Latest Japanese Reviews

COVID-19の治療に抗生物質は有効か、また望ましくない効果を引き起こすか?

3 years ago
COVID-19の治療に抗生物質は有効か、また望ましくない効果を引き起こすか? 要点 - 抗生物質のアジスロマイシンは、COVID-19の有効な治療法ではない。 - アジスロマイシン以外の抗生物質がCOVID-19の治療に有効かどうかは、十分な研究がないため、わからない。 - COVID-19に対する抗生物質を調査している進行中の試験が19件見つかった。その結果、結論が変わるようであれば、今後、このレビューを更新する。 抗生物質とは何か? 抗生物質は、細菌による感染症を治療するための安価で一般的な薬である。しかし、最近の実験室内の研究で、一部の抗生物質がCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を含むいくつかのウイルスの繁殖を遅らせることがわかった。実験室での試験では、抗生物質の一つであるアジスロマイシンがウイルスの活動や炎症を抑えることができたため、COVID-19の治療薬の候補として研究されている。COVID-19に抗生物質を投与する前には、十分な証拠が必要である。なぜなら、抗生物質の過剰使用や誤用は、感染症の原因となる生物が変化することで抗生物質が効かなくなる「薬剤耐性」を引き起こす可能性があるからである。 何を知りたかったのか? このレビューでは、COVID-19患者において、抗生物質が死亡、重症度、感染期間を減少させるかどうか、QOL(生活の質)に影響を与...

脳卒中を発症した人に対する抗凝固薬による早期治療

3 years ago
脳卒中を発症した人に対する抗凝固薬による早期治療 レビューの論点 脳卒中を発症してすぐに抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を投与された人が、改善したかどうか、出血の問題があったのかどうかを調べた。 背景 毎年、世界中で何百万人もの人が脳卒中を発症している。脳卒中の大多数は、血栓が脳に至る血管を詰まらせる場合に生じる。脳への血液供給が制限されたり遮断されたりすると、脳の細胞が機能を果たさなくなる。その結果、脳に永続的な損傷を引き起こし、障害が残ったり、場合によっては死に至ることもある。脳卒中によるダメージは、腕や足の機能低下、言語や視覚の障害などを引き起こす可能性がある。脳卒中は時に致命的だが、多くの場合、生存者は発症前にできていたことができなくなる。脳卒中は一般的な病気であり、そのダメージは甚大であるため、研究者は、脳卒中が起こった後、すぐに血栓を取り除く方法を見つけようとしている。その方法の一つとして、抗凝固薬という血液をサラサラにする薬がある。もし、患者が抗凝固薬によく反応すれば、脳卒中の悪い影響を避けられるかもしれない。抗凝固薬の最大の問題点は、出血を起こした場合、患者が非常に深刻な状態に陥る可能性があることである。 検索期間 エビデンスは2021年8月までのものである。 研究の特性 最良の答えを見つけるために、抗凝固薬を他の薬物、有効成分を含まない偽薬(プラセボ)、または...

出生後早期(6日以内に開始)の全身への副腎皮質ステロイド投与による早産児の気管支肺異形成の予防

3 years 1 month ago
出生後早期(6日以内に開始)の全身への副腎皮質ステロイド投与による早産児の気管支肺異形成の予防 レビューの目的:気管支肺異形成(「慢性肺疾患」と呼ばれることもある)と呼ばれる肺障害を予防するために、生後1週間未満の早産児に投与される副腎皮質ステロイド(炎症を抑制するために投与される薬)による治療の相対的な有益性と有害性を明らかにする。 背景:気管支肺異形成は、新生児集中治療室に入院している新生児の大きな問題である。肺の持続的な炎症が最も考えられる原因である。副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)は、その強い抗炎症作用により、気管支肺異形成の予防や治療に用いられてきたが、大きな副作用が生じることがある。 研究の特徴: 早産児を対象としたすべての臨床試験のうち、生後1週間以内にステロイドが全身に投与され、新生児期以降の気管支肺異形成率のデータが得られたものを対象とした。32件の研究(4,395人の乳児)を対象とした。検索結果は、2020年9月25日時点で最新のものである。 主要な結果:このレビューにより、生後6日以内から乳児にステロイドを全身に投与することの利点は、既知の副作用を上回らない可能性があることが明らかになった。しかし、ヒドロコルチゾンと呼ばれる特定のステロイドは、長期的な神経発達に悪影響を及ぼすことなく、短期的なアウトカムを改善することが期待されている。だが、長期的なアウ...

早産児の母乳育児確立期における哺乳瓶の回避

3 years 1 month ago
早産児の母乳育児確立期における哺乳瓶の回避 レビューの論点: 母親が母乳育児を望んでいる早産児において、哺乳瓶の使用は母乳育児の確立を妨げるか? 背景: 早産児は鼻や口から胃の中に入れたチューブでミルクを与えることから開始して、成長・発達に伴い口からの哺乳で栄養を管理できるようになる。1日の哺乳回数は、児の成長に合わせて徐々に増やしていく。早産児の母親が、児が授乳を必要とするたびに病院にいるとは限らない。従来は、母乳や粉ミルクを入れた哺乳瓶を使用していた。しかし、哺乳瓶の使用は、母乳育児の確立を妨げる可能性があると言われている。 研究の特徴: 適格な7件の研究(1,152名の早産児を対象)が見つかった。これらの研究は小規模から中規模のもので、ほとんどが研究デザインや実施に何らかの問題を抱えていた。検索結果は2020年6月18日時点の最新のものである。 主な結果: 5件の研究(最大規模の研究のうち2件を含む)ではカップによる授乳が実施され、1件の研究ではチューブによる授乳が実施された。ある研究では、特別に設計された乳首を使用しており、従来の哺乳瓶による授乳よりも母乳を飲むのに近い授乳動作であったことが示唆された。ほとんどの研究は高所得国で行われ、中所得国ではわずか2件、低所得国では1件も行われていなかった。全体的に、(従来の乳首を使用した)哺乳瓶での授乳を行わなかった場合、退院時、...

物質使用障害に対するマインドフルネスに基づく介入

3 years 1 month ago
物質使用障害に対するマインドフルネスに基づく介入 このレビューの目的は何か? このコクラン・レビューの目的は、マインドフルネスに基づく介入(MBI)、すなわちマインドフルネス瞑想のトレーニングを含む介入が、物質使用障害(SUD)(アルコールや薬物の使用、ただしタバコ使用障害は除く)の症状を改善するかどうかを明らかにすることである。コクランの研究者は、この質問に答えるために、すべての関連研究を検索、選択、分析した。SUDsの治療としてMBIを評価した40件のランダム化比較試験が見つかった。 要点 SUDの結果は、MBI終了直後と、MBI終了後3カ月から10カ月までのフォローアップの異なる時点でモニターされた。他の介入(標準治療、認知行動療法(CBT)、心理教育、サポートグループ、身体運動、薬物療法)と比較して、MBIは物質使用日数をわずかに減少させる可能性があるが、他のSUD関連の評価項目を減少させるかどうかは非常に不確かである。無治療と比較したMBIの効果は、有害事象のリスクと同様に、すべてのSUD評価項目において非常に不確実であった。 このレビューで検討されたこと SUDは非常に一般的で、身体的・心理的な健康状態に悪影響を及ぼす。SUDの治療にはエビデンスに基づいた介入方法が存在するが、標準的な治療では十分な効果が得られない場合があり、多くの人が物質使用を再発してしまう。過去数...

統合失調症または関連する重度の精神疾患を持つ親のための育児プログラム

3 years 1 month ago
統合失調症または関連する重度の精神疾患を持つ親のための育児プログラム レビューの論点 統合失調症やそれに関連する重篤な精神疾患を持つ人のための子育てプログラムはどのように効果的か? 背景 統合失調症の人の約3分の1は子どもを持つ親である。子育てプログラムは、子どもの行動を管理するために、親にサポートとトレーニングを提供することを目的としている。このグループを対象とした子育てプログラムは、親と子の両方に良い影響を与える可能性がある。本レビューでは、統合失調症やそれに関連する精神疾患を持つ人のための子育てプログラムに関する最新のエビデンスを収集し、そのような支援が子育てのスキルや親子関係の改善に有効かどうかを理解することを目的とした。 検索 2020年3月と2021年2月に、統合失調症または関連する重度の精神疾患を持つ人を対象とした子育てプログラムのランダム化比較試験を電子検索した。36件の研究が見つかり、これらがこのレビューと関連しているかどうかを確認した。 利用可能なエビデンス 1件の試験が包含する要件を満たしていたが、使用可能なデータを提供しなかった。したがって、統合失調症やそれに関連する精神疾患を持つ人に対する育児プログラムの有効性について、何かを知るための十分な確固たるエビデンスはない。 結論 統合失調症やそれに関連する重篤な精神疾患を持つ人のための育児プログラムについて推...

生後1時間以内に持続陽圧呼吸療法(CPAP)による呼吸サポートを行うことで、未熟児の死亡や病気を予防できるか?

3 years 1 month ago
生後1時間以内に持続陽圧呼吸療法(CPAP)による呼吸サポートを行うことで、未熟児の死亡や病気を予防できるか? 要点 生後1時間以内の未熟児に、酸素だけを投与するのではなく、一定の圧力で空気を鼻に送り込み、乳児が自分で呼吸できるようにするCPAP(Continuous Positive Airway Pressure;持続陽圧呼吸療法)による呼吸サポートを行うと、乳児の肺にチューブを挿入し、機械が呼吸を代行する人工呼吸器を装着する可能性が低くなるかもしれない。 生後1時間以内に始めるCPAPは、人工呼吸器と比較して、肺の損傷や死亡が少なく、人工呼吸器を装着する必要性も低くなると考えられる。 1件の小規模な研究では、出産後のCPAPのタイミングの影響(生後15分以内と1時間以内との比較)が調べられており、タイミングに関して判断するには十分なエビデンスがなかった。 持続陽圧呼吸療法とは? CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、一定の圧力で鼻から肺に空気を送り込むことで、呼吸困難な人をサポートする。空気は、鼻に装着するマスクや、鼻孔に装着するプロングを介して供給される。CPAPは、喉から肺までチューブを入れ、機器(人工呼吸器)が患者に代わって「呼吸」を行う機械的人工呼吸よりも侵襲性が低い。CPAPは、酸素投与だけと比べて、より強力に呼吸をサポートする。 CPAPは未熟児にどのように役立つのか...

多発性硬化症における記憶リハビリテーション

3 years 1 month ago
多発性硬化症における記憶リハビリテーション レビューの論点 多発性硬化症(MS)患者が記憶のリハビリテーションを受けた場合、無治療またはプラセボを受けた場合と比較して、短期、中期、長期のいずれの期間においても良好な結果が得られるか? 1. 記憶機能 2. 他の認知能力 3. 日常生活動作、気分、生活の質などに関する機能的能力 背景 多発性硬化症(MS)の人は、記憶機能の問題で苦労することが多く、日常生活に支障をきたすことがある。記憶のリハビリテーションは、記憶機能の問題に対処し、日常生活を行う能力を高め、もの忘れを減らすことによって自立度を高めるために提供される。このようなリハビリテーションでは、特定の技術や計画を用いて、人が記憶し、定着させ、想起したりしようとする方法を変えることができる。しかし、記憶リハビリテーションが物忘れの軽減や日常生活能力の向上に効果があるかどうかは不明である。歴史的に見ても、MS患者に対する記憶のリハビリテーションの効果を調べた質の高い研究はほとんどなかったが、最近になって大規模な研究がいくつか発表された。そこで、記憶のリハビリテーションの有効性を示すエビデンスが、前回のレビューから変わっているかどうかを明らかにしたいと考えた。 研究の特性 このレビューには、44件の研究が含まれ、2,714人の参加者がさまざまなタイプの記憶再訓練法を受けた。修復的な手...

コルヒチンはCOVID-19患者に有効な治療法か?

3 years 1 month ago
コルヒチンはCOVID-19患者に有効な治療法か? 要点 ○中等症から重症のCOVID-19入院患者において、コルヒチンはおそらくほとんど、または全く効果がない;その副作用については不明である。 ○症状のない、または軽症のCOVID-19非入院患者において、コルヒチンが死亡や副作用を防ぐかどうかは不明であるが、おそらく入院の必要性や死亡、重篤な副作用をわずかに減少させる。 ○ 今後の試験では、症状がない、または軽症のCOVID-19に加えて、重篤ではない副作用を持つ患者のQOL(生活の質)を評価し、コルヒチンを副腎皮質ステロイドなど他のCOVID-19治療薬と比較する必要がある。 コルヒチンとは何か? コルヒチンは、腫れや炎症を抑える薬で、結果的に痛みを和らげる効果がある。関節が腫れて痛む痛風の治療によく使用される。一方、コルヒチンは、腎臓や肝臓など健康状態に問題がある人や、その服用量が多すぎる人には有害な場合がある。 コルヒチンはどのようにしてCOVID-19を治療するのか? コルヒチンは抗炎症薬なので、研究者はCOVID-19による炎症を抑えることができるかどうかに興味がある。 何を知りたかったのか? COVID-19患者にとってコルヒチンが有効な治療法であるかどうかを、プラセボ(見た目や味はコルヒチンと同じだが有効成分が含まれていない治療法)や標準治療のみと比較して知りたか...

急性期脳卒中の嚥下障害に関連した誤嚥リスクのスクリーニング

3 years 1 month ago
急性期脳卒中の嚥下障害に関連した誤嚥リスクのスクリーニング 論点 急性期脳卒中患者において、飲食物が気道に入ることを検出する嚥下(飲み込み)スクリーニング検査の精度はどの程度なのか? 背景 脳卒中は嚥下機能に影響を与えることがよくあり、そのため、飲食物が気道に入ってしまうことがある。これにより窒息、肺の感染、低栄養、脱水、リハビリテーション時間の減少につながり、不安、抑うつ、介護施設への退院や死亡のリスクが高まる。最も精度の高い検査によって嚥下障害を早期に発見し、管理することで、これらのリスクを減少させることができる。検査で嚥下の問題を検出できなかった場合、その人は経口摂取を継続するが、上記に記載したような問題が生じる可能性がある。検査で嚥下に問題があると誤って判断された場合、より詳細な評価が実施されるまでに(通常は翌日)、食べることや飲むことを禁止される可能性があり、QOL(生活の質)に重大な影響を与える。 研究の特性 合計37個の検査を使用した25件の研究を特定した。7個の検査は水またはその他の物性を使用しない検査であり、24個の検査は水のみを使用し、6個の検査は水とその他の物性を使用したものであった。 主要な結果 飲食物が気道に入った人を正確に判別し、確実に気道に入らなかった人を全員検出する検査は無かった。多くの研究では、検査する医療従事者、検査に使用する食物や水分の物性、...

統合失調症患者に対するユーモアに基づいた介入

3 years 1 month ago
統合失調症患者に対するユーモアに基づいた介入 レビューの論点 ユーモアに基づく介入は統合失調症患者の治療に有効か? 背景 統合失調症は、深刻な精神疾患である。統合失調症は、証拠があるにもかかわらず、固定された誤った信念を持ち、現実とのつながりを失い、知覚が変化するという思考の障害である。これらの症状はさらに、(i) 陽性症状として、秩序のない話し方、錯覚、誤った持続的な考えなどがあり、(ii) 陰性症状として、感情の欠如や言葉の量の制限、注意・記憶・行動制御などの認知機能の低下などに分類される。統合失調症の標準的な治療法は、抗精神病薬の投与である。ユーモアのある映画や面白いビデオ、コメディを見るなど、ユーモアに基づいた介入による治療は、人生の状況の不合理性や矛盾を遊び心を持って発見、表現、評価することで、健康とウェルネスを促進する付加治療として提案されている。 エビデンスの検索 2021年2月に、統合失調症患者を通常のケアに加えてユーモアに基づいた介入を受ける群、通常のケアのみを受ける群、または他の心理療法的介入を受ける群、またはその他の対照群にランダム化した試験を検索した。8件の記録を見つけ、レビューに含めるのに適しているかどうかを確認した。 特定されたエビデンス 3件の試験がレビューの要件を満たし、2件の質の低い試験(参加者総数=96人)から使用可能なデータが得られた。アクテ...

音楽療法はがん患者に利益をもたらすか

3 years 1 month ago
音楽療法はがん患者に利益をもたらすか 問題点 がんは精神的、身体的、そして社会的な苦痛を与えることがある。音楽療法や音楽による医学的介入は、がん患者の症状や治療による副作用を軽減し、心理社会的なニーズに対処するために用いられてきた。音楽による医学的介入では、患者は医療専門家によって提供される録音された音楽を単に聴くだけである。これに対し、音楽療法は訓練を受けた音楽療法士によって行われる必要があり、治療プロセスが存在し、個人に合わせた音楽体験が提供されなければならない。 レビューの目的 このレビューは2016年のコクランレビューの更新版である。前回のレビューでは52件を組み入れた。今回のレビューの更新では、がん患者を対象に、音楽介入がどのような精神的および身体的な治療成果をもたらすかを検討した試験を新たに追加した。2020年4月までに発表された試験を検索した。 主な結果 新たに試験29件を特定し、このレビュー最新版のエビデンスは、試験81件、患者5,576人に基づいている。試験81件のうち74件は成人を対象としており、7件は小児を対象としている。その結果から、音楽療法と音楽による医学的介入は成人がん患者の不安、抑うつ、希望、疼痛、倦怠感、心拍数、血圧に効果をもたらす可能性があることが示唆される。音楽による医学的介入ではなく、音楽療法が成人患者の生活の質(QOL)や倦怠感を改善する可...

呼吸をするための管を装着した成人がコミュニケーションをとることを支援するための戦略

3 years 1 month ago
呼吸をするための管を装着した成人がコミュニケーションをとることを支援するための戦略 何が問題なのか? 呼吸を補助する機器を必要とする患者は、肺に酸素を送るチューブが声帯の邪魔をするため、声を出すことができない。患者は口の形で話したり、ジェスチャーをしたり、顔の表情を変えたりする。しかし、これらは非常に理解しにくいものである。重症患者に多い筋力の低下や集中力の低下により、筆記用具やコミュニケーションボード(ボードに言葉や絵が書かれていて、指でさして使用するもの)の補助具の使用が困難である。どのようなコミュニケーション支援が有効であるかについては、一貫したエビデンスがない。 なぜこれが重要なのか? コミュニケーションの難しさは、害をもたらすリスクを高め、患者や家族に苦痛を与え、医療スタッフのストレスにもなる。 得られたエビデンス 呼吸を確保する管を装着している人のコミュニケーションを支援するために使用される補助具を調査した研究(2020年7月30日まで)を検索した。集中治療室に入院した1931人を対象とした11件の研究が見つかった。また、呼吸を確保する管を必要とする人で、在宅または長期療養施設を対象とした研究も探したが、見つからなかった。8件の研究では、コミュニケーションボードやアプリケーション(携帯などで使用するアプリ)を使用していた。3件の研究では、呼吸を確保する管を装着したまま...

臨床管理とアウトカムの改善のための患者アンケートの活用

3 years 1 month ago
臨床管理とアウトカムの改善のための患者アンケートの活用 このレビューの目的は何か? このコクランレビューの目的は、患者が記入したアンケートからの情報を受け取る医療従事者は、より良い医療を提供しているかどうか、また彼らの患者は健康状態がより良いかどうかを調べることであった。関連するすべての研究を収集し、分析した。 要点 患者のアンケート回答が医療従事者や患者にフィードバックされることで、患者と医療従事者のコミュニケーションに中等度の有益性があり、また患者のQOL(生活の質)にも少し有益であると考えられる。医療従事者は、おそらくより多くの診断を行い、記録し、メモを取る。この介入により、患者自身の健康に対する認識や社会的機能、痛みには、ほとんど、あるいは全く違いが見られないだろう。心身の機能や疲労感への影響はないようである。これらの結果に対する信頼性は、それぞれの結果に対して含まれた研究の質と数が限られており、限定的である。 レビューでは何が検討されたか? 医療を受ける際に、患者が身体的、精神的、社会的な健康についてどのように感じているのか、質問されることはあまりない。患者がどのように感じているのかを知ることは、診断や治療方針の決定に役立つ可能性があり、このことは問題となりうるだろう。一つの解決策として、患者に健康に関するアンケートへの回答を依頼して、その情報を医療従事者や患者に提供す...

双極性うつ病に対するケタミンとその他のグルタミン酸受容体モジュレーター

3 years 1 month ago
双極性うつ病に対するケタミンとその他のグルタミン酸受容体モジュレーター なぜこのレビューが重要なのか? 双極性障害は、躁状態(気分が異常に高揚したり、イライラするなどの症状が短期間続く)、軽躁状態(同じ症状が短期間続く)、大うつ病(気分が低下する)のエピソードを特徴とする、最も深刻な精神疾患の一つである。双極性障害のうつ病相では、自傷行為や自殺のリスクが非常に高くなる。双極性障害のうつ病相に対する現在の治療法は、必ずしも効果的ではなく、効果が出るのに時間がかかることもある。新しい治療法や代替療法の中でも特に期待されているのが、グルタミン酸受容体モジュレーターと呼ばれる薬である。これらの薬剤は、通常使用される抗うつ剤などの薬剤とは異なる方法で作用する。これは、2015年に発表されたレビューの更新版である。その後、より多くの臨床研究が発表されたため、このレビューを最新のエビデンスに基づいて更新することが重要である。 このレビューに関心をもつ人は誰か? - 双極性障害のある人とその友人、家族。 - 一般開業医、精神科医、心理士、薬剤師。 - 成人を対象とするメンタルヘルス業務に携わる医療関係者。 このレビューでわかることは何か? 1.ケタミンなどのグルタミン酸受容体モジュレーターは、プラセボ(偽薬)や他の抗うつ薬よりも双極性うつ病の治療に優れているか? 2.ケタミンや他のグルタミン酸受...

がんの治療を受けている患者にとって経口抗凝固薬は安全で効果的か

3 years 1 month ago
がんの治療を受けている患者にとって経口抗凝固薬は安全で効果的か 要点 - がんの治療を受けている患者、特に血栓リスクの高い患者への直接経口抗凝固薬(血液をサラサラにする薬の一種)の投与は、血栓形成を抑制するという利点が大出血のリスクを上回ると考えられるため妥当である。 - しかし、別の種類の抗凝固薬であるビタミンK拮抗薬(ワルファリン)については、大出血リスクが、下肢(脚)および肺での血栓形成を抑えるという利点を上回る可能性がある。 - したがって、がんの種類や病期の異なる患者に対する抗凝固薬の効果に関して、さらに研究を進める必要がある。 抗凝固薬とは 抗凝固薬は血液の凝固の予防に役立つ薬である。血栓リスクの高い患者には、心臓発作や脳卒中などの重篤な疾患の発症リスクを低減するために、抗凝固薬が投与される場合がある。 なぜ、がん患者にとって抗凝固療法が役立つ可能性があるのか。 全身療法(血流に乗って全身をめぐり、がん細胞を発見、傷害または破壊するあらゆる薬物治療のことであり、化学療法、放射線療法、免疫療法、分子標的療法などがある)を受けているがん患者では、血栓リスクが高まる。抗凝固薬は、血栓リスクを低減させることができる一方、重篤で致死的な出血リスクを増加させる可能性もある。このため、全身療法を受けているがん患者に抗凝固薬を使用することについて、患者と医師が十分な情報に基づき決断で...

禁煙後の体重増加を防ぐための介入方法

3 years 1 month ago
禁煙後の体重増加を防ぐための介入方法 禁煙後に体重を増やさないためには、どのような方法があるか? 要点 どのようなプログラムや治療法が、長期的(最長12ヶ月間)な禁煙時の体重増加を防ぐために最も効果的なのか、また、それらが禁煙の成功にどのように影響するのかは定かではない。これは、体重増加に対する影響が様々で、はっきりしないというエビデンスがあるからである。禁煙している人の体重増加を抑える方法については、さらに研究を続ける必要がある。今後、禁煙を支援する新薬の研究では、体重の変化も測定する必要がある。 禁煙と体重増加 タバコを吸っている人は、健康のためにはタバコをやめることが一番である。しかし、禁煙すると体重が増えることが多く、通常は禁煙してから数ヶ月で体重が増える。体重が増えると、禁煙のメリットが損なわれたり、禁煙のモチベーションが下がったりすることがある。 何を知りたかったのか 禁煙支援プログラムの中には、体重管理を目的としたものもある。運動プログラム、薬の服用、ニコチン置換療法(NRT)など、禁煙をサポートする他の方法も体重に影響を与える可能性がある。 禁煙時の体重増加を止めるための一番良い方法を知りたいと思った。 実施したこと この以前に発表されたレビューの更新では、以下の項目を検証した研究を検索した: - 禁煙中の体重コントロールのための特定のプログラム - 喫煙を止める...

終末期認知症の人々への緩和ケア

3 years 1 month ago
終末期認知症の人々への緩和ケア レビューの論点 このレビューでは、緩和ケアが認知症の人やその家族・介護者の助けになるかどうかを検討することを目的とした。また、研究者がどのようにして緩和ケアの効果を測定したかについても調べた。 背景 認知症の人は、精神的な能力や身の回りの世話をする能力が徐々に低下する。終末期は長期にわたるため、最終的な末期を特定することは難しい。認知症が進行すると、言葉によるコミュニケーションができなくなり、他人に完全に依存し、嚥下(飲み込み)が困難になり、しばしば尿・便失禁を経験するようになる。認知症が進行すると、椅子やベッドから離れられなくなることが多く、肺炎などの感染症のリスクが高まる。 緩和ケアとは、治癒が不可能な疾患を有する人への特別なケアの方法である。緩和ケアの主な目的は、死が近づくにつれて痛みを軽減し、可能な限りのQOL(生活の質)を維持することである。緩和ケアは、がんの人にはよく使われるが、認知症の人にはあまり使われていない。 試験の特徴 2020年10月までに発表された研究を調べた。2,122人を対象とした9件の適切な研究が見つかった。研究は、アメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパで行われた。2件の研究は病院で、7件の研究は老人ホームや長期介護施設で行われた。 主な結果 6件の研究では、終末期認知症の人へのケアが体系化され、提供される方法の変化を...

慢性腰痛の治療のための運動

3 years 1 month ago
慢性腰痛の治療のための運動 長く続く腰痛の治療に、運動は有効な治療法か? 要点 - 運動は、長期にわたる(慢性)腰痛を持つ人において、無治療、通常の治療、プラセボ(偽治療)と比較して、おそらく痛みを軽減する。 - 運動は、電気治療や教育などの一般的な治療に比べて、痛みを軽減し、障害を改善する可能性がある。 - この分野では多くの研究が行われているが、しっかりとした結論を導き出すためには、より大規模でより良いデザインの研究が必要である。 長く続く腰痛に運動はどのように役立つのか? 長く続く(慢性的な)腰痛は、世界中で障害の原因となっており、医療費や労働時間の損失などの面で多くの費用がかかる。運動療法は、筋力や関節の強化、筋機能や可動域の改善を目的としている。これにより、痛みや障害が軽減され、回復や通常の活動への復帰が早まるはずである。運動療法は、医療従事者が考案または処方するもので、運動の種類、時間、実施方法などは多岐にわたる。運動療法の例としては、グループで行う一般的なフィジカルフィットネスプログラム、ウォーキングプログラムなどの有酸素運動、体幹の安定性を高めるための特定の筋肉や筋肉群の強化などがある。 何を知りたかったのか? 運動が、無治療、通常の治療、プラセボ、その他の一般的な治療よりも、慢性腰痛の人の痛みや障害を改善するかどうかを知りたかった。このレビューにおける慢性腰痛と...

慢性的な抜毛症(トリコチロマニア)の薬物治療

3 years 1 month ago
慢性的な抜毛症(トリコチロマニア)の薬物治療 抜毛症(TTM、トリコチロマニア)は、髪の毛を何度も引っ張って抜いてしまうことを特徴とする、一般的な障害のある状態である。抜毛症は、多くの苦痛や障害を伴うことがある。また、うつ病や不安障害などの他の精神疾患(併存疾患と呼ばれる)と関連している場合もある。研究者たちは、この症状には薬物療法が有効であると提案している。 このレビューに関心をもつ人は誰か? - 抜毛症やその他の一般的な併存疾患を持つ人。 - 抜毛症やその他の一般的な併存疾患を持つ人の家族や友人。 - 心の健康を扱う臨床医、一般開業医、精神科医、心理士、薬剤師。 このレビューでわかることは何か? - 成人や児童・青少年の抜毛症に対して、薬物療法は有効な治療法であるか?つまり、意図した結果があるかどうか? - 抜毛症の成人または児童・青年に対して、薬物療法は症状の重症度を軽減するか? - 抜毛症を発症した成人や児童・青少年のうつ病の症状に対して、薬物療法は有効であるか? - 抜毛症の人にとって、薬は効果的で、副作用の面でも許容できるものであるか? - 薬物療法は生活の質を向上させ、障害を軽減させるか? どのような研究がレビューに含まれたか? - 成人の抜毛症の治療において、薬とプラセボ(対照となる物質/活性のない薬)を比較した9件の研究を対象とした。 - 成人の抜毛症の治療にお...
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12 hours 11 minutes ago
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