Latest Japanese Reviews

医薬品への保険制度を規制する政策の効果

1 year 11 months ago
医薬品への保険制度を規制する政策の効果 本コクランレビューの目的は、医薬品保険制度が、人々の医薬品の使用、医薬品に支払う金額、健康状態、医療サービスの利用を変えるかどうかを調べることであった。関連するすべての研究を収集し、分析した。その結果、58件の研究を特定した。これらの研究のほとんどは、2006年1月に実施された一つの政策変更(メディケアパートD)を評価した米国のものであった。 要点 アメリカのメディケアパートDは、高齢者に無料で処方薬を提供している。この制度は、高齢者が使う薬の量を増やすかもしれないが、薬に支払うお金を減らす可能性がある。このシステムが人々の健康や医療サービスの利用を変えるかどうかは、エビデンスの確実性が非常に低かったため不明である。 医薬品保険制度とは何か? 医薬品保険制度では、政府や民間団体が人々に必要な医薬品を低価格または無料で提供する。薬は通常、政府の税金、雇用者、保険制度への加入者、またはこれらの組み合わせによって支払われる。 多くの国では、公的な医薬品保険と民間の医薬品保険の両方のシステムがある。医薬品保険制度の中には、国や環境に応じてすべての人をカバーするものがある。また、特定のグループのみを対象とする制度もある。例えば、働いている人だけを対象とする保険制度もあれば、貧しい人や高齢者だけを対象とする保険制度もある。 良い医薬品保険制度は、必要な...

認知症および軽度認知障害における抑うつと不安に対する心理療法

2 years ago
認知症および軽度認知障害における抑うつと不安に対する心理療法 キーポイント - 思考や行動変容に焦点をあてた認知行動療法に基づく心理療法は、おそらく認知症や軽度認知障害の人の抑うつ、生活の質、日常生活にわずかながらプラスの効果をもたらすと考えられている。 - 認知症や軽度認知障害の不安に対して、どのような心理療法が有効であるかは、十分なエビデンスがない。 - さまざまな種類の心理療法や、どのような人にどのような治療が最適なのかについて、より多くのエビデンスが必要である。 認知症と軽度認知障害とは? 認知症は、認知(記憶や思考能力)に問題が生じる疾患である。認知症の人は、すべての日常生活を自立して営むことは今ではできない。軽度認知障害は、それほど重症ではなく、日常生活に大きな影響を与えてはいない状態である。軽度認知障害を発症した人の中には、そのまま認知症に移行する人もいる。 心理療法とは? 心理療法は、「話し合い療法」とも呼ばれ、心理学の理論に基づいた治療法である。セラピストが個人または少人数のグループと一緒になって、健康状態を改善するためのスキルや方法を身につける。これらの治療法は、認知障害のある方にも適応することができる。 何を知りたかったのか? 認知症や軽度認知障害では、抑うつや不安がよく見られるが、その治療方法は不明である。これらの問題の治療によく使われる薬は、認知症の人に...

マインドフルネスは禁煙に役立つか?

2 years ago
マインドフルネスは禁煙に役立つか? 要点 - マインドフルネスを用いた治療が禁煙に役立つ、あるいは精神的な健康や幸福感を向上させるという明確なエビデンスは、今のところない。 - しかし、エビデンスに対する信頼度は低いか非常に低く、さらなるエビデンスによって結論が変わる可能性がある。 マインドフルネスとは? マインドフルネスとは、自分の考えや感情に注意を向け、それらが生じたり消えたりするのを、判断せずに観察することである。マインドフルネスは、人々が思考や感情に支配されるのではなく、むしろ思考や感情をよりよくコントロールするのに役立つと考えられている。禁煙すると、タバコを吸いたい衝動に駆られたり、気分が落ち込んだりするが、マインドフルネスを用いた治療により、それらに対処する能力を高めることができるかもしれない。 マインドフルネスに基づいた治療の種類は以下の通りである: - マインドフルネス・トレーニング(マインドフルネスに基づく瞑想のトレーニングを行うもの)。 - 受容とコミットメント療法(アクセプタンス&コミットメント・セラピー:acceptance and commitment therapy, ACT):瞑想を教えるのではなく、自分の考えや感情と戦うのではなく、それを受け入れるように促し、行動を変えることを約束させる療法。 - 苦痛耐性トレーニング(ACT療法の一部を提供すると...

歯周病の治療は、糖尿病をもつ人の血糖値のコントロールに役立つのか?

2 years ago
歯周病の治療は、糖尿病をもつ人の血糖値のコントロールに役立つのか? レビューの論点 レビューの主な論点:歯周病治療は、積極的な治療を行わない場合や通常の治療と比較して、糖尿病患者の血糖をコントロールすること(血糖コントロール)にどのように有効か? 背景 歯周炎の治療の目的は、腫れと感染を抑え、歯茎とそれを支える骨の状態を安定させることである。糖尿病をもつ人は血液中の糖の量が多すぎるため、血糖値をコントロールすることが重要な課題である。いくつかの臨床研究では、歯周病の治療と血糖コントロールの間に関連があることが示唆されてる。 血糖コントロールは、さまざまな方法で測定することができる。本レビューでは、過去3ヶ月間の平均血糖値を示すHbA1cに注目した。HbA1cは総ヘモグロビン量に対する割合(%)、またはmmol/mol(ミリモル/モル)で報告される。糖尿病患者の血糖コントロールが優れている時のHbA1cは、6.5%または48mmol/mol程度と考えられる。 本レビューは、コクランオーラルヘルスに所属する著者によって実施され、2010年と2015年に発表されたレビューのパート1の更新版である。本レビューでは、歯周病治療を、積極的な治療なし、または通常のケアと比較して評価した。レビューのパート2では、さまざまな種類の歯周病治療を比較する予定である。歯周病治療が血糖コントロールを改善す...

遠隔で評価を行う認知症診断の精度は?

2 years ago
遠隔で評価を行う認知症診断の精度は? なぜこの問題が重要なのか? 認知症は慢性的かつ進行性の疾患で、記憶力や日常生活に必要な能力に影響を与える。認知症の臨床診断には、通常、脳画像、身体検査、問診を行う。最初のステップとして、記憶や思考の検査を行うことが多く、更なる評価を必要とする人を特定する。従来、これらの検査は対面で行われてきたが、検査を改良することで、電話やテレビ電話を介して行うことができるようになり、「リモートアセスメント(遠隔評価)」と呼ばれることもある。 特にCOVID-19により、遠隔評価の必要性が急増している。しかし、COVID-19のパンデミック以外にも、遠隔評価のメリットは潜在している。対面ので診療予約をとるのが難しい人もいるため、遠隔評価はより多くの利便性をもたらす。また、遠隔評価は、かなりの短時間で多くの人と接することができるため、研究にも有効である。 電話で実施される検査は、対面でのテストに劣る可能性があり、これらのテストを正しく行うことが重要である。一方、認知症でないにもかかわらず認知症であると示唆された場合(偽陽性という)は、本人や家族に精神的な影響を与える可能性がある。一方、記憶や思考の問題があるにもかかわらず、それを発見できない場合は(偽陰性という)、その人が必要とする治療やサポートを受けられないことを意味する。 本レビューの目的は何か? 電話やテ...

小児急性気管支炎に対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP)

2 years ago
小児急性気管支炎に対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP) レビューの論点 急性気管支炎の子どもに対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP)は支持療法(症状を軽くするための治療)より優れているか、それとも劣っているか? 背景 気管支炎は、肺の小さな気道に起こる炎症で、幼児期に救急外来を受診する原因として多い病気である。急性の気管支炎の子どもに対しては通常充分な水分補給を行い、必要に応じて酸素投与を行うなどの支持療法を受ける。CPAPによる治療ではポンプから空気を送り込み気道を広げることで気道を確保するものであり、気管支炎の子どもに対し有効である可能性がある。このレビューは2015年に出版され、2019年に更新されたレビューの再更新である。 検索期間 2021年8月15日現在のものを検索した。 研究の特徴 気管支炎と診断された生後12か月までの総計122名の子どもを含めた3件の小規模なランダム化比較試験(対象者を2つ以上のグループにランダムに振り分ける研究)を対象とした。今回の更新では新規の試験は見つからなかった。3件の研究はフランス、イギリス、インドで単一の施設で実施されいた。すべての研究でCPAPと標準的な治療とが比較された。 試験の資金源 1件の研究は大学病院から資金提供を受け、1件の研究は資金提供は受けていないと報告している。3件目の研究は資金提供元について明記していない。 主要な結...

精神障害者のためのランダム化試験における対照介入群

2 years ago
精神障害者のためのランダム化試験における対照介入群 この系統的レビューでは、精神障害者を含むランダム化試験におけるさまざまな対照介入群の効果を評価する。ランダム化試験では、患者は2つ以上の群(通常は実験介入群と対照介入群)のうちの1つに偶然的に割り付けられる。精神保健に関する介入研究において、対照介入群には多くの種類がある。最も一般的なものは、実験介入群における活性成分と仮定されるものを欠いた異なる種類の偽薬群や、患者が住んでいる地域の精神障害に対する標準治療を受ける標準治療群などである。他の2つのタイプの対照介入群は、順番待ち群または試験中に試験に関連したケアを受けない無治療群(ただし、一部の患者は試験外でケアを受けるかも知れない)である。順番待ち患者は、試験が有害性よりも有益性が高いと決着した後に実験的介入を提供されることがしばしばで、一方無治療参加者は、研究者から実験的介入を提供されることはない。 精神障害者を対象とし、順番待ち群、通常ケア群、偽薬介入群を順番待ち群または無治療群と比較したランダム化試験を検索した。有益な効果に関するすべての種類の対照介入群間の違いと、それらの対照介入群が何らかの有害な効果を引き起こしたかどうかを調べた。合計4,200人の参加者を対象とした96件の試験があった。使用可能なデータを提供したのは83件の試験(3,614人の参加者)だけであった。1...

てんかんに対する抗てんかん薬単独療法(単剤治療)

2 years ago
てんかんに対する抗てんかん薬単独療法(単剤治療) 背景 てんかんは、脳からの異常な放電により繰り返す発作が引き起こされる一般的な神経疾患である。このレビューでは2つの種類のてんかん発作について検討した:脳のある部位で始まる焦点発作と、両大脳半球で同時に始まる全般強直間代発作である。 てんかん患者の約70%は発作をコントロールすることができ、大多数の患者は抗てんかん薬単剤で発作をコントロールすることができる。現在、英国では成人および小児に対する国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインにおいて、新たに焦点発作と診断された患者にはカルバマゼピンまたはラモトリギン、新たに全般強直間代発作と診断された患者にはバルプロ酸ナトリウムを最初に試みるべき治療選択肢として推奨しているが、その他の抗てんかん薬も幅広く提供されている。 新たに発作と診断された患者にとって、最初に使用する抗てんかん薬の選択は非常に重要であり、発作を抑制する効果がどの程度あるか、副作用がどの程度かに関する質の高いエビデンスを考慮して決定されるべきである。また、異なる種類の発作に適した薬剤を比較検討することも重要である。 レビューの方法 本調査で対象とした抗てんかん薬は、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、フェノバルビトン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマート、レベチラセタム、ゾニサ...

早産児の罹患および死亡を予防するためのシクロオキシゲナーゼ阻害剤の予防的投与

2 years ago
早産児の罹患および死亡を予防するためのシクロオキシゲナーゼ阻害剤の予防的投与 レビューの論点 利用可能なシクロオキシゲナーゼ(COX-I)阻害薬(インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェン)のうち、生後72時間以内に動脈管開存症(PDA)の存在を事前に知らずに予防投与した場合に、最も安全で早産児の死亡や望ましくない結果を防ぐ効果が高いのはどれか。 背景 PDAは早産児や低出生体重児によく見られる合併症である。PDAは、肺と心臓の間に開いた血液路で、通常は生後まもなく閉鎖する。早産児では、PDAが開いたままになることが多く、生命を脅かす合併症の一因となる可能性がある。インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなどのCOX-I阻害薬は、PDAとそれに関連する望ましくない結果を予防できる可能性がある。3種類のCOX-I阻害薬のうち、どれが早産児の臨床結果を改善するかについては、論争が続いている。 研究の特性 PDAを有するかどうかわからないが生後72時間以内にCOX-Ⅰ阻害薬が投与された早産児(妊娠37週未満で出生した児)、低出生体重児(体重2,500g未満の児)、または早産児・低出生体重児を対象としたランダム化比較試験(参加者が2つ以上の治療群のいずれかへ無作為に割り付けられた臨床試験)について、科学データベースを検索した。対象となった試験では、インドメタシンまたはイ...

介護施設で暮らす認知症の人のための段階的な(アルゴリズムに基づいた)疼痛管理

2 years ago
介護施設で暮らす認知症の人のための段階的な(アルゴリズムに基づいた)疼痛管理 このレビューの目的は何か 介護施設で暮らす認知症の人の痛みを、看護師がどのように管理すればよいのかを検討した。疼痛管理では、痛みを評価し、必要に応じて疼痛治療を行う。看護師が痛みを管理する方法について段階的な手引き(アルゴリズム)が存在することで、痛みや、苦痛があることを示す行動(叩く、叫ぶ、徘徊など)を減らすことができるかどうかを検討した。 レビューでは何が検討されたか? 介護施設にいる認知症の人は、痛みを感じることが多い。しかし、痛みを感じていても介護者に伝えることができないため、気づくことが難しく、認知症のある介護施設入居者は、認知症のない入居者に比べて鎮痛剤の投与量が少ないことが分かっている。治療されていない痛みは、幸福感や健康に悪影響を及ぼす可能性があり、攻撃性などの対応が困難な行動の原因にもなる。アルゴリズム、つまり看護スタッフ向けの詳細な段階的手引きの使用は、疼痛管理を改善するように作成されている。アルゴリズムは、構造化された痛みの評価から始まり、痛みを軽減するための非薬物療法や薬物療法など、さまざまな治療ステップを設定している。痛みが検出された場合、最初のステップで記載された治療が適用される。この処置で痛みが軽減されない場合は、次のステップの治療を行う、というようにする。 レビューに含ま...

小児の慢性便秘におけるプロバイオティクス

2 years ago
小児の慢性便秘におけるプロバイオティクス レビューの目的 このコクランレビューの目的は、小児(0歳~18歳)の身体的に異常がない慢性便秘の治療にプロバイオティクスが使用できるかどうかを調べることである。 この目的を達成するために、14件の研究から得られたデータを解析した。 要点 身体的に異常がない慢性便秘の治療を受けた子供の排便頻度についてプロバイオティクスとプラセボを比較した場合、結論を出すことはできなかった。2つのグループの間で治療の成功率に差がない可能性がある。 プロバイオティクスと下剤を併用した場合と、下剤のみを使用した場合を比較すると、排便の頻度や治療の成功率に差がない可能性がある。 排便回数や治療の成功率について、プロバイオティクスと酸化マグネシウムを比較した場合、結論を出すことはできなかった。 シンバイオティクス製剤(プロバイオティクスとプレバイオティクスの組合せ)を投与された小児では、プラセボと比較して排便の回数が多い可能性がある。 プロバイオティクス製剤とプラセボを比較した場合、有害事象による試験参加者の脱落におそらく差はない。 その他の比較対象については、試験から離脱した人の数が少なかったため、安全性についての結論は出なかった。 レビューでは何が検討されたか? 小児はしばしば便秘に長期間苦しむことがり、根本となる身体的な原因が見つからない場合、それは「機能性便...

女性の腹圧性尿失禁を治療するための尿失禁手術後の感染予防を目的とした抗菌薬

2 years ago
女性の腹圧性尿失禁を治療するための尿失禁手術後の感染予防を目的とした抗菌薬 レビューの論点 腹圧性尿失禁の女性が尿失禁手術を受ける場合、抗菌薬は感染予防として安全で有効か? 背景 腹圧性尿失禁(SUI)とは、咳やくしゃみ、笑ったときなど、お腹の中の圧力が急に高くなったときに、コントロールできずに尿が漏れてしまう状態を指す。SUIの治療法のひとつに尿失禁手術がある。尿失禁手術には、大きく2つに分けられる。開腹手術(お腹を開き、尿道のそばにある腟を固定するために縫合する)か開腹手術より侵襲が少ない方法である。後者には、腹腔鏡下仙骨腟固定術(小さな切開で、腹腔鏡を使って縫合する)、スリング術(テープやメッシュを尿道の周りに通して尿道を正常位置に持ち上げ、腹壁に固定する)、コラーゲンなどのバルキング剤を膀胱頸部に注入する処置がある。手術部位や尿路の感染症は、すべての尿失禁手術の後によく見られる合併症である。予防的な抗菌薬は、術後の創感染を予防する可能性があるが、それを裏付けるエビデンスはまだ限られている。 本レビューの更新状況 2021年3月18日までのランダム化比較試験(RCT:試験中の治療法を誰もが同じ確率で受ける)、および準RCT(試験中の治療法だが誰もが同じ確率で受けるとは限らない)を検索した。 研究の特徴 我々は、2つの異なる尿失禁手術のいずれかを受け、3段階の異なる用量の抗菌...

脳卒中患者の認知機能障害に対する作業療法

2 years ago
脳卒中患者の認知機能障害に対する作業療法 本レビューの目的 作業療法が脳卒中後の日常生活動作や認知機能を改善するかどうかを検証した。認知とは、考える、見たり聞いたことに注意を払う、学習する、記憶する、問題を解決するなどの脳で行われる情報処理のことである。関連するすべての研究を収集し分析した結果、24件の研究を特定した。 要点 脳卒中後の認知に問題がある人の場合、作業療法を行った直後と6か月後では、シャワーや着替えなどのセルフケア活動を行う能力に、意味のある違いは、わずかから、全く無い可能性がある。作業療法は、介入直後に、これらの人々の一般的な情報処理能力や視覚的な注意を払う能力を向上させる可能性がある。作業療法は、記憶力や柔軟な思考力のいくつかの側面をわずかに改善することがある。 エビデンスの質は、ほとんどが確実性が低い、または非常に低い。脳卒中後の認知機能障害に対する作業療法による介入を検証する、よりよくデザインされた研究が必要である。 このレビューからわかったこと 脳卒中後、認知に問題が生じることはよくあり、着替えや食事、シャワーといった日常のセルフケア活動や、家事や食料品の買い物といった家庭や地域社会での活動に影響を与えることがある。 脳卒中の人は、病院やリハビリテーションセンター、または自宅で、脳卒中後のさまざまなセラピーを受けることができる。作業療法はその一つである。作...

低・中所得国の人々に、条件を付けずにお金を与えることは、健康やその他の生活の向上につながるか?

2 years ago
低・中所得国の人々に、条件を付けずにお金を与えることは、健康やその他の生活の向上につながるか? レビューの論点 低・中所得国(LMICs)の中には、政府やその他の組織が、貧しい人々や弱い人々(例えば、高齢者や孤児)に、お金を受け取るために特に何かを要求することなくお金を渡すことがある(「無条件現金給付」)。また、医療サービスを利用したり、子どもを学校に通わせるなど、必要な行動をとった場合にのみお金を受け取ることができるプログラムもある(「条件付現金給付」)。このレビューは、無条件の現金給付を受けることで、無条件の現金給付を受けない場合、無条件の金額を少なくする場合、条件付きの現金給付を受ける場合と比較して、人々の保健サービスの利用や実際の健康状態が改善するかどうかを調べることを目的としている。また、学校への出席、家畜の所有、仕事の有無、極度の貧困など、保健・医療支出を左右する日常生活条件に対する無条件現金給付の効果を評価することも目的としている。 背景 無条件現金給付は、所得に対処する社会的保護介入の一種である。無条件現金給付が条件付き給付と比較して、より効果的なのか、効果的でないのか、あるいは同等なのかは不明である。無条件現金給付が LMICs の子どもと成人の医療サービス利用と健康に関する結果に与える効果に関するエビデンスをレビューした。 本レビューの結果 LMICsの全年齢...

低血糖の新生児に対する経口ブドウ糖ゲルの投与

2 years 1 month ago
低血糖の新生児に対する経口ブドウ糖ゲルの投与 レビューの論点 低血糖症を起こした新生児に対して、経口ブドウ糖ゲル(ゲル状の砂糖を口から飲ませること)は、無治療や他の積極的治療と比較して、低血糖の是正や長期の神経発達障害の軽減に有効か。 背景 新生児の低血糖はよく見られる問題であり、特定のリスクグループ(糖尿病の母親の乳児、早産児、出生体重の小さい児および大きい児)で頻繁に発生する。血糖値の低い新生児は、幼少期の発達障害のリスクが高くなる。この状態を改善させるために、一般的には積極的な治療が行われ、しばしば粉ミルクの使用や、新生児集中治療室に入院して輸液療法を受ける必要があり、結果として母親から一時的に引き離されることになる。口の中に塗る砂糖のゲルの利用は、血糖値の低い新生児の初期ケアとして、簡単かつ低コストで行える方法である。新生児の低血糖を是正し、神経発達への長期的影響を軽減するために、経口ブドウ糖ゲルが無治療や他の積極的治療よりも有効であるかどうかを調べた。 研究の特徴 高所得国で行われた2件の研究では、合計312人の新生児を対象に、低血糖を回復させるための 経口ブドウ糖ゲルの使用を評価した。このうち157人の新生児には経口ブドウ糖ゲルを頬の内側にすり込み、155人の新生児にはプラセボゲルをすり込むかまたはゲルをすり込まず、その後通常の授乳を行った。 主な結果 経口ブドウ糖ゲ...

生後6カ月から5歳の小児における罹病率および死亡率を低下させるためのビタミンA補充

2 years 1 month ago
生後6カ月から5歳の小児における罹病率および死亡率を低下させるためのビタミンA補充 背景 ビタミンA欠乏症(VAD)は低・中所得国における重大な公衆衛生問題であり、5歳未満の小児1億9千万人が罹患している。VADにより小児の呼吸器疾患、下痢、麻疹、視力障害などさまざまなリスクが増加しやすくなり、死に至ることもある。過去の研究では、VADのリスクがある生後6カ月から5歳までの小児に合成ビタミンAを補充すると、死亡や複数の疾患のリスクが低下する可能性が示されている。本レビューは以前のレビューの更新版である。 レビューの論点 本レビューでは、生後6カ月から5歳までの小児の疾患や死亡の予防において、合成ビタミンAの補充の効果をプラセボ(偽薬)や非介入と比較して評価することを目的とした。 レビューの方法 医学研究の結果が公表されているものと公表されていないものの両方が含まれている異なるデータベースを検索した。文献検索は2021年3月に更新された。ランダム化比較試験(RCT:参加者を1つ以上の治療群に無作為に割り付ける研究)のみを選択した。研究文献において、RCTは最善の実験的研究方法と考えられている。結果を数学的に統合し、疾患や死亡に対するビタミンAの補充の有効性について全般的な推定値を算出した。 研究の特性 今回の更新では、新たな試験は同定されなかった。本レビューでは小児1,223,85...

婦人科がん患者に対する手術後の周術期回復強化プログラム

2 years 1 month ago
婦人科がん患者に対する手術後の周術期回復強化プログラム 背景 婦人科領域のがんは、罹患率と死亡率が著しく高い。婦人科がんの治療では、腹腔鏡(鍵穴手術)または開腹による手術療法が最も重要な治療法の一つである。手術後の回復には、十分に計画された周術期医療(手術時またはその前後のケア)が不可欠である。 近年、複数の研究者や医師により、従来の周術期医療の多くの側面が不要であり、有害でさえあるのではないかと指摘されている。たとえば、経口下剤や浣腸を使用すると、脱水症状が起きるうえに、術前のナトリウム、カリウム、カルシウム値が異常になる可能性がある。術後の回復強化(ERAS)プログラムは、手術のストレスを軽減し、従来の周術期医療の有害な面を避けることを目的としており、さまざまな分野の手術、特に消化器外科の手術に徐々に導入されている。ERASプログラムは、手術後の回復を助け、入院期間を短縮し、患者本人を大きな危険にさらすことなく病院経費を節約できる可能性がある。しかし、婦人科がんの患者に対するERASプログラムの効果はあまり知られていない。本レビューは、婦人科がん治療での周術期のERASプログラムの有益性と有害性を評価することを目的とする。 研究の特性 中国語および英語のデータベースを検索し(2020年10月現在まで)、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、子宮内膜がんを含む婦人科がんの女性747...

腹腔鏡手術時に腹腔内に送気する各種の気体について

2 years 1 month ago
腹腔鏡手術時に腹腔内に送気する各種の気体について レビューの論点 腹腔鏡手術(鍵穴手術)で臓器への手術操作を容易にすることを目的とした、腹腔(お腹の中の空間)の気腹(気体で膨らますこと)に用いる各種気体の有益性および有害性は何か。 背景 現在、腹腔鏡手術は広くさまざまな腹部疾患の治療に用いられている。手術に必要な空間や視野を確保するために、腹腔内に送気する理想的な気体は安価で無色、引火性および爆発性がなく、体内から容易に排出され、患者および手術スタッフへの害が皆無のものである。この条件から、現在は二酸化炭素が最も多く使用されている。しかし、二酸化炭素の使用は心臓や肺の合併症を引き起こす可能性がある。そこで、二酸化炭素の代替となる他の気体が提案されている。 研究の特徴 2021年10月までの関連する全研究を検索した。 参加者583人を対象とした臨床試験10件を特定した。そのうちの3件(260人)は亜酸化窒素(笑気ガス)と二酸化炭素の比較、5件(177人)はヘリウムと二酸化炭素の比較、1件(146人)は室内気と二酸化炭素の比較であった。研究は、米国、オーストラリア、中国、フィンランド、イラン、オランダで実施された。試験参加者の平均年齢は19歳から62歳であった。 研究の資金源 対象となった10件の研究のうち、2件は非営利的な助成金による資金提供を受けていた。残りの8件の資金源は明記さ...

医療機関に通院中のHIV持続感染者の高ウイルス量を検出するベッドサイドの迅速検査

2 years 1 month ago
医療機関に通院中のHIV持続感染者の高ウイルス量を検出するベッドサイドの迅速検査 高HIVウイルス量を検出する診断技術を改善することがなぜ重要なのか? それは、抗レトロウイルス療法(ART)を受けているHIV持続感染者(PLHIV)のHIVウイルス量を監視するのに役立つ。高ウイルス量は薬でウイルスを抑えることができていないことを示し、ART治療無効状態である。この状態では重症化や死亡の危険性がある。患者を診察するベッドサイド(point-of care)で素早くHIVウイルス量を検査できるベッドサイドの迅速診断検査は、必要時にARTの早期変更を可能にする。 レビューの目的 医療機関に通院するPLHIVにおいて、高HIVウイルス量診断のためのベッドサイドの迅速検査(POC)の精度を明らかにする。 検討した内容 ウイルス量を検出するための迅速検査の測定結果と中央検査室における検体検査(基準となる検査)の測定結果を比較した。検査を実施した医療機関にかかわらず、ウイルス量を測定するすべての種類のベッドサイドの迅速検査を対象とした。 主な結果 8,659人の参加者を含む20の比較評価を完遂した14件の研究においては、臨床的に推奨する閾値、1000コピー/mL以上で高ウイルス量陽性と診断する分子学的現場検査を比較していた。 レビューの強みと限界 このレビューには、HIV/AIDSケアセンター...

吸入コルチコステロイドは、軽度のCOVID-19の人に有効な治療法なのか?

2 years 1 month ago
吸入コルチコステロイドは、軽度のCOVID-19の人に有効な治療法なのか? 要点 経口の吸入経路で投与される吸入コルチコステロイド(抗炎症薬)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として評価されている。 軽症者を対象に実施して、発表された3件の研究を特定した。吸入コルチコステロイドは、おそらく、病院に行く、または死亡(入院や入院前の死亡)に対するリスクを減少させる。吸入コルチコステロイドは、軽度のCOVID-19の症状がある日数を減らす可能性があり、おそらく14日目のCOVID-19の症状を消失させる。あらゆる原因による死亡にはわずかから全く差がない可能性があり、重大な害を引き起こすかどうかを知るには十分なエビデンスがない。 症状のない(無症状)COVID-19患者、中等症から重症のCOVID-19患者のデータは存在しない。 10件の進行中の研究と4件の終了した未発表の研究が特定された。その結果が発表され次第、本レビューを更新する予定である。 吸入コルチコステロイドとは何か? 吸入コルチコステロイドは、吸入器を使って下気道に吸入することで、肺の炎症を抑える薬である。この薬は、喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器系疾患の治療に通常は使用される。長期間の使用や誤った吸入方法によって、鵞口瘡と呼ばれる口の感染症、声の変化、肺炎のリスク増加などの副作用が発生することがある。...
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56 minutes 28 seconds ago
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