2 years 4 months ago
生殖補助医療周期における着床前後の糖質コルチコイド投与 レビューの論点 このレビューでは体外受精(IVF)または卵細胞質内精子注入法(顕微授精、ICSI)を受けた女性に、胚移植の時期に糖質コルチコイドを投与する場合に、投与しない場合と比較して妊娠の可能性が高まるかどうかを調査した。IVFとICSIはいずれも妊娠成立を補助する治療である。 背景 糖質コルチコイドとは、体内で自然に作られるステロイドホルモンに類似した薬の一種である。これらの薬は炎症を抑え体の免疫系を抑制する。糖質コルチコイドは子宮内膜(子宮の中の胚が着床する組織)の炎症を抑制する。このため、IVFやICSI周期の女性に対し、糖質コルチコイドが胚の着床と妊娠の可能性を高めることが示唆されてきた。 研究の特性 IVF/ICSIを受けた2,232組のカップルを対象とした16件のランダム化比較試験(ランダムに治療法を決定する試験であり、通常治療効果について最も信頼できるエビデンスが得られる)を同定した。胚移植の前後に糖質コルチコイドを投与する場合と投与しない、またはプラセボ(ダミーの治療)を投与する場合とを比較した。エビデンスは2021年12月20年現在のものである。 主な結果 エビデンスの質を考慮すると、糖質コルチコイドが出生率に差をもたらすかは不明であった。エビデンスによると、無治療またはプラセボの出生率を9%とした場合...
2 years 4 months ago
COVID-19関連肺機能不全における自発呼吸温存の効果 COVID-19患者の肺機能不全の治療において、早期の自発呼吸は有益か? COVID-19の重症患者は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と呼ばれる肺機能不全を呈することがある。そのため、呼吸器を使った侵襲的な人工呼吸が必要となる。人工呼吸器を装着していても、患者自身で呼吸(自発呼吸という)することもできる。しかし、人工呼吸器装着時の自発呼吸が、特に人工呼吸器装着の初期に有益であるかどうかは不明である。 要点 COVID-19による肺機能不全の治療において、自発呼吸が有益であるかどうかのエビデンスは見つからなかった。 ARDSにおける早期の自発呼吸の利点は何か? 人工呼吸中の自発呼吸の利点は、横隔膜(肺の下にある呼吸のための主要な筋肉)の動きが保たれることである。特に横隔膜に近い肺胞(肺の中の小さな気嚢)で、吸った空気をよりよく分散できる。一般に、自発呼吸が可能な換気方法では、鎮静剤(脳の活動を鈍化させる)の投与量を少なくすることが必要である。これらは低血圧の原因となるため、さらに循環器系薬剤の投与を減らすことができる。 ARDSの治療において、早期の自発呼吸は有害なのか? 人工呼吸中の自発呼吸では、肺の圧力変動が大きくなることがある。肺内の圧力差の増大は、人工呼吸器関連肺損傷の主な原因である。 早期自発呼吸を使用しない場合は...
2 years 4 months ago
脳卒中を対象とした海洋由来脂肪酸療法 レビューの論点 脳卒中を対象とした海洋由来オメガ-3脂肪酸の、短期(3か月以下)および長期(3か月以上)経過観察後の効果を評価すること 背景 脳卒中は、脳の血管に起因する疾患群を意味する。脳卒中は、脳血管の出血または閉塞によって生じ、脳細胞の機能が失われる。一過性脳虚血発作(Transient ischaemic attack :TIA)は「軽度脳卒中」ともよばれ、脳への血液供給の一時的な中断である。脳卒中は障害を生じる疾患で、通常、長期間の専門治療を必要とし、現在、脳卒中患者のための治療の選択肢は少ない。脂肪分が多い魚に含まれるオメガ-3脂肪酸(エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid :EPA)およびドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid :DHA))は、脳において重要な機能を果たす。動物研究では、特に非常に早期に投与すれば、脳卒中後の脳細胞を保護するようである。しかし、ヒトにおける脳卒中治療薬としてのEPAおよびDHAの効果は不明である。 研究の特性 脳卒中またはTIAの参加者を含む30件の研究を特定し、そのうち9件(合計3,339人)に関連情報を見いだした。3件は短期経過観察(3か月まで)、6件は長期経過観察だった。3件は海洋由来オメガ3-脂肪酸を通常の治療と比較し、それ以外の研究はプラセ...
2 years 4 months ago
過敏性腸症候群をもつ人に対する身体活動の利益と害 主な結果 - 6週間から24週間の身体活動の介入は、過敏性腸症候群をもつ人々の症状を改善する可能性があるが、そのエビデンスは非常に不確かである。 -QOLと腹痛については、身体活動の介入と通常のケアの間には、おそらくほとんど差がないと思われる。 - 身体活動の介入に関連する副作用を評価するには、試験での報告が不十分であったため、十分なエビデンスがなかった。 身体活動の介入とは? 身体活動とは、筋肉によって生み出され、エネルギー消費につながる身体的な動きのことである。身体活動の例としては、日常生活の一部として行われる活動(家事、買い物)、スポーツやレクリエーション活動、仕事の一部として行われる活動(通勤、肉体労働など)などがある。 運動とは、計画的、構造的、反復的で、総合的な体力を向上または維持することを目的とした身体活動の一部である。ストレッチやバランス感覚を養うための活動も、身体活動や運動の一種と考えられている。 現在、英国保健社会福祉省は、成人が少なくとも週5日、毎日30分以上の身体活動に参加することを推奨している。 身体活動や運動による介入は、冠動脈疾患(心臓に供給する血管の狭窄)、糖尿病、うつ病などの長期的な健康状態の予防と管理に有効であるという強力なエビデンスがある。過敏性腸症候群と診断された人が、身体活動をすることで症...
2 years 4 months ago
成人の慢性歯周病(歯周炎)に対する、すべての歯(全顎)の24時間以内の治療 背景 長く続く歯周病(歯周炎)は、歯の周りの軟組織(歯肉)や骨に損傷を与え、歯を失うこともある一般的な慢性炎症性疾患である。手術以外の治療法で、疾患を止めたりコントロールをする。これらは、「歯肉縁下インスツルメンテーション」、つまり、感染した歯根面から歯肉の下にある細菌を機械的に除去することを基本とする。 従来の治療は、数週間かけて2~4回に分けて行われ、毎回、口の中の異なる部分(または「象限(訳注:分割した場所)」)をスケーリングする。これは従来、「スケーリング(訳注:歯の表面の歯石などの汚れを除去すること)とルートプレーニング(訳注:歯の根本の表面の汚れを除去こと)」(SRP)として知られている。また、24時間以内に1~2回のセッションで口全体を治療する方法もある(全顎スケーリング(FMS)と呼ばれる)。全顎スケーリングに消毒薬(例:クロルヘキシジン)を加えた場合、この介入は「全顎除菌」(FMD)と言う。全顎アプローチの理論的根拠は、すでに治療を受けた箇所での再感染の可能性を減らすことができるかもしれないということである。 レビューの論点 本レビューは、コクランオーラヘルスグループで行われたもので、2008年に発表されたレビューの2度目の更新である。24時間以内の全顎治療(FMS、FMD)の効果を数週...
2 years 4 months ago
嚢胞性線維症に対する短時間作用型吸入気管支拡張薬 レビューの論点 嚢胞性線維症患者における短時間作用型吸入気管支拡張剤(気道を広げて開き、呼吸をしやすくする治療法)の使用に関するエビデンスを検討した。短時間作用型気管支拡張剤は、すぐに効果が現れ、一般に4~6時間持続する。短時間作用型吸入気管支拡張薬の種類、投与量、デバイス(吸入器、ネブライザー)の種類を問わないものとした。 ネブライザーも吸入器も、薬を届ける器具である。ネブライザーは、液状の薬剤を吸い込みやすい霧状にしたものである。種類はさまざまであるが、使用するには充電池などの電源が必要である。吸入器は、手持ちの手動式装置で薬を短時間に噴射する(エアゾールまたはドライパウダーとして)。最も一般的な吸入器は定量噴霧式吸入器である。吸入器には、スペーサー(吸入器のマウスピースに装着するプラスチック製の空のチューブ)を使用することができる。 吸入気管支拡張剤は、呼吸を助け、肺の粘液を排出しやすくするために、多くの嚢胞性線維症の患者に使用されている。これらの治療が、プラセボ(ダミー)治療や他の種類の短時間作用型吸入気管支拡張剤よりも優れているかどうかを知りたかった。 検索期間 エビデンスは2022年3月28日までのものである。 試験の特徴 レビューには、5歳 から 40 歳 までの嚢胞性線維症患者 191 人 を対象とした 11 件の...
2 years 4 months ago
合併症のない憩室炎に対する抗菌薬の投与 憩室炎は、憩室と呼ばれる部分に炎症が起きている状態である。憩室は、腸の壁が弱くなっている状態である。憩室はよく知られており、特に60歳以上の高齢者に多く、無症状であることが多い。憩室炎は、発熱などの感染の兆候を伴う腹痛や圧痛として現れることがある。ほとんどの場合、憩室炎は合併症なく治癒するが、中には合併症を発症し、緊急手術が必要になる患者もいる。 合併症のない急性憩室炎がこのレビューの焦点である。急性憩室炎は従来、大腸で細菌が過剰に繁殖した感染症とされ、抗菌薬で治療されてきた。最近では、憩室炎は感染症ではなく、炎症性疾患である可能性が高いとされ、抗菌薬の使用には疑問が持たれている。その結果、抗菌薬を使用しない治療レジメンへの移行が見られるようになった。合併症のない憩室炎に対する抗菌薬の使用を支持する既存の臨床エビデンスがあるかどうかを調査した。 入院患者を対象とした5件の臨床試験について評価した。1件の試験では2種類の抗菌薬による治療法を検討し、1件の試験では抗菌薬の静脈内投与期間を検討した。3件の試験で、抗菌薬を投与しない場合と投与した場合の実際の抗菌薬の必要性を検討し、そのうち2件の試験では、長期間の追跡結果を別の記録として発表している。いずれの試験でも、検証した抗菌薬のレジメンに統計的な差は認められなかった。抗菌薬投与なしと抗菌薬投与...
2 years 4 months ago
嚢胞性線維症患者に対する運動と気道確保技術の比較 レビューの論点 嚢胞性線維症(CF)患者にとって、運動は他の気道確保法に取って代わることができるか? 背景 嚢胞性線維症(CF)は、多くの身体のシステムに悪影響を与えるが、主に肺に悪影響を与える。肺に粘着性のある濃い粘液がたまり、気道の粘膜に刺激と損傷を与える。CFの治療には、気道確保とも呼ばれる胸部理学療法があり、様々な機器や手技を用いてこの粘液を取り除く。運動にも同様の効果があることが示唆されている。運動をすると、人はさまざまな量と深さの呼吸をすることになる。その結果、気道内の圧力変化と力の変化が生じ、分泌物が肺の外に移動する。運動がCF患者の肺機能に与える影響を他の手法と比較し、運動がCF患者の代替手段として適切かどうかを検討した。CF患者の治療負担を軽減する可能性のあるレビューの論点に答えたいと考えた。 検索期間 エビデンスは2022年2月15日までのものである。 研究の特性 運動または他の気道確保技術の治療セッションを少なくとも2回受けた研究を文献検索し、このレビューでは86人のCFを含む4件の研究について報告する。研究対象者は7歳から41歳までで、病気の重症度もさまざまであった。3件の研究では、臨床的に健康な人を対象とし、1件の研究では、胸部感染症で入院した人を対象とした。研究期間は4日から6か月で、運動(単独または他...
2 years 4 months ago
頸動脈内膜剥離術のための日常的または選択的な頸動脈シャント術(および選択的シャント術における異なるモニタリング法) 論点 全身麻酔下頸動脈内膜剥離術を受ける患者を対象に、シャント術が脳卒中、死亡、その他の合併症にどのように影響するか、また、選択的シャント術のモニタリング法の違いがこれらの結果にどのように影響するかを検討した。 背景 脳卒中の約20%は、頸動脈(脳に血液を供給する主動脈)の狭窄が原因である。頸動脈内膜剥離術は、この狭窄を取り除くことで脳卒中リスクを低減する手術である。しかし、脳卒中を引き起こす手術時リスクは2%~3%ある。一時的なバイパスとしてシリコンチューブ(シャント)を使用することで、術中に脳への血流が遮断される時間を短縮することができる。これにより、周術期の脳卒中リスクを低減できる可能性があるが、動脈壁の損傷を招き、その結果、脳卒中リスクが高まる可能性もある。シャント手術は、3つのカテゴリーに分類される。第一に、日常的シャント術では、外科医はすべての患者さんにシャントを挿入する。第二に、選択的シャント術では、術者はクランプ後に脳への血液供給が不十分な患者にのみシャントを使用する。この方針では、シャントが必要な人を予測するための超音波検査など、さまざまな脳血流モニタリング技術が用いられてきた。第三に、シャント術なしとは、外科医がシャントを全く使用しないことである...
2 years 5 months ago
肩を骨折した成人に最も適した治療法は何か 要点 ‐腕吊りを1週間使用した後、早い時期に腕を動かすと、3 週間またはそれ以上腕吊りで腕を固定する場合に比べて、長期的な肩の機能や肩の問題の発生に違いがあるかは、エビデンス(科学的根拠)が十分でないため、判断できない。 ‐患者の報告によると、転位を伴う(折れた骨片がずれてしまった)大半の種類の骨折では、手術をしても、手術以外の治療より肩の機能がよくなるとは言えない。他方、合併症ゆえに再手術が必要になるリスクが高まる可能性がある。 ‐手術を行う場合も、どの方法が一番よいか判断するには、エビデンスが十分ではない。 上腕骨近位端骨折とはなにか 上腕骨近位端とは二の腕の骨の上端である。上腕骨近位端骨折は、高齢者によく見られる大きなけがである。これは一般に肩の骨折と呼ばれる。患者が再び腕を使えるようになるまでに数か月かかることがある。よくある長期的な問題には、可動域の制限や痛みがある。 こうした骨折には通常どのような治療が行われるか 治療には以下のものがある。 ‐手術によらない治療:けがした腕を1週間またはそれ以上の期間にわたって腕吊りで支える。 ‐手術:折れた骨片がずれてしまった「転位を伴う骨折」について行われる。手術では、骨折片を元の位置に戻し、金属プレートとねじで留めたり、骨髄内に釘を挿入して固定したりする。あるいは、高齢者の場合、肩の球関...
2 years 5 months ago
土壌伝播蠕虫感染症予防のための水・衛生・保健衛生改善への介入 レビューの目的 このレビューは、土壌伝播蠕虫感染症の感染予防に関する水・衛生・保健衛生活動の効果を評価したランダム化比較試験(RCT)(参加者を2つ以上の治療群のいずれかに無作為に割り付ける試験)と非ランダム化試験(非RCT)を要約したものである。 土壌伝播蠕虫(STHs)は、腸内寄生虫の一種で、土壌や水源を汚染した人間の糞便中に排泄された感染性卵の摂取や幼虫の経皮(皮膚からの)侵入により人間に感染する。駆虫を行ったとしても、再感染が急速に進むため、補完的な対策なくしては、感染の阻止は難しい。再感染を抑え、病気を減らすためには、安全で十分な水、基本的衛生設備、衛生(WASH)へのアクセスと利用などの環境改善が不可欠と考えられている。 主な結果 このエビデンスは、研究中のWASHの介入がSTH感染をわずかに減少させる可能性があることを示唆している。これらの結果の多くは、治療群と対照群の両方で大量薬剤投与を行った研究であり、大量薬剤投与の適用以上のSTH感染に対するWASHの影響を示している。 本レビューで検討された内容 WASHとSTH感染症を評価するこれまでのレビューは、非実験的な研究に大きく依存している。STH感染を減らすためのWASHプログラムの役割を評価する厳密で実験的なエビデンスを調査した。 レビューの主な結果...
2 years 5 months ago
ピロナリジン-アーテスネートによる合併症のない熱帯熱マラリア原虫によるマラリアの治療法 レビューの目的 このコクランレビューの目的は、抗マラリア薬であるピロナリジン・アーテスネートが、重要なタイプのマラリア(熱帯性マラリア原虫)の合併症のない症例に対して有効かつ安全であるかどうかを調べることであった。この疑問に答えるため、関連するすべての研究を収集・分析したところ、10件の研究が見つかった。 主な結果 ピロナリジン-アーテスネートは、合併症のない熱帯熱マラリア原虫によるマラリアの治療に有効である。ピロナリジン-アーテスネートは一般的に安全であるが、投与された人の中には血液検査で肝障害が示唆される人がいる。これは長続きしないし、病気にもならないようだ。 本レビューで検討された内容 世界保健機関(WHO)は、アルテミシニン系複合療法(ACT)と呼ばれる薬剤の組み合わせでマラリアを治療することを推奨している。ピロナリジン・アーテスネートは新規のACTである。現在使用されているACTに耐性を持つようになったマラリアを治療するため、また、マラリアが治療に対してより耐性を持つようになるのを防ぐために、新しいACTが必要とされている。 熱帯熱マラリア原虫によるマラリアに対する有効性を評価するためにピロナリジン・アーテスネートと他のACTを比較し,安全性を評価するためにピロナリジン・アーテスネー...
2 years 5 months ago
がん患者の貧血の予防と治療に最善な薬剤の組み合わせの検討 要点 • 骨髄を刺激して赤血球を産生する薬剤(ESA)を鉄剤と一緒に投与すると、輸血回数が減少することはほぼ確実であるが、死亡率の上昇をもたらし、血栓(血の塊)など望ましくない副作用が増えるおそれもある。 • 各研究に欠測データがあったため、さまざまな治療選択肢を相互に比較して順位をつけることができなかった。 • 各薬剤を相互に直接比較する研究がさらに必要である。 貧血とは何か、なぜがんがあると貧血になるのか 赤血球が少なくなりすぎると貧血になる。赤血球には、ヘモグロビンというタンパク質が含まれている。ヘモグロビンの構成成分である鉄分子が、酸素と結合して体中に酸素を運ぶ。体内の臓器や組織が酸素不足になると疲れやすくなって元気がなくなり、感染症のリスクが高くなる恐れもある。がんがある人は特に貧血になりやすい。これは、がんが炎症を起こし、赤血球の産生を妨げるためと思われる。または、化学療法などの治療によって、骨髄での赤血球の産生が鈍くなるせいかもしれない。 貧血の人には輸血が必要になることもある。しかし、骨髄での赤血球の産生を促進する(赤血球造血刺激因子製剤またはESAと呼ばれる)薬剤や鉄剤による治療によって輸血の必要性が減るのではないかと思われる。 知りたかったこと がん患者の貧血に最も効果的な治療法と、その治療法が好ましく...
2 years 5 months ago
人工のCOVID-19特異的モノクローナル抗体は、成人におけるCOVID-19の予防に有効か? 要点 COVID-19の曝露前の予防: - チキサゲビマブ/シルガビマブは、COVID-19の感染者数およびCOVID-19症状の発現をおそらく減少させ、入院者数を減少させる可能性がある; - カシリビマブ/イムデビマブは、COVID-19の感染者数およびCOVID-19症状の発現を減少させる可能性があり、好ましくない影響(重症度を問わず)がわずかに増加する可能性がある; COVID-19の曝露後の予防: - バムラニビマブはCOVID-19の感染者数を減少させると思われる; - カシリビマブ/イムデビマブは、COVID-19の感染者数およびCOVID-19症状の発現を抑制し、好ましくない影響(重症度を問わない)の発現を抑制する。 モノクローナル抗体とは何か? 病気から身を守るために、体は抗体を作る。しかし、病気より回復した人から採取した細胞から人工的に作ることもある。 特定の1つのタンパク質のみを標的とする抗体が「モノクローナル抗体」である。この場合、SARS-CoV-2ウイルス(COVID-19の原因)のタンパク質である。それらはウイルスに付着して、ヒトの細胞内への侵入や複製を阻止し、感染を予防し撃退する。それらは予防接種に反応しない人、反応が悪い人に関係する。 何を知りたかったの...
2 years 5 months ago
なぜ認知症診断の向上が重要なのか? 認知症とは、日常生活における記憶、物事への取り組み、または機能などに進行性の問題が生じる、脳の疾患群のことを指す。医師は認知症の診断のために様々な検査を行う。認知症を疑わせる症状で医療機関を受診してから、認知症と診断されるまでに長い時間がかかることがよく報告されている。 認知機能障害とは、認知症の方だけでなく、年齢的に脳の機能が低下しているが、認知症ではない方も含む、より広い意味の用語である。認知症でない認知機能障害者の中には、軽度認知障害(MCI)と呼ばれる状態にある人もいる。MCIの人の中には、時間が経つにつれて認知症を発症する人もいる(全員ではない)。 レビューの目的 このレビューは、プライマリケアにおける認知症、および認知機能障害の診断における総合診療医(GP)の臨床判断の診断精度を検討した。 レビューでは何を調べたのか? 診断精度に関する完全なデータを有する10件を含む11件の研究からの抽出データを対象とした。合計2,790人を対象とした8件の研究を統計的要約に含め、そのうち826人(30%)が認知症であった。診断する状態として認知機能障害を調査した4件の研究を対象とし、合計1,497人のうち594人が認知機能障害(40%)であった。 レビューの主な結果は何か? レビューの結果、理論的には、総合診療医が認知症の診療において臨床判断を行...
2 years 5 months ago
入院中の子どもや若者の睡眠を薬を使わずに促進する方法(非薬物療法) 主な結果 入院中の子どもや若者に対して、薬物以外の睡眠促進方法がどの程度有効なのかは不明である。 入院中の子どもや若者を対象に、薬物以外の睡眠促進について調査し、効果のある方法を特定するために、確立された信頼性の高い研究方法を用いた研究が必要である。 入院中の子どもにとって、なぜ睡眠が大切なのか? 睡眠は、子どもの健全な発育に重要な役割を果たし、子どもの健康維持に役立つ。睡眠パターンは、子どもの脳の発達に伴い、子ども時代を通じて変化する。子どもが病気になり入院すると、騒音や光、医療行為、看護師による監視、ストレス、痛みなどで、睡眠の質が低下したり、睡眠が妨げられたりすることがある。 入院している子どもの睡眠を改善しようと薬を使うこともあるが、特に効果がなく、睡眠の質を悪化させることもあるという研究結果が出ている。薬以外の方法で睡眠を促進することも可能である。その方法としては、病院の環境を変える、音楽をかける、マッサージをするなどが考えられる。 知りたかったこと 入院している子どもたちに対して、睡眠を改善しようとする薬以外の方法が、通常のケアや他の方法よりもうまくいくかどうかを調べたいと考えた。 これらの異なる方法が以下の項目に対してどの程度有効なのかを調べたいと考えた。 - 子どもたちの睡眠の質と量; - 子ども...
2 years 5 months ago
全身投与のヤヌスキナーゼ阻害剤は、COVID-19の患者にとって有効な治療法か? 要点 入院患者におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)に対して、全身投与のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤は、死亡数が少なく、臨床的な悪化率が低いことから、有効な治療であると結論づける6件の研究を特定した。それらのエビデンスの確実性は中等度から高度であった。全身投与のJAK阻害剤の評価は13件の試験で進行中であり、さらに9件の試験では結果の公開待ちの状態である。それらの結果が利用可能になったときに、このレビューを更新して結論を変更する可能性がある。 JAK阻害剤とは何か? JAK阻害剤は、時に問題となる免疫システムの特定の部分の活動を阻害する薬である。これらは経口投与(全身投与)され、通常、免疫系が身体そのものを攻撃する自己免疫疾患を患っている人が服用する。JAK阻害剤は吸入での投与も可能であるが、今回は対象としていないため、レビュー全体を通して「全身投与のJAK阻害剤」と表記した。 JAK阻害剤はCOVID-19をどのように治療するのか? COVID-19では、時に免疫系が過剰に反応し、重篤な経過をたどることがある。JAK阻害剤は、免疫系の一部を阻害することで、臨床的な悪化を防ぐことができる。 何を知りたかったのか? COVID-19の患者に対して、通常のケアに加えて全身投与のJAK...
2 years 5 months ago
喘息がある人が処方通りに薬を服用するのに役立つデジタル技術 臨床疑問の背景 喘息は、世界中で最も一般的な長期疾患の一つである。症状を抑えるために、ステロイドを含んだ吸入薬など有効な薬がある。しかし、最良の効果を得るために、維持療法では処方箋通りに薬を服用する必要がある。多忙なスケジュールや、薬は短期間しか必要ないという考えから、薬を飲まない人が多くいる。これはノンアドヒアランス(不遵守)と呼ばれ、より多くの症状や発作を引き起こす可能性がある。ノンアドヒアランス(不遵守)は健康上の大きな問題であり、アドヒアランスを達成することは、発作の予防や死亡リスクの低減のために非常に重要である。ヘルスケア分野では、携帯電話やテキストメッセージ(SMSやメール)、服薬に関する情報をフィードバック(軌道修正を促すこと)できる「スマート(システムが内蔵された)」吸入器など、デジタル介入の利用が増加している。しかし、これらの技術が喘息の服薬改善や症状改善に有効であるかどうかについては、限られたエビデンスしかない。 このレビューでは、デジタル技術が本当に喘息の服薬改善に効果があるのか、また、この服薬改善の効果が喘息症状の改善やその他のメリット(利益)につながるのかを明らかにすることを目的とした。 研究の特徴 検索の結果、喘息を抱えた15,000人以上の大人と子どもを含む40件の研究が見つかった。研究期間...
2 years 5 months ago
成人のがん疼痛治療薬オキシコドン 背景 がん患者の多くは、オピオイドに分類される強力な鎮痛薬による治療を必要とする中等度から重度の痛みを経験する。 オキシコドンおよびモルヒネは、このオピオイド系鎮痛薬であり、がん疼痛(がんによる痛み)を和らげるために使用される。しかし、強力な鎮痛薬がすべての人の痛みに必ず効くわけではなく、またそのような薬は誰に対しても忍容性(薬に耐えられること)が良好というわけではない。本レビューでは、成人のがん疼痛に対して、オキシコドンが他の強力な鎮痛薬よりも痛みの緩和に優れており、副作用が少ないと考えられるかどうかを評価することを目的とした。 研究の特性 この更新版では、2021年11月の時点で追加の研究19件が見つかった。合計では、研究42件、参加者4,485人をレビューの対象とした。いずれの研究も、鎮痛作用(有益性)と副作用(有害性)について、さまざまな種類のオキシコドンを相互比較するか、オキシコドンを他の強力な鎮痛薬と比較していた。 主な結果 全体として、レビューの対象とした研究では、4~6時間ごと(即放性)または12時間ごと(徐放性)に服用したオキシコドン製剤の間に差は認められなかった。同じく全体として、対象とした研究では、モルヒネなど他の強力な鎮痛薬とオキシコドンの間に差は認められなかった。 各研究で検討された強力な鎮痛薬のいずれにも、嘔吐、便秘、...
2 years 5 months ago
パーキンソン病における転倒予防のための介入 レビューの論点 本レビューでは、パーキンソン病(PD)患者の転倒を減らすために設計された介入の効果に関するエビデンスを評価した。介入方法は、運動、薬物療法、転倒予防教育、運動と教育を組み合わせたものであった。意識消失(めまいや失神など)による転倒を減らすことを目的とした介入は除外した。本レビューのエビデンスは、2020年7月16日現在のものである。 背景 パーキンソン病(PD)の患者において、頻繁に起こる転倒の出現は最も深刻な病気の進行過程の一つである。効果的な転倒予防策に関する情報は、転倒予防のための介入の実施に役立てることができる。 研究の特性 3,370人の参加者を含む32件の無作為比較試験を対象とした。このうち、2,700人の参加者を含む25件の試験は運動による介入試験であった。242人の参加者を含む3件の研究は、薬物療法による試験であった。53人が参加した1件の試験は、教育による試験であった。375人が参加した3件の研究は、運動と教育を併用した試験であった。全体として、運動単独および運動と教育を併用した研究は、軽度から中等度のPDの人々を対象としていた。 主な結果 12件の研究では、運動と転倒を減少するとは考えられない対照となる介入を比較していた。運動は、おそらく転倒の数を約26%減らすことができる。運動は、おそらく1回以上の...
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11 hours 23 minutes ago
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