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妊娠初期に中絶をするための薬物療法は有効か、また好ましくない影響があるか?

1 year 11 months ago
妊娠初期に中絶をするための薬物療法は有効か、また好ましくない影響があるか? 要点 - 薬による中絶は、妊娠12週までの妊娠を終了させる安全で効果的な方法である。 - ミフェプリストンとミソプロストールの併用は、これらの薬を単独で使用するよりも効果的である。 - ミソプロストールは、口から飲むよりも腟に入れた方が効果的で、舌の下や頬に入れるよりも不快感がない。 薬による中絶とは? 薬による中絶は、1種類以上の薬を単独で、あるいは組み合わせて用いて、妊娠を終わらせる。最も一般的な薬は、プロスタグランジンやミフェプリストンというホルモン剤である。その他、抗がん剤の一種であるメトトレキサートや、エストロゲンというホルモンの産生を抑えるレトロゾールなどの薬もある。これらの薬は、子宮頸部(子宮の入口)を柔らかくしたり、子宮を収縮させたりして、効果を発揮する。口から飲む、舌の下や頬に入れる、腟に入れるなどの方法がある。病院で看護師や医師が投与することも、女性が自宅で服用することも可能である。 薬による中絶の方法は、大量出血、痛み、吐き気、嘔吐、下痢などの望ましくない影響を引き起こす可能性がある。 中絶の失敗は、頻度は低いが、薬による中絶の重要な合併症である。初期の中絶のための薬は、すでに一部の国で広く利用されており、新しい薬も開発されている。 何を知りたかったのか? 妊娠初期(妊娠12週まで)...

尋常性乾癬と呼ばれる皮膚疾患の治療には、経口投与と注射のうち、どの薬が最も効果的か?

1 year 11 months ago
尋常性乾癬と呼ばれる皮膚疾患の治療には、経口投与と注射のうち、どの薬が最も効果的か? 要点 - 6か月の治療の後、「生物学的製剤」と呼ばれる薬が、皮膚の乾癬の斑点を消すために最もよく効くようである。 - 乾癬の治療のために注射または口から服用する薬による長期間の治療の利益と潜在的な有害性を評価するために、より長期間の研究が必要である。 - これらのタイプの医薬品を直接比較する、より多くの研究が必要である。 乾癬とは? 乾癬は、皮膚や、時には関節に影響を及ぼす免疫疾患である。乾癬は、新しい皮膚細胞の産生を早め、それが蓄積して「プラーク」と呼ばれる皮膚上の盛り上がった斑点を形成する。また、プラーク(局面)は、白い肌では赤く、黒い肌色では黒く見えることがある。 尋常性乾癬は、最もよくみられる乾癬である。 乾癬はどのように治療するか? 乾癬の治療法は、症状がどの程度ひどいかによって異なる。中等度または重度の乾癬患者の約10%~20%は、乾癬をコントロールするために、免疫系に作用する薬を服用する必要がある。これらの薬は全身に作用するため、全身治療薬と呼ばれている。これらは通常、口から摂取する(経口)か、注射で投与される。 コクランレビューを行った理由 乾癬には、3種類の全身用治療薬がある。 - 「生物学的製剤」-インターロイキンやサイトカインと呼ばれる生物学的標的(細胞の挙動に影響を与える...

運動ニューロン疾患における無意識な唾液の流出に対する治療法

1 year 11 months ago
運動ニューロン疾患における無意識な唾液の流出に対する治療法 レビューの論点 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とも呼ばれる運動ニューロン疾患(MND)における唾液の流出に対する治療効果を評価した。 背景 無意識の唾液の流出(流涎)は、嚥下困難のために運動ニューロン疾患(MND)の多くの人々がもっている症状である。現在の流涎管理には、吸引、薬物治療のほか、唾液腺(耳下腺、顎下腺)へのボツリヌス毒素注射、唾液腺への放射線治療、唾液腺管を縛る手術などの侵襲的なアプローチが行われている。本レビューは2011年に発表された初回レビューの更新版である。 研究の特性 コクランレビューの著者は、本レビューに含めることができる4件の試験を特定した。 1件目は、運動ニューロン疾患(MND)の20人が左右の唾液腺にボツリヌス毒素またはプラセボ(ダミー治療)の注射を1回ずつ受けたものである。 2件目の研究では、ボツリヌス毒素と放射線治療を比較したが、盲検化(参加者もスタッフも、実際の治療が行われたのかプラセボが投与されたのかを知らない)はされていない。全ての結果は患者の意見が反映されているため、多少の不確実性がある。さらに、研究者は20人のグループで5回のボツリヌスと3回の放射線治療について検証しており、結果の解釈を困難にしている。 3件目の試験は、臭化水素酸デキストロメトルファンと硫酸キニジンの組み合わせで...

症状や診察でCOVID-19を正確に診断できるか?

1 year 11 months ago
症状や診察でCOVID-19を正確に診断できるか? 要点 このレビューに含まれる単一の症状または徴候は、COVID-19を正確に診断することができないという結果を示唆している。 - 味覚や嗅覚の喪失は、COVID-19の存在を示す「赤信号」である可能性がある。咳や発熱は、COVID-19である可能性のある人を特定するのに有効かもしれない。これらの症状がある場合には、さらなる検査を促すのに役立つかもしれない。 - 最近の接触歴や旅行歴、ワクチン接種の有無など、他の情報と症状や徴候の組み合わせについて、小児や65歳以上の成人を対象に、さらに研究を進める必要がある。 COVID-19の症状や兆候は? 症状は患者が経験するものである。軽度のCOVID-19の患者は、咳、喉の痛み、高熱、下痢、頭痛、筋肉や関節の痛み、倦怠感、嗅覚や味覚の喪失などを経験することがある。 徴候は、医療従事者は診察時に測定する。このレビューで調べたCOVID-19の徴候には、肺音、血圧、血中酸素濃度、心拍数が含まれている。 COVID-19の症状や徴候は、自分や接触した人が自宅で隔離すべきか、ベッドサイドで行われる(小型の医療機器で行われる)迅速簡易検査やPCR(実験室ベースのテスト)で検査すべきか、入院すべきかを知るために重要かもしれない。 何を知りたかったのか? COVID-19の症状や徴候は様々で、COVI...

成人における慢性の神経痛(神経障害性疼痛)に対するクロニジンの塗布

1 year 11 months ago
成人における慢性の神経痛(神経障害性疼痛)に対するクロニジンの塗布 要点 糖尿病による手足の痛み(有痛性糖尿病性神経障害)に対するクロニジンの外用(皮膚への塗布)による治療方法を支持する確実性の高いエビデンスは見つからなかった。また、他の慢性の神経痛を伴う疾患への応用についてのエビデンスは見つからなかった。 何を行ったのか? 神経痛(神経障害性疼痛)を持つ患者において、クロニジンの皮膚への塗布(クロニジン外用薬)がどのように作用するかを調べるため、メディカルデータベース、論文中の参考文献、レジストリ(患者のデータベース)や臨床試験が検索された。また、この分野の専門家にも協力が仰がれた。2人の査読者により、それぞれに文献の適格性の審査、データの抽出、およびバイアス(偏り)のリスク評価が行われた。また、必要な場合には、文献の著者に連絡が取られ、追加の情報提供が求められた。 どのような結果が得られたのか? 検索の結果、4件の研究が特定され、レビューが行われた。研究期間は8週間から85日間で、合計743人の有痛性糖尿病性神経障害を有する被験者が対象となった。研究では、ゲル状にしたクロニジン(0.1%または0.2%)を1日2~3回、痛みのある部位に塗布した場合に対し、3件の研究においてプラセボ(偽の治療)を行った場合とが、また、1件の研究において、カプサイシンの塗布を行った場合とが比較され...

生殖補助医療で妊娠を試みる場合、胚を子宮に移植するのは3日目と5日目のどちらがよいか?

1 year 11 months ago
生殖補助医療で妊娠を試みる場合、胚を子宮に移植するのは3日目と5日目のどちらがよいか? 背景 不妊症のため、医学的な治療を行わなければ妊娠・出産する可能性が低い女性やカップルは少なくない。妊娠の可能性を高めるために、女性の体外で卵子や精子を操作する体外受精(IVF)などの、さまざまな生殖補助医療技術(ART)が開発されてきた。 通常、受精を助けるために、医師が女性から卵子を採取し、実験室で精子と受精させ、胚を形成させる。胚とは、ヒトの発生の初期段階を指す。医師は通常、「卵割期」か「胚盤胞期」のいずれかの発生段階にある胚を1~数個女性の子宮の中に移植する。「卵割期」は、採卵後2~3日で胚は2~128個の細胞からなる。「胚盤胞期」は、採卵後5~6日で胚は70~100個の細胞からなる。 最近まで、より早い段階である卵割期の胚を移植するのが一般的であった。しかし近年は、より遅い胚盤胞期の胚を移植する傾向にある。研究者たちは、生存力がある胚だけが胚盤胞期まで進む、言い換えれば生存可能な胚が自己選択される、と考えている。そのため、より遅れた時期に胚を移植すれば、女性が妊娠し、健康な赤ちゃんを産む可能性を高めることができるかもしれない。 レビューの論点 卵割期(採卵後2~3日目)と胚盤胞期(採卵後5~6日目)のどちらの時期に女性の子宮に胚を移植するのが良いか、以下の点において検討したかった。 ...

大腸がん患者の手術に備えた複数の介入

1 year 11 months ago
大腸がん患者の手術に備えた複数の介入 本レビューの目的 本レビューの目的は、大腸がんの手術前の期間に導入される複数の介入が、患者の全体的な体力を高めて患者の身体的な準備を整え、その結果、手術後の経過を改善できるかを明らかにすることにある。本テーマについて利用可能な全ランダム化対照試験を収集し、分析した。 主な結果 このレビューの対象基準を満たした研究は3件にとどまり、全評価項目について情報が得られず、エビデンスの確実性は全体的に非常に低いから中等度であった。このテーマに関するエビデンスを収集するには、さらに多くの大規模な研究が必要とされる。 本レビューで検討された内容 早期の大腸がんと診断された患者の治癒を目的として手術が行われることが多い。ただし、手術は患者の総合的な体力に負担がかかる。患者は体力が低下することによって、日常生活動作の依存度が高くなり、QOL(生活の質)が低下する。また、術後に合併症が発生し、体力がさらに低下することもある。手術前の介入として、運動プログラム、栄養アドバイスや栄養補助食品、精神面の支援などを行うと手術前に患者の体力向上につながる可能性がある。この考え方は「プレハビリテーション(術前リハビリテーション)」と呼ばれている。手術による負担が軽減され、結果的により早くより良い回復が可能となる。このような手術前の介入を複数組み合わせると、各介入が他の介入の...

中絶時、または経過観察時の子宮内避妊システムの挿入

1 year 11 months ago
中絶時、または経過観察時の子宮内避妊システムの挿入 レビューの論点 中絶時に子宮内避妊システム(IUS)を挿入した場合と、中絶後の経過観察時に挿入した場合の開始率、効果、副作用を比較した。 背景 子宮内避妊システムは、可逆的で長期間妊娠を防ぐことができる、非常に有効な避妊方法である。この方法は、手術や子宮内容物の排出によって妊娠が終了した女性も含め、ほとんどすべての女性に適している。多くの女性が中絶後に経過観察のための診察を受けず、避妊の普及率も低いため、中絶の診察時に子宮内避妊システムを挿入することは、検討に値する有望なアプローチと言える。 研究の特徴 2021年3月までのランダム化比較試験(参加者を2つ以上の治療群のいずれかにランダムに割り付ける試験)を検索した。中絶のための診察時に子宮内避妊システムを挿入することと、経過観察のために女性が受診した時に挿入することで、この避妊法の使用に影響が出るかどうかを調べた。中絶後に子宮内避妊システムで避妊することを選択した女性計1,162人を対象に、中絶時または経過観察時の挿入に割り付けた3件の研究を対象とした。 主な結果 子宮内避妊システムを中絶時に挿入した場合、子宮内避妊システムの使用率が高くなる可能性がある。中絶時の挿入はおそらく子宮内避妊システムの開始を改善することを示唆するエビデンスがある。一方、中絶時に挿入することで、6か月...

理学療法は複合性局所疼痛症候群の成人の痛みと障害を改善するか?

1 year 11 months ago
理学療法は複合性局所疼痛症候群の成人の痛みと障害を改善するか? 要点 理学療法が複合性局所疼痛症候群(CRPS)に伴う痛みや障害を改善するかどうかは、非常に不確かである。 特定した臨床試験は以下の点において、非常に不確かであった: - 実施または報告が不十分であった(あるいはその両方); - 少数の複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者を対象にした; - さまざまな種類の理学療法で介入試験をした; - 特定の理学療法を調査した試験の数が限られていた。 理学療法が好ましくない副作用を引き起こすかどうかは非常に不確かであり、これを明らかにするためにはより多くのエビデンスが必要である。 理学療法が複合性局所疼痛症候群(CRPS)に伴う痛みや障害を改善するかどうか、さらに調査するために質の高い臨床試験が必要である。 成人の複合性局所疼痛症候群の痛みと障害の治療 複合性局所疼痛症候群は、外傷や手術後に発症し、大きな痛みと障害を伴う疾患である。複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、特定の神経損傷がないI型(CRPS I)と、特定可能な神経損傷があるII型(CRPS II)に分類される。ガイドラインでは、複合性局所疼痛症候群(CRPS)の治療の一環として理学療法によるリハビリテーションを取り入れることが推奨されている。複合性局所疼痛症候群(CRPS)に対する理学療法には、運動療法、疼痛管理、徒手療...

胎児への手術や侵襲的な処置の際に、妊婦と胎児を静止させるために投与される薬物

1 year 11 months ago
胎児への手術や侵襲的な処置の際に、妊婦と胎児を静止させるために投与される薬物 まだ生まれておらず母親の子宮内にいる胎児に対して、外科手術や侵襲的な処置が安全に行えるように、胎動を防止する(胎児を動けなくする)ための麻酔と鎮痛の薬剤の有効性に関するランダム化比較試験によるエビデンスを求めた。 レビューの論点 妊娠中の超音波検査が非常に進歩したことで、まだ生まれていない赤ちゃんの発育に問題がないかを診断することができるようになった。胎児の器質的問題や多胎妊娠による合併症の多くが、赤ちゃんがまだ母親の子宮の中にいる間に治療できる。気道の閉塞など、一般的に生まれる前に治療を必要とする問題は多い。子宮内治療を行うために胎児を動けなくする薬の有効性と、鎮静・鎮痛中の母体に対する影響を調べた。これらの子宮内治療における処置を安全に行うために、胎児の動きを抑える必要があるだろう。この麻酔は、母体に薬を投与する方法(多くは静脈に注射する)と胎児に直接投与する方法(胎児の筋肉に注射する)のいずれかで行われる。 重要性 肺や心臓の器質的問題を治療することで、妊娠予後や新生児予後を大きく改善することができる。双子で一つの胎盤を不均等に分け合う双胎間輸血症候群のような、多胎妊娠の合併症についても同様である。胎動を減らして手術に最高の環境を用意することは、治療を安全に行うこと、早産などの合併症を減らすことに...

薬による妊娠14週以前の中絶のための疼痛管理

1 year 11 months ago
薬による妊娠14週以前の中絶のための疼痛管理 要点 - イブプロフェンは、妊娠14週までの薬による中絶の際の痛みを軽減させるのに最も良いエビデンスがあるが、最適な用量は不明である。 - 強固で一貫した方法によって痛みを記録した、さらなる研究が必要である。 薬による中絶とは? 中絶には大きく分けて、外科手術と薬による中絶の2種類がある。外科手術による中絶は、専門の医師がクリニックで行う。薬による中絶では、女性は薬(ミフェプリストンとミソプロストールからなる「中絶薬」)を飲んで、妊娠を終わらせる。薬による中絶は、世界中でますます一般的になってきているが、さしこむような強い下腹部痛を引き起こすことが知られている。妊娠の最初の14週間は、薬による中絶はクリニックでも自宅でも行うことができるので、女性が痛みに対して自分で治療する方法を持っていることが重要である。 何を知りたかったのか? この痛みに対して、どのような治療方法が最適なのかは不明である。イブプロフェンや麻薬などの鎮痛薬や、湯たんぽやマインドフルネスなどの非薬物療法について、どのようなエビデンスがあるのかに興味があった。 このレビューで行ったことは何か? 妊娠14週までの薬による中絶のためのさまざまな鎮痛治療を比較した研究を探した。 レビューの結果 その結果、5件の研究が見つかったが、いずれも異なる種類の治療法を検討していた。イス...

歯科治療における感染性心内膜炎(心臓の内側への重度の感染または炎症)の予防のための抗菌薬の使用

1 year 11 months ago
歯科治療における感染性心内膜炎(心臓の内側への重度の感染または炎症)の予防のための抗菌薬の使用 レビューの論点 このコクランレビューは、感染性心内膜炎(心臓の内壁への重度の感染または炎症のことで、時に致命的となる)のリスクが高い人々に対し、歯科での侵襲的治療(抜歯を含めた外科処置等)の前における抗菌剤投与を慣例的に行うことが、感染性心内膜炎の発生率、死亡者数、および重症者数を減らすことにつながるかどうかについて検証することを目的としている。 背景 感染性心内膜炎は、心臓の損傷部や奇形部に発生しやすい感染症であり、通常、抗菌薬の投与によって治療される。まれではあるが、感染性心内膜炎により命がおびやかされる場合もある。感染性心内膜炎に罹患した患者のうち、抗菌薬による治療を行ったとしても死亡してしまう確率は最大30%である。 高リスクの患者に対する侵襲的な歯科治療により、感染性心内膜炎が引き起こされる可能性があるが、歯科治療によって直接的に感染性心内膜炎が引き起こされた症例は(あったとしても)、その数は不明である。歯科治療の多くは、血液中に細菌が存在する状態である菌血症を引き起こす。菌血症は通常、体内の免疫系によって速やかに対処されるが、高リスク患者の場合は、感染性心内膜炎の発症につながる可能性があると一部の専門家は考えている。 多くの国におけるガイドラインでは、感染性心内膜炎のリスク...

自閉症の人のための音楽療法

1 year 11 months ago
自閉症の人のための音楽療法 レビューの論点 自閉症の人に対する音楽療法の有効性について、エビデンスを評価した。音楽療法(または標準治療に音楽療法を加えたもの)を受けた人の結果を、音楽を使わない同様の療法(プラセボ療法)、標準治療、または全く治療を受けなかった人の結果と比較した。 背景 自閉症は生涯続く神経発達症であり、周囲の世界の捉え方、他者とのコミュニケーションや関わり方に影響を与える疾患である。社会的相互作用と社会的コミュニケーションは、自閉症の人々にとって中心的な困難の一つである。音楽療法は、音楽の経験や、その経験によって築かれる関係を通して、他者との交流やコミュニケーション、および感情の共有を可能にする。このように、音楽療法は自閉症の人たちの核となる問題に取り組んでいる。音楽療法は、1950年代初頭から自閉症に適用されている。自閉症の人が音楽療法を利用できるかは、国や環境によって異なる。音楽療法を適用するには、特別な学術的、臨床的な研修が必要である。これは、治療者が患者の特定のニーズに合わせて介入するのに役立つ。私たちは、音楽療法が他の選択肢と比較して、自閉症の人たちに役立つかどうかを調査したいと思った。 検索日 エビデンスは2021年8月までのものである。 研究の特徴 今回の更新では、新たに16件の研究を追加したため、このレビューにおけるエビデンスは、現在、26件の研究...

物資使用障害の人のための音楽療法

1 year 11 months ago
物資使用障害の人のための音楽療法 本レビューの目的は何か? 標準治療に加えて音楽療法を行うことが、物質使用障害の人に対して、物質渇望(物質を使用したいという強い欲求)、治療への動機づけ、断酒・更生(物質を使用しない状態を続けること)への動機づけに影響を与えるかどうかを評価することを目的とした。また、再発の危険因子である抑うつや不安に対する効果についてのエビデンスにも関心があった。 要点 音楽療法を標準的な治療に「追加」することで、解毒やリハビリテーションの環境にある成人の物質渇望を軽減し、治療に対するモチベーションを高めることができると思われる。音楽療法のセッションを2回以上続けられると、物質への渇望がより軽減される。抑うつ、不安、断酒・更生への動機づけ、治療の継続に対する効果を示すエビデンスはない。また、有害事象に関するデータはなかった。 なぜ、このレビューが重要か? このレビューは、音楽療法が問題のある物質使用に関する状況や治療への動機づけに対して有益な影響を与えるかどうかを判断するのに役立つ。 このレビューからわかったこと 物質使用障害とは、アルコールの有無にかかわらず、違法薬物や処方薬などの薬物を、これらの物質が健康上の問題を引き起こしたり、社会的機能に悪影響を及ぼす場合でも、継続して使用することをいう。世界で約3,500万人が問題のある薬物を使用しており、毎年300万人...

高所得国の難民児童・青少年に対する地域社会での精神衛生への支援

1 year 11 months ago
高所得国の難民児童・青少年に対する地域社会での精神衛生への支援 高所得国に定住している子どもや青年の難民は、移住前、移住中、移住後に直面する多くの課題により、メンタルヘルス(精神衛生)上の問題を抱えるリスクがある。 要点 現在までのエビデンスは、実際にどのような介入を行うべきかを推奨するには量的にも質的にも十分ではない。子どもの難民や庇護希望者に対する既存のメンタルヘルス支援プログラムや介入を評価し、この集団におけるメンタルヘルス支援に何が有効かについてのエビデンスを追加できるようにすることが必要である。 何を知りたかったのか? 高所得国に住む子どもや青少年の難民を対象に、コミュニティで行われるメンタルヘルス(精神衛生)の促進、予防、治療に関するエビデンスを評価することを目的とした。プログラムや介入の中には、地域づくりや社会的支援を通じたメンタルヘルス・プロモーション(心の健康増進)に重点を置くものもあれば、個別の専門的なケアによるメンタルヘルス問題の治療に重点を置くものもある。 このレビューで行ったことは何か? 2021年2月23日にオンラインデータベースとレジストリで研究を検索した。 18歳以下の難民の児童・青少年を対象とし、高所得国における地域社会に根ざしたメンタルヘルスへの介入を評価するものであれば、デザインは問わず、対象とした。 レビューの結果 研究デザイン、参加者の特...

医療現場以外の労働者のコロナウイルスSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)感染リスク低減のための介入策

1 year 11 months ago
医療現場以外の労働者のコロナウイルスSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)感染リスク低減のための介入策 レビューの目的 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的に蔓延している呼吸器感染症である。SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2)に感染すると、特に高齢者や基礎疾患を持つ人は重症化し、死亡する可能性がある。パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。これらの介入がCOVID-19感染率,欠勤率,COVID-19関連死亡率,有害事象に及ぼす影響を評価した. 本レビューで検討したことは何か? 以下の4つのカテゴリーに従って、介入策を検討した研究を検索した。1)隔離(例:自己隔離戦略)、2)工学的管理(例:同僚や作業員と一般の人々を分離または距離を置くための障壁)、3)業務運営的管理(例:在宅勤務)、4)個人保護具(例:フェイスマスクや他のタイプの顔面カバーの使用)。医療現場以外のあらゆる労働者を対象とした研究も対象とした。言語の制約や時間的な制約のない研究を探した。 本レビューの主な結果 13,000件以上の報告をスクリーニングし、2021年3月から6月にかけてイングランドの中等・高等学校162校で実施された1件の研究が含まれている。この研究では、...

健康状態の悪化が懸念される地域の高齢者を対象とした高齢者総合機能評価

1 year 11 months ago
健康状態の悪化が懸念される地域の高齢者を対象とした高齢者総合機能評価 世界的に寿命が延びる中、医療を必要とする高齢者に最適な環境で適切な医療を提供するためのさまざまな方法を模索することが急務となっている。現在、より多くの高齢者がフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)を抱えて生活している。フレイルは、早期死亡、老人ホームへの入所、自立度の低下など、健康に悪影響を及ぼす結果を招きやすい特徴を持つ臨床的な症候群である。 医師、看護師、セラピストなど、フレイルを持つ高齢者のケアに精通した医療専門家が組織的かつ協調的に行うケア(高齢者総合機能評価:CGA)が、地域在住でフレイルを持つ高齢者が受ける通常のケアと比べて、(老人ホームではなく)地域で生活を継続する可能性を高めるかどうかを検討した。また、CGAが入院や救急外来を受診する可能性を減らすかどうか、CGAが高齢者の機能レベルやQOL(生活の質)に与える影響も検討した。 CGAは高齢者の自宅や地域の別の場所で行われ、高齢者医療に精通した医療チームによって実施された。CGAに基づくケアを、高齢者が地域で受ける通常の医療ケアと比較する研究を探した。 10か国、4大陸の7,893人のフレイルを持つ高齢者について情報を提供している21件の関連する研究を特定した。通常の医療ではなくCGAを受けた高齢者は、全体として死亡リスクが有意に低いというこ...

磁気共鳴画像(MRI)検査で肝臓癌を発見する精度は?

1 year 11 months ago
磁気共鳴画像(MRI)検査で肝臓癌を発見する精度は? 要点 慢性肝疾患の患者に関して、磁気共鳴画像(MRI:体内を横断的にスキャンする)により、16%の人が肝臓癌を見落とされ適時適切な治療を受けられない可能性があり、6%の人が肝臓癌を誤って発見され不必要な治療を受ける可能性がある。 MRIにより、肝臓の一部を切除する手術を受ける可能性のある肝臓癌患者の16%が、おそらく肝臓癌を見逃され、肝臓の一部を切除する手術を受ける必要のない患者の7%が、肝臓癌を誤って発見されてしまう。 これらの研究は、バイアスのリスクが高く、また、互いにあまりにも異なるため、エビデンスに基づく確固とした結論を導き出すことはできなかった。 なぜ、肝臓癌を正確に診断することが重要か? 肝臓癌、すなわち「肝細胞癌」は、原因に関係なく、ほとんどが慢性肝疾患の人に発生する。世界で6番目に多い癌であり、癌による死亡原因の3番目に多い癌である。初期症状は肝臓の病気と似ているため、診断が難しい。血液検査や超音波検査の結果、肝臓癌が疑われる人は、肝臓の画像を作成するスキャンや、肝臓の一部を取り出して調べる生検など、さらなる検査を受けることができる。肝臓癌が早期に発見された場合、肝臓の一部を切除する手術(肝切除術という)や肝移植による治療が行われることがある。肝臓癌がさらに進行している場合は、化学療法が必要になることもある。肝...

多発性硬化症患者の対症療法としての医療用大麻およびカンナビノイド

1 year 11 months ago
多発性硬化症患者の対症療法としての医療用大麻およびカンナビノイド 要点 - ナビキシモルスによる治療は、プラセボと比較して、痙性(麻痺に伴う副作用であり、軽度の筋硬直から、重度の脚部運動制御不能まで、各種の痙性がある)の改善をもたらす可能性が高く、重篤な有害事象を増加させない可能性がある。 - カンナビノイド(ナビキシモルス、大麻抽出物、合成カンナビノイド)は、プラセボと比較して、患者による報告の結果で測定した場合、幸福感を向上させる可能性が高い。 - これらの医薬品は、確実なエビデンスがないため、慢性神経障害性疼痛の治療に対する有用性は不明である。 レビューの論点 多発性硬化症(MS)の患者さんの多くは、痛みを伴う痙性を経験し、日常生活に支障をきたしている。痙性は、筋肉の緊張が高まった状態である。医療用大麻とは、大麻、またはカンナビノイドと呼ばれる成分を、MSの痙性や慢性疼痛などの症状を緩和するための内科的治療として使用することを指す。国際的な調査によると、医療用大麻が最もよく使用される5つの病状の1つにMSが挙げられている。英国で行われた別の調査では、MS患者の5人に1人以上が、自分の症状を抑えるために医療用大麻を使用したことがあると回答している。 何を知りたかったのか? カンナビノイドがプラセボよりもMSの成人の以下の項目の改善に優れているかどうかを知りたかった。 - 痙性...

男性不妊症に対する抗酸化物質

1 year 11 months ago
男性不妊症に対する抗酸化物質 レビューの論点 抗酸化物質の経口補充は、プラセボ、無治療、他の抗酸化物質と比較して、不妊症の男性の妊孕性(妊娠させる力)を向上させるか? 背景 1年以上妊娠を試みても妊娠できないカップルには、不妊の問題があると考えられる。不妊治療を行っている多くの不妊症の男性は、妊孕性の向上を期待して栄養補助食品を摂取している。不妊治療は、男性やそのパートナーにとって非常にストレスとなり得る。このようなカップルが、抗酸化物質の栄養補助食品に関する十分な説明を受けたうえで摂取するかどうかを決定できるように、質の高い科学的根拠(エビデンス)を利用できる状況が重要である。これは、抗酸化物質の栄養補助食品の多くは法令の規制を受けていないため、特に重要となる。今回のレビューは、不妊症の男性が抗酸化物質の栄養補助食品を摂取することで、臨床的妊娠(超音波検査で妊娠と確認できること)と生児出産(最終的に赤ちゃんが産まれること)の可能性が高くなるかどうかを評価することを目的とした。精子が正常だった男性における抗酸化物質の使用については調べなかった。 研究の特徴 10,303人の不妊症の男性を対象に、18種類の抗酸化物質とプラセボ、無治療、その他の抗酸化物質を比較した90件のランダム化比較試験を含むレビューを行った。参加者の年齢は18~65歳であった。参加者は不妊治療クリニックに紹介さ...
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