Latest Japanese Reviews

脳卒中後の腕のリハビリテーションのための行動観察

1 year 8 months ago
脳卒中後の腕のリハビリテーションのための行動観察 レビューの論点 脳卒中後の腕や手の機能に対する行動観察の効果を、代替介入や無介入と比較した。さらに、この療法が上肢の運動機能、日常生活動作、生活の質(QOL)、脳領域の活性化に与える効果も観察した。 背景 脳卒中を発症すると、腕が動かしにくくなり、日常生活に支障をきたしたり、日常生活への参加が減少したりすることがある。行動観察とは、腕のリハビリテーションのために提案された手法で、脳卒中の人が健常者の行う作業をビデオや対面で観察し、その後同じ作業を実施したり、しなかったりするものである。この安全な方法は、高価で複雑な機器を使用せず、セラピストによる監督も最低限で実施可能である。行動観察では、同じ動作をするときに活性化される脳部位と類似した脳部位が活性化され、脳卒中後の動作回復に有利に働く可能性があることが試験で示されている。 試験の特性 脳卒中後の574人を対象とした16件の試験を同定した。試験の多くは、ビデオの視聴と行動観察に続いて、さまざまな活動を用いた何らかの運動訓練を行い、トレーニングの過程で参加者にとって実施が簡単であった時に課題の複雑さが増加するような活動を使用した。エビデンスは2021年5月までのものである。 主な結果 行動観察が、代替介入や介入なしと比較して、参加者の腕や手の使用の改善につながるかどうかを検証した試験...

COVID-19ワクチンの接種を促進するための介入

1 year 8 months ago
COVID-19ワクチンの接種を促進するための介入 背景 ワクチンは、治療法がほとんどないCOVID-19の死亡や重症化を防ぐのに有効である。COVID-19のワクチン接種が広く行われることで、まだワクチン接種を受けることができない人たちを守ることができるかもしれない。しかし、COVID-19のワクチン接種を希望しない人も多い。そのため、重症化したり死亡したりするリスクが高くなる。 目的 COVID-19ワクチンの接種を増やすためのどのような介入方法がこれまでに評価されてきたか、あるいは現在評価されているかを知りたかった。 方法 2021年10月11日までの医学データベースと臨床試験登録を検索した。COVID-19ワクチンの接種率を高めるための介入を調査したすべての研究を対象とした。他のワクチン(例えば、はしか)を対象とした研究は除外した。参加者が100人以上のあらゆる形態の研究を対象とした。 研究が見つかったら、介入方法を次のグループに分類した:コミュニケーション介入、政策介入、アクセス改善介入、教育介入、インセンティブ、多次元的介入。その結果を対応表にまとめた。さらに、研究の結果(評価項目)、研究が行われた国、研究対象者、研究デザインなどを図表上に示した。 結果 96件の研究をエビデンスを示す図表に含め、そのうち35件は進行中で、61件は結果が公表されている。これらの研究でテ...

肺がん検診におけるコンピュータ断層撮影(CT)の影響

1 year 8 months ago
肺がん検診におけるコンピュータ断層撮影(CT)の影響 背景 肺がんは、がん関連死亡の原因として世界で最も多い病気である。肺がんの生存率は、病気と診断された時期に大きく左右される。レントゲン撮影(胸部X線)や、肺の画像をより詳しく複数枚撮影するCT検査で、できるだけ早期に病気を発見することが肝要である。このレビューの目的は、肺がんを早期に発見するためのCTの使用に関する情報を収集し、肺がんの早期発見が肺がんによる死亡を減らすかどうかを調べることであった。また、肺がん検診にCTを使用することで発生する可能性のある、追加検査やそれに伴う合併症などの害も評価した。 対象とした臨床試験の説明 エビデンスは2021年7月31日までのものである。11件の試験に含まれる、合計94,445人の参加者を対象とした。試験はアメリカやヨーロッパで実施された。最も古いものは1991年、最も新しいものは2011年に開始された。参加者は40歳以上の成人であった。CTによるスクリーニングの頻度は、1年ごとから2.5年以上までと幅があった。 主な結果 対象とした試験のうち8件(91,122人の参加者)が、肺がん関連死亡率の主要アウトカム解析に含まれた。喫煙歴の多い40歳以上の人では、CT検診により肺がんによる死亡が21%減少し、肺がんによる1人の死亡を防ぐために226人が検診を受ける必要があることがわかった。また...

全身性硬化症に対する幹細胞移植治療

1 year 8 months ago
全身性硬化症に対する幹細胞移植治療 2022年2月に医学文献のレビューを行い、全身性硬化症(SSc)がある人における造血幹細胞移植(HSCT)の利益と害を検討した。 全身性硬化症と造血幹細胞移植とは? SScは、皮膚や内臓(肺、消化器系など)が侵される自己免疫疾患(体の自然な防御システムが正常な細胞を攻撃する)である。SScに関連する症状としては、皮膚の肥厚、息切れ、消化器症状、機能障害または移動の困難などがあり、生活の質(QOL)に影響を与える可能性がある。また、SScでは死亡のリスク(死亡率)も高まる。 自家造血幹細胞移植は、病気の原因となっている可能性のある傷ついた免疫細胞の代わりに、自分の健康な幹細胞(骨髄で作られ、さまざまな種類の血球に変化することができる特別な細胞)を受け取る方法である。 SScに対して研究されている造血幹細胞移植レジメンには、放射線療法か高用量の化学療法を用い、骨髄が自力で回復しない骨髄破壊型レジメンと、放射線療法を行わず低用量の化学療法を行うが、その後の骨髄には細胞が残存している状態になる骨髄非破壊型レジメンがある。 また、幹細胞を採取する方法には2種類ある。選択的造血幹細胞移植は、特定の幹細胞(CD34+細胞と呼ばれる)を選んで再注入する方法である。非選択的造血幹細胞移植では、このステップは含まれない。 自家造血幹細胞移植は、全身性硬化症の人々に...

高血圧(高血圧症)に対する抗血小板薬と抗凝固薬

1 year 8 months ago
高血圧(高血圧症)に対する抗血小板薬と抗凝固薬 レビューの論点 血圧が高い患者において、抗血小板薬がプラセボや他の積極的な治療と比較して、総死亡または主要血栓イベント、あるいはその両方を減少させるかどうかを検討したエビデンスをレビューした。また、経口抗凝固薬が、プラセボまたは他の積極的な治療と比較して、高血圧症患者における総死亡または主要血栓イベント、あるいはその両方を減少させるかどうかも評価した。 背景 全身の(動脈)血圧上昇は血管内圧の上昇をもたらすが、血圧上昇の主な合併症である冠動脈疾患イベント、虚血性脳卒中、末梢血管疾患は、血栓症によるものである。 抗血栓療法や抗血小板療法が、血圧の高い患者の総死亡や主要血栓イベント、あるいはその両方を減少させる一次予防に特に有効であるかどうかを明らかにしたいと考えた。さらに、抗血栓療法や抗血小板療法が血圧の高い患者において、二次予防として、総死亡や主要血栓イベント、あるいはその両方を減らすのに有効かどうかの検討も試みた。 検索期間 システマティックレビューの今回のアップデートは、2021年1月までのものである。 研究の特性 このレビューでは、6件の試験に含まれる合計61,015人の患者を対象とした。4件の試験が一次予防(41,695人;HOT、JPAD、JPPP、TPT)、2件の試験が二次予防(19,320人;CAPRIE、Huynh)...

児童の口腔の健康状態向上に対する学校歯科検診の効果

1 year 8 months ago
児童の口腔の健康状態向上に対する学校歯科検診の効果 このレビューの目的は何か? 口腔の健康とは、口、のど、歯、および歯肉の健康状態を指す。このレビューの目的は、学校歯科検診が児童の口腔の健康状態の改善に効果をもたらすかどうか、効果があるとすれば、どの方法が最も効果的かを明らかにすることである。この疑問に答えるため、8件の関連した研究が調査された。これは、2017年12月に掲載され、2019年8月に更新されたレビューの2回目の更新版である。 要点 従来の学校歯科検診により、歯科への受診率(児童が歯科医院に通う頻度)を向上させることができるかどうかを結論づけるための十分なエビデンスは得られなかった。さらに、歯科受診率の向上が口腔内の健康改善につながるかどうかも明らかではなかった。学校歯科検診が口腔内の健康に及ぼす影響を長期的に評価する質の高い研究が依然として必要である。 このレビューでは何が行われたのか? 口腔疾患、特にむし歯(歯科医師は「デンタルカリエス(う蝕)」と呼ぶ)は、世界中の児童が罹患している疾患である。治療を受けなければ、口腔内の健康状態は悪化し、やがては児童の全身的な健康に悪影響を及ぼす。また、家庭や社会全体にも経済的な負担を与える。 学校歯科検診とは、歯科医師が学校において児童の口や歯を検査し、児童の口腔内の状態や治療の必要性について保護者に説明を行う取り組みである。...

閉経前後の女性の卵巣がん診断において、超音波画像診断と血液検査のさまざまな組み合わせの精度はどうなのか?

1 year 8 months ago
閉経前後の女性の卵巣がん診断において、超音波画像診断と血液検査のさまざまな組み合わせの精度はどうなのか? なぜ、卵巣がんの診断改善が重要なのか? 卵巣がんと診断された女性は、診断時に卵管や卵巣の外に転移していることが多いため、この病気で亡くなることが多い。卵巣がんを見逃した場合(偽陰性)には、大きな手術が必要となり、生存の可能性が低くなる場合がある。卵巣がんと誤って診断した場合(偽陽性)には、不安や不必要な追加検査、手術につながる可能性がある。 何を目的としているのか? 閉経前女性と閉経後女性の卵巣がんの診断に、超音波検査や血液検査がどの程度正確であるかを調べることを目的とした。 何がわかったのか? 次に示す4種類の検査を比較した59件の研究を対象とした。Risk of Malignancy Index (RMI:超音波検査とCA125の血液検査の併用)、 Risk of Ovarian Malignancy Algorithm (ROMA:CA125およびHE4の血液検査)、IOTA Logistic Regression model 2 (LR2) ultrasound、および the Assessment of Different NEoplasias in adneXa model (ADNEX:CA125の血液検査と超音波検査の併用)。 主な結果 閉経前の女性 それぞれ...

HIV感染者が薬を毎日服用しているかどうかを確認するための良い方法はあるか?

1 year 8 months ago
HIV感染者が薬を毎日服用しているかどうかを確認するための良い方法はあるか? 論点 HIV感染者にとって、HIV治療薬を毎日服用すること(服薬アドヒアランス)は、HIVを制御し続けるために不可欠なことである。HIV治療薬の服薬アドヒアランスを測定するための最適な方法は、血液中のウイルス量を知ることができる「ウイルス量検査」である。しかし、ウイルス量検査は、例えば貧困地域の場合など、どこでも受けられるわけではない。もし、もっと簡単な方法でアドヒアランスを測定することができれば、服薬について援助を必要としている人を見つけるのに役立つ可能性がある。 レビューの目的について このレビューの目的は、その人が服薬を毎日行っているかどうか、あるいはその結果としてウイルス量が多い(検出可能である)かどうかについて、簡単なアドヒアランス測定方法によって知ることができるかどうかを調査することである。アドヒアランスがよくないとわかった人に、ウイルス量の監視を追加で行うことが有効かもしれない。そうすれば、HIVによる合併症の発症や、他人へのHIVの感染を防止できる可能性がある。 どのような研究が見つかったか 2003年から2021年の間に行われた、HIVに感染した小児と成人を対象とした51件の研究が見つかった。これらの研究では、患者自身による報告、錠剤数のチェック、薬局の記録、電子的な記録による管理など...

中耳内に副腎皮質ステロイド(薬)を注入する突発性難聴の治療

1 year 8 months ago
中耳内に副腎皮質ステロイド(薬)を注入する突発性難聴の治療 突発性難聴とは? 突発性難聴とは、突然(通常72時間以内に)聴力が低下したり、聴こえなくなったりすることを特徴とする疾患である。 どうやって治療するか? しばしば、治療には副腎皮質ステロイド(抗炎症薬の一種)(以下、ステロイド)が使われる。この薬は通常、口から飲むか、体内に注射する(全身性ステロイドとして知られている)が、鼓膜から中耳に直接注射することもできる(鼓膜内ステロイドとして知られている)。 何が知りたかったのか? ステロイドの鼓膜内投与が有効かどうか、また、これら二つの治療(鼓膜内投与と全身投与)のどちらがこの疾患の治療に最適であるかは、明らかではない。 何を行ったのか? 結果を比較し、エビデンスをまとめるために、医学文献から関連するすべての研究を検索した。さらに、研究の規模や研究の実施方法などの要素を考慮して、エビデンスがどれほど確実であるかを評価した。評価基準をもとに、エビデンスの確実性を「非常に低い」、「低い」、「中等度」、「高い」に分類した。 何がわかったか? 2133人の参加者を含む30件の研究を見つけた。これらの研究では、ステロイドによる鼓膜内注射のみの治療と、無治療、プラセボ(偽薬またはダミー治療)またはステロイドの内服か体内への注射(全身性ステロイド)を比較した。突発性難聴の治療を初めて受けるか...

COVID-19を診断するための迅速検査の精度は?

1 year 8 months ago
COVID-19を診断するための迅速検査の精度は? 要点 - 迅速抗原検査は、COVID-19の徴候や症状がある人、特に発病後1週間の間に使用すると、最も正確な検査ができる。陰性でも感染している可能性がある。 - 迅速抗原検査は、感染の兆候や症状がない人に使用すると、かなり精度が落ちるが、COVID-19が確認された人と接触したことがある人には、より良い結果が得られる。 - 迅速抗原検査の精度はメーカーごとに異なり、市販されている多くの検査ではエビデンスが不足している。 COVID-19の医療従事者の診察時の迅速検査とは何か? 迅速抗原検査は、COVID-19の症状がある人と症状がない人を対象とした、COVID-19を確認または除外することを目的とする。それらの検査は: - は持ち運びが可能なものなので、患者がいる場所(ポイントオブケア)や自宅などの医療機関以外の環境でも使用することができる; - は、余分な機材や複雑な準備を最小限に抑え、簡単に行うことができる; - は、標準的な実験室での検査よりも安価である; - 専門のオペレーターやセッティングを必要としない; - は、「待っている間」に結果を提供する。 今回のレビューでは、「ラテラルフローテスト」と呼ばれることもある迅速抗原検査に注目した。これらの検査は、鼻や喉から採取したサンプルに含まれるウイルス上のタンパク質を特定する...

注意欠陥多動性障害とてんかんを併存する患者に対する精神刺激薬と非精神刺激薬の薬物療法

1 year 9 months ago
注意欠陥多動性障害とてんかんを併存する患者に対する精神刺激薬と非精神刺激薬の薬物療法 レビューの目的 このコクランレビューの目的は、注意欠陥多動性障害(ADHD)とてんかんの両方を持つ人々の治療において、精神刺激薬と非精神刺激薬の有効性と安全性を確認することである。関連するすべての研究を収集し、分析した。 背景 てんかんは、脳が発作を起こしやすくなっている病気である。ADHDは、不注意、多動性、衝動性により日常生活に支障をきたす疾患である。てんかんの患者がADHDの診断を受けていることはよくある。これらの診断が重なると、教育、職業、家族・社会関係に悪影響を及ぼす可能性がある。 ADHDは薬物療法で管理することができる。薬物には、メチルフェニデートなどの精神刺激薬とアトモキセチンなどの非精神刺激薬がある。これらの薬物は、脳内の異なる神経伝達物質に作用し、集中力や衝動制御を向上させる。精神刺激薬、特にメチルフェニデートがてんかんを悪化させる、あるいは発作を引き起こす可能性が示唆されている。精神刺激薬も非精神刺激薬も、発作を悪化させる可能性があるという警告付きで処方され続けている。 ADHDとてんかんの治療において、精神刺激薬と非精神刺激薬が有効かどうか、安全かどうかはわからない。また、これらの薬に、毎日飲むことを止めてしまうような耐え難い副作用があるかどうかもわかっていない。 レビュ...

神経画像上で脳小血管病を有するが認知症でない人の認知機能低下予防のための抗血栓療法

1 year 9 months ago
神経画像上で脳小血管病を有するが認知症でない人の認知機能低下予防のための抗血栓療法 背景 脳への血流が乱れると、記憶や思考に支障をきたすことがある。脳小血管病と呼ばれる状態では、脳の奥深くを走る最も細い血管に障害が起こる。この損傷は脳卒中を引き起こす可能性があるが、明らかな脳卒中の症状がない人でも脳スキャンで確認することができる。脳小血管病は通常、時間の経過とともに悪化し、人によっては記憶力や思考力の低下を引き起こすことがある。この低下がひどくなり、日常生活を自立して営むことができなくなると、血管性認知症と呼ばれるようになる。アスピリンなどの抗血栓薬で脳卒中を予防できることがわかっている。抗血栓薬が、脳小血管病で見られる記憶力や思考力の低下を防ぐ可能性があるかどうかを知りたいと考えた。 レビューの論点 脳小血管病のある人の記憶力や思考力の低下を防ぐために、抗血栓薬は有効で安全か? 方法 2021年7月21日までの医学文献を検索し、少なくとも24週間にわたって投与された抗血栓薬と比較対象(通常ケアまたはプラセボ(ダミー)錠のいずれか)を比較した研究を探した。公平に比較するために、これらの研究では、抗血栓薬か比較対象の治療かを無作為に割り当てる必要があった。参加者の記憶や思考のテストの成績、身の回りのことをする能力、認知症や脳卒中の発症リスク、副作用(特に出血によるもの)への影響に関...

再発上皮性卵巣がんの女性患者に対する単剤化学療法としてのタキサンの投与計画

1 year 9 months ago
再発上皮性卵巣がんの女性患者に対する単剤化学療法としてのタキサンの投与計画 背景 再発上皮性卵巣がんに対する化学療法には、さまざまな選択肢がある。再発時の治療決定は、どの薬剤を使うのかだけでなく、投与量や投与頻度も重要である。タキサン製剤には、週1回(低用量)または3週に1回(高用量)のレジメン(投与経路、投与量、投与頻度などを含む投与計画)があり、そのレジメンによって副作用の重症度や効果に差が出ることがある。再発したということは、治癒不可能ながんであることが示唆されるため、治療の延命効果だけでなく、副作用や治療スケジュールの影響、QOL(生活の質)を考慮することがなお一層重要である。 目的 再発上皮性卵巣がん患者に対して、異なる治療間隔と異なる用量のタキサン系化学療法の利点と副作用を評価すること。 方法 本レビューには、再発上皮性卵巣がん患者に対するタキサン系治療薬2剤以上を比較したランダム化比較試験(RCT)(参加者を2つ以上の治療群のいずれかに無作為に分けて比較する臨床試験)を含めた。検討した臨床結果は以下の通りであった。1)全生存期間 - 参加者の診断後の生存期間、2)奏効率 - 化学療法により卵巣がんが縮小したことを示すスキャンや血液検査の結果が得られた参加者の数、3)無増悪生存期間 - 参加者にがんの進行が認められない生存期間、4)神経毒性 - 通常手足の感覚や運動協...

薬剤に関連した顎骨壊死(顎の骨の重篤な損傷)の管理における介入方法について

1 year 9 months ago
薬剤に関連した顎骨壊死(顎の骨の重篤な損傷)の管理における介入方法について レビューの論点 薬剤に関連して生じる顎骨壊死を予防または治療するための介入方法は、異なる介入方法、あるいは非治療/プラセボ群と比較して、どのような効果があるのか。 背景 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)とは、がんや骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)の治療に一般的に使用されている特定の薬剤の作用により、しばしば発生する顎の骨の重篤な損傷のことである。MRONJは痛みを伴う疾患であり、また治療が困難な場合がある。MRONJは、骨粗鬆症を治療するために薬剤を使用している場合に発生することはまれである。しかし、がんの治療に関連して、これらの薬剤を高い用量で投与されている場合では、MRONJ発生のリスクが高くなる傾向があり、最大で100人に5人の割合で発生すると報告されている。MRONJ発生のリスクを減らすための効果的な予防法を明らかにし、またMRONJに対するより良い治療法を見つけることは重要な課題となっている。 本レビューは、2017年に行われたレビューの更新版であり、2021年6月までに実施された文献の検索に基づいている。 研究の特徴 Cochrane Oral Health(訳者注:口腔衛生を扱うコクラン・レビュー・グループ)の協力のもと、2021年6月までに発表された文献を検索した。結果、MRONJの予防に焦点...

統合失調症に対する集団認知行動療法

1 year 9 months ago
統合失調症に対する集団認知行動療法 レビューの論点 精神疾患を対象とした集団認知行動療法(会話療法)(CBTp)は、標準治療や他の会話療法(例えば、集団または個人を対象としたカウンセリング、支持療法)よりも、統合失調症の患者さんに対して効果的であるか? 統合失調症とは? 統合失調症は、深刻な精神疾患である。妄想(奇妙な信念)、幻覚(そこにないものを見たり聞いたりする)、陰性症状(社会的引きこもり、無気力)、無秩序な行動などが特徴的である。抗精神病薬と呼ばれる薬物が主な治療法であるが、統合失調症の陰性症状には必ずしも効果が高くない。CBTpは精神疾患患者に対する薬物療法の有用な追加治療として提案されているが、統合失調症患者に対する有効性のエビデンスは不明である。CBTpは通常、個人療法であるが、集団で行うこともでき、その方が費用対効果が高い場合もある。統合失調症の患者に対する集団CBTpが有効であるかどうか、受け入れられるかどうかを調べることは重要である。 本レビューで行ったことは何か? コクラン統合失調症グループの情報専門家は、2021年2月10日までに、統合失調症患者において集団CBTpと標準治療または他の心理社会的療法(集団または個人)をランダム化した臨床試験を専門臨床試験登録サイトで検索した。 何がわかったのか? その結果、適格基準を満たし、使用可能なデータを提供した、1,...

抗精神病薬は緊張病症状を持つ統合失調症スペクトラム障害の患者さんに対して安全かつ有効であるか?

1 year 9 months ago
抗精神病薬は緊張病症状を持つ統合失調症スペクトラム障害の患者さんに対して安全かつ有効であるか? 要点 - 抗精神病薬が緊張病症状を伴う統合失調症スペクトラム障害に対して安全かつ有効であるかどうかについては、少人数かつ短期間の治療を行った1件の研究しか見つからず、結果に対する信頼性が非常に低いため、回答することができなかった。 -レビューに組み入れられた1件の研究結果によると、抗精神病薬(リスペリドン)と電気けいれん療法は精神病の緊張病症状と陽性症状を改善する可能性があるが、ロラゼパムが効かない人に関して治療開始後3週間は、電気けいれん療法の方が優れているということがわかった。どちらの治療法でも、異常な副作用や危険な副作用は見つからなかった。 - 緊張病症状を持つ統合失調症スペクトラム障害の患者において、他の治療法と比較した抗精神病薬の利益と潜在的な有害性をよりよく推定するためには、より大規模でよく計画された研究が必要である。 統合失調症スペクトラム障害、緊張病症状とは? 統合失調症および関連するスペクトラム障害は、誤った考え(妄想)や声が聞こえる(幻聴)、考えがまとまらないなど、さまざまな精神症状を呈する重篤な精神疾患である。また、動けない、話せない、コントロールが効かない動作を繰り返すなどの、緊張病の症状を示す人もいる。緊張病症状のある人は、他人と交流したり、コミュニケーション...

児童虐待やネグレクト(訳者注:育児放棄)の報告を改善するための専門家向け児童保護研修

1 year 9 months ago
児童虐待やネグレクト(訳者注:育児放棄)の報告を改善するための専門家向け児童保護研修 要点 - 強力なエビデンスがないため、児童保護研修が、研修なし、または代替の研修(文化的感受性研修など)と比べて、専門家による児童虐待やネグレクトの報告を改善するのに優れているかどうかは不明である。 - より広い範囲の専門家集団を対象とした研修の効果を評価するために、より大規模で良く計画された研究が必要である。 - 今後の研究では、対面式とeラーニングによる介入を比較する必要がある。 なぜ、児童虐待やネグレクトの報告を改善する必要があるのか? 児童虐待やネグレクトは、子どもや家族、そして地域社会に大きな害をもたらす。最も深刻なのは子どもの死亡事故であるが、その他にも身体的な傷害、精神的な問題、アルコールや薬物の乱用、学校や雇用における問題などがある。教師、看護師、医師、警察など多くの職業集団は、法律または組織の方針により、児童虐待やネグレクトを受けている、あるいはその疑いがある児童を発見した場合、法定児童保護当局(訳者注:日本においては児童相談所)に報告することが義務づけられている。報告する必要がある状況に備えるため、さまざまな研修が開発され、利用されている。これらの研修の期間、形式、配信方法はさまざまである。例えば、児童虐待やネグレクトの指標、報告義務や手続きの本質、報告義務に対する態度などに...

フレイル高齢者の移動能力と日常生活動作の機能を向上させるモビリティ・トレーニング

1 year 9 months ago
フレイル高齢者の移動能力と日常生活動作の機能を向上させるモビリティ・トレーニング 背景 フレイル(虚弱な状態)にある高齢者は少なくない。フレイルは、転倒、移動(歩行など)や日常生活動作の困難、入院、死亡の可能性を高める。65歳以上の地域在住者の21%がフレイルであると推測されている。モビリティ・トレーニングでは、特定の作業を実行するために、管理された身体動作を行う。モビリティ・トレーニングの例としては、立ったり座ったりする練習、ウォーキングコースを歩く練習、階段の上り下りの練習などがある。モビリティ・トレーニングは、これらの作業を行うのが困難な場合に利用される。 研究の特性 このコクランレビューは2021年6月までのもので、12件の研究、合計1,317人の参加者を含んでいる。研究は9カ国で実施された。研究の参加者の平均年齢は82歳で、73%が女性であった。6件の試験は政府および研究機関からの資金提供を報告しており、1件の試験は営利目的の支援団体からの資金提供を報告した。 主な成果 - トレーニング期間終了時に移動能力は8%向上した(4%向上~13%向上)(12件の試験、1,151人の参加者)。モビリティ・トレーニングを受けていない人は4.69点(Short Physical Performance Batteryスケールでのスコア。12点満点で示される簡易な身体機能の評価方法で、...

生殖補助医療周期における着床前後の糖質コルチコイド投与

1 year 9 months ago
生殖補助医療周期における着床前後の糖質コルチコイド投与 レビューの論点 このレビューでは体外受精(IVF)または卵細胞質内精子注入法(顕微授精、ICSI)を受けた女性に、胚移植の時期に糖質コルチコイドを投与する場合に、投与しない場合と比較して妊娠の可能性が高まるかどうかを調査した。IVFとICSIはいずれも妊娠成立を補助する治療である。 背景 糖質コルチコイドとは、体内で自然に作られるステロイドホルモンに類似した薬の一種である。これらの薬は炎症を抑え体の免疫系を抑制する。糖質コルチコイドは子宮内膜(子宮の中の胚が着床する組織)の炎症を抑制する。このため、IVFやICSI周期の女性に対し、糖質コルチコイドが胚の着床と妊娠の可能性を高めることが示唆されてきた。 研究の特性 IVF/ICSIを受けた2,232組のカップルを対象とした16件のランダム化比較試験(ランダムに治療法を決定する試験であり、通常治療効果について最も信頼できるエビデンスが得られる)を同定した。胚移植の前後に糖質コルチコイドを投与する場合と投与しない、またはプラセボ(ダミーの治療)を投与する場合とを比較した。エビデンスは2021年12月20年現在のものである。 主な結果 エビデンスの質を考慮すると、糖質コルチコイドが出生率に差をもたらすかは不明であった。エビデンスによると、無治療またはプラセボの出生率を9%とした場合...

COVID-19関連肺機能不全における自発呼吸温存の効果

1 year 9 months ago
COVID-19関連肺機能不全における自発呼吸温存の効果 COVID-19患者の肺機能不全の治療において、早期の自発呼吸は有益か? COVID-19の重症患者は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と呼ばれる肺機能不全を呈することがある。そのため、呼吸器を使った侵襲的な人工呼吸が必要となる。人工呼吸器を装着していても、患者自身で呼吸(自発呼吸という)することもできる。しかし、人工呼吸器装着時の自発呼吸が、特に人工呼吸器装着の初期に有益であるかどうかは不明である。 要点 COVID-19による肺機能不全の治療において、自発呼吸が有益であるかどうかのエビデンスは見つからなかった。 ARDSにおける早期の自発呼吸の利点は何か? 人工呼吸中の自発呼吸の利点は、横隔膜(肺の下にある呼吸のための主要な筋肉)の動きが保たれることである。特に横隔膜に近い肺胞(肺の中の小さな気嚢)で、吸った空気をよりよく分散できる。一般に、自発呼吸が可能な換気方法では、鎮静剤(脳の活動を鈍化させる)の投与量を少なくすることが必要である。これらは低血圧の原因となるため、さらに循環器系薬剤の投与を減らすことができる。 ARDSの治療において、早期の自発呼吸は有害なのか? 人工呼吸中の自発呼吸では、肺の圧力変動が大きくなることがある。肺内の圧力差の増大は、人工呼吸器関連肺損傷の主な原因である。 早期自発呼吸を使用しない場合は...
Checked
6 hours 5 minutes ago
Search on cochrane.org for:
Subscribe to Latest Japanese Reviews feed