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体外受精を受ける女性において、胚移植の前処置にはどのような効果があるか

3 days 3 hours ago
主なメッセージ
  • 膀胱を充満させたり、子宮頸部から粘液を取り除いたり、あるいはアフターローディング(子宮内にカテーテルを挿入した後、そのカテーテルに胚を充填すること)を行ったりすることが、妊娠の可能性を高める効果があるかは不明であり、望ましくない影響についてもほとんど報告されていなかった。

  • 胚移植の前処置の効果に関するエビデンスの信頼性を高めるためには、さらに大規模かつ適切に設計された研究が必要である。

体外受精および胚移植とは何か

体外受精(IVF)は不妊治療のひとつである。培養室で卵子と精子を受精させ、できた胚を子宮に移植して、通常通り発育させる。胚は、腟からチューブ(カテーテル)を入れて、子宮頸部を通して子宮内に移植される。これは体外受精の過程における最後の段階であり、問題が生じる可能性が最も高い。妊娠に至るのは1/3に過ぎない。

胚移植の成功率を上げるために、臨床医はさまざまな方法を使う。例えば、女性の膀胱が充満している状態や、医師が子宮頸管粘液を取り除いた場合には、カテーテルの挿入が容易になる可能性がある。使用するカテーテルの種類によっては、まずカテーテルを留置してから胚をカテーテル内に挿入する方法(「アフターローディング」と呼ばれる)、あるいは練習として手順を一度行っておくことも、役立つ場合がある。

知りたかったこと

我々は、胚移植の前処置が、出生率、有害事象、妊娠率、流産率、および移植の難易度に及ぼす影響を明らかにしたいと考えた。

実施したこと

体外受精(IVF)を受ける不妊症の女性を対象に、胚移植の前処置を行う場合と行わない場合を比較した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や規模などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。

わかったこと

胚移植を受けていた不妊症の女性計2,524名を対象とした11件の研究を特定した。これらの研究は、カナダ、米国、アルゼンチン、ブラジル、ベルギー、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、英国、トルコ、および日本で実施された。これらの研究のうち6件は、以下の前処置を調査した:

  • 膀胱を充満させる;

  • 頸管粘液を取り除く;

  • アフターローディング。

主な結果胚移植における充満した膀胱と空の膀胱との比較

膀胱が充満している場合と空の場合とでは、妊娠率、流産率、および胚移植の難易度にどのような影響があるかについては、現時点では不確実である。

  • 生児出産率:報告なし。

  • 妊娠率(2件、273名)

  • 流産率(1件、131名)

  • 移植の難易度(1件、142名)

頸管粘液を除去することと除去しないことの比較
  • 生児出産率:ある研究によると、粘液除去群では220周期あたり52例の出生、粘液除去を行わなかった群では205周期あたり42例の出生が報告された。

  • 妊娠率:妊娠率については、群間で差がほとんどないか、あるいは全くない可能性がある(1件、97名)。別の研究では、粘液除去群では220周期あたり65件の妊娠が、粘液除去を行わなかった群では205周期あたり63件の妊娠が報告された。

  • 流産率:ある研究によると、粘液除去群では220周期中15周期、粘液除去を行わなかった群では205周期中20周期であった。

  • 移植の難易度:報告なし。

アフターローディングと直接移植の比較
  • 生児出産率:報告なし。

  • 妊娠率:妊娠率については、群間で差がほとんどないか、あるいは全くない可能性がある(2件、654人)。

  • 流産率:流産率については、群間で差がほとんどないか、あるいは全くない可能性がある(1件、352名)。

  • 移植の難易度:アフターローディングと直接胚移植が移植の難易度に及ぼす影響については、現時点では非常に不確実である。ある研究では、アフターローディングにより移植の難易度が低下する可能性が報告されている(対象:352名の女性)が、別の研究では、両群とも移植の難易度に差は認められなかったと報告されている。

エビデンスの限界は何か

エビデンスの信頼性は低いか、非常に低い。利用可能な研究は限られており、その大半は小規模で、かつ古いものである。つまり、これらの個々の前処置(例:膀胱充満、粘液除去、アフターローディングなど)のうち、どれが(もしあるとすれば)有効かつ安全であるかは定かではないため、この知見は慎重に解釈すべきである。これらの前処置のいずれかが体外受精(IVF)の成果を真に向上させるかどうかを明らかにし、またそれらの潜在的な副作用をより深く理解するためには、さらなる質の高い研究が必要である。

エビデンスの更新状況

このレビューは2009年に出版されたものを2025年10月に更新したものである。

Yamaji N, Akino R, Sasayama K, Yamamoto M, Brown J, Miyamoto S, Noma H, Ota E, Hasegawa T, Farquhar C

アミノグリコシド、バンコマイシン、メトロニダゾールなどの抗菌薬は肝硬変や肝性脳症(慢性肝臓病に関連した脳障害)の人に有効か?

3 days 3 hours ago
要点
  • これまで肝硬変の人が肝性脳症を発症するリスクを抑えるのに有効と考えられていた抗菌薬は、実は効果がないようである。

  • これらの抗菌薬は、この病気に対する他の治療法より多くの副作用を引き起こす可能性がある。

  • これらの抗菌薬と他の治療法を組み合わせると有用か調べる研究を行う必要がある。

肝硬変とは何か、また肝性脳症とは何か?

肝硬変とは長期的に進行する病気で、肝臓がひどく損傷を受ける。肝臓は通常、血液の浄化、栄養素の処理、感染の防御を助ける。しかし、時を経て損傷が繰り返されると、瘢痕組織(傷が治る過程で生じる、元の状態と異なる組織)が広がり、正常に機能しにくくなる。

肝硬変の人は、脳の機能が低下する肝性脳症になる可能性がある。肝性脳症を発症する仕組みは複雑だが、胃腸からの毒素、特にアンモニアという化合物の血中濃度の高まりが重要な役割を果たす。アンモニアは、主に胃腸内の細菌の活動によって胃腸で発生する。

抗菌薬は肝性脳症においてどのように作用するか?

抗菌薬は細菌が引き起こす感染症の治療に用いられる薬剤で、細菌を殺したり、その増殖を阻止したりする形で作用する。一部の抗菌薬は、胃腸でのアンモニアの生成を減らし、血中アンモニアの値を下げる可能性がある。これら抗菌薬は長年にわたって肝性脳症の治療に使われてきたが、それが実際に効いているかどうかは不明である。本レビューでは、以下の抗菌薬を調べた。

  • アミノグリコシド(ネオマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン)

  • バンコマイシン

  • メトロニダゾール

知りたかったこと

これらの抗菌薬が肝硬変の人において肝性脳症を予防または治療するのに役立つかどうか知りたかった。死亡数、肝性脳症の症状が改善した人または改善しなかった人の数、そして重症の合併症(ある病気が原因で発症する別の病気や症状)または軽症の合併症が起きた人の数への影響を分析した。

実施したこと

アミノグリコシド、バンコマイシン、メトロニダゾールを以下のものと比較した研究を探した。

  • プラセボ、すなわち薬効がない「偽の」薬

  • 非吸収性の二糖類。これは主に消化管内で作用する糖で、消化器と肝臓の病気の治療によく用いられる。

  • 他の抗菌薬

  • 症状を緩和させる可能性のある他の活性物質

研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいてエビデンスの信頼性を評価した。

わかったこと

参加者1,405人を対象に行われた24件の研究が見つかった。これらの研究のうち、23件は肝性脳症の 治療薬 として評価したもの、1件は発症リスクが高い人における肝性脳症の 予防 について調べたものだった。

以下の比較について、エビデンスが見つかった。

  • アミノグリコシドとプラセボ、非吸収性の二糖類、他の抗菌薬、他の活性物質(合計19件の研究)

  • バンコマイシンと非吸収性の二糖類(2件の研究)

  • メトロニダゾールと他の活性物質(3件の研究)

主な結果

死亡数

  • アミノグリコシドを用いると、他の活性物質と比べて死亡リスクがやや増大する可能性がある。

  • しかし、プラセボ、非吸収性二糖類、他の抗菌薬と比べて死亡リスクに差があるかはわからない。

  • また、以下のものの間で死亡リスクに差があるかも不明である。

    • バンコマイシンと非吸収性二糖類

    • メトロニダゾールと他の活性物質

肝性脳症:肝性脳症が改善した人の数

  • アミノグリコシドを用いても、非吸収性二糖類や他の活性物質と比べて、症状が改善する人の数には、ほとんどまたはまったく差がない可能性がある。

  • メトロニダゾールを用いても、他の活性物質と比べて、症状が改善する人の数には、ほとんどまたはまったく差がない可能性がある。

  • 以下のものを比べた場合、症状が改善する人の数に差があるかどうかわからない。

    • アミノグリコシドとプラセボまたは他の抗菌薬

    • バンコマイシンと非吸収性二糖類

重症の合併症

  • アミノグリコシドは、他の活性物質と比べて、重症の合併症のリスクをやや増大させる可能性がある。

  • 以下のものを比べた場合、重症の合併症について、なんらかの違いがあるかどうかわからない。

    • アミノグリコシドとプラセボまたは他の抗菌薬

    • バンコマイシンと非吸収性二糖類

軽症の合併症

  • アミノグリコシドを用いると、プラセボまたは他の抗菌薬と比べて、軽症の合併症のリスクがやや増大する可能性がある。

  • 以下のものを比べた場合は、軽症の合併症のリスクに差があるかどうかわからない。

    • アミノグリコシドと非吸収性二糖類または他の活性物質

    • メトロニダゾールと他の活性物質

    • バンコマイシンと非吸収性二糖類

健康関連の生活の質(QOL)に関しては、メトロニダゾールを用いた1件の研究でしか報告がなかったため、この結果(評価項目)についてはいかなる結論も出せない。

エビデンスの限界

一部の研究では、参加者がどの治療を受けていたか、参加者自身と研究者が知っており、これが結果に影響した可能性があったほか、われわれが知りたかった評価項目について報告していない研究もあったことから、本レビューの結果はほとんどまたは全く信頼できなかった。研究の規模は概して小さく、実施方法もまちまちだった。また、結果を信頼するには、研究の数が少なすぎた。

エビデンスはいつのものか?

エビデンスは2025年4月15日現在のものである。

Jeyaraj R, Zacharias HD, Vadera S, Low ZY, Gluud LL, Morgan MY

卵管閉塞(卵管がつまっていること)や卵管水腫(卵管の中に水がたまっていること)を診断するための画像検査はどの程度正確か?

3 days 3 hours ago
要点
  • 超音波を使った子宮卵管造影検査(sono-HSG)、子宮卵管造影検査(HSG)、および経腟的腹腔鏡検査(THL:腟から腹腔内に内視鏡を入れて行う検査)といった画像検査は、卵管が閉塞しているかどうかを確実に確認することができる。

  • HSGは、実際には閉塞していないにもかかわらず、卵管が閉塞していると判断されることが、sono-HSGやTHLに比べて多いようだ。

  • 検査同士を比較する研究、卵管水腫に関する研究、そして磁気共鳴子宮卵管造影法(MR-HSG:MRIを使った検査)に関する研究がさらに必要である。

卵管閉塞を診断することは、なぜ重要なのか?

卵管は、卵子が卵巣から子宮へと移動する通り道である。卵管が閉塞していると、卵子と精子が出会うことができないため、妊娠できなくなる。妊娠するために適切な治療法を選ぶためには、卵管閉塞や卵管水腫の診断が欠かせない。従来、色がついた液体を使った腹腔鏡検査が行われてきたが、この方法は侵襲性が高く、費用もかかる。画像を使った代わりの検査が開発されており、これらは費用が安く、侵襲性も低く、外来診療の場で実施することができる。

どのような画像検査があるか?
  • 超音波子宮卵管造影検査(sono-HSG):子宮内に生理食塩水または泡を注入し、経腟超音波検査を使って、その液体が卵管を通過するかどうかを確認する。

  • 子宮卵管造影検査(HSG):子宮内に造影剤を注入し、X線写真を撮って、造影剤が卵管を通過するかどうかを確認する。

  • 経腟的腹腔鏡検査(THL):腟壁から腹腔内に小さなカメラを入れ、子宮内に生理食塩水を注入し、卵管を通過するかどうかを確認する。

  • 磁気共鳴子宮卵管造影検査(MR-HSG):HSGと同じように、磁気共鳴画像法(MRI)を使って、卵管の詳細な写真を撮る。

知りたかったこと

従来の腹腔鏡検査と比べて、これらの検査が卵管閉塞や卵管水腫をどの程度正確に検出できるかを明らかにしたかった。

実施したこと

これらの画像検査と従来の腹腔鏡検査とを比べた研究を探した。すべての研究結果を統合し、各検査が、卵管閉塞や卵管水腫をどの程度正確に判別できるかを確認した。

わかったこと

レビューには、計1,939人の女性を対象とした21件の研究が含まれた。

  • 超音波子宮卵管造影検査(sono-HSG)に関する8件の研究;

  • 子宮卵管造影検査(HSG)に関する8件の研究;

  • 経腟的腹腔鏡(THL)に関する3件の研究;

  • 核磁気共鳴子宮卵管造影検査(MR-HSG)に関する研究はなかった;

  • sono-HSGとHSGに関する2件の研究。

sono-HSGに関する研究のうち2件と、HSGに関する研究のうち2件だけが、卵管水腫について報告していた。

3件の研究は英語ではなかったため、オンラインで翻訳した。9件の研究では、対象者が卵管閉塞のリスクが低いのか高いのかが明確に説明されていなかった。7件の研究では、検査が訓練を受けた医療従事者によって行われたかどうかについて言及されていなかった。

卵管閉塞

Sono-HSG、HSG、THLは、卵管閉塞の診断に信頼性の高い検査である。HSGは、sono-HSGやTHLに比べて、実際には閉塞していない卵管が閉塞していると誤って判断される可能性が高い。

もし1,000人の女性を対象に、さまざまな画像検査を用いて卵管閉塞の検査を行い、そのうち182人が実際に両側の卵管が閉塞していた場合(この数値は、研究の対象者で実際に卵管閉塞が認められた頻度にもとづく)、

  • sono-HSGでは: 186人の女性が卵管閉塞と診断されるだろう。このうち、実際は卵管が閉塞してない女性が8人いる。また、卵管が閉塞していないと診断される女性は814人であり、そのうち、実際は卵管が閉塞している女性は4人いる。

  • HSGでは: 189人の女性が、卵管閉塞であると診断されるだろう。このうち、実際は卵管が閉塞していない女性が49人いる。また、卵管が閉塞していないと診断される女性は811人であり、そのうち、実際は卵管が閉塞している女性は57人いる。

  • THLでは: 181人の女性が卵管閉塞と診断されるだろう。このうち、実際は卵管が閉塞していない女性が8人いる。また、卵管が閉塞していないと診断される女性は819人であり、そのうち、実際は卵管が閉塞している女性は9人いる。

卵管水腫
  • 1件のsono-HSGの研究では卵管ごとに結果が報告されていたが、もう1件の研究では女性ごとに結果が報告されていたため、両者の結果を統合することはできなかった。

  • 2件のHSG検査では、卵管ごとの結果が報告されていた。実際に水がたまっていた卵管すべてが、正しく卵管水腫であると診断された。一方、実際には水がたまっていなかった卵管では、4%が誤って卵管水腫であると診断された。

エビデンスの限界

対象となった研究では、卵管ごとの閉塞、片側の卵管閉塞、あるいは両側の卵管閉塞について調べられていた。それぞれの検査で、これらの事項ごとに結果を報告した研究はごくわずかであったため、結論を導き出すことは困難であった。また、ある画像検査と別の画像検査を比べた研究はごくわずかであったため、どの検査が優れているかを判断することはできなかった。

エビデンスの更新状況

エビデンスは、2023年11月現在のものである。

Tros R, Kamphuis D, Rosielle K, Koks C, Mijatovic V, Bongers MY, Mol BWJ, Wang R

生殖補助医療において、子宮に移植する前の胚の発育を促すための最も効果的な溶液(培養液)は何か

3 days 3 hours ago
主なメッセージ
  • 今回のアップデート版レビューでは、自然妊娠が困難な女性を対象とした生殖補助医療(ART)において、胚の発育を促進する上で重要な役割を果たす特殊な溶液(培養液)について評価を行った。現時点では、健やかな赤ちゃんを産む可能性を最も高めてくれる培養液がどれなのかは分からない。G5という胚培養液の方が、HTFという培養液よりも生児獲得率が高い可能性が示唆された研究があったが、他の研究では、異なる培養液間での成功率の差は明確でなかった。

  • 研究ごとに異なる培地が使用されていたため、エビデンスは限定的であり、それらの結果を統合することはできなかった。多くの研究で、参加者が少ないなどの弱点が見られた。どの胚培養液が最も効果的かを明らかにするためには、綿密に設計されたより多くの研究が必要である。

胚培養液とは何か

自然妊娠ができない女性は、体外受精(IVF)など、体外で卵子と精子を受精させる生殖補助医療(ART)を受けることができる。こうして作られた胚の発育を助けること(培養)は、体外受精治療の非常に重要な要素である。胚は胚培養液と呼ばれる特別な溶液に入れられる。この液体は栄養を供給し、子宮に移植されるまで、または将来使用するために凍結されるまでの胚の成長を助ける。胚培養液にはさまざまな種類がある。

どの培地が最も効果的かについて合意が得られていないのはなぜか

どの種類の胚培養液が生児獲得率を最も高めるかについて、現在のところ明確な合意は得られていない。ある培養液を別の培養液と比べて確信をもって選べるような十分に信頼性の高い情報は、現時点で利用できる研究からは得られていない。このため、医師や患者にとって、どの選択肢を選べばよいのか判断が難しい。

知りたかったこと

さまざまな種類のヒト胚培養液が、体外受精(IVF)治療を受けている女性において、赤ちゃんを授かる確率や継続した妊娠(超音波検査で心拍が確認された状態)にどのような影響を与えるのかを調べたかった。

実施したこと

体外受精(IVF)治療において使用可能なさまざまな胚培養液を比較した研究を検索した。重要だと考えるすべての指標について、研究結果を検討した。各研究の信頼性については、その研究のデザインや実施方法に基づいて検討した。各重要指標に関するエビデンスについて、その確実性をどの程度とみなすかについて判断を下した。

わかったこと

関連する研究を26件見つけ、そのうち8件が生児獲得や継続した妊娠といった最も重要な指標を評価していた。さらに進行中の研究が5件、十分な情報が含まれていない短い要約としてのみ公表されているために本調査には含めることができなかった研究が60件ある。どの研究の結果も統合することはできなかった。同じ培地を比較した研究が2つ以上なかったからである。

主な結果

本レビューの対象となった26件の研究のうち、8件(女性3,315名)が、生児獲得または継続した妊娠について報告していた。

ほとんどの研究では、比較対象とした培養液間に明確な違いは見られなかった。しかし、規模が最も大きい2件の研究では、重要な意味を持つ可能性のあるいくつかの違いが確認された。

ある研究によると、G5の場合、HTFと比較して生児獲得率が6%高い可能性が高いことが示された(対象:836人の女性)。別の研究では、GM-CSFを併用したEmbryoAssist(HSA値が低い場合、すなわち血中アルブミン濃度が低い場合)では、GM-CSFを併用しないEmbryoAssist(743名の女性)と比較して、生児獲得率が6%高くなる可能性があることが示されたが、研究期間中に治療法が変更されたことなどから、この結果は非常に不確実である。

同じ研究で継続した妊娠の率にも違いがみられた。ある研究では、G5はHTFと比較して、継続した妊娠の率を高める可能性が高いことが示唆された(対象:836名の女性)。別の研究では、GM-CSF(低HSA)を併用したEmbryoAssistは、GM-CSFを併用しないEmbryoAssist(743人の女性)と比較して、継続した妊娠の率を高める可能性があることが示唆されたが、この結果については非常に不確実である。

エビデンスは非常に限られており、不明確であるため、異なる研究の結果を統合することはできなかった。これらの知見を裏付け、特定の培養液が治療の成功率を向上させるかどうかを明らかにするためには、さらに綿密に設計された研究が必要である。

エビデンスの限界
  • 多くの研究では、対象となった女性の数がごくわずかだった。

  • 一部の研究では、研究デザインの面で問題が見られた。

  • いくつかの研究では、比較対象となる群に(女性ではなく)卵子や胚を割り当てたり、異なる研究群から同じ女性へ胚を移植したりしていた。

  • ほとんどの研究では、培養液の成分について明確に記述されていなかった。

  • 多くの研究では、重要な指標のすべてが報告されていなかった。

全体として、以下の理由により、エビデンスの確実性は概して非常に低かった。

  • これらの研究を互いに統合することはできなかった。

  • 研究結果は正確ではなかった。

  • これらの研究の結果は、必ずしも適切な方法で導き出されたとは限らなかった。

このエビデンスの更新状況

このレビューは2015年に発行されたものを更新したものである。エビデンスは2025年8月28日現在のものである。

Laverde M, Zagers M, van Wely M, Youssef M, Mastenbroek S, supported by the Cochrane Gynaecology and Fertility Review Group

うつ病や不安障害を抱える人の抗うつ薬の長期使用の中止

4 weeks 2 days ago
レビューの論点

抗うつ薬を6か月以上服用しているうつ病や不安障害の人に対して、抗うつ薬を中止することが効果的で安全であるかどうかを調べることを目的とした。

抗うつ薬の長期投与を中止するためのさまざまな方法と投与の継続を比較した。長期投与の中止による利点(成功した中止率など)と悪影響、たとえば、うつ病や不安障害のエピソードの再発(再燃)、副作用、離脱症状(抗うつ薬を中止する際に人々が経験する症状)などを検討した。

背景

抗うつ薬はうつ病や不安障害に広く使われている。ガイドラインでは、気分が良くなってから少なくとも6か月間、うつ病のエピソードを2回以上経験した場合は少なくとも2年間、抗うつ薬を継続することが推奨されている。多くの人がそれよりもはるかに長く抗うつ薬を服用しており、また抗うつ薬が不快な副作用を引き起こす可能性があるため、長期的な使用には利益を上回る害をもたらす危険がある。

研究の特性

2020年1月までの検索では、33件の研究が見つかり、4,995人の成人参加者が含まれていた。これらの研究では、ほとんどの人が再発性うつ病(抗うつ薬を中止する前にうつ病のエピソードを2回以上経験)であり、ほとんどの人が専門の精神医療サービスをとおして募集された。13件の研究では、抗うつ薬は突然中止されており、18件では、数週間かけて徐々に抗うつ薬を中止していた(「漸減」)。4件では、心理療法による支援も提供され、1件では、漸減に関する指導が記載された総合診療医(かかりつけ医)への手紙によって中止が促された。漸減の期間は、ほとんどが4週間以内であった。

主な結果

突然の中止が再発のリスクを高める可能性を示唆する非常に低い確実性のエビデンスが見つかり、抗うつ薬の継続と比較して、副作用の発生に対する影響には十分なエビデンスがなかった。

数週間かけた「漸減」が再発のリスクを高める可能性があるものの、抗うつ薬を継続した場合と比較して、同じく副作用への影響はほとんどないことを示唆する非常に低い確実性のエビデンスが見つかった。

予防的認知療法(PCT)またはMBCTを同時に提供することによって、抗うつ薬を漸減した患者群の40%から75%が抗うつ薬を中止できたことと、抗うつ薬の中止による再発への影響には差がないと考えられることを示唆するエビデンスが得られたが、確実性は非常に低いから低い範囲であった。

低い確実性のエビデンスから、かかりつけ医に送られた漸減を促す手紙や指導は、抗うつ薬を中止する人の数に影響を及ぼさない可能性があることが示唆された。

抗うつ薬を急に中止した場合や徐々に中止した場合の離脱症状については、全般的に評価されていないため、結論を出すことができなかった。

数週間以上の非常にゆっくりとした漸減法を用いた研究や、液状の抗うつ薬を漸減させた研究、テーパリングストリップ(超低用量で漸減させるためのもの)を用いた研究はなかった。

また、オンラインサポートや自助努力などの支持療法を提供しながら中止する方法を検討した研究はなかった。

エビデンスの確実性

全体として、エビデンスの確実性は「低い」から「非常に低い」の範囲にあった。これは、結果に対する信頼性が限られているか、ほとんどないことを意味しており、新たな研究によって結論が変わる可能性がある。エビデンスの確実性がこのように評価された主な理由は、試験がうつ病の再発の症状と離脱症状を区別していなかったことにある。また、ほとんどの研究が漸減を行わないか、非常に「急速な」漸減スケジュール(4週間以下)を採用しており、ほぼすべての研究が再発性うつ病(エピソードを2回以上経験)の人を対象としていた。

結論

抗うつ薬の長期投与の中止を検討した研究はほとんどなかった。これまでに研究された抗うつ薬の長期投与を中止する方法が、再発性うつ病の人に有効で安全であるかどうかは不明である。抗うつ薬をやめたいときは、医師と相談する必要がある。

今後の研究では、プライマリ・ケア(一般内科診療)を受けている人で、うつ病のエピソードが1回しかない、あるいはうつ病のエピソードが以前にはなかった人、高齢者、不安のために抗うつ薬を服用している人などを対象とすべきである。研究では、離脱症状と再発を区別することに注意しながら、抗うつ薬をゆっくりと漸減させる必要がある。

Van Leeuwen E, van Driel ML, Horowitz MA, Kendrick T, Donald M, De Sutter AIM, Robertson L, Christiaens T

心臓のリズムが正常な心不全患者にとって、抗血小板療法と抗凝固療法のどちらがより効果的か?

4 weeks 2 days ago
要点

心臓のリズムが正常な心不全患者にとっては、ワルファリン(抗凝固薬:タンパク質を阻害することで血液が固まるのを防ぐ薬)は、アスピリンなどの抗血小板薬(血小板を阻害することで血液が固まるのを防ぐ薬)に比べて有利な点がほとんどまたは全くないようだ。

ワルファリンによる治療は、アスピリンやクロピドグレル(抗血小板薬)に比べて出血のリスクが高くなる。

抗凝固療法や抗血小板療法は、心不全の患者にどのような効果があるのか?

心不全の患者の中には、心房細動という不整脈が起こる人もいれば、心臓のリズムが正常(洞調律)のままの人もいる。心不全の患者は、心臓内の血流が遅くなることがあり、その場合、血液が固まって血栓ができる恐れがある。血栓は、血が固まるために必要なタンパク質(凝固因子)と粘着性の血液細胞(血小板)によって形成される。

心臓のリズムが正常な心不全患者も多くは心臓の動脈が狭くなっているため、医師はしばしば、血小板の働きを阻害して血栓をできにくくする薬であるアスピリンを処方する。また、心不全の患者は、肺や脚、脳の血管に血栓がつまる(血栓塞栓症、虚血性脳卒中などの)リスクがあり、これは障害や死につながる可能性がある。

ワルファリンのような経口抗凝固薬は、血が固まるために必要なタンパク質を阻害し、血栓をできにくくする働きがある。不整脈を伴う心不全患者においては、ワルファリンがアスピリンよりも有効であることが知られているため、すべての心不全患者(心臓のリズムが正常な患者を含む)に経口抗凝固薬を投与すべきかどうかを明らかにしようと、いくつかの研究が行われた。

知りたかったこと

心臓のリズムが正常な心不全患者において、抗凝固薬と抗血小板薬の効果に差があるかどうかを調べたかった。特に、投与された薬剤の種類によって、死亡、血栓性合併症(心臓発作や脳卒中など)、あるいは重大な出血性合併症のリスクに差があるかどうかを知りたかった。

実施したこと

心臓のリズムが正常な心不全の成人患者に対し、少なくとも1か月の間、抗血小板薬または抗凝固薬を無作為に選んで投与した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究規模などに基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。

わかったこと

合計4,187人が治療に参加した4件の研究をレビューの対象に含めた。

これら4件の研究では、アスピリンを服用した人とワルファリンを服用した人の間で、死亡リスクにはほとんど差がないことがわかった。また、心臓発作や脳卒中などの血栓性合併症のリスクを低くするという点でも、ワルファリンがアスピリンより優れていることを証明するのに十分なエビデンスは得られなかった。一方で、ワルファリンを服用している人が重度の出血を起こす頻度は、アスピリンを服用している人の2倍だった。1件の中規模の研究では、ワルファリンを別の抗血小板薬であるクロピドグレルとも比較して、同じような結果が出た。すなわち、死亡や血栓性合併症の発生率には差がなかったが、重度の出血を起こすリスクは高かった。

より効果的で安全な新しい薬ができない限り、この結論が今後の研究によって変わる可能性は低い。

エビデンスの限界

ワルファリンとアスピリンを比較したエビデンスは、血栓性合併症や出血の症例が少なく、また死亡リスクに関する結果の確実性を判断するのに十分な数の研究がなかったため、その信頼度は中程度にとどまる。

ワルファリンとクロピドグレルを比較したエビデンスは、ごく少数の症例のみに基づいており、その結果の確実性を判断するのに十分な数の研究がなかったため、その信頼性は非常に低い。

エビデンスの更新状況

これは、以前に発表されたレビューの更新版である。エビデンスは、2025年4月現在のものである。

Kozieł-Siołkowska M, Shantsila E, Shantsila A, Lip GYH

マクロライド系抗生物質を使うと、早産児がかかる慢性的な肺疾患の予防に対してどんな効果があるか?

1 month ago
要点
  • 気管支肺異形成症は、肺の発達が十分でない早産児によく見られる長く続く肺の病気である。生後72時間以内に気管に管を入れて行う人工呼吸を必要とする、妊娠32週未満で生まれた赤ちゃん(超早産児・極早産児)や体重が1500g未満で生まれた赤ちゃん(極低出生体重児)に、気管支肺異形成症を予防するためにマクロライド系抗生物質を使うことの安全性と有効性については、現時点では明らかではない。

  • 今後の研究では、マクロライド系抗生物質が長期的な評価項目に与える影響や、気管支肺異形成症のリスクがあるか気管支肺異形成症になった他の赤ちゃんへの使用について調べることが必要である。また、マクロライド系抗生物質の投与期間についても、もっと研究が必要である。

気管支肺異形成症とは

とても早く生まれた赤ちゃんやとても小さく生まれた赤ちゃんは、気管支肺異形成症になるリスクがある。これは、肺の発達が十分ではない早産児によく見られる長く続く肺の病気である。症状は軽度から重度までさまざまで、肺にある小さな袋(肺胞)が炎症を起こしてふくれ、呼吸がしづらくなる。この病気になった赤ちゃんは、自宅での酸素療法が必要な場合がある。幼児期には、呼吸器感染症をくり返したり、喘息になったりしやすい。とても早く生まれ、気管に管を入れて人工呼吸をする必要があった赤ちゃんは、肺の炎症が長引いたり肺の病気にかかったりするリスクが高くなる。

気管支肺異形成症の予防法

気管支肺異形成症を予防する一つの方法として、生まれてすぐに気管に管を入れる必要がある赤ちゃんに対して、マクロライド系抗生物質を一定期間投与することがある。マクロライド系抗生物質は、肺の炎症を抑えるはたらきを持つ抗生物質の一群である。マクロライド系抗生物質には、アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどがある。これらの薬は、成人では、肺の組織が硬くなって(線維化)息切れを起こす病気(肺気腫)や息の流れが悪くなって呼吸が苦しくなる病気(慢性閉塞性肺疾患)、子どもでは、肺に粘り気のある粘液がたまる病気(嚢胞性線維症)など、他の肺の病気の治療にも使われていて、呼吸機能の改善や、咳や喘鳴などの胸の症状をやわらげるのに役立っている。

知りたかったこと

マクロライド系抗生物質を使うことが、超早産児・極早産児や極低出生体重児に役立つかどうかを知りたかった。具体的には、マクロライド系抗生物質の静脈内投与や胃内投与が、プラセボ(偽薬)または無治療と比べて、以下の評価項目にどのような影響を与えるかを明らかにしたかった。

  • 気管支肺異形成症

  • 死亡退院(退院できずに亡くなること)

  • 胃腸の不調(下痢や嘔吐)

  • 肝機能障害

  • 不整脈

  • 幽門狭窄(胃から十二指腸へと続く出口が厚くなって狭くなること)

  • 生まれてすぐに肺の炎症を治療するためにステロイドを使う必要性

実施したこと

生まれてすぐに気管に管を入れる人工呼吸が必要だった超早産児・極早産児または極低出生体重児(あるいはその両方)を対象に、気管支肺異形成症の予防を目的として、マクロライド系抗生物質の投与をプラセボまたは無治療と比較検討した研究を検索した。特定した研究結果を比較、要約し、研究方法や質などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。

わかったこと

生まれてすぐに人工呼吸を行った早産児を対象に、マクロライド系抗生物質の投与とプラセボまたは無治療とを比べた研究を6件(対象者1,108名)確認した。未発表または未完了の研究が5件進行中である。著者から結果のデータを受け取るのを待っているために、1件の研究が分類待ちの状態である。

対象となった6件の研究のうち5件では、アジスロマイシンを静脈内に投与した。そのうち2件の研究では、6週間投与されていた(完全経口栄養が可能になるまで静脈内投与を行い、その後は胃に入れた栄養チューブを使った胃内投与に切り替え)。他には、10日間、5日間、3日間投与された研究がそれぞれ1件ずつあった。残る1件の研究では、エリスロマイシンを静脈内に7日間投与した。

主な結果

生まれてすぐに人工呼吸を行った早産児を対象に、マクロライド系抗生物質(アジスロマイシン)を使うと、プラセボまたは無治療と比べて、以下の効果が期待される:

  • 気管支肺異形成症の診断にはほとんど、あるいは全く影響を与えない。

  • 退院前の死亡率をわずかに下げる。

  • 胃の不調を減らす。

  • マクロライド系抗生物質によるその他の副作用(肝機能障害、不整脈、幽門狭窄など)には、ほとんど、あるいは全く影響を与えない。

  • 生まれてすぐに肺の炎症を治療するためにステロイドを使う必要性を減らす。

エビデンスの限界

ほとんどのエビデンスの信頼性が低いため、この分野における今後の研究によって、結論が変わるかもしれない。エビデンスの信頼性を下げた主な要因は3つある。まず、厳格な選定基準によって、対象となる研究と赤ちゃんの数が限られてしまった。第二に、最初の研究から最後の研究が行われたまでの期間が30年間にわたっているので、その間に病気の赤ちゃんのケアや肺の病気の定義がとても大きく進歩していて、有意義な結果を得ることは難しかった。最後に、6件の研究のうち5件ではアジスロマイシンが使われ、残る1件ではエリスロマイシンが使われていたため、この結果が他のマクロライド系抗生物質にも当てはまるかどうかは断定できない。

本エビデンスはいつのものか?

エビデンスは、2025年6月現在のものである。

O’Connor KL, Cracknell J, Cooper C, Davies MW

断続的断食、従来の食事指導、あるいは何も治療を受けないこと―これらの中で、過体重や肥満の成人が減量するには、どれが最も効果的か?

1 month ago
要点
  • 従来の食事指導(カロリー制限や食事内容の変更など)と比べると、断続的断食は、過体重や肥満の成人の体重減少や生活の質にほとんど影響を与えないかもしれない。望ましくない事象に関する結果については、確信が持てない。

  • 指導を受けない場合や待機者リストに登録されている場合など何も治療をしないことと比べると、断続的断食は、体重減少にほとんど影響を与えない可能性がある。生活の質や望ましくない事象(疲れやすさや頭痛、体調不良など)に関するエビデンスについては、確信が持てない。

  • 断続的断食に対する人々の満足度、糖尿病の状態、あるいは他の健康問題に関する総合的な指標について報告している研究はなかった。これらを解明するためには、さらなる研究が必要である。

肥満とは何か、そして断続的断食はどのように役立つのか?

肥満とは、体脂肪が多く、健康にとって良くない状態である。体重に関連する合併症を引き起こし、2型糖尿病などの重篤な病気や死亡のリスクを高める可能性がある。世界的に肥満が増加しており、医療制度に大きな負担をかけている。減量は、過体重や肥満による健康リスクや社会への影響を減らすための最も良い手段である。従来の食事指導には、カロリー制限をすることやより健康的な食品を摂取し、タンパク質・炭水化物・脂質の摂取量を調整し食習慣を変えることが含まれる。断続的断食は、減量のための比較的新しい方法である。これは、ほとんど食べない、あるいは全く食べない期間(断食)と、通常通り食べる期間を交互に繰り返すものである。断続的断食には、毎日決まった時間帯にだけ食べる方法(時間制限食)、週の特定の日に断食をする方法(周期性断食)、あるいは通常通りに食べる日とごく少量しか食べない日を交互に行う方法(隔日断食)など、さまざまな種類がある。断続的断食は、一部の身体機能が良くなることで全体的な健康状態を改善する可能性があるが、一方で、疲れやすさや頭痛、吐き気などの望ましくない症状を引き起こすこともある。

知りたかったこと

過体重や肥満の成人にとって、断続的断食が従来の食事指導よりも減量に効果的かどうかを調べたかった。また、人々の生活の質や糖尿病の状態、血中脂質値にどのような影響があるか、そして副作用があったかどうかについても調べたかった。

実施したこと

18歳以上で、過体重または肥満の人を対象に、断続的断食をする・従来の食事指導を受ける・何も治療を受けないか待機者リストに登録されているの各群に、無作為に割りつけた研究を検索した。(待機者リストの群は、治療を受ける予定だが、すぐには開始しない群である。研究では、すぐに治療を受けた群と比べられた)。糖尿病や腎臓病などの肥満に関連した疾患の有無に関わらず、過体重または肥満の人々を研究の対象として含めた。

わかったこと

自宅や地域社会で治療を受けた1,995人を対象とした、22件の研究が見つかった。研究は、ヨーロッパ、北米、中国、オーストラリア、および南米で行われていた。

従来の食事指導と比べて 、断続的断食は、開始時の体重からの変化でみた減量(21件の研究、1,430人)と生活の質(3件の研究、106人)について、ほとんど影響がないかもしれない。体重を5%減少させる効果(4件の研究、472名)や有害事象(7件の研究、619名)への影響については、現時点では明らかではない。

何も治療をしないか待機者リストの群と比べて 、断続的断食は、減量にほとんど影響を与えない可能性がある(6件の研究、427名)。生活の質(1件の研究、60名)や有害事象(2件の研究、189名)への影響については、現時点では明らかではない。

対象となった研究のいずれも、断続的断食に対する人々の満足度、糖尿病の状態、あるいはその他の健康問題に関する総合的な指標については報告していなかった。

エビデンスの限界

断続的断食と何も治療をしないこととを比べた場合の減量効果に対する結果については、中程度の信頼性がある。一方、その他の検討項目については、信頼性は「低い」から「極めて低い」である。これは、対象となった研究の多くが方法論的に弱点があり(最も厳密な方法を使用していない)、研究の対象者数が少なく、報告された結果が決定的ではなかったからである。

レビューの更新状況

エビデンスは、2024年11月5日現在のものである。

Garegnani LI, Oltra G, Ivaldi D, Burgos MA, Andrenacci PJ, Rico S, Boyd M, Radler D, Escobar Liquitay CM, Madrid E

大腸がんを予防するために、一般の(発症リスクが高くない)人々がアスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用する利益とリスク

1 month ago
要点
  • アスピリンを毎日服用すると大腸がんを予防できるかをめぐるエビデンスは、研究結果が一致せず不確かだが、脳内および頭蓋骨周辺の出血リスクが増大することについては明確なエビデンスがある。

  • 5~15年のフォローアップ(追跡調査)後の評価では、アスピリンを服用しても、大腸がんの新規発症数に影響を与えない可能性が高い。アスピリンを15年以上使用した場合、大腸がんの新規発症数を減少させる可能性があるが、この結果は不確実である。

  • 大腸がんによる死亡数は、アスピリンを5~10年間使用するとやや増加し、15年以上使用すると減少する可能性があるが、この結果もまた不確実である。

  • アスピリンはおそらく重篤な副作用の総数には影響しないが、頭蓋外出血(頭蓋骨の外側で起きる出血)のリスクを高め、おそらく出血性脳卒中(脳内または脳周辺で起きる出血)のリスクも高める。

  • アスピリンの長期的な影響を理解し、他の抗炎症薬でも大腸がんを予防できるかどうかを調べるためには、さらなる研究が必要である。

大腸がんとは、また「ケモプリベンション」とは何か

大腸がん(結腸・直腸がん(CRC)とも呼ばれる)は一般的で深刻な疾患である。これに先だって、大腸(結腸直腸)腺腫(CRAs)と呼ばれる病変(異常増殖領域)ができることもある。長年にわたって、研究者らは大腸がんと大腸(結腸直腸)腺腫のリスクを減らすために薬剤を用いることに関心を寄せてきた。このアプローチは「ケモプリベンション」と呼ばれている。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は炎症、発熱、痛みを抑えるのに有用な薬剤で、血栓の予防にも効果があるとされている。アスピリンとイブプロフェンは、広く使用されているNSAIDsである。長期的な炎症が腫瘍の発生に関与すると考えられることから、NSAIDsはがんの予防薬としても研究されている。

知りたかったこと

アスピリンやその他のNSAIDsが、一般の人々の大腸がんと大腸(結腸直腸)腺腫の予防に有用なのか、それとも有害であるかを明らかにしたいと考えた。

実施したこと

一般集団において大腸がんを予防するためのアスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果を無治療または他の治療と比較した「ランダム化比較試験」と呼ばれる研究を検索した。これらの研究の結果を可能な限り統合し、研究の規模や方法論の質などの要素に基づいて、エビデンスの信頼性を評価した。

わかったこと

一般集団においてアスピリンが大腸がんの予防に役立つかどうかを調べた研究は10件見つかった。これらの研究は合計124,837人を対象に行われた。その大半はヨーロッパと北アメリカで実施されたもので、オーストラリアで1件、日本では2件の大規模な研究が行われた。7件の研究は低用量(1日あたり75~100mg)のアスピリンを、3件の研究はより高用量のアスピリンを評価したものだった。

他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が大腸がんまたは大腸(結腸直腸)腺腫を発症するリスクに及ぼす影響を調べた研究は見つからなかった。

アスピリンは大腸がんにどのような影響を与えるか?
  • アスピリンを5~15年間使用しても、大腸がんの新規発症数にはおそらく影響を与えない。アスピリンを15年以上使用すると、大腸がんの新規発症数を減少させる可能性があるが、この結果は不確実である。

  • アスピリンを5~10年間使用すると、死亡数がやや増加する可能性がある(アスピリンが一部の人にはすでにあった進行がんの増殖を加速させるという仮説がある)が、10年~15年後まで使用した場合は、大腸がんの死亡率にはほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性がある。15年以上のフォローアップ(追跡調査)によると、アスピリンは死亡数を減少させる可能性があるが、この結果は確かではない。

  • 5~10年のフォローアップ(追跡調査)によると、アスピリンは大腸(結腸直腸)腺腫の新規発症数には影響しない可能性があるが、この結果もまた確かではない。

大腸がんを予防するためにアスピリンを服用するリスク
  • アスピリンを服用してもおそらく重篤な副作用の総数は変わらない。

  • アスピリンを服用すると、重度の頭蓋外出血(頭蓋骨の外側で起きる出血)のリスクを高める。

  • アスピリンを服用すると、おそらく出血性脳卒中(脳内または脳周辺の出血)のリスクを高める。

見つかったエビデンス(科学的根拠)の信頼性

重度の頭蓋外出血のリスクが増加するという結果の信頼性は高い。5~15年間服用した場合の大腸がんの新規発症数、重篤な副作用、そして出血性脳卒中に関する結果の信頼性は中等度である。しかし、他の調査結果の信頼性は非常にまたは極めて低い。

エビデンスの信頼性を下げた主な要因は3つある。

  • 結果について確信できるほどの十分な研究がなかった。

  • 一部の研究では、参加者は自分がどの治療を受けているか知っていた可能性があり、そのことが結果に影響を与えた可能性がある。

  • また、すべての研究が本レビューで注目するすべての結果についての情報を提供しているわけでもなかった。

エビデンスの更新状況

このエビデンスは、2025年3月までに行った医療データベースの検索に基づいている。

Cai Z, Meng Y, Yang W, Han Y, Cao D, Zhang B

健康ではあるが運動不足の人は、短時間の激しい運動の反復(高強度インターバルトレーニング)によって、心臓の機能を改善し、糖尿病などの病気のリスクを減らすことができるか?

1 month ago
要点
  • 身体活動の不足が原因で、毎年、世界全体で推計538億米ドルの費用が発生している。運動は、特に普段あまり体を動かさない人にとって、心臓病のリスクを減らすための簡単で手頃かつ効果的な方法である。しかし、多くの人々は世界保健機関(WHO)が推奨する身体活動量を満たしていない。

  • 運動をしない場合と比べると、高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、体力を向上させ、腹囲を減らす可能性が高いが、収縮期血圧(血圧の上の数値)、ウエスト・ヒップ比および中性脂肪(トリグリセライド)の値については、運動をしない場合とHIITの間で明らかな違いはなかった。中強度の持続的トレーニングと比べると、HIITは体力をわずかに向上させる可能性があるが、血圧、腹囲、ウエスト・ヒップ比、および中性脂肪の値については、これら2つのタイプの運動の間で明らかな違いはなかった。

  • 得られた結果によると、HIITは、心臓の機能を改善し、2型糖尿病などの疾患リスクを減らす点において、中強度の持続的トレーニングと同じくらいの効果があるようだ。しかし、これらの知見を確かなものにするには、より質の高いエビデンスが必要である。

高強度インターバルトレーニングとは?

高強度インターバルトレーニング(HIIT)とは、短時間の激しい運動と休息を交互に繰り返す運動法である。

心代謝面の健康とは?

心代謝面の健康とは、心臓や血管の健全性ならびに食物から得たエネルギーの代謝の状態を意味する。これには、血圧、コレステロール値、血糖値、体重といった重要な要素が含まれる。これらが正常範囲内にある場合、心臓病、脳卒中、2型糖尿病などの疾患を発症するリスクは大幅に低くなる。

何を調べようとしたのか?

運動不足の人々がHIITを行うと、運動をしない場合や中強度の持続的トレーニング(MICT)よりも効果的に心代謝面の健康指標を改善できるかどうかを明らかにしたいと考えた。

何を行ったのか?

HIITが心代謝面の健康指標に与える効果を、運動をしない場合やMICTと比べて調査した研究を検索した。中でも、運動不足ではあるものの、健康な人々を対象とした研究を集めた。それらの結果を要約し、研究の方法や規模、示された情報の量などの要素に基づき、エビデンスに対する信頼度を評価した。

何がわかったのか?

運動不足の成人2,075名を対象とした58件の研究が見つかった。各研究の参加者数は14人から90人の範囲で、トレーニングプログラムの期間は4週間から16週間であった。35件の研究ではHIITとMICTを比較し、11件ではHIITと運動なしを比較し、12件では両方の比較が行われた。

主な結果

運動しない場合と比べて、HIITを行うと心肺機能の全体的なレベルを示す最大酸素摂取量(VO₂ max )を増加する可能性が高い。また、腹囲もわずかに減る。しかし、HIITは、恐らくウエスト・ヒップ比にはほとんど、あるいは全く影響を与えず、また中性脂肪(血中脂質の一種)の値にもほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性がある。HIITが収縮期血圧(上の血圧)に与える影響に関するエビデンスは、非常に不確実である。

HIITを行うと、MICTと比べて最大酸素摂取量(VO₂ max) がわずかに増加するかもしれない。収縮期血圧と中性脂肪の値については、HIITとMICTの間に差はない可能性があり、腹囲やウエスト・ヒップ比についても、これら2種類の運動の間に差はないと考えられる。

心臓発作、脳卒中、死亡といった重要な長期的な健康の評価項目について報告した研究はなかった。

エビデンスの限界は何か?

結果の大部分について、信頼度は低いか中程度であり、今後の研究によって結論が変わる可能性がある。エビデンスの信頼度を低下させた主な要因は3つある。まず、受けた治療に対する研究対象者たちの反応にばらつきが見られた。第二に、一部の研究は規模が非常に小さく、また一部の評価項目については、結果を信頼するには研究数が少なすぎた。最後に、研究対象者は自分がどの治療を受けているかを知っていた。

エビデンスの更新状況

このエビデンスは、2025年10月13日現在のものである。

Strauss JA, Kirwan R, Ranasinghe C, Schwingshackl L, Shepherd SO, Chaplin M, Sguassero Y, Petkovic J, Villanueva G, Dwan K

ビタミンDサプリメントは、気道や肺の急性の感染症(急性呼吸器感染症)にかかった幼児の、医師の診察や入院の回数を減らすのに役立つのか?

1 month ago
要点
  • ビタミンDサプリメントは、プラセボ(偽薬)と比較して、気道や肺の急な感染症(急性呼吸器感染症[Acute Respiratory Infections:ARI])により医師の診察や病院への受診を必要とする幼児の数をわずかに減らすかもれしない。ただし、個々の小児が医師の診察や病院を受診する頻度に変化をもたらす可能性はおそらく低いと考えられる。高用量のビタミンDは、低用量と比較しても、急性呼吸器感染症(ARI)により医師の診察や病院への受診を必要とする小児の数を減らすことはおそらくなく、また、小児1人あたりの受診頻度を減らすこともないと考えられる。

  • ビタミンDサプリメントは安全であるようであり、高カルシウム血症を発症するリスクにほとんど、あるいは全く影響を与えないことが示されている。

  • ビタミンDが幼児のARIを予防するかどうかを明らかにするには、ビタミンDサプリメントとプラセボを比較した質の高い研究が必要である。

急性呼吸器感染症とは?

急性呼吸器感染症とは、鼻、耳、喉、気道、または肺に影響を及ぼす可能性のある突発的な感染症であり、5歳未満の小児における病気や死亡の主な原因である。通常、ウイルスや細菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症は、この年齢層において医師の診察や入院の一般的な理由である。症状には、咳、鼻水、喉の痛み、発熱、呼吸困難などがよく見られる。5歳未満の小児では、呼吸が速くなる、喘鳴、摂食不良、嘔吐、あるいは異常に眠そうだったり不機嫌だったりするといった症状が見られることもある。

ビタミンDとは何か?また、なぜ重要なのか?

ビタミンDは、骨の健康をサポートすることで最もよく知られている栄養素である。また、健康な免疫系(感染症に対する体の防御機能)の発達にも役割を果たしている。ビタミンDは、日光、ごく一部の食品、ビタミンDが添加された食品、あるいはサプリメントから摂取される。世界中の多くの妊婦や幼児は、日光への露出不足、食事、その他の要因により、十分なビタミンDを摂取できておらず、これが小児の急性呼吸器感染症(ARI)のリスクを高めるかもしれない。

知りたかったこと

本レビューは、妊娠中または幼児期におけるビタミンDの補充が、以下のいずれかに寄与するかどうかを明らかにすることを目的とした:

  • 急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や病院への受診を必要とする幼児の数を減らすか。

  • 各小児が急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や病院を受診する頻度を減少させるか。

  • 妊婦や小児の血中カルシウム濃度の上昇(高カルシウム血症)を引き起こし、健康被害をもたらすか。

実施したこと

以下のいずれかを比較した研究を検索した:

  • ビタミンDの補充とプラセボ(偽薬)の比較;または

  • 高用量のビタミンDと低用量のビタミンDの比較。

これらの研究結果を比較・要約し、研究方法の質に基づいて、エビデンス(科学的根拠)に対する信頼度を評価した。

わかったこと

31,521例の妊婦および小児を対象とした107件の研究を同定した。ビタミンDは、妊娠中、幼児期、あるいはその両方の期間に投与された。ビタミンDの投与量や投与時期は研究によって異なっていた。投与は毎日行われることが最も多かったが、頻度がそれより低い場合や、一度に大量を投与する場合もあった。研究は多くの国で実施された。各参加者について、研究期間は1日から18カ月の範囲である。研究は、病院、保育所、地域社会、または家庭で実施された。

ビタミンDをプラセボと比較した場合、サプリメントの摂取により、急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や通院を必要とする小児の数がわずかに減少するかもしれない。しかし、ビタミンDは、各小児がARIのために医師や病院を受診する頻度を減らすことはない。

ビタミンDの高用量と低用量を比較した場合、高用量を補充しても、おそらく急性呼吸器感染症(ARI)のために医師の診察や入院を必要とする小児の数は減らず、また、小児1人あたりの受診回数も減らないと考えられる。

ビタミンDの補充は安全であると思われる。高カルシウム血症はまれであり、ビタミンDの補充は、妊婦や幼児における高カルシウム血症の発症リスクにほとんど、あるいは全く影響を与えないかもしれない。

エビデンスの限界

ビタミンDが急性呼吸器感染症(ARI)による医師の診察や病院への受診を減らすかどうかに関するエビデンスに対する信頼度は低い。研究によって結果はまちまちであり、わずかな有益性を示唆するものもあれば、明確な有用性が見られないものもあった。

多くの研究は小規模であったため、その信頼性には限界がある。 さらに、ビタミンDの補充量や急性呼吸器感染症(ARI)の測定方法に違いがあったため、研究間の結果を統合・解釈することが困難であった。

エビデンスの更新状況

本エビデンスは2025年3月18日時点のものである。

van Arragon M, Grant CC, Scragg RKR, Jordan VMB

血小板の数値が低く(血小板減少症)出血のリスクがある乳幼児には、どの時点で血小板(血液凝固を助ける血液細胞)を投与するべきか?

1 month ago
要点
  • 血小板輸血(出血を止めるために血餅を形成する血液細胞を投与する治療)を血小板の数値が相対的に高い(出血のリスクがより低い)ときに行っても、死亡や出血は減らないようである。

  • 血小板の数値がより低いときに輸血を行うと、死亡や出血のリスクを高めずに、血小板輸血を減らせるようである。

  • 乳幼児に血小板を投与するべき正確な血小板数を、それぞれの出血リスクに基づいて見定めるには、今後も研究を行う必要がある。

血小板とは?

血小板は出血を止めるために血を凝固させる血液細胞である。血小板の数値が低い状態(血液検査で血小板数が150,000/μL未満)は、血小板減少症と呼ばれる。血小板減少症は未熟児や病気のある新生児によく見られ、出血リスクを高める恐れがある。

血小板減少症の治療

血小板減少症の治療には、通常、献血由来の血小板を投与する。血小板は輸血と呼ばれる手法により静脈に直接投与される。しかし、血小板輸血そのものが、死亡のリスクやその他の害の増加の原因となりうるため、血小板輸血を行う基準となる血小板の数値を低くするべきか、逆に高くするべきかについては、この分野の専門家の間でも意見が分かれている。

知りたかったこと

血小板減少症の乳幼児において、血小板投与を始める血小板の数値が高いほうが低いときに比べて有益であるかどうかを調べたかった。また、輸血が死亡や出血、さらには乳幼児の発育に与える影響を知りたかった。

実施したこと

血小板減少症の乳幼児に対する血小板輸血について調べた研究を探した。研究結果を比較、要約し、研究の方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。

わかったこと

血小板輸血による治療を行う基準値として異なる血小板の数値を比較した3件の研究(乳幼児856人)が見つかった。2件の研究は高所得国(米国、カナダ、イギリス、アイルランド、オランダ)で、1件は低中所得国(インド)で実施された。1件の研究は、乳幼児の血小板数がやや低い(軽度の血小板減少)ときに血小板輸血を行うほうが、血小板数が低い(中等度の血小板減少症の)ときよりも有益であるかを調べたものである (軽度血小板減少症の範囲) 。もう1件の研究は血小板数が低い(中等度の血小板減少症)ときに血小板輸血を行うほうが、血小板数が非常に低い(重度の血小板減少症)ときに行うよりも有益であるかを調べたものである (中等度血小板減少症の範囲) 。3件目の研究は、血小板数が非常に低い(重度の血小板減少症)ときに血小板を投与するほうが、血小板数が極めて低い(極めて重度の血小板減少症)ときよりも有益であるかを調べたものである (重度血小板減少症の範囲)

死亡に関しては、血小板の数値が相対的に低い場合と高い場合で差は全く見られなかった。

  • 軽度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児数152人)

  • 中等度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児数44人)

  • 重度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児数656人)

出血に関しても、血小板の数値が低い場合と高い場合で全く差は見られなかった。

  • 軽度血小板減少症の範囲 (報告なし)

  • 中等度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児数44人)

  • 重度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児658人)

より低い血小板数で輸血を行うと、死亡や出血のリスクを高めずに、血小板輸血の数を減らせるらしいことがわかった。

  • 軽度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児数152人)

  • 中等度血小板減少症の範囲 (報告なし)

  • 重度血小板減少症の範囲 (1件の研究、乳幼児数659人)

エビデンスの限界

エビデンスの信頼性は中程度から非常に低いものに留まった。信頼性が限定的な理由は、研究を行った人々がどの治療を行っているか知っていたこと、また3件の研究しか見つからなかった上に、いずれの研究も対象となる血小板数の範囲が異なっていたことである。すでに出血が見られる乳幼児を含めたかどうかについても、研究の間で違いがあった。最も規模の大きい研究では、出血のある乳幼児を含めなかった。

本レビューの更新状況

エビデンスは、2025年6月現在のものである。

Chotas W, Wallman-Stokes A, Patel RM, Cooper C, Soll RF, supported by the Cochrane Neonatal Review Group

持続性の首の痛み(頚部痛)に対するボトックスA注射の利点とリスクは何か?

1 month ago
要点
  • ボトックスAは、プラセボの生理食塩水と比較して、短期的にはわずかな疼痛(痛み)の改善をもたらす可能性(6%)があるが、長期的には持続しない。患者は短期および長期のいずれにおいても治療の成功を実感する可能性(20%)がある。日常生活を行う能力や健康に関連した幸福度については改善しない可能性がある。注射部位の疼痛、筋疲労、全身の疼痛、または頭痛などの軽度の有害事象の発生率がプラセボより16%高く、最大3週間続く可能性がある。

  • 一部の研究に対し、ボトックスAの製造企業が資金提供を行っていることが結果に影響し、治療が過大評価されている可能性がある。

  • 今後の研究は、より大規模で、かつ適切な研究方法を用い、また、より長期間にわたる追跡を行うべきである。また、研究は独立した資金によって実施されるべきである。

ボトックスAとは何か?

ボトックスAは、特定の筋肉を一時的に弛緩または麻痺させたり、特定の神経の働きを遮断したりする神経毒素の一種であり、トリガーポイントに注射して使用される。トリガーポイントとは、緊張した骨格筋の索状硬結(taut bands)に存在する非常に感受性の高い結節であり、原因部位とは異なる部位に疼痛を生じさせることがある。このような疼痛は関連痛(referred pain)と呼ばれる。

ボトックスAは、筋緊張や筋痙攣、およびそれに関連する疼痛のシグナルを減少させることで、持続性の頸部痛を改善する可能性がある。

患者は、注射部位の圧痛や疼痛など、一過性の軽度な有害事象を経験する可能性がある。また、重篤なアレルギー反応など、死亡につながるような有害事象がまれに発生する可能性もある。

何を明らかにしたかったのか?

持続する首の痛み(頸部痛)を持つ患者において、ボトックスAがプラセボとしての生理食塩水の注射よりも優れているかどうかを明らかにしたかった。評価項目は以下のとおりであった。

  • 疼痛

  • 身体機能(日常生活動作を行う能力)

  • 健康関連の幸福度

  • 患者自身が感じる治療の成功度

  • 患者満足度

頸部痛には、痛みが頭部、上背部および上肢に及ぶものもある。また、筋膜性疼痛(緊張した索状硬結内の過敏性結節)、変性変化(加齢性変化)、むち打ち関連障害、および頭痛を伴う場合と伴わない場合がある。

また、ボトックスAが何らかの有害事象を引き起こすかどうかについても明らかにしたいと考えた。

何を行ったのか?

ボトックスAとプラセボを比較した研究について検索を行った。研究結果を比較および要約し、研究方法、投与量のばらつき、研究結果の一貫性、および研究規模などを考慮して、エビデンスに対する信頼性を評価した。

何がわかったのか?

持続する頸部痛(筋膜性疼痛、むち打ち関連障害、または頸部に由来する頭痛)を有する合計855名を対象とした16件の研究が見つかった。参加者の年齢は18歳~80歳であり、その64%が女性であった。ほとんどの研究の追跡期間は3週間~12週間であり、24週間以上追跡した研究は2件のみであった。研究は北米、中米、欧州、中東およびアジアの病院内ペインクリニック、外科診療科および大学で実施されており、ほとんどの研究は短期(3か月以内)の成績を報告していた。ボトックスAの総投与量は10単位~400単位であり、1か所~10か所のトリガーポイントに投与されていた。

主な結果

持続性の頸部痛患者において、ボトックスAはプラセボと比較して、

  • 短期的には疼痛がわずかに改善する可能性がある(6%;合計393名が参加した12件の研究より)が、その変化は日常生活において実質的な差をもたらさない可能性がある。また、その疼痛改善効果は長期的には維持されない可能性がある。

  • 日常的な身体機能(2%;合計76名が参加した3件の研究より)または健康関連の幸福度については、利益がほとんどないか、全くない可能性があるが、これらのエビデンスに対する信頼性は低い。

  • 参加者により報告された成功率については、短期(20%;19名が参加した1件の研究より)および長期(20%;31名が参加した1件の研究より)の両方でわずかな改善が認められる可能性がある。

  • 注射部位の痛み、筋疲労、筋肉痛または一般的な頭痛などの軽度の有害事象のリスクは、プラセボと比較して16%高い可能性がある。また、これらの有害事象は最大3週間持続する可能性がある。

患者満足度を評価した研究は存在しなかった。

エビデンスの限界は何か?

本レビューのエビデンスに対する信頼性は、以下に示すいくつかの理由から限定的とみなされた。

  • ほとんどのエビデンスは短期的なものであり、長期的な影響については不明である。

  • 大部分の研究において製薬企業からの資金提供が認められた。そのためボトックスAの利益が過大評価されている可能性がある。

  • いくつかの研究では、参加者のグループ分け方法や、参加者がどの治療を受けているかを知っていた可能性など、誤差の原因となり得る研究方法上の問題が存在した。

  • 研究ごとにボトックスAの投与量が異なっていたため、結果の比較が困難であった。

今後の研究は、独立した資金提供により実施され、より適切な研究方法が採用され、また、より長期的な成績が報告されるべきである。

本エビデンスはいつのものか?

本エビデンスは2026年3月時点のものである。本レビューは、2011年に公表された過去のレビューを更新したものであり、新たに10件の研究が追加された。その結果、現在ではボトックスAによる疼痛改善効果がわずかながら存在する可能性が示されている。

Gross AR, Lee H, Chacko N, Kovacevic L, Smith A, Shanthanna H, Burnie SJ, Forget M, Schneider G, Santaguida PL, Bobos P

12歳未満の小児に対するビタミンB 12 の補充にはどのような有用性があるか?

1 month ago
要点
  • ビタミンB 12 の補充は、プラセボ(介入・治療と同じ外観を持つが有効成分を含まない物質)(すなわち、ビタミンB 12 サプリメントを摂取しなかった小児)と比較して、12歳未満の小児におけるビタミンB 12 欠乏のリスクを低減し、おそらくビタミンB 12 の血中濃度を改善すると考えられる。

  • ビタミンB 12 サプリメントに他の微量栄養素(体が機能するために少量必要な重要なビタミンやミネラル)を併用した場合、ビタミンB 12 を含まない同じサプリメントを摂取した小児と比較して、ビタミンB 12 欠乏症や総ビタミンB 12 レベルにほとんど、あるいは全く差が生じないかもしれない。

  • ビタミンB 12 サプリメントが小児のその他の健康指標に及ぼす影響については、あまり明らかになっていない。

ビタミンB 12 とは?

ビタミンB 12 は、赤血球の生成を助け、体の細胞や神経を健康に保つのに役立つ重要な栄養素である。ビタミンB 12 の欠乏は、小児や資源の乏しい環境を含め、重要な公衆衛生上の問題となっている。小児におけるビタミンB 12 濃度の低下は、貧血(ヘモグロビン濃度の低下)や、成長・発達・認知機能(思考、理解、感覚を通じて知識を獲得する小児の能力)の低下と関連していることが示されている。

知りたかったこと

ビタミンB 12 サプリメントを摂取することで、12歳未満の小児の栄養状態と健康が改善されるかどうかを調査したいと考えた。

実施したこと

ビタミンB 12 の有用性を、プラセボ(介入・治療と外観は同じだが有効成分を含まない物質)、無介入、あるいはビタミンB 12 を含まない同種のサプリメントと比較した研究を検索した。研究の実施方法などの情報に基づき、各研究の結果とエビデンス(科学的根拠)に対する信頼度を要約した。

わかったこと

12歳未満(生後2日から11歳)の児童4,083例を対象とした16件の研究を対象とした。 そのうち、2391例の小児を対象とした9件の研究について、解析可能なデータが得られた。これらの研究は、世界10カ国で実施された。ほとんどの研究では、介入直後から5週間から31カ月後にアウトカムが評価され、1件の研究では9年後にアウトカムが評価された。 ビタミンB 12 サプリメントは、28日から31カ月間にわたり、1日あたり0.9~150マイクログラムの量で投与された。

ビタミンB 12 単独の補充対プラセボ

身長/体長、認知機能(例えば、注意力)、または発達(例えば、運動能力の発達)には、ほとんど差がないか、あるいは全く差がないかもしれない。ビタミンB 12 サプリメントを摂取した小児は、プラセボ群と比較して、ビタミンB 12 欠乏が少なく、おそらくビタミンB 12 の血中濃度も高かった。 貧血については、群間で差がほとんどないか、まったくないかもしれない。望ましくない(有害な)事象に関するデータを提供した研究はなかった。

ビタミンB 12 単独投与対無介入

身長/身長のエビデンスは非常に不確実である。 その他のアウトカムについて、解析可能なデータを報告した研究はなかった。

ビタミンB 12 およびその他の微量栄養素の摂取と、ビタミンB 12 を含まない同等のサプリメントとの比較

身長/体長、認知機能(例えば、注意力)、または発達(例えば、運動能力の発達)については、群間で差がほとんどないか、まったくないかもしれない。ビタミンB 12 サプリメント(他の栄養素を含む)を摂取した小児において、ビタミンB 12 欠乏症、ビタミンB 12 濃度、貧血、または望ましくない事象については、群間でほとんど差がないか、あるいは差がないかもしれない。

エビデンスの限界

本レビューの限界としては、研究数が少なく、各研究の規模も小さかったことがあげられる。成長、認知機能、発達、貧血、あるいは有害事象を含む健康アウトカムについて報告した研究はほとんどなかった。対象となった小児の年齢がさまざまであったこと、ビタミンB 12 の摂取量の違い、およびアウトカムの測定時期の違いも、本レビューの限界である。

エビデンスの更新状況

本エビデンスは2025年9月23日現在のものである。

Larvie DY, Güitrón Leal CE, Venkatramanan S, Palma Molina XE, Steel LB, Kuriyan R, Finkelstein JL

精神疾患の治療のために入院している人にとって、禁煙プログラム(禁煙支援)は効果があるのか?

1 month ago
要点
  • 精神科病棟への入院中にカウンセリングとニコチン置換療法(タバコを吸うよりも安全な形でニコチンを供給し、喫煙への渇望や離脱症状を軽減する治療法)を提供し、退院後もこの支援を継続することで、通常のケアと比較して、より多くの人が(6か月後の測定時点で)タバコをやめることができる可能性がある。

  • 精神科入院患者を対象に開始されたその他の禁煙介入の効果について、結論を導き出すのに十分な情報は得られなかった。禁煙を支援するためのさまざまな方法、とりわけ医薬品について検証する、より多く、よりよく設計された研究が必要である。

なぜ、精神疾患のある人にとって喫煙は問題となるのか?

精神疾患を抱える人々は、心臓・血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、がんといった予防可能な身体疾患により、一般の人々よりも最大で15~20年も早く亡くなる。喫煙は、これらの病気の主な原因の一つである。精神疾患の治療のために入院している人々は、一般の人々に比べて喫煙率が高く、禁煙したいという意思があっても、禁煙に成功する割合は低い。多くの病院は禁煙環境となっており、精神疾患を持つ人々に対して禁煙プログラムを実施するには適した場所であるはずだ。

知りたかったこと

病院の精神科病棟で治療を受けている間に開始される禁煙プログラムが、こうした人々の禁煙に役立つのか、またどのプログラムが最も効果的であるのかを知りたかった。特に、6か月経ってもなお禁煙を続けている人の数がどれくらいか、また、死亡や生命を脅かす事態といった深刻な有害事象に見舞われた人がいたかどうかについて関心を寄せていた。

実施したこと

精神科病棟で開始されたあらゆる禁煙プログラムについて、通常のケア、待機者リストへの登録、あるいはプラセボ(有効成分を含まない「偽薬」)の投与と比較検討した研究を検索した。参加対象者は、どのような精神疾患の診断を受けていても構わなかったが、成人(18歳以上)で、喫煙者であることが条件であった。

対象とした研究結果を要約し、研究方法や規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。

わかったこと

救急精神科病棟または長期入院精神科病棟に入院している計2,262人を対象とした10件の研究を特定した。ほとんどの研究では、さまざまな精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、統合失調症など)と診断された人々が対象とされており、3件の研究では統合失調症または統合失調症様障害の患者のみが対象となっていた。これらの研究は、5か国(オーストラリア、米国、台湾、イスラエル、イラン)で実施された。

プログラムは以下の通りである:

  • カウンセリングに加え、ニコチン置換療法および退院後の禁煙に対する継続的な支援(通常ケアと比較して);

  • 集団行動療法(薬物を使用しない心理的支援)による禁煙プログラム(待機者リストへの登録と比較して);

  • ブプロピオン(プラセボと比較して)やシチシン(ニコチン置換療法と比較して)を含む医薬品;

  • さまざまな種類や用量のニコチン置換療法の比較。

主な結果

カウンセリングとニコチン置換療法を併用し、退院後も継続的な支援を行う群と、通常ケア群との比較(5件の研究、1,611人):

  • 退院から6か月後もなお禁煙を続けている人の数を、100人あたり約6人増やす可能性がある;

  • 死亡者数が減少する可能性がある(100人あたり1人減)が、この結果は極めて不確実である。

エビデンスの限界は?

結果は限られた数の研究に基づいており、そのエビデンスに対する信頼度は低い。各研究における死亡例が極めて少なかったため、死亡に関する結果に対する信頼度は非常に低かった。

バレニクリンなどの禁煙薬は、地域社会に住む精神疾患を持つ人々に対して有効であることが以前から示されていたが、病院の精神科病棟におけるその使用を検証した研究は見当たらなかった。

エビデンスの更新状況

本レビューは2026年2月10日現在のものである。

Plever S, Kisely SR, Bonevski B, Siskind D, Yamazaki-Tan J, Thaker P, Vos G, Kim D, Guillaumier A, Gartner CE

永久歯の奥歯の治療に使われるさまざまな詰め物(充填材)の材料の利点とリスク、および費用は?

1 month ago
要点

‐ 損傷した歯に対し、標準的なレジン系複合材料(RBC:Resin‐based composite、日本では一般的にコンポジットレジンと呼ばれる)を用いてバルクフィル(材料を一度に大きな一層で充填する方法)または積層充填(材料を複数層に分けて充填する方法)で修復した場合、修復物の失敗に関しては、おそらくほとんど、あるいは全く差がない。

‐ 過去のエビデンスでは、歯科用アマルガム(銀色の充填材)はRBCよりも失敗が少ない可能性が示されていた。しかし、この結果は古い研究に基づくものである。現在のRBCは性能が向上しており、歯科医師の使用経験も多くなっているため、失敗は以前より少ないと考えられる。

充填材(詰め物)とは何か。またなぜ充填が必要なのか?

歯の組織が損傷を受けると、その結果として歯に穴(う窩)ができることがある。う窩はう蝕(むし歯)によって生じるが、う蝕は多くの場合、適切な口腔衛生を実践し、糖分を多く含む飲食物を控えることで予防できる疾患である。

う蝕によって歯に永久的な損傷が生じた場合、歯科医師は失われた歯の形態や機能を回復するために、しばしば充填材による修復を行う。

充填材にはどのような材料が使われているか?

従来、う蝕の多くは歯科用アマルガムで治療されてきた。この銀色の充填材(主にスズ、銀、および銅で構成され、液体水銀と混合して使用される)は、低コストかつ取り扱いが容易な材料である。しかし現在では、水銀は人の健康や環境に対して有害となる可能性があることが知られており、「水銀に関する水俣条約」において、歯科用充填材を含めた水銀の使用に関して段階的削減(phase-down)、あるいは中止していくことで国際的な合意がなされた。1回で終了可能な治療に使用される水銀を含まない充填材料には、以下のようなものがある。

‐ RBC:標準的に使用されている白色または歯冠色の材料で、バルクフィルまたは積層充填で使用される。

‐ グラスアイオノマーセメント(GIC:Glass ionomer cement):使用部位の状態によっては強度が不足するため、仮の詰め物として使用されることがある。また、臼歯の噛み合わせ面(咬合面)には適していない。

‐ レジン添加型グラスアイオノマーセメント(RMGIC:Resin‐Modified GIC):GICを改良した複合材料で、GICより強度は高いものの、RBCほどの強度はない。

‐ コンポマー(Compomers):RMGICの代替材料であるが、GICよりもRBCに近い性質を持つ。

RBC、RMGIC、およびコンポマーの場合、材料を歯に接着するために接着システムを使用し、さらに材料を硬化させるために光照射を行う必要があるが、GICではこれらは不要である。

知りたかったこと

以下の点について明らかにすることを試みた:

‐ ある充填材料と他の材料とを比べた場合、歯の喪失(修復物の失敗によるもの)、修復物の失敗(充填材が本来の機能を果たさなくなること)、失敗までの期間、および処置後の歯の知覚過敏を減少させる点でどのような利点があるか。

‐ ある充填材料が他の充填材料よりも費用対効果に優れているかどうか。

実施したこと

永久歯の臼歯の充填に用いられる材料を評価したシステマティックレビューについて検索を行った。これらのレビューは、公表されている利用可能なすべての研究結果を収集し、その結果を解析したものである。レビューで報告されたエビデンスについて、結果を要約し、レビューや研究の方法、研究規模などの要素に基づいて信頼性を評価した。

また、これらの材料の費用対効果について評価した経済学的研究についても検索を行った。

何を見つけたのか?

57件の研究を含む14件のレビューが見つかった。レビューに含まれた研究は1980年から2023年の間に実施されていた。1件の研究では10年間の追跡が行われていたが、多くの研究では追跡期間はこれより大幅に短かった。一部のレビューでは、主要アウトカムについての結果が報告されておらず、また同じ研究が複数のレビューに含まれている場合もあった。そのため、25件の重複しない研究を含む6件のレビューから得られたエビデンスを優先して評価した。

また、費用対効果に関する研究は7件見つかった。

主な結果

歯の喪失や失敗までの期間に関するエビデンスを報告したレビューは見つからなかった。

‐ アマルガム修復はRBC修復よりも失敗が少ない可能性がある(3,486症例を含む8件の研究より)。しかし、これらの研究は1990年代後半に開始されたものであり、現在はRBCの性能および歯科医師の使用経験がより向上している。そのため現在では、RBCの失敗率は約5%程度と考えられ(古い研究では約15%)、アマルガムとRBCを比較した古いエビデンスは実情に則さなくなっている。

‐ バルクフィルのRBCと積層充填のRBCとでは、修復物の失敗において差はないと思われる(511症例を含む7件の研究より)。また、どちらの場合でも、術後に歯の知覚過敏が生じることは少ないと考えられる(510症例を含む5件の研究より)。

‐ 標準的なRBCとGICでは、修復物の失敗(60症例を含む1件の研究より)や歯の知覚過敏の発生(311症例を含む4件の研究より)に差はない可能性がある。一方、RMGICはGICよりも修復物の失敗が少ない可能性がある(50または38症例を含む1件の研究より)。GICとアマルガム、あるいはGICとコンポマーを比較したレビューも見つかったが、修復物の失敗や術後知覚過敏についての報告はなかった。

‐ 経済学的研究の多くは、どの材料が費用対効果に優れるかについての全体的な結論を示していなかった。1件の経済学的研究では、アマルガム修復はRBC修復よりも長期間機能し、費用対効果にも優れる可能性が示されたが、これは1990年代後半の古い研究に基づく結果であった。

エビデンスの限界は何か?

ほとんどのレビューは、最高水準の基準を満たしていなかった。適切に実施されていると判断したレビューは、わずか2件のみであった。しかし、レビューに含まれる研究が異なる場合でも、ほとんどのレビューで非常によく似た結果が報告されていた。

GICおよびRMGICに関するエビデンスについては、研究規模が小さく、参加者数も少ないことが多かったため、確信度は低かった。

本エビデンスはいつのものか?

2025年4月時点におけるエビデンスである。

Lewis SR, Walsh T, Glenny AM, Banerjee A, Boyers D, Hatton PV, Mackie C, Martin N, Palin WM, Pritchard MW, Quinn BM, Ramsay CR, Ricketts D, Riley P, Clarkson JE

灰で手を洗うと、石鹸などに比べてウイルスや細菌の感染拡大の抑止、減少はできるのか?

1 month ago
背景

感染症の中には、咳やくしゃみなどの空気中の飛沫によって感染するものがあり、汚染された皮膚や表面に触れた人に感染する可能性がある。石けんと水で手を洗うと、これらの病気の蔓延を防ぐことができるかもしれない。石けんを使用していない人は、水の有無に関わらず、灰や泥、土などの他の材料を使用したり、水だけで手を洗うことがある。灰(調理用コンロや火から出た固形物の残骸)による手洗いは、ウイルスやバクテリアをこすり落としたり、不活化させることで効果があるかもしれない。ただし、灰の中の化学物質が皮膚を傷つける可能性がある。

灰が効果的な手洗い洗剤である場合、石けんが広く利用されていない低所得地域でのコロナウイルス(COVID-19)やその他の感染症の蔓延を減らすことができるかもしれない。

私たちは何を知りたかったのか?

手洗いに灰を使用する人が、石けんや水、泥、土を使用する人や手を洗わない人よりも、感染症にかかりやすいかどうかを調べることを目的とした。また、灰を使用すると、手の痛みや発疹(かぶれ)などの望ましくない影響が発生するかどうかも調べた。

方法

石けん、泥、土、水のみ、または手洗いをしない場合と比べて、灰を使った手洗いを検討した研究を調査した。私たちの疑問に答えるために、この研究は子どもから成人が含まれ、あらゆる場所で実施されている可能性がある。

COVID-19は急速に広がっているので、私たちはできるだけ早くこの質問に答える必要があった。これは、通常のコクラン・レビューのプロセスのいくつかのステップを短縮したことを意味している。関連性のある可能性のある5件の研究の全文を見つけることはできなかった。また、追加データについては研究の著者に連絡することもできなかった。いくつかのデータベースを検索したが、一部の研究を見逃していた可能性がある。すべての関連情報を今後のレビューに含める予定である。

結果

手洗い用の灰を評価した14件の研究を特定した。無作為に選ばれた人々が灰や石鹸などの物質を使用することを直接比較した小規模な研究は1件だけであった(ランダム化された研究は最良のエビデンスを生む)。研究はすべての年齢の人々を含み、主に低所得の農村地域で行われた。6件の研究は私たちの疑問への回答に役立つ情報を提供した。

ある研究では、下痢で入院していた子どもとそうでない子供どもを比較して調査した。研究者らは、子どもたちの家の手洗い場を見て、どのように手を洗っているのかを調べた。彼らは、手洗いに灰を使用した家庭では、石けんを使用した家庭と同じくらいの回数、下痢症の子どもを病院に連れて行っていたことが分かった。

別の研究では、異常な腟のかゆみやおりものがある女性が、そのような症状を経験していない女性よりも、灰で手を洗う可能性が高いかどうかを調査していた。その研究では、手洗いに灰と水を使用した女性は、石けんを使用した女性と同じように腟のかゆみやおりものを経験する可能性が高いことが分かった。

4件の研究では、灰、石けん、水、泥を使用した手洗い後、または手洗いを行わなかった後の手に付着した細菌を測定した。研究は信頼性の低い方法を用いた研究が行われており、その結果は不明確だったため、他の手の洗浄用材料と比較した場合、灰が人の手の細菌に及ぼす影響については不明である。

いずれの研究も、感染症の重症度、人々が灰や他の物質を継続して使用したかどうか、死亡数、または灰による手洗いによる望ましくない影響に関する情報を提供していなかった。

エビデンスの確実性

見つかった研究が少なかったため、エビデンスに対する私たちの確信(信頼)は限られていた。私たちが見つけた研究では、信頼性の低い方法や、さまざまな参加者がおり、参加者が感染したかどうかを確実に調査した研究はなかった。

結論

石けん、水、泥、土などを使った手洗いや、手洗いなしと比較して、灰を使った手洗いが、ウイルスまたは細菌感染の拡大を抑止するか、減少するかは不明である。灰を使った手洗いが、望ましくない影響を引き起こすかどうかも不明である。

検索日

このレビューには、2020年3月26日まで公表されたエビデンスが含まれている。

Paludan-Müller AS, Boesen K, Klerings I, Jørgensen KJ, Munkholm K

長期療養施設におけるSARS-CoV-2感染症を薬物療法以外の対策で予防・軽減できるか?

1 month 2 weeks ago
要点

- 薬物療法以外の対策(面会制限や定期的な検査など)により、長期療養施設の入居者やスタッフのSARS-CoV-2感染(COVID-19の原因となるウイルス)を予防できる可能性があるが、その結果の信頼性には懸念がある。

- 特に、実臨床で経験される、より質の高い研究が必要である。

- また、入居者やスタッフの多くがワクチンを接種している施設や、北米・欧州以外の地域での対策についても、さらなる研究が必要である。

薬物療法以外の対策とは何か?

薬物療法以外の対策とは、薬を使わずに病気を予防・軽減する方法のことで、ワクチンなどがこれにあたる。これには、人の動きや接触、個人用防護具(PPE)の使用、定期的な感染に対する検査などが含まれる。

SARS-CoV-2は非常に感染力が強い。ケアハウス(長期介護施設)に入居している高齢者や障がい者は、介護者や来訪者が施設に出入りし、他の人と密接に接触して生活しているため、感染しやすい可能性がある。介護施設の入居者は、高齢や基礎疾患のため、COVID-19で重症化し、死亡するリスクが高くなる。

何を知りたかったのか?

長期介護施設の入居者やスタッフがSARS-CoV-2に感染するのを防ぎ、感染の拡大を抑えるために、薬物療法以外の対策がどれほど有効かを調べたいと思った。高齢者向けのナーシングホームや障がい者向けの介護施設など、成人向けのあらゆるタイプの長期介護施設を対象にした。

何をしたか?

長期療養施設における薬物療法以外の対策の効果を調査した研究を検索した。対象となる研究は、対策によって入居者やスタッフの感染、入院、死亡がどれだけ防げたか、あるいは対策によって施設内へのウイルスの侵入が防げたか、施設内でのアウトブレイク(集団感染)が防げたかを報告したものにした。実臨床のデータを用いた観察研究や、コンピュータによるシミュレーションで想定したデータによるモデルを使用した研究など、あらゆるタイプの研究を対象とした。

何を見つけたのか?

観察研究11件、モデルを使用した研究11件の計22件の研究が見つかった。すべての研究は、北米または欧州で実施された。

対策は大きく分けて4種類あった。

1.入居者、スタッフ、訪問者が施設内にウイルスを持ち込まないようにするための立ち入り規制の対策。スタッフが入居者と一緒にいること、新規入居者の隔離、新規入居者の検査、新規入居者の受け入れ禁止、訪問者の施設への立ち入り禁止などがあった。

2.人がウイルスを移さないようにするための接触規制、感染抑制の対策。マスクやPPE(個人用防護具)の着用、ソーシャルディスタンスを保つ(人と身体的に距離をとる)、清掃の徹底、居住者間やスタッフ間の接触を減らす、居住者やスタッフをケアグループに分け、グループ間の接触を制限することなどが挙げられる。

3.アウトブレイク(集団感染)を早期に発見するための検査の対策。症状に関係なく入居者やスタッフに定期的に検査を行うことや、症状に応じた検査を行うことなどが挙げられる。

4.アウトブレイク(集団感染)の影響を軽減するための対策。感染した居住者を隔離すること、感染した居住者と介護をしているスタッフを、感染していない人と分けることなどがある。

いくつかの研究では、これらの対策を組み合わせて使用していた。

主な結果

立ち入り規制の対策 (観察研究4件、モデルを使用した研究4件)

ほとんどの研究では、このような対策は有益であるとされているが、一部の研究では、効果がなかったり、面会制限の中で入居者がうつ状態になったり、せん妄状態(その場の状況がわからなくなり混乱する状態)になったりするなどの好ましくない効果が見られた。

接触の抑制と感染抑制の対策 (観察研究6件、モデルを使用した研究2件)

いくつかの対策は有益かもしれないが、多くの場合、そのエビデンスは非常に不確かである。

検査の対策 (観察研究2件、モデルを使用した研究6件)

居住者とスタッフの定期的な検査は、居住者の感染症、入院、死亡の数を減らす可能性があるが、スタッフの死亡数に関するエビデンスはあまり明確ではなかった。検査の回数が多いほど、検査結果が早く出るほど、検査の精度が高いほど、より有益な効果があると予測された。

アウトブレイク(集団感染)対策 (観察研究4件、モデルを使用した研究3件)

これらの対策により、施設内の感染者数やアウトブレイク(集団感染)のリスクを減らすことができるかもしれないが、多くの場合、そのエビデンスは非常に不確かである。

さまざまな対策の組み合わせ (観察研究2件、モデルを使用した研究1件)

感染者数や死亡者数を減らすためには、さまざまな対策を組み合わせることが効果的である可能性がある。

エビデンスの限界は?

この結果に対する確実性は限定的である。多くの研究では、実臨床のデータではなく数学的な予測を用いており、モデルで使用した仮定が正確であると確信することはできない。ほとんどの観察研究では、最も信頼性の高い方法を使用していなかった。これは、例えば「入居者への検査によって死亡者数が減少した」というように、対策が効果をもたらしたと確信することができないということである。

このレビューの更新状況

このレビューには、2021年1月22日までに発表された研究が含まれた。

Stratil JM, Biallas RL, Burns J, Arnold L, Geffert K, Kunzler AM, Monsef I, Stadelmaier J, Wabnitz K, Litwin T, Kreutz C, Boger AH, Lindner S, Verboom B, Voss S, Movsisyan A

インターロイキン‐1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬は、COVID-19の治療に有効であり、望ましくない影響を引き起こすことはないか?

2 months ago
要点

- 全体として、インターロイキン-1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬がCOVID-19の人に有効な治療法かどうか、または、望ましくない影響を引き起こすかどうかを示す十分なエビデンスは見つからなかった。

- 結果が公表されていない16件の研究が見つかった。新しいデータが入手できたら、このレビューを更新する予定である。

- 今後、COVID-19の治療におけるインターロイキン-1を阻害する薬を評価するためには、質の高い研究が必要である。

インターロイキン‐1とは何か、また、COVID-19におけるインターロイキン‐1の役割は何か?

インターロイキン-1(IL-1)は、サイトカインと呼ばれるタンパク質の一種で、体の免疫システムを調整する働きがある。特に、IL-1は感染症に対抗するために炎症を誘発する。COVID-19においては、免疫系がウイルスと闘うために、肺や気道に炎症を起こし、呼吸困難を引き起こす。一部の人では、免疫系が過剰に反応し(「サイトカインストーム」と呼ばれる)、危険なほど高いレベルの炎症や組織の損傷を引き起こすことがある。その結果、重度の呼吸困難、臓器不全、死に至ることがある。

インターロイキン‐1「阻害薬(ブロッカー)」とは何か?

IL-1阻害薬は、IL-1から免疫系の他の部分へのシグナルを遮断することで、IL-1の働きを止める薬である。これにより、炎症が抑えられ、免疫系がCOVID-19と闘うのに役立つと考えられる。その結果、人工呼吸器(患者の呼吸を人工的に補助する機械)を使う必要性が減り、COVID-19による死亡者数が減少する可能性がある。IL-1阻害薬には、アナキンラ、カナキヌマブ、リロナセプトの3種類がある。

何を知りたかったのか?

IL-1阻害薬がCOVID-19の患者に有効な治療法であるかどうかを、標準治療のみの場合やプラセボ(試験中の薬と同じように見えるが、有効な成分が入っていないダミーの治療法)と比較して検証した。特に、下記におけるIL-1阻害薬の効果に焦点をおいた。

- 症状が良くなったか悪くなったか;

- 何人の人が亡くなったのか;

- すべての望ましくない影響と重篤な望ましくない影響。

何をしたのか?

COVID-19の人を治療するためのIL-1阻害薬の効果を、標準治療のみまたはプラセボと比較して評価した研究を検索した。重症度(軽度、中等度、重度)に関わらずCOVID-19の疑いがある、あるいはCOVID-19であると診断された人を、年齢や性別を問わず対象とした。

研究の結果を比較してまとめ、研究方法や規模などの要因から、エビデンスに対する確実性を評価した。

何がわかったのか?

2132人を対象とした6件の研究を特定した。アナキンラを対象とした研究が4件(1,633人)、カナキヌマブを対象とした研究が2件(499人)であった。調査対象者の年齢は平均58歳から68歳で、男性が大半を占めていた。研究対象者は全員、主に中等度から重度のCOVID-19で入院していた。研究の規模は、45人から2,253人とさまざまであった。試験開始時、67%から100%の人が酸素吸入をしており、0%から33%の人が人工呼吸器を使用していた。

また、まだ結果が発表されていない研究が16件見つかった。

COVID-19患者の治療において、アナキンラと通常ケアおよびプラセボとの比較

- アナキンラはおそらく、治療後28日目のCOVID-19の症状を改善する(臨床スケールでの改善または退院と定義)効果がほとんど、または、全くないが(3件の研究、837人)、60日目に違いが出るかどうかはわからない(1件の研究、115人)。

- 治療後28日目(2件の研究、722人)、60日目(4件の研究、1,633人)の死亡者数にアナキンラが差をつけるかどうかはわからない。

- アナキンラはおそらく、投与後28日時点ではあらゆる望ましくない影響をほとんど、または、全く増加させないが、重篤な望ましくない影響については不明である(2件の研究、722名)。

COVID-19患者の治療において、カナキヌマブと通常ケアおよびプラセボとの比較

- カナキヌマブはおそらく、治療後28日目にCOVID-19の症状を改善する(臨床スケールでの改善または退院と定義)効果がほとんど、または、全くない(2件の研究、499人)。

- 治療後28日目(2件の研究、499人)または60日目(1件の研究、45人)の死亡数にカナキヌマブが差をつけるかどうかは分からない。

- カナキヌマブはおそらく、望ましくない影響をほとんど、または、全く増加させないが(1件の研究、454人)、28日目の重篤な望ましくない影響についてはわからない(2件の研究、499人)。

エビデンスの限界は何か?

いくつかの理由から、エビデンスへの確実性は限定される。研究の対象者は全員が入院していたが、中にはより重症の人もいた。人工呼吸器を装着している人だけを対象とした研究もあった。また、通常のケアは研究によって異なっており、報告された結果は研究によって異なる方法で測定されていた。

このレビューの更新状況

エビデンスは、2021年11月5日までのものである。

Davidson M, Menon S, Chaimani A, Evrenoglou T, Ghosn L, Graña C, Henschke N, Cogo E, Villanueva G, Ferrand G, Riveros CJ, Bonnet H, Kapp P, Moran C, Devane D, Meerpohl JJ, Rada G, Hróbjartsson A, Grasselli G, Tovey D, Ravaud P, Boutron I

妊娠中の女性が禁煙するために、どのような心理的・社会的支援プログラムが役立つのか?

2 months 1 week ago
要点:
  • 禁煙継続に対するカウンセリングや禁煙継続に対する報酬・給付(金銭的インセンティブ)を組み合わせた禁煙支援や指導は、妊娠中に禁煙する女性の数を増やす可能性が高い。また、健康教育、社会的支援、フィードバックプログラムも、禁煙する女性の数を増やす可能性がある。

  • 心理的・社会的支援プログラムは、低出生体重児(2500g未満)の数を減らし、出生時の体重が重く、概して健康な赤ちゃんの誕生につながり、生後1か月未満で入院治療を必要とする赤ちゃんの数を減らす可能性がある。

  • これらの知見が、少数民族や先住民族の女性にも当てはまるかどうかは不明である。なぜなら、こうした集団を対象にして調査した研究はほとんどないからである。

レビューの論点

タバコの煙に含まれる有害物質は、胎児の成長や発達に影響を及ぼす可能性がある。妊娠中の喫煙は、赤ちゃんが低出生体重で生まれる原因となり、母親の合併症リスクを高める。

心理的・社会的支援プログラムとは何か?

妊娠中に喫煙している女性の多くは禁煙したいと考えているが、それが難しく、支援を必要としている。薬物を使用せずに女性が禁煙できるよう支援するプログラムは、心理的・社会的 (心理社会的) 支援プログラムとして知られている。これには次のようなものが含まれる:

  • 禁煙の方法に関する助言や指導(カウンセリング);

  • 「なぜ禁煙が重要なのか」に関する情報(健康教育);

  • 禁煙を継続した人への報酬(金銭的インセンティブ);

  • 超音波検査(音波を用いて体内の画像を作成する検査)による胎児の健康情報のほか、尿検査などによる体内の有害物質濃度の情報(フィードバック);

  • 他者からの精神的・実践的な支援(社会的支援);または

  • 定期的な身体活動を促進するプログラム(運動プログラム)。

知りたかったこと

喫煙中の妊婦や禁煙したばかりの妊婦が禁煙したり、禁煙状態を維持したりできるよう支援するうえで、さまざまな心理的・社会的支援プログラムがいかに効果的であるかを明らかにしたいと考えた。また、これらのプログラムが赤ちゃんの健康状態を改善するかどうかについても検討したかった。

実施したこと

妊婦の禁煙を支援するためのさまざまな心理的・社会的支援プログラムについて検討した研究を検索した。

わかったこと

喫煙中または最近禁煙した妊婦47,361人を対象とした127件の研究を特定した。最も規模の大きい研究には3,571人の女性が参加し、最も規模の小さい研究には17人が参加した。ほとんどの女性は健康で、16歳以上であった。研究の約半数は低所得層の女性を対象に含んでおり、そのうち11件は少数民族グループ、4件は先住民族コミュニティを対象としていた。すべての研究は独立した研究機関から資金提供を受けており、結果に影響を与える可能性のある組織からの支援を受けたものはない。

支援プログラムには、カウンセリング(60件)、健康教育(21件)、フィードバック(8件)、金銭的インセンティブ(17件)、社会的支援(7件)、運動プログラム(1件)が含まれていた。対照群の女性たちは通常、標準的なケア(66件)を受けており、その内容は主に喫煙のリスクに関する情報提供や禁煙の助言などで構成されていた。一部の研究では、この介入を強度の低いプログラムと比較しており(50件)、また、より少数の研究では、異なる種類のプログラムと比較していた(11件)。

妊娠後期(妊娠36週前後以降)の禁煙

禁煙に対して金銭的な報酬を提供するカウンセリングやプログラムは、妊娠後期に禁煙する女性の数を増やす可能性が高い。健康教育、フィードバック、および社会的支援プログラムは、妊娠後期に禁煙する女性の数を増やす可能性がある。運動プログラムは、妊娠後期に禁煙する女性の数をほとんど、あるいは全く増やさない可能性が高い。1件の研究では、両グループで同じカウンセリングプログラムが採用されたが、診療所への提供方法が異なっていた。1種類のグループの臨床医にはプログラムに関する書面での情報のみが提供されたのに対し、もう1種類のグループには研修、定期的な連絡、フィードバックといった、より手厚い支援が提供された。しかし、これが禁煙率に影響を与えたかどうかは不明である。

出生時の赤ちゃんの健康状態

全体として、心理社会的介入により、低出生体重児(2500g未満)の数を減らし、出生時の体重が重く、概してより健康な赤ちゃんを産むことにつながり、生後1か月未満で専門的な集中治療を必要とする赤ちゃんの数を減らすことができる可能性がある。これらのプログラムは、死産数にほとんど、あるいは全く影響を与えない可能性が高い。早産(妊娠37週未満)の出生数に影響を与えるかどうかは不明である。

これらの介入は、誰にでも効果があるのか?

社会的に不利な環境にある女性やマイノリティ集団に対して、心理的・社会的支援プログラムが異なる効果をもたらすかどうかを検証した研究はほとんどないため、妊娠中の喫煙による影響を最も受けやすい女性のニーズに、いかにしてより適切に応えるべきかに関する情報は限られている。

エビデンスの限界

一部の研究では、必要な情報がすべて提供されておらず、結果に影響を与えかねない重要な詳細が省かれていた。一部の研究は対象者が少なすぎたため、介入が女性の禁煙にどの程度寄与したかを完全に確信することはできなかった。また、少数民族や先住民族のコミュニティに属する女性を対象とした研究もほとんどなく、こうした女性が対象に含まれていた場合でも、グループごとに結果が個別に報告されていないことが多かった。

エビデンスの更新状況

2025年11月時点におけるエビデンスである。

Freijah I, Jones KA, Coleman T, Perlen SM, Kennedy M, Passey ME, McKenzie JE, Chamberlain C
Checked
1 hour 23 minutes ago
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