多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) 啓発月間

9月はPolycystic Ovary Syndrome Awareness Month(多嚢胞性卵巣症候群啓発月間)であり、最新のコクランエビデンスに注目する絶好の機会です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生殖年齢にある女性の8%~13%が罹患する一般的な疾患です。PCOSには、主に以下の3つの特徴があります。

-              生理不順や生理が来ない(卵巣から卵子が放出されない)などの月経周期の問題

-              男性ホルモンの分泌量が多い-多毛症(過剰な発毛)やテストステロンの上昇

-              多嚢胞性卵巣 - 卵巣に卵子が入った液体で満たされた袋(卵胞)が多数存在する。

肥満は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の臨床的特徴を悪化させます。臨床的特徴には、月経不順、排卵回数の減少、受胎能力の低下、超音波検査における多嚢胞性卵巣、テストステロンなどの男性ホルモンの高値などの生殖に関する問題が含まれます。男性ホルモン濃度の上昇は、顔や体の不要な毛の成長やニキビの原因となります。また、PCOSはメタボリックな特徴を持ち、高濃度のインスリンやインスリン抵抗性、異常なコレステロール値など、糖尿病や心血管疾患の危険因子と関連しています。PCOSは生活の質に影響を与え、症状による、あるいは慢性疾患と診断されたことによる不安や抑うつ状態を悪化させる可能性があります。PCOSを完治させる治療法はありませんが、症状を治療することは可能です。2021.9.10 杉山伸子監訳)

 

コクラン婦人科・不妊グループ(CGF)は、PCOSの治療と管理のための様々な介入の有効性と安全性に関する19のシステマティックレビューを発表しています。

PCOSに関するCochraneシステマティックレビューのキュレーションリストです。

l  多嚢胞性卵巣症候群の女性における体外受精または顕微授精の前および最中のメトホルミン治療について

l  多嚢胞性卵巣症候群における多毛症、にきび、月経異常に対するメトホルミンと経口避妊薬との比較

l  多嚢胞性卵巣症候群の女性における、ゴナドトロピン製剤を用いない排卵誘発のためのメトフォルミン

l  多嚢胞性卵巣症候群に伴う不妊症に対する、タイミング療法や人工授精を行うためにゴナドトロピンで排卵誘発中のメトホルミン投与

l  多嚢胞性卵巣症候群の女性における排卵誘発目的のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)

l  無排卵性多嚢胞性卵巣症候群の女性における排卵誘発のための腹腔鏡下卵巣開孔術

l  多嚢胞性卵巣症候群の女性の症状を緩和するための卵巣手術

l  多嚢胞性卵巣症候群の女性におけるライフスタイルの改善

l  多嚢胞性卵巣症候群に対する鍼治療

l  多嚢胞性卵巣症候群による不妊女性に対するイノシトール

l  生殖補助医療を受ける多嚢胞性卵巣症候群の女性における未熟卵体外成熟(IVM)

l  多嚢胞性卵巣症候群の低受胎性女性に対する中薬(中医学の薬草療法)

l  多嚢胞性卵巣症候群に対する抗うつ薬

l  PCOS女性での排卵誘発のためのメトホルミンとクエン酸クロミフェン併用療法の長期投与と短期投与との比較

l  多嚢胞性卵巣症候群に伴う不妊症に対する、排卵誘発のためのゴナドトロピン放出ホルモンのパルス状投与

l  多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発のためのクロミフェンと他の抗エストロゲン薬