを記述した。 発表された研究に関する電子データベースを検索し、IQCODEとその後の認知症の診断について検討したすべての研究を探した。科学分野のデータベースで、最初に入手可能な論文から2016年1月までのものを検索した。 研究の特性 3つの関連研究が見つかったが、いずれも特定の病院環境で実施されたものであった。2つの論文は急性脳梗...

乳幼児のマラリア予防のための抗マラリア薬の投与

3 years 4 months ago
乳幼児のマラリア予防のための抗マラリア薬の投与 本レビューの目的 本レビューの目的は、サハラ以南のアフリカに住む乳幼児を対象とした抗マラリア治療薬を繰り返し内服することが、マラリアの予防に効果的かどうか検討することである。本レビューの臨床疑問と関連のある1999年~2013年の間に実施された乳児(生後1~12ヶ月の子ども)を対象とした12件の研究結果を同定し、分析した。 要点 スルファドキシン/ピリメタミン合剤(SP)による間欠的な予防的処置 マラリアの予防的処置としてSPを乳幼児に投与することは、効果の評価対象であったアフリカ諸国において臨床的マラリア(臨床像からマラリアが強く疑われ、かつ他の疾患が否定的であること)、貧血、入院のリスクを低減させた可能性がある。しかし、この効果は最近の研究では弱くなっていた。 アルテミシニン併用療法(ACT)による間欠的な予防的処置 乳幼児に対しマラリアの予防としてACTを用いることで、臨床的マラリアのリスクを減らす可能性がある。また、血液中にマラリアが寄生している(寄生虫血症の)乳児の割合を減らす可能性も示唆された。 本レビューで検討された内容 マラリアが多発している地域では、乳幼児がマラリアの感染を繰り返すことは珍しくない。マラリアへの感染が通年で発生している地域では、マラリアの症状の有無に関わらず一定の間隔(子どもが予防接種で医療機関を訪...

入院および外来の診療にて患者の認知症を検出する上で、Mini-Cogはどのくらい正確か?

3 years 4 months ago
入院および外来の診療にて患者の認知症を検出する上で、Mini-Cogはどのくらい正確か? なぜ認知症であるとわかることが重要なのか? 認知症は一般的で重要な疾患だが、認知症を抱えながら生活している人の多くは、認知症と診断されたことがない。認知症の診断を受けることで、社会的支援、アドバンス・ケア・プランニング(今後の治療について、本人・家族が医療従事者とあらかじめ話し合うこと)、特定の疾患では投薬治療などの機会が得られる。しかし、認知症がないのに誤って認知症と診断(偽陽性)されることは、本人や家族を苦しめ、診断に用いる検査の資源の浪費になってしまう。 本レビューの目的 本コクラン・レビューの目的は、入院および外来の診療にて患者の認知症を検出するための検査であるMini-Cogの精度を調べることである。この疑問を明らかにするために3つの研究をレビューに含めた。 本レビューで検討された内容 Mini-Cogは、3つの特定の物体を記憶し、同時に繰り返し、後で思い出す力を評価するという記憶力と思考力による短い検査である。さらに、検査を受ける人は、特定の時間に関する時計の文字盤を描くことが求められる。3つの物体の想起力と時計の文字盤の完成度を点数化する。Mini-Cogは、一般的に記憶力や思考力に問題があり、より詳細な評価のために、専門の医療機関を受診することが有益であるかどうかを確認するた...

一般診療所で認知症の評価にミニコグテストを使用した場合、その精度はどの程度か?

3 years 4 months ago
一般診療所で認知症の評価にミニコグテストを使用した場合、その精度はどの程度か? レビューの背景と理論的根拠 世界の多くの地域では高齢者が増えており、それに伴ってアルツハイマー病、その他の認知症などの記憶障害が増加している。記憶障害のある人の多くは、家庭医や看護師などのプライマリ・ケアの医療従事者を通じて、最初にケアを求めたり、医療システムの中で認定されたりする。そのため、認知症や記憶障害の可能性のある人を特定できるツールが必要とされている。また、これらのツールは、認知症を伴わない、あるいは深刻な記憶障害を伴わない、記憶の問題を訴える人が認知症である可能性を除外することができるはずである。このようなツールは、プライマリ・ケアでの使用が可能なように、比較的使いやすく、短時間で実施でき、正確であると同時に、認知症を過剰に診断したり、過小に診断したりしないものでなければならない。認知症の簡易スクリーニングツールであるミニコグは、精度が高く、プライマリ・ケアの現場で比較的容易に実施できることが報告されているため、プライマリ・ケアにおける認知症のスクリーニング検査としての可能性が示唆されている。ミニコグは、3つの単語を思い出す記憶課題と、時計を描く課題の評価で構成されている。 研究の特性 ミニコグを評価した論文を電子データベースで検索した。このエビデンスは2017年1月時点でのものである。レ...

潜在的な認知症を評価するための簡易認知機能スクリーニングテスト(Mini-Cog)について

3 years 4 months ago
潜在的な認知症を評価するための簡易認知機能スクリーニングテスト(Mini-Cog)について 人口の高齢化に伴い、記憶障害や認知症の可能性のある高齢者が増えている。認知症の高齢者を特定することは、必要なケアの計画や認知症に特化した治療の開始を支援するためにも重要である。認知症を診断するために、医療従事者やその他のサービス提供者は、記憶力などの認知機能のテストと、その他の調査を組み合わせて行う。Mini-Cogのような簡単な記憶力テストは、認知症かどうかを判断するためにさらなる評価が必要な人たちを特定するためのスクリーニングテストとして有用である。Mini-Cogは、高齢者が3つの単語を思い出したり、時計を描いたりする能力を評価する簡単な認知機能テストである。このレビューでは、医学文献データベースを検索し、Mini-Cogが認知症の専門家による詳細な評価と比較して、認知症の人とそうでない人をどの程度区別できるかを評価した研究を特定した。今回のレビューでは、地域在住の環境で実施された研究に焦点を当てた。Mini-Cogを評価した3つのランダム化比較研究を発見した。これらの研究では、Mini-Cogの精度にばらつきがあり、重要なのは、Mini-Cogの精度の過大評価につながる可能性のある研究内のいくつかの潜在的な限界があったということである。今回の調査で得られた情報をもとに、地域在住の環...

認知症の発見のためのMontreal Cognitive Assessment (MoCA)

3 years 4 months ago
認知症の発見のためのMontreal Cognitive Assessment (MoCA) レビューの論点 認知症を検出するためのMontreal Cognitive Assessment(MoCA)テストの精度に関するエビデンスを検討した。 背景 認知症は高齢者によく見られる疾患で、英国では65歳以上の少なくとも7%が罹患しており、その数は世界中で増加している。このレビューでは、定評のある認知機能検査のMoCAを使用することで、ゴールドスタンダードの診断検査と比較して、認知症を正確に検出できるかどうかを発見したいと考えた。MoCAは、一連の質問で精神機能のさまざまな側面をテストする。 研究の特性 検討したエビデンスは、2012年8月までのものである。その結果、基準に合致する研究が7件見つかった。メモリークリニック(認知症が疑われる人が紹介される専門クリニック)から3件、一般病院のクリニックから2件、プライマリ・ケアからは1件もなく、一般住民を対象に行われた研究が2件あった。すべての研究が高齢者を対象としており、1件の研究では最も低い平均年齢が61歳であった。7件の研究には合計9422人が参加したが、350人以上が参加したのは1件の研究だけであった。 認知症の人の割合は、人口を対象とした2件の研究では5%~10%、クリニックを対象とした5件の研究では22%~54%であった。それ...
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5 hours 45 minutes ago
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