コロナウイルス (COVID-19): 重症管理に役立つエビデンス
この特集号は、COVID-19に関する2つの特集のうちの1つであり、クリティカルケアに関連するエビデンスに焦点を当てています。
別の特別コレクション:コロナウイルス(COVID-19):感染管理と予防対策も参照してください。
2019年のコロナウイルスのアウトブレイクは、2020年1月30日に世界保健機関(WHO)によって世界的な公衆衛生の緊急事態として宣言されました。
関連するシステマティックレビューへの迅速なアクセスを確保するために、このコクランライブラリースペシャルコレクションは、重症急性呼吸器感染症で入院している人々の管理に最も直接的に関連すると特定されたコクランレビューを集めた、特集を組みました。
この特集ではCochrane Acute and Emergency Careがコロナウイルス (COVID-19) のアウトブレイクに関連すると判断したレビュー、およびWHOの中間指針 (2020年1月28日)に関連するレビューが含まれており、以下のトピックが含まれています。
- 補液と昇圧剤による治療
- 呼吸補助と機械的換気
- 機械的換気からの離脱
- 低酸素血症のマネジメント
- 薬物療法
- せん妄の管理
- 集中治療における栄養療法
特集号の中のいくつかのレビューは、Cochrane Clinical Answers (CCA)とリンクをしています。
この特別号に掲載されているレビューはエビデンスの要約であることに、注意を払うことが重要です。レビューが掲載されているからといって有効な治療法であるとは限りません。ここで提示した多くのレビューは、重症急性呼吸器感染症(SARI)の危機的状況において、医学的意思決定に情報を与えるような、質の高いエビデンスが不足していることを強調しています。
(Updated 19 February 2020: addition of a review; 17 February: Addition of Cochrane Clinical Answers; 14 February 2020: changes to title and introduction text)
コクランジャパンでは今回の特集号 Coronavirus (2019-nCoV): evidence relevant to critical care[英文]の翻訳を行いました。
現場でご対応いただいている医療スタッフの皆様に敬意を込めて。
輸液と昇圧剤による治療
低血圧に対する初期の蘇生には、典型的には静脈内輸液を行い、低血圧が持続する場合は昇圧剤を投与する。
敗血症または敗血症性ショックの成人および小児における新規対従来の輸液療法(2018)
10.1002/14651858.CD010593.pub2
敗血症と敗血症性ショックは、成人と小児において高い罹患率と死亡率に関連した感染症の生命をおびやかす可能性のある合併症である。輸液療法は敗血症の初期治療に重要と考えられているが、従来の輸液療法あるいは新規の急速輸液療法が敗血症患者の臨床アウトカムを改善できるかどうかは不明である。本レビューでは、初期敗血症および敗血症性ショックの成人および小児において、従来の輸液療法と比較して、急速輸液療法が臨床アウトカムを改善するかどうかを明らかにする。
重症患者の輸液蘇生のための膠質液と晶質液の比較 (2018)
DOI: 10.1002/14651858.CD000567.pub7
重症の患者では、重篤な病態、感染症(例えば敗血症)、外傷や熱傷などにより体液が失われることがあり、脱水や腎不全を予防するために緊急に輸液負荷が必要となる。この目的のために膠質液または晶質液を用いるだろう。晶質は低分子で、安価で使いやすいが、浮腫を増加させることがある。膠質はより大きな分子を有し、より高価であり、血管内腔でより迅速に容量負荷をもたらしうるが、アレルギー反応、血液凝固異常、および腎不全を誘発しうる。本レビューでは、体液量補充を必要とする重症患者に対する膠質液と晶質液の使用における死亡率、輸血または腎代替療法の必要性、および有害事象に対する効果を評価する。
関連するCCA: How do colloids compare with crystalloids for fluid resuscitation in critically ill people?
重篤な成人および小児における蘇生のための緩衝液と0.9%生理食塩水の比較(2019)
10.1002/14651858.CD012247.pub2
晶質液のうち、0.9%生理食塩水が最もよく投与される。緩衝液はいくつかの理論的利点(代謝性アシドーシスの減少、電解質異常の減少)をもたらすが、これらの臨床的関連性は不明のままである。本レビューでは、重篤な成人および小児における蘇生に対する緩衝液と0.9%生理食塩水の比較の効果を評価する。
低血圧性のショックに対する昇圧薬 (2016)
10.1002/14651858.CD003709.pub4
血行動態に対する昇圧剤の明らかな即時効果にもかかわらず、患者関連アウトカムに対するそれらの効果は議論の余地がある。本レビューは、ショックになっている重症患者の死亡率に対するある昇圧剤レジメン(昇圧薬単独または併用)と他の昇圧剤レジメンの効果を比較することを目的とする。
関連するCCA: How does norepinephrine compare with other vasopressors in people with hypotensive shock?
呼吸補助および機械的換気
重症急性呼吸器感染症患者では酸素投与や機械的換気による補助が必要になるかもしれない。
成人集中治療患者における呼吸補助のための高流量鼻カニュラ (2017)
10.1002/14651858.CD010172.pub2
高流量鼻カニュラ(HFNC)は、広口の鼻カニュラを介し、混合加湿空気と酸素の高流量を投与し、集中治療室(ICU)で急性呼吸不全となっている成人患者の呼吸補助を行うのに有用である。このレビューでは、HFNC群と対照介入群の治療失敗、死亡率、有害事象、呼吸補助の期間、病院とICU滞在期間、呼吸効果、患者が報告したアウトカムおよび治療費用を比較し、安全性と有効性を評価した。
見かけ上正常な気道確保困難成人患者を見分けるための気道の身体所見 (2018)
10.1002/14651858.CD008874.pub2
呼吸管理の失敗は重篤な病状および死亡率と関連する。気道確保困難の4つの指標は、フェイスマスクによる換気困難、喉頭鏡の使用困難、気管挿管困難、挿管失敗である。いくつかのベッドサイドのスクリーニング検査が、気道確保困難のリスクが高い患者を特定するために臨床診療で用いられているが、その正確性および有益性は不明である。本レビューは、明らかな解剖学的気道異常のない成人患者における気道の状態を評価するために、マランパチ分類と他の一般的に使用される気道検査の診断精度を特徴づけ、比較する。
機械的換気を受けている急性呼吸促迫症候群の成人へのリクルートメント手技 (2016)
10.1002/14651858.CD006667.pub3
リクルートメント手技は、機械的換気中に気道圧を一過性に上げることで虚脱した肺胞を再開通し(「リクルート」)、換気に関与する肺胞の数を増加させる。リクルートメント手技は急性呼吸促迫症候群(ARDS)の集中治療患者の治療にしばしば用いられるが、臨床アウトカムに対するリクルートメント手技の治療効果は十分に確立されていない。本レビューは、急性呼吸促迫症候群の成人における死亡率に対するリクルートメント手技の効果、酸素化および有害事象(例:人工呼吸器による肺の圧外傷の割合)に対するリクルートメント手技の効果を明らかにすることを目的とする。
機械的換気を必要とする成人の人工呼吸器関連肺炎の予防のための半臥位と仰臥位の比較(2016)
10.1002/14651858.CD009946.pub2
人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、重症患者における死亡率の増加、入院期間の延長、および医療費の増加と関連している。ガイドラインでは、機械的換気を必要とする患者のVAPを予防するために半臥位(30度~45度)を推奨している。しかし、既存のシステマティックレビューにおける方法論的限界のため、VAP予防のための半臥位の利点と有害性に関してはいまだ不確実なままである。本レビューでは、機械的換気を必要とする成人のVAP予防のための半臥位と仰臥位を比較し、有効性と安全性を評価する。
急性肺傷害(ALI)または急性呼吸促迫症候群(ARDS)による急性呼吸不全に対する従圧式換気と従量式換気の比較(2015)
10.1002/14651858.CD008807.pub2
急性肺傷害(ALI)と急性呼吸促迫症候群(ARDS)は、集中治療室(ICU)における急性呼吸不全症例の4分の1を占める。ALI/ARDS患者に機械的換気を行うと、肺が治癒するまでの時間は確保できるが、機械換気は侵襲的で、肺傷害を引き起こす可能性がある。呼吸ごとに人工呼吸器によってかける圧力を制御して換気した場合に、または呼吸ごとに人工呼吸器によって換気する量を制御して換気した場合に人工呼吸器関連の傷害が減少するかどうかは不明である。本レビューはALI/ARDSの成人における従圧式換気と従量式換気を比較し、従圧式換気が挿管および機械換気された成人の院内死亡率と重症化を低下させるかどうかを特定する。
急性肺傷害および急性呼吸促迫症候群の機械的換気を受けている成人患者に対する高レベルと低レベルの呼気終末持続陽圧(PEEP)の比較(2013)
10.1002/14651858.CD009098.pub2
急性肺傷害(ALI)および急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者の死亡率は高いままである。これらの患者は機械的換気を必要とするが、これは人工呼吸器関連肺傷害と関連している。高レベルの呼気終末持続陽圧(PEEP)は、この状態を低下させ、患者の生存を改善する可能性がある。本レビューでは、ALIおよびARDS患者における高レベルと低レベルのPEEPを比較し、有益性および有害性を評価する。
急性呼吸促迫症候群に対する肺保護的換気戦略(2013)
10.1002/14651858.CD003844.pub4
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と急性肺損傷(ALI)は、人工呼吸器関連肺傷害により更に悪化する。肺保護的換気戦略は生存率の改善につながる可能性がある。本レビューでは、急性呼吸促迫症候群と急性肺傷害に罹患した16歳以上の患者における重症化と死亡率への低一回換気量の効果を評価する。また、30~35cmH20を超えるプラトー圧が設定された場合、低一回換気量と従来の一回換気量との比較が異なるかどうかを判定する。
侵襲的機械換気を必要とする重症成人患者に対する毎日の鎮静中断と毎日の鎮静中断なしの比較(2014)
10.1002/14651858.CD009176.pub2
毎日の鎮静の中断(DSI)は、薬物の蓄積を制限し、より覚醒した状態を促進し、それにより機械的換気の期間を短縮すると考えられている。利用可能なエビデンスは、DSIが機械的換気の期間を短縮するか、変更しないか、または延長することを示している。本レビューは、DSIで管理された静脈内鎮静を必要とする重症成人患者と静脈内鎮静を必要とするDSIで管理しなかった重症成人患者の侵襲的機械換気の総期間を比較することを目的とした。また、DSIが死亡率、集中治療室(ICU)および入院期間、有害事象、鎮静薬の総投与量、および生活の質に影響するかどうかを判定することも目的とした。
機械的換気からの離脱
機械的換気による合併症の発生を最小限に抑えるには、離脱時間を短縮することが望ましい。
重症成人および小児における機械的換気離脱プロトコルの使用に影響する要因:質的エビデンスの統合(2016)
10.1002/14651858.CD011812.pub2
長期の機械的人工換気が、より長い集中治療室滞在期間と、より高い死亡率と関連するため、人工呼吸器からの離脱のプロセスを改善する方法が、必要である。プロトコルの有効性に影響する文脈的要因を理解することの利点に対する認識が高まり、質的エビデンスと有効性のレビューの統合を促進した。本レビューは、機械的換気から成人および小児患者を離脱させるために、医療従事者がプロトコルをどのように使用するかに影響する要因を調査することを目的とした。
重症成人患者における機械的換気の期間を短縮するための離脱プロトコル使用群と離脱プロトコル非使用群の比較(2014)
10.1002/14651858.CD006904.pub3
標準化された離脱プロトコルは、機械的換気に費やす時間を減らすと考えられている。しかし、臨床現場において、それらの使用を支持するエビデンスは一致していない。本レビューでは、プロトコルを用いて離脱した重篤な成人の機械的換気の総持続時間を、従来の(非プロトコルの)治療と比較した。また、離脱期間、害(有害事象)および資源利用 (集中治療室および入院の期間) における離脱プロトコル使用群と離脱プロトコル非使用群のアウトカムの差を判定した。
呼吸不全で挿管された成人に対する離脱戦略としての非侵襲的陽圧換気 (2013)
10.1002/14651858.CD004127.pub3
非侵襲的陽圧換気(NPPV)は侵襲的な気道確保を必要とせずに換気補助を行う。NPPVを使用することで、気管チューブの早期抜去を容易にし、長期の気管内挿管に関連した合併症を減少させることに関心が集まっている。本レビューは、NPPVが侵襲的陽圧換気の離脱と比較して、全死亡率を低下させるかどうかを判定した。また、離脱失敗と人工呼吸器関連肺炎の割合、集中治療室および入院の期間、機械的換気の総期間、離脱に関連した機械的サポートの期間、気管内挿管による機械換気の期間、(離脱に関連している)有害事象の頻度および全体の生活の質における、NPPVと侵襲的陽圧換気の離脱方法間の違いを決定した。
低酸素血症の管理
急性または慢性低酸素血症は、集中治療室への入院および機械換気使用の一般的な理由である。患者のアウトカムを改善するために、機械的換気または補助療法の様々な改良が行われている。
集中治療室に入院した成人における、吸入酸素や動脈血の酸素化の目標値が高い場合と低い場合の比較(2019)
DOI: 10.1002/14651858.CD012631.pub2
低酸素血症の主な治療は酸素療法であり、これは集中治療室に入院したほとんどの成人に行われる。酸素投与は多量に投与可能であり、これによって高酸素血症を生じることもある。高酸素血症と死亡率との関連を示した研究もあれば、関連を示さなかった研究もある。酸素投与は、確固たるエビデンスがないにも関わらず、国際的な診療ガイドラインで広く推奨されている。酸素投与の潜在的な利点は、高酸素血症の潜在的に有害な影響と比較検討されなければならず、本レビューは、集中治療室に入院した成人における、吸入酸素や動脈血の酸素化の目標値が高い場合と低い場合を比較し、利益と有害性を評価する。
関連するCCA: For adults admitted to the intensive care unit (ICU), how do different oxygenation levels compare?
成人の急性呼吸不全に対する腹臥位 (2015)
10.1002/14651858.CD008095.pub2
低酸素血症に対する人工呼吸器が必要となる病因のひとつである、急性呼吸促迫症候群による死亡率は、約40%のままである。腹臥位での換気は、肺メカニクスおよびガス交換を改善し、アウトカムを改善する可能性がある。本レビューでは、従来の侵襲的人工換気を必要とする重症急性呼吸不全患者において、腹臥位での換気が、従来の仰臥位または半臥位での換気と比較して死亡率の低下をもたらすかどうかを判定する。
成人重症患者に対する体外膜型肺(2015)
10.1002/14651858.CD010381.pub2
体外膜型肺(ECMO)は心臓と肺をターゲットとする生命維持装置のひとつであるが、その使用にはいくつかのリスクが伴う。重症呼吸不全に対するECMOは、静脈系にアクセスし、静脈系から血液を戻し、非肺ガス交換を行う。患者に関連した有害事象には、出血または四肢虚血が含まれる。回路関連有害事象にはポンプ不全、人工肺不全、血栓形成などがある。このレビューは、成人における静脈‐静脈または静脈‐動脈ECMOの使用が、通常の呼吸および循環補助と比べ、生存を改善するのにより効果的であるかを明らかにすることを目的とした。
薬物療法
輸液蘇生および換気補助は、クリティカルケアを必要とする重症急性呼吸器感染症(SARI)患者に対する治療の中心であり、様々な薬理学的介入が示唆されているが、利益と害は不明のままである。
急性呼吸促迫症候群の成人に対する薬物治療(2019)
DOI: 10.1002/14651858.CD004477.pub3
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は肺への直接的または間接的傷害により生じる生命をおびやかす状態である。本レビューでは、ARDSの成人における死亡率、機械的人工換気、および12か月での職場復帰への適応度に対する薬物の有効性を評価する。
インフルエンザ治療における補助療法としてのステロイド(2019)
10.1002/14651858.CD010406.pub3
ステロイドは、その抗炎症性および免疫調節性の性質により、敗血症および関連した状況で利点があるというエビデンスが示されている。重症インフルエンザに対して一般的に処方されるが、それらの潜在的な有益性または有害性については不明な点がある。本レビューは、ステロイドの投与のタイミングと用量の違いを考慮して、インフルエンザ治療における補助療法としてのステロイドの有効性と潜在的有害性を評価することを目的とする。
関連するCCA: For adults with influenza admitted to hospital, what are the effects of corticosteroids given to relieve symptoms associated with severe influenza?
成人急性呼吸促迫症候群(ARDS)に対する免疫賦活栄養剤
https://doi.org/10.1002/14651858.CD012041.pub2
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は重大な罹患率と死亡率を伴う全身性炎症反応の過程である。ARDSにおける炎症を緩和する薬物療法は不足している。いくつかの試験は、栄養剤の一部または栄養補助食品として与えられた薬理的な栄養療法の、重篤な疾患およびARDSにおける臨床アウトカムに対する効果を評価している。本レビューは、機械的換気をしている成人のARDS患者に対する標準的な非免疫賦活栄養剤と比較して、免疫賦活栄養剤の効果に関する利用可能なエビデンスを批判的に評価する。
成人の重症患者における院内肺炎に対する短期抗菌薬療法と長期抗菌薬療法(2015)
10.1002/14651858.CD007577.pub3
肺炎は集中治療室の患者を脅かす最も一般的な院内感染である。しかし、院内肺炎(HAP)の治療のための現在の国際的な診療ガイドラインは、数年前に出版されたものであり、人工呼吸器をつけていた患者に起きた肺炎と診断されるもの(VAP)は近年かなり注目されている。重症患者におけるHAPに対する抗菌薬投与の至適期間は不明である。本レビューは、VAP患者を含む重篤な成人におけるHAPに対する短期と長期の投与期間を比較し、抗菌薬の有効性を評価する。
小児の市中肺炎に対する抗菌薬(2013)
10.1002/14651858.CD004874.pub4
細菌性病原体に起因する肺炎は低所得国における小児死亡の主要な原因である。抗菌薬の早期投与はアウトカムを改善する。本レビューは、様々な抗菌薬を比較することにより、小児における様々な重症度の市中肺炎に対する有効な抗菌薬治療を決定することを目的とする。
成人の市中肺炎の入院患者における非定型病原体の経験的抗菌薬の適用(2012)
10.1002/14651858.CD004418.pub4
市中肺炎(CAP)は様々な病原体により引き起こされ、伝統的に「定型」と「非定型 」とに分けられる。CAPの初期の抗菌薬治療は通常、経験的に行われ、定型および非定型肺炎の病原体の両方をカバーするのが通例である。このレビューは、定型肺炎の範囲のみをカバーするものと比較して、非定型肺炎の病原微生物へのカバーも行った抗菌薬レジメンを用いた場合の治療失敗による死亡率と割合を推定することを目的にした。
重症急性呼吸器症候群(SARS)に対する西洋薬と漢方の併用(2012)
10.1002/14651858.CD004882.pub3
重症急性呼吸器症候群(SARS)は、2002年12月22日に中国の佛山市で初めて出現した新規コロナウイルスに起因する急性呼吸器疾患である。このレビューでは、SARS患者に対する、西洋薬のみを使用した場合と比較し、西洋薬と漢方薬を併用した場合の有効性と安全性を評価する。
せん妄の管理
せん妄は、注意を向ける能力、集中する能力、維持する能力、および注意を移す能力が低下し、環境に対する見当識が低下することによっておこる注意、意識、および認知の障害として定義される。
成人重症患者のせん妄に対する薬物療法(2019)
10.1002/14651858.CD011749.pub2
せん妄は典型的な急性の可逆的認知障害であり、その存在は重症患者の短期および長期アウトカムの両方に計り知れない影響を与える。せん妄を発症した患者に対する利用可能な薬理学的介入の相対的有益性および安全性については、かなりの不確実性がある。本レビューは、せん妄のハイリスク群であることが確認または診断された成人の重症患者におけるせん妄の持続期間に対するせん妄治療としての薬理学的介入の効果を評価する。
成人におけるICUで起こるせん妄を予防する介入(2018)
10.1002/14651858.CD009783.pub2
集中治療室(ICU)の重症患者は、しばしばICUせん妄を発症する。それは、死亡率の増加、より長い機械的換気の期間、より長い入院およびICU滞在、および長期の認知機能障害と関係しているため、重症患者および患者家族に深く影響する。このレビューではICUせん妄の予防的介入がICUせん妄、院内死亡率、せん妄と昏睡のない日数、人工呼吸器を使用していない日数、ICU滞在期間および認知機能障害へどの程度効果を及ぼすのか既存のエビデンスを評価する。
Associated CCA: How does haloperidol compare with placebo for preventing delirium in critically ill adults in intensive care?
集中治療室における栄養管理
重症患者では栄養障害のリスクが高い。急性及び慢性疾患、外傷及び炎症はストレス関連異化を誘発し、薬物誘発性の有害事象は食欲を低下させ、悪心及びおう吐を増加させる。さらに、集中治療室(ICU)での患者管理でもルーチンの食事が中断されることがある。
集中治療室における成人の経腸栄養法と非経口栄養法および経腸栄養法と非経口栄養法の併用の比較(2018)
10.1002/14651858.CD012276.pub2
栄養所要量を供給する方法には、経腸栄養法(EN)、非経口栄養法(PN)、またはこれらの併用がある。しかし、いずれの方法も問題がある。本レビューは、栄養摂取を最適化する経路を決定することを目的とする。死亡率、ICUに入室していない日数、有害事象に関して、ENとPNの効果の比較、ENと、ENとPNの組み合わせの効果を比較した。
※このスペシャルコレクションは、状況の変化およびWHOのガイダンスの進展に応じて適用可能であり続けることを保証するために更新され、影響を受けた地域のコクラングループの知識も活用される。予防と感染対策に対処するレビューの追加コレクションは、別々に展開される。このスペシャルコレクションのレビューでは、WHOの暫定のガイダンスで参照されている介入が評価されているが、一次研究に登録されているウイルス感染者の割合が低いことによって、エビデンスを直接、患者に適応できるかどうかは、限定的かもしれない。
2020年2月13日
※ コクランレビューの版権に関しては、コクラン本部とWiley社の契約があり、その上でコクランジャパンが翻訳活動を行っています。
翻訳 増澤祐子
(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野/東京医療保健大学)
監訳 井村春樹
(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野/尼崎医療生協病院)
Acknowledgements
This Special Collection was developed by Michael Brown (Senior Editor, Cochrane Acute and Emergency Care; Senior Editor, Cochrane Circulation and Breathing) and Harald Herkner (Co-ordinating Editor, Cochrane Emergency and Critical Care), working with Toby Lasserson (Deputy Editor in Chief), Liz Bickerdike (Associate Editor), Robin Featherstone (Information Specialist), and Monaz Mehta (Editor) in the Cochrane Editorial & Methods Department.