Latest Japanese Reviews

多面的介入による認知症と認知機能低下の予防

2 years 4 months ago
多面的介入による認知症と認知機能低下の予防 レビューの論点 認知症の2つ以上のリスク因子を対象とした介入によって、認知機能の低下と認知症を予防できるのか? 背景 認知症とは、記憶力や他の思考力(認知機能)が低下し、完全に自立した日常生活ができなくなる状態である。その原因は、脳のさまざまな問題にあるが、そのほとんどは加齢とともに増加する。認知症のリスクは、年齢が上がるにつれて誰もが増加するが、誰もが同じようにリスクを抱えているわけではない。 認知症の可能性を高めるいくつかの危険因子が確認されている。中年期の高血圧、糖尿病、喫煙、多量の飲酒、運動不足などである。これらのリスク因子に対処することで、認知機能の低下や認知症を予防し、または、少なくともその発症を遅らせることができるかもしれない。認知症は複雑な状態であり、さまざまなリスク因子があるため、1つのリスク因子だけを対象とするのはあまり効果的ではないかもしれない。このレビューでは、少なくとも2つのリスク因子を改善させることを目的とした介入(多面的介入)を検討した。 研究の特性 2021年4月28日までに出版されたもので、認知症ではない人を多面的介入群と通常のヘルスケア(例:一般的な健康アドバイス)を受ける群に無作為に割り付け、後に認知症になった人の数を調べたり、または認知機能を測定して、2つの群を比較した研究を検索した。その結果、9...

冠動脈疾患に対する運動を中心としたリハビリテーション

2 years 4 months ago
冠動脈疾患に対する運動を中心としたリハビリテーション 背景 冠動脈疾患(CHD)は、世界で主な死因の一つである。しかし、冠動脈疾患による死亡率の減少にともない、冠動脈疾患を抱えながら生活する人が増えており、その兆候(狭心症や運動時の息切れ、疲労など)を管理したり、心臓発作などをこの先に起こさないためにサポートをする必要がある。運動を中心とした心臓リハビリテーション(運動のみ、または心理的なサポートや患者教育と運動との組み合わせ)は、冠動脈疾患をもつ人たちの健康状態(死亡率など)と各評価項目(入院の有無など)を改善する目的でおこなわれる。 研究の特徴 冠動脈疾患をもつ全年代を対象とし、運動をしない場合と比べた運動を中心としたリハビリテーションの効果についてのランダム化比較試験(参加者が2つ以上の治療グループのうちのいずれか1つに無作為にわけられる試験)を検索した。2020年9月現在のエビデンスである。 主な結果 この更新版では、22件の研究(7,795人の参加者)を追加で採用した。合計で23,430人の冠動脈疾患をもつ人々を含む85件の研究をまとめたデータとなり、その参加者は過去に心臓発作を起こしたことがあったり、心臓バイパス手術や血管形成術(狭くなったり詰まったりした動脈や静脈を広げる手術)を受けていた人が多かった。運動のみの介入をおこなった研究は38件(45%)で、運動と他の介...

子宮内人工授精(精子を直接子宮に入れる方法)で妊娠を希望する女性に最も効果的な薬は何か。

2 years 4 months ago
子宮内人工授精(精子を直接子宮に入れる方法)で妊娠を希望する女性に最も効果的な薬は何か。 要点 - 不妊治療薬とは、女性が妊娠するために使われる一連のホルモンや薬をさす。このレビューでは、広く使用されている2つの不妊治療薬(ゴナドトロピンと抗エストロゲン薬)を比較した結果、ゴナドトロピンの方がおそらく出生数を増加させることが示された。 - 他の不妊治療薬の有効性の比較については、出生率と多胎妊娠(2人以上の赤ちゃんを妊娠すること)の両方において、信頼できるエビデンスがほとんど得られなかった。 - エビデンスを向上させるために、今後の子宮内人工授精の研究では、不妊治療薬とプラセボ(偽薬)を比較する必要がある。また、抗エストロゲン剤とアロマターゼ阻害剤(これも広く使用されている不妊治療薬である)を比較した研究も必要である。 不妊症とは? 不妊症とは、1年以上の間、避妊せずに定期的に性交を続けても妊娠していない状態をさす。自然妊娠しやすさは年齢とともに低下するため、医師は女性の年齢によって治療方針を変えることがある。35歳以上の女性であれば、6ヶ月が経った時点で不妊症として治療を行う医療機関もある。 不妊症の治療はどのように行われるか? 不妊症の治療は、その原因によって異なる。このレビューでは、さまざまな不妊治療薬を併用した子宮内人工授精に焦点を当てた。不妊治療薬は、排卵を促すホルモン...

不妊症女性のクロミフェン抵抗性多嚢胞性卵巣症候群に対する超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術

2 years 4 months ago
不妊症女性のクロミフェン抵抗性多嚢胞性卵巣症候群に対する超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術 レビューの論点 クロミフェン抵抗性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)女性に、排卵誘発の為に超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術を行うことが有益かどうか調べた。 背景 クロミフェンクエン酸塩はPCOS(生殖年齢の女性によく見られるホルモン異常)の女性に対し、排卵誘発(卵巣から卵子を放出させること)の第一選択薬の一つとして使用される。しかし、15~40%のPCOS女性はクロミフェン投与後も排卵しない(クロミフェン抵抗性という)。超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術(腟内に挿入した超音波プローブの画像を参照して卵巣に穴をあけること)は、クロミフェン抵抗性PCOS女性に対して、優良な卵胞の放出(排卵)を補助するために行われる。また、クロミフェン抵抗性PCOS女性に対する排卵誘発の方法として、ゴナドトロピン(注射用ホルモン薬)が使用されることもある。 腹腔鏡(骨盤内に向かって小さな傷をつくり、細いカメラで卵巣を観察する)による卵巣開孔と比較して、超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術は手術合併症のリスクを低減する可能性が示唆されている。しかしながら、超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術についての研究のほとんどは、質的限界がある。選択基準を満たす研究は見つからなかった。超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術の安全性と有効性はいまだに不明であ...

新生児・小児の院内肺炎に対する抗菌薬の投与

2 years 4 months ago
新生児・小児の院内肺炎に対する抗菌薬の投与 レビューの論点 新生児や小児の院内肺炎の治療において、より安全で効果的な抗菌薬レジメン(薬の種類、投与量、投与期間などの治療計画)はどれか。 背景 院内肺炎とは、入院中(入院後48時間以上経過した時期)に発生した感染症による片肺または両肺の組織の炎症である。世界的に見ても、小児の院内感染で最も多い感染症の一つであり、高い死亡率を伴う。小児の院内肺炎についての理解は、ほとんどが成人を対象とした研究から得られたものである。知る限りにおいて、本研究は、新生児および小児の院内肺炎におけるさまざまな抗菌薬レジメンの有益性と有害性を評価したメタアナリシスを含む初めてのレビューである。 検索期間 エビデンスは2021年2月現在のものである。 研究の特性 院内肺炎を発症した子ども84人を異なる抗菌薬レジメンにランダムに割り付けた4件の試験を対象とした。3件の試験は、米国、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、南アフリカで行われた多施設共同試験である。南アフリカの試験には、マレーシアの1施設が含まれていた。対象となった4件の試験は、それぞれ異なる抗菌薬レジメンを比較したもので、セフェピムとセフタジジム、リネゾリドとバンコマイシン、メロペネムとセフォタキシム、セフトビプロールとセファロスポリンであった。 研究の資金源 3件の試験は製薬会社(ゼネカ製薬, ファーマシア...

子どもの定期予防接種に対する親の考え方や行動に影響を与える要因は何か?

2 years 5 months ago
子どもの定期予防接種に対する親の考え方や行動に影響を与える要因は何か? レビューの目的 この質的エビデンスの統合の目的は、子どもの定期的な予防接種に関する親の考え方と行動に影響を与える要因を探ることである。そのために、親の考え方、経験、行動に関する質的研究を検索し、分析した。 このエビデンスの統合は、子どもの予防接種を改善する戦略の効果を評価する他のコクランレビューを補完するものである。 要点 親の予防接種に対する考え方や習慣には、個人の認識、社会的関係、親の生活環境など、多くの要因が影響する。親が子どもの予防接種について決断するとき、ワクチンについてどう思うかだけでなく、自分がどういう人間で、何に価値を置き、誰と行動を共にしているのかを伝えていることが多い。 このエビデンスの統合で検討したこと 子どもの予防接種は、重篤な病気や死亡を防ぐ最も効果的な方法の一つである。しかし、世界中で、多くの子どもたちが推奨されるすべての予防接種を受けていないのが現状である。これにはいくつかの理由が考えられる。ワクチンが手に入らなかったり、親が予防接種サービスにアクセスできない場合もある。親によっては、利用可能な予防接種や予防接種サービスを受け入れない場合もある。 子どもの予防接種に関する親の考え方や行動に何が影響しているのか、また、なぜ子どもへの予防接種を受け入れない親がいるのかについての理解は...

DPP-4(ジペプチルペプチダーゼ-4)阻害薬、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)受容体作動薬、およびSGLT-2(ナトリウム-グルコース供役輸送担体-2)阻害薬の心血管病を持つ患者に対する効果

2 years 5 months ago
DPP-4(ジペプチルペプチダーゼ-4)阻害薬、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)受容体作動薬、およびSGLT-2(ナトリウム-グルコース供役輸送担体-2)阻害薬の心血管病を持つ患者に対する効果 要点 - GLP-1RA(グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬)とSGLT2i(ナトリウムーグルコース共役輸送担体-2阻害薬)(新規糖尿病治療薬の2つ)は、糖尿病と心血管病(心臓と血管の病気)を併せ持つ患者の心血管病による死亡、およびあらゆる原因による死亡のリスクを低下させる可能性がある。 - SGLT2i薬は心不全による入院リスクを軽減し、GLP-1RA薬は致命的および非致命的な脳卒中の発症を低下させる可能性がある。 - これらの薬が、糖尿病でない人の心血管の健康にも良い影響を与えるのか、あるいは糖尿病患者に見られる効果は、これらの薬の血糖値コントロール効果だけによるものなのかについては、さらなる研究が必要である。 心血管病とは何か? 心血管病とは、心臓と血管に影響を及ぼす病気の総称である。世界的に主要な死因の一つとなっている。血液中の脂肪成分は血管内に停滞して血管を詰まらせ、心臓が血液を正常に送り出せなくなる心不全、脳卒中や心筋梗塞などの問題を引き起こす可能性がある。運動不足や太っている、あるいは高血圧や高コレステロール、糖尿病の人は、心血管病のリスクがある。 新しいタイプの糖尿病治...

脳卒中後のリハビリテーションに費やす時間と活動指標への効果

2 years 5 months ago
脳卒中後のリハビリテーションに費やす時間と活動指標への効果 レビューの論点 リハビリテーションに費やす時間が長いほど活動が向上するのか?何が重要か?重要なのは、リハビリテーションに費やす総時間なのか、それともリハビリテーションの提供方法(スケジュール)なのか。それは例えば、1週間あたりのリハビリテーションの時間なのか?あるいは、リハビリテーションの頻度なのか? 背景 脳卒中のリハビリテーションは、脳卒中を患った人が回復し、活動を取り戻すのを助けるものである。国によって、受けるべき治療の量に関するガイドラインが異なる。イギリスでは、それぞれの適切な療法を毎日45分以上行うことが推奨されていいる。カナダのガイドラインでは、1週間に5日、3時間の課題別トレーニングといったより多くの時間が推奨されている。これまでの研究では、リハビリテーションに費やす総時間またはスケジュールの効果において、どちらか一方のアプローチを支持する明確なエビデンスは見つかっていない。イギリスで推奨されている45分という時間は、異なる種類のリハビリテーションと、同じ種類のリハビリテーションの異なる量を比較した研究結果に基づいているが、これは同じ研究ではない。そのため、今回のレビューでは、同じ種類の脳卒中リハビリテーションの異なる量のみを比較する。 研究の特性 21件の研究を対象とし、1,412人の脳卒中患者を対象と...

COVID-19の治療に抗生物質は有効か、また望ましくない効果を引き起こすか?

2 years 5 months ago
COVID-19の治療に抗生物質は有効か、また望ましくない効果を引き起こすか? 要点 - 抗生物質のアジスロマイシンは、COVID-19の有効な治療法ではない。 - アジスロマイシン以外の抗生物質がCOVID-19の治療に有効かどうかは、十分な研究がないため、わからない。 - COVID-19に対する抗生物質を調査している進行中の試験が19件見つかった。その結果、結論が変わるようであれば、今後、このレビューを更新する。 抗生物質とは何か? 抗生物質は、細菌による感染症を治療するための安価で一般的な薬である。しかし、最近の実験室内の研究で、一部の抗生物質がCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を含むいくつかのウイルスの繁殖を遅らせることがわかった。実験室での試験では、抗生物質の一つであるアジスロマイシンがウイルスの活動や炎症を抑えることができたため、COVID-19の治療薬の候補として研究されている。COVID-19に抗生物質を投与する前には、十分な証拠が必要である。なぜなら、抗生物質の過剰使用や誤用は、感染症の原因となる生物が変化することで抗生物質が効かなくなる「薬剤耐性」を引き起こす可能性があるからである。 何を知りたかったのか? このレビューでは、COVID-19患者において、抗生物質が死亡、重症度、感染期間を減少させるかどうか、QOL(生活の質)に影響を与...

脳卒中を発症した人に対する抗凝固薬による早期治療

2 years 5 months ago
脳卒中を発症した人に対する抗凝固薬による早期治療 レビューの論点 脳卒中を発症してすぐに抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を投与された人が、改善したかどうか、出血の問題があったのかどうかを調べた。 背景 毎年、世界中で何百万人もの人が脳卒中を発症している。脳卒中の大多数は、血栓が脳に至る血管を詰まらせる場合に生じる。脳への血液供給が制限されたり遮断されたりすると、脳の細胞が機能を果たさなくなる。その結果、脳に永続的な損傷を引き起こし、障害が残ったり、場合によっては死に至ることもある。脳卒中によるダメージは、腕や足の機能低下、言語や視覚の障害などを引き起こす可能性がある。脳卒中は時に致命的だが、多くの場合、生存者は発症前にできていたことができなくなる。脳卒中は一般的な病気であり、そのダメージは甚大であるため、研究者は、脳卒中が起こった後、すぐに血栓を取り除く方法を見つけようとしている。その方法の一つとして、抗凝固薬という血液をサラサラにする薬がある。もし、患者が抗凝固薬によく反応すれば、脳卒中の悪い影響を避けられるかもしれない。抗凝固薬の最大の問題点は、出血を起こした場合、患者が非常に深刻な状態に陥る可能性があることである。 検索期間 エビデンスは2021年8月までのものである。 研究の特性 最良の答えを見つけるために、抗凝固薬を他の薬物、有効成分を含まない偽薬(プラセボ)、または...

出生後早期(6日以内に開始)の全身への副腎皮質ステロイド投与による早産児の気管支肺異形成の予防

2 years 5 months ago
出生後早期(6日以内に開始)の全身への副腎皮質ステロイド投与による早産児の気管支肺異形成の予防 レビューの目的:気管支肺異形成(「慢性肺疾患」と呼ばれることもある)と呼ばれる肺障害を予防するために、生後1週間未満の早産児に投与される副腎皮質ステロイド(炎症を抑制するために投与される薬)による治療の相対的な有益性と有害性を明らかにする。 背景:気管支肺異形成は、新生児集中治療室に入院している新生児の大きな問題である。肺の持続的な炎症が最も考えられる原因である。副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)は、その強い抗炎症作用により、気管支肺異形成の予防や治療に用いられてきたが、大きな副作用が生じることがある。 研究の特徴: 早産児を対象としたすべての臨床試験のうち、生後1週間以内にステロイドが全身に投与され、新生児期以降の気管支肺異形成率のデータが得られたものを対象とした。32件の研究(4,395人の乳児)を対象とした。検索結果は、2020年9月25日時点で最新のものである。 主要な結果:このレビューにより、生後6日以内から乳児にステロイドを全身に投与することの利点は、既知の副作用を上回らない可能性があることが明らかになった。しかし、ヒドロコルチゾンと呼ばれる特定のステロイドは、長期的な神経発達に悪影響を及ぼすことなく、短期的なアウトカムを改善することが期待されている。だが、長期的なアウ...

早産児の母乳育児確立期における哺乳瓶の回避

2 years 5 months ago
早産児の母乳育児確立期における哺乳瓶の回避 レビューの論点: 母親が母乳育児を望んでいる早産児において、哺乳瓶の使用は母乳育児の確立を妨げるか? 背景: 早産児は鼻や口から胃の中に入れたチューブでミルクを与えることから開始して、成長・発達に伴い口からの哺乳で栄養を管理できるようになる。1日の哺乳回数は、児の成長に合わせて徐々に増やしていく。早産児の母親が、児が授乳を必要とするたびに病院にいるとは限らない。従来は、母乳や粉ミルクを入れた哺乳瓶を使用していた。しかし、哺乳瓶の使用は、母乳育児の確立を妨げる可能性があると言われている。 研究の特徴: 適格な7件の研究(1,152名の早産児を対象)が見つかった。これらの研究は小規模から中規模のもので、ほとんどが研究デザインや実施に何らかの問題を抱えていた。検索結果は2020年6月18日時点の最新のものである。 主な結果: 5件の研究(最大規模の研究のうち2件を含む)ではカップによる授乳が実施され、1件の研究ではチューブによる授乳が実施された。ある研究では、特別に設計された乳首を使用しており、従来の哺乳瓶による授乳よりも母乳を飲むのに近い授乳動作であったことが示唆された。ほとんどの研究は高所得国で行われ、中所得国ではわずか2件、低所得国では1件も行われていなかった。全体的に、(従来の乳首を使用した)哺乳瓶での授乳を行わなかった場合、退院時、...

物質使用障害に対するマインドフルネスに基づく介入

2 years 5 months ago
物質使用障害に対するマインドフルネスに基づく介入 このレビューの目的は何か? このコクラン・レビューの目的は、マインドフルネスに基づく介入(MBI)、すなわちマインドフルネス瞑想のトレーニングを含む介入が、物質使用障害(SUD)(アルコールや薬物の使用、ただしタバコ使用障害は除く)の症状を改善するかどうかを明らかにすることである。コクランの研究者は、この質問に答えるために、すべての関連研究を検索、選択、分析した。SUDsの治療としてMBIを評価した40件のランダム化比較試験が見つかった。 要点 SUDの結果は、MBI終了直後と、MBI終了後3カ月から10カ月までのフォローアップの異なる時点でモニターされた。他の介入(標準治療、認知行動療法(CBT)、心理教育、サポートグループ、身体運動、薬物療法)と比較して、MBIは物質使用日数をわずかに減少させる可能性があるが、他のSUD関連の評価項目を減少させるかどうかは非常に不確かである。無治療と比較したMBIの効果は、有害事象のリスクと同様に、すべてのSUD評価項目において非常に不確実であった。 このレビューで検討されたこと SUDは非常に一般的で、身体的・心理的な健康状態に悪影響を及ぼす。SUDの治療にはエビデンスに基づいた介入方法が存在するが、標準的な治療では十分な効果が得られない場合があり、多くの人が物質使用を再発してしまう。過去数...

統合失調症または関連する重度の精神疾患を持つ親のための育児プログラム

2 years 5 months ago
統合失調症または関連する重度の精神疾患を持つ親のための育児プログラム レビューの論点 統合失調症やそれに関連する重篤な精神疾患を持つ人のための子育てプログラムはどのように効果的か? 背景 統合失調症の人の約3分の1は子どもを持つ親である。子育てプログラムは、子どもの行動を管理するために、親にサポートとトレーニングを提供することを目的としている。このグループを対象とした子育てプログラムは、親と子の両方に良い影響を与える可能性がある。本レビューでは、統合失調症やそれに関連する精神疾患を持つ人のための子育てプログラムに関する最新のエビデンスを収集し、そのような支援が子育てのスキルや親子関係の改善に有効かどうかを理解することを目的とした。 検索 2020年3月と2021年2月に、統合失調症または関連する重度の精神疾患を持つ人を対象とした子育てプログラムのランダム化比較試験を電子検索した。36件の研究が見つかり、これらがこのレビューと関連しているかどうかを確認した。 利用可能なエビデンス 1件の試験が包含する要件を満たしていたが、使用可能なデータを提供しなかった。したがって、統合失調症やそれに関連する精神疾患を持つ人に対する育児プログラムの有効性について、何かを知るための十分な確固たるエビデンスはない。 結論 統合失調症やそれに関連する重篤な精神疾患を持つ人のための育児プログラムについて推...

生後1時間以内に持続陽圧呼吸療法(CPAP)による呼吸サポートを行うことで、未熟児の死亡や病気を予防できるか?

2 years 5 months ago
生後1時間以内に持続陽圧呼吸療法(CPAP)による呼吸サポートを行うことで、未熟児の死亡や病気を予防できるか? 要点 生後1時間以内の未熟児に、酸素だけを投与するのではなく、一定の圧力で空気を鼻に送り込み、乳児が自分で呼吸できるようにするCPAP(Continuous Positive Airway Pressure;持続陽圧呼吸療法)による呼吸サポートを行うと、乳児の肺にチューブを挿入し、機械が呼吸を代行する人工呼吸器を装着する可能性が低くなるかもしれない。 生後1時間以内に始めるCPAPは、人工呼吸器と比較して、肺の損傷や死亡が少なく、人工呼吸器を装着する必要性も低くなると考えられる。 1件の小規模な研究では、出産後のCPAPのタイミングの影響(生後15分以内と1時間以内との比較)が調べられており、タイミングに関して判断するには十分なエビデンスがなかった。 持続陽圧呼吸療法とは? CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、一定の圧力で鼻から肺に空気を送り込むことで、呼吸困難な人をサポートする。空気は、鼻に装着するマスクや、鼻孔に装着するプロングを介して供給される。CPAPは、喉から肺までチューブを入れ、機器(人工呼吸器)が患者に代わって「呼吸」を行う機械的人工呼吸よりも侵襲性が低い。CPAPは、酸素投与だけと比べて、より強力に呼吸をサポートする。 CPAPは未熟児にどのように役立つのか...

多発性硬化症における記憶リハビリテーション

2 years 5 months ago
多発性硬化症における記憶リハビリテーション レビューの論点 多発性硬化症(MS)患者が記憶のリハビリテーションを受けた場合、無治療またはプラセボを受けた場合と比較して、短期、中期、長期のいずれの期間においても良好な結果が得られるか? 1. 記憶機能 2. 他の認知能力 3. 日常生活動作、気分、生活の質などに関する機能的能力 背景 多発性硬化症(MS)の人は、記憶機能の問題で苦労することが多く、日常生活に支障をきたすことがある。記憶のリハビリテーションは、記憶機能の問題に対処し、日常生活を行う能力を高め、もの忘れを減らすことによって自立度を高めるために提供される。このようなリハビリテーションでは、特定の技術や計画を用いて、人が記憶し、定着させ、想起したりしようとする方法を変えることができる。しかし、記憶リハビリテーションが物忘れの軽減や日常生活能力の向上に効果があるかどうかは不明である。歴史的に見ても、MS患者に対する記憶のリハビリテーションの効果を調べた質の高い研究はほとんどなかったが、最近になって大規模な研究がいくつか発表された。そこで、記憶のリハビリテーションの有効性を示すエビデンスが、前回のレビューから変わっているかどうかを明らかにしたいと考えた。 研究の特性 このレビューには、44件の研究が含まれ、2,714人の参加者がさまざまなタイプの記憶再訓練法を受けた。修復的な手...

コルヒチンはCOVID-19患者に有効な治療法か?

2 years 5 months ago
コルヒチンはCOVID-19患者に有効な治療法か? 要点 ○中等症から重症のCOVID-19入院患者において、コルヒチンはおそらくほとんど、または全く効果がない;その副作用については不明である。 ○症状のない、または軽症のCOVID-19非入院患者において、コルヒチンが死亡や副作用を防ぐかどうかは不明であるが、おそらく入院の必要性や死亡、重篤な副作用をわずかに減少させる。 ○ 今後の試験では、症状がない、または軽症のCOVID-19に加えて、重篤ではない副作用を持つ患者のQOL(生活の質)を評価し、コルヒチンを副腎皮質ステロイドなど他のCOVID-19治療薬と比較する必要がある。 コルヒチンとは何か? コルヒチンは、腫れや炎症を抑える薬で、結果的に痛みを和らげる効果がある。関節が腫れて痛む痛風の治療によく使用される。一方、コルヒチンは、腎臓や肝臓など健康状態に問題がある人や、その服用量が多すぎる人には有害な場合がある。 コルヒチンはどのようにしてCOVID-19を治療するのか? コルヒチンは抗炎症薬なので、研究者はCOVID-19による炎症を抑えることができるかどうかに興味がある。 何を知りたかったのか? COVID-19患者にとってコルヒチンが有効な治療法であるかどうかを、プラセボ(見た目や味はコルヒチンと同じだが有効成分が含まれていない治療法)や標準治療のみと比較して知りたか...

急性期脳卒中の嚥下障害に関連した誤嚥リスクのスクリーニング

2 years 5 months ago
急性期脳卒中の嚥下障害に関連した誤嚥リスクのスクリーニング 論点 急性期脳卒中患者において、飲食物が気道に入ることを検出する嚥下(飲み込み)スクリーニング検査の精度はどの程度なのか? 背景 脳卒中は嚥下機能に影響を与えることがよくあり、そのため、飲食物が気道に入ってしまうことがある。これにより窒息、肺の感染、低栄養、脱水、リハビリテーション時間の減少につながり、不安、抑うつ、介護施設への退院や死亡のリスクが高まる。最も精度の高い検査によって嚥下障害を早期に発見し、管理することで、これらのリスクを減少させることができる。検査で嚥下の問題を検出できなかった場合、その人は経口摂取を継続するが、上記に記載したような問題が生じる可能性がある。検査で嚥下に問題があると誤って判断された場合、より詳細な評価が実施されるまでに(通常は翌日)、食べることや飲むことを禁止される可能性があり、QOL(生活の質)に重大な影響を与える。 研究の特性 合計37個の検査を使用した25件の研究を特定した。7個の検査は水またはその他の物性を使用しない検査であり、24個の検査は水のみを使用し、6個の検査は水とその他の物性を使用したものであった。 主要な結果 飲食物が気道に入った人を正確に判別し、確実に気道に入らなかった人を全員検出する検査は無かった。多くの研究では、検査する医療従事者、検査に使用する食物や水分の物性、...

統合失調症患者に対するユーモアに基づいた介入

2 years 5 months ago
統合失調症患者に対するユーモアに基づいた介入 レビューの論点 ユーモアに基づく介入は統合失調症患者の治療に有効か? 背景 統合失調症は、深刻な精神疾患である。統合失調症は、証拠があるにもかかわらず、固定された誤った信念を持ち、現実とのつながりを失い、知覚が変化するという思考の障害である。これらの症状はさらに、(i) 陽性症状として、秩序のない話し方、錯覚、誤った持続的な考えなどがあり、(ii) 陰性症状として、感情の欠如や言葉の量の制限、注意・記憶・行動制御などの認知機能の低下などに分類される。統合失調症の標準的な治療法は、抗精神病薬の投与である。ユーモアのある映画や面白いビデオ、コメディを見るなど、ユーモアに基づいた介入による治療は、人生の状況の不合理性や矛盾を遊び心を持って発見、表現、評価することで、健康とウェルネスを促進する付加治療として提案されている。 エビデンスの検索 2021年2月に、統合失調症患者を通常のケアに加えてユーモアに基づいた介入を受ける群、通常のケアのみを受ける群、または他の心理療法的介入を受ける群、またはその他の対照群にランダム化した試験を検索した。8件の記録を見つけ、レビューに含めるのに適しているかどうかを確認した。 特定されたエビデンス 3件の試験がレビューの要件を満たし、2件の質の低い試験(参加者総数=96人)から使用可能なデータが得られた。アクテ...

音楽療法はがん患者に利益をもたらすか

2 years 5 months ago
音楽療法はがん患者に利益をもたらすか 問題点 がんは精神的、身体的、そして社会的な苦痛を与えることがある。音楽療法や音楽による医学的介入は、がん患者の症状や治療による副作用を軽減し、心理社会的なニーズに対処するために用いられてきた。音楽による医学的介入では、患者は医療専門家によって提供される録音された音楽を単に聴くだけである。これに対し、音楽療法は訓練を受けた音楽療法士によって行われる必要があり、治療プロセスが存在し、個人に合わせた音楽体験が提供されなければならない。 レビューの目的 このレビューは2016年のコクランレビューの更新版である。前回のレビューでは52件を組み入れた。今回のレビューの更新では、がん患者を対象に、音楽介入がどのような精神的および身体的な治療成果をもたらすかを検討した試験を新たに追加した。2020年4月までに発表された試験を検索した。 主な結果 新たに試験29件を特定し、このレビュー最新版のエビデンスは、試験81件、患者5,576人に基づいている。試験81件のうち74件は成人を対象としており、7件は小児を対象としている。その結果から、音楽療法と音楽による医学的介入は成人がん患者の不安、抑うつ、希望、疼痛、倦怠感、心拍数、血圧に効果をもたらす可能性があることが示唆される。音楽による医学的介入ではなく、音楽療法が成人患者の生活の質(QOL)や倦怠感を改善する可...
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19 hours 36 minutes ago
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