Latest Japanese Reviews

インターロイキン‐1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬は、COVID-19の治療に有効であり、望ましくない影響を引き起こすことはないか?

2 years 3 months ago
インターロイキン‐1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬は、COVID-19の治療に有効であり、望ましくない影響を引き起こすことはないか? 要点 - 全体として、インターロイキン-1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬がCOVID-19の人に有効な治療法かどうか、または、望ましくない影響を引き起こすかどうかを示す十分なエビデンスは見つからなかった。 - 結果が公表されていない16件の研究が見つかった。新しいデータが入手できたら、このレビューを更新する予定である。 - 今後、COVID-19の治療におけるインターロイキン-1を阻害する薬を評価するためには、質の高い研究が必要である。 インターロイキン‐1とは何か、また、COVID-19におけるインターロイキン‐1の役割は何か? インターロイキン-1(IL-1)は、サイトカインと呼ばれるタンパク質の一種で、体の免疫システムを調整する働きがある。特に、IL-1は感染症に対抗するために炎症を誘発する。COVID-19においては、免疫系がウイルスと闘うために、肺や気道に炎症を起こし、呼吸困難を引き起こす。一部の人では、免疫系が過剰に反応し(「サイトカインストーム」と呼ばれる)、危険なほど高いレベルの炎症や組織の損傷を引き起こすことがある。その結果、重度の呼吸困難、臓器不全、死に至ることがある。 インターロイキン‐1「阻害薬(...

新生児のカフ付き気管内チューブと非カフ付き気管内チューブの比較

2 years 3 months ago
新生児のカフ付き気管内チューブと非カフ付き気管内チューブの比較 背景: 新生児が気管内にチューブを入れる必要があることはほとんどないが、処置の前や呼吸を助けるために行われることがある。気管内チューブにはカフ付きのものとカフなしのものがある。新生児の標準的に選択されるのは、カフのないチューブである。カフ付きチューブは、チューブ周辺のガス漏れ、誤嚥(食べ物や唾液、胃の内容物を気道や肺に吸い込むこと)のリスク、チューブ交換の必要性、チューブが抜けてしまうことなどを軽減するために、月齢の進んだ乳児や子どもに頻繁に使用される。 レビューの論点:このレビューでは、新生児にカフ付きチューブを使用することに対する賛否両方のエビデンスを評価した。 研究の特徴: レビューの論点に答えるために、関連するすべての研究を集めて分析したところ、76人の赤ちゃんを登録した1件の研究が見つかり、そのうち69人がこのレビューの適格性を満たしていた。このレビューは、2021年8月20日時点での最新情報である。 主な結果:気道の問題を防ぐためのカフ付きチューブについては、賛成も反対も十分なエビデンスがない。カフ付きのチューブを使用した新生児は、カフなしのチューブを使用した新生児に比べて、何らかの理由でチューブを交換する頻度や、正しいサイズを見つけるためにチューブを交換する頻度が少なくて済む可能性がある。 エビデンスの...

急性心不全における体液除去療法

2 years 3 months ago
急性心不全における体液除去療法 レビューの論点 急性心不全(AHF)における体液除去療法である限外ろ過(UF)にどのような効果があるか? 背景 急性心不全(AHF)は、心臓のポンプ機能が低下し、肺や体に液体が溜まる一般的な疾患である。これにより、呼吸困難、心臓や腎臓へのダメージ、再入院の多さ、死亡率の高さなどの問題が発生する。通常の治療では、この余分な水分を取り除くために利尿剤と呼ばれる薬を服用するが、人によっては効かないことがある。限外ろ過(UF)は、体液を素早く除去する代替療法である。患者の血液を回路で取り出し、機械でろ過してから患者に戻す。これは、モニタリング、太い中心静脈カニューレ(血管に入れる管)、血液をサラサラにする薬を必要とする。急性心不全(AHF)において限外ろ過(UF)が有効であるか、安全であるかは不明である。 研究の特性 急性心不全(AHF)患者を対象に限外ろ過(UF)と通常のケアを比較した研究を検索した。2021年6月までのすべての関連する研究を検索したところ、約1,200人を対象とした14件の研究を特定した。心筋梗塞や感染症にかかったことのある人など、非常に病弱な人は研究の対象外となることが多かった。 エビデンスの確実性 妥当性性のあるツール(GRADE)を用いて、結果の確信度を評価した。研究対象のばらつき、研究間での結果の違い、研究デザインの限界などによ...

感冒に対する経口抗ヒスタミン剤-充血除去剤-鎮痛剤の併用療法

2 years 3 months ago
感冒に対する経口抗ヒスタミン剤-充血除去剤-鎮痛剤の併用療法 レビューの論点 市販されている抗ヒスタミン剤(AH)、充血除去剤(DC)、鎮痛剤(AN)を含む配合剤は、風邪の症状に効果があるか? 背景 平均すると、小児は1年につき6~8回、成人は2~4回風邪に罹患する。 風邪はウイルスが原因で、喉の痛み、鼻づまりや鼻水、くしゃみ、咳などの症状がある。風邪は通常1~2週間で自然に治るが、仕事や学校を休むことに大きな影響を与える。 風邪には治療法がないため、対症療法しかない。様々な症状に対応するため、くしゃみ、咳、鼻汁に対応する抗ヒスタミン剤、鼻づまりに対応する充血除去剤、のどの痛みに対応する鎮痛剤など、様々な製品を1つの錠剤に配合している。 検索期間 エビデンスは2021年6月10日までのものである。 研究の特徴 試験参加者は、風邪をひいている大人または子供であった。4種類の組み合わせ(AH+DC、AH+AN、AN+DC、AH+AN+DC)の効果を、プラセボ(ダミー治療)(24件の試験)または活性物質(6件の試験)と比較した。有益な効果を、全体的な症状や、鼻づまり、鼻水、咳、くしゃみなどの特定の症状の重症度や持続時間が減少したことと定義した。また、プラセボよりも併用療法の方が副作用が多いかどうかも調べた。 研究の資金源 独立した資金調達を報告したのは3件の研究だけであった。 主な結果...

超低出生体重児の壊死性腸炎を予防するための経腸栄養剤の導入の段階的延期

2 years 3 months ago
超低出生体重児の壊死性腸炎を予防するための経腸栄養剤の導入の段階的延期 背景 超早産児(予定日よりも8週以上早くうまれた児)や超低出生体重児(VLBW:出生時の体重が1,500g未満)の新生児は、壊死性腸炎(腸が炎症を起こし、死に至ることがある)と呼ばれる重度の腸疾患を発症するリスクがある。子宮内での成長が阻害されている乳児は、壊死性腸炎を発症するリスクが高いと考えられている。超早産児や超低出生体重児には、最初は少量のミルクを与え、数日かけて徐々に量を増やしていく。生後数日(またはそれ以上)、ミルクの導入や量の増加を遅らせることは、この症状のリスクを減らすための一つの可能性のある方法である。 研究の特徴 超早産児または超低出生体重児の壊死性腸炎のリスク、死亡、一般的な健康状態に対して、ミルクの導入を遅らせる(生後4日以上)場合と早める場合の効果を評価した臨床試験を検索した。検索結果は2021年10月現在のものである。 主な結果 14件の研究が見つかり、1,551人の乳児が参加していた。これらの児の約半数は、胎内での成長に障害が見られた。これらの試験を総合的に分析した結果、段階的に経腸栄養剤の導入を遅らせても、壊死性腸炎や死亡のリスクを低減できない可能性が示された。ミルクの導入を遅らせることで、ミルクへの不耐性のリスクを若干減らすことができるが、重篤な感染症が発生するリスクはおそら...

介入のシステマティックレビューにおける健康の公平性への影響の評価方法

2 years 3 months ago
介入のシステマティックレビューにおける健康の公平性への影響の評価方法 要点 有効性に関するシステマティックレビューにおいて健康の公平性を考慮するための5つの方法論が見出されたが、いずれの方法論に取り組むのが最も適切かは不明である。 レビューの論点 有効性に関するシステマティックレビューにおいて、健康の公平性を考慮するためにシステマティックレビュー担当者が使用する方法をレビューした。 背景 健康における回避可能で不公平な差である「健康格差」の削減は、国際的な政治的重要性と世界的な賛同を得ている。意思決定者は、システマティックレビューにおける公平性の考慮が不足していると指摘しており、システマティックレビューにおける健康の公平性への影響を評価する方法の利点と欠点に関するガイダンスが必要とされている。 研究の特徴 健康格差に対する効果を測定する方法を評価したシステマティックレビューのコレクションの実証研究を対象とした。私たちは、健康の不平等を、健康のための機会を制限する社会的階層化要因による不公平で回避可能な差と定義している。PROGRESS-Plus(居住地Place of residence, 人種・民族・文化・言語Race/ethnicity/culture/language, 職業Occupation, 性別Gender or sex,宗教 Religion, 教育Educati...

マラリア予防のために殺虫剤処理された蚊帳を使用しているコミュニティに屋内残留噴霧を追加すること

2 years 3 months ago
マラリア予防のために殺虫剤処理された蚊帳を使用しているコミュニティに屋内残留噴霧を追加すること 本レビューの目的 屋内残留噴霧(IRS)とは、化学殺虫剤を家の壁に定期的に散布することである。殺虫剤は数ヶ月間持続し、着地した蚊を殺す。殺虫剤処理された蚊帳(ITN)は、蚊が人を刺すのを防ぎ、蚊の数を減らすために殺虫剤で処理されたベッドネットである。いずれの介入も、マラリアに感染した蚊に刺される人の数を減らすことで、マラリアの抑制につながる。ITNを使用しているコミュニティでIRSを実施することは、ITNのみを使用するよりもマラリア対策として優れている可能性がある。これは、介入を2つする方が1つの介入よりも優れているという理由だけでなく、ITNに使用されているピレスロイド系殺虫剤に対して蚊が耐性を持っている地域でのマラリア対策を改善できる可能性があるからである。ピレスロイドは、2018年までITNに使用が認められていた唯一のクラスの殺虫剤であったが、ピレスロイドに対する蚊の耐性が高まっているため、その効果が損なわれている。IRSを追加することで、ITNの効果が低下するのを食い止めることができ、ピレスロイド耐性の出現を遅らせることができるかもしれない。ピレスロイド系とは異なる作用を持つ殺虫剤(「非ピレスロイド系」)によるIRSは、同じ作用を持つ殺虫剤(「ピレスロイド系」)のIRSよりも効...

COVID-19のパンデミックを抑制するために学校現場で実施された対策

2 years 3 months ago
COVID-19のパンデミックを抑制するために学校現場で実施された対策 レビューでは何を調べたのか? COVID-19の原因となるウイルスの拡散を抑えるために、多くの政府や社会が学校に軽減策を導入している。しかし、これらの対策がウイルスの拡散を抑える効果があるかどうか、また、これらの対策が教育や経済、社会全体といった生活の他の側面にどのような影響を与えるかについては不明である。 学校現場で行われている対策とは何か? 学校現場での対策は、大きく分けて以下の4つに分類される。 1.接触の機会を減らす対策 : クラスや学校の生徒数を減らしたり、特定の種類の学校(例えば小学校)のみを開校したり、生徒が別の日や別の週に学校に通うスケジュールを作ることで、生徒同士の対面での接触を減らすことができる。 2.接触をより安全にするための対策 : マスクをつける、窓を開けたり空気清浄機を使ったりして換気を良くする、掃除や手洗いをする、スポーツや音楽などの活動を変更する、などの対策を実施することで、接触をより安全にすることができる。 3.サーベイランス(監視)と対応策 : 症状をスクリーニングしたり、病気やその可能性がある生徒や教師、あるいは両方を検査したり、病気の人の隔離や病気の可能性のある人の隔離を行ったりする。 4.多要素の対策 : カテゴリー1、2、3の対策を組み合わせたものである。 本レビュ...

急性虚血性脳卒中に対する経口抗血小板療法

2 years 3 months ago
急性虚血性脳卒中に対する経口抗血小板療法 レビューの論点 急性虚血性脳卒中患者において、経口抗血小板薬が死亡数を減少させ、生存者の長期転帰を改善するかどうかを、プラセボまたは無治療と比較して、安全性と有効性を検討した。 背景 脳卒中の多くは、脳内の動脈が突然閉塞し、その原因は血栓であることがほとんどである(虚血性脳卒中という)。アスピリンなどの抗血小板薬を直ちに投与することで、新たな血栓の形成を防ぎ、脳卒中後の回復を促すことができる。しかし、抗血小板薬は脳内出血を引き起こす可能性もあり、効果が相殺されてしまうこともある。 研究の特性 2020年8月までの11件の研究を特定し、レビューに使用した。これらの研究には、42,226人の参加者が含まれた。前回のアップデート以降、新たに3件の試験が追加された。前回のレビューと同様に、2件の研究がデータの96%を占めた。レビュー参加者のほとんどが高齢者で、70歳以上の割合がかなり高かった。男性と女性がほぼ同じ割合で試験に参加していた。脳卒中の重症度については、対象となった試験の間で若干の違いがあるようであった。予定された治療期間は5日から3ヶ月まで、予定されたフォローアップ期間は10日から6ヶ月までと様々であった。 主な結果 アスピリンを1日160mgから300mgの用量、脳卒中の症状が出てから48時間以内に開始することで、生存が可能となり、...

透析治療を受けている成人のための運動トレーニング

2 years 3 months ago
透析治療を受けている成人のための運動トレーニング 何が問題なのか? 透析治療を受けている人は、一般の人に比べて心血管疾患やうつ病のリスクが高く、生活の質が低く、生存期間も限られている。さらに、透析を受けている人の中には、身体的な能力や筋力が不足しているため、日常的な活動を行うことが困難な人も多い。複数の試験で、透析を受けている成人の健康状態を改善するための運動トレーニングの可能性が評価されているが、統一した見解は得られていない。 何をしたのか? 透析を受けている人を対象に、構造化された運動プログラムを評価したすべてのランダム化比較試験の医学文献を検索した。そして、これらの研究の質を評価し、結果を組み合わせて、透析を受けている患者にとって重要な身体的および精神的な健康状態を改善するための運動トレーニング効果に関する結論を導き出すことにした。 何がわかったのか? 4,291人の参加者を含む89件の研究を特定した。運動トレーニングプログラムの期間は8週間から2年間で、ほとんどの場合、透析治療中に週3回実施された。運動トレーニングが死亡、心臓発作などの心血管イベント、精神的な健康に与える効果は判断できなかった。中等度の確実性を持つエビデンスとして、あらゆる種類の運動トレーニング(特に4ヵ月以上運動を継続した場合)が、透析を受けている成人の抑うつ症状を改善する可能性が高いことが示唆された。...

多巣性運動ニューロパチーに対する免疫グロブリン療法

2 years 3 months ago
多巣性運動ニューロパチーに対する免疫グロブリン療法 レビューの論点 多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者における静脈内免疫グロブリン(IVIg)および皮下免疫グロブリン(SCIg)の効果に関するエビデンスをレビューした。免疫グロブリンは、血液から精製された特定の標的を持たない抗体の製剤で、通常は静脈内に投与するが(IVIg)、皮下に注入する方法(SCIg)も考えられる。 背景 MMNは、手足の力が弱くなる珍しい病気で、時間の経過とともに悪化する傾向がある。脚よりも腕、特に手の方が多い。MMNの通常の治療法はIVIgである。 研究の特徴 このテーマに関する研究を広く検索したところ、IVIg治療を受けたMMN患者90人を対象とした6つの小規模試験が見つかった。3件の研究には限界があり、残りの研究については完全な評価を可能にする十分な情報がなかった。5件の試験では、IVIgの注入(緩徐注入)とダミーの注入を比較した。残りの試験では、2種類の異なる投与経路を比較した。IVIg輸液とSCIg輸液の比較。その効果は、治療後4週間から12週間の間に測定された。2件の試験では、免疫グロブリンのメーカー従業員が著者として関与していた。これらの研究のうち1件はメーカーがスポンサーとなっており、データに完全にアクセスできる専門家による独立した原稿審査が行われた。 主な結果とエビデンスの確実性 IVI...

高血圧予防に対するカルシウム補充

2 years 3 months ago
高血圧予防に対するカルシウム補充 レビューの論点 血圧が正常な人を対象に、カルシウムの摂取が血圧に与える影響を調べた。 背景 高血圧症は、心疾患および腎疾患リスクを高める重篤な健康障害である。複数の研究により、正常範囲の血圧の人であっても、カルシウム摂取量を増やすことで血圧が低下することが示されている。カルシウム摂取量を増やすことで、妊娠転帰に効果があり、その効果は血圧低下にも関係しているようである。高血圧は、死亡率に対する主要な危険因子とされており、血圧がわずかに低下するだけでも、冠動脈疾患、脳卒中および死亡の発生を減少させる可能性がある。 研究の特徴 すべての年齢層の正常血圧の人を対象に、サプリメントや食物の栄養価の強化などの食事性カルシウムでの介入による血圧に対する効果を評価した研究を選択した。最終の検索は2020年9月に実行された。 主な結果 このレビューでは、20試験の情報を分析し、そのうち18件の試験(3,140人)で介入の効果に関するデータが得られた。その結果、カルシウムの摂取量を増やすと、収縮期血圧と拡張期血圧がそれぞれ1.37mmHg低く、1.45mmHg低くなることが分かった。カルシウムの用量が1,000mg/日超で効果が高かった。収縮期血圧は、カルシウムの用量が1,000~1,500mg/日で1.0505mmHg、カルシウムの用量が1,500mg/日以上で2...

早期乳がんにみられるアロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状の予防と治療のための全身療法

2 years 3 months ago
早期乳がんにみられるアロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状の予防と治療のための全身療法 本レビューの目的 アロマターゼ阻害薬を用いたホルモン療法は、閉経後の女性にみられる早期乳がんの一種(ホルモン受容体陽性)の治療に用いられている。アロマターゼ阻害薬は、関節痛や筋肉痛、およびこわばり(アロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状、いわゆるAIMSS)などの副作用を引き起こし、一部の女性ではアロマターゼ阻害薬の服用を中止することになり、生存期間が短くなるおそれがある。本レビューの目的は、全身療法(血流に乗って全身の細胞に到達する治療法)によりアロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状を予防または治療できるかどうかを検討することとした。この疑問に答えるため、関連するあらゆる研究を収集し、解析した。 要点 アロマターゼ阻害薬を服用している女性患者では、全身療法によって痛みや生活の質(QOL)が改善するのか、悪化するのか、あるいは差がないのかは、きわめて不明である。ほとんどのエビデンスは非常に質の低いものであった。アロマターゼ阻害薬誘発性筋骨格症状に対する全身療法が安全であるかどうかは、きわめて不明であった。 このレビューからわかったこと アロマターゼ阻害薬を服用している女性患者の関節痛や筋肉痛およびこわばりを、全身療法によって予防または治療できるかどうかを明らかにするために、薬剤、ビタミン剤、補完代替医療を...

慢性閉塞性肺疾患患者のための自己管理法

2 years 3 months ago
慢性閉塞性肺疾患患者のための自己管理法 レビューの論点 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する自己管理介入法の効果に関する最新のエビデンスを調べた。特に、健康関連の生活の質(HRQoL)とCOPD関連の入院に対する効果を評価した。また、死亡者数を評価することで、自己管理介入法が安全であるかどうかを評価したいと考えた。 背景 COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、一般的かつ長期的な肺疾患で、長年にわたって徐々に悪化し、息苦しさ、咳、喘鳴、痰(粘液)の増加などの症状を引き起こす。これは、COPD患者の幸福感(ウェルビーイング)の喪失(HRQoLの低下とも呼ばれる)につながる。自己管理のための介入は、病気やそれに伴う感情的・実際的な問題をうまく管理するために必要なスキルや行動を身につけることを促すものである。今回のアップデートでは、自己管理がHRQoL、COPDに関連した入院、原因を問わずCOPDに関連した死亡、およびその他の健康アウトカムに及ぼす影響に関する最新のエビデンスをレビューした。 検索期間 2020年1月までの研究を検索した。 研究の特徴 COPDの自己管理介入法の有効性と安全性を評価した、6,008人の参加者を含む27の研究を対象とした。参加者の平均年齢は、57歳から74歳であった。調査対象者の33%から98%が男性であった。研究は4つの大陸で行われていた(ヨーロッパ15研究...

再発性外陰部腟カンジダ症に対する治療の有効性と安全性

2 years 3 months ago
再発性外陰部腟カンジダ症に対する治療の有効性と安全性 レビューの論点 再発性外陰部腟カンジダ症の女性に対する薬物治療または非薬物治療(補完治療、代替治療など)の有効性と安全性を調査することを目的とした。 背景 外陰や腟のカンジダ症は、カンジダ菌によって引き起こされる。カンジダ菌は、正常な細菌叢の一部として症状を引き起こすことなく一般的に腟内に存在する酵母の一種である。原因は不明だが、カンジダ菌が増殖を始め、外陰部腟カンジダ症の症状を引き起こすことがある。外陰部腟カンジダ症の症状は、腟や外陰部のかゆみ、腫れ、痛みである。合併症を伴わない外陰部腟カンジダ症は、生殖可能年齢の女性の最大75%に発症すると推定されている。再発性外陰部腟カンジダ症は、12か月間以内に4回以上の真菌感染症に罹患するものである。最大で5%の女性が再発性外陰部腟カンジダ症に罹患しているとされる。予防のために抗真菌薬を使用するよう勧める医師もいるが、明確なエビデンスに基づくガイドラインは存在しない。 研究の特徴 17歳から67歳までの、検査で確認された再発性外陰部腟カンジダ症の女性2,212例を対象とした23件の試験を特定した。これらの試験はさまざまな抗真菌薬(経口または腟錠)と、いくつかの補完・代替治療(乳酸菌ワクチンやプロバイオティクス、特別な下着など)を比較していた。試験では6か月から12か月後のカンジダ症再...

高血圧症に対するカルシウム拮抗薬とその他の種類の降圧薬の比較

2 years 3 months ago
高血圧症に対するカルシウム拮抗薬とその他の種類の降圧薬の比較 このレビューの目的は何か? このレビューの最初の更新版は2010年に発表され、血圧の高い人(高血圧症)に対し、その他の降圧薬(血圧を下げる薬)と比較して、カルシウム拮抗薬(CCBs)が、脳卒中、心筋梗塞、心不全などの有害な心血管合併症を予防できるかどうかを検討した。 背景 高血圧症の人の上昇した血圧を適切に下げることで、脳卒中、心筋梗塞、うっ血性心不全、さらには死亡などの高血圧症の主要な合併症頻度を減らすことができる。カルシウム拮抗薬(CCBs)は第一選択の降圧薬として使用されているが、これが有害な心血管合併症を減少させる最善の方法であるかどうかは議論の余地がある。 検索期間 2020年09月01日までのすべての関連研究を収集し、分析をした。 研究の特性 欧州、北米、オセアニア、イスラエル、そして日本で実施された23件の関連研究を特定した。これらの研究では、高血圧症の人を対象にカルシウム拮抗薬(CCBs)と他の種類の降圧薬による治療を比較していたが、153,849人の参加があった。研究参加者のフォローアップ期間は、2年から5.3年であった。 主な結果 全ての死因による死亡率は、カルシウム拮抗薬(CCBs)と他の降圧薬との間に差はなかった。利尿薬はカルシウム拮抗薬(CCBs)よりも心血管系合併症総数やうっ血性心不全をおそ...

未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子変異のある非小細胞肺がんに対する標的治療

2 years 3 months ago
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子変異のある非小細胞肺がんに対する標的治療 背景 肺がんの中で最も多いのは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。NSCLCの約5%は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)と呼ばれる遺伝子の変異が原因となる。進行した(治癒不可能な)ALK変異陽性NSCLCに対して標的治療薬が開発されており、化学療法よりも効果が高いことがわかっている。最初に開発されたALK阻害薬はクリゾチニブである。さらに新しいALK標的薬も開発されており、セリチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ensartinib[エンサルチニブ]、ロルラチニブなどがある。本レビューでは、ALK変異陽性NSCLCを標的とする治療薬に着目し、その効果を確認した。 目的 本レビューの主な目的は、ALK変異陽性NSCLC患者に対してALKを標的とする治療薬を使用した場合、化学療法よりも再発なく生存期間が長くなり、かつ副作用が少なくなるかどうかを明らかにすることである。また、新しいALK標的薬がクリゾチニブより優れているかどうかも評価することとした。 研究の特性 2021年1月7日までの主要な医学データベースと学会の記録を検索した。その結果、11件の研究(参加者2,874人)が見つかった。6件の研究ではALK標的薬と化学療法を比較し、5件の研究では新しいALK標的薬とクリゾチニブを比較していた。これらの研...

上部消化管出血の内視鏡検査前に開始するプロトンポンプ阻害剤の投与

2 years 3 months ago
上部消化管出血の内視鏡検査前に開始するプロトンポンプ阻害剤の投与 背景 食道(喉と胃をつなぐ管)、胃、十二指腸(小腸の最初の部分)からの出血は、一般的な医学的緊急事態である。胃酸の量を減らすことで出血を抑えることができるという研究結果があるが、そのような治療を早期に、つまり内視鏡検査(食道、胃、十二指腸を光ファイバーカメラで検査すること)の前に開始することが有益かどうかは不明である。 レビューの論点 上部消化管出血のある人を対象に、1種類の制酸剤(プロトンポンプ阻害剤)を、無治療(プラセボ)または別の種類の制酸剤(ヒスタミン-2受容体拮抗剤)と比較して、内視鏡検査前に開始した場合の効果に関するエビデンスを検討した。 研究の特徴 エビデンスは2021年6月までのものである。2,223人の参加者を含む6件の研究を対象とした。すべての研究は病院で実施され、上部消化管出血の臨床症状がある参加者を対象とした。 これらの研究では、死亡(5件、2,143名)、上部消化管出血の再発(5件、2,121名)、手術(6件、2,223名)、初回内視鏡検査時に活動性出血または最近の重篤な出血の兆候があった参加者の割合(4件、1,332名)、出血に対する内視鏡治療(薬の注入や血管の焼灼など)の必要性(3件、1,983名)という結果に関するデータが報告された。退院までの期間については1件、輸血の必要性について...

加熱式たばこは禁煙に役立つのか?安全か?喫煙率の低下につながっているのか?

2 years 3 months ago
加熱式たばこは禁煙に役立つのか?安全か?喫煙率の低下につながっているのか? 要点 加熱式タバコの有害物質への曝露量は、タバコよりは少ないかもしれないが、タバコを一切使用しない場合よりは多いかもしれない。日本で加熱式たばこが発売された後、たばこの販売量の減少が加速したように見えるが、これがたばこから加熱式たばこへの切り替えによるものかどうかは不明である。 加熱式タバコが禁煙に役立つかどうか、望ましくない影響があるかどうか、加熱式タバコの使用量増加が喫煙率に与える影響などについて、独立した資金による研究が必要である。 加熱式たばことは何か? 加熱式タバコは、タバコを燃焼させたり煙を発生させたりすることなく、蒸気を放出するのに十分な温度に加熱するように設計されている。電子タバコとの違いは、液体ではなくタバコの葉やシートを加熱する点である。タバコの煙に含まれる有害な化学物質の多くは、タバコを燃やすことで発生する。つまり、タバコを燃やさずに加熱することで、ユーザーが摂取する化学物質の量を減らすことができる。加熱式タバコに変えたことで、タバコを全く吸わなくなったという人もいる。 コクランレビューを行った理由 タバコには中毒性があるため、害があるにもかかわらず、なかなかやめられない人が多い。私たちは、加熱式タバコへの切り替えを試みることで、タバコを止めることができるのか、また、望ましくない効果...

早期の緩和的介入による原発性脳腫瘍患者とその介護者の転帰の改善

2 years 3 months ago
早期の緩和的介入による原発性脳腫瘍患者とその介護者の転帰の改善 なぜこの疑問が重要なのか? 脳腫瘍は、人々やその介護者に大きな影響を与える。脳腫瘍は、身体的、神経認知的、社会的機能を低下させ、家族全員、特に十分な支援を受けていないインフォーマルな介護者に影響を与える可能性がある。他のがんにおいて、病気の初期段階で緩和の支援を受けることで、患者とその介護者のQOL(生活の質)が向上するというエビデンスがある。しかし、脳腫瘍の人を対象には、検証されていない。 目的 原発性脳腫瘍と診断された成人とその介護者の転帰を改善するために、通常のケアと比較して、緩和ケア専門サービスへの紹介を含む早期緩和ケアの介入効果を検証した研究を評価した。 エビデンスの検索方法 出版済みおよび現在進行中のさまざまな種類の医学試験を含む電子医学文献データベースを使用して、該当する研究を検索した。主要な論文の参考文献リストから、この分野の研究における主要な著者を探した。原発性脳腫瘍のある成人と、親族などのインフォーマルな介護者を本レビューの対象とした。 わかったこと 緩和ケア専門チームが患者や介護者の転帰に与える影響を検証した試験は見つからなかった。約半数が高悪性度腫瘍を有する患者集団において、認知という単一の症状に焦点を当てた1件の試験を特定した。この試験では、患者を、構造化された認知リハビリテーションの介入を...
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